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特開2023-60520基板の外形検出装置およびそれを用いた基板搬送装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023060520
(43)【公開日】2023-04-28
(54)【発明の名称】基板の外形検出装置およびそれを用いた基板搬送装置
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/24 20060101AFI20230421BHJP
   B25J 19/04 20060101ALI20230421BHJP
【FI】
G01B11/24 K
B25J19/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021170163
(22)【出願日】2021-10-18
(71)【出願人】
【識別番号】000000158
【氏名又は名称】イビデン株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】591098112
【氏名又は名称】イビデンエンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001542
【氏名又は名称】弁理士法人銀座マロニエ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松下 哲也
(72)【発明者】
【氏名】横山 海斗
【テーマコード(参考)】
2F065
3C707
【Fターム(参考)】
2F065AA51
2F065BB01
2F065BB17
2F065DD04
2F065FF04
2F065GG14
2F065GG21
2F065JJ19
2F065JJ26
2F065LL04
2F065LL21
2F065PP11
2F065QQ04
2F065QQ24
2F065QQ31
3C707AS01
3C707AS24
3C707DS01
3C707FS01
3C707FT02
3C707FT11
3C707FU01
3C707KS07
3C707KT01
3C707NS15
(57)【要約】
【課題】基板の外形を精度よく検出する。
【解決手段】基板の外形検出装置10は、基板1を吸着する吸着パッド2を備える吸着ヘッド3と、吸着ヘッドの基板に対向する表面に設けられた、特定の波長の光を他の波長の光に変換するための波長変換シート4と、特定の波長の光を照射する照明装置5と、波長変換シートで反射された他の波長の光のみを透過するレンズフィルタ6と、レンズフィルタを透過した光を撮像する撮像装置7と、撮像装置で撮像された画像を画像処理して基板の外形を検出する画像処理装置8と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を吸着する吸着パッドを備える吸着ヘッドと、
前記吸着ヘッドの前記基板に対向する表面に設けられた、特定の波長の光を他の波長の光に変換するための波長変換シートと、
前記特定の波長の光を照射する照明装置と、
前記波長変換シートで反射された前記他の波長の光のみを透過するレンズフィルタと、
前記レンズフィルタを透過した光を撮像する撮像装置と、
前記撮像装置で撮像された画像を画像処理して前記基板の外形を検出する画像処理装置と、
を備えることを特徴とする基板の外形検出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の基板の外形検出装置において、前記特定の波長の光が青色の光であり、前記他の波長の光が赤色の光である。
【請求項3】
請求項1または2に記載の基板の外形検出装置において、前記基板がメッキ部を有するプリント配線板である。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の基板の外形検出装置において、前記照明装置を複数用い、複数の照明装置が前記基板の周囲に等間隔に配置されている。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の基板の外形検出装置において、前記照明装置がバー照明である。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の基板の外形検出装置を用いた基板搬送装置であって、前記基板の外形検出装置で検出した前記基板の外形に基づき、前記吸着ヘッドで保持した前記基板を、トレイの所定の位置に搬送して挿入することを特徴とする基板搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面にメッキ部を有するプリント配線板などの基板の外形を検出するための基板の外形検出装置およびそれを用いた基板搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、表面にメッキ部を有するプリント配線板などの基板の裏面を、ロボットの吸着ヘッドで吸着して保持し、トレイの所定の位置に基板を搬送して挿入する場合、基板とトレイとの位置合わせに画像処理を使うことが一般的である。そのために、基板の外形を精度よく検出する必要がある。
【0003】
図5は従来の基板の外形検出方法の一例を説明するための図である。図5に示す例において、51は搬送される基板、52はロボットの吸着ヘッド、53は吸着ヘッド52に設けられた基板51を吸着するための吸着パッド、54-1、54-2は基板51を照明するための照明装置、55は基板51の外形を撮像するためのカメラ、56はカメラ55で撮像した画像を画像処理する画像処理装置、である。
【0004】
図5に示す例において、吸着ヘッド52に照明装置を設けて基板51のバックライトを用いることができれば、正確な基板51の外形を検出できる。しかしながら、吸着ヘッド52に照明装置を設けることが困難である。そのため、図5に示すように、照明装置54-1、54-2から照射される光が基板51の表面51aで反射し、その反射光をカメラ55で撮像して、撮像した画像を画像処理装置56で画像処理して基板51の外形を検出している(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001-358500号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
図5に示す例では、カメラ55により取得された画像は、基板51の表面にメッキ部などがあるとそのメッキ部で光の反射光が安定せず、画像にばらつきがでる。そのため、図6に示すように、画像のメッキ部にハレーションが存在する。その結果、そのハレーションが存在する画像を画像処理して2値化したときに、図7に示すように、基板の外形(四角形)を正しく検出できない問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る基板の外形検出装置は、基板を吸着する吸着パッドを備える吸着ヘッドと、前記吸着ヘッドの前記基板に対向する表面に設けられた、特定の波長の光を他の波長の光に変換するための波長変換シートと、前記特定の波長の光を照射する照明装置と、前記波長変換シートで反射された前記他の波長の光のみを透過するレンズフィルタと、前記レンズフィルタを透過した光を撮像する撮像装置と、前記撮像装置で撮像された画像を画像処理して前記基板の外形を検出する画像処理装置と、を備える。
【0008】
また、本発明に係る基板搬送装置は、上述した基板の外形検出装置を用いた基板搬送装置であって、前記基板の外形検出装置で検出した前記基板の外形に基づき、前記吸着ヘッドで保持した前記基板を、トレイの所定の位置に搬送して挿入する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態に係る基板の外形検出装置の構成を説明するための図である。
図2】本発明の基板の外形検出装置においてレンズフィルタに入射する画像の一例を説明するための図である。
図3】本発明の基板の外形検出装置においてカメラで撮像された撮像画像の一例を説明するための図である。
図4】本発明の基板の外形検出装置において撮像画像を画像処理した画像の一例を説明するための図である。
図5】従来の基板の外形検出装置の一例の構成を説明するための図である。
図6】従来の基板の外形検出装置においてカメラで撮像された撮像画像の例を説明するための図である。
図7】従来の基板の外形検出装置において撮像画像を画像処理した画像の例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、本発明の一実施形態に係る基板の外形検出装置の構成を説明するための図である。図1に示す一実施形態において、基板の外形検出装置10は、基板1を吸着する吸着パッド2を備える吸着ヘッド3と、吸着ヘッド3の基板1に対向する表面3aに設けられた、特定の波長の光を他の波長の光に変換するための波長変換シート4と、特定の波長の光を照射する照明装置5-1、5-2と、波長変換シート4で反射された他の波長の光のみを透過するレンズフィルタ6と、レンズフィルタ6を透過した光を撮像する撮像装置7と、撮像装置7で撮像された画像を画像処理して基板1の外形を検出する画像処理装置8と、を備えている。
【0011】
図1に示す本発明の一実施形態において、基板1としては、例えば、出荷予定のトレイの所定位置に配置される、出荷前の最終形態のプリント配線板などが対象となる。吸着パッド2を備える吸着ヘッド3は、例えば、工業用ロボットのアーム先端に設けられる。吸着パッド2は、基板1を吸着保持するためのもので、例えば真空吸着パッドなどを用いることができる。撮像装置7としては、通常のカメラなどを用いることができる。画像処理装置8としては、市販の画像処理装置を用いることができる。
【0012】
図1に示す一実施形態において、本発明の基板の外形検出装置の特徴は、特定の波長の光を他の波長の光に変換するための波長変換シート4、特定の波長の光を照射する照明装置5および波長変換シート4で反射された他の波長の光のみを透過するレンズフィルタ6を用いる点にある。波長変換シート4、照明装置5-1、5-2およびレンズフィルタ6の使用およびその原理は、従来から知られている。しかし、これらの原理を、基板の外形検出装置などに適用する事例はない。
【0013】
図1に示す一実施形態において、波長変換シート4は、照射されて入射された特定の波長の光を他の波長の光に変換して反射光として出射する機能を有する。例えば、青色の光(波長:430-490nm)を赤色の光(波長:640-770nm)に変換する機能を有する波長変換シートを使用することができる。照明装置5-1、5-2は、特定の波長の光を出射する。例えば、青色の光(波長:430-490nm)を出射する青色LEDバー照明を使用することができる。レンズフィルタ6は、波長変換シート4で反射された他の波長の反射光のみを透過する機能を有する。例えば、赤色の波長の光(波長:640-770nm)のみ透過させて、青色の波長の光(波長:430-490nm)はカットするレンズフィルタ6を用いることができる。
【0014】
上述した構成の本発明の基板の外形検出装置によれば、特定の波長の光を青色の光とし、波長変換シート4で変換される他の波長の光を赤色の光とした場合、まず、照明装置5-1、5-2から青色の光Bが波長変換シート4および基板1に照射される。波長変換シート4に入射した青色の光Bは、波長変換シート4で反射して、赤色の反射光Rとして基板1を通過してレンズフィルタ6に入射する。一方、基板1に入射した青色の光Bは、基板1で反射して、青色の反射光Bとしてレンズフィルタ6に入射する。その結果、レンズフィルタ6に入射する光は、図2に示すように、基板1の部分(メッキ部を含む配線など)を示す青色の光と基板1の外側の部分を示す赤色の光から構成される。ここで、レンズフィルタ6は赤色の光のみを透過するため、レンズフィルタ6を透過後に撮像装置7で撮像した画像は、図3に示すように、基板1の部分は光が透過せず黒色となり、基板1の外側の部分は赤色となる。たとえ、基板1の表面にメッキ部があったとしても、その部分もすべて黒色となる。その後、撮像装置7で撮像した例えば256階調のデジタル画像に対し、しきい値となる階調の値(黒色と赤色との中間の値)を定めて画像処理装置8で2値化することで、図4に示すように、基板1の外形を検出することができる。
【0015】
本発明の基板の外形検出装置によれば、基板1の外形を、基板1の裏側からの反射光のみ(バックライト)で検出することができるため、基板1の外形を精度よく検出することが可能となる。
【0016】
本発明の基板の外形検出装置の好適な実施形態は以下の通りである。まず、特定の波長の光が青色の光であり、他の波長の光が赤色の光であることがある。これは、実際の装置で使用した波長変換シート4およびレンズフィルタ6の構成に基づいている。もちろん、特定の波長の光の色および変換後の他の波長の光の色は、上記構成に限定されるものではなく、異なる色であっても本発明を達成することはできる。
【0017】
また、基板がメッキ部を有するプリント配線板であることがある。これは、従来の基板の外形検出装置では、メッキ部があるプリント配線板の外形を正確に検出できておらず、本発明の基板の外形検出装置が有効に利用できる対象であるためである。
【0018】
ここで、基板の形態の違いによる反射光への影響として、以下の事例が考えられ:
1)基板表面のレジストの種類の相違による色彩の差異;
2)基板表面のメッキの種類(例えば、金、ニッケル、銅等)によるハレーション;
3)基板表面に実装部品がある場合は、部品の種類・形状による反射光;
本発明は、これらの反射光への影響がある基板種類全ての表面状態の差異に対応可能である。
【0019】
さらに、基板の形状については、上述した実施形態では4角形としたが、これに限定されるものではなく、多角形、円弧・楕円を含む形状等に対応可能であり、数学式で表すことが出来る全ての形状に対応可能である。
【0020】
さらに、照明装置を複数用い、複数の照明装置が基板の周囲に等間隔に配置されていることがある。ここで、等間隔とは、図1に示すように2個の照明装置5-1、5-2であれば、基板の周囲に180°の間隔で、3個の照明装置であれば、基板の周囲に120°の間隔で、4個の照明装置であれば、基板の周囲に90°の間隔で配置することを意味する。これは、本発明の基板の外形検出装置において、波長変換シートに照射する照明装置からの光がより均一になり、外形検出の精度をより向上させることができるためである。なお、照明装置に関しては、上述したような複数の照明装置の等間隔の配置以外に、リング形状の照明を適用することも有効である。
【0021】
さらにまた、照明装置がバー照明であることがある。これは、本発明の基板の外形検出装置において、波長変換シートに照射する照明装置からの光(複数の場合は各照明装置からの光)がより均一になり、外形検出の精度をより向上させることができるためである。
【0022】
本発明に係る基板の外形検出装置は、吸着治具で搬送をする全ての対象物に関して、高精度位置合わせ(事例として±0.03mm)が必要である場合に、効果的に適用することができる。
【0023】
また、本発明に係る基板搬送装置では、上述した基板の外形検出装置を用い、基板の外形検出装置で検出した基板の外形に基づき、吸着ヘッドで保持した基板を、トレイの所定の位置に搬送して挿入する。本発明に係る基板搬送装置では、搬送する基板の外形を正確に求めた状態で、基板をトレイの所定の位置に搬送して挿入することができるため、基板の搬送を精度よく行うことができる。
【符号の説明】
【0024】
1 基板
2 吸着パッド
3 吸着ヘッド
3a 表面
4 波長変換シート
5-1、5-2 照明装置
6 レンズフィルタ
7 撮像装置
8 画像処理装置
10 基板の外形検出装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7