(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023060333
(43)【公開日】2023-04-27
(54)【発明の名称】振動制御装置、振動制御方法、振動制御プログラム、及び記憶媒体
(51)【国際特許分類】
H04R 3/00 20060101AFI20230420BHJP
【FI】
H04R3/00 310
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023037342
(22)【出願日】2023-03-10
(62)【分割の表示】P 2020550283の分割
【原出願日】2019-09-19
(31)【優先権主張番号】P 2018188004
(32)【優先日】2018-10-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000005016
【氏名又は名称】パイオニア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】磯崎 賢太
(72)【発明者】
【氏名】森重 隆司
(72)【発明者】
【氏名】安士 光男
(57)【要約】
【課題】再生中の音楽に応じつつも、その内容に依らず所望の覚醒効果および/またはリラックス効果が得られる振動を発生させる。
【解決手段】再生中の音楽に応じた振動を発生させてユーザに刺激を与える振動装置120を制御する振動制御装置110が、刺激の強度が所定の刺激強度範囲に収まる振動を表す振動信号を取得する振動信号取得部111と、振動信号取得部111で取得された振動信号を振動装置120に出力する出力部112と、を備えたことを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
再生中の音楽に応じた振動を発生させてユーザに刺激を与える振動装置を制御する振動制御装置であって、
前記刺激の強度が所定の刺激強度範囲に収まる前記振動を表す振動信号を取得する振動信号取得部と、
前記振動信号取得部で取得された前記振動信号を前記振動装置に出力する出力部と、
を備えたことを特徴とする振動制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動装置を制御する振動制御装置、振動制御方法、振動制御プログラム、及び記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、移動体のシートに内蔵させた振動装置を、オーディオ装置で再生されている音楽に応じて振動させてユーザに体感させる技術が知られている(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1に記載の技術では、再生されている音楽の低周波成分を増幅した信号で振動装置を振動させるように構成されている。このような振動を発生させて音楽に体感を伴わせることで娯楽性を高めることができる。その上に、振動を刺激としてユーザに体感させることで、眠気を催したユーザを覚醒させる効果や、あるいは逆に興奮したユーザをリラックスさせる効果を得ることもできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した技術では、再生中の音楽に応じた振動を発生させるため、その音楽の内容によっては意図するような覚醒効果および/またはリラックス効果を得難い場合がある。
【0005】
したがって、本発明の課題は、再生中の音楽に応じつつも、その内容に依らず所望の覚醒効果および/またはリラックス効果が得られる振動を発生させることができる振動制御装置、振動制御方法、振動制御プログラム、及び記憶媒体を提供すること等が一例として挙げられる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述した課題を解決し目的を達成するために、本発明の振動制御装置は、再生中の音楽に応じた振動を発生させてユーザに刺激を与える振動装置を制御する振動制御装置であって、前記刺激の強度が所定の刺激強度範囲に収まる前記振動を表す振動信号を取得する振動信号取得部と、前記振動信号取得部で取得された前記振動信号を前記振動装置に出力する出力部と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
また、前述した課題を解決し目的を達成するために、本発明の振動制御方法は、再生中の音楽に応じた振動を発生させてユーザに刺激を与える振動装置を制御する振動制御方法であって、前記刺激の強度が所定の刺激強度範囲に収まる前記振動を表す振動信号を取得する振動信号取得工程と、前記振動信号取得工程で取得された前記振動信号を前記振動装置に出力する出力工程と、を備えたことを特徴とする。
【0008】
また、前述した課題を解決し目的を達成するために、本発明の振動制御プログラムは、上述した本発明の振動制御方法をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0009】
また、前述した課題を解決し目的を達成するために、本発明の記憶媒体は、上述した本発明の振動制御プログラムを記憶したことを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】移動体に搭載された、第1実施例に係る振動制御装置を示す模式的なブロック図である。
【
図2】
図1に示されている振動制御装置で実行される振動制御方法の処理の流れを表すフローチャートである。
【
図3】移動体に搭載された、第2実施例に係る振動制御装置を示す模式的なブロック図である。
【
図4】
図3に示されている音楽/振動対応データのデータ構造をテーブル形式で示す模式図である。
【
図5】
図3に示されている振動制御装置で実行される振動制御方法の処理の流れを表すフローチャートである。
【
図6】移動体に搭載された、第3実施例に係る振動制御装置を示す模式的なブロック図である。
【
図7】
図6に示されている地図データが有するデータ構造をテーブル形式で示す模式図である。
【
図8】
図7にテーブル形式で示されているデータ構造を地図形式で示す模式図である。
【
図9】
図6に示されている振動制御装置で実行される振動制御方法の処理の流れを表すフローチャートである。
【
図10】
図7及び
図8に示されている地図データのデータ構造に対する変形例のテータ構造をテーブル形式で示す模式図である。
【
図11】
図10にテーブル形式で示されているデータ構造を地図形式で示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を説明する。本発明の実施形態に係る振動制御装置は、再生中の音楽に応じた振動を発生させてユーザに刺激を与える振動装置を制御する振動制御装置であって、振動信号取得部と、出力部と、を備えている。振動信号取得部は、刺激の強度が所定の刺激強度範囲に収まる振動を表す振動信号を取得する。出力部は、振動信号取得部で取得された振動信号を振動装置に出力する。
【0012】
本実施形態の振動制御装置によれば、再生中の音楽に応じつつも、刺激の強度が所定の刺激強度範囲に収まる振動を表す振動信号が取得されて振動装置に出力される。このため、刺激強度範囲を、所望の覚醒効果および/またはリラックス効果が得られる所望の範囲に設定する等といった運用を行って、再生中の音楽の内容に依らず、そのような効果が得られる振動を振動装置に発生させることができる。このように、本実施形態の振動制御装置によれば、再生中の音楽に応じつつも、その内容に依らず所望の覚醒効果および/またはリラックス効果が得られる振動を発生させることができる。
【0013】
ここで、本実施形態では、振動信号取得部が、振動周波数が所定周波数範囲に収まる振動を表す信号を、振動信号として取得する。
【0014】
振動を刺激としてユーザに体感させる場合、覚醒効果および/またはリラックス効果をもたらすのに適した周波数範囲の一例として20Hz~200Hzの周波数範囲が挙げられる。本実施形態によれば、振動信号取得部で取得される振動信号が表す振動の振動周波数を、このような周波数範囲に抑えて、覚醒効果および/またはリラックス効果が適切に得られる振動を発生させることができる。
【0015】
また、本実施形態では、振動信号取得部が、音楽のテンポ、及び、音楽に含まれるコードを構成する音の周波数、の少なくとも一方に応じた振動を表す信号を、振動信号として
取得する。
【0016】
本実施形態によれば、振動信号取得部で取得される振動信号の振動が、再生中の音楽のテンポや、コードを構成する音の周波数に応じたものとなるため、振動装置で発生させた振動が再生中の音楽の趣を損ない難い。このように、本実施形態によれば、覚醒効果および/またはリラックス効果を得るための振動を、再生中の音楽の趣を損なわずに発生させることができる。
【0017】
また、本実施形態では、振動信号取得部が、音楽のテンポに応じる振動であって、当該振動の発生頻度が刺激強度範囲としての所定の頻度範囲に収まる振動を表す信号を、振動信号として取得する。
【0018】
再生中の音楽のテンポに準じて決まる振動の発生頻度は、一方で、振動が与える刺激の強度を示す指標として採用することができる。本実施形態によれば、発生頻度がこのような指標として採用されており、刺激強度範囲が頻度範囲として具体的に設定されるので、所望の覚醒効果および/またはリラックス効果が得られる振動を効果的に発生させることができる。
【0019】
また、本実施形態では、振動信号取得部が、音楽のコードを構成する音の周波数に応じる振動を表す信号を、振動信号として取得する。
【0020】
本実施形態によれば、音楽のコードを構成する音の周波数に応じる振動を発生させることで、覚醒効果および/またはリラックス効果を得るための振動を、再生中の音楽の趣を損なわずに発生させることができる。
【0021】
また、本実施形態では、振動信号取得部が、振動の振動量が、刺激強度範囲としての所定の振動量範囲に収まる振動を表す信号を、振動信号として取得する。
【0022】
振動の振動量は、その振動が与える刺激の強度を示す指標として採用することができる。本実施形態によれば、振動量がこのような指標として採用されており、刺激強度範囲が振動量範囲として具体的に設定されるので、所望の覚醒効果および/またはリラックス効果が得られる振動を効果的に発生させることができる。
【0023】
また、本実施形態の振動制御装置は、ユーザの操作を受けて、刺激強度範囲を設定する第1設定部を備えている。そして、振動信号取得部は、刺激の強度が、第1設定部で設定された刺激強度範囲に収まる振動を表す信号を、振動信号として取得する。
【0024】
本実施形態によれば、第1設定部を介してユーザが刺激強度範囲、つまりは振動によって与えられる刺激の強度を自分の望む強度に調整することができる。これにより、所望の覚醒効果および/またはリラックス効果が得られる振動を効果的に発生させることができる。
【0025】
また、本実施形態の振動制御装置は、生体情報取得部と、第2設定部と、を備えている。生体情報取得部は、ユーザの生体状態を表す生体情報を取得する。第2設定部は、生体情報取得部で取得された生体情報に基づいて、刺激強度範囲を設定する。そして、振動信号取得部は、刺激の強度が、第2設定部で設定された刺激強度範囲に収まる振動を表す信号を、振動信号として取得する。
【0026】
本実施形態によれば、生体状態に応じた適正な刺激がユーザに与えられることとなるので、所望の覚醒効果および/またはリラックス効果が適正に得られる振動を発生させるこ
とができる。
【0027】
また、本実施形態の振動制御装置は、検出部と、生成部と、を備えている。検出部は、音楽から、その音楽のテンポ、及び、その音楽に含まれるコードを構成する音の周波数、の少なくとも一方を音楽要素として検出する。生成部は、検出部で検出された音楽要素に基づいて振動信号を生成する。そして、振動信号取得部が、生成部で生成された振動信号を取得する。
【0028】
本実施形態によれば、再生中の音楽から検出された音楽要素に基づいて振動信号を生成することで、覚醒効果および/またはリラックス効果を得るための振動を、再生中の音楽の趣を一層損なわずに発生させることができる。
【0029】
また、本発明の実施形態に係る振動制御方法は、再生中の音楽に応じた振動を発生させてユーザに刺激を与える振動装置を制御する振動制御方法であって、振動信号取得工程と、出力工程と、を備えている。振動信号取得工程は、刺激の強度が所定の刺激強度範囲に収まる振動を表す振動信号を取得する工程である。出力工程は、振動信号取得工程で取得された前記振動信号を前記振動装置に出力する工程である。
【0030】
本実施形態の振動制御方法によれば、再生中の音楽に応じつつも、刺激の強度が所定の刺激強度範囲に収まる振動を表す振動信号が取得されて振動装置に出力される。このため、刺激強度範囲を、所望の覚醒効果および/またはリラックス効果が得られる所望の範囲に設定する等といった運用を行って、再生中の音楽の内容に依らず、そのような効果が得られる振動を振動装置に発生させることができる。このように、本実施形態の振動制御方法によれば、再生中の音楽に応じつつも、その内容に依らず所望の覚醒効果および/またはリラックス効果が得られる振動を発生させることができる。
【0031】
また、本発明の実施形態に係る振動制御プログラムは、上述の振動制御方法をコンピュータに実行させるプログラムである。
【0032】
本実施形態の振動制御プログラムによれば、上述の振動制御方法をコンピュータに実行させることで、再生中の音楽に応じつつも、その内容に依らず所望の覚醒効果および/またはリラックス効果が得られる振動を発生させることができる。
【0033】
また、本発明の実施形態に係る記憶媒体は、上述の振動制御プログラムを記憶したものとなっている。
【0034】
本実施形態の記憶媒体によれば、記憶されている振動制御プログラムによって上述の振動制御方法をコンピュータに実行させることで、再生中の音楽に応じつつも、その内容に依らず所望の覚醒効果および/またはリラックス効果が得られる振動を発生させることができる。
【実施例0035】
以下、再生中の音楽に応じつつも、その内容に依らず所望の覚醒効果および/またはリラックス効果が得られる振動を発生させるという課題を解決するための実施例について図を参照して具体的に説明する。まず、第1実施例について説明する。
【0036】
図1は、移動体に搭載された、第1実施例に係る振動制御装置を示す模式的なブロック図である。
【0037】
本実施例では、移動体が乗用車であって、振動制御装置110、振動装置120、及び
カーステレオ130が搭載されている。
【0038】
カーステレオ130は、移動体の内部で音楽を再生させるものであり、音楽情報出力部131と車両スピーカ132とを備えている。音楽情報出力部131は、例えばCD(compact disc)等の媒体から、あるいは無線通信を介してネットワークから取得された音楽情報を車両スピーカ132に出力する。車両スピーカ132は、その音楽情報が表す音楽を発生させる。このとき、本実施例では、音楽情報出力部131は、再生中の音楽を表す音楽情報を振動制御装置110にも出力する。このとき、振動制御装置110に出力する音楽情報は、MIDI(Musical Instrument Digital Interface)、I2S(Inter-IC Sound)等のデジタル情報であってもよく、アナログ情報であってもよい。
【0039】
振動装置120は、移動体のシート140における背部板141の中に埋設されて再生中の音楽に応じた振動を発生させてユーザに刺激を与える装置である。この振動装置120は、振動制御装置110から、振動を表す振動信号を受け取り、その振動信号が表す振動を発生させる。この振動装置120は、基本的にはカーステレオ130での音楽再生と同時に電源がオンし、カーステレオ130で音楽再生が終了すると電源がオフする。また、音楽再生中に後述の操作入力部113を介してユーザからオン/オフが指示されると、その指示に応じて電源がオン/オフする。
【0040】
振動制御装置110は、上記の振動信号を出力することで振動装置120を制御するものであり、移動体に搭載された何らかのコンピュータに構築されている。振動制御装置110は、振動信号取得部111、出力部112、操作入力部113、第1設定部114、生体情報取得部115、第2設定部116、検出部117、及び生成部118を備えている。
【0041】
振動信号取得部111は、発生させる刺激の強度が所定の刺激強度範囲に収まる振動を表す振動信号を取得する。本実施例では、この振動信号は、振動制御装置110において内部生成され、振動信号取得部111は、その内部生成された振動信号を取得する。
【0042】
出力部112は、振動信号取得部111で取得された振動信号を振動装置120に出力する。
【0043】
操作入力部113は、振動装置120のオン/オフや、振動装置120が発する振動の刺激の強度の増減について、ユーザから操作を受ける。操作入力部113で振動装置120のオフが指示された場合には、出力部112が振動装置120への振動信号の出力を停止して振動装置120の電源をオフする。また、音楽再生中に一旦電源が遮断された後、操作入力部113で振動装置120のオンが指示された場合には、出力部112が振動装置120の電源をオンして振動信号の出力を再開する。
【0044】
第1設定部114は、操作入力部113で受けた増減操作に応じて刺激強度範囲を設定する。ここで、振動信号取得部111は、再生中の音楽のテンポに応じた断続的な振動を表す振動信号を取得する。そして、本実施例では、単位時間当たりの振動の発生回数である発生頻度と、振動の振幅に当る振動量と、の2つが刺激の強度を示す指標として採用されている。このため、第1設定部114は、刺激強度範囲としての頻度範囲を設定する頻度範囲設定部114aと、刺激強度範囲としての振動量範囲を設定する振動量範囲設定部114bと、を備えている。
【0045】
第1設定部114における頻度範囲設定部114aは、操作入力部113で受けた増減操作に応じて頻度範囲をずらして調整をすることで頻度範囲の設定を行う。また、第1設定部114における振動量範囲設定部114bは、操作入力部113で受けた増減操作に
応じて振動量範囲をずらして調整をすることで振動量範囲の設定を行う。
【0046】
生体情報取得部115は、ユーザの生体状態を表す生体情報を取得する。具体的には、生体情報取得部115は、移動体の内部に設置された各種センサを用いて、ユーザの心拍、脳波、呼吸数、眼球運動、瞬き、視線方向等を監視する。そして、ユーザが、眠気を催している眠気状態、通常の覚醒状態、及び興奮状態、の何れの生体状態にあるかを検出して取得する。ここにいう覚醒状態は、興奮状態に対する鎮静状態に当る。
【0047】
第2設定部116は、生体情報取得部115で取得された生体状態に基づいて刺激強度範囲としての頻度範囲と振動量範囲とを設定するものであり、頻度範囲設定部116aと、振動量範囲設定部116bと、を備えている。
【0048】
第2設定部116における頻度範囲設定部116aは、取得された生体情報に応じて頻度範囲を設定する。生体情報が眠気状態の場合には、頻度範囲が、覚醒を促すために強めの刺激を与える多めの発生頻度に対応した覚醒頻度範囲に設定される。生体情報が覚醒状態の場合には、頻度範囲が、中程度の刺激を与えるノーマルな発生頻度に対応した通常頻度範囲に設定される。また、生体情報が興奮状態の場合には、頻度範囲が、リラックスさせるために弱めの刺激を与える少なめの発生頻度に対応したリラックス頻度範囲に設定される。
【0049】
第2設定部116における振動量範囲設定部116bは、取得された生体情報に応じて振動量範囲を設定する。生体情報が眠気状態の場合には、振動量範囲が、覚醒を促すために強めの刺激を与える大きめの振動量に対応した覚醒振動量範囲に設定される。生体情報が覚醒状態の場合には、振動量範囲が、中程度の刺激を与えるノーマルな振動量に対応した通常振動量範囲に設定される。また、生体情報が興奮状態の場合には、振動量範囲が、リラックスさせるために弱めの刺激を与える小さめの振動量に対応したリラックス振動量範囲に設定される。
【0050】
検出部117は、カーステレオ130の音楽情報出力部131から送られた音楽情報に基づいて、再生中の音楽から、その音楽のテンポ、その音楽のコードを構成する音の周波数、及び、その音楽における音の強弱、の3つの音楽要素を検出する。テンポの検出は、公知のBPM(Beats Per Minute)検出技術による。コードを構成する音の周波数の検出は、公知のコード解析技術による。音の強弱は、音楽情報から直接に取得する。
【0051】
生成部118は、検出部117で検出されたテンポ、コードを構成する音の周波数、及び音の強弱、という3つの音楽要素に基づいて振動信号を生成する。
【0052】
生成部は、まず、振動信号が表す振動の発生頻度をテンポに基づいて設定し、振動の周波数を、コードを構成する音の周波数に基づいて設定する。発生頻度については、テンポと同じ、又はその整数倍、あるいは整数分の1に設定する。また、振動量については、音楽情報が表す音の強弱に基づいて設定する。
【0053】
また、周波数については、生成部は、基本的にはコードを構成する音の周波数と同じ周波数に設定する。このとき、設定した周波数が、所定周波数範囲に収まるように周波数の調整が行われる。この周波数範囲として、本実施例では、覚醒効果および/またはリラックス効果をもたらすのに適した周波数範囲の一例として20Hz~200Hzの周波数範囲が設定されている。コードに基づいて設定した周波数がこの周波数範囲に収まっていない場合には、オクターブ変更等によりこの周波数範囲に収まるように周波数を調整する。尚、この調整は、変換用のLUT(Lookup table)を用いた周波数変換によって行うこととしてもよい。
【0054】
ここで、本実施例では、生成部118は、上記のように一旦設定した発生頻度を、第2設定部116で生体情報に基づいて設定された頻度範囲に収まるように増減調整する。また、第1設定部114でユーザ操作を受けて頻度範囲が調整されている場合には、その調整後の頻度範囲に収まるように、発生頻度を増減調整する。
【0055】
また、生成部118は、上記のように一旦設定した振動量を、第2設定部116で生体情報に基づいて設定された振動量範囲に収まるように増減調整する。第1設定部114でユーザ操作を受けて振動量範囲が調整されている場合には、その調整後の振動量範囲に収まるように、振動量を増減調整する。
【0056】
尚、ここでは生成部118による振動信号の生成を、再生中の音楽のテンポ、コードを構成する音の周波数、音の強弱に基づいて行なうこととしたが、これらに加えて、次のような音楽要素に基づいたアレンジを行った振動信号を生成するようにしてもよい。アレンジ用の音楽要素としては、音色、一音の長さ、音圧レベル変動、音の立ち上りの速さ(アタック感)等が挙げられる。
【0057】
振動信号取得部111は、生成部118でこのように生成された振動信号を取得し、出力部112が、その取得された振動信号を振動装置120に出力する。
【0058】
図2は、
図1に示されている振動制御装置で実行される振動制御方法の処理の流れを表すフローチャートである。
【0059】
このフローチャートが表す処理は、カーステレオ130で音楽の再生が始まり、振動制御装置110に音楽情報が送られてくるとスタートする。
【0060】
処理がスタートすると、まず、生成部118が、音楽の再生開始後に操作入力部113に対して振動装置120の電源についてオン/オフ操作がなされたか否か判断する(ステップS101)。特に操作が行われていない、又はオン操作が行われた、という場合(ステップS101のオン判定)、出力部112が、この時点で振動装置120の電源がオフ状態であればオンする(ステップS102)。尚、ステップS102では、この時点で振動装置120の電源がオン状態にある場合には、特に処理は行わず次のステップS104に進む。
【0061】
他方、オフ操作が行われた場合(ステップS101におけるオフ判定)、出力部112が、この時点で振動装置120の電源がオン状態であればオフし(ステップS103)、ステップS101の処理に戻る。尚、ステップS103では、この時点で振動装置120の電源がオフ状態にある場合には、特に処理は行わずステップS101の処理に戻る。
【0062】
ステップS102を経てステップS104に処理が進むと、このステップS104において、検出部117が、カーステレオ130の音楽情報出力部131から、再生中の音楽の一小節分の音楽情報を取得する。続いて、検出部117は、取得した音楽情報に基づいて、テンポ、コードを構成する音の周波数、及び音の強弱、を検出する(ステップS105)。
【0063】
また、生体情報取得部115が、ユーザの生体状態が、眠気状態と、通常の覚醒状態と、興奮状態と、の何れにあるかを表す生体情報を取得する(ステップS106)。
【0064】
次に、第2設定部116が、取得された生体情報が表す生体状態が、眠気状態と、覚醒状態と、興奮状態と、の何れであるかを判断する(ステップS107)。
【0065】
生体状態が眠気状態である場合(ステップS107の眠気判定)、第2設定部116の頻度範囲設定部116aが頻度範囲を覚醒頻度範囲に設定する(ステップS108)。また、振動量囲設定部116bが振動量範囲を覚醒振動量範囲に設定する(ステップS109)。
【0066】
生体状態が覚醒状態である場合(ステップS107の覚醒判定)、第2設定部116の頻度範囲設定部116aが頻度範囲を通常頻度範囲に設定する(ステップS110)。また、振動量囲設定部116bが振動量範囲を通常振動量範囲に設定する(ステップS111)。
【0067】
生体状態が興奮状態である場合(ステップS107の興奮判定)、第2設定部116の頻度範囲設定部116aが頻度範囲をリラックス頻度範囲に設定する(ステップS112)。また、振動量囲設定部116bが振動量範囲をリラックス振動量範囲に設定する(ステップS113)。
【0068】
このようにして頻度範囲と振動量範囲とが設定されると、次に、生成部118が、音楽の再生開始後に操作入力部113に対して刺激の強度の調整操作がなされたか否か判断する(ステップS114)。
【0069】
調整操作があった場合(ステップS114のYes判定)、設定された頻度範囲を第1設定部114の頻度範囲設定部114aが操作量に応じて増減調整する(ステップS115)。また、設定された振動量範囲を振動量囲設定部114bが振動量範囲を操作量に応じて増減調整する(ステップS116)。
【0070】
調整操作が無い場合(ステップS114のNo判定)には、ステップS115及びステップS116を省略して、処理が次のステップS117に進む。
【0071】
ステップS117では、ここまでの処理で得られたテンポ、コードを構成する音の周波数、音の強弱、頻度範囲、及び振動量範囲、に基づいて、生成部118が、一小節分の音楽情報に対応した振動信号を生成する。即ち、発生頻度が、その一小節のテンポに応じつつ頻度範囲に収まり、周波数が、その一小節のコードに応じつつ20Hz~200Hzの周波数範囲に収まり、振動量が、その一小節の音の強弱に応じつつ振動量範囲に収まる振動を表した振動信号が生成される。
【0072】
このようにして生成された一小節分の振動信号を振動信号取得部111が取得し(ステップS118)、出力部112が振動装置120に出力する(ステップS119)。その後、処理がステップS101に戻って以降の処理が繰り返される。尚、実施例では、再生中の音楽の音楽情報を一小節単位で取得し、対応する振動信号を一小節単位で生成する例で説明しているが、処理の区切りは一小節単位に限定されるものではなく、任意の単位で処理が行われてよい。例えば、単位時間分の音楽情報を取得し、単位時間区切りで対応する振動信号を生成するようにしてもよい。
【0073】
このフローチャートの処理が、カーステレオ130での音楽再生が終了するまで続けられる。
【0074】
本実施例では、
図2にフローチャートで表された振動制御方法をコンピュータにより実行させる振動制御プログラムが、移動体に搭載された何らかのコンピュータの記憶媒体に記憶されている。また、この振動制御プログラムを記憶する記憶媒体は、移動体に搭載された何らかのコンピュータの記憶媒体に限らず、公知の可搬記憶媒体や、ネットワークを
介してこのコンピュータに接続されるサーバに設置された記憶媒体であってもよい。
【0075】
以上に説明した第1実施例の振動制御装置110、振動制御方法、振動制御プログラム、及び記憶媒体によれば、次のような効果を得ることができる。
【0076】
本実施例によれば、再生中の音楽に応じつつも、刺激の強度が所定の刺激強度範囲に収まる振動を表す振動信号が取得されて振動装置120に出力される。このため、刺激強度範囲を、所望の覚醒効果および/またはリラックス効果が得られる所望の範囲に設定する等といった運用を行って、再生中の音楽の内容に依らず、そのような効果が得られる振動を振動装置120に発生させることができる。このように、本実施例の振動制御装置110によれば、再生中の音楽に応じつつも、その内容に依らず所望の覚醒効果および/またはリラックス効果が得られる振動を発生させることができる。
【0077】
尚、本実施例では、移動体に搭載された振動装置120や振動制御装置110が例示されているが、振動装置120や振動制御装置110の設置場所は移動体に限るものではない。振動装置120や振動制御装置110は、ユーザに振動による刺激を与え得る場所であれば、例えば映画館や一般住居に置かれたシートに設置されるものであってもよく、設置場所については任意に設定し得る。
【0078】
また、移動体に搭載する場合においても、振動装置120の設置位置は、本実施例のようにシート140における背部板141の中に限るものではなく、ユーザに刺激を与え得る位置であれば任意に設定し得る。
【0079】
ここで、本実施例では、振動信号取得部111が、振動周波数が20Hz~200Hzの周波数範囲に収まる振動を表す信号を、振動信号として取得する。
【0080】
振動を刺激としてユーザに体感させる場合、覚醒効果および/またはリラックス効果をもたらすのに適した周波数範囲の一例として上記の20Hz~200Hzの周波数範囲が挙げられる。これは、20Hzより低い周波数の振動は人間の内臓に響いてしまい、200Hzより高い周波数の振動は人間がこそばゆさを感じてしまい、それぞれ不快感が比較的高くなるからである。本実施例によれば、振動信号取得部111で取得される振動信号が表す振動の振動周波数を、このような周波数範囲に抑えて、覚醒効果および/またはリラックス効果が適切に得られる振動を発生させることができる。
【0081】
尚、振動の周波数を収める周波数範囲は、20Hz~200Hzの範囲に限るものではなく、覚醒効果および/またはリラックス効果をもたらすのに適した周波数範囲であれば適宜に設定し得る。
【0082】
また、本実施例では、振動信号取得部111が、音楽のテンポ、音楽に含まれるコードを構成する音の周波数、及び音の強弱、に応じた振動を表す信号を、振動信号として取得する。
【0083】
本実施例によれば、振動信号取得部111で取得される振動信号の振動が、再生中の音楽のテンポや、コードを構成する音の周波数や、音の強弱、に応じたものとなるため、振動装置120で発生させた振動が再生中の音楽の趣を損ない難い。このように、本実施例によれば、覚醒効果および/またはリラックス効果を得るための振動を、再生中の音楽の趣を損なわずに発生させることができる。
【0084】
尚、振動信号が表す振動は、テンポ、及びコードを構成する音の周波数、の少なくとも一方に応じた振動であれば、テンポのみ、あるいはコードを構成する音の周波数のみに基
づいたものとしてもよい。この場合、テンポ以外の要素によって決まる振動の要素や、コードを構成する音の周波数以外の要素によって決まる振動の要素は、何らかの設定ルールに則って設定されることとなる。
【0085】
また、本実施例では、振動信号取得部111が、音楽のテンポに応じる振動であって、当該振動の発生頻度が刺激強度範囲としての所定の頻度範囲に収まる振動を表す信号を、振動信号として取得する。
【0086】
再生中の音楽のテンポに準じて決まる振動の発生頻度は、一方で、振動が与える刺激の強度を示す指標として採用することができる。本実施例によれば、発生頻度がこのような指標として採用されており、刺激強度範囲が頻度範囲として具体的に設定されるので、所望の覚醒効果および/またはリラックス効果が得られる振動を効果的に発生させることができる。
【0087】
また、本実施例では、振動信号取得部111が、音楽のコードを構成する音の周波数に応じる振動を表す信号を、振動信号として取得する。
【0088】
本実施例によれば、音楽のコードを構成する音の周波数に応じる振動を発生させることで、覚醒効果および/またはリラックス効果を得るための振動を、再生中の音楽の趣を損なわずに発生させることができる。
【0089】
また、本実施例では、振動信号取得部111が、振動の振動量が、刺激強度範囲としての所定の振動量範囲に収まる振動を表す信号を、振動信号として取得する。
【0090】
振動の振動量は、その振動が与える刺激の強度を示す指標として採用することができる。本実施例によれば、振動量がこのような指標として採用されており、刺激強度範囲が振動量範囲として具体的に設定されるので、所望の覚醒効果および/またはリラックス効果が得られる振動を効果的に発生させることができる。
【0091】
尚、本実施例では、刺激強度範囲として頻度範囲と振動量範囲との2種類の範囲が設定されている。しかしながら、ここにいう刺激強度範囲は、頻度範囲と振動量範囲との何れか1種類の範囲のみとしてもよく、あるいは、発生頻度や振動量以外の、振動の刺激の強度を示す何らかの指標を用いた範囲であってもよい。
【0092】
また、本実施例の振動制御装置110は、ユーザの操作を受けて、刺激強度範囲を設定する第1設定部114を備えている。そして、振動信号取得部111は、刺激の強度が、第1設定部114で設定された刺激強度範囲に収まる振動を表す信号を、振動信号として取得する。
【0093】
本実施例によれば、第1設定部114を介してユーザが刺激強度範囲、つまりは振動によって与えられる刺激の強度を自分の望む強度に調整することができる。これにより、ユーザ毎に所望の覚醒効果および/またはリラックス効果が得られる振動を効果的に発生させることができる。
【0094】
また、本実施例の振動制御装置110は、生体情報取得部115と、第2設定部116と、を備えている。生体情報取得部115は、ユーザの生体状態を表す生体情報を取得する。第2設定部116は、生体情報取得部115で取得された生体情報に基づいて、刺激強度範囲を設定する。そして、振動信号取得部111は、刺激の強度が、第2設定部116で設定された刺激強度範囲に収まる振動を表す信号を、振動信号として取得する。
【0095】
本実施例によれば、生体状態に応じた適正な刺激がユーザに与えられることとなるので、所望の覚醒効果および/またはリラックス効果が適正に得られる振動を発生させることができる。
【0096】
尚、本実施例では、ユーザの操作を受けて刺激強度範囲を設定する第1設定部114と、生体情報に基づいて刺激強度範囲を設定する第2設定部116と、の両方を備える振動制御装置110が例示されている。しかしながら、振動制御装置は、これに限るものではなく、上記の第1設定部114と第2設定部116との何れか一方のみを備えたもの等であってもよい。
【0097】
また、本実施例では、ユーザの操作を受けて刺激強度範囲を設定する部位の一例として、ユーザが刺激の強度を自分の望む強度に調整するための第1設定部114が例示されている。しかしながら、ユーザの操作を受けて刺激強度範囲を設定する部位は、これに限るものではなく、上記の第2設定部116と同様に、予め定められた複数の範囲候補から刺激強度範囲を選択的に設定するもの等であってもよい。
【0098】
また、本実施例の振動制御装置110は、検出部117と、生成部118と、を備えている。検出部117は、音楽から、その音楽のテンポ、その音楽に含まれるコードを構成する音の周波数、及び、音の強弱、を音楽要素として検出する。生成部118は、検出部117で検出された音楽要素に基づいて振動信号を生成する。そして、振動信号取得部111が、生成部118で生成された振動信号を取得する。
【0099】
本実施例によれば、再生中の音楽から検出された音楽要素に基づいて振動信号を生成することで、覚醒効果および/またはリラックス効果を得るための振動を、再生中の音楽の趣を一層損なわずに発生させることができる。
【0100】
また、本実施例では、第2設定部116は、生体情報が眠気状態を表しているときには覚醒状態を表しているときよりも刺激強度範囲を強めに設定し、生体情報が興奮状態を表しているときには鎮静状態を表しているときよりも刺激強度範囲を弱めに設定する。
【0101】
本実施例によれば、眠気状態のユーザを効果的に覚醒させることができ、また、興奮状態のユーザを効果的に鎮静してリラックスさせることができる。
【0102】
また、本実施例の振動制御装置110は、振動信号が表す振動の発生頻度を収める頻度範囲を生体情報に基づいて設定する頻度範囲設定部116aを備えている。そして、振動信号取得部111が、音楽のテンポに応じる振動であって、発生頻度が、頻度範囲設定部116aで設定された頻度範囲に収まる振動を表す信号を、振動信号として取得する。
【0103】
再生中の音楽のテンポに準じて決まる振動の発生頻度は、一方で、振動が与える刺激の強度を示す指標として採用することができる。本実施例によれば、発生頻度がこのような指標として採用されており、刺激強度範囲が頻度範囲として具体的に設定されるので、所望の覚醒効果および/またはリラックス効果が得られる振動を効果的に発生させることができる。
【0104】
また、本実施例では、振動信号取得部111が、音楽のコードを構成する音の周波数に応じる振動を表す信号を、振動信号として取得する。
【0105】
本実施例によれば、音楽のコードを構成する音の周波数に応じる振動を発生させることで、覚醒効果および/またはリラックス効果を得るための振動を、再生中の音楽の趣を損なわずに発生させることができる。
【0106】
また、本実施例の振動制御装置110は、振動信号が表す振動の振動量を収める振動量範囲を生体情報に基づいて設定する振動量範囲設定部116bを備えている。そして、振動信号取得部111は、振動量が、振動量範囲設定部116bで設定された振動量範囲に収まる振動を表す信号を、振動信号として取得する。
【0107】
振動の振動量は、その振動が与える刺激の強度を示す指標として採用することができる。本実施例によれば、振動量がこのような指標として採用されており、刺激強度範囲が振動量範囲として具体的に設定されるので、所望の覚醒効果および/またはリラックス効果が得られる振動を効果的に発生させることができる。
【0108】
次に、第2実施例について説明する。
【0109】
図3は、移動体に搭載された、第2実施例に係る振動制御装置を示す模式的なブロック図である。尚、
図3では、
図1に示されている第1実施例の構成要素と同等な構成要素については、
図1と同じ符号が付されており、以下では、それら同等な構成要素の重複説明を省略する。
【0110】
本実施例でも、移動体が乗用車であって、第1実施例と同様の振動装置120及びカーステレオ130が搭載され、記憶部210と、振動制御装置220と、が搭載されている。尚、
図3では、カーステレオ130について、
図1では図示が省略されていた音楽情報取得部133が示されている。この音楽情報取得部133は、記憶部210から、音楽情報を取得するものである。音楽情報出力部131は、このように取得された音楽情報を車両スピーカ132に出力する。
【0111】
記憶部210は、振動装置120を制御する振動制御装置220における制御に用いられる音楽/振動対応データ230を記憶する。この音楽/振動対応データ230は、以下に説明するデータ構造を有している。
【0112】
図4は、
図3に示されている音楽/振動対応データのデータ構造をテーブル形式で示す模式図である。
【0113】
図4に示されているように、音楽/振動対応データ230は、互いに異なる音楽を表す複数の音楽情報231と、それら複数の音楽情報231それぞれに対応付けられた信号セット232と、を備えている。各信号セット232は、各々が刺激の強度が所定の刺激強度範囲に収まる振動を表す3つの振動信号からなっている。それら3つの振動信号は、何れも、対応する音楽情報が表す音楽に応じた振動を表すとともに、刺激強度範囲が互いに異なった信号となっている。
【0114】
各信号セット232は、覚醒振動信号と、通常振動信号と、リラックス振動信号と、からなる。覚醒振動信号は、ユーザに覚醒を促す刺激強度範囲に対応した振動信号である。通常振動信号は、中程度の刺激を与えるノーマルな刺激強度範囲に対応した振動信号である。リラックス振動信号は、リラックスさせるために弱めの刺激を与える刺激強度範囲に対応した振動信号である。
図4の例では、音楽情報M1には、覚醒振動信号S11と、通常振動信号S12と、リラックス振動信号S13と、からなる信号セット232が対応付けられている。また、音楽情報M2には、覚醒振動信号S21と、通常振動信号S22と、リラックス振動信号S23と、からなる信号セット232が対応付けられている。
【0115】
このような対応付けにより、音楽/振動対応データ230は、複数の音楽情報231のうちカーステレオ130で再生中の音楽を表す音楽情報231に対応付けられた振動信号
によって振動装置120を制御可能に構成されている。
【0116】
ここで、各信号セット232をなす覚醒振動信号、通常振動信号、及びリラックス振動信号は、何れも、各振動信号が表す振動の周波数が、所定周波数範囲に収まるように周波数の調整が行われる。この周波数範囲として、覚醒効果および/またはリラックス効果をもたらすのに適した周波数範囲の一例として20Hz~200Hzの周波数範囲が設定されている。
【0117】
また、覚醒振動信号、通常振動信号、及びリラックス振動信号は、何れも、それらの信号が対応付けられた音楽情報231が表す音楽のテンポ、その音楽に含まれるコードを構成する音の周波数、及び音の強弱、に応じた振動を表している。
【0118】
また、本実施例でも刺激強度範囲として、振動の発生頻度の範囲である頻度範囲と、振動量の範囲である振動量範囲と、が採用されている。覚醒振動信号は、覚醒を促すために、強めの刺激を与える多めの発生頻度に対応した覚醒頻度範囲に発生頻度が収まり、且つ、強めの刺激を与える大きめの振動量に対応した覚醒振動量範囲に振動量が収まる振動を表している。通常振動信号は、中程度の刺激を与えるノーマルな発生頻度に対応した通常頻度範囲に発生頻度が収まり、且つ、中程度の刺激を与えるノーマルな振動量に対応した通常振動量範囲に振動量が収まる振動を表している。そして、リラックス振動信号は、リラックスさせるために弱めの刺激を与える少なめの発生頻度に対応したリラックス頻度範囲に発生頻度が収まり、且つ、弱めの刺激を与える小さめの振動量に対応したリラックス振動量範囲に振動量が収まる振動を表している。
【0119】
このようなデータ構造を有する音楽/振動対応データ230を記憶する記憶部210は、移動体に搭載され、振動制御装置220が構築されるコンピュータの記憶媒体、あるいは、そのコンピュータに対して外付け設置された記憶装置となっている。また、この記憶部210は、移動体に搭載されて固定設置されるものに限らず、公知の可搬記憶媒体や、ネットワークを介してこのコンピュータに接続されるサーバに設置された記憶媒体や記憶装置であってもよい。
【0120】
図3に示されている振動制御装置220は、このような記憶部210から振動信号を取得し、その振動信号を用いてシート140の背部板141に設置された振動装置120を制御するものである。この振動制御装置220は、第1実施例と同様の出力部112、操作入力部113、及び生体情報取得部115、に加え、振動信号取得部221と、調整部222と、を備えている。
【0121】
本実施例における振動信号取得部221は、カーステレオ130で再生中の音楽を表す、音楽情報取得部133が取得した音楽情報231に対応付けられた信号セット232の振動信号を、記憶部210から取得する。このとき、本実施例では、生体情報取得部115で取得される生体情報が表すユーザの生体状態が、眠気状態、覚醒状態、及び興奮状態、の何れであるかに応じて、信号セット232の中から1つの振動信号が取得される。即ち、ユーザの生体状態が眠気状態のときには覚醒振動信号が取得され、覚醒状態のときには通常振動信号が取得され、興奮状態のときにはリラックス振動信号が取得される。
【0122】
調整部222は、操作入力部113を介してユーザから調整操作を受けたときに、振動信号取得部221で取得された振動信号を、振動の刺激の強度である発生頻度と振動量との2点について調整する。調整部222は、頻度調整部222aと、振動量調整部222bと、を備えている。頻度調整部222aは、振動信号取得部221で取得された振動信号について、振動の発生タイミングを操作入力部113での操作量に応じて適宜に間引いたり追加したりすることで発生頻度を増減するように調整する。振動量調整部222bは
、取得された振動信号について、振動量を操作入力部113での操作量に応じて適宜に増減するように調整する。
【0123】
調整部222は、このようにして調整した振動信号を出力部112に送る。また、ユーザから調整操作が特にない場合には、調整部222は、振動信号取得部221で取得された振動信号をそのまま出力部112に送る。そして、出力部」112が、調整部222から送られてきた振動信号を振動装置120に出力して、振動装置120に振動を発生させる。
【0124】
図5は、
図3に示されている振動制御装置で実行される振動制御方法の処理の流れを表すフローチャートである。
【0125】
このフローチャートが表す処理は、カーステレオ130で音楽の再生が始まり、振動制御装置220に音楽情報が送られてくるとスタートする。
【0126】
処理がスタートすると、まず、調整部222が、音楽の再生開始後に操作入力部113に対して振動装置120の電源についてオン/オフ操作がなされたか否か判断する(ステップS201)。特に操作が行われていない、又はオン操作が行われた、という場合(ステップS201のオン判定)、出力部112が、この時点で振動装置120の電源がオフ状態であればオンする(ステップS202)。尚、ステップS202では、この時点で振動装置120の電源がオン状態にある場合には、特に処理は行わず次のステップS204に進む。
【0127】
他方、オフ操作が行われた場合(ステップS201におけるオフ判定)、出力部112が、この時点で振動装置120の電源がオン状態であればオフし(ステップS203)、ステップS201の処理に戻る。尚、ステップS203では、この時点で振動装置120の電源がオフ状態にある場合には、特に処理は行わずステップS201の処理に戻る。
【0128】
ステップS202を経てステップS204に処理が進むと、このステップS204において、振動信号取得部221が、カーステレオ130の音楽情報取得部133から、再生中の音楽の一小節分の音楽情報を取得する。
【0129】
続いて、生体情報取得部115が、ユーザの生体状態が、眠気状態と、通常の覚醒状態と、興奮状態と、の何れにあるかを表す生体情報を取得する(ステップS205)。
【0130】
次に、振動信号取得部221が、取得された生体情報が表す生体状態が、眠気状態と、覚醒状態と、興奮状態と、の何れであるかを判断する(ステップS206)。
【0131】
生体状態が眠気状態である場合(ステップS206の眠気判定)、振動信号取得部221は、再生中の音楽情報に対応した覚醒振動信号を一小節分、記憶部210から読み出して取得する(ステップS207)。
【0132】
生体状態が覚醒状態である場合(ステップS206の覚醒判定)、振動信号取得部221は、再生中の音楽情報に対応した通常振動信号を一小節分、記憶部210から読み出して取得する(ステップS208)。
【0133】
生体状態が興奮状態である場合(ステップS206の興奮判定)、振動信号取得部221は、再生中の音楽情報に対応したリラックス振動信号を一小節分、記憶部210から読み出して取得する(ステップS209)。
【0134】
このようにして振動信号が取得されると、次に、調整部222が、音楽の再生開始後に操作入力部113に対して刺激の強度の調整操作がなされたか否か判断する(ステップS210)。
【0135】
調整操作があった場合(ステップS210のYes判定)、調整部222の頻度調性部222aが、取得された振動信号について、振動の発生頻度を操作量に応じて増減調整する(ステップS211)。また、頻度調性部222aが、取得された振動信号について、振動の振動量を操作量に応じて増減調整する(ステップS212)。
【0136】
調整操作が無かった場合(ステップS210のNo判定)、調整部222におけるこれらの調整処理は省略される。
【0137】
調整部222で調整された、あるいは調整されなかった振動信号を、出力部112が振動装置120に出力する(ステップS213)。その後、処理がステップS201に戻って以降の処理が繰り返される。
【0138】
このフローチャートの処理が、カーステレオ130での音楽再生が終了するまで続けられる。
【0139】
本実施例では、
図5にフローチャートで表された振動制御方法をコンピュータにより実行させる振動制御プログラムが、移動体に搭載された何らかのコンピュータの記憶媒体に記憶されている。また、この振動制御プログラムを記憶する記憶媒体は、移動体に搭載された何らかのコンピュータの記憶媒体に限らず、公知の可搬記憶媒体や、ネットワークを介してこのコンピュータに接続されるサーバに設置された記憶媒体であってもよい。
【0140】
以上に説明した第2実施例における音楽/振動対応データ230のデータ構造、記憶部210としての記憶媒体あるいは記憶装置、音楽/振動対応データ230を用いた制御を行う振動制御装置220によれば、次のような効果を得ることができる。
【0141】
本実施例によれば、再生中の音楽に応じつつも、刺激の強度が所定の刺激強度範囲に収まる振動を表す振動信号を得て、その振動信号によって振動装置120を制御することができる。このため、刺激強度範囲を、所望の覚醒効果および/またはリラックス効果が得られる所望の範囲に設定する等といった運用を行って、再生中の音楽の内容に依らず、そのような効果が得られる振動を振動装置120に発生させることができる。このように、本実施例によれば、再生中の音楽に応じつつも、その内容に依らず所望の覚醒効果および/またはリラックス効果が得られる振動を発生させることができる。
【0142】
尚、本実施例でも、移動体に搭載された振動装置120や振動制御装置220が例示されているが、振動装置120や振動制御装置220の設置場所も移動体に限るものではない。振動装置120や振動制御装置220は、ユーザに振動による刺激を与え得る場所であれば、例えば映画館や一般住居に置かれたシートに設置されるものであってもよく、設置場所については任意に設定し得る。
【0143】
また、移動体に搭載する場合においても、振動装置120の設置位置は、本実施例のようにシート140における背部板141の中に限るものではなく、ユーザに刺激を与え得る位置であれば任意に設定し得る。
【0144】
ここで、本実施例における音楽/振動対応データ230のデータ構造では、複数の音楽情報231それぞれには、刺激強度範囲が互いに異なる3つの振動信号からなる信号セット232が対応付けられている。
【0145】
本実施例によれば、再生中の音楽に対応付けられている信号セット232の中から、覚醒やリラックス等に適した刺激強度範囲の振動信号を選択するといった運用を行うことができる。これにより、所望の覚醒効果および/またはリラックス効果が得られる振動を発生させることができる。
【0146】
また、本実施例では、振動信号は、振動周波数が20Hz~200Hzの周波数範囲に収まる振動を表す信号となっている。
【0147】
振動を刺激としてユーザに体感させる場合、覚醒効果および/またはリラックス効果をもたらすのに適した周波数範囲の一例として20Hz~200Hzの周波数範囲が挙げられる。本実施例によれば、振動信号取得部221で取得される振動信号が表す振動の振動周波数を、このような周波数範囲に抑えて、覚醒効果および/またはリラックス効果が適切に得られる振動を発生させることができる。
【0148】
尚、本実施例においても、振動の周波数を収める周波数範囲は、20Hz~200Hzの範囲に限るものではなく、覚醒効果および/またはリラックス効果をもたらすのに適した周波数範囲であれば適宜に設定し得る。
【0149】
また、本実施例では、振動信号は、音楽のテンポ、音楽に含まれるコードを構成する音の周波数、及び音の強弱、に応じた振動を表す信号となっている。
【0150】
本実施例によれば、振動信号取得部221で取得される振動信号の振動が、再生中の音楽のテンポや、コードを構成する音の周波数に応じたものとなるため、振動装置120で発生させた振動が再生中の音楽の趣を損ない難い。このように、本実施例によれば、覚醒効果および/またはリラックス効果を得るための振動を、再生中の音楽の趣を損なわずに発生させることができる。
【0151】
尚、本実施例においても、振動信号が表す振動は、テンポ、及びコードを構成する音の周波数、の少なくとも一方に応じた振動であれば、テンポのみ、あるいはコードを構成する音の周波数のみに基づいたものとしてもよい。この場合、テンポ以外の要素によって決まる振動の要素や、コードを構成する音の周波数以外の要素によって決まる振動の要素は、何らかの設定ルールに則って設定されることとなる。
【0152】
また、本実施例では、振動信号が、音楽のテンポに応じる振動であって、当該振動の発生頻度が、刺激強度範囲としての所定の頻度範囲に収まる振動を表す信号となっている。
【0153】
再生中の音楽のテンポに準じて決まる振動の発生頻度は、一方で、振動が与える刺激の強度を示す指標として採用することができる。本実施例によれば、発生頻度がこのような指標として採用されており、刺激強度範囲が頻度範囲として具体的に設定されているので、所望の覚醒効果および/またはリラックス効果が得られる振動を効果的に発生させることができる。
【0154】
また、本実施例では、振動信号が、音楽のコードを構成する音の周波数に応じる振動を表す信号となっている。
【0155】
本実施例によれば、音楽のコードを構成する音の周波数に応じる振動を発生させることで、覚醒効果および/またはリラックス効果を得るための振動を、再生中の音楽の趣を損なわずに発生させることができる。
【0156】
また、本実施例では、振動信号が、振動の振動量が、刺激強度範囲としての所定の振動量範囲に収まる振動を表す信号となっている。
【0157】
振動の振動量は、その振動が与える刺激の強度を示す指標として採用することができる。本実施例によれば、振動量がこのような指標として採用されており、刺激強度範囲が振動量範囲として具体的に設定されるので、所望の覚醒効果および/またはリラックス効果が得られる振動を効果的に発生させることができる。
【0158】
次に、第3実施例について説明する。
【0159】
図6は、移動体に搭載された、第3実施例に係る振動制御装置を示す模式的なブロック図である。尚、
図6では、
図1に示されている第1実施例の構成要素と同等な構成要素については、
図1と同じ符号が付されており、以下では、それら同等な構成要素の重複説明を省略する。
【0160】
本実施例でも、移動体が乗用車であって、第1実施例と同様の振動装置120及びカーステレオ130が搭載され、振動制御装置310と、記憶部320と、が搭載されている。
【0161】
本実施例の振動制御装置310は、第1実施例と同様の振動信号取得部111、出力部112、操作入力部113、第1設定部114、検出部117、及び生成部118を備えている。そして、振動制御装置310は、第1実施例における生体情報取得部115及び第2設定部116に代わる構成要素として、位置情報取得部311及び第2設定部312を備えている。
【0162】
位置情報取得部311は、GNSS(Global Navigation Satellite System:全球測位衛星システム)等の測位システムを用いて移動体1の位置を取得する。さらに、本実施例では、位置情報取得部311は、この位置に基づいて、移動体が位置する道路の、例えば一般道路区間や高速道路区間等といった属性を特定し、その道路の属性を表す位置情報を生成、取得する。
【0163】
第2設定部312は、振動の刺激の強度としての発生頻度及び振動量を収める頻度範囲及び振動量範囲を設定するものである。本実施例では、第2設定部312は、これらの範囲の設定を、位置情報取得部311で取得された位置情報が表す位置を、記憶部320に記憶されている地図データ330に照らし合わせることで行う。第2設定部312は、頻度範囲の設定を行う頻度範囲設定部312aと、振動量範囲の設定を行う振動量範囲設定部312bと、を備えている。
【0164】
図7は、
図6に示されている地図データが有するデータ構造をテーブル形式で示す模式図である。また、
図8は、
図7にテーブル形式で示されているデータ構造を地図形式で示す模式図である。
【0165】
図7及び
図8に示されているように、地図データ330は、各々が道路区間を表す複数のリンク情報331と、それら複数のリンク情報331それぞれに対応付けられた情報セット332と、を備えている。各情報セット332は、各々が刺激の強度に関する4つの情報からなっている。それら4つの情報は、何れも、振動の刺激の強度を収める刺激強度範囲を表す情報となっている。
【0166】
ここで、本実施例でも刺激強度範囲として、振動の発生頻度の範囲である頻度範囲と、振動量の範囲である振動量範囲と、が採用されている。さらに、本実施例では、頻度範囲
及び振動量範囲それぞれが、昼用と夜用との2つの時間帯ごとに設定されている。移動体のユーザが眠気を覚え難い昼用には、中程度の刺激を与えるノーマルな発生頻度に対応した頻度範囲やノーマルな振動量に対応した振動量範囲が設定されている。他方、ユーザが眠気を覚え易い夜用には、覚醒を促すために、強めの刺激を与える多めの発生頻度に対応した頻度範囲や強めの刺激を与える大きめの振動量に対応した振動量範囲が設定されている。
【0167】
また、
図7及び
図8では、リンク情報331の一例として、属性が一般道路区間であるリンク情報L11、及び属性が高速道路区間であるリンク情報L12が例示されている。また、属性が自動運転対応道路の開始区間のリンク情報L13、及び属性が自動運転対応道路の終了区間のリンク情報L14も例示されている。一般道路区間のリンク情報L11には、昼用及び夜用それぞれの頻度範囲の情報A111,A112と昼用及び夜用それぞれの振動量範囲の情報B111,B112とからなる情報セット332が対応付けられている。高速道路区間のリンク情報L12には、昼用及び夜用それぞれの頻度範囲の情報A121,A122と昼用及び夜用それぞれの振動量範囲の情報B121,B122とからなる情報セット332が対応付けられている。自動運転対応道路の開始区間のリンク情報L13には、昼用及び夜用それぞれの頻度範囲の情報A131,A132と昼用及び夜用それぞれの振動量範囲の情報B131,B132とからなる情報セット332が対応付けられている。自動運転対応道路の終了区間のリンク情報L14には、昼用及び夜用それぞれの頻度範囲の情報A141,A142と昼用及び夜用それぞれの振動量範囲の情報B141,B142とからなる情報セット332が対応付けられている。
【0168】
ここで、一般的に、移動体を運転するユーザは、高速道路区間を走行中のときの方が、一般道路区間を走行中のときに比べて眠気を催し易い。このため、本実施例では、高速道路区間のリンク情報L12に対応する情報A121,・・・,B122は、何れも、一般道路区間のリンク情報L11に対応する情報A111,・・・,B112よりも強い刺激に関する情報となっている。
【0169】
また、自動運転対応道路の走行中のときは、他の道路を走行中のときによりも移動体を運転するユーザにリラックスしてもらうことが可能となる。一方で、自動運転対応道路の終了段階には、リラックス状態から覚醒してもらう必要がある。このため、本実施例では、自動運転対応道路について、その開始区間のリンク情報L13に対応する情報A131,・・・,B132は、何れも、終了区間のリンク情報L14に対応する情報A141,・・・,B142よりも弱い刺激に関する情報となっている。
【0170】
地図データ330は、移動体が位置する道路区間を表すリンク情報331に対応づけられた情報セット332の刺激強度情報によって刺激の強度を設定可能に構成されている。また、各情報セット332の刺激強度情報が、昼用と夜用との時間帯ごとに設定されていることから、刺激の強度を時間帯ごとに設定可能に構成されている。
【0171】
このようなデータ構造を有する地図データ330を記憶する記憶部320は、移動体に搭載され、振動制御装置310が構築されるコンピュータの記憶媒体、あるいは、そのコンピュータに対して外付け設置された記憶装置に記憶されている。また、この記憶部320は、移動体に搭載されて固定設置されるものに限らず、公知の可搬記憶媒体や、ネットワークを介してこのコンピュータに接続されるサーバに設置された記憶媒体や記憶装置であってもよい。また、地図データ330を生成するために、ネットワークを介して振動制御装置310に接続されるサーバが、複数の移動体から、移動体の位置情報、時刻情報、およびユーザの生体状態を取得し、統計的処理によって道路区間ごとに眠気の催し易さを特定し、各道路区間に対応する刺激強度情報を時間帯ごとに設定するようにしてもよい。サーバの実行する統計的処理は、不特定多数の移動体から取得した情報に基づいて実行さ
れてもよいし、各移動体から取得した情報に基づいて移動体毎に個別に実行されてもよい。このように生成された地図データ330は、各移動体に配信され振動制御装置310の記憶部320に記憶されるようにしてもよい。
【0172】
図6に示されている振動制御装置310は、このような記憶部320から刺激強度情報を取得し、その情報を用いてシート140の背部板141に設置された振動装置120を制御するものである。
【0173】
この振動制御装置310では、上述したように、位置情報取得部311で、移動体の位置を表す位置情報として、この移動体が位置する道路の属性を表す情報が取得される。そして、第2設定部312の頻度範囲設定部312aが、その取得された位置情報が表す属性の道路区間を表すリンク情報331に対応し、且つ、その時点の時間帯に対応した頻度範囲の情報を記憶部320から取得して頻度範囲を設定する。同様に、振動量範囲設定部312bは、取得された位置情報が表す属性の道路区間を表すリンク情報331に対応し、且つ、その時点の時間帯に対応した振動量範囲の情報を記憶部320から取得して振動量範囲を設定する。
【0174】
生成部118は、検出部117で検出された再生中の音楽のテンポ、コードを構成する音の周波数、音の強弱、第2設定部312で設定された頻度範囲及び振動量範囲に基づいて振動を表す振動信号を生成する。このように生成された振動信号が表す振動は、再生中の音楽に応じるとともに、発生頻度及び振動量が、各々、第2設定部312で設定された頻度範囲及び振動量範囲に収まる振動となる。そして、生成部118が生成した振動信号を、振動信号取得部111が取得し、出力部112が振動装置120に出力して、振動装置120に振動を発生させる。
【0175】
図9は、
図6に示されている振動制御装置で実行される振動制御方法の処理の流れを表すフローチャートである。
【0176】
このフローチャートが表す処理は、カーステレオ130で音楽の再生が始まり、振動制御装置310に音楽情報が送られてくるとスタートする。
【0177】
処理がスタートすると、まず、生成部118が、音楽の再生開始後に操作入力部113に対して振動装置120の電源についてオン/オフ操作がなされたか否か判断する(ステップS301)。特に操作が行われていない、又はオン操作が行われた、という場合(ステップS301のオン判定)、出力部112が、この時点で振動装置120の電源がオフ状態であればオンする(ステップS302)。尚、ステップS302では、この時点で振動装置120の電源がオン状態にある場合には、特に処理は行わず次のステップS304に進む。
【0178】
他方、オフ操作が行われた場合(ステップS301におけるオフ判定)、出力部112が、この時点で振動装置120の電源がオン状態であればオフし(ステップS303)、ステップS301の処理に戻る。尚、ステップS303では、この時点で振動装置120の電源がオフ状態にある場合には、特に処理は行わずステップS301の処理に戻る。
【0179】
ステップS302を経てステップS304に処理が進むと、このステップS304において、検出部117が、カーステレオ130の音楽情報出力部131から、再生中の音楽の一小節分の音楽情報を取得する。続いて、検出部117は、取得した音楽情報に基づいて、テンポ、コードを構成する音の周波数、及び音の強弱、を検出する(ステップS305)。
【0180】
また、位置情報取得部311が、移動体が位置する道路の属性を表す位置情報を取得する(ステップS306)。さらに、第2設定部312が、不図示のタイマーを用いて、このときの時間帯が昼夜何れであるかを判別する(ステップS307)。
【0181】
続くステップS308において、頻度範囲設定部312aが、位置情報が表す属性の道路区間を表すリンク情報331に対応し、且つ、判別された昼夜何れかの時間帯に対応した頻度範囲の情報を記憶部320から取得して頻度範囲を設定する。
【0182】
さらに、ステップS309において、振動量範囲設定部312bが、位置情報が表す属性の道路区間を表すリンク情報331に対応し、且つ、判別された時間帯に対応した振動量範囲の情報を記憶部320から取得して振動量範囲を設定する。
【0183】
このようにして頻度範囲と振動量範囲とが設定されると、次に、生成部118が、音楽の再生開始後に操作入力部113に対して刺激の強度の調整操作がなされたか否か判断する(ステップS310)。
【0184】
調整操作があった場合(ステップS310のYes判定)、設定された頻度範囲を第1設定部114の頻度範囲設定部114aが操作量に応じて増減調整する(ステップS311)。また、設定された振動量範囲を振動量囲設定部114bが操作量に応じて増減調整する(ステップS312)。
【0185】
調整操作が無い場合(ステップS310のNo判定)には、ステップS311及びステップS312を省略して、処理が次のステップS313に進む。
【0186】
ステップS313では、ここまでの処理で得られたテンポ、コードを構成する音の周波数、音の強弱、頻度範囲、及び振動量範囲、に基づいて、生成部118が、一小節分の音楽情報に対応した振動信号を生成する。即ち、発生頻度が、その一小節のテンポに応じつつ頻度範囲に収まり、周波数が、その一小節のコードに応じつつ20Hz~200Hzの周波数範囲に収まり、振動量が、その一小節の音の強弱に応じつつ振動量範囲に収まる振動を表した振動信号が生成される。
【0187】
このようにして生成された一小節分の振動信号を振動信号取得部111が取得し(ステップS314)、出力部112が振動装置120に出力する(ステップS315)。その後、処理がステップS301に戻って以降の処理が繰り返される。
【0188】
このフローチャートの処理が、カーステレオ130での音楽再生が終了するまで続けられる。
【0189】
本実施例では、
図9にフローチャートで表された振動制御方法をコンピュータにより実行させる振動制御プログラムが、移動体に搭載された何らかのコンピュータの記憶媒体に記憶されている。また、この振動制御プログラムを記憶する記憶媒体は、移動体に搭載された何らかのコンピュータの記憶媒体に限らず、公知の可搬記憶媒体や、ネットワークを介してこのコンピュータに接続されるサーバに設置された記憶媒体であってもよい。
【0190】
以上に説明した第3実施例の振動制御装置310、振動制御方法、振動制御プログラム、及び記憶媒体によれば、次のような効果を得ることができる。
【0191】
移動体が移動する道路には、高速道路のように移動体を運転するユーザが眠気を催し易い道路や、逆に自動運転対応道路のように多少であれば緊張を解いてリラックスしてもよい道路等がある。本実施例によれば、再生中の音楽に応じつつも、移動体の位置を表す位
置情報にも応じた振動を表す振動信号が取得されて振動装置120に出力される。このため、振動が与える刺激の強度を、移動体の位置に応じて、覚醒効果および/またはリラックス効果に適した強度とする等といった運用を行うことができる。これにより、再生中の音楽に応じつつも、その内容に依らず所望の覚醒効果および/またはリラックス効果が得られる振動を発生させることができる。
【0192】
尚、本実施例においても、移動体における振動装置120の設置位置は、シート140における背部板141の中に限るものではなく、ユーザに刺激を与え得る位置であれば任意に設定し得る。
【0193】
ここで、本実施例では、位置情報取得部311は、位置情報として移動体が位置する道路の、一般道路区間や高速道路区間等といった属性を取得するものとなっている。
【0194】
本実施例によれば、高速道路や自動運転対応道路等というように、ユーザの生体状態に影響を及ぼす道路の属性が位置情報として取得される。そして、このような位置情報に応じた振動を発生させることで、覚醒効果および/またはリラックス効果を効果的に得ることができる。
【0195】
尚、位置情報取得部311で取得される位置情報は、上記のような道路の属性を表す情報に限るものではなく、例えばGNSSで得られる移動体の位置そのものを表す情報等であってもよい。
【0196】
また、本実施例の振動制御装置310は、刺激の強度を収める刺激強度範囲を、位置情報取得部311で取得された位置情報に基づいて設定する第2設定部312を備えている。そして、振動信号取得部111は、刺激の強度が、第2設定部312で設定された刺激強度範囲に収まる振動を表す信号を、振動信号として取得する。
【0197】
本実施例によれば、位置情報に基づいた刺激強度範囲の設定により、移動体の位置に応じた適正な刺激がユーザに与えられることとなるので、所望の覚醒効果および/またはリラックス効果が適正に得られる振動を発生させることができる。
【0198】
また、本実施例では、振動信号取得部111は、振動周波数が20Hz~200Hzの周波数範囲に収まる振動を表す信号を、振動信号として取得する。
【0199】
振動を刺激としてユーザに体感させる場合、覚醒効果および/またはリラックス効果をもたらすのに適した周波数範囲の一例として20Hz~200Hzの周波数範囲が挙げられる。本実施例によれば、振動信号取得部で取得される振動信号が表す振動の振動周波数を、このような周波数範囲に抑えて、覚醒効果および/またはリラックス効果が適切に得られる振動を発生させることができる。
【0200】
尚、振動の周波数を収める周波数範囲は、20Hz~200Hzの範囲に限るものではなく、覚醒効果および/またはリラックス効果をもたらすのに適した周波数範囲であれば適宜に設定し得る。
【0201】
また、本実施例では、振動信号取得部111が、音楽のテンポ、及び、音楽に含まれるコードを構成する音の周波数、及び音の強弱、に応じた振動を表す信号を、振動信号として取得する。
【0202】
本実施例によれば、振動信号取得部111で取得される振動信号の振動が、再生中の音楽のテンポや、コードを構成する音の周波数に応じたものとなるため、振動装置120で
発生させた振動が再生中の音楽の趣を損ない難い。このように、本実施例によれば、覚醒効果および/またはリラックス効果を得るための振動を、再生中の音楽の趣を損なわずに発生させることができる。
【0203】
尚、振動信号が表す振動は、テンポ、及びコードを構成する音の周波数、の少なくとも一方に応じた振動であれば、テンポのみ、あるいはコードを構成する音の周波数のみに基づいたものとしてもよい。この場合、テンポ以外の要素によって決まる振動の要素や、コードを構成する音の周波数によって決まる振動の要素は、何らかの設定ルールに則って設定されることとなる。
【0204】
また、本実施例では、振動信号が表す振動の発生頻度を収める頻度範囲を、位置情報取得部311で取得された位置情報に基づいて設定する頻度範囲設定部312aを備えている。そして、振動信号取得部111が、音楽のテンポに応じる振動であって、発生頻度が、頻度範囲設定部312aで設定された頻度範囲に収まる振動を表す信号を、振動信号として取得する。
【0205】
再生中の音楽のテンポに準じて決まる振動の発生頻度は、一方で、振動が与える刺激の強度を示す指標として採用することができる。本実施例によれば、発生頻度がこのような指標として採用されており、刺激強度範囲が頻度範囲として具体的に設定されるので、所望の覚醒効果および/またはリラックス効果が得られる振動を効果的に発生させることができる。
【0206】
また、本実施例では、振動信号取得部111が、音楽のコードを構成する音の周波数に応じる振動を表す信号を、振動信号として取得する。
【0207】
本実施例によれば、音楽のコードを構成する音の周波数に応じる振動を発生させることで、覚醒効果および/またはリラックス効果を得るための振動を、再生中の音楽の趣を損なわずに発生させることができる。
【0208】
また、本実施例の振動制御装置310は、振動信号が表す振動の振動量を収める振動量範囲を、位置情報取得部311で取得された位置情報に基づいて設定する振動量範囲設定部312bを備えている。そして、振動信号取得部111は、振動量が、振動量範囲設定部312bで設定された振動量範囲に収まる振動を表す信号を、振動信号として取得する。
【0209】
振動の振動量は、その振動が与える刺激の強度を示す指標として採用することができる。本実施例によれば、振動量がこのような指標として採用されており、刺激強度範囲が振動量範囲として具体的に設定されるので、所望の覚醒効果および/またはリラックス効果が得られる振動を効果的に発生させることができる。
【0210】
尚、本実施例では、刺激強度範囲として頻度範囲と振動量範囲との2種類の範囲が設定されている。しかしながら、ここにいう刺激強度範囲は、頻度範囲と振動量範囲との何れか1種類の範囲のみとしてもよく、あるいは、発生頻度や振動量以外の、振動の刺激の強度を示す何らかの指標を用いた範囲であってもよい。
【0211】
また、本実施例では、ユーザの操作を受けて刺激強度範囲を設定する第1設定部114と、位置情報に基づいて刺激強度範囲を設定する第2設定部312と、の両方を備える振動制御装置310が例示されている。しかしながら、振動制御装置は、これに限るものではなく、上記の第2設定部312との何れか一方のみを備えたもの等であってもよい。
【0212】
また、本実施例の振動制御装置310は、検出部117と、生成部118と、を備えている。検出部117は、音楽から、その音楽のテンポ、その音楽に含まれるコードを構成する音の周波数、及び音の強弱、を音楽要素として検出する。生成部118は、検出部117で検出された音楽要素に基づいて振動信号を生成する。そして、振動信号取得部111が、生成部118で生成された振動信号を取得する。
【0213】
本実施例によれば、再生中の音楽から検出された音楽要素に基づいて振動信号を生成することで、覚醒効果および/またはリラックス効果を得るための振動を、再生中の音楽の趣を一層損なわずに発生させることができる。
【0214】
また、本実施例における、
図7及び
図8に示されている地図データ330のデータ構造、及び記憶部320としての記憶媒体や記憶装置によれば、次のような効果を得ることができる。
【0215】
本実施例の地図データ330のデータ構造によれば、移動体が位置する道路区間を表すリンク情報331に対応づけられた刺激強度情報を得て、その情報に基づいて刺激の強度が設定された振動を振動装置120に発生させることができる。このため、振動が与える刺激の強度を、移動体の位置に応じて、覚醒効果および/またはリラックス効果に適した強度とする等といった運用を行うことができる。これにより、再生中の音楽に応じつつも、その内容に依らず所望の覚醒効果および/またはリラックス効果が得られる振動を発生させることができる。
【0216】
ここで、本実施例では、高速道路区間を示すリンク情報L12に対応付けられた刺激強度情報は、一般道路区間を示すリンク情報L11に対応付けられた刺激強度情報よりも、強い刺激に関する情報となっている。
【0217】
本実施例によれば、一般道路区間に比べてユーザが眠気を催し易い高速道路区間ではユーザに強い刺激を与えることで、適正な覚醒効果を得ることができる。
【0218】
また、本実施例では、自動運転対応道路の開始区間を示すリンク情報L13に対応付けられた刺激強度情報は、自動運転対応道路の終了区間を示すリンク情報L14に対応付けられた刺激強度情報よりも、弱い刺激に関する情報となっている。
【0219】
本実施例によれば、リラックスが許容される自動運転対応道路の開始区間では、その終了区間に比べてユーザに与える刺激を和らげることで、適正なリラックス効果を得ることができる。
【0220】
また、本実施例では、複数のリンク情報331それぞれには、刺激強度情報が、昼夜の時間帯ごとの刺激の強度に関する情報として複数ずつ対応付けられている。そして、本実施例の地図データ330のデータ構造は、移動体が位置する道路区間を表すリンク情報331に対応づけられた複数の刺激強度情報によって刺激の強度を時間帯ごとに設定可能に構成されている。
【0221】
一般的に夜間は昼間に比べてユーザが眠気を催し易い等というように、ユーザの生体状態が時間帯に応じた状態となる場合がある。本実施例によれば、刺激の強度が時間帯ごとに設定可能となっているので、時間帯ごとのユーザの生体状態に応じて適切な覚醒効果および/またはリラックス効果が得られる振動を発生させることができる。
【0222】
尚、本実施例では、刺激の強度に関する情報としての頻度範囲の情報と振動量範囲の情報とのそれぞれが昼夜2つずつ設定されている。しかしながら、ここにいう時間帯ごとの
情報の設定は、昼夜の2区分の設定に限るものではなく、もっと細分化された複数区分の時間帯ごとに設定されるものであってもよい。
【0223】
また、本実施例では、刺激強度情報が、刺激の強度を収める刺激強度範囲を表す情報となっている。
【0224】
本実施例によれば、刺激強度範囲を表す情報を用いることで、再生中の音楽に応じて刻々と変化する刺激の強度を包括的に設定することができるので好適である。
【0225】
尚、本実施例では、刺激強度範囲として頻度範囲と振動量範囲との2種類の範囲が設定されている。しかしながら、ここにいう刺激強度範囲は、頻度範囲と振動量範囲との何れか1種類の範囲のみとしてもよく、あるいは、発生頻度や振動量以外の、振動の刺激の強度を示す何らかの指標を用いた範囲であってもよい。
【0226】
また、本実施例では、リンク情報331の一例として、一般道路区間のリンク情報L11、高速道路区間のリンク情報L12、自動運転対応道路の開始区間のリンク情報L13、及び自動運転対応道路の終了区間のリンク情報L14が例示されている。しかしながら、リンク情報331はこれらの情報に限るものではなく、例えばGNSSで特定される道路区間の起点と終点までの範囲を表す情報等であってもよい。
【0227】
次に、本実施例における、
図7及び
図8に示されている地図データ330のデータ構造に対する変形例について説明する。
【0228】
図10は、
図7及び
図8に示されている地図データのデータ構造に対する変形例のテータ構造をテーブル形式で示す模式図である。また、
図11は、
図10にテーブル形式で示されているデータ構造を地図形式で示す模式図である。
【0229】
図10及び
図11に示されているデータ構造を有する地図データ430は、各々が地図上の要素を表す複数の地図要素情報431と、それら複数の地図要素情報431それぞれに対応付けられた情報セット432と、を備えている。各情報セット432は、各々が刺激の強度に関する4つの情報からなっている。それら4つの情報は、
図7及び
図8に示されている情報セット332が有している4つの情報と同様に、頻度範囲及び振動量範囲を昼夜2つの時間帯ごとに表す情報となっている。
【0230】
図10及び
図11では、地図要素情報431の一例として、一般道路に当る第1道路リンクL21を表す情報、及び高速道路区間に当る第2道路リンクL22を表す情報が例示されている。さらに、高速道路区間における分岐点に当る第1ノードN23を表す情報と、自動運転対応道路を内包する第1エリアAr24を表す情報と、が例示されている。
【0231】
高速道路区間の第2道路リンクL22を表す情報には、一般道路の第1道路リンクL21を表す情報に対応する情報セット432の頻度範囲や振動量範囲よりも強めの刺激に相当する頻度範囲や振動量範囲の情報セット432が対応付けられている。また、分岐点の第1ノードN23を表す情報には、高速道路区間の第2道路リンクL22を表す情報に対応する情報セット432の頻度範囲や振動量範囲よりも強めの刺激に相当する頻度範囲や振動量範囲の情報セット432が対応付けられている。また、自動運転対応道路の第1エリアAr24を表す情報には、一般道路の第1道路リンクL21を表す情報に対応する情報セット432の頻度範囲や振動量範囲よりも弱めの刺激に相当する頻度範囲や振動量範囲の情報セット432が対応付けられている。
【0232】
図10及び
図11では、一般道路区間の第1道路リンクL21の情報には、昼用及び夜
用それぞれの頻度範囲の情報A211,A212と昼用及び夜用それぞれの振動量範囲の情報B211,B212とからなる情報セット432が対応付けられている。高速道路区間の第2道路リンクL22の情報には、昼用及び夜用それぞれの頻度範囲の情報A221,A222と昼用及び夜用それぞれの振動量範囲の情報B221,B222とからなる情報セット432が対応付けられている。分岐点の第1ノードN23の情報には、昼用及び夜用それぞれの頻度範囲の情報A231,A232と昼用及び夜用それぞれの振動量範囲の情報B231,B232とからなる情報セット432が対応付けられている。自動運転対応道路の第1エリアAr24を表す情報には、昼用及び夜用それぞれの頻度範囲の情報A241,A242と昼用及び夜用それぞれの振動量範囲の情報B241,B242とからなる情報セット432が対応付けられている。
【0233】
以上に説明した変形例のデータ構造を有する地図データ430も、移動体の位置対応する地図要素情報431に対応づけられた情報セット432の刺激強度情報によって刺激の強度を設定可能に構成されている。また、各情報セット432の刺激強度情報が、昼用と夜用との時間帯ごとに設定されていることから、刺激の強度を時間帯ごとに設定可能に構成されている。
【0234】
このようなデータ構造を有する地図データ430が、
図6に示されている地図データ330と同様に、移動体に搭載されて振動制御装置310が構築されるコンピュータの記憶媒体、あるいは、そのコンピュータに対して外付け設置された記憶装置に記憶されている。また、この記憶部も、移動体に搭載されて固定設置されるものに限らず、公知の可搬記憶媒体や、ネットワークを介してこのコンピュータに接続されるサーバに設置された記憶媒体や記憶装置であってもよい。また、地図データ430を生成するために、ネットワークを介して振動制御装置310に接続されるサーバが、複数の移動体から、移動体の位置情報、時刻情報、およびユーザの生体状態を取得し、統計的処理によって地図要素ごとに眠気の催し易さを特定し、各地図要素に対応する刺激強度情報を時間帯ごとに設定するようにしてもよい。サーバの実行する統計的処理は、不特定多数の移動体から取得した情報に基づいて実行されてもよいし、各移動体から取得した情報に基づいて移動体毎に個別に実行されてもよい。このように生成された地図データ430は、各移動体に配信され振動制御装置310の記憶部320に記憶されるようにしてもよい。
【0235】
この変形例の地図データ430のデータ構造によれば、移動体の位置が属する要素を表す地図要素情報431に対応づけられた頻度範囲や振動量範囲の情報を得て、その情報に基づいて発生頻度や振動量が設定された振動を振動装置120に発生させることができる。このため、振動が与える刺激の強度を、移動体の位置に応じて、覚醒効果および/またはリラックス効果に適した強度とする等といった運用を行うことができる。これにより、再生中の音楽に応じつつも、その内容に依らず所望の覚醒効果および/またはリラックス効果が得られる振動を発生させることができる。
【0236】
尚、この変形例においても、刺激の強度に関する情報としての頻度範囲の情報と振動量範囲の情報とのそれぞれが昼夜2つずつ設定されている。しかしながら、ここにいう時間帯ごとの情報の設定も、昼夜の2区分の設定に限るものではなく、もっと細分化された複数区分の時間帯ごとに設定されるものであってもよい。
【0237】
また、この変形例においても、刺激強度範囲として頻度範囲と振動量範囲との2種類の範囲が設定されている。しかしながら、ここにいう刺激強度範囲も、頻度範囲と振動量範囲との何れか1種類の範囲のみとしてもよく、あるいは、発生頻度や振動量以外の、振動の刺激の強度を示す何らかの指標を用いた範囲であってもよい。
【0238】
尚、本発明は、以上に説明した実施例や変形例に限定されるものではなく、本発明の目
的が達成できる他の構成等を含み、以下に示すような変形等も本発明に含まれる。
【0239】
例えば、上述した第1~第3実施例や変形例では、乗用車としての移動体の搭載される振動制御装置110,220,310が例示されている。しかしながら、振動制御装置が搭載される移動体は、乗用車に限るものではなく、二輪車や、トラックやバス等の大型車両等であってもよく、移動体の具体的な種類を問うものではない。
【0240】
また、上述した第1及び第3実施例や変形例では、移動体に搭載された振動制御装置110,310の生成部118で内部生成された振動信号を取得する振動信号取得部111が例示されている。また、上述した第2実施例では、移動体に搭載された記憶部210から振動信号を読み出して取得する振動信号取得部221が例示されている。しかしながら、振動信号取得部はこれらに限るものではなく、例えば移動体外部のサーバ上で生成された振動信号を、無線ネットワークを介して取得するものであってもよい。あるいは、サーバ上に構築された記憶部から振動信号を、無線ネットワークを介して読み出して取得するものであってもよい。