(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023060410
(43)【公開日】2023-04-28
(54)【発明の名称】空調システム
(51)【国際特許分類】
F24F 11/84 20180101AFI20230421BHJP
F24F 11/63 20180101ALI20230421BHJP
F24F 11/46 20180101ALI20230421BHJP
F24F 110/10 20180101ALN20230421BHJP
F24F 110/12 20180101ALN20230421BHJP
【FI】
F24F11/84
F24F11/63
F24F11/46
F24F110:10
F24F110:12
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021169996
(22)【出願日】2021-10-18
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-04-26
(71)【出願人】
【識別番号】000220262
【氏名又は名称】東京瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000936
【氏名又は名称】弁理士法人青海国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 雄仁
【テーマコード(参考)】
3L260
【Fターム(参考)】
3L260AB06
3L260BA41
3L260CA12
3L260CA32
3L260CB35
3L260EA19
3L260EA22
3L260FA10
3L260FB25
(57)【要約】
【課題】熱源機およびポンプのエネルギー使用量を抑制しつつ、空調対象空間の空調を適切に行う。
【解決手段】空調システム1は、熱源機30と、冷媒流路と、ポンプと、弁と、空調制御部92と、制御装置16と、を備え、弁の開度の上限値が、予め設定されており、弁の開度と、熱源機30から送出される冷媒の温度である冷媒送出温度とが、空調ユニット10の熱負荷ごとに関連付けられており、制御装置16は、空調ユニット10の現在の熱負荷に基づいて、熱源機30における冷媒送出温度の設定温度を、弁の開度が上限値以下となるような冷媒送出温度の範囲内において、熱源機30のエネルギー使用量とポンプのエネルギー使用量との合計である合計エネルギー使用量が最小となるような温度に設定する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒を供給する熱源機と、
前記熱源機と空調ユニットとの間で前記冷媒を循環させる冷媒流路と、
前記冷媒流路に設けられ、前記熱源機から前記空調ユニットに前記冷媒を送るポンプと、
前記冷媒流路に設けられ、前記冷媒の流量を変更可能な弁と、
前記空調ユニットによる空調対象空間の温度に基づいて、前記弁の開度を制御する空調制御部と、
制御装置と、
を備え、
前記弁の開度の上限値が、予め設定されており、
前記弁の開度と、前記熱源機から送出される前記冷媒の温度である冷媒送出温度とが、前記空調ユニットの熱負荷ごとに関連付けられており、
前記制御装置は、
前記空調ユニットの現在の熱負荷に基づいて、前記熱源機における前記冷媒送出温度の設定温度を、前記弁の開度が前記上限値以下となるような前記冷媒送出温度の範囲内において、前記熱源機のエネルギー使用量と前記ポンプのエネルギー使用量との合計である合計エネルギー使用量が最小となるような温度に設定する、
空調システム。
【請求項2】
前記制御装置は、
前記弁の開度の前記上限値と、
前記弁の開度と、前記冷媒送出温度と、前記合計エネルギー使用量とが、前記空調ユニットの熱負荷および外気温ごとに関連付けられたマップと、
が記憶された記憶部を有し、
前記空調ユニットの現在の熱負荷と、現在の外気温と、前記マップとに基づいて、前記熱源機における前記冷媒送出温度の設定温度を、前記弁の開度が前記上限値以下となるような前記冷媒送出温度の範囲内において、前記合計エネルギー使用量が最小となるような温度に設定する、
請求項1に記載の空調システム。
【請求項3】
前記制御装置は、
前記記憶部に記憶された前記マップのうち使用するマップを、前記現在の外気温および前記現在の熱負荷に基づいて選択し、
選択された前記マップから、前記弁の開度が前記上限値以下となる前記冷媒送出温度の範囲における前記合計エネルギー使用量を特定し、
特定された前記合計エネルギー使用量のうち最小となる合計エネルギー使用量に対応する前記冷媒送出温度に、前記熱源機における前記冷媒送出温度の設定温度を設定する、
請求項2に記載の空調システム。
【請求項4】
前記外気温、前記空調ユニットの熱負荷および前記冷媒送出温度を含むデータのセットが条件セットであり、
前記制御装置は、
前記条件セットの入力に応じて前記合計エネルギー使用量を予測する機械学習モデルに、特定の条件セットを入力することによって、前記特定の条件セットに対応する合計エネルギー使用量の予測値を導出し、
導出された前記合計エネルギー使用量の予測値により、前記マップにおける前記特定の条件セットに対応する前記合計エネルギー使用量を補間する、
請求項2または3に記載の空調システム。
【請求項5】
前記制御装置は、
前記弁の現在の開度が前記上限値以下の場合、前記空調ユニットの現在の熱負荷に基づいて、前記熱源機における前記冷媒送出温度の設定温度を、前記弁の開度が前記上限値以下となるような前記冷媒送出温度の範囲内において、前記合計エネルギー使用量が最小となるような温度に設定し、
前記弁の現在の開度が前記上限値より大きい場合、前記熱源機における前記冷媒送出温度の設定温度を、予め設定された基準温度に設定する、請求項1から4のいずれか1項に記載の空調システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空調システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、熱源機で冷却された熱媒体がポンプによって空調ユニットに供給され、空調ユニットにおいて熱媒体と空調対象空間の空気との熱交換が行われることで、空調対象空間の空調を行う空調システムが開示されている。かかる空調システムでは、ポンプの使用エネルギーと熱源機の使用エネルギーとの和の中から、これを最小とする熱源状態が決定され、決定された熱源状態により熱源機が制御される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、空調システムでは、熱媒体の流路に空調自動弁が設けられ、当該空調自動弁の開度制御により、空調対象空間の温度が制御される。特許文献1のように、単純に、ポンプの使用エネルギーと熱源機の使用エネルギーとの和が最小となるように熱源機が制御されると、例えば、空調自動弁の開度が100%で固定されるような空調自動弁の開度制御が不能な熱源状態で熱源機が制御されるおそれがある。空調自動弁の開度制御が不能となると、空調対象空間の空調を適切に行うことができなくなる。
【0005】
本発明は、このような課題に鑑み、熱源機およびポンプのエネルギー使用量を抑制しつつ、空調対象空間の空調を適切に行うことが可能な空調システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の空調システムは、冷媒を供給する熱源機と、熱源機と空調ユニットとの間で冷媒を循環させる冷媒流路と、冷媒流路に設けられ、熱源機から空調ユニットに冷媒を送るポンプと、冷媒流路に設けられ、冷媒の流量を変更可能な弁と、空調ユニットによる空調対象空間の温度に基づいて、弁の開度を制御する空調制御部と、制御装置と、を備え、弁の開度の上限値が、予め設定されており、弁の開度と、熱源機から送出される冷媒の温度である冷媒送出温度とが、空調ユニットの熱負荷ごとに関連付けられており、制御装置は、空調ユニットの現在の熱負荷に基づいて、熱源機における冷媒送出温度の設定温度を、弁の開度が上限値以下となるような冷媒送出温度の範囲内において、熱源機のエネルギー使用量とポンプのエネルギー使用量との合計である合計エネルギー使用量が最小となるような温度に設定する。
【0007】
また、制御装置は、弁の開度の上限値と、弁の開度と、冷媒送出温度と、合計エネルギー使用量とが、空調ユニットの熱負荷および外気温ごとに関連付けられたマップと、が記憶された記憶部を有し、空調ユニットの現在の熱負荷と、現在の外気温と、マップとに基づいて、熱源機における冷媒送出温度の設定温度を、弁の開度が前限値以下となるような冷媒送出温度の範囲内において、合計エネルギー使用量が最小となるような温度に設定するようにしてもよい。
【0008】
また、制御装置は、記憶部に記憶されたマップのうち使用するマップを、現在の外気温および現在の熱負荷に基づいて選択し、選択されたマップから、弁の開度が上限値以下となる冷媒送出温度の範囲における合計エネルギー使用量を特定し、特定された合計エネルギー使用量のうち最小となる合計エネルギー使用量に対応する冷媒送出温度に、熱源機における冷媒送出温度の設定温度を設定するようにしてもよい。
【0009】
また、外気温、空調ユニットの熱負荷および冷媒送出温度を含むデータのセットが条件セットであり、制御装置は、条件セットの入力に応じて合計エネルギー使用量を予測する機械学習モデルに、特定の条件セットを入力することによって、特定の条件セットに対応する合計エネルギー使用量の予測値を導出し、導出された合計エネルギー使用量の予測値により、マップにおける特定の条件セットに対応する合計エネルギー使用量を補間するようにしてもよい。
【0010】
また、制御装置は、弁の現在の開度が上限値以下の場合、空調ユニットの現在の熱負荷に基づいて、熱源機における冷媒送出温度の設定温度を、弁の開度が上限値以下となるような冷媒送出温度の範囲内において、合計エネルギー使用量が最小となるような温度に設定し、弁の現在の開度が上限値より大きい場合、熱源機における冷媒送出温度の設定温度を、予め設定された基準温度に設定するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、熱源機およびポンプのエネルギー使用量を抑制しつつ、空調対象空間の空調を適切に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、本実施形態にかかる空調システムの構成を示す概略図である。
【
図2】
図2は、熱源機のエネルギー使用量、冷水2次ポンプのエネルギー使用量および合計エネルギー使用量の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、システム制御部の動作の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、発明の理解を容易にするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0014】
図1は、本実施形態にかかる空調システム1の構成を示す概略図である。本実施形態の空調システム1は、空調ユニット10、冷熱源ユニット12、空調自動弁14および制御装置16を含む。
【0015】
空調ユニット10は、冷却コイル20を含む。冷却コイル20は、冷熱源ユニット12に接続される。冷熱源ユニット12は、熱源機30、第1ヘッダ32、第2ヘッダ34、冷水1次ポンプ36および冷水2次ポンプ38を含む。
【0016】
熱源機30は、例えば、冷熱源として機能する冷凍機である。熱源機30は、冷媒(熱媒体)の一例である冷水が流通する冷水流路40(冷媒流路)を通じて、空調ユニット10の冷却コイル20に接続される。冷水は、冷水流路40を通じて熱源機30と冷却コイル20との間で循環する。熱源機30は、冷却コイル20から送られる使用後の冷水を冷却し、冷却後の冷水を冷却コイル20に供給する。
【0017】
空調ユニット10は、空調の対象となる空調対象空間42の空気を取得する。以後、空調対象空間42から取得された空気を、還気と呼ぶ場合がある。また、空調ユニット10は、外気を取得する。空調ユニット10では、取得した還気と外気とが混合される。冷却コイル20は、還気と外気とが混合された混合気と、熱源機30で冷却された冷水とを熱交換して、当該混合気を冷却する。空調ユニット10は、冷却した当該混合気を空調対象空間42に送出する。
【0018】
第1ヘッダ32、第2ヘッダ34、冷水1次ポンプ36、冷水2次ポンプ38は、冷水流路40に設けられる。
【0019】
ここで、熱源機30における冷水の送出口を、熱源機30の出口50と呼ぶ場合があり、熱源機30における冷水の送入口を、熱源機30の入口52と呼ぶ場合がある。また、冷却コイル20における冷水の送出口を、冷却コイルの出口54と呼ぶ場合があり、冷却コイル20における冷水の送入口を、冷却コイル20の入口56と呼ぶ場合がある。
【0020】
第1ヘッダ32は、冷却コイル20の出口54と熱源機の入口52との間に設けられる。第1ヘッダ32は、冷水のバッファとされる。冷水1次ポンプ36は、第1ヘッダ32と熱源機30の入口52との間に設けられる。冷水1次ポンプ36には、冷水1次ポンプインバータ60が電気的に接続される。冷水1次ポンプインバータ60は、冷水1次ポンプ36に供給する電力の周波数に対応する回転数で冷水1次ポンプ36を駆動させる。冷水1次ポンプ36は、冷却コイル20で使用後の冷水を第1ヘッダ32から引き込み、当該冷水を熱源機30に送る。
【0021】
第2ヘッダ34は、熱源機30の出口50と冷却コイル20の入口56との間に設けられる。第2ヘッダ34は、冷水のバッファとされる。冷水2次ポンプ38は、第2ヘッダ34と冷却コイル20の入口56との間に設けられる。冷水2次ポンプ38には、冷水2次ポンプインバータ62が電気的に接続される。冷水2次ポンプインバータ62は、冷水2次ポンプ38に供給する電力の周波数に対応する回転数で冷水2次ポンプ38を駆動させる。冷水2次ポンプ38は、熱源機30で冷却後の冷水を第2ヘッダ34から引き込み、当該冷水を冷却コイル20に送る。
【0022】
なお、空調ユニット10が複数並列に設けられてもよい。その場合、第2ヘッダ34と各々の冷却コイル20の入口との間に冷水流路40の分流部64が設けられ、冷水2次ポンプ38は、第2ヘッダ34と分流部64との間に設けられる。
【0023】
空調自動弁14は、冷水流路40における冷却コイル20の出口54と第1ヘッダ32との間に設けられる。なお、空調ユニット10が複数設けられる場合、各々の冷却コイル20の出口54と第1ヘッダ32との間に冷水流路40の合流部66が設けられ、空調自動弁14は、各々の冷却コイル20の出口54と合流部66との間に、それぞれ設けられる。空調自動弁14は、冷水流路40の開度を変更可能となっている。
【0024】
空調システム1には、外気温センサ70、圧力センサ72、入口温度センサ74、出口温度センサ76および流量センサ78が設けられる。外気温センサ70は、例えば、空調ユニット10の外気取得口の近傍に設置され、設置された位置における外気温を検出する。
【0025】
圧力センサ72は、冷水流路40における冷水2次ポンプ38と冷却コイル20との間に設けられる。なお、空調ユニット10が複数設けられる場合、圧力センサ72は、冷水2次ポンプと分流部64との間に設けられる。圧力センサ72は、設置された位置において、冷水流路40内の冷水の圧力を検出する。
【0026】
入口温度センサ74は、熱源機30の入口52に設けられ、熱源機30の入口52における冷水の温度を検出する。出口温度センサ76は、熱源機30の出口50に設けられ、熱源機30の出口50における冷水の温度を検出する。
【0027】
流量センサ78は、例えば、冷水流路40における熱源機30の出口50と第2ヘッダ34との間に設けられる。流量センサ78は、冷水流路40を流通する冷水の流量を検出する。
【0028】
制御装置16は、記憶部80およびシステム制御部82を含む。記憶部80は、不揮発性の記憶素子で構成される。記憶部80に記憶されるデータについては、後に詳述する。
【0029】
システム制御部82は、中央処理装置、プログラム等が格納されたROM、ワークエリアとしてのRAM等を含む半導体集積回路から構成されるコンピュータである。システム制御部82は、プログラムを実行することで、空調システム1全体を制御する。
【0030】
ここで、熱源機30から送出される冷媒(冷水)の温度を、冷媒送出温度と呼ぶ場合がある。システム制御部82は、冷媒送出温度の設定値を熱源機30の設定温度として熱源機30を制御する。
【0031】
また、空調システム1では、図示を省略するが、熱源機電力量計およびポンプ電力量計が設けられる。熱源機電力量計は、例えば、熱源機30に設けられ、熱源機30の消費電力量を測定する。熱源機30の消費電力量は、熱源機30のエネルギー使用量に相当する。ポンプ電力量計は、例えば、冷水2次ポンプ38を駆動する冷水2次ポンプインバータ62に設けられ、冷水2次ポンプ38の消費電力量を測定する。冷水2次ポンプ38の消費電力量は、冷水2次ポンプ38のエネルギー使用量に相当する。
【0032】
ここで、熱源機30のエネルギー使用量と、冷水2次ポンプ38のエネルギー使用量とを合計したエネルギー使用量を、合計エネルギー使用量と呼ぶ場合がある。
【0033】
図2は、熱源機30のエネルギー使用量、冷水2次ポンプ38のエネルギー使用量および合計エネルギー使用量の一例を示す図である。
図2において、一点鎖線A10は、熱源機30のエネルギー使用量の一例である。二点鎖線A11は、冷水2次ポンプ38のエネルギー使用量の一例である。実線A12は、合計エネルギー使用量の一例である。
【0034】
図2で示すように、冷媒送出温度が高くなるほど、熱源機30のエネルギー使用量は減少するが、冷水2次ポンプのエネルギー使用量は増加する。このため、合計エネルギー使用量は、
図2で示すように、冷媒送出温度に対して放物線のように変化する。システム制御部82は、このような合計エネルギー使用量に基づいて、熱源機30の設定温度を決定する。熱源機30の設定温度の決定については、後述する。
【0035】
図1に戻って、システム制御部82は、圧力センサ72の圧力が一定となるように、冷水2次ポンプインバータ62を介して冷水2次ポンプ38の回転数を制御する。
【0036】
空調システム1は、空調温度センサ90および空調制御部92を含む。空調温度センサ90は、例えば、サーモスタットである。空調温度センサ90は、空調対象空間42に設けられ、空調対象空間42の温度を検出する。
【0037】
空調制御部92は、例えば、空調対象空間42の温度を調節する調節計である。空調制御部92には、空調対象空間42の目標温度が設定される。空調制御部92は、空調対象空間42の温度が目標温度で維持されるように、空調自動弁14の開度を制御する。
【0038】
より詳細には、空調制御部92は、空調温度センサ90による空調対象空間42の現在の温度と目標温度との差分に基づいて、空調自動弁14の開度を決定する。空調制御部92は、決定した開度を示す開度指令を、空調自動弁14に送信する。空調自動弁14は、受信した開度指令が示す開度となるように、開度を変更する。
【0039】
例えば、空調制御部92は、空調温度センサ90による空調対象空間42の現在の温度が目標温度より高い場合、現在の温度と目標温度との差分に従って、空調自動弁14の開度を大きくする。空調自動弁14の開度が増加すると、圧力センサ72の圧力が低下する方向に変化しようとする。システム制御部82は、圧力センサ72の圧力が一定となるように、冷水2次ポンプ38の回転数を上昇させる。冷水2次ポンプの回転数の上昇により、圧力センサ72の圧力の低下が抑制され、圧力センサ72の圧力が一定に維持される。
【0040】
一方、空調制御部92は、空調温度センサ90による空調対象空間42の現在の温度が目標温度より低い場合、現在の温度と目標温度との差分に従って、空調自動弁14の開度を小さくする。空調自動弁14の開度が減少すると、圧力センサ72の圧力が上昇する方向に変化しようとする。システム制御部82は、圧力センサ72の圧力が一定となるように、冷水2次ポンプ38の回転数を低下させる。冷水2次ポンプ38の回転数の低下により、圧力センサ72の圧力の上昇が抑制され、圧力センサ72の圧力が一定に維持される。
【0041】
また、空調制御部92は、空調自動弁14に送信した開度指令と同じ開度指令を、制御装置16にも送信する。制御装置16のシステム制御部82は、空調制御部92から受信した開度指令に基づいて、熱源機30の設定温度を決定する。
【0042】
ここで、制御装置16の記憶部80には、所定の設定マップが予め記憶されている。設定マップでは、冷媒送出温度と、空調自動弁14の開度と、合計エネルギー使用量とが、外気温および空調ユニット10の熱負荷ごとに関連付けられている。
【0043】
図3は、設定マップの一例を示す。設定マップは、外気温および空調ユニット10の熱負荷の組み合わせごとに準備される。
図3(a)は、外気温が25℃であり、熱負荷が400kWのときの設定マップの一例である。
図3(b)は、外気温が25℃であり、熱負荷が300kWのときの設定マップの一例である。なお、設定マップは、この例に限らず、外気温および熱負荷の任意の組み合わせごとに準備される。
【0044】
図3(a)および
図3(b)の横軸で示すように、設定マップでは、空調自動弁14の開度と冷媒送出温度とが、外気温および熱負荷ごとに関連付けられている。例えば、
図3(a)の設定マップでは、冷媒送出温度が7℃のとき開度が60%であり、冷媒送出温度が8℃のとき開度が75%であり、冷媒送出温度が9℃のとき開度が90%であり、冷媒送出温度が10℃のとき開度が100%となっている。一方、
図3(b)の設定マップでは、冷媒送出温度が7℃のとき開度が70%であり、冷媒送出温度が8℃のとき開度が90%であり、冷媒送出温度が9℃のとき開度が100%となっている。このように、開度と冷媒送出温度との対応付けは、外気温および熱負荷ごとに異なっている。
【0045】
システム制御部82は、このような設定マップに基づいて、熱源機30における設定温度を決定する。具体的には、システム制御部82は、外気温センサ70により現在の外気温を取得する。また、システム制御部82は、入口温度センサ74によって熱源機30の入口52の現在の温度を取得し、出口温度センサ76によって熱源機30の出口50の現在の温度を取得する。システム制御部82は、入口52の温度と出口50の温度との温度差を導出する。システム制御部82は、当該温度差と冷水の現在の流量とを乗算して、空調ユニット10の現在の熱負荷を導出する。システム制御部82は、現在の外気温および現在の熱負荷に基づいて、記憶部80に記憶されている複数の設定マップのうち、使用する設定マップを選択する。例えば、現在の外気温が25℃であり、現在の熱負荷が400kWである場合、
図3(a)の設定マップが選択される。そして、システム制御部82は、選択された設定マップを使用して、熱源機30における設定温度を決定する。
【0046】
ここで、
図3(a)および
図3(b)の点P10は、冷媒送出温度の全範囲において、合計エネルギー使用量が最小となるときの、冷媒送出温度と合計エネルギー使用量との交点を示す。例えば、点P10で示すように、単純に、合計エネルギー使用量が最小となる冷媒送出温度を、熱源機30における設定温度とすることが考えられる。しかし、この方法では、
図3(b)の点P10で示すように、空調自動弁14の開度が100%を超える冷媒送出温度(例えば、9℃と10℃との間の冷媒送出温度)が、熱源機30における設定温度とされることがある。このような場合、空調自動弁14の開度が100%で固定されてしまう。そうすると、空調自動弁14は、それ以上開くことができなくなるため、空調自動弁14の開度制御が不能となる。その結果、空調対象空間42の空調に支障が生じ、空調対象空間42の空調が適切に行われなくなる。
【0047】
そこで、制御装置16の記憶部80には、空調自動弁14の開度の上限値(すなわち、上限閾値)が予め設定されている。当該上限値は、空調自動弁14の構造的な実際の上限(例えば、開度100%)よりも小さい所定値に設定され、開度を意図的に制限するために設定される。当該上限値は、例えば、50%以上100%未満の範囲内の所定値に設定される。当該上限値は、例えば、90%などであるが、任意の値に設定することができる。
【0048】
開度の上限値が90%であるとして、
図3(a)の矢印A20および
図3(b)の矢印A21で示す範囲は、開度が上限値以下となる冷媒送出温度の範囲である。開度が上限値以下となる冷媒送出温度の範囲は、設定マップによって異なる、すなわち、外気温および熱負荷によって異なる。
【0049】
システム制御部82は、現在の外気温および熱負荷に基づいて選択された設定マップから、空調自動弁14の開度が上限値以下となる冷媒送出温度の範囲における合計エネルギー使用量を特定する。例えば、
図3(a)の設定マップが選択された場合、システム制御部82は、
図3(a)の矢印A20の範囲内の冷媒送出温度の各値に対応する合計エネルギー使用量の各値を、それぞれ特定する。また、
図3(b)の設定マップが選択された場合、システム制御部82は、
図3(b)の矢印A21の範囲内の冷媒送出温度の各値に対応する合計エネルギー使用量の各値を、それぞれ特定する。
【0050】
システム制御部82は、特定された合計エネルギー使用量のうち、最小となる合計エネルギー使用量に対応する冷媒送出温度を、熱源機30における設定温度とする。例えば、
図3(a)の設定マップでは、矢印A20の範囲内で、点P20で示すように、開度90%のときの合計エネルギー使用量が最小となっている。このため、
図3(a)の設定マップが選択された場合、開度90%に対応する冷媒送出温度9℃が、熱源機30における設定温度に決定される。また、
図3(b)の設定マップでは、矢印A21の範囲内で、点P21で示すように、開度90%のときの合計エネルギー使用量が最小となっている。このため、
図3(b)の設定マップが選択された場合、開度90%に対応する冷媒送出温度8℃が、熱源機30における設定温度に決定される。
【0051】
このように、システム制御部82は、空調自動弁14の開度が上限値以下の範囲内で、合計エネルギー使用量が最小となる冷媒送出温度を、熱源機30における設定温度に決定する。空調自動弁14の開度が100%とならないように設定温度が決定されるため、空調自動弁14の開度に余裕がある。これにより、システム制御部82は、合計エネルギー使用量を抑えつつ、空調自動弁14の開度制御が不能になることを回避し、空調自動弁14による開度制御が可能な状態を維持することができる。
【0052】
なお、
図3(a)の設定マップでは、冷媒送出温度の全範囲における合計エネルギー使用量の最小値(点P10)が、開度の上限値(例えば、90%)に対応する冷媒送出温度(例えば、9℃)より高い、冷媒送出温度9℃から冷媒送出温度10℃の間にある。このような場合、開度が上限値以下の範囲内の合計エネルギーの使用量の最小値(点P10)は、冷媒送出温度の全範囲における合計エネルギー使用量の最小値(点P20)と比較すると高くなる。しかし、システム制御部82は、空調自動弁14の開度制御が可能な状態を維持することを優先し、合計エネルギー使用量が少し高くなることを許容する。
【0053】
一方、仮に、開度の上限値に対応する冷媒送出温度が比較的高く、冷媒送出温度の全範囲における合計エネルギー使用量の最小値(点P10)が、開度の上限値以下の冷媒送出温度の範囲内にあるような設定マップがあるとする。このような設定マップでは、開度が上限値以下の範囲内における合計エネルギー使用量の最小値は、冷媒送出温度の全範囲における合計エネルギー使用量の最小値と、同じ値になる。
【0054】
また、
図3(a)および
図3(b)で例示する設定マップは、例えば、種々の外気温および熱負荷のときに、冷媒送出温度を意図的に変化させて、それぞれの冷媒送出温度に対応する合計エネルギー使用量を実測してプロットしていくことで作成される。すなわち、
図3(a)および
図3(b)の実線A12は、これらプロットした値を最小二乗法などにより線状に示したものである。
【0055】
設定マップを作成する際、外気温、熱負荷、冷媒送出温度および開度がそれぞれ1つ決まると、それらに対応する合計エネルギー使用量のプロットが1つ決まる。このように、プロットを取得するには、条件が多く、実際の測定結果のみから設定マップを作成するには、労力がかかる。
【0056】
そこで、システム制御部82は、実際の測定結果に基づいた複数のプロット(合計エネルギー使用量の実測値)を利用して機械学習モデルを生成してもよい。そして、システム制御部82は、その機械学習モデルにより、相違なる複数の条件での合計エネルギー使用量を予測し、当該合計エネルギー使用量の予測値を利用して、設定マップの複数のプロット間の合計エネルギー使用量を補間してもよい。
【0057】
より詳細には、外気温、熱負荷、冷媒送出温度を含むデータのセットを条件セットとする。システム制御部82は、当該条件セットおよび合計エネルギー使用量の各々の実測値を教師データとして機械学習を行って機械学習モデルを生成する。機械学習については、例えば、ディープラーニングなど、既存の任意の学習方法を用いることができる。機械学習モデルは、特定の条件セットの入力に応じて、当該特定の条件セットに対応する合計エネルギー使用量を予測するものである。
【0058】
システム制御部82は、生成済の機械学習モデルに、特定の条件セットを入力して、当該特定の条件セットに対応する合計エネルギー使用量の予測値を導出する。システム制御部82は、導出された合計エネルギー使用量の予測値により、設定マップにおける当該特定の条件セットに対応する合計エネルギー使用量を補間する。
【0059】
これにより、設定マップにおける合計エネルギー使用量のプロットの数が増え、システム制御部82は、合計エネルギー使用量の実際の測定結果が少なくても、より正確な設定マップを作成することができる。また、設定マップにおける合計エネルギー使用量を補間することで、設定マップを作成するための合計エネルギー使用量の実測を削減することができ、設定マップの作成の労力を軽減することができる。
【0060】
なお、合計エネルギー使用量は、上述のように、外気温、熱負荷および冷媒送出温度に関連している。このため、外気温、熱負荷および冷媒送出温度を含む特定の条件セットから、機械学習モデルを用いて合計エネルギー使用量を予測することができる。
【0061】
また、システム制御部82は、空調自動弁14の開度が上限値以下となる条件の下に合計エネルギー使用量の最小値を決定するため、空調自動弁14の実際の開度は、基本的には、上限値以下で制御される。しかし、熱負荷が増加していくと、空調自動弁14の実際の開度が、上限値(例えば、90%)より大きい、例えば、95%になるなど、当該上限値を超えることがある。
【0062】
そこで、現在の開度が上限値を超えた場合、開度が100%で固定されることを防止するため、システム制御部82は、予め設定された基準温度を、熱源機30における設定温度に決定にする。基準温度は、開度の上限値に対応する冷媒送出温度よりも低い温度に設定される。例えば、基準温度は、冷凍機の一般的な設定温度である7℃であるとするが、開度の上限値を考慮して任意の温度に設定されてもよい。
【0063】
基準温度が設定温度に決定されると、実際の冷媒送出温度は、当該基準温度まで低下していく。そうすると、空調ユニット10における熱交換の能力が上昇し、増加した熱負荷に対応することができる。その結果、開度がさらに増加することを抑制することができ、開度が100%で固定されることを防止することができる。
【0064】
図4は、システム制御部82の動作の流れを示すフローチャートである。システム制御部82は、例えば、10分ごとなど、所定時間毎に
図4のフローチャートを繰り返し実行する。なお、所定時間は、10分に限らず、任意の時間に設定することができる。
【0065】
まず、システム制御部82は、空調制御部92から空調自動弁14の現在の開度を取得する(S10)。システム制御部82は、取得した開度が上限値以下であるか否かを判断する(S11)。
【0066】
取得した開度が上限値以下の場合(S11におけるYES)、システム制御部82は、外気温センサ70から現在の外気温(外気湿球温度)を取得する(S12)。次に、システム制御部82は、現在の熱負荷を導出する(S13)。具体的には、システム制御部82は、入口温度センサ74から入口52の現在の温度を取得し、出口温度センサ76から出口50の現在の温度を取得し、流量センサ78から現在の流量を取得する。システム制御部82は、取得した入口52の温度と出口50の温度との温度差を導出し、当該温度差と流量とを乗算して熱負荷を導出する。
【0067】
次に、システム制御部82は、現在の外気温および熱負荷から設定マップを選択する(S14)。システム制御部82は、選択した設定マップと開度の上限値とから、開度が上限値以下の範囲における合計エネルギー使用量を特定する(S15)。システム制御部82は、特定した合計エネルギー使用量のうちの最小値を決定する(S16)。システム制御部82は、決定された最小値に対応する冷媒送出温度を最適冷媒送出温度とする(S17)。システム制御部82は、当該最適冷媒送出温度を、熱源機30における設定温度に決定する(S18)。システム制御部82は、決定した設定温度の指令値を熱源機30に送信する(S19)。これにより、熱源機30は、受信した指令値が示す設定温度で動作する。つまり、熱源機30は、出口50から送出される冷水の温度が、上述の最適冷媒送出温度となるように動作する。
【0068】
また、ステップS11において、取得した開度が上限値より大きい場合(S11におけるNO)、システム制御部82は、予め設定された基準温度を、熱源機30における設定温度に決定にする(S20)。そして、システム制御部82は、決定した設定温度の指令値を熱源機30に送信する(S19)。これにより、熱源機30は、受信した指令値が示す設定温度で動作する。つまり、熱源機30は、出口50から送出される冷水の温度が、基準温度となるように動作する。
【0069】
このように、熱負荷が増加して、開度が上限値以下の状態から開度が上限値より大きい状態に変化したタイミングで、設定温度が、基準温度に変更される。これにより、熱源機30の設定温度が低下することになるため、実際の冷媒送出温度は、基準温度まで低下していく。システム制御部82は、熱負荷が増加しても、実際の冷媒送出温度を基準温度まで低下させることで、その熱負荷に対応することができる。
【0070】
また、設定温度が基準温度となっている状態から熱負荷が減少すると、空調自動弁14の開度が小さくなっていく。そして、開度が上限閾値以下となると、システム制御部82は、再度、ステップS12以降の処理に切り替わる。つまり、システム制御部82は、開度が上限値以下の範囲における合計エネルギー使用量が最小となる冷媒送出温度(すなわち、最適冷媒送出温度)を、熱源機30における設定温度に決定する。
【0071】
以上のように、本実施形態の空調システム1のシステム制御部82は、空調ユニット10の現在の熱負荷に基づいて、熱源機30における冷媒送出温度の設定温度を、空調自動弁14の開度が上限値以下となるような冷媒送出温度の範囲内において、合計エネルギー使用量が最小となるような温度に設定する。これにより、本実施形態の空調システム1では、空調自動弁14の開度が上限値以下となるように熱源機30が制御されるため、空調自動弁14の開度制御が不能になることを回避することができる。また、本実施形態の空調システム1では、空調自動弁14の開度が上限値以下の条件の下で、合計エネルギー使用量を最小とすることができる。
【0072】
したがって、本実施形態の空調システム1によれば、熱源機30およびポンプのエネルギー使用量を抑制しつつ、空調対象空間42の空調を適切に行うことが可能となる。
【0073】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0074】
例えば、上記実施形態の空調システム1では、1つの熱源機30が含まれていた。しかし、熱源機30の数は、1つに限らず、複数であってもよい。例えば、複数の熱源機30は並列に設けられ、熱源機30の各々の出口50は、共通の第2ヘッダ34に接続され、熱源機30の各々の入口52は、各々の冷水1次ポンプ36を通じて共通の第1ヘッダ32に接続されてもよい。この例では、冷水2次ポンプ38は1つでもよい。この例では、複数の熱源機30の各々のエネルギー使用量と、1つの冷水2次ポンプ38のエネルギー使用量との合計が、合計エネルギー使用量となる。システム制御部82は、空調自動弁14の開度が上限値以下となるような冷媒送出温度の範囲内において、各々の熱源機30における冷媒送出温度の設定温度を、合計エネルギー使用量が最小となるような温度に設定する。この例においても、熱源機30およびポンプのエネルギー使用量を抑制しつつ、空調対象空間42の空調を適切に行うことが可能となる。
【符号の説明】
【0075】
1 空調システム
10 空調ユニット
14 空調自動弁
16 制御装置
30 熱源機
38 冷水2次ポンプ
40 冷水流路
80 記憶部
92 空調制御部
【手続補正書】
【提出日】2022-02-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒を供給する熱源機と、
前記熱源機と空調ユニットとの間で前記冷媒を循環させる冷媒流路と、
前記冷媒流路に設けられ、前記熱源機から前記空調ユニットに前記冷媒を送るポンプと、
前記冷媒流路に設けられ、前記冷媒の流量を変更可能な弁と、
前記空調ユニットによる空調対象空間の温度に基づいて、前記弁の開度を制御する空調制御部と、
制御装置と、
を備え、
前記制御装置は、
前記弁の開度の上限値と、
前記弁の開度と、前記熱源機から送出される前記冷媒の温度である冷媒送出温度と、前記熱源機のエネルギー使用量と前記ポンプのエネルギー使用量との合計である合計エネルギー使用量とが、前記空調ユニットの熱負荷および外気温ごとに関連付けられたマップと、
が記憶された記憶部を有し、
前記空調ユニットの現在の熱負荷と、現在の外気温と、前記マップとに基づいて、前記熱源機における前記冷媒送出温度の設定温度を、前記弁の開度が前記上限値以下となるような前記冷媒送出温度の範囲内において、前記合計エネルギー使用量が最小となるような温度に設定する、
空調システム。
【請求項2】
前記制御装置は、
前記記憶部に記憶された前記マップのうち使用するマップを、前記現在の外気温および前記現在の熱負荷に基づいて選択し、
選択された前記マップから、前記弁の開度が前記上限値以下となる前記冷媒送出温度の範囲における前記合計エネルギー使用量を特定し、
特定された前記合計エネルギー使用量のうち最小となる合計エネルギー使用量に対応する前記冷媒送出温度に、前記熱源機における前記冷媒送出温度の設定温度を設定する、
請求項1に記載の空調システム。
【請求項3】
前記外気温、前記空調ユニットの熱負荷および前記冷媒送出温度を含むデータのセットが条件セットであり、
前記制御装置は、
前記条件セットの入力に応じて前記合計エネルギー使用量を予測する機械学習モデルに、特定の条件セットを入力することによって、前記特定の条件セットに対応する合計エネルギー使用量の予測値を導出し、
導出された前記合計エネルギー使用量の予測値により、前記マップにおける前記特定の条件セットに対応する前記合計エネルギー使用量を補間する、
請求項1または2に記載の空調システム。
【請求項4】
前記制御装置は、
前記弁の現在の開度が前記上限値以下の場合、前記空調ユニットの現在の熱負荷に基づいて、前記熱源機における前記冷媒送出温度の設定温度を、前記弁の開度が前記上限値以下となるような前記冷媒送出温度の範囲内において、前記合計エネルギー使用量が最小となるような温度に設定し、
前記弁の現在の開度が前記上限値より大きい場合、前記熱源機における前記冷媒送出温度の設定温度を、予め設定された基準温度に設定する、請求項1から3のいずれか1項に記載の空調システム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の空調システムは、冷媒を供給する熱源機と、熱源機と空調ユニットとの間で冷媒を循環させる冷媒流路と、冷媒流路に設けられ、熱源機から空調ユニットに冷媒を送るポンプと、冷媒流路に設けられ、冷媒の流量を変更可能な弁と、空調ユニットによる空調対象空間の温度に基づいて、弁の開度を制御する空調制御部と、制御装置と、を備え、制御装置は、弁の開度の上限値と、弁の開度と、熱源機から送出される冷媒の温度である冷媒送出温度と、熱源機のエネルギー使用量とポンプのエネルギー使用量との合計である合計エネルギー使用量とが、空調ユニットの熱負荷および外気温ごとに関連付けられたマップと、が記憶された記憶部を有し、空調ユニットの現在の熱負荷と、現在の外気温と、マップとに基づいて、熱源機における冷媒送出温度の設定温度を、弁の開度が上限値以下となるような冷媒送出温度の範囲内において、合計エネルギー使用量が最小となるような温度に設定する。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】削除
【補正の内容】