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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023006032
(43)【公開日】2023-01-18
(54)【発明の名称】レンズユニット
(51)【国際特許分類】
   G02B 7/02 20210101AFI20230111BHJP
   G03B 17/02 20210101ALI20230111BHJP
   G03B 17/55 20210101ALI20230111BHJP
   H05K 1/02 20060101ALI20230111BHJP
【FI】
G02B7/02 F
G02B7/02 D
G02B7/02 B
G03B17/02
G03B17/55
H05K1/02 A
H05K1/02 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021108404
(22)【出願日】2021-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】日本電産サンキョー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142619
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100125690
【弁理士】
【氏名又は名称】小平 晋
(74)【代理人】
【識別番号】100153316
【弁理士】
【氏名又は名称】河口 伸子
(72)【発明者】
【氏名】山本 明典
(72)【発明者】
【氏名】水間 功
(72)【発明者】
【氏名】川上 政孝
【テーマコード(参考)】
2H044
2H100
2H104
5E338
【Fターム(参考)】
2H044AB10
2H044AD02
2H044AH18
2H100BB11
2H100EE05
2H104CC06
5E338AA12
5E338AA16
5E338BB02
5E338BB13
5E338CC04
5E338CD17
5E338CD40
5E338EE01
(57)【要約】
【課題】フレキシブルプリント基板に設けた導線体をヒータ部として使用する場合に導電体層の全体の構成を変更しなくても、仕様の変更を容易に行うことのできるレンズユニットを供給すること。
【解決手段】レンズユニット1は、第1レンズL1および第2レンズL2を含む複数のレンズを保持するレンズホルダ2と、導電体層9が設けられたフレキシブルプリント基板3とを有する。フレキシブルプリント基板3は、第1レンズL1の像側フランジ面13に重なる環状の環状部31と、環状部31から径方向外側へ延びる延伸部32とを備える。導電体層9は、環状部31に沿って周方向に円弧状に延びるヒータ部6と、ヒータ部6から延伸部32に沿って延伸する給電配線8と、を含む。ヒータ部6の電気抵抗は、給電配線8の電気抵抗より大きい。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1レンズと、
前記第1レンズに対して像側に配置された第2レンズと、
前記第1レンズおよび前記第2レンズを含む複数のレンズを保持するレンズホルダと、
導電体層が設けられたフレキシブルプリント基板と、
を有し、
前記第1レンズは、像側レンズ面と、前記像側レンズ面を囲む像側フランジ面と、を備え、
前記フレキシブルプリント基板は、前記像側フランジ面に重なる環状の環状部と、前記環状部から径方向外側へ延びる延伸部と、を備え、
前記導電体層は、前記環状部に沿って周方向に円弧状に延びるヒータ部と、前記ヒータ部から前記延伸部に沿って延伸する給電配線と、を含み、
前記ヒータ部の電気抵抗は、前記給電配線の電気抵抗より大きいことを特徴とするレンズユニット。
【請求項2】
請求項1に記載のレンズユニットにおいて、
前記ヒータ部の厚みは、前記給電配線の厚みより薄いことを特徴とするレンズユニット。
【請求項3】
請求項1に記載のレンズユニットにおいて、
前記ヒータ部は、前記給電配線の厚みより薄い第1部分と、前記給電配線の厚みと同じ第2部分と、を備えていることを特徴とするレンズユニット。
【請求項4】
請求項3に記載のレンズユニットにおいて、
前記第1部分と前記第2部分とは、周方向に複数配列され、
複数の前記第1部分のうち、前記給電配線と前記ヒータ部とが電気的に接続した接続部分から最も離れた位置に配置された前記第1部分の周方向の長さは、他の前記第1部分の周方向の長さより長いことを特徴とするレンズユニット。
【請求項5】
請求項1に記載のレンズユニットにおいて、
前記ヒータ部の厚みは、前記給電配線と前記ヒータ部とが電気的に接続した接続部分から周方向に離れるに従って薄くなることを特徴とするレンズユニット。
【請求項6】
請求項1から5のうち何れか一項に記載のレンズユニットにおいて、
前記ヒータ部は、複数の孔部を備えることを特徴とするレンズユニット。
【請求項7】
請求項6に記載のレンズユニットにおいて、
前記複数の孔部は、前記給電配線と前記ヒータ部とが電気的に接続した接続部分から周方向に離れるに従って多くなるように設けられていることを特徴とするレンズユニット。
【請求項8】
請求項1から7のうち何れか一項に記載のレンズユニットにおいて、
前記ヒータ部は、周方向に複数回折り返された線状部分を含むことを特徴とするレンズユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のレンズを光軸上に配置したレンズユニットに関する。
【0002】
特許文献1には、光学機器に用いられるレンズユニットが記載されている。同文献のレンズユニットは、複数のレンズと、複数のレンズを保持するレンズホルダとを備える。また、レンズユニットは、屋外での使用の際にレンズホルダ内で結露が発生することを抑制するためのヒータ部を備えるフレキシブルプリント基板を有する。
【0003】
フレキシブルプリント基板は、最も物体側に配置された第1レンズと第1レンズに対して像側に配置された第2レンズとの間に配置される。フレキシブルプリント基板は、第1レンズに当接する環状の板状部と、板状部から径方向外側に延びる延伸部とを備える。また、ヒータ部を構成する導電体層は、板状部に配置された周回部と、周回部の一端から延伸部に沿って延伸する第1延伸部と、周回部の他端から延伸部に沿って延伸する第2延伸部とを備えており、第1延伸部および第2延伸部を介して周回部に給電することによって周回部が発熱する。これにより、第1レンズの周囲の温度が上昇する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-168509号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ヒータ部に供給される電圧や、ヒータ部に求められる発熱量等は、レンズユニットが用いられる光学機器によって異なる。したがって、フレキシブルプリント基板では、要求される仕様に応じて、周回部、第1延伸部、および第2延伸部を含む導電体層全体の構造を設計する必要があるため、コストが嵩むという問題があった。
【0006】
以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、フレキシブルプリント基板に設けた導線体をヒータ部として使用する場合に導電体層の全体の構成を変更しなくても、仕様の変更を容易に行うことのできるレンズユニットを供給することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のレンズユニットは、第1レンズと、前記第1レンズに対して像側に配置された第2レンズと、前記第1レンズおよび前記第2レンズを含む複数のレンズを保持するレンズホルダと、導電体層が設けられたフレキシブルプリント基板と、を有し、前記第1レンズは、像側レンズ面と、前記像側レンズ面を囲む像側フランジ面と、を備え、前記フレキシブルプリント基板は、前記像側フランジ面に重なる環状の環状部と、前記環状部から径方向外側へ延びる延伸部と、を備え、前記導電体層は、前記環状部に沿って周方向に円弧状に延びるヒータ部と、前記ヒータ部から前記延伸部に沿って延伸する給電配線と、を含み、前記ヒータ部の電気抵抗は、前記給電配線の電気抵抗より大きいことを特徴とする。
【0008】
本発明では、ヒータ部の電気抵抗が給電配線の電気抵抗より大きい。したがって、給電配線に印加される電圧等の仕様が変更になった場合、電気抵抗が大きいヒータ部の抵抗を調整すれば、ヒータ部および給電配線を含む導電体層全体に流れる電流値を容易に変更することができる。したがって、ヒータ部の発熱量を容易に変更することが可能である。また、電気抵抗が大きい部分がヒータ部であるので、ヒータ部の発熱量を調整しやすい。そ
れ故、導電体層の全体の構成を変更しなくても、ヒータとしての仕様変更を容易に行うことができる。
【0009】
本発明において、前記ヒータ部の厚みは、前記給電配線の厚みより薄いことが好ましい。このように構成すれば、ヒータ部の厚みを給電配線の厚みより薄くすることによって、ヒータ部の電気抵抗を給電配線の電気抵抗より大きくすることが容易である。したがって、ヒータ部の厚みを調整することによって、ヒータ部での発熱量を調整することが容易である。
【0010】
本発明において、前記ヒータ部は、前記給電配線の厚みより薄い第1部分と、前記給電配線の厚みと同じ第2部分と、を備えていることが好ましい。このように構成すれば、ヒータ部の電気抵抗を調整しやすい。
【0011】
本発明において、前記第1部分と前記第2部分とは、周方向に複数配列され、複数の前記第1部分のうち、前記給電配線と電気的に接続した接続部分から最も離れた位置に配置された前記第1部分の周方向の長さは、他の前記第1部分の周方向の長さより長いことが好ましい。ここで、ヒータ部は、給電配線部と電気的に接続する接続部分から周方向に離れるほど、発熱量が小さくなりやすい。したがって、このように構成すれば、給電配線と電気的に接続した接続部分から最も離れた位置に配置された第1部分での発熱量を大きくすることが可能となる。これにより、ヒータ部を均一に加熱させることができるので、第1レンズに発生する結露をより効率的に除去することが可能となる。
【0012】
本発明において、前記ヒータ部の厚みは、前記給電配線と電気的に接続した接続部分から周方向に離れるに従って薄くなることが好ましい。このように構成すれば、給電配線と電気的に接続した接続部分から周方向に離れるに従ってヒータ部の電気抵抗を大きくすることができる。したがって、ヒータ部の厚みを調整することによって、ヒータ部での発熱量を調整することが容易であるとともに、ヒータ部を均一に加熱させることができるので、第1レンズに発生する結露をより効率的に除去することが可能となる。
【0013】
本発明において、前記ヒータ部は、複数の孔部を備えることが好ましい。このように構成すれば、ヒータ部に複数の孔部を設けるだけで、ヒータ部の電気抵抗を給電配線の電気抵抗より大きくすることが容易である。したがって、ヒータ部での発熱量を調整することが容易である。
【0014】
本発明において、前記複数の孔部は、前記給電配線と電気的に接続した接続部分から周方向に離れるに従って多くなるように設けられていることが好ましい。このように構成すれば、給電配線と電気的に接続した接続部分から周方向に離れるに従ってヒータ部の電気抵抗を大きくすることができる。したがって、ヒータ部を均一に加熱させることができるので、第1レンズに発生する結露をより効率的に除去することが可能となる。
【0015】
本発明において、前記ヒータ部は、周方向に複数回折り返されたヒータ部線からなる態様を採用することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明では、ヒータ部の電気抵抗が給電配線の電気抵抗より大きい。したがって、給電配線に印加される電圧等の仕様が変更になった場合、電気抵抗が大きいヒータ部の抵抗を調整すれば、ヒータ部および給電配線を含む導電体層全体に流れる電流値を容易に変更することができる。したがって、ヒータ部の発熱量を容易に変更することが可能である。また、電気抵抗が大きい部分がヒータ部であるので、ヒータ部の発熱量を調整しやすい。それ故、導電体層の全体の構成を変更しなくても、ヒータとしての仕様変更を容易に行うこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施形態に係るレンズユニットの断面図である。
図2図1のレンズユニットの分解断面斜視図である。
図3】第1実施形態に係るフレキシブルプリント基板の平面図である。
図4】第2実施形態に係るフレキシブルプリント基板の平面図である。
図5】第3実施形態に係るフレキシブルプリント基板の平面図である。
図6】第4実施形態に係るフレキシブルプリント基板の平面図である。
図7】第5実施形態に係るフレキシブルプリント基板の平面図である。
図8】第6実施形態に係るフレキシブルプリント基板の平面図である。
図9】変形例のヒータ部に係るフレキシブルプリント基板の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して、本発明を適用したレンズユニットの実施形態を説明する。
【0019】
図1は、本発明の実施形態に係るレンズユニットの断面図である。図2は、図1のレンズユニットの断面斜視図である。図1において、Lはレンズユニット1の光軸である。Laは、光軸方向の一方側であり、レンズユニット1の物体側である。Lbは、光軸方向の他方側であり、レンズユニット1の像側である。図1図2に示すように、レンズユニット1は、複数のレンズと、複数のレンズを保持するレンズホルダ2と、導電体層からなるヒータ部6を備えるフレキシブルプリント基板3を備える。
【0020】
(複数のレンズ)
複数のレンズは、物体側Laから像側Lbに向かって順に、第1レンズL1、第2レンズL2、第3レンズL3、第4レンズL4、第5レンズL5、および第6レンズL6を備える。したがって、第1レンズL1は最も物体側Laに位置し、第6レンズL6は最も像側Lbに位置する。第2レンズL2と第3レンズL3との間には遮光板L7が配置され、第3レンズL3と第4レンズL4との間には絞りL8が配置される。
【0021】
第1レンズL1および第4レンズL4はガラスレンズである。第1レンズL1は、物体側Laに凸の物体側レンズ面11と、物体側Laに凹の像側レンズ面12と、像側レンズ面12の外周側を囲む像側フランジ面13と、像側フランジ面13の外周側で物体側Laに凹む環状段部14とを備える。像側フランジ面13は、光軸Lに対して垂直な環状の平坦面である。環状段部14には、Oリング7が配置される。
【0022】
第4レンズL4は、枠状のホルダ5に固定された状態でレンズホルダ2の内側に配置される。第2レンズL2、第3レンズL3、第5レンズL5、第6レンズL6はプラスチックレンズである。第6レンズL6と第5レンズL5とは、接合レンズL9を構成している。なお、レンズホルダ2に保持されるレンズの数および構成は、上記の数および構成に限定されるものではない。
【0023】
(レンズホルダ)
レンズホルダ2は樹脂製である。レンズホルダ2は、第1レンズL1を保持する第1収容部21と、第1収容部21の像側Lbに配置される第2収容部22と、第2収容部22の外周側を囲むレンズケース23を備える。レンズケース23は、第1収容部21の外周端部から像側Lbへ延びている。第2収容部22には、第2レンズL2、第3レンズL3、第4レンズL4、および接合レンズL9が保持される。
【0024】
レンズホルダ2には、第1収容部21の内周面を基準として第1レンズL1が配置され
る。また、第2収容部22の内周面を基準として第2レンズL2、第3レンズL3、第4レンズL4、および接合レンズL9が配置される。
【0025】
第1収容部21は、La方向を向く環状の底部24と、第1レンズL1を囲う周壁部25とを備える。第1レンズL1は、第1収容部21に収容されて、周壁部25の先端に設けられたカシメ部27によって固定される。第1レンズL1と第1収容部21との隙間は、Oリング7によって封止される。
【0026】
第2収容部22は、第1収容部21の底部24に繋がる筒部28と、光軸L方向に延びる筒部28の像側Lbの端部に設けられた底部29を備える。第2レンズL2、第3レンズL3、第4レンズL4、および接合レンズL9は、第2収容部22の底部29に形成されたレンズ座面29aを基準として光軸L方向に位置決めされる。
【0027】
接合レンズL9は、第5レンズL5の外周部分がレンズ座面29aに当接することによって光軸L方向に位置決めされている。接合レンズL9の物体側Laに位置する第4レンズL4は、ホルダ5に保持されており、ホルダ5は第5レンズL5の外周部分と光軸L方向に当接する。また、第4レンズL4の物体側Laに位置する第3レンズL3の外周部分は、絞りL8を介してホルダ5の外周部分と光軸L方向に当接する。さらに、第3レンズL3の物体側Laに位置する第2レンズL2の外周部分は、遮光板L7を介して第3レンズL3の外周部分と光軸L方向に当接する。したがって、第2レンズL2、第3レンズL3、第4レンズL4は、いずれも、レンズ座面29aを基準として光軸L方向に位置決めされる。第2レンズL2は、筒部28の物体側Laの端部に設けられたカシメ部28aによってカシメ固定される。
【0028】
また、レンズホルダ2は、第1収容部21の底部24を光軸L方向に貫通する貫通穴26を備える。貫通穴26は、第2収容部22の筒部28とレンズケース23との隙間に連通している。後述するように、フレキシブルプリント基板3は、貫通穴26に挿入され、レンズケース23の内周面と筒部28の外周面との隙間を通って、レンズホルダ2の像側Lbに引き出される。なお、貫通穴26の数、大きさおよび位置は、フレキシブルプリント基板3の形状に応じて構成される。
【0029】
(フレキシブルプリント基板)
(第1実施形態)
図3は、第1実施形態に係るフレキシブルプリント基板3の平面図である。図1に示すように、フレキシブルプリント基板3は、第1レンズL1と第2レンズL2との間に配置されている。図3に示すように、フレキシブルプリント基板3には、ヒータ部6と、ヒータ部6に電気的に接続して、ヒータ部6に給電するため給電配線8とが配置される。
【0030】
図2図3に示すように、フレキシブルプリント基板3は、像側フランジ面13に像側Lbに重なる環状の環状部31と、環状部31から径方向外側に直線状に延びた延伸部32とを備える。環状部31は、像側フランジ面13に接している。環状部31の中央部には、第2レンズL2のレンズ面が露出するように、開口穴33が形成されている。環状部31は、第1収容部21の底部24と第1レンズL1の像側フランジ面13とに挟まれた状態で配置されている。
【0031】
図2に示すように、延伸部32は、環状部31に対して直角に折り曲げられ、貫通穴26に挿入される。貫通穴26に挿入された延伸部32は、レンズケース23の内周面と筒部28の外周面との隙間を通って、レンズホルダ2の像側Lbに引き出される。
【0032】
フレキシブルプリント基板3には導電体層9が設けられており、導電体層9は、ヒータ
部6および給電配線8を含む。ヒータ部6は、環状部31に配置される。ヒータ部6は、開口穴33の周囲に沿って周方向に円弧状に延びている。給電配線8は、延伸部32に配置されている。給電配線8は、ヒータ部6の一端と接続する第1給電配線81と、ヒータ部6の他端と接続する第2給電配線82とを備える。第1給電配線81と第2給電配線82の一方は正の電極に接続され、第1給電配線81と第2給電配線82の他方は負の電極に接続される。
【0033】
フレキシブルプリント基板3は、ポリイミドなどの樹脂フィルムからなる可撓性基板30を備えており、可撓性基板30の表面にCuなどの導電体層9によってヒータ部6および給電配線8が形成される。可撓性基板30の表面には、ヒータ部6および給電配線8を覆うオーバーコート層が形成される。フレキシブルプリント基板3の環状部31の厚みは、均一である。本形態において、ヒータ部6の線幅は、光軸L方向から見た場合、第1給電配線81および第2給電配線82の線幅より広い。
【0034】
本形態では、光軸L方向におけるヒータ部6の厚みは、給電配線8の厚みより薄い。したがって、ヒータ部6の電気抵抗は、給電配線8の電気抵抗より大きい。ここで、ヒータ部6の厚みは、フレキシブルプリント基板3の製造時に調整される。具体的には、ヒータ部6の厚みと電気抵抗との関係、ヒータ部6の電気抵抗、ヒータ部6に供給される電圧とヒータ部6の発熱量との関係等を予め求めておき、レンズユニット1が使用される光学機器からヒータ部6に供給される電力とヒータ部6の所望の発熱量から、ヒータ部6の厚みを決定する。そして、フレキシブルプリント基板3の製造時に、決定されたヒータ部6の厚みとなるように、環状部31の可撓性基板30に導電体層9を配置する。
【0035】
フレキシブルプリント基板3は、上位の装置に電気的に接続されており、上位の装置基板から第1給電配線81および第2給電配線82に電力が供給されると、ヒータ部6が発熱する。ヒータ部6が発熱すると、環状部31と当接する第1レンズL1が加熱される。したがって、低い外気温下でレンズユニットを使用する場合において、ヒータ部6により第1レンズL1が加熱されるので、第1レンズL1の像側レンズ面12が結露することを抑制することができる。
【0036】
(本形態の作用効果)
本形態では、ヒータ部6の電気抵抗が給電配線8の電気抵抗より大きい。したがって、給電配線8に印加される電圧等の仕様が変更になった場合、電気抵抗が大きいヒータ部6の抵抗を調整すれば、ヒータ部6および給電配線8を含む導電体層9全体に流れる電流値を容易に変更することができる。したがって、ヒータ部6の発熱量を容易に変更することが可能である。また、電気抵抗が大きい部分がヒータ部6であるので、ヒータ部6の発熱量を調整しやすい。それ故、導電体層9の全体の構成を変更しなくても、ヒータとしての仕様変更を容易に行うことができる。
【0037】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態のフレキシブルプリント基板3について説明する。図4は、第2実施形態に係るフレキシブルプリント基板3の平面図である。なお、第1実施形態と同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する場合がある。
【0038】
図4に示すように、フレキシブルプリント基板3は、像側フランジ面13と当接する環状の環状部31と、環状部31から径方向外側に延びる延伸部32とを備える。環状部31の中央部には、第2レンズL2のレンズ面が露出するように、開口穴33が形成されている。環状部31は、第1収容部21の底部24と第1レンズL1の像側フランジ面13とに挟まれた状態で配置されている。
【0039】
ヒータ部6は、環状部31に配置される。ヒータ部6は、開口穴33の周囲に沿って周方向に円弧状に延びている。給電配線8は、延伸部32に配置されている。給電配線8は、ヒータ部6の一端と接続する第1給電配線81と、ヒータ部6の他端と接続する第2給電配線82とを備える。第1給電配線81と第2給電配線82の一方は正の電極に接続され、第1給電配線81と第2給電配線82の他方は負の電極に接続される。
【0040】
ヒータ部6は、給電配線8の厚みより薄い第1部分61と、給電配線8の厚みと同じ第2部分62とを備える。第1部分61と第2部分62とは、周方向に配列されている。本形態では、第1部分61と第2部分62とは、それぞれ4つ設けられている。4つの第1部分61の厚みは、等しい。4つの第2部分62の厚みは、等しい。また、第1部分61および第2部分62の周方向の長さは、それぞれ等しい。したがって、ヒータ部6は、第1部分61を備えるので、ヒータ部6の電気抵抗は、給電配線8の電気抵抗より大きい。なお、第1部分61および第2部分62の数は、上記の数に限定されるものではない。第1実施形態と同様に、ヒータ部6が所望の発熱量となるように、フレキシブルプリント基板3の製造時に、ヒータ部6の第1部分61の厚み、第1部分61および第2部分62の数は、調整される。したがって、ヒータ部6の電気抵抗を調整しやすい。
【0041】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態のフレキシブルプリント基板3について説明する。図5は、第3実施形態に係るフレキシブルプリント基板3の平面図である。なお、第1実施形態と同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する場合がある。
【0042】
ヒータ部6は、環状部31に配置される。ヒータ部6は、開口穴33の周囲に沿って周方向に円弧状に延びている。給電配線8は、延伸部32に配置されている。給電配線8は、ヒータ部6の一端と接続する第1給電配線81と、ヒータ部6の他端と接続する第2給電配線82とを備える。第1給電配線81と第2給電配線82の一方は正の電極に接続され、第1給電配線81と第2給電配線82の他方は負の電極に接続される。
【0043】
ヒータ部6は、給電配線8の厚みより薄い第1部分61と、給電配線8の厚みと同じ第2部分62と、を備える。第1部分61と第2部分62とは、周方向に配列されている。第1部分61は、4つ設けられ、第2部分62は、6つ設けられている。4つ第1部分61の厚みは、等しい。6つの第2部分62の厚みは、等しい。
【0044】
本形態では、複数の第1部分61のうち、給電配線8と電気的に接続した接続部分67から最も離れた位置に配置された第1部分61の周方向の長さは、他の第1部分61の周方向の長さより長い。具体的には、給電配線8と電気的に接続した接続部分67から最も離れた位置に配置された第1部分61aは、他の第1部分61b、61cより、周方向の長さが長い。また、第1部分61bは、第1部分61cより周方向の長さが長い。したがって、第1部分61aの電気抵抗は、他の第1部分61b、61cの電気抵抗より大きいので、第1部分61aにおける発熱量は、他の第1部分61b、61cにおける発熱量より大きい。
【0045】
第2実施形態と同様に、ヒータ部6が所望の発熱量となるように、フレキシブルプリント基板3の製造時に、ヒータ部6の第1部分61の厚み、第1部分61の周方向の長さ、第1部分61および第2部分62の数は、調整される。したがって、ヒータ部6の厚みを調整することによって、ヒータ部6での発熱量を調整することが容易である。また、第1部分61aの発熱量を、他の第1部分61b、61cの発熱量より大きくすることが可能であるので、ヒータ部6を均一に加熱させることができる。この結果、第1レンズL1に発生する結露をより効率的に除去することが可能となる。
【0046】
(第4実施形態)
次に、第4実施形態のフレキシブルプリント基板3について説明する。図6は、第4実施形態に係るフレキシブルプリント基板3の平面図である。なお、第1実施形態と同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する場合がある。
【0047】
ヒータ部6は、環状部31に配置される。ヒータ部6は、開口穴33の周囲に沿って周方向に円弧状に延びている。給電配線8は、延伸部32に配置されている。給電配線8は、ヒータ部6の一端と接続する第1給電配線81と、ヒータ部6の他端と接続する第2給電配線82とを備える。第1給電配線81と第2給電配線82の一方は正の電極に接続され、第1給電配線81と第2給電配線82の他方は負の電極に接続される。
【0048】
ヒータ部6の厚みは、給電配線8の厚みより薄く、給電配線8と電気的に接続した接続部分67から周方向に離れるに従って薄くなる。具体的には、ヒータ部6の厚みは、給電配線8と電気的に接続した接続部分67から、光軸Lを中心として接続部分67と反対側に位置する反対部分66に向かって薄くなる。すなわち、ヒータ部6の反対部分66の厚みが最も薄い。したがって、ヒータ部6の電気抵抗は、接続部分67から反対部分66に向かって大きくなるので、反対部分66における発熱量は、他の部分における発熱量より大きい。また、ヒータ部6の厚みを調整することによって、ヒータ部6での発熱量を調整することが容易である。また、反対部分66における発熱量を、他の部分の発熱量大きくすることが可能であるので、ヒータ部6を均一に加熱させることができる。この結果、第1レンズL1に発生する結露をより効率的に除去することが可能となる。
【0049】
(第5実施形態)
次に、第5実施形態のフレキシブルプリント基板3について説明する。図7は、第5実施形態に係るフレキシブルプリント基板3の平面図である。なお、第1実施形態と同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する場合がある。
【0050】
ヒータ部6は、環状部31に配置される。ヒータ部6は、開口穴33の周囲に沿って周方向に円弧状に延びている。給電配線8は、延伸部32に配置されている。ヒータ部6の一端と接続する第1給電配線81と、ヒータ部6の他端と接続する第2給電配線82とを備える。第1給電配線81と第2給電配線82の一方は正の電極に接続され、第1給電配線81と第2給電配線82の他方は負の電極に接続される。本形態では、ヒータ部6の厚みは、給電配線8の厚みと等しい。
【0051】
ヒータ部6は、複数の孔部68を備える。本形態では、孔部68は、均一に設けられている。また、孔部68の大きさは、それぞれ等し。したがって、ヒータ部6は、複数の孔部68を備えることによって、ヒータ部6の電気抵抗は、給電配線8の電気抵抗より大きい。
【0052】
上記の実施形態と同様に、ヒータ部6が所望の発熱量となるように、フレキシブルプリント基板3の製造時に、ヒータ部6に形成される孔部68の数や大きさは調整される。したがって、ヒータ部6に複数の孔部68を設けるだけで、ヒータ部6の電気抵抗を給電配線8の電気抵抗より大きくすることが容易である。この結果、ヒータ部6での発熱量を調整することが容易である。
【0053】
(第6実施形態)
次に、第6実施形態のフレキシブルプリント基板3について説明する。図8は、第6実施形態に係るフレキシブルプリント基板3の平面図である。なお、第1実施形態と同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する場合がある。
【0054】
本形態では、ヒータ部6に形成される複数の孔部68が均一に形成されない点を除いて、第5実施形態と同一である。本形態では、複数の孔部68は、給電配線8と電気的に接続した接続部分67から周方向に離れるに従って多くなるように設けられている。すなわち、ヒータ部6の反対部分66には、最も多くの孔部68が形成されている。したがって、ヒータ部6の電気抵抗は、接続部分67から反対部分66に向かって大きくなるので、反対部分66における発熱量は、他の部分における発熱量より大きい。
【0055】
上記の実施形態と同様に、ヒータ部6が所望の発熱量となるように、フレキシブルプリント基板3の製造時に、ヒータ部6に形成される孔部68の数や大きさは調整される。本形態では、反対部分66における発熱量を、他の部分の発熱量大きくすることが可能であるので、ヒータ部6を均一に加熱させることができる。この結果、第1レンズL1に発生する結露をより効率的に除去することが可能となる。
【0056】
(他の実施形態)
次に、他の実施形態のフレキシブルプリント基板3について説明する。上記の第3実施形態および第4実施形態では、複数の第1部分61の厚みは、それぞれ等しく構成されていたが、異なるように構成してもよい。例えば、接続部分67から最も離れた位置に配置された第1部分61の厚みが最も薄くなるように構成してもよい。
【0057】
(ヒータ部の変形例)
上記構成では、ヒータ部6の線幅は、光軸L方向から見た場合、第1給電配線81および第2給電配線82の線幅より広く構成されていたが、ヒータ部6の形状は、これに限定されない。図9に示すように、ヒータ部6は、周方向に複数回折り返されたヒータ線60(線状部分)からなるように構成してもよい。すなわち、上記の第1実施形態から第6実施形態において、ヒータ部6は、周方向に複数回折り返されたヒータ線60を採用してもよい。
【符号の説明】
【0058】
1…レンズユニット、2…レンズホルダ、3…フレキシブルプリント基板、5…ホルダ、5…第、6…ヒータ部、7…Oリング、8…給電配線、9…導電体層、11…物体側レンズ面、12…像側レンズ面、13…像側フランジ面、14…環状段部、21…第1収容部、22…第2収容部、23…レンズケース、24…底部、25…周壁部、26…貫通穴、27…カシメ部、28…筒部、28a…カシメ部、29…底部、29a…レンズ座面、30…可撓性基板、31…環状部、32…延伸部、33…開口穴、60…ヒータ線、61,61a,61b,61c…第1部分、62…第2部分、66…反対部分、67…接続部分、68…孔部、81…第1給電配線、82…第2給電配線、L1…第1レンズ、L2…第2レンズ、L3…第3レンズ、L4…第4レンズ、L5…第5レンズ、L6…第6レンズ、L7…遮光板、L9…接合レンズ、L…光軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9