(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023006053
(43)【公開日】2023-01-18
(54)【発明の名称】歯磨き補助サーバ、歯磨き補助装置、歯磨き補助システムおよび歯磨き補助プログラム
(51)【国際特許分類】
G16H 20/00 20180101AFI20230111BHJP
A46B 15/00 20060101ALI20230111BHJP
A63F 13/428 20140101ALI20230111BHJP
A63F 13/46 20140101ALI20230111BHJP
A63F 13/798 20140101ALI20230111BHJP
G09B 19/24 20060101ALI20230111BHJP
A61C 17/00 20060101ALI20230111BHJP
【FI】
G16H20/00
A46B15/00 K
A63F13/428
A63F13/46
A63F13/798
G09B19/24 Z
A61C17/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021108437
(22)【出願日】2021-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】000106324
【氏名又は名称】サンスター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】太田 安里
(72)【発明者】
【氏名】石川 美希
(72)【発明者】
【氏名】曽野 陽子
(72)【発明者】
【氏名】西浦 正洋
【テーマコード(参考)】
3B202
5L099
【Fターム(参考)】
3B202AA06
3B202AB06
3B202AB08
3B202GA07
5L099AA15
(57)【要約】
【課題】歯磨きに対する関心を高める歯磨き補助サーバ、歯磨き補助装置、歯磨き補助システムおよび歯磨き補助プログラムを提供する。
【解決手段】歯ブラシ7に取り付けられた歯ブラシモジュール89は、複数のユーザ9による歯磨き動作に関する物理量を検出するセンサ81と、センサ81により検出される物理量を示す無線信号を送信する無線送信部82とを備える。歯磨き補助装置1は、ユーザ9による歯磨き動作に関する物理量に基づく、歯磨き動作に関するスコアを算出するスコア算出部111と、スコアに基づいて決定された各ユーザのランキングを出力するランキング出力部113と、を備え、歯磨き補助サーバ2は、複数のユーザ9による歯磨き動作に関する物理量に基づく、歯磨き動作に関するスコアを取得するスコア取得部211と、スコアに基づいて各ユーザ9のランキングを決定するランキング決定部212と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のユーザによる歯磨き動作に関する物理量に基づく、前記歯磨き動作に関するスコアを取得するスコア取得部と、
前記スコアに基づいて各ユーザのランキングを決定するランキング決定部と、
を備える歯磨き補助サーバ。
【請求項2】
各ユーザは、複数のチームのいずれかに属しており、
前記ランキング決定部は、各チームに属するユーザの前記スコアに基づいて、各チームのランキングを決定する、請求項1に記載の歯磨き補助サーバ。
【請求項3】
ユーザによる歯磨き動作に関する物理量に基づく、前記歯磨き動作に関するスコアを算出するスコア算出部と、
前記スコアに基づいて決定された各ユーザのランキングを出力するランキング出力部と、
を備える歯磨き補助装置。
【請求項4】
各ユーザは、複数のチームのいずれかに属しており、
前記ランキング出力部は、各チームに属するユーザの前記スコアに基づいて決定された各チームのランキングを出力する、請求項3に記載の歯磨き補助装置。
【請求項5】
無線信号を送信する歯ブラシモジュールと、前記無線信号を受信する請求項3または4に記載の歯磨き補助装置と、前記歯磨き補助装置と通信可能に接続される請求項1または2に記載の歯磨き補助サーバとを備える歯磨き補助システムであって、
前記歯ブラシモジュールは、
複数のユーザによる歯磨き動作に関する物理量を検出するセンサと、
前記センサにより検出される前記物理量を示す無線信号を送信する無線送信部と
を備え、
前記歯磨き補助装置は、
前記物理量を示す前記無線信号を受信する無線受信部と、
前記スコアを前記歯磨き補助サーバに送信するスコア送信部と、
をさらに備え、
前記歯磨き補助サーバは、
前記ランキングを前記歯磨き補助装置に送信するランキング送信部
をさらに備える歯磨き補助システム。
【請求項6】
請求項1または2に記載の歯磨き補助サーバの各部としてコンピュータを機能させるための歯磨き補助プログラム。
【請求項7】
請求項3または4に記載の歯磨き補助装置の各部としてコンピュータを機能させるための歯磨き補助プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザが歯磨きを行う際に用いられる歯磨き補助装置、歯磨き補助サーバ、歯磨き補助システムおよび歯磨き補助プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
身体的および精神的に健康な生活を送るためには、口腔機能を維持することが大切である。個人の健康寿命を延ばすためにも、歯磨きを含む日々の口腔ケアを適切に施すことにより、歯を十分に清浄な状態に保つことが歯科医師からも勧められている。
【0003】
歯ブラシを用いて行われる歯磨き動作を支援する従来の技術としては、例えば下記特許文献1および下記特許文献2に記載の技術が挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009-240760号公報
【特許文献2】特表2011-524756号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
口腔衛生に対する関心が低い者にとっては、口腔ケアは退屈であり日々の口腔ケアはおざなりになる傾向がある。口腔ケアにおいては日々の歯磨きが基本であり、それゆえに歯磨きに対する関心が低い者の関心を高めることが求められている。
【0006】
本発明は、歯磨きに対する関心を高める歯磨き補助サーバ、歯磨き補助装置、歯磨き補助システムおよび歯磨き補助プログラムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための本発明は、例えば以下に示す態様を含む。
【0008】
(項1)
複数のユーザによる歯磨き動作に関する物理量に基づく、前記歯磨き動作に関するスコアを取得するスコア取得部と、
前記スコアに基づいて各ユーザのランキングを決定するランキング決定部と、
を備える歯磨き補助サーバ。
(項2)
各ユーザは、複数のチームのいずれかに属しており、
前記ランキング決定部は、各チームに属するユーザの前記スコアに基づいて、各チームのランキングを決定する、項1に記載の歯磨き補助サーバ。
(項3)
ユーザによる歯磨き動作に関する物理量に基づく、前記歯磨き動作に関するスコアを算出するスコア算出部と、
前記スコアに基づいて決定された各ユーザのランキングを出力するランキング出力部と、
を備える歯磨き補助装置。
(項4)
各ユーザは、複数のチームのいずれかに属しており、
前記ランキング出力部は、各チームに属するユーザの前記スコアに基づいて決定された各チームのランキングを出力する、項3に記載の歯磨き補助装置。
(項5)
無線信号を送信する歯ブラシモジュールと、前記無線信号を受信する項3または4に記載の歯磨き補助装置と、前記歯磨き補助装置と通信可能に接続される項1または2に記載の歯磨き補助サーバとを備える歯磨き補助システムであって、
前記歯ブラシモジュールは、
複数のユーザによる歯磨き動作に関する物理量を検出するセンサと、
前記センサにより検出される前記物理量を示す無線信号を送信する無線送信部と
を備え、
前記歯磨き補助装置は、
前記物理量を示す前記無線信号を受信する無線受信部と、
前記スコアを前記歯磨き補助サーバに送信するスコア送信部と、
をさらに備え、
前記歯磨き補助サーバは、
前記ランキングを前記歯磨き補助装置に送信するランキング送信部
をさらに備える歯磨き補助システム。
(項6)
項1または2に記載の歯磨き補助サーバの各部としてコンピュータを機能させるための歯磨き補助プログラム。
(項7)
項3または4に記載の歯磨き補助装置の各部としてコンピュータを機能させるための歯磨き補助プログラム。
(項8)
前記スコア算出部は、
前記物理量に基づいて前記歯磨き動作中のブラッシング位置を判定し、
前記物理量に基づいて前記歯磨き動作の手技を評価し、
前記ブラッシング位置および前記手技の評価に基づいて前記スコアを算出する、項5に記載の歯磨き補助システム。
(項9)
前記スコア算出部は、前記物理量に基づいて前記スコアに重みを加える、項8に記載の歯磨き補助システム。
(項10)
前記スコア算出部は、
前記物理量に基づいて前記歯磨き動作の清掃性を評価し、
前記物理量に基づいて前記歯磨き動作の安全性を評価し、
前記清掃性に関する評価と、前記安全性に関する評価とに基づいて、前記スコアに前記重みを加える、項8に記載の歯磨き補助システム。
(項11)
前記スコア算出部は、前記ユーザの口腔ケアに関する情報に基づいて、前記スコアに重みを加える、項5に記載の歯磨き補助システム。
(項12)
前記ランキング出力部は、特定の日または期間において算出される前記スコアのうち、最も高い前記スコアに基づいて決定された、前記ランキングを出力する、項5に記載の歯磨き補助システム。
(項13)
前記スコア算出部は、複数の異なる日または期間のそれぞれにおいて算出される複数の前記スコアに基づいて、前記スコアの伸び率を算出し、
前記ランキング出力部は、複数の前記伸び率に基づいて決定された前記ランキングを出力する、項5に記載の歯磨き補助システム。
【発明の効果】
【0009】
本発明によると、歯磨きに対する関心を高める歯磨き補助サーバ、歯磨き補助装置、歯磨き補助システムおよび歯磨き補助プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施形態に係る歯磨き補助システムの模式的な構成を示す概念図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る歯磨き補助システムの機能を説明するためのブロック図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る歯磨き補助システムにおけるデータ処理の手順を説明するためのフローチャートである。
【
図4】本発明の一実施形態に係る歯磨き補助システムにおけるデータ処理の手順を説明するためのフローチャートである。
【
図5】本発明の一実施形態に係る歯磨き補助システムにおけるデータ処理の手順を説明するためのフローチャートである。
【
図6】歯磨き補助装置のタッチパネルディスプレイに表示されるランキング画面の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を、添付の図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の説明および図面において、同じ符号は同じまたは類似の構成要素を示すこととし、よって、同じまたは類似の構成要素に関する重複した説明を省略する。
【0012】
[システム構成]
図1は、本発明の一実施形態に係る歯磨き補助システムの模式的な構成を示す概念図である。
【0013】
一実施形態に係る歯磨き補助システム100は、歯磨き補助装置1と、歯磨き補助サーバ2と、歯ブラシ用アタッチメント8とを備える。
【0014】
歯磨き補助システム100におけるデータ処理の概要について説明する。歯ブラシ用アタッチメント8は、ユーザ9による歯磨き動作に関する物理量を検出し、検出される物理量を示す無線信号を、歯磨き補助装置1に送信する。歯ブラシ用アタッチメント8は、歯ブラシ7に取り付けられており、ユーザ9による歯ブラシ7を用いた歯磨き動作に関する物理量を検出する。例示的には、歯磨き動作に関する物理量は、歯磨き動作に関する加速度である。
【0015】
歯磨き補助装置1は、歯ブラシ7を用いた歯磨き動作に関する物理量を示す無線信号を、歯ブラシ用アタッチメント8から受信する。歯磨き補助装置1は、受信した無線信号に示されている物理量に基づいて、ユーザ9による歯磨き動作に関するスコアを算出し、算出したスコアを歯磨き補助サーバ2に送信する。
【0016】
歯磨き補助サーバ2は、ネットワーク99を介して歯磨き補助装置1と通信可能に接続されており、ユーザ9による歯磨き動作に関するスコアを歯磨き補助装置1から取得する。歯磨き補助サーバ2には複数の歯磨き補助装置1が通信可能に接続されており、歯磨き補助サーバ2は、複数のユーザ9による複数のスコアを、複数の歯磨き補助装置1から取得し記録する。歯磨き補助サーバ2は、取得した複数のスコアに基づいて、各ユーザ9のランキングを決定し、決定したランキングを、各ユーザ9の歯磨き補助装置1に送信する。
【0017】
歯磨き補助装置1は、ユーザ9による歯磨き動作に関するスコアに基づいて決定された各ユーザ9のランキングを、例えば
図6に例示するように、歯磨き補助装置1のタッチパネルディスプレイ15等に表示する。
【0018】
このような歯磨き補助システム100によると、スコア化された歯磨き動作に関する各ユーザ9のランキングが、歯磨き補助装置1の表示画面に表示される。これにより、ユーザ9は、歯ブラシ7を用いた日々の歯磨きをゲーム感覚で楽しむことができ、歯磨きに対する関心が高まる。このように、歯磨き補助システム100によると、複数のユーザ9の間に生じる競争意識を活用することにより、ユーザ9による日々の歯磨きを継続させることができ、関心が低い者にとっては退屈な日々の歯磨きに対する関心を高めることができる。
【0019】
[ハードウェア構成および機能ブロック]
図2は、本発明の一実施形態に係る歯磨き補助システムの機能を説明するためのブロック図である。
【0020】
<歯ブラシ用アタッチメント>
歯ブラシ用アタッチメント8は、歯ブラシ7に取り付けられており、ユーザ9による歯ブラシ7を用いた歯磨き動作に関する物理量を検出する。歯ブラシ用アタッチメント8は、センサ81と、無線送信部82とを備える。例示的には、これらセンサ81および無線送信部82は、回路ブロックとして実装することができ、電池(図示せず)と共に歯ブラシモジュール89に収容されている。
【0021】
センサ81は、ユーザ9による歯磨き動作に関する物理量を検出する。例示的には、歯磨き動作に関する物理量は、歯磨き動作に関する加速度であり、センサ81には、加速度を検出する例えば三軸の加速度センサを用いることができる。歯ブラシ用アタッチメント8は歯ブラシ7に取り付けられているので、センサ81は、歯ブラシ7の動きに伴う物理量(加速度)を、ユーザ9による歯ブラシ7を用いた歯磨き動作に関する物理量(加速度)として検出することができる。
【0022】
センサ81は、地球の重力により生じる重力加速度を検出することができる。歯ブラシ用アタッチメント8は歯ブラシ7に取り付けられているので、歯ブラシ7の姿勢変化に応じて歯ブラシ用アタッチメント8の姿勢が変化し、センサ81で検出される重力加速度の方向が変化する。よって、センサ81で検出される重力加速度の方向から、歯ブラシ7の姿勢を検出することができる。以下では説明を簡略化するために、センサ81で検出された重力加速度の方向に基づいて歯ブラシ7の姿勢を検出することを、単に、センサ81で歯ブラシ7の姿勢を検出する、と表現する。
【0023】
なお、センサ81は加速度センサに限らない。センサ81は、歯ブラシ7の回転角や角速度を検出するジャイロセンサ、地磁気を検出する磁気コンパス、ユーザ9の歯に対する歯ブラシ7の押圧力を検出する圧力センサ、距離を計測する距離センサ、位置情報を取得するGPS、音声信号を取得するマイク、あるいは口腔内を撮像するための口腔内カメラ(画像センサ)などのセンサであってもよく、これらのセンサを組み合わせて複数含んでいてもよい。口腔内カメラによると、歯ブラシ7のヘッド部の口腔内における位置を撮像して、撮像した口腔内画像とセンサ81によって検出される種々の物理量とを突き合わせることにより、口腔内において歯ブラシ7が歯のどの部分と当接しているのかを検証し、当接している部分の位置を補正することが可能となる。
【0024】
無線送信部82は、センサ81により検出される物理量を示す無線信号を送信する。例示的には、無線送信部82と、歯磨き補助装置1の無線受信部14との間の無線通信には、Bluetooth(登録商標)やWi-Fi(登録商標)等の種々の無線方式を用いることができる。
【0025】
<歯磨き補助装置>
歯磨き補助装置1は、制御部11と、記録部12と、通信部13と、無線受信部14と、タッチパネルディスプレイ15とを備える。任意の構成として、歯磨き補助装置1は、カメラ16と、スピーカ17とをさらに備えることができる。例示的には、歯磨き補助装置1は、スマートフォンまたはタブレット型のコンピュータで構成することができる。
【0026】
制御部11は、後述するデータ処理を行うためのCPU(図示せず)と、データ処理の作業領域に使用するメモリ(図示せず)とを備えている。
【0027】
記録部12は、オペレーティングシステム(OS)、各種制御プログラム、および、プログラムによって生成されたデータなどを記憶する不揮発性の記憶装置であり、例えば、フラッシュメモリやeMMC(embedded Multi Media Card)、SSD(Solid State Drive)等によって構成される。
【0028】
通信部13は、有線または無線のネットワークを介して、歯磨き補助サーバ2等の外部機器とデータの送受信を行う。
【0029】
無線受信部14は、歯ブラシ用アタッチメント8の無線送信部82から送信される無線信号を受信する。
【0030】
タッチパネルディスプレイ15は、表示装置としての機能と入力装置としての機能とが一体化されて構成されている。
【0031】
制御部11は、スコア算出部111と、スコア送信部112と、ランキング出力部113とを備える。制御部11におけるこれらの機能ブロックは、記録部12または制御部11内のメモリにインストールされているプログラムを、制御部11内のCPUが実行することにより実現される。
【0032】
スコア算出部111は、ユーザ9による歯磨き動作に関する物理量に基づいて、ユーザ9の歯磨き動作に関するスコアを算出する。スコアは様々な手順により算出することができる。
【0033】
スコア送信部112は、算出したスコアを歯磨き補助サーバ2に送信する。
【0034】
ランキング出力部113は、スコアに基づいて決定された各ユーザ9のランキングを出力する。本実施形態では、ユーザ9のランキングは、歯磨き補助サーバ2において決定される。
【0035】
<歯磨き補助サーバ>
歯磨き補助サーバ2は、制御部21と、記録部22と、通信部23とを備える。これら制御部21、記録部22および通信部23は、歯磨き補助装置1の制御部11、記録部12および通信部13と同様のハードウェアの機能を有している。例示的には、歯磨き補助サーバ2はサーバコンピュータで構成することができる。
【0036】
制御部21は、スコア取得部211と、ランキング決定部212と、ランキング送信部213とを備える。制御部21におけるこれらの機能ブロックは、記録部22または制御部21内のメモリにインストールされているプログラムを、制御部21内のCPUが実行することにより実現される。
【0037】
スコア取得部211は、複数のユーザ9による歯磨き動作に関する物理量に基づく、歯磨き動作に関するスコアを取得する。本実施形態では、それぞれのユーザ9の歯磨き動作に関するスコアは、それぞれの歯磨き補助装置1において算出される。スコア取得部211は、歯磨き補助装置1から取得したユーザ9の歯磨き動作に関するスコアに基づいて、例えば電子マネーとして利用することが可能なポイントをユーザ9に付与することができる。
【0038】
ランキング決定部212は、取得したスコアに基づいて各ユーザのランキングを決定する。
【0039】
ランキング送信部213は、スコアに基づいて決定された各ユーザ9のランキングを、歯磨き補助装置1に送信する。
【0040】
[データ処理手順]
図3~
図5は、本発明の一実施形態に係る歯磨き補助システムにおけるデータ処理の手順を説明するためのフローチャートである。
【0041】
図3~
図5に示すステップS1~S5の処理は、制御部11,21が備える各機能ブロックにより、すなわち制御部11,21によりそれぞれ実行される。
【0042】
まず、歯磨き補助システム100を使用する前の準備として、歯ブラシ用アタッチメント8を歯ブラシ7に装着し、歯ブラシ用アタッチメント8の電源を入れる。次に、歯磨き補助装置1にインストールされている歯磨き補助プログラム(アプリ)を起動して、歯磨き補助装置1と歯ブラシ用アタッチメント8との間でデータ通信が可能な状態に設定する。
【0043】
ステップS1において、歯磨き補助装置1は、歯磨き動作に関する物理量を示す無線信号を、歯ブラシ用アタッチメント8から受信する。
【0044】
ユーザ9が歯ブラシ7を用いて歯磨き動作を開始すると、歯ブラシモジュール89に収容されているセンサ81が、ユーザ9による歯磨き動作に関する物理量を検出し、無線送信部82が、検出された物理量を示す無線信号を歯磨き補助装置1に送信する。歯磨き補助装置1は、無線受信部14を介して無線信号を受信する。本実施形態では、歯磨き補助装置1は、ユーザ9が歯磨き動作を開始してから所定の時間の間、歯ブラシ用アタッチメント8から無線信号を受信する。
【0045】
ステップS2ではスコアを算出する。本実施形態では、ユーザ9によるブラッシングスキルの可視化を目的として、ユーザ9による歯磨き動作中のブラッシング位置(口腔内におけるブラッシング部位)を判定し、歯磨き動作の手技(クオリティ)を評価することにより、ユーザ9による歯磨き動作に関するスコアを算出する。
【0046】
ステップS21では、スコア算出部111は、ステップS1において受信した無線信号に示されている物理量に基づいて、ユーザ9による歯磨き動作中のブラッシング位置を判定する。
【0047】
本実施形態では、スコア算出部111は、無線受信部14を介して取得した加速度情報に基づいて、歯ブラシ7を用いたユーザ9による歯のブラッシング位置を判定する。ブラッシング位置は、例えば、下の右側奥歯、下の左側奥歯、上の右側奥歯、上の左側奥歯、および上下の前歯の5つのいずれかに判定される。ブラッシング位置を判定する方法としては、例えば特開2005-152217号公報に記載の方法を用いることができる。なお、ブラッシング位置は、上述の5つの位置のいずれかに判定される例に限らない。スコア算出部111は、ブラッシング位置を、例えば、下の右側奥歯、下の左側奥歯、上の右側奥歯、および上の左側奥歯の4つのいずれかに判定するようにしてもよく、6つ以上の位置により詳細に判定するようにしてもよい。
【0048】
ステップS22では、スコア算出部111は、物理量に基づいて、ユーザ9による歯磨き動作の手技(クオリティ)を評価する。
【0049】
スコア算出部111は、無線受信部14を介して取得した加速度情報に基づいて、ユーザ9による歯磨き動作の手技を評価する。手技の評価方法としては、例えば、加速度情報から単位時間当たりの往復運動回数(ブラッシング周波数)を算出し、この往復運動回数が、予め設定された適正回数の範囲内であるか否かを判断することにより、手技が良好か否かを評価することができる。あるいは、センサ81において検出された歯ブラシ7の姿勢が、予め設定された適切な姿勢であるか否を判断することにより、手技が良好か否かを評価することもできる。
【0050】
手技の評価を示す指標は、例えば数値とすることができる。例えば、ユーザ9によるブラッシング周波数の値をリアルタイムで算出し、リアルタイムで更新されるブラッシング周波数の値が、適正な周波数の範囲内に収まる頻度が高い(すなわち時間が長い)ほど、ユーザ9による歯磨き動作の手技が高いと判断することができる。歯ブラシ7の姿勢についても同様に、適切な姿勢の範囲内に収まる頻度に基づいて、手技を評価することができる。
【0051】
手技の評価に用いる基準として、ブラッシング周波数の適切な範囲や歯ブラシ7の適切な姿勢の範囲は、例えばブラッシングのトレーニングを受けて、理想とされるブラッシング手技を習得した、例えば歯科衛生士により予め決定されて、記録部12等に予め記録されている。
【0052】
なお、ユーザ9による歯磨き動作の手技を評価する方法は例示する態様に限定されない。スコア算出部111による手技の評価は、加速度情報に基づいて行う例に限られず、圧力や温度などの他の物理量に基づいて行ってもよい。
【0053】
ステップS23では、スコア算出部111は、ブラッシング位置および手技の評価に基づいて、ユーザ9の歯磨き動作に関するスコアを算出する。
【0054】
スコア算出部111は、ステップS21において判定したブラッシング位置と、ステップS22において評価される歯磨き動作の手技基づいて、ユーザ9の歯磨き動作に関するスコアを算出する。スコアの算出方法としては、例えば、ブラッシング位置と、歯磨き動作の手技の評価とに基づいて、ユーザ9の口腔内におけるブラッシング位置(例えば上述の5つの位置)毎にスコアを算出し、ブラッシング位置毎のこれらスコアを合計することにより算出することができる。
【0055】
例えば、ユーザ9が歯磨き動作を行っている間、判定されるブラッシング位置が例えば上述した5つの位置に均等に分布している場合には、ユーザ9の口腔内における歯の全体がブラッシングされていることから、算出されるスコアは増大する。これとは逆に、判定されるブラッシング位置が上述した5つの位置に均等に分布しておらず、例えば、下の右側奥歯として判定されるブラッシング位置の割合が少ない場合には、ユーザ9の口腔内において下の右側奥歯がブラッシングされていないことから、算出されるスコアは減少する。
【0056】
歯ブラシ用アタッチメント8を通じて取得し算出することが可能な、ユーザ9の歯磨き動作に関する情報の一例を表1に例示する。
【0057】
【0058】
ステップS3ではスコアに重みを加える。ステップS3は任意の工程である。
【0059】
ステップS31では、スコア算出部111は、ステップS1において受信した無線信号に示されている物理量に基づいて、ユーザ9による歯磨き動作の清掃性を評価する。清掃性の評価を示す指標は、手技の評価を示す指標と同様に例えば数値(例えば、0より大きく1以下の実数)とすることができる。
【0060】
清掃性の評価は、例えば、ブラッシング時間とブラッシング位置とブラシの当て方とに基づいて行う。ブラッシング時間は、歯ブラシ7を用いている間の実質的なブラッシング時間として、例えば無線受信部14を介して加速度情報を継続して受信した時間に基づいて算出する。ブラッシング位置は、ステップS21において判定し取得したものを用いる。ブラシの当て方については、例えばこのブラッシング位置に、センサ81で検出される歯ブラシ7の姿勢を組み合わせることにより判定する。
【0061】
ブラッシング時間は、口腔内の特定の部位(例えば、上述の5つの位置)を磨いている時間に関する情報として、評価に用いる。ブラッシング部位は、口腔内の特定の部位(例えば、上述の5つの位置)に関する情報として、評価に用いる。ブラシの当て方は、歯面に対する角度や歯頸部に対する角度の情報として、評価に用いる。すなわち、清掃性の評価に用いる例示的なこれら3つの要素によると、ユーザ9の口腔内の適切な部位に、歯ブラシ7の姿勢に関する適切なアプローチで、適切な時間を費やしてブラッシングを行っているか否かを評価することができ、ユーザ9による実際の歯磨き動作が清掃性に寄与しているか否かを評価することができる。
【0062】
清掃性の評価に用いる際に基準とする、適切なブラッシング時間、ブラッシング位置、およびブラシの当て方に関する、時間、位置、および当て方(角度)の情報も、手技の評価に用いる情報と同様に、例えばブラッシングのトレーニングを受けている例えば歯科衛生士により予め決定されて、記録部12等に予め記録されている。
【0063】
ステップS32では、スコア算出部111は、ステップS1において受信した無線信号に示されている物理量に基づいて、ユーザ9による歯磨き動作の安全性を評価する。安全性の評価を示す指標は、手技の評価を示す指標と同様に例えば数値(例えば、0より大きく1以下の実数)とすることができる。
【0064】
安全性の評価は、例えばブラッシング圧力に基づいて行う。ブラッシング圧力は、ユーザ9による歯磨き動作に関する物理量として、歯ブラシ7が口腔内の特定の部位(例えば、上述の5つの位置)に押し当てられる際の圧力を、センサ81が検出することにより取得することができる。
【0065】
ブラッシングの際には歯、歯茎、口腔粘膜等を傷めるおそれがあり、強すぎるブラッシングは安全性の観点から避けることが望ましい。ユーザの口腔状況や歯ブラシ7(口腔ケアツール)の物理的な性質(性能)にも依るが、歯垢の除去に最適な推奨されるブラッシング圧力は、一般に150グラム~300グラムとされている。例えば、ユーザ9による歯磨き動作中のブラッシング圧力について、推奨されるブラッシング圧力の最適値からの差分を減点し、ユーザ9によるブラッシング圧力が、推奨されるブラッシング圧力の範囲(150グラム~300グラムと)外である場合には不加点とすることにより、ユーザ9による歯磨き動作の安全性を評価する。
【0066】
ステップS33では、スコア算出部111は、清掃性に関する評価と安全性に関する評価とに基づいて、ユーザ9の歯磨き動作に関するスコアに重みを加える。例えば、スコア算出部111は、ステップS2において得られたユーザ9の歯磨き動作に関するスコアに、ステップS31において得られた清掃性に関する評価を示す数値と、ステップS32において得られた安全性に関する評価を示す数値とを乗算することにより、スコアに重みを加える。
【0067】
ステップS4ではランキングを決定する。本実施形態では、ステップS2~S3において得られた、ユーザ9の歯磨き動作に関するスコアに基づいて、ユーザのランキングおよびチームのランキングを決定する。本実施形態では、ランキングは、所定の期間(例えば、一週間)にわたって集計したスコア(ユーザスコアまたはチームスコア)に基づいて決定する。ユーザ個人のスコアを所定の期間にわたって集計することにより、ユーザ9による歯磨き行動全体(例えば、歯磨き回数と時間)がポイントに換算され、ランキングは、その換算されたポイントに基づいて決定される。
【0068】
図1および
図2に示すように、歯磨き補助サーバ2には複数の歯磨き補助装置1が通信可能に接続されており、歯磨き補助サーバ2は、複数のユーザ9による複数のスコアを、複数の歯磨き補助装置1から取得し記録している。
【0069】
ランキング決定部212は、複数のユーザ9の歯磨き動作に関する複数のスコアに基づいて、各ユーザ9のユーザランキングを決定する。
【0070】
続いて、ランキング決定部212は、各チームに属するユーザ9のスコアに基づいて、各チームのチームランキングを決定する。本実施形態では、各ユーザ9は複数のチームのいずれかに属しており、チームのスコアとして、そのチームに属するメンバーであるユーザ9のスコアの平均を算出し、算出したチームのスコアに基づいて、各チームのチームランキングを決定する。本実施形態では、チームのスコアは、そのチームに属するメンバー(ユーザ9)のスコアに基づいて、ランキング決定部212が算出する。
【0071】
ステップS5において、ランキングを出力する。
図6は、歯磨き補助装置のタッチパネルディスプレイに表示されるランキング画面の一例である。
【0072】
図6に例示するように、歯磨き補助装置1のタッチパネルディスプレイ15にはランキング画面G1が表示される。ランキング画面G1には、各ユーザ9のランキングG11が、各ユーザ9のスコアと共に表示されている。各ユーザ9のランキングG11は、ユーザ9による歯磨き動作に関するスコアに基づいて決定されている。本実施形態では、ランキング画面G1には、各チームのチームランキングG12も、各チームのスコアと共に表示されている。各チームのチームランキングG12は、各チームに属するユーザ9のスコアに基づいて決定されている。
【0073】
なお、本実施形態では、ユーザ9の歯磨き動作に関するスコアに基づいて、ユーザランキングおよびチームランキングを決定しているが、チームランキングの決定は任意である。
【0074】
以上、一実施形態に係る歯磨き補助システム100によると、各ユーザ9のランキングG11がランキング画面G1に表示される。これにより、ユーザ9は、歯ブラシ7を用いた日々の歯磨きをゲーム感覚で楽しむことができ、歯磨きに対する関心が高まる。複数のユーザ9の間に生じる競争意識を活用することにより、ユーザ9による日々の歯磨きを継続させることができ、関心が低い者にとっては退屈な日々の歯磨きに対する関心を高めることができる。
【0075】
また本実施形態では、各チームのチームランキングG12がランキング画面G1に表示される。これにより、各ユーザ9の間に生じる競争意識に加えて、各チームの間に生じる競争意識を活用することができ、ユーザ9による日々の歯磨きに対する関心をより高めることができる。
【0076】
[その他の実施形態]
以上、本発明を特定の実施形態によって説明したが、本発明は上記した実施形態に限定されるものではない。以下において説明するその他の実施形態に係る歯磨き補助システムの構成は、特に言及しない限り、第1の実施形態に係る歯磨き補助システムと同様であるので、重複する説明は省略する。
【0077】
決定するランキングの態様は、第1の実施形態において例示したユーザランキングおよびチームランキングに制限されない。様々な態様のランキングを決定して、歯磨き補助装置1の表示画面に表示することができる。様々な態様のランキングを決定することにより、ユーザ9による日々の歯磨きを飽きさせることなく継続させることができる。
【0078】
ランキングを決定する際の別の態様として、ハイスコアに関するランキングを決定することができる。すなわち、ランキング決定部212は、特定の日または期間において算出されるスコア(ユーザスコアまたはチームスコア)のうち、最も高いスコアに基づいて、ユーザのハイスコアランキングまたはチームのハイスコアランキングを決定する。例えばランキング決定部212は、各ユーザ9について算出される特定の日(例えば8月29日)のハイスコアに基づいてランキングを決定する。ランキング出力部113は、決定されたユーザのハイスコアランキングまたはチームのハイスコアランキングを、歯磨き補助装置1の表示画面に表示する。
【0079】
ハイスコアに関するランキングは、第1の実施形態において例示したユーザランキングおよびチームランキングに代えて決定し表示してもよいし、ユーザランキングおよびチームランキングに加えてさらに決定し表示してもよい。
【0080】
ランキングを決定する際のさらに別の態様として、スコアの伸び率に関するランキングを決定することができる。すなわち、スコア算出部111は、複数の異なる日または期間のそれぞれにおいて算出される複数のスコア(ユーザスコアまたはチームスコア)に基づいて、スコアの伸び率を算出し、ランキング決定部212は、算出された複数の伸び率に基づいて、ユーザのスコアの伸び率ランキングまたはチームのスコアの伸び率ランキングを決定する。例えばスコア算出部111は、特定の期間におけるスコアの伸び率として、第1週の平均スコアと第6週の平均スコアとの比率を算出し、ランキング決定部212は、算出されるスコアの伸び率に基づいてランキングを決定する。ランキング出力部113は、決定されたユーザのスコアの伸び率ランキングまたはチームのスコアの伸び率ランキングを、歯磨き補助装置1の表示画面に表示する。
【0081】
スコアの伸び率に関するランキングは、第1の実施形態において例示したユーザランキングおよびチームランキングに代えて決定し表示してもよいし、ユーザランキングおよびチームランキングに加えてさらに決定し表示してもよい。さらに、スコアの伸び率に関するランキングに加えて、ランキングを決定する際の別の態様として例示した、ハイスコアに関するランキングをさらに決定し表示してもよい。
【0082】
好ましくは、ランキングを決定する際の別の態様として説明する、これらハイスコアに関するランキングやスコアの伸び率に関するランキングは、ランキングの開催をユーザ9に事前に告知することなく、突発的なイベント(飛び込み企画)として開催する。突発的なイベントを開催する旨の告知は、例えば歯磨き補助サーバ2のランキング決定部212が、通信部23,13を介して歯磨き補助装置1のタッチパネルディスプレイ15にメッセージを表示することにより、歯磨き補助装置1を所持する複数のユーザ9に告知することができる。このような、特定の日または期間を対象として開催される突発的なイベントにより、ランキングに入賞する機会がユーザ9の全員に与えられる。これにより、歯磨きに対する関心が低いユーザ9においても、個々人に合ったレベルで歯磨きに対する意識を向上させ、歯磨きを行うという具体的な行動変化を促すことができる。
【0083】
上記例示する以外にも、様々な態様のランキングを決定することができる。例えば、参加者内でのランキングとして、ユーザ9が居住する地域(例えば、都道府県)内でのランキングや、職場内でのランキング、性別毎のランキング、年代別のランキングなどを決定することができる。このような様々な態様のランキングは、ランキング決定部212により決定することができる。また、ユーザ9の過去のランキングに応じて、例えばノーマル、ブロンド、シルバー、およびゴールド等といった階級(グレード)をユーザ9に与えることができる。
【0084】
上記した各実施形態では、清掃性に関する評価と安全性に関する評価とに基づいて、ユーザ9の歯磨き動作に関するスコアに重みを加えているが、スコアに重みを加える際に考慮する事項はこれらに限定されない。例えばスコア算出部111は、表2に例示する口腔ケアに関する情報に基づいて、ユーザ9の歯磨き動作に関するスコアに重みを加えることができる。これら口腔ケアに関する情報は、例えばユーザ9へのアンケート等を通じて、タッチパネルディスプレイ15や通信部13を介して、ユーザ9により歯磨き補助装置1に予め入力され、記録しておくことができる。ユーザ9へのアンケートは、例えば歯磨き補助サーバ2のランキング決定部212が、通信部23,13を介して歯磨き補助装置1のタッチパネルディスプレイ15にメッセージを表示することにより、または歯磨き補助装置1に例えば電子メール等を送信することにより、歯磨き補助装置1を所持するユーザ9に対して行うことができる。日々の歯磨きへの意識付けや歯磨きに関する気づきを目的として、ユーザ9へのアンケートは定期的に行うことができる。
【0085】
【0086】
口腔ケアに関する情報に基づくこのようなスコアの重み付けは、ステップS31~S33の処理に代えて行うことができるし、ステップS31~S33の処理によりスコアに重みを加えた後に、さらに追加して行うこともできる。
【0087】
上記した各実施形態では、スコア算出部111は、ブラッシング位置および手技の評価に基づいて、ユーザ9の歯磨き動作に関するスコアを算出しているが、ユーザ9の歯磨き動作に関するスコアを算出する方法はこれに限定されない。例えば、ユーザ9が所定の時間(例えば3分)より長く歯磨き動作を行っていたと判断される場合や、ユーザ9が歯磨き補助サーバ2からのアンケートに回答していたと判断される場合には、スコア算出部111はさらにスコアを加点してもよい。或いはスコア算出部111は、歯磨き補助装置1における歯磨き補助プログラム(アプリ)の起動の有無に応じて、スコアを加点または限定してもよい。また或いは、スコア算出部111は、設定された目標値をユーザ9が達成した場合に、ボーナススコアとしてスコアを加点してもよい。目標値の種類は、例えば一回のまたは一日のブラッシング時間や、所定の期間内(例えば10日間など)における歯磨きの回数等とすることができ、目標値は、例えば上記したアンケートの回答や、ユーザ9の過去の歯磨き動作に関するスコアに基づいて設定することができる。目標値の設定は各ユーザ9が個別に行うことができるので、個々人のレベルの合った目標を設定してスコアおよびランキングを競うことができ、これにより、個々人に合ったレベルで歯磨きに対する意識を向上させ、歯磨きを行うという具体的な行動変化を促すことができる。
【0088】
また、このようなユーザ9の歯磨き動作に関するスコアに基づいて、例えば電子マネーとして利用することが可能なポイントをユーザ9に付与することができる。これにより、歯磨き動作に対するインセンティブがユーザ9に与えられ、歯磨きに対する関心が低いユーザ9においても、歯磨きを行うという具体的な行動変化を促すことができる。
【0089】
また例えば、ユーザ9が所定の値以上のスコアを例えば累積値として獲得した場合には、獲得したスコアの値に応じて、例えばノーマル、ブロンド、シルバー、およびゴールド等といったメダルをユーザ9に与えることができる。ユーザ9へのメダルの付与は、累積スコアに代えて、表2に例示する口腔ケアに関する情報の目標設定値をユーザ9が達成した際に行ってもよい。
【0090】
上記した各実施形態では、スコア化された歯磨き動作に関する各ユーザ9のランキングを表示することにより、複数のユーザ9の間に生じる競争意識を活用しているが、歯磨き動作に関するスコアをさらに別の指標に変換してもよい。例えばランキングの表示に代えて、ユーザ9の歯磨き動作に関するスコアに基づいてゲームを進行する、例えば双六(a kind of backgammon)等のボードゲームや、キャラクター育成ゲーム等の、他の態様のエンターテイメント・アプリとしてもよい。
【0091】
上記した各実施形態では、歯磨き補助装置1のスコア算出部111が、ユーザ9による歯磨き動作に関するスコアを算出しているが、ユーザ9による歯磨き動作に関するスコアは、歯磨き補助サーバ2のスコア取得部211が算出してもよい。さらに、歯ブラシ用アタッチメント8は、歯磨き動作に関する物理量を示す無線信号を歯磨き補助サーバ2へ直接送信してもよい。この場合、歯ブラシ用アタッチメント8には、歯磨き補助システム100において歯磨き補助装置1を使用するユーザ9を一意に特定する、例えばユーザID等の情報を予め対応付けておき、歯磨き動作に関する物理量をユーザIDと共に歯磨き補助サーバ2へ送信する。歯磨き補助サーバ2では、受信したユーザIDのユーザ9に関してスコアの算出およびランキングの決定を行い、歯磨き補助装置1では、歯磨き補助サーバ2から受信したユーザIDのユーザ9に関するランキングやスコアをタッチパネルディスプレイ15上に表示する。なお、歯磨き補助装置1と歯ブラシ用アタッチメント8と、歯磨き補助サーバ2との間でのユーザIDの対応付けは予め行っておく。
【0092】
上記した各実施形態では、ユーザ9による歯のブラッシング位置は、センサ81により検出される加速度情報に基づいて判定されているが、口腔内におけるブラッシング位置を判定する方法はこれに限定されない。例えば、歯ブラシ7を用いたユーザ9による歯磨き動作中の口腔内の画像を、例えばカメラ16またはセンサ81としての口腔内カメラを用いて撮像し、撮像した口腔内の画像をタッチパネルディスプレイ15上に表示する。タッチパネルディスプレイ15上には、撮像した口腔内の画像と共に、ブラッシング位置を案内する案内表示を表示し、案内表示として表示しているブラッシング位置をそのままブラッシング位置の判定に用いてもよい。なおこの場合、ユーザ9は、タッチパネルディスプレイ15上に表示されている案内表示に従って歯ブラシ7を口腔内に位置させながら、歯磨き動作を行っていることとする。
【0093】
上記した各実施形態では、手技の評価に用いる基準であるブラッシング周波数の適切な範囲や歯ブラシ7の適切な姿勢の範囲は、理想とされるブラッシング手技を習得した歯科衛生士により予め決定されているが、手技の評価に用いる基準は、口腔内におけるブラッシング位置に応じて変更することができる。また、手技の評価に用いる基準は、例えばユーザ9の属性に応じて調整することができる。例えばユーザ9が高齢者(例えば、満65歳以上)の場合には、手技の評価に用いる適切な数値範囲として、ブラッシング周波数を下げてブラッシング時間長くすることができる。また例えば、ユーザ9の歯列の状態に起因して、口腔内においてブラッシングし難い箇所が存在する場合には、歯列の状態に応じて手技の評価に用いる基準を適宜調整することができる。または、歯垢(プラーク)の付着状態に応じて、同様に手技の評価に用いる基準を適宜調整することができる。
【0094】
上記した各実施形態では、チームのスコアは、ステップS4においてランキング決定部212が算出しているが、チームのスコアは、ステップS2においてスコア算出部111が予め算出しておいてもよい。
【0095】
上記した各実施形態では、歯磨き補助装置1において通信部13と無線受信部14とは別々に構成されているが、これらは一体化して構成することができる。
【0096】
上記した各実施形態では、歯ブラシ7と歯ブラシ用アタッチメント8とは別々に構成されているが、これらは一体化して構成することができる。この場合、歯ブラシ7には電動歯ブラシを用いることもできる。歯ブラシ7は電動歯ブラシの交換用ブラシであってもよい。
【0097】
上記した各実施形態では、歯ブラシ用アタッチメント8を使用する際には、歯ブラシ用アタッチメント8と歯磨き補助装置1との間の無線通信がオンラインであることを想定しているが、歯ブラシ用アタッチメント8と歯磨き補助装置1との間の無線通信は常にオンラインである必要は無い。歯ブラシ用アタッチメント8は、不揮発性のメモリ(図示せず)とマイクロ・コントロール・ユニット(図示せず)とを備えることができ、歯ブラシ用アタッチメント8と歯磨き補助装置1との間の無線通信がオフラインの場合は、歯ブラシ用アタッチメント8は、センサ81により検出されるユーザ9による歯磨き動作に関する物理量を、例えばタイムスタンプ(歯磨き動作の開始時刻および終了時刻)と共に不揮発性のメモリに記憶することができる。歯ブラシ用アタッチメント8の無線送信部82は、例えば歯磨き補助装置1内の歯磨き補助プログラム(アプリ)の起動時またはバックグラウンド操作時等において無線通信がオンラインとなった際に、オフラインデータとして不揮発性のメモリに記憶しておいたユーザ9による歯磨き動作に関する物理量およびタイムスタンプを、歯磨き補助装置1の無線受信部14に送信することができる。
【符号の説明】
【0098】
1 歯磨き補助装置
2 歯磨き補助サーバ
7 歯ブラシ
8 歯ブラシ用アタッチメント
9 ユーザ
11 制御部
111 スコア算出部
112 スコア送信部
113 ランキング出力部
12 記録部
13 通信部
14 無線受信部
15 タッチパネルディスプレイ
16 カメラ
17 スピーカ
21 制御部
211 スコア取得部
212 ランキング決定部
213 ランキング送信部
22 記録部
23 通信部
81 センサ
82 無線送信部
89 歯ブラシモジュール
100 補助システム