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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023060319
(43)【公開日】2023-04-27
(54)【発明の名称】連結車両
(51)【国際特許分類】
   B60P 3/40 20060101AFI20230420BHJP
   B62D 53/06 20060101ALI20230420BHJP
【FI】
B60P3/40 Z
B62D53/06 Z
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023036913
(22)【出願日】2023-03-09
(62)【分割の表示】P 2019094054の分割
【原出願日】2019-05-17
(71)【出願人】
【識別番号】591135440
【氏名又は名称】日本通運株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002516
【氏名又は名称】弁理士法人白坂
(72)【発明者】
【氏名】村松 賢吾
(57)【要約】
【課題】街中および山間部の双方で風車のブレードのような異形長尺物を運搬できる連結車両を提供する。
【解決手段】トラクターヘッドと、中間車両と、異形長尺物を搭載する起立旋回機構と、後部車両とからなる連結車両であって、トラクターヘッドは、エンジンと、中間車両と接続するための第1接続部とを備え、中間車両は、トラクターヘッドの第1接続部と接続するための第2接続部と、起立旋回機構と接続するための第1連結部とを備え、起立旋回機構は、中間車両の第1連結部と連結するための第2連結部と、異形長尺物を載置するための載置台と、載置台を旋回させるための旋回機構と、載置台を起立させるための起立機構と、後部車両と連結するための第3連結部とを備え、後部車両は、第3連結部と連結するための第4連結部を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トラクターヘッドと、中間車両と、異形長尺物を搭載する起立旋回機構と、後部車両とからなる連結車両であって、
前記トラクターヘッドは、
エンジンと、
前記中間車両と接続するための第1接続部とを備え、
前記中間車両は、
前記トラクターヘッドの前記第1接続部と接続するための第2接続部と、
前記起立旋回機構と接続するための第1連結部とを備え、
前記起立旋回機構は、
前記中間車両の前記第1連結部と連結するための第2連結部と、
前記異形長尺物を載置するための載置台と、
前記載置台を旋回させるための旋回機構と、
前記載置台を起立させるための起立機構と、
前記後部車両と連結するための第3連結部とを備え、
前記後部車両は、前記第3連結部と連結するための第4連結部を備える
連結車両。
【請求項2】
前記中間車両は、カウンターウェイトを載置するためのウェイト台を備える
ことを特徴とする請求項1に記載の連結車両。
【請求項3】
前記起立旋回機構は、前記旋回機構と前記起立機構と前記載置台とを搭載するための基部を備え、
前記基部は、前記後部車両の鉛直上下方向で、前記車輪上に設けられるよりも、低い位置に設けられている
ことを特徴とする請求項1または2に記載の連結車両。
【請求項4】
前記起立旋回機構の前記基部は、前記後部車両の車輪と、前記中間車両に設けられた車輪との間に位置するように構成されている
ことを特徴とする請求項3に記載の連結車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異形長尺物を運搬するための連結車両に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、長尺物として、例えば、風車のブレード(羽根)を運搬する技術として、特許文献1に記載されている技術がある。特許文献1には、荷台が起伏並びに旋回する機構を有する長尺物運搬用装置が開示されており、走行時に、異形長尺物が走行の妨げになりそうな場合に、荷台を起伏させたり、旋回させたりすることで、その妨げを抑制することができる。この従来の技術等においては、長尺物としてある程度一定の長さ並びに重さを有するものを運搬することを想定した設計がなされる。図12は、従来の長尺物運搬用車両90の一例を示す側面図である。図12に示すように、長尺物運搬用車両90は、異形長尺物である風車のブレード50を運搬するために設計された専用車両であり、特に山間部を走行する際に、用いられる。長尺物運搬用車両90は、山間部を走行するにあたって、超重量物である風車のブレードを運搬するために、登坂力はあるものの、安定性を考慮して、走行速度はでない(出すことが望ましくない)仕様となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004-243805号公報
【特許文献2】特開2014-088050号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述の通り、長尺物運搬用車両90は、走行速度を出せないために、街中での走行には適していない。そこで、従来では、街中での走行時には、別のトレーラーに搭載して、走行させていたが、山間部を走行することになる場合、そのトレーラーから、長尺物運搬用車両90への積み替えが必要になる。しかしながら、ブレード50は前述の通り超重量物であることから、クレーン車の用意が必要になるとともに、ブレード50が長大であることから、積み替えのための広大なスペースが必要なるという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は上記問題に鑑みて成されたものであり、上述のようにクレーン車や広大なスペースを必要とすることなく、風車のブレードのような異形長尺物を運搬することができる運搬車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の一態様に係る運搬車両は、異形長尺物を運搬するための運搬車両であって、トラクターヘッドと接続する中間車両および登坂力を必要とする際に運搬車両を牽引する牽引車両と連結するための連結部と、異形長尺物を載置するための載置台と、載置台を旋回させるための旋回機構と、載置台を起立させるための起立機構と、を備える。
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の一態様に係る連結車両は、トラクターヘッドと、中間車両と、異形長尺物を搭載する起立旋回機構と、後部車両とからなる連結車両であって、トラクターヘッドは、エンジンと、中間車両と接続するための第1接続部とを備え、中間車両は、トラクターヘッドの第1接続部と接続するための第2接続部と、起立旋回機構と接続するための第1連結部とを備え、起立旋回機構は、中間車両の第1連結部と連結するための第2連結部と、異形長尺物を載置するための載置台と、載置台を旋回させるための旋回機構と、載置台を起立させるための起立機構と、後部車両と連結するための第3連結部とを備え、後部車両は、第3連結部と連結するための第4連結部を備える。
【0008】
上記運搬車両又は運搬車両において、中間車両は、カウンターウェイトを載置するためのウェイト台を備えることとしてもよい。
【0009】
上記運搬車両又は運搬車両において、運搬車両は、旋回機構と起立機構と載置台とを搭載するための基部と、車輪とを備え、基部は、運搬車両の鉛直上下方向で、車輪上に設けられるよりも、低い位置に設けられていることとしてもよい。
【0010】
上記運搬車両又は運搬車両において、基部は、運搬車両の車輪と、中間車両又は牽引車両に設けられた車輪との間に位置するように構成されていることとしてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の一態様に係る運搬車両は、異形長尺物を搭載するとともに、山間部を走行可能な牽引車両と、街中を走行する際のトラクターヘッドに牽引される中間車両との連結部を備えることにより、異形長尺物の移し替えを行うことなく、牽引する車両との連結の切替をするだけで、街中と山間部を走行することができる。したがって、従来のように、異形長尺物の移し替えをするためのクレーン車を用意する必要も、移し替えのための広大なスペースを用意する必要がなくなる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】運搬車両を含む連結車両の側面図である。
図2図1の運搬車両の起立機構を起立させた状態の側面図である。
図3図1に示す運搬車両の接続態様を示す図である。
図4】運搬車両を牽引車両に接続した状態の側面図である。
図5図4の運搬車両の起立機構を起立させた状態の側面図である。
図6図4に示す運搬車両の接続態様を示す図である。
図7】運搬車両の旋回機構の概念図である。
図8】(a)は、連結部の構成を示す概念図であって接続ピン部分を含む断面図である。(b)は、連結部の構成を示す概念図であって、嵌合部を含む断面図である。
図9】(a)は、連結部を離間させた状態を示す断面図であって、接続ピン部分の断面図である。(b)は、連結部の構成を示す概念図であって、嵌合部を含む断面図である。
図10】運搬車両100の構造を説明する側面図である。
図11】(a)は、連結車両の接続を解除した状態を示す側面図である。(b)は、運搬車両の他の一運用態様を示す側面図である。
図12】従来の運搬車両の一例を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る異形長尺物運搬用装置について、図面を参照しながら詳細に説明する。
<実施の形態>
<構成>
【0014】
図1は、異形長尺物を運搬するための運搬車両を含む連結車両1の側面図を示している。また、図2は、連結車両1の運搬車両100の起立機構を起立させた状態を示す側面図であり、図3は、連結車両1における各車両の接続態様を示す図である。図1図3に示すように、連結車両1は、異形長尺物を搭載する運搬車両100と、運搬車両100を牽引する中間車両200と、中間車両200を牽引するトラクターヘッド300とが連結されてなる。トラクターヘッド300は、一般に知られる大型コンテナ車両などのトレーラーを牽引する車両である。走行するための動力源は、トラクターヘッド300に搭載されている。図1に示すように、運搬車両100には、異形長尺物として風車のブレード50が載置され、運搬車両100により運搬される。ブレード50は、風力発電に用いられる羽根であり、例えば、長さ50m、重さ10t程度の長大な重量物である。なお、異形長尺物は、風車のブレード50に限定するものではない。
【0015】
図3に示されるように、中間車両200は、トラクターヘッド300に対して、軸21を介して回動自在に接続される。即ち、中間車両200の軸21は、トラクターヘッド300の軸受31に挿入されて接続される。また、中間車両200は、連結部22を介して、運搬車両100に接続される。連結部22は、内部に接続ピンを挿入し、接続ピン70と接続するためのボルトを有する挿入口23と、平面視で櫛歯状に構成された複数の突出部を有する嵌合部24を備える。嵌合部24は、複数の円盤が互いに一定の距離を置いて配列された形状を有し、その中心に接続ピン71を挿入するための貫通孔25を有する。中間車両200には、カウンターウェイト210が搭載される。カウンターウェイト210は、ブレード50を搭載することによって、連結車両1の重心が連結車両1の前進方向に対して、後ろ寄りになって、連結車両1のバランスが悪くなるところ、その重心をより前方よりにするための錘である。図示する通り、中間車両200は、走行のための車輪が設けられているが、中間車両200は、自立走行するためのエンジンは搭載されていない。トラクターヘッド300としては、例えば、市販されている多軸運搬車を用いることができる。
【0016】
運搬車両100は、中間車両200と接続することによって、走行が可能となる車両であり、ブレード50を搭載する車両である。運搬車両100は、連結部13が、中間車両200の連結部22と、嵌合することにより、中間車両200に接続される。運搬車両100の連結部13は、内部に接続ピン70を挿入し、接続ピン70と接続するためのボルトを有する挿入口14と、平面視で櫛歯状に構成された複数の突出部を有する嵌合部16を備える。嵌合部16は、複数の円盤が互いに一定の距離を置いて配列された形状を有し、その中心に接続ピン71を挿入するための貫通孔17を有する。この接続機構の詳細については後述する。運搬車両100は、ブレード50を載置するための載置台15を備えるとともに、その載置台15を起立させるための起立機構と、載置台15を回転させるための旋回機構とを備える。運搬車両100は、基部10と、基部10に対して回動自在に設けられた回転台11と、回転台11上に設けられた起立機構とを備え、起立機構は、載置台15を、油圧シリンダー12cにより起伏させることができる。運搬車両100は、図示の通り、走行用の車輪を備えるが、運搬車両100も、中間車両200と同様に自立走行のためのエンジンは搭載されていない。運搬車両100が起立機構と、旋回機構とを備えることにより、連結車両1が走行して、進行するうえで、ブレード50が、何らかの物体(例えば、木や電線など)に接触しそうになった場合でも、載置台15を旋回、起伏させることでその接触を避けることができる。起立機構及び旋回機構の詳細については後述する。
【0017】
図1図3に示す連結車両1は、主として、運搬車両100を用いてブレード50を登坂力を必要としない道(例えば、街中の道路)で運搬するときに用いる態様である。なお、登坂力が必要とされないのであれば、連結車両1は、図1図3に示す態様で、山間部を走行してもよい。
【0018】
図4は、運搬車両100を、牽引車両400に接続したときの態様を示す側面図である。図4に示す態様は、登坂力が必要とされる場所(例えば、山間部)を連結車両1が走行する際の態様である。また、図5は、図4に示す運搬車両100の起立機構を起立させた状態を示す側面図であり、図6は、運搬車両100を、牽引車両400に接続する態様を示す図である。なお、登坂力が必要とされる場所とは、一例として、トラクターヘッド300では、運搬車両100を牽引しながら安定して走行できない場所であり、ブレード50の形状や重量によって異なる場合がある。
【0019】
牽引車両400は、運搬車両100を、主として、登坂力を要する山間部などにおいて牽引するための車両である。ただし、山間部に限るものではなく、運搬車両100を牽引する際に、より大きな登坂力を必要とする地域であれば、山間部以外の場所でもよい。
【0020】
牽引車両400は、車輪を備えるとともに、車輪を駆動するためのエンジンや駆動機構(図示せず)を備える。牽引車両400のエンジンは、ブレード50を搭載した運搬車両100を牽引して、山間部を走行可能な登坂力を有する。また、牽引車両400に備えられた各車輪は、それぞれ個別の駆動軸を有し、トラクターヘッド300よりも高い旋回性能を有する。言い換えれば、牽引車両400の方がトラクターヘッド300よりも小回りが利くので、曲がりくねった道路を走行するのに適している。また、牽引車両400は、その車両の各軸に駆動軸を備えているため、車両自体がトラクターヘッドの役割と、荷重分散するための中間車両200との双方の役割を果たすため、中間車両200は必要ではない。ただし、より安定した走行や機動性を意図して、牽引車両400にカウンターウェイトを搭載したり、中間車両を牽引車両400と運搬車両100との間に介在させたりしてもよい。
【0021】
牽引車両400は、運搬車両100の連結部13と連結するための連結部42を備える。牽引車両400の連結部42が、運搬車両100の連結部13と、嵌合することにより、牽引車両400と運搬車両100とが接続される。連結部42は、内部に接続ピン70を挿入し、接続ピン70と接続するためのボルトを有する挿入口43と、平面視で櫛歯状に構成された複数の突出部を有する嵌合部44を備える。嵌合部44は、複数の円盤が互いに一定の距離を置いて配列された形状を有し、その中心に接続ピン71を挿入するための貫通孔45を有する。
【0022】
次に、運搬車両100の起立機構、旋回機構について説明する。
【0023】
前述の通り、図2図5は、運搬車両100の起立機構を動作させて、ブレード50を起立させた態様を示す側面図である。図1図6等に示されるように、載置台15は、起立機構の基部12に対して、起立可能に構成されるとともに、基部12は、回転台11上に設けられている。基部12には、油圧シリンダー12cが設けられる。油圧シリンダー12cは、回動軸12bを介して、基部12に対して、その一端が回動可能に接続され、回動軸12dを介して、載置台15に対して、他端が回動可能に接続される。油圧シリンダー12cは、オペレータからの指示に従って、伸縮し、載置台15の一端を起伏させる。図1図2図4図5に示すように、載置台15は、基部12に対して、回動軸12aを介して、回動自在に接続されている。即ち、基部12に設けられた回動孔(図示せず)と、載置台15の一端部に設けられた貫通孔とに対して回動軸12aが挿入されている。したがって、図1図2図4図5に示すように、載置台15の端部が回動軸12aの軸を中心に回動し、載置台15が起伏する。載置台15を起伏させることで、ブレード50を起伏させることができる。
【0024】
また、前述の通り、載置台15は、運搬車両100に対して回転可能に構成されている。即ち、基部12は、回転台11に接続され、回転台11の回転に伴って、ブレード50を搭載している(搭載していなくてもよい)載置台15及び起立機構全体を旋回させる。具体的には、図7に示すように、回転台11は、基部12を回動させることで、ブレード50を回転させることができる。図7は、運搬車両100の旋回機構を動作させて、ブレード50を載置した載置台15を回転させた様子を示す略式平面図である。図7に示すように、ブレード50を載置した載置台15は、起立機構の基部12を介して、回転台11により、回動可能に構成されている。回転台11は、オペレータにより、その回転角θが制御される。なお、載置台15は、運搬車両100の進行方向に対して、左右のどちらの方向に対しても回転可能である。ただし、その回転角θは、予め上限が設定されていてもよいし、設定されなくてもよい。また、ブレード50の回転角θが大きくなるほど、つまり、基準位置(ブレード50の中心軸が運搬車両100の進行方向の中心軸に並行な位置)から離れれば離れるほど、運搬車両100としての走行における安定性が低下するといえる。したがって、回転角θの上限値は、その安定性の検討結果に基づいて設定することができる。
【0025】
ところで、図1図4に示されるように、運搬車両100において、載置台15、起立機構、旋回機構が設けられている基部10は、平板状の鋼材であり、高さ方向において、運搬車両100の車輪と、中間車両200の車輪または牽引車両400の車輪の間であって車両の走行を妨げない(走行時に地面と接触しない)位置になるように構成されている。この構造を有することにより、運搬車両100のブレード50を搭載した状態での高さT1(図1図4を参照)は、従来の運搬車両90(図12参照)のブレード50を搭載した状態での高さT2よりも明らかに短く(低く)することができている。したがって、本実施形態に係る運搬車両100は、従来よりも高さを低くすることができ、連結車両1が走行可能な道路を増やすことができる。即ち、従来においては、高さ制限によって走行できなかったような道路も、本実施の形態に係る運搬車両100であれば、走行可能になる可能性がある。したがって、連結車両1の運用における利便性を従来よりも向上させることができる。
【0026】
ここで、連結部における各車両間の接続方法について図8図9を用いて説明する。図8は、運搬車両100の連結部13が、中間車両200の連結部22又は牽引車両400の連結部42と接続されている状態を示している。図8(a)は、連結部13を連結部22又は連結部42と接続した状態であって、連結部13、及び連結部22又は連結部42を、接続ピン70の中心軸で水平に切断した場合の断面図である。また、図8(b)は、連結部13を連結部22又は連結部42と接続した状態であって、連結部13、及び連結部22又は連結部42を、接続ピン71の中心軸で水平に切断した場合の断面図である。一方で、図9は、連結部13を、連結部22又は連結部42から離間させた状態を示しており、図9(a)は、図8(a)に対応する離間状態を示す図であり、図9(b)は、図8(b)に対応する離間状態を示す図である。即ち、図9(a)は、連結部13を連結部22又は連結部42から離間させた状態であって、連結部13、及び連結部22又は連結部42を、接続ピン70の中心軸で水平に切断した場合の断面図である。また、図9(b)は、連結部13を連結部22又は連結部42から離間させた状態であって、連結部13、及び連結部22又は連結部42を、接続ピン71の中心軸で水平に切断した場合の断面図である。
【0027】
図8に示されるように、連結部13と、連結部22又は連結部42は、接続ピン70と、嵌合部に挿入される接続ピン71とにより、互いに接続(連結)される。前述の通り、接続ピン70は、連結部13の挿入口14と、連結部22の挿入口23又は連結部42の挿入口43と、に挿入され、それぞれ、各挿入口の奥に設けられたボルト(図示せず)と接続する。これにより、接続ピン70は、連結部13と、連結部22又は連結部42とを接続(連結)する。なお、図8に示す例では、挿入口14は、平面視で連結部13の両端部に設けられ、挿入口23又は挿入口43は、平面視で連結部22又は連結部42の両端部に設けられる構成となっているが、これは2つである必要はなく、1以上あればよい。
【0028】
また、図8に示されるように、連結部13と、連結部22又は連結部42は、嵌合部16と、嵌合部24又は嵌合部44と、それらに挿入される接続ピン71とによっても互いに接続(連結される)。嵌合部16、24、44は、それぞれ、櫛歯状の部材であり、ともに、突部と凹部とを有する。そして、連結部13の嵌合部16の突部と、連結部22の嵌合部24又は連結部42の嵌合部44の凹部が嵌合し、連結部13の嵌合部16の凹部と連結部22の嵌合部24又は連結部42の嵌合部44の突部が嵌合する。各連結部13、22、42の各突部は、接続ピン71を挿入するための貫通孔17、25、45を有する。連結部13の貫通孔17と、連結部22の貫通孔25又は連結部42の貫通孔45は、両連結部の両嵌合部が互いに嵌合している状態で正対するように構成されている。したがって、嵌合部16と、嵌合部24又は嵌合部44とを互いに嵌合させることで、一貫して貫通孔が形成されることになり、接続ピン71を挿入することができる。接続ピン71は、人の手で挿入してもよいし、油圧シリンダー等を利用した器具等によって挿入することとしてもよい。接続ピン71は、貫通孔17、25、45からは容易に抜け落ちない構造を有しているが、当該構造は、一般的に知られている構造であるため、詳細な説明については、省略する。
【0029】
この連結部があることにより、運搬車両100に搭載されたブレード50の移し替えをすることなく、運搬車両100を接続する車両を変更するだけで、登坂力を必要としない(例えば、街中を走行する)態様と、登坂力を必要とする(例えば、山間部を走行する)態様との切り替えを行うことができる。したがって、ブレード50を移し替えるためのクレーン車を用意したり、移し替えのための広大なスペースを用意したりする必要がなくなるので、従来よりも利便性の高い、風車のブレード50のような重量のある異形長尺物を運搬できる運搬車両100、連結車両1を提供することができる。
【0030】
図10は、運搬車両100の構造を示す側面図である。図10(a)は、運搬車両100を示す側面図であり、図10(b)は、運搬車両100が、起立旋回機構110と後部車両120とが接続された態様であることを示す図である。図10(b)に示すように、運搬車両100は、実際には、起立旋回機構110と、後部車両120とが、互いに連結されて成る。起立旋回機構110は、基部10と、基部10上に設けられた回転台11と、回転台11上に設けられた起立機構の基部12を含む起立機構と、載置台15と、中間車両200または牽引車両400と接続(連結)するための連結部13と、後部車両120と接続(連結)するための連結部18とを備える。連結部18の構造は、連結部13の構造と同様である。
【0031】
一方、後部車両120は、車輪と、起立旋回機構110と接続(連結)するための連結部121を備える。連結部121の構造は、中間車両200の連結部22、牽引車両400の連結部42と同様である。
【0032】
したがって、図1に示す連結車両1について、上述では、トラクターヘッド300と、中間車両200と、運搬車両100とが接続された車両として説明しているが、トラクターヘッド300と、中間車両200と、起立旋回機構110と、後部車両400とが、この順で接続された車両であると言い換えることもできる。したがって、図3に示す連結車両1についても同様に、牽引車両400と、起立旋回機構110と、後部車両400とが、この順で接続された車両であるとも言える。
【0033】
最後に、起立機構及び旋回機構の制御について簡単に説明する。起立機構によるブレード50が載置された載置台15の起立及び載置台15及び起立機構を搭載している回転台11による旋回の制御は、連結車両1のオペレータによるリモコン制御により行われる。即ち、オペレータにより、リモコンに設けられた起立機構の上下のためのボタンやレバー、旋回機構の右旋回や左旋回のためのボタンやレバーあるいはダイヤルスイッチ等に対する入力により実現することができるが、これらに限定するものではない。例えば、タブレット端末等に対するタッチパネルを介した入力により、起立機構や旋回機構を通信制御することとしてもよい。
【0034】
以上が、運搬車両100及び運搬車両を含む連結車両1の説明である。
<まとめ>
【0035】
上述したように、運搬車両100は、連結部13により、運搬車両100を牽引することができる中間車両200や牽引車両400との接続の切替ができる。したがって、異形長尺物であるブレード50の移し替えを行うことなく、街中での走行、山間部での走行を容易に行うことができる連結車両1を提供することができる。また、回転台11、起立機構を搭載する基部10を低くすることで、全体の高さを従来よりも低くすることができるので、従来では高さ制限により制限されていた道を走行できるようになる可能性を向上させ、従来よりも連結車両1の走行可能範囲を向上させることができる。
<補足>
【0036】
上記実施の形態に係る運搬車両100、連結車両1は、上記実施の形態に限定されるものではなく、他の手法により実現されてもよいことは言うまでもない。以下、各種変形例について説明する。
【0037】
(1)上記実施の形態において、連結部13、22、42における接続態様は、あくまで一例である。牽引車両400及びトラクターヘッド300により牽引された中間車両200により、運搬車両100が不都合なく牽引できれば、どのような接続態様により実現されてもよい。
【0038】
例えば、接続ピン70のみによる接続であってもよいし、接続ピン71のみによる接続であってもよい。また、その他の例としては、例えば、鉄道車両等に用いられる各種の連結器(単なる一例としてナックル型連結器)を、上記実施の形態に示す連結部の代替として用いることとしてもよい。
【0039】
(2)上記実施の形態においては、連結車両1の重心をより前寄りにして安定性を向上させるために、カウンターウェイト210を載置した中間車両200を設けた。しかし、連結車両1が安定して走行できるのであれば、中間車両200を介在させずに、トラクターヘッド300と接続するように構成してもよい。その場合、トラクターヘッド300には、運搬車両100と接続するための連結部を設ける。この場合の連結部は、連結部22、41と同等の大きさ、構造を有する。
【0040】
(3)上記実施の形態においては、特に説明していないが、図11に示すように、載置台15を含む起立機構、旋回機構を搭載した基部10は、そのまま、牽引車両400上に設置して、運用することもできる。図11(a)は、図4に示す連結車両1を分解した一例を示す図である。上述の通り、運搬車両100は、旋回起立機構と車両部とが接続された形態であることから、旋回起立機構を車両部から切り離して運用することができる。そして、図11(b)に示すように、基部10に搭載されている機構を、そのまま、牽引車両400上に設置できるように構成してもよい。即ち、本実施の形態に係る連結車両1は、旧来の運用も実現することができる。図11(b)に示す態様は、図4に示す態様に比して、小回りを利かせることができる。なお、図11(b)においては、基部10の両端から連結部を取り外した状態で、牽引車両400上に搭載している例を図示しているが、連結部を取り付けたまま牽引車両400上に搭載してもよい。
【0041】
(4)上記実施の形態においては、中間車両200が、カウンターウェイト210を搭載している例を説明している。この中間車両200は、更に、このカウンターウェイト210を移動させる機構を備え、連結車両1全体の重心位置を制御する機構を備えてもよい。即ち、連結車両1全体の重心を検知するためのセンサを備え、そのセンサからの出力値に基づいて、連結車両1の走行がより安定する方向にカウンターウェイト210を移動させる構造を備えてもよい。カウンターウェイト210の移動は、例えば、カウンターウェイト210に車輪を設けて移動先を指定して自走できるように構成することで実現してもよいし、例えば、カウンターウェイト210の位置をスライド移動させることができるロボットアーム等により実現することとしてもよい。この構造により、連結車両1をより安定して走行させることができる。
【0042】
(5)上記実施の形態に示す構成及び補足に示す構成は、適宜矛盾がないように組み合わせることとしてもよい。
【符号の説明】
【0043】
1 連結車両
100 運搬車両
110 起立旋回機構
10 基部
11 回転台
12 基部
12a 回動軸
12b 回動軸
12c 油圧シリンダー
12d 回動軸
13 連結部(第2連結部)
14 挿入孔
15 載置台
16 嵌合部
17 貫通孔
18 連結部
120 後部車両
200 中間車両
21 軸(第2接続部)
22 連結部(第1連結部)
23 挿入孔
24 嵌合部
25 貫通孔
300 トラクターヘッド
31 軸受(第1接続部)
400 牽引車両
42 連結部
43 挿入孔
44 嵌合部
45 貫通孔
50 ブレード(異形長尺物)
70 接続ピン
71 接続ピン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12