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特開2023-60412キャリアテープロール体製造装置、部品供給装置、部品実装システムおよびキャリアテープロール体製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023060412
(43)【公開日】2023-04-28
(54)【発明の名称】キャリアテープロール体製造装置、部品供給装置、部品実装システムおよびキャリアテープロール体製造方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/02 20060101AFI20230421BHJP
   B65H 18/10 20060101ALI20230421BHJP
   B65H 16/04 20060101ALI20230421BHJP
【FI】
H05K13/02 D
B65H18/10
B65H16/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】26
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021170003
(22)【出願日】2021-10-18
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100131495
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 健児
(72)【発明者】
【氏名】石谷 泰行
(72)【発明者】
【氏名】小原 啓史
(72)【発明者】
【氏名】上山口 潤
【テーマコード(参考)】
3F052
3F055
5E353
【Fターム(参考)】
3F052AA03
3F052BA24
3F052BA25
3F052CA01
3F052CA08
3F052DA05
3F052DA10
3F052DA15
3F055AA05
3F055BA25
3F055CA01
3F055CA09
3F055CA26
3F055CA28
3F055DA03
3F055DA26
3F055FA05
3F055FA11
5E353AA02
5E353BB01
5E353EE33
5E353HH24
5E353HH26
5E353HH29
5E353HH30
5E353HH40
5E353JJ21
5E353JJ42
5E353JJ48
5E353MM04
5E353MM08
5E353QQ01
(57)【要約】
【課題】終端処理が施されたキャリアテープロール体を容易に製造することができるキャリアテープロール体製造装置、部品供給装置、部品実装システムおよびキャリアテープロール体製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】キャリアテープロール体製造装置18が、元リールからキャリアテープCTを終端まで引き出す引出し部42と、引出し部42によって引き出されたキャリアテープCTを終端側から巻き戻す巻戻し部43を備える。巻戻し部43は、引出し部42によって引き出されたキャリアテープCTの終端側の部品を含まない領域である終端剰余部を除去したうえで、新たな終端側からキャリアテープCTを巻き戻す。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャリアテープがロール状に巻かれたキャリアテープロール体を製造するキャリアテープロール体製造装置であって、
キャリアテープが巻き付けられた元リールからキャリアテープを終端まで引き出す引出し部と、
前記引出し部によって引き出されたキャリアテープを終端側から巻き戻す巻戻し部と、
を備えたキャリアテープロール体製造装置。
【請求項2】
前記巻戻し部は、前記引出し部によって引き出されたキャリアテープの終端が取り付けられる巻取り体と、前記巻取り体を保持する巻取り体保持部を備え、前記巻取り体保持部を回転させて前記キャリアテープを前記巻取り体に巻き戻す、請求項1に記載のキャリアテープロール体製造装置。
【請求項3】
前記引出し部は、引出し部巻芯と、前記引出し部巻芯を駆動して前記元リールからキャリアテープを引出し部巻芯に巻き取る第1モータと、を備え、前記巻戻し部は、前記引出し部巻芯に巻き取られたキャリアテープを巻き戻す、請求項1または2に記載のキャリアテープロール体製造装置。
【請求項4】
前記引出し部巻芯の幅は、キャリアテープの幅に応じて調整される、請求項3に記載のキャリアテープロール体製造装置。
【請求項5】
前記引出し部と前記巻戻し部の間を移動するキャリアテープの端部の位置を検出するテープ端部位置検出部と、前記テープ端部位置検出部の検出結果に基づいて前記第1モータを制御する第1モータ制御部と、を備えた請求項3または4に記載のキャリアテープロール体製造装置。
【請求項6】
前記テープ端部位置検出部は、前記引出し部と前記巻戻し部の間を移動するキャリアテープ内の部品が所定位置を通過する数をカウントする部品カウンタを備え、前記部品カウンタによりカウントされる部品の数に基づいてキャリアテープの端部の位置を算出する、請求項5に記載のキャリアテープロール体製造装置。
【請求項7】
前記テープ端部位置検出部によって検出されるキャリアテープの終端の位置に基づいて、前記引出し部巻芯がキャリアテープの巻取りを停止する停止位置に到達したか否かを判定する判定部を備え、前記第1モータ制御部は、前記判定部の判定部により、前記引出し部巻芯が前記停止位置に到達したと判定した場合に前記第1モータの作動を停止させる、請求項5または6に記載のキャリアテープロール体製造装置。
【請求項8】
前記第1モータ制御部は、前記テープ端部位置検出部によって検出されるキャリアテープの終端の位置に基づいて、前記引出し部巻芯が前記停止位置に近づいたことを検知した場合に前記第1モータの回転を減速させる、請求項7に記載のキャリアテープロール体製造装置。
【請求項9】
前記巻取り体保持部は前記巻取り体を着脱可能であり、前記巻戻し部は、前記巻取り体保持部を回転させる第2モータを有する、請求項2に記載のキャリアテープロール体製造装置。
【請求項10】
前記巻取り体は、前記引出し部によって前記元リールからキャリアテープが引き出されたあとの空のリールであり、前記巻戻し部は、前記巻取り体保持部に保持された前記空のリールにキャリアテープを巻き戻す、請求項2に記載のキャリアテープロール体製造装置。
【請求項11】
前記巻取り体は、キャリアテープ巻芯を有するリールであって前記キャリアテープ巻芯に巻き取ったキャリアテープから成るキャリアテープロール体を取り出せるように2つ以上の部分に分割可能な分割リールから成る、請求項2に記載のキャリアテープロール体製造装置。
【請求項12】
前記巻取り体は交換型巻芯から成り、前記巻戻し部は、前記巻取り体保持部に保持された前記交換型巻芯にキャリアテープを巻き戻す、請求項2に記載のキャリアテープロール体製造装置。
【請求項13】
前記交換型巻芯は、巻き取ったキャリアテープから成る前記キャリアテープロール体を抜き取り可能なように変形する、請求項12に記載のキャリアテープロール体製造装置。
【請求項14】
前記交換型巻芯から抜き取られたキャリアテープロール体を収納する収納容器を保持する収納容器保持部を備えた、請求項12または13に記載のキャリアテープロール体製造装置。
【請求項15】
前記巻取り体保持部に保持された前記交換型巻芯は、前記収納容器保持部に保持された前記収納容器内に位置し、前記巻戻し部は、前記収納容器内で前記交換型巻芯にキャリアテープを巻き戻す、請求項14に記載のキャリアテープロール体製造装置。
【請求項16】
前記巻取り体保持部は前記元リールを保持可能であり、前記引出し部は、前記巻取り体保持部に保持された前記元リールからキャリアテープを引き出す、請求項2に記載のキャリアテープロール体製造装置。
【請求項17】
前記引出し部が前記巻取り体保持部に保持された前記元リールからキャリアテープを引き出す際、前記第1モータ制御部は前記第1モータの回転を速度制御で制御し、前記第2モータを制御する第2モータ制御部は、前記第2モータを第1モータによる巻取り方向とは逆方向のトルクを発生させてキャリアテープの張力を保つトルク制御で制御する、請求項5~8のいずれかに記載のキャリアテープロール体製造装置。
【請求項18】
前記巻戻し部がキャリアテープを巻き戻す際、前記第2モータ制御部は前記第2モータの回転を速度制御で制御し、前記第1モータ制御部は、前記第1モータを前記第2モータによる巻取り方向とは逆方向のトルクを発生させてキャリアテープの張力を保つトルク制御で制御する、請求項17に記載のキャリアテープロール体製造装置。
【請求項19】
前記元リールを保持する元リール保持部を備え、前記引出し部は、前記元リール保持部が保持する前記元リールからキャリアテープを引き出す、請求項1または2に記載のキャリアテープロール体製造装置。
【請求項20】
前記巻取り体保持部は前記元リール保持部を兼ねる、請求項19に記載のキャリアテープロール体製造装置。
【請求項21】
前記引出し部および前記巻戻し部を含む作業部を複数備える、請求項1に記載のキャリアテープロール体製造装置。
【請求項22】
前記引出し部および前記巻戻し部を含む作業部は鉛直面から傾斜している、請求項1に記載のキャリアテープロール体製造装置。
【請求項23】
前記元リールは部品メーカーから出荷されたリールである、請求項1~22のいずれかに記載のキャリアテープロール体製造装置。
【請求項24】
部品を基板に実装する部品実装機に部品を供給する部品供給装置であって、
請求項1~22いずれかに記載のキャリアテープロール体製造装置により製造されたキャリアテープロール体から部品を供給する、部品供給装置。
【請求項25】
部品を供給する部品供給装置と、前記部品供給装置から供給された部品を基板に実装する実装ヘッドと、を有する少なくとも1つの部品実装機を備え、
前記部品供給装置は、請求項1~22のいずれかに記載のキャリアテープロール体製造装置により製造されたキャリアテープロール体から部品を供給する、部品実装システム。
【請求項26】
請求項1~23のいずれかに記載のキャリアテープロール体製造装置によりキャリアテープロール体を製造するキャリアテープロール体製造方法であって、
元リールに巻き付けられたキャリアテープを終端まで引き出す引出しステップと、
前記引出しステップで引き出したキャリアテープの終端側の部品を含まない領域である終端剰余部を除去処理する終端処理ステップと、
前記終端処理ステップで前記終端剰余部を除去処理したキャリアテープを新たな終端側からキャリアテープを巻き戻す巻戻しステップと、
を備えるキャリアテープロール体製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャリアテープをロール状に巻かれたキャリアテープロール体を製造するキャリアテープロール体製造装置、部品供給装置、部品実装システムおよびキャリアテープロール体製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、実装基板を製造する部品実装システムにおいて、部品実装機は、部品を供給する部品供給装置と、部品供給装置より供給される部品をピックアップして基板に実装する実装ヘッドを備えて構成されている。部品供給装置としては、キャリアテープを搬送して部品を所定位置に供給するテープフィーダが知られており、更に、キャリアテープのロードが自動でなされる構成のオートロードフィーダも公知である(例えば、下記の特許文献1)。オートロードフィーダでは、キャリアテープが部品切れとなる前に補充用のキャリアテープを取り付けておくと、先行するキャリアテープが排出されるのに合わせて補充用のキャリアテープが自動でロードされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-37966号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
テープフィーダにおいて使用されるキャリアテープはリールに巻かれた状態でメーカーから出荷されるが、そのキャリアテープの終端側には部品を含まない領域(終端剰余部)が設けられている。これは、主として、メーカーがキャリアテープをリールに対してロール状に巻き付けて製造するための技術的な要因に由来するものであるが、先行するキャリアテープを排出してから補充用のキャリアテープを自動でロードするオートロードフィーダでは、終端剰余部が長いと先行するキャリアテープの排出に要する時間が長くなり、補充用のキャリアテープがロードされるまでに時間がかかってしまう。このため現在、オートロードフィーダに適するように終端剰余部を除去する終端処理が施されたキャリアテープロール体(ロール状に巻かれたキャリアテープ)が求められている。
【0005】
そこで本発明は、終端処理が施されたキャリアテープロール体を容易に製造することができるキャリアテープロール体製造装置、部品供給装置、部品実装システムおよびキャリアテープロール体製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のキャリアテープロール体製造装置は、キャリアテープがロール状に巻かれたキャリアテープロール体を製造するキャリアテープロール体製造装置であって、キャリアテープが巻き付けられた元リールからキャリアテープを終端まで引き出す引出し部と、前記引出し部によって引き出されたキャリアテープを終端側から巻き戻す巻戻し部と、を備えた。
【0007】
本発明の部品供給装置は、部品を基板に実装する部品実装機に部品を供給する部品供給装置であって、上記本発明のキャリアテープロール体製造装置により製造されたキャリアテープロール体から部品を供給する。
【0008】
本発明の部品実装システムは、部品を供給する部品供給装置と、前記部品供給装置から供給された部品を基板に実装する実装ヘッドと、を有する少なくとも1つの部品実装機を備え、前記部品供給装置は、上記本発明のキャリアテープロール体製造装置により製造されたキャリアテープロール体から部品を供給する。
【0009】
本発明のキャリアテープロール体製造方法は、上記本発明のキャリアテープロール体製造装置によりキャリアテープロール体を製造するキャリアテープロール体製造方法であって、元リールに巻き付けられたキャリアテープを終端まで引き出す引出しステップと、前記引出しステップで引き出したキャリアテープの終端側の部品を含まない領域である終端剰余部を除去処理する終端処理ステップと、前記終端処理ステップで前記終端剰余部を除去処理したキャリアテープを新たな終端側からキャリアテープを巻き戻す巻戻しステップと、を備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、終端処理が施されたキャリアテープロール体を容易に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施の形態1における部品実装システムの概略構成図
図2】本発明の実施の形態1における部品実装システムが備える部品実装機の要部側面図
図3】本発明の実施の形態1における部品実装機が使用するキャリアテープの一部をテープフィーダおよびリールとともに示す斜視図
図4】本発明の実施の形態1におけるキャリアテープロール体製造装置の斜視図
図5】本発明の実施の形態1におけるキャリアテープロール体製造装置の正面図
図6】本発明の実施の形態1におけるキャリアテープロール体製造装置において使用される元リールの斜視図
図7】本発明の実施の形態1におけるキャリアテープロール体製造装置の制御系統を示すブロック図
図8】本発明の実施の形態1におけるキャリアテープロール体製造装置が備える作業部の斜視図
図9】本発明の実施の形態1におけるキャリアテープロール体製造装置が備える引出し部の一部分解側面図
図10】本発明の実施の形態1におけるキャリアテープロール体製造装置が備える引出し部巻芯ユニットの(a)背面図(b)側面図
図11】本発明の実施の形態1におけるキャリアテープロール体製造装置が備える引出し部の側面図
図12】本発明の実施の形態1におけるキャリアテープロール体製造装置の引出し部が備える第1回転軸の斜視図
図13】(a)(b)本発明の実施の形態1におけるキャリアテープロール体製造装置が備える引出し部巻芯の幅調整の説明図
図14】本発明の実施の形態1におけるキャリアテープロール体製造装置が備える作業部の斜視図
図15】本発明の実施の形態1におけるキャリアテープロール体製造装置が備える巻戻し部の一部分解側面図
図16】本発明の実施の形態1におけるキャリアテープロール体製造装置が備える巻戻し部の側面図
図17】本発明の実施の形態1におけるキャリアテープロール体製造装置が備える作業部の斜視図
図18】(a)(b)(c)本発明の実施の形態1におけるキャリアテープロール体製造装置の引出し部により元リールからキャリアテープを引き出している様子を示す図
図19】本発明の実施の形態1におけるキャリアテープロール体製造装置が備える作業部の斜視図
図20】(a)(b)本発明の実施の形態1におけるキャリアテープロール体製造装置が備える引出し部が引き出したキャリアテープの終端と終端剰余部の説明図
図21】本発明の実施の形態1におけるキャリアテープロール体製造装置が備える引出し部が引き出したキャリアテープの終端をリール体に取り付ける様子を示す図
図22】本発明の実施の形態1におけるキャリアテープロール体製造装置が備える作業部の正面図
図23】本発明の実施の形態1におけるキャリアテープロール体製造装置が備える引出し部が引き出したキャリアテープの終端をリール体に取り付けた状態を示す図
図24】(a)(b)(c)本発明の実施の形態1におけるキャリアテープロール体製造装置の巻戻し部により引出し部からキャリアテープを巻き戻している様子を示す図
図25】本発明の実施の形態1におけるキャリアテープロール体製造装置が備える作業部の斜視図
図26】本発明の実施の形態2におけるキャリアテープロール体製造装置が備える作業部の斜視図
図27】(a)(b)本発明の実施の形態2におけるキャリアテープロール体製造装置が備える交換型巻芯の斜視図
図28】(a)(b)本発明の実施の形態2におけるキャリアテープロール体製造装置が備える交換型巻芯の動作説明図
図29】(a)(b)本発明の実施の形態2におけるキャリアテープロール体製造装置が備える交換型巻芯の動作説明図
図30】本発明の実施の形態2におけるキャリアテープロール体製造装置が備える作業部の斜視図
図31】(a)(b)(c)本発明の実施の形態2におけるキャリアテープロール体製造装置の巻戻し部により引出し部からキャリアテープを巻き戻している様子を示す図
図32】本発明の実施の形態2におけるキャリアテープロール体製造装置が備える作業部の斜視図
図33】本発明の実施の形態3におけるキャリアテープロール体製造装置が備える作業部の斜視図
図34】(a)(b)本発明の実施の形態3におけるキャリアテープロール体製造装置が備える収納容器の説明図
図35】本発明の実施の形態3におけるキャリアテープロール体製造装置が備える作業部の正面図
図36】(a)(b)(c)本発明の実施の形態3におけるキャリアテープロール体製造装置の巻戻し部により引出し部からキャリアテープを巻き戻している様子を示す図
図37】(a)(b)本発明の実施の形態3におけるキャリアテープロール体製造装置が備える収納容器内にキャリアテープロール体を封止する手順を示す図
図38】本発明の実施の形態3におけるキャリアテープロール体製造装置が備える作業部の斜視図
図39】(a)(b)本発明の実施の形態3の変形例におけるキャリアテープロール体製造装置の作業部の斜視図
図40】本発明の実施の形態4におけるキャリアテープロール体製造装置が備える作業部の斜視図
図41】本発明の実施の形態4におけるキャリアテープロール体製造装置が備える分割リールの分解図
図42】本発明の実施の形態4におけるキャリアテープロール体製造装置が備える分割リールの斜視図
図43】本発明の実施の形態4におけるキャリアテープロール体製造装置が備える引出し部が引き出したキャリアテープの終端を分割リールのキャリアテープ巻芯に接続した状態を示す図
図44】本発明の実施の形態4におけるキャリアテープロール体製造装置が備える作業部の正面図
図45】(a)(b)(c)本発明の実施の形態4におけるキャリアテープロール体製造装置の巻戻し部により引出し部からキャリアテープを巻き戻している様子を示す図
図46】本発明の実施の形態4におけるキャリアテープロール体製造装置が備える作業部の斜視図
【発明を実施するための形態】
【0012】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における部品実装システム1を示している。部品実装システム1は、基板KBに部品BHを実装して実装基板KBJを製造するシステムであり、半田印刷機1A、少なくとも1つの部品実装機1Bおよび検査機1Cを備えている。半田印刷機1Aは基板KBに半田を印刷して下流側の部品実装機1Bに搬出し、部品実装機1Bは基板KBに部品BHを実装して下流側の検査機1C(下流側に部品実装機1Bが配置されている場合にはその部品実装機1B)に搬出する。検査機1Cは基板KBに実装された部品BHの検査を行って、下流側の他の装置に搬出する。
【0013】
部品実装機1Bは、図2に示すように、基台11、基板搬送部12、フィーダ台車13、部品供給装置としてのテープフィーダ14、実装ヘッド15およびヘッド移動機構16を備えている。基板搬送部12は水平方向に延びた一対のコンベア機構12aによって基板KBを搬送し、所定の作業位置に位置決めする。
【0014】
図2において、フィーダ台車13は上部にフィーダベース13Bが設けられており、フィーダ台車13の下部には複数のリールRLが支持されている。フィーダ台車13は作業者OPによって床面上を走行操作されて基台11に連結される。各リールRLにはキャリアテープCTが巻き付けられている。キャリアテープCTには多数の部品BHが一列に並んで収納されている(詳細は後述)。
【0015】
図2において、テープフィーダ14はフィーダ台車13のフィーダベース13Bに着脱自在に取り付けられている。フィーダベース13Bには、複数のテープフィーダ14を取り付けることができる。テープフィーダ14の内部にはキャリアテープCTの搬送路14Lが設けられており、後側(図2における作業者OPの側)の端部にはテープ挿入口14Gが設けられている。
【0016】
テープフィーダ14はオートロードフィーダであり、テープ挿入口14GからキャリアテープCTが差し込まれると、内部に設けられた複数のスプロケット(図示せず)を作動させ、キャリアテープCTを自動で引き込んでロードする。そして、キャリアテープCTをロードした後は、キャリアテープCTをスプロケットによりピッチ送りし、部品供給位置14Kに部品BHを間欠的に供給する。
【0017】
図2において、実装ヘッド15は下方に延びた複数のノズル15Nを備えている。各ノズル15Nは実装ヘッド15に対して昇降動作および上下軸まわりの回転動作が可能である。実装ヘッド15は各ノズル15Nの下端に部品BHを真空吸着することができる。ヘッド移動機構16は実装ヘッド15を水平面内方向に移動させる。
【0018】
部品実装機1Bが基板KBに部品BHを実装する場合には、先ず、基板搬送部12を作動させて、上流側(半田印刷機1Aまたは上流側の部品実装機1B)から送られてきた基板KBを搬入して作業位置に位置決めする。基板KBを位置決めしたらテープフィーダ14を作動させて部品供給位置14Kに部品BHを供給させつつ、ヘッド移動機構16により実装ヘッド15をテープフィーダ14の上方領域と基板KBの上方領域との間で往復させる。
【0019】
この往復移動において、実装ヘッド15はテープフィーダ14が供給する部品BHをノズル15Nによりピックアップして基板KBの所定位置に実装する動作を繰り返し実行する。これにより実装すべき部品BHが基板KBに実装されたら、基板搬送部12は基板KBを下流側(下流側の部品実装機1Bまたは検査機1C)に搬出する。
【0020】
図3に示すように、テープフィーダ14が搬送路14L上を搬送するキャリアテープCTは、その終端CTSに至ると自然にリールRLから外れるようになっているが、実施の形態1では(およびその後に説明する実施の形態2~4においても同じ)、キャリアテープCTの終端CTS側の部品BHを含まない領域(「終端剰余部SJ」と称する)は除去されており、テープフィーダ14はキャリアテープCTの終端剰余部SJを搬送路14L上で送る無駄がない構成となっている。
【0021】
次に、このような終端剰余部SJが除去されたキャリアテープCTのロール体(キャリアテープロール体CTR)を製造する装置および方法について説明する。
【0022】
図4および図5は本発明の実施の形態1におけるキャリアテープロール体製造装置18を示している。キャリアテープロール体製造装置18は、元リール20に巻き付けられているキャリアテープCTを終端CTSまで引き出し、そのキャリアテープCTに終端処理を施したうえで、そのキャリアテープCTを終端CTS側から巻き戻してキャリアテープロール体CTRを製造する装置である。ここで「元リール20」とは、市販の、すなわち部品メーカーから出荷されたリールのことである。また、「終端処理」とは、キャリアテープCTの終端剰余部SJを除去する処理をいう。
【0023】
キャリアテープロール体製造装置18の構成を説明する前に、先ず、元リール20について説明する。元リール20は図6に示すように、円盤状の一対のフランジ部(「リールフランジ21」と称する)と、2つのリールフランジ21の間に挟まれた円筒状の巻芯部22を備えている。巻芯部22にはキャリアテープCTの幅よりも若干大きい幅を有するスリット23が設けられており、キャリアテープCTをスリット23に終端CTSを挿入(係止)させた状態で巻芯部22に巻き付けられている。
【0024】
図6において、巻芯部22には中央部を元リール20の軸方向(2つのリールフランジ21が対向する方向。前後方向であり、X方向)に貫通する回転軸挿通孔24が設けられている。回転軸挿通孔24には、回転軸挿通孔24の中心軸から遠ざかる方向に突出して形成されたキー溝(元リールキー溝24K)が形成されている。
【0025】
図6において、キャリアテープCTは、ベーステープBTとカバーテープTTを有して構成されている。ベーステープBTには一列に並んで設けられた部品収納部PKが設けられており、各部品収納部PKには部品BHが1つずつ収納されている。カバーテープTTは部品収納部PKの列を覆うようにベーステープBTに貼り付けられている、ベーステープBTには部品収納部PKの列と平行に並んだ送り孔KHの列が設けられている。
【0026】
次に、キャリアテープロール体製造装置18について説明する。図4および図5において、キャリアテープロール体製造装置18は、複数の脚部31Kによって床面上に支持された筐体31内に、複数の作業部32を備えている。作業部32は前述した作業、すなわち、元リール20からキャリアテープCTを終端CTSまで引き出した後、その引き出したキャリアテープCTを終端CTS側から巻き戻す作業を行う部分である。
【0027】
図4および図5において、筐体31の外部には複数の操作部33が設けられている。操作部33は作業部32に対応して設けられており、作業部32の数と同じ数の操作部33が設けられている。ここでは作業部32と操作部33はそれぞれ2つずつ設けられているが、作業部32と操作部33は2つずつに限られず、1つずつ或いは3つずつ以上であってもよい。
【0028】
図4において、筐体31内には制御装置34が設けられている。制御装置34は、図7に示すように、第1モータ制御部34a、第2モータ制御部34b、位置算出部34cおよび判定部34dを備えている。制御装置34は複数の作業部32および複数の操作部33のそれぞれと接続されている。
【0029】
作業部32について説明する。図5および図8において、作業部32は立設されたベース部41を備えている。ベース部41の上部には引出し部42を有し、ベース部41の下部には巻戻し部43を有している。
【0030】
図8において、ベース部41の下部の横方向(左右方向であり、Y方向)の両側には収納容器保持部44が設けられている。巻戻し部43は左右の収納容器保持部44の間に位置している。図5および図8において、ベース部41の上下方向(Z方向)の中間部であって、ベース部41に向かって左側の位置には、上下のテープガイド45と部品カウンタ46が設けられている。
【0031】
引出し部42は、作業部32において、元リール20からキャリアテープCTを終端CTSまで引き出す部分である。引出し部42は、図5および図8に示すように、ベース部41の表側に突出して設けられた第1回転軸51と、ベース部41の裏側に設けられて第1回転軸51を回転させる第1モータ52を備えている(図9も参照)。第1モータ52は制御装置34の第1モータ制御部34aによって制御される。
【0032】
巻戻し部43は、作業部32において、引出し部42が終端CTSまで引き出したキャリアテープCTを終端CTS側から巻き戻す部分である。巻戻し部43は、図5および図8に示すように、ベース部41の表側に突出して設けられた第2回転軸53と、ベース部41の裏側に設けられて第2回転軸53を回転させる第2モータ54を備えている。第2モータ54は制御装置34の第2モータ制御部34bによって制御される。
【0033】
図8において、引出し部42の第1回転軸51には引出し部巻芯61が着脱自在に装着されている。引出し部巻芯61は一対のフランジ部62および幅調整部材63とともに、引出し部巻芯ユニット64を構成している(図8図9および図10(a),(b))。
【0034】
図8図9および図10(a),(b)において、2つのフランジ部62はそれぞれ円盤状の形状を有しており、2つのフランジ部62は、引出し部巻芯61を奥側と手前側とから挟むように設けられている。幅調整部材63は全体として円筒状の部材から成り、引出し部巻芯61に挿通されている。幅調整部材63は、2つのフランジ部62のうち手前側のものの手前側に位置し、その手前側のフランジ部62と一体に設けられている。
【0035】
図9および図10(a),(b)において、引出し部巻芯61には第1回転軸51が挿通される第1回転軸挿通孔65が形成されている。引出し部巻芯61を第1回転軸51に取り付けるときには、引出し部巻芯61に設けられた第1回転軸挿通孔65を第1回転軸51に挿通させる(図9図11)。
【0036】
第1回転軸挿通孔65を挿通した第1回転軸51の先端部51Sは引出し部巻芯61の手前側の端部から突出しており(図11)、その突出した第1回転軸51の先端部51Sにはストッパ部材66が螺着されている。ストッパ部材66は、引出し部巻芯61から幅調整部材63が抜け出るのを防止するはたらきをする。
【0037】
図9および図10(a),(b)において、引出し部巻芯61の奥側(ベース部41側)のフランジ部62には、第1回転軸挿通孔65に繋がるキー溝(引出し部キー溝67)が形成されている。図9および図12に示すように、第1回転軸51の根元部には、第1回転軸51の外周面から外側に張り出すようにキー部(第1回転軸キー部51K)が設けられている。
【0038】
第1回転軸51に引出し部巻芯61の第1回転軸挿通孔65を挿通させるときには、引出し部キー溝67に第1回転軸キー部51Kを嵌入させる。これにより第1回転軸51に対する引出し部巻芯61の相対回転が規制され、第1回転軸51を回転させると、引出し部巻芯61が第1回転軸51と一体となって回転する。
【0039】
図9図10(b)および図11において、引出し部巻芯61には軸方向に延びたスリット状のキャリアテープ差込口61Sが設けられている。キャリアテープ差込口61Sには、元リール20から引き出そうとするキャリアテープCTの始端CTT(図6)が差し込まれる。
【0040】
図9図10(b)および図11において、引出し部巻芯61の軸方向の端部にはクランプ操作レバー70が設けられている。引出し部巻芯61の内部には、クランプ操作レバー70の操作によって開閉操作(クランプ操作)が可能な2つの部材から成るクランプ機構(図示せず)が設けられている。
【0041】
作業者OPは、キャリアテープ差込口61Sから差し込んだキャリアテープCTの始端CTTをクランプ操作レバー70によるクランプ機構のクランプ操作によってクランプすることができる。クランプ機構によってキャリアテープCTの始端CTTをクランプした状態で、第1回転軸51を駆動して引出し部巻芯61を回転させると、キャリアテープCTが引出し部巻芯61の外周に巻き取られていく。
【0042】
図11および図13(a),(b)において、引出し部巻芯61の表面には被ロック部68が設けられている。被ロック部68は軸方向に配置された複数の窪み68Hを有している。これら複数の窪み68Hはそれぞれ、引出しの対象となり得る複数種類のキャリアテープCTの幅方向寸法に対応した位置に設けられている。
【0043】
図11および図13(a),(b)において、幅調整部材63には、手動によって操作されるロック摘まみ63Lが設けられている。作業者OPは、引出し部巻芯61に対して幅調整部材63を引出し部巻芯61の軸方向(X方向)にスライドさせ、所望の位置でロック摘まみ63Lに設けられた係合片(図示せず)を被ロック部68の複数の窪み68Hのうちのひとつに係合させることで、幅調整部材63を引出し部巻芯61に対してロックすることができる。これにより引出し部巻芯61の幅(2つのフランジ部62の間の距離WD。図11)を、引出し部巻芯61に巻き付けようとするキャリアテープCTの幅の寸法に応じて調整することが可能である(図13(a),(b))。
【0044】
図11および図13(a),(b)において、引出し部巻芯61の表面には表示部69が設けられている。表示部69には、被ロック部68の複数の窪み68Hに対応する(すなわちキャリアテープCTの幅方向寸法に対応する)複数の文字(例えば数字)NBが表示されており、作業者OPは幅調整部材63の窓部63Wに表示される文字NBを参考にして引出し部巻芯61に対する幅調整部材63の位置を決定することで、幅方向寸法(2つのフランジ部62の間の距離WD)が適切となる位置に幅調整部材63をロックさせることができる。
【0045】
図14において、巻戻し部43の第2回転軸53には先ず(引出し部42によるキャリアテープCTの引き出し時には)、元リール20が装着される。図14図15および図16に示すように、第2回転軸53の根元部には第2回転軸53の外周面の外側に張り出すようにキー部(第2回転軸キー部53K)が設けられている。
【0046】
元リール20を第2回転軸53に挿通させるときには、元リールキー溝24Kに第2回転軸キー部53Kを嵌入させる(図15図16)。これにより第2回転軸53に対する元リール20の相対回転が規制され、第2回転軸53を回転させると、元リール20が第2回転軸53と一体となって回転する。
【0047】
作業者OPは、巻戻し部43の第2回転軸53に元リール20を装着したら、元リール20からキャリアテープCTの始端CTTを上方に引き出す。そして、クランプ操作レバー70を操作しつつ、引出し部巻芯61のキャリアテープ差込口61SにキャリアテープCTの始端CTTを差し込んで、クランプ機構にクランプさせる。これにより元リール20に巻き付けられたキャリアテープCTが引出し部巻芯61に接続された状態となる(図17)。
【0048】
ここで、前述したように、引出し部巻芯61は、2つのフランジ部62の間の距離WDを変更することで、引出し部巻芯61の幅を、キャリアテープCTの幅に応じて調整することが可能である。このため、引き出そうとするキャリアテープCTの幅に応じて、引出し部巻芯61自体を、第1回転軸51に対して交換する必要がない。
【0049】
上記のようにして元リール20に巻き付けられたキャリアテープCTが引出し部巻芯61に接続された状態となったら、作業者OPは、操作部33から引出しスイッチ33a(図7)を操作する。引出しスイッチ33aが操作されると、第1モータ制御部34aは第1モータ52を作動させて第1回転軸51を回転させ、第2モータ制御部34bは第2モータ54を作動させて第2回転軸53を第1回転軸51と同方向に回転させる。
【0050】
このため引出し部巻芯61と元リール20は同方向に回転し、元リール20に巻き付けられたキャリアテープCTは引出し部巻芯61に巻き取られていく(図18(a)→図18(b)→図18(c))。そして、引出し部42により、キャリアテープCTが終端CTSまで引き出される(引出しステップ)。このように引出し部42の第1モータ52は、引出しステップにおいて、引出し部巻芯61を駆動して元リール20からキャリアテープCTを引出し部巻芯61に巻き取るようになっている。
【0051】
巻戻し部43(元リール20)と引出し部42(引出し部巻芯61)との間で移動されるキャリアテープCTは、所定の検出位置を通過するように配置される。ここでは検出位置は、ベース部41上に上下方向に並んで設けられた2つのテープガイド45と部品カウンタ46との間の位置に設定されている。
【0052】
部品カウンタ46は検出位置を通過する部品BHを検出し、その数をカウントする。制御装置34の位置算出部34cは、部品カウンタ46によってカウントされた部品BHの数と、予め制御装置34に記憶された他の情報とに基づいて、キャリアテープCTの始端CTTと終端CTSそれぞれの位置(検出位置からキャリアテープCTの始端CTTまでの長さおよび検出位置からキャリアテープCTの終端CTSまでの長さ)を算出する。
【0053】
このように本実施の形態において、部品カウンタ46と制御装置34の位置算出部34cは、引出し部42と巻戻し部43との間で移動されるキャリアテープCTの端部(終端CTSまたは始端CTT)の位置を検出するテープ端部位置検出部TKとなっている(図7)。
【0054】
第1モータ制御部34aは、テープ端部位置検出部TKによって算出されるキャリアテープCTの終端CTSの位置に基づいて、第1モータ52および第2モータの作動を制御する。制御装置34の判定部34dは、テープ端部位置検出部TKによって検出されるキャリアテープCTの終端CTSの位置に基づいて、引出し部巻芯61がキャリアテープCTの巻取りを停止すべき停止位置に到達したか否かを判定する。
【0055】
第1モータ制御部34aは、元リール20に巻き付けられていたキャリアテープCTが引出し部42によって引き出され、引出し部巻芯61が停止位置に近づいたことを検知した場合には、第1モータ52の回転を減速させる。そして、引出し部42によって更にキャリアテープCTが引き出され(図18(c))、判定部34dによって、引出し部巻芯61が停止位置に到達したと判定された場合には、第1モータ制御部34aは、第1回転軸51の回転(すなわち引出し部巻芯61の回転)を停止させる(図19)。
【0056】
このようにキャリアテープロール体製造装置18は、テープ端部位置検出部TKによって検出されるキャリアテープCTの終端CTSの位置に基づいて、引出し部巻芯61がキャリアテープCTの巻取りを停止する停止位置に到達したか否かを判定する判定部34dを備え、第1モータ制御部34aは、判定部34dの判定部により、引出し部巻芯61が停止位置に到達したと判定した場合に第1モータ52の作動を停止させるようになっている。また、第1モータ制御部34aは、テープ端部位置検出部TKによって検出されるキャリアテープCTの終端CTSの位置に基づいて、引出し部巻芯61が停止位置に近づいたことを検知した場合に第1モータ52の回転を減速させるようになっている。
【0057】
なお、このように、引出し部42が引出し部巻芯61によってキャリアテープCTを巻き取っている際には、第1モータ制御部34aは第1モータ52の回転を速度制御で制御し、第2モータ制御部34bは、第2モータ54を第1モータ52による巻取り方向とは逆方向のトルクを発生させてキャリアテープCTの張力を保つトルク制御で制御するようになっている。
【0058】
引出し部42が元リール20からキャリアテープCTを終端CTSまで引き出したら、作業者OPはキャリアテープCTの終端処理を行う(終端処理ステップ)。ここで「終端処理」とは、前述したように、キャリアテープCTの終端剰余部SJ(キャリアテープCTの終端CTS側の部品BHを含まない領域))を除去する処理を行う、切断処理は、切断手段(例えば鋏)によって終端剰余部をキャリアテープCTから切断することによって行う(図20(a)→図20(b))。
【0059】
作業者OPは、引出し部42が引き出したキャリアテープCTの終端処理を行ったら、空になった元リール20を第2回転軸53から取り外し、巻取り体80を第2回転軸53に装着する。巻取り体80とは、引出し部42が元リール20から引き出したキャリアテープCTを巻き戻すために、巻取り体保持部としての第2回転軸53に着脱自在に取り付けられる部材である。
【0060】
巻取り体80としては、例えば、テープフィーダ14にキャリアテープCTを供給して部品切れとなった空のリールRLや、引出し部42によって引き出されて空となった元リール20(合わせてリール体81と称する。図21)が用いられる。リール体81は元リール20の説明で述べたようにリールフランジ21と巻芯部22を備えており、巻芯部22にはスリット23と回転軸挿通孔24を有している。
【0061】
巻取り体80にリール体81を用いる場合には、リール体81を第2回転軸53に装着する(図22)。リール体81を第2回転軸53に装着するときの要領は、元リール20を第2回転軸53に装着したときと同じである。なお、リール体81に元リール20の空リールをそのまま用いる場合には、その空リールを第2回転軸53から取り外すことなく、そのままにしておけばよい。
【0062】
リール体81を第2回転軸53に装着したら、次いで、引出し部42によって引き出された状態となっているキャリアテープCTの終端CTSをリール体81の巻芯部22に粘着テープNTによって接続する(図21および図23)。ここで用いられる粘着テープNTの粘着力は、リール体81がキャリアテープCTを巻き取り始めるときにキャリアテープCTの終端CTSが巻芯部22に対して滑らず、かつ、キャリアテープCTを終端CTSまで引き出したときに、抵抗なくキャリアテープCTの終端CTSを巻芯部22から分離させることができる比較的弱い粘着力であるものとする。
【0063】
上記のようにしてキャリアテープCTの終端CTSをリール体81の巻芯部22に粘着テープNTによって接続したら、作業者OPは操作部33から巻戻しスイッチ33b(図7)を操作する。巻戻しスイッチ33bが操作されると、第2モータ制御部34bは第2モータ54を作動させて第2回転軸53を回転させ、第1モータ制御部34aは第1モータ52を作動させて第1回転軸51を第2回転軸53と同方向に回転させる。
【0064】
このためリール体81と引出し部巻芯61は同方向に回転し、引出し部巻芯61に巻き付けられていたキャリアテープCTはリール体81の巻芯部22に巻き取られていく(図24(a)→図24(b)→図24(c))。このようにしてキャリアテープCTは巻取り体80であるリール体81に巻き戻されていく(巻戻しステップ)。このように巻戻し部43の第2モータ54は、巻戻しステップにおいて、引出し部42の引出し部巻芯61に巻き取られたキャリアテープCTを巻き戻すようになっている。
【0065】
キャリアテープCTがリール体81に巻き戻されていくとき、テープ端部位置検出部TKはキャリアテープCTの始端CTTを検出する。第2モータ制御部34bは、テープ端部位置検出部TKによって、リール体81がキャリアテープCTの巻き戻し動作を停止させるべき位置である巻取り停止位置に近づいたことを検知した場合には第2モータ54の回転を減速させ、次いで、リール体81が巻取り停止位置に達したことを検知した場合には、第2モータ54の回転を停止させる。
【0066】
なお、このように、巻戻し部43が巻取り体80(ここではリール体81)によってキャリアテープCTを巻き取っている際には、第2モータ制御部34bは第2モータ54の回転を速度制御で制御し、第1モータ制御部34aは、第1モータ52を第2モータ54による巻取り方向とは逆方向のトルクを発生させてキャリアテープCTの張力を保つトルク制御で制御するようになっている。
【0067】
リール体81にキャリアテープCTが巻き戻され、第2回転軸53と第1回転軸51の回転が停止したら(図24(c))、引出し部巻芯61にクランプされていたキャリアテープCTの始端CTTを引出し部巻芯61から取り外す。引出し部巻芯61からキャリアテープCTを取り外したら、第2回転軸53上のリール体81内にキャリアテープロール体CTRが製造された状態となる。このようにしてキャリアテープロール体CTRが製造されたら、作業者OPはキャリアテープロール体CTRと一緒にリール体81を第2回転軸53から取り外す(図25)。
【0068】
このようにキャリアテープロール体製造装置18は、キャリアテープロール体製造装置18では、キャリアテープCTが巻き付けられた元リール20からキャリアテープCTを終端CTSまで引き出す引出し部42と、引出し部42によって引き出されたキャリアテープCTを終端CTS側から巻き戻す巻戻し部43を備えている。そして、引出し部42によって元リール20からキャリアテープCTを終端CTSまで引き出す引出しステップと、引出しステップで引き出したキャリアテープCTの終端側の部品を含まない領域である終端剰余部SJを除去処理する終端処理ステップと、終端処理ステップで終端剰余部SJを除去処理したキャリアテープCTを新たな終端CTS側から巻戻し部43によって巻き戻す巻戻しステップとを有する方法(キャリアテープロール体製造方法)によって、キャリアテープロール体CTRを製造するようになっている。このため終端処理が施されたキャリアテープロール体CTRを容易に製造することができる。
【0069】
(実施の形態2)
次に、実施の形態2を示す。実施の形態2におけるキャリアテープロール体製造装置は、巻取り体80として、図26に示す交換型巻芯82が使用されるほかは、実施の形態1の場合と構成が同じである。交換型巻芯82は、図27(a),(b)および図28(a),(b)に示すように、基部91、左右の半円筒部92、レバー部93およびクランプ部94を備えている。
【0070】
図27(a),(b)および図28(a),(b)において、交換型巻芯82の基部91には第2回転軸53が挿入される挿入孔95が設けられている。挿入孔95には、挿入孔95の中心軸から遠ざかる方向に突出して形成されたキー溝95Mが形成されている。
【0071】
図27(a),(b)および図28(a),(b)において、左右の半円筒部92は基部91の左右に配置されている。左右の半円筒部92はそれぞれ、Y方向に延びて設けられた左右の揺動軸96によって基部91に連結されている。このため2つの半円筒部92はそれぞれ揺動軸96を中心に揺動自在であり、外周面が共通の円筒面上に位置する基準位置(図27(a),(b)および図28(a))と、外周面が共通の円筒面上に位置しない(下窄まりとなる)変形位置(図28(b))との間で移動(揺動)自在である。変形位置では、2つの半円筒部92の下部同士が近接する方向に移動した下窄まりの形状となる。
【0072】
図28(a),(b)において、左右の半円筒部92それぞれの下部と基部91との間には付勢ばね97が設けられている。これら左右の付勢ばね97によって、左右の半円筒部92は、下部同士が近接する方向に(すなわち変形位置になる方向に)付勢されている。
【0073】
図27(a)および図28(a),(b)において、レバー部93は一の方向に延びた形状の部材から成る。レバー部93はY方向に延びた軸部材98によって中央部が基部91の下部に連結されている。レバー部93は軸部材98まわりに回動させることができる。
【0074】
図28(a),(b)において、レバー部93にはレバー部93と一体となって軸部材98まわりに回動する楕円状のカム99が取り付けられている。カム99は、レバー部93の基部91に対する回動位置に応じて水平方向に延びた巻取り時姿勢(図28(a))と、鉛直方向に延びた抜き取り時姿勢(図28(b))との間で移動させることができる。
【0075】
カム99が巻取り時姿勢にされているときには、カム99の長辺側の両端部は左右の半円筒部92の下部同士の間に入り込んで左右の半円筒部92それぞれの内面側から当接する。このため左右の半円筒部92は左右の付勢ばね97の付勢力に抗して下部同士の間が広げられて基準位置にする(図28(a))。
【0076】
一方、カム99が抜取り時姿勢にされているときには、カム99の長辺側の両端部は左右の半円筒部92それぞれの内面に当接しない。このため左右の半円筒部92は左右の付勢ばね92の付勢力によって下部同士が引き寄せられて変形位置に位置する(図28(b))。
【0077】
図28(a),(b)において、クランプ部94は、基部91に下端が取り付けられて上方に延びたクランプベース94aと、クランプベース94aの上端に取り付けられたクランプ片94bと、クランプベース94aと基部91との間に介装された捩じりばね94cとを有する。捩じりばね94cは、クランプ片94bが左右の半円筒部92の一方の上部の被当接面92Pに当接する方向にクランプベース94aを付勢するように設けられている。
【0078】
被当接面92Pに当接したクランプ片94bを捩じりばね94cの付勢力に抗して被当接面92Pから離間させ、クランプ片94bと被当接面92Pとの間にキャリアテープCTを挿入してから手を放すことで、クランプ片94bと被当接面92Pとの間にキャリアテープCTを挟む(クランプする)ことができる(図29(a)→図29(b))。これにより、引出し部42によって元リール20から引き出されたキャリアテープCTの終端CTSを、交換型巻芯82に接続することができる。なお、交換型巻芯82は、幅方向寸法が異なる複数種類のキャリアテープCTをクランプすることが可能であるが、キャリアテープCTの幅寸法ごとに最適の軸方向の長さを有する複数種類の交換型巻芯82を用意しておくようにしてもよい。
【0079】
巻取り体80に交換型巻芯82を用いる場合には、先ず、交換型巻芯82を、基部91に設けられた挿入孔95に巻戻し部43の第2回転軸53に挿通させるようにして装着する(図30)。挿入孔95に第2回転軸53を挿通させるときには、第2回転軸キー部53Kが交換型巻芯82のキー溝95Mに嵌入するようにする。交換型巻芯82を第2回転軸53に装着したら、次いで、引出し部42によって引き出された状態となっているキャリアテープCTの終端CTSを、クランプ部94と被当接面92Pとの間にクランプすることによって、キャリアテープCTを交換型巻芯82に(すなわち巻戻し部43に)接続する(図30)。
【0080】
キャリアテープCTの終端CTSを交換型巻芯82に接続したら、作業者OPは操作部33から巻戻しスイッチ33bを操作する。巻戻しスイッチ33bが操作されると、第2モータ制御部34bは第2モータ54を作動させて第2回転軸53を回転させる。また、第1モータ制御部34aは第1モータ52を作動させて第1回転軸51を第2回転軸53と同方向に回転させる。これにより交換型巻芯82と引出し部巻芯61は同方向に回転し、引出し部巻芯61に巻き付けられていたキャリアテープCTは巻戻し部43の側に引き出されて交換型巻芯82に(詳細には2つの半円筒部92の外周面に)巻き付けられていく(図31(a)→図31(b)→図31(c)。巻戻しステップ)。
【0081】
キャリアテープCTが交換型巻芯82に巻き付けられて(巻戻し部43に巻き戻されて)いくとき、実施の形態1の場合と同様に、テープ端部位置検出部TKによってキャリアテープCTの始端CTTの位置が検出される。そして、判定部34dが交換型巻芯82の巻取り停止位置に近づいたことを検知した場合には、第2モータ制御部34bは第2モータ54の減速を開始し、次いで、交換型巻芯82の巻取り停止位置に達したことを検知した場合には、第2モータ54を停止させる。
【0082】
なお、第2モータ54を停止させるまでの過程において、テープ端部位置検出部TKによって検出されるキャリアテープCTの始端CTTの位置に基づいて第2モータ54の減速と停止を行うことは、実施の形態1の場合と同様である。また、巻取り体80(ここでは交換型巻芯82)にキャリアテープCTを巻き戻していく際、第2モータ制御部34bが第2モータ54の回転を速度制御で制御し、第1モータ制御部34aが第1モータ52の回転をトルク制御で行うことも、実施の形態1の場合と同様である。
【0083】
交換型巻芯82にキャリアテープCTが巻き戻され、第2回転軸53と第1回転軸51の回転が停止したら(図31(c))、引出し部巻芯61にクランプされていたキャリアテープCTの始端CTTを引出し部巻芯61から取り外す。引出し部巻芯61からキャリアテープCTを取り外したら、交換型巻芯82上に、キャリアテープロール体CTRが製造された状態となる。このようにしてキャリアテープロール体CTRが製造されたら、作業者OPは交換型巻芯82をキャリアテープロール体CTRごと、第2回転軸53から取り外す(図32)。
【0084】
作業者OPは、交換型巻芯82をキャリアテープロール体CTRごと第2回転軸53から取り外したら、次いで、交換型巻芯82をキャリアテープロール体CTRから引き抜く。この場合、作業者OPは、交換型巻芯82のレバー部93を軸部材98まわりに回動させて、巻取り時姿勢から抜取り時姿勢にする(図28(a)→図28(b))。これにより交換型巻芯82の左右の半円筒部92はそれぞれ下部同士が近接する方向に揺動し、下窄まりとなるように変形するので(図28(b))、交換型巻芯82をキャリアテープロール体CTRから容易に抜き取ることができる(図32)。このようにキャリアテープロール体製造装置18において、交換型巻芯82は、巻き戻したキャリアテープCTから成るキャリアテープロール体CTRの中心部(円孔部)から抜き取り可能なように変形するようになっている。
【0085】
実施の形態2においても、引出し部42によって引き出されたキャリアテープCTの終端剰余部SJを除去する終端処理を施して巻戻し部43により巻き戻すことができるので、終端処理が施されたキャリアテープロール体CTRを容易に製造することができる。
【0086】
(実施の形態3)
次に、実施の形態3を示す。実施の形態3では、巻取り体80として実施の形態2において示した交換型巻芯82を使用しつつ、図33に示す収納容器83を併用する。
【0087】
収納容器83は、図33および図34(a),(b)に示すように、2つの側板101とその間に位置する円弧形状のフレーム102から成り、上方に開口103を有している。収納容器83の内部にはフレーム102の内面に沿って移動する円弧状のシャッタ104が設けられている。
【0088】
シャッタ104は開口103を開放する開放位置(図34(a))と、開口103を閉止する閉止位置(図34(b))の2位置のいずれかに位置させることができる。シャッタ104には操作レバー104Lが設けられており、作業者OPは操作レバー104Lを操作することでシャッタ104の位置切り替えを行う。
【0089】
図33および図34(a),(b)において、2つの側板101には交換型巻芯82を挿入することが可能な巻芯用孔105が設けられている。巻芯用孔105の内径は、交換型巻芯82の外径(2つの半円筒部92を基準位置に位置させたときの交換型巻芯82の外径)よりも若干大きい寸法となっている。
【0090】
実施の形態3では先ず、収納容器83をベース部41に取り付ける。収納容器83をベース部41に取り付けるときには、開口103を上方に向けた姿勢の収納容器83を、ベース部41の下部に設けられた左右の収納容器保持部44に保持させる。このとき第2回転軸53が2つの側板101それぞれの巻芯用孔105孔を貫通するようにする。収納容器83がベース部41に取り付けられた状態では、第2回転軸53は2つの巻芯用孔105の中心同士を結ぶ線上に位置する。
【0091】
作業者OPは、上記のようにして収納容器83をベース部41に取り付けたら、次いで、交換型巻芯82を第2回転軸53に取り付ける。交換型巻芯82の挿入孔95(図27(a),(b))に第2回転軸53を挿通させれば、交換型巻芯82はそのまま、収納容器83の2つの側板101に設けられた2つの巻芯用孔105を挿通して第2回転軸53に装着された状態となる(図35)。
【0092】
交換型巻芯82を第2回転軸53に装着したら、実施の形態2の場合と同様の要領によって、引出し部42によって引き出された状態となっているキャリアテープCTの終端CTSを交換型巻芯82に接続する(図35)。そして、操作部33から巻戻しスイッチ33bを操作する。巻戻しスイッチ33bが操作されると、第1回転軸51を第2回転軸53が同方向に回転し、引出し部巻芯61に巻き付けられたキャリアテープCTが交換型巻芯82の2つの半円筒部92の外周面に巻き取られていくのは(図36(a)→図36(b)→図36(c))、実施の形態2の場合と同様である(巻戻しステップ)。
【0093】
また、キャリアテープCTが交換型巻芯82に巻き戻されていくとき、テープ端部位置検出部TKによってキャリアテープCTの始端CTTの位置が検出される。判定部34dが交換型巻芯82の巻取り停止位置に近づいたことを検知した場合には、第2モータ制御部34bは第2モータ54の減速を開始し、次いで、交換型巻芯82の巻取り停止位置に達したことを検知した場合には、第2モータ54を停止させるのも、実施の形態2の場合と同様である。
【0094】
また、第2モータ54を停止させるまでの過程において、テープ端部位置検出部TKによって検出されあるキャリアテープCTの始端CTTの位置に基づいて第2モータ54の減速と停止を行うことも、実施の形態1,2の場合と同様である。更に、巻取り体80(交換型巻芯82)にキャリアテープCTを巻き戻していく際、第2モータ制御部34bが第2モータ54の回転を速度制御で制御し、第1モータ制御部34aが第1モータ52の回転をトルク制御で行うことも、実施の形態1,2の場合と同様である。
【0095】
交換型巻芯82にキャリアテープCTが巻き戻され、第2回転軸53と第1回転軸51の回転が停止したら(図36(c))、引出し部巻芯61にクランプされていたキャリアテープCTの始端CTTを引出し部巻芯61から取り外す。引出し部巻芯61からキャリアテープCTを取り外したら、収納容器83内の交換型巻芯82上に、キャリアテープロール体CTRが製造された状態となる。
【0096】
このようにしてキャリアテープロール体CTRが製造されたら、作業者OPはキャリアテープCTの始端CTTを収納容器83内に収める。そして、操作レバー104Lを操作し、シャッタ104を開放位置から閉止位置させることによって(図37(a)→図37(b))、収納容器83内にキャリアテープロール体CTRを封止する。
【0097】
作業者OPは、収納容器83内にキャリアテープロール体CTRを封止したら、交換型巻芯82をキャリアテープロール体CTRごと(すなわち収納容器83ごと)第2回転軸53から取り外し、次いで、キャリアテープロール体CTRから交換型巻芯82を引き抜く(図38)。これにより、収納容器83に収納された状態のキャリアテープロール体CTRが得られる。
【0098】
実施の形態3においても、引出し部42によって引き出したキャリアテープCTの終端剰余部SJを除去する終端処理を施して巻戻し部43により巻き戻すことができるので、終端処理が施されたキャリアテープロール体CTRを容易に製造することができる。
【0099】
この実施の形態3の変形例として、図39(a),(b)に示すように、第2回転軸53が(従って交換型巻芯82が)ベース部41に取り付けた収納容器83内ではなく、収納容器83の上方に配置される構成としてもよい。このような構成では、交換型巻芯82に巻き取られて生成されたキャリアテープロール体CTRは、交換型巻芯82が第2回転軸53から抜き取られたときに、自重で収納容器83内に収納される(図39(a)→図39(b))。
【0100】
上記のような構成では、図39(a),(b)に示すように、引出し部42および巻戻し部43を含む作業部32が(すなわちベース部41が)鉛直面から傾斜している構成、すなわち、水平面からの起仰角度Θが90度よりもやや小さい角度(例えばΘ=60°程度)となっている構成であることが好ましい。このような構成では、キャリアテープロール体CTRはベース部41の表面を滑って収納容器83に収納されるので、キャリアテープロール体CTRが収納容器83と接触するとき、キャリアテープCTが収納容器83側から受ける衝撃を緩和することができる。
【0101】
(実施の形態4)
次に、実施の形態4を示す。実施の形態4におけるキャリアテープロール体製造装置は、巻取り体80として、図40および図41に示す分割リール84を使用するほかは、実施の形態1~3の場合と構成が同じである。
【0102】
図41において、分割リール84は、2つのフランジ体111と、2つのフランジ体111との間に配置されたキャリアテープ巻芯112を有している。キャリアテープ巻芯112は一方のフランジ体111に結合されている。
【0103】
図41において、2つのフランジ体111は、一方のフランジ体111のキャリアテープ巻芯112に設けられた複数の凹部113と、他方のフランジ体111に設けられた複数の凸部114とが嵌合されることで結合されている。このため分割リール84は容易に2つの部分(一方のフランジ体111と他方のフランジ体111)に分割することができる。なお、分割リール84は、ここでは2つの部分に分割可能な構成となっているが、2つ以上の部分に分割可能な構成となっていてもよい。
【0104】
図42において、キャリアテープ巻芯112には中央部を幅方向(2つのフランジ体111が対向する方向)に貫通する回転軸の挿通孔115が設けられている。挿通孔115には、回転軸挿通孔24の半径方向外方に突出して形成されたキー溝(分割リールキー溝115K)が形成されている。
【0105】
巻取り体80として分割リール84を使用する場合には、先ず、分割リール84の挿通孔115に第2回転軸53に挿通させる(図40)。このとき分割リールキー溝115Kに第2回転軸キー部53Kを嵌入させる。これにより第1回転軸51に対する引出し部巻芯61の相対回転が規制され、第2回転軸53を回転させると、分割リール84が第2回転軸53と一体となって回転する。
【0106】
分割リール84を第2回転軸53に装着したら、次いで、実施の形態1の場合と同様の要領により、引出し部42によって引き出された状態となっているキャリアテープCTの終端CTSを、粘着テープNTによって、分割リール84のキャリアテープ巻芯112に接続する(図43および図44)。キャリアテープCTの終端CTSを分割リール84のキャリアテープ巻芯112に粘着テープNTによって接続したら、作業者OPは操作部33から巻戻しスイッチ33bを操作する。これにより第2回転軸53と第1回転軸51が同方向に回転し、引出し部巻芯61に巻き付けられたキャリアテープCTは分割リール84に巻き戻されていく(図45(a)→図45(b)→図45(c)。巻戻しステップ)。
【0107】
なお、このときテープ端部位置検出部TKがキャリアテープCTの始端CTTの位置を検出することで、第2モータ制御部34bが第2モータ54の減速と停止とを行うことは、実施の形態1,2,3の場合と同様である。また、巻取り体(ここでは分割リール84)にキャリアテープCTが巻き付けられていく際、第2モータ制御部34bが第2モータ54の回転を速度制御で制御し、第1モータ制御部34aが第1モータ52の回転をトルク制御で行うのも、実施の形態1,2,3の場合と同様である。
【0108】
分割リール84にキャリアテープCTが巻き戻され、第2回転軸53と第1回転軸51の回転が停止したら、引出し部巻芯61にクランプされた状態のキャリアテープCTの始端CTTを引出し部巻芯61から取り外す。引出し部巻芯61からキャリアテープCTを取り外したら、分割リール84上に、キャリアテープロール体CTRが製造された状態となる。このようにしてキャリアテープロール体CTRが製造されたら、作業者OPはキャリアテープロール体CTRごと分割リール84を第2回転軸53から取り外す(図46)。
【0109】
これにより分割リール84に収納された状態のキャリアテープロール体CTRが得られる。なお、作業者OPは、必要に応じて2つのフランジ体111を引き離して分割リール84を分割することで、キャリアテープロール体CTRを単体で使用することも可能である。
【0110】
実施の形態4においても、引出し部42によって引き出したキャリアテープCTの終端剰余部SJを除去する終端処理を施して巻戻し部43により巻き戻すことができるので、終端処理が施されたキャリアテープロール体CTRを容易に製造することができる。
【0111】
以上説明したように、実施の形態1~4におけるキャリアテープロール体製造装置18は、元リール20からキャリアテープCTを終端CTSまで引き出す引出し部42と、引出し部42によって引き出されたキャリアテープCTを終端CTS側から巻き戻す巻戻し部43を備え、引出し部42によって引き出したキャリアテープCTの終端剰余部SJ(終端CTS側の部品BHを含まない領域)を除去したうえで、新たな終端CTS側からキャリアテープCTを巻き戻すようになっている。このため実施の形態1~4のキャリアテープロール体製造装置18によれば、終端処理が施されたキャリアテープロール体CTRを容易に製造することができる。
【0112】
これまで本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は上述したものに限定されず、種々の変形等が可能である。例えば、引出し部42はキャリアテープCTが巻き付けられた元リール20からキャリアテープCTを終端CTSまで引き出す構成であればよく、実施の形態1~4に示した構成に限られない。また、巻戻し部43は引出し部42によって引き出されたキャリアテープCTを終端CTS側から巻き戻してキャリアテープCTのロール体であるキャリアテープロール体CTRを生成する構成であればよく、実施の形態1~4に示した構成に限られない。
【0113】
また、実施の形態1~4では、引出し部42がキャリアテープCTを引き出す元リール20はキャリアテープロール体製造装置18の一部である第2回転軸53に保持される構成となっており、巻取り体保持部である第2回転軸53が元リール20の保持部を兼ねた構成となっていたが、このような構成に替えて、元リール20を保持する元リール保持部を別途備え、引出し部42が、その元リール保持部が保持する元リール20からキャリアテープCTを引き出すようになっていてもよい。
【0114】
また、実施の形態1~4では、引出し部42と巻戻し部43を含む作業部32が複数備えた構成となっていたが、これは一例であり、作業部32は1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。作業部32は2つ以上であるとキャリアテープロール体CTRの製造を同時並行的に複数製造することができるが、作業者OPの作業効率等を考慮して最適の数を設定することが好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0115】
本発明は、終端処理が施されたキャリアテープロール体を製造するキャリアテープロール体製造装置等に適用できる。
【符号の説明】
【0116】
1 部品実装システム
1B 部品実装機
14 テープフィーダ(部品供給装置)
15 実装ヘッド
18 キャリアテープロール体製造装置
20 元リール
32 作業部
34 制御装置
34a 第1モータ制御部
34b 第2モータ制御部
34d 判定部
41 ベース部
42 引出し部
43 巻戻し部
44 収納容器保持部
45 テープガイド
46 部品カウンタ
51 第1回転軸
52 第1モータ
53 第2回転軸(巻取り体保持部)
54 第2モータ
61 引出し部巻芯
62 フランジ部
63 幅調整部材
64 引出し部巻芯ユニット
66 ストッパ部材
80 巻取り体
81 リール体
82 交換型巻芯
83 収納容器
84 分割リール
TK テープ端部位置検出部
CT キャリアテープ
CTT 始端
CTS 終端
SJ 終端剰余部
CTR キャリアテープロール体
BH 部品
KB 基板
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