(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023060533
(43)【公開日】2023-04-28
(54)【発明の名称】ロータ、及び、モータ
(51)【国際特許分類】
H02K 1/278 20220101AFI20230421BHJP
【FI】
H02K1/278
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021170182
(22)【出願日】2021-10-18
(71)【出願人】
【識別番号】000144027
【氏名又は名称】株式会社ミツバ
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】大堀 竜
【テーマコード(参考)】
5H622
【Fターム(参考)】
5H622CA02
5H622CA05
5H622CA10
5H622CA13
5H622DD01
5H622DD02
5H622DD04
5H622PP03
5H622PP05
5H622PP10
5H622PP12
5H622PP18
(57)【要約】
【課題】コアプレートの突極部の先端の反り変形に拘わらず、マグネットカバー内にロータコアと荷重受けブロックを容易に、かつ安定して組み付けることができるロータ、及び、モータを提供する。
【解決手段】ロータは、ロータコア32と、永久磁石33、マグネットカバー71、荷重受けブロック70を備える。ロータコアは、コア本体部と複数の突極を有する。永久磁石は突極32Bの間に配置される。マグネットカバーはロータコアと永久磁石の外側を覆い、軸方向外側の端部にフランジ部を有する。荷重受けブロックは、ロータコアの軸方向の端部とフランジ部の間に配置される。ロータコアは複数のコアプレートが積層されて構成される。ロータコアの軸方向の端部側にはスペーサ部が配置される。スペーサ部は、突極の軸方向外側の端面と、荷重受けブロックの対向面との間に軸方向に離間する隙間を形成する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
略円筒状のコア本体部、及び当該コア本体部の外周部から放射方向に突出する複数の突極を有するロータコアと、
前記ロータコアの周方向で隣接する各前記突極の間に配置される複数の永久磁石と、
前記ロータコアと複数の前記永久磁石の外側を覆い、軸方向外側の端部に径方向内側に屈曲したフランジ部を有する略筒状のマグネットカバーと、
前記ロータコアの軸方向外側の端部と前記フランジ部の間に配置されて、前記フランジ部と前記ロータコアの間で軸方向の荷重を伝達可能な荷重受けブロックと、を備え、
前記ロータコアは、磁性材料から成る複数のコアプレートが軸方向に積層されて構成され、
前記ロータコアの軸方向の少なくとも一方の端部側には、前記突極の軸方向外側の端面と、当該端面に対向する前記荷重受けブロックの対向面との間に軸方向に離間する隙間を形成するスペーサ部が配置されていることを特徴とするロータ。
【請求項2】
前記スペーサ部は、前記コア本体部と略同外径の円環状のプレート材によって構成されていることを特徴とする請求項1に記載のロータ。
【請求項3】
前記スペーサ部は、前記コア本体部と略同外径の円環部と、当該円環部から放射方向に突出して前記突極の付根部に重ねられる複数の爪部と、を有するプレート材によって構成され
前記爪部の突出長さが、前記突極の突出長さよりも短く設定されていることを特徴とする請求項1に記載のロータ。
【請求項4】
前記スペーサ部は、磁性材料から成り、前記コアプレートを構成していることを特徴とする請求項2または請求項3に記載のロータ。
【請求項5】
前記スペーサ部は、他の前記コアプレートと同厚みのプレート材から成ることを特徴とする請求項4に記載のロータ。
【請求項6】
積層方向で隣接する前記コアプレートは、前記突極以外の部分で相互に凹凸嵌合されていることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のロータ。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のロータと、
前記ロータの外周側に配置されて、磁界を発生するステータと、を備えていることを特徴とするモータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロータ、及び、モータに関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両のワイパー装置等に用いられるモータとして、永久磁石がロータ側に設けられたものがある。この種のモータで用いられるロータの永久磁石の配置方式としては、ロータコアの外周部に永久磁石を配置したもの(SPM:Surface Permanent Magnet)が知られている。
【0003】
この方式を採用したロータとして、ロータコアの外周部に複数の永久磁石が組付けられ、その状態でロータコアと永久磁石の外側が略筒状のマグネットカバーによって覆われたものがある。マグネットカバーは、略筒状の周壁内にロータコアと永久磁石を配置した後に、軸方向(回転軸線に沿う方向)の端部がロータコアの端部にかしめによって固定される。
【0004】
しかし、かしめによってマグネットカバーをロータコアに固定したロータにおいては、マグネットカバーの端縁をかしめる際に、大きなかしめ荷重が永久磁石に伝達され易い。そして、かしめ作業の際に、マグネットカバーのかしめ部を通して永久磁石に大きなかしめ荷重が伝達されると、永久磁石に損傷や劣化が生じることが懸念される。
【0005】
この対策として、マグネットカバーの係止用のフランジ部と、ロータコアの軸方向外側の端部との間に別体の荷重受けブロックを配置したロータの構造が案出されている(例えば、特許文献1参照)。
このロータによれば、フランジ部に作用するかしめ荷重が荷重受けブロックによって受け止められるため、ロータコアの外周に配置される永久磁石に対して大きなかしめ荷重が伝達され難くなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上記のタイプのロータの多くは、複数のコアプレートを軸方向に積層することでロータコアが構成されている。そして、ロータコアは、略円筒状のコア本体部と、コア本体部の外周部から放射方向に突出する複数の突極を有し、円周方向で隣接する各突極の間に永久磁石が配置されている。
ロータコアを製造する場合には、コアプレートのプレート素材を複数枚重ねて用意し、その複数のプレート素材に対しプレス成形によって一度にコアプレートの打ち抜きを行う。このとき、コアプレートの突極部はコア本体部から狭い幅で径方向に突出しているため、突極部の先端部側に大きな曲げ荷重が作用する。このため、プレス成形されたコアプレートには、突極部の先端部側に打ち抜き方向に向かう反り変形が生じ易い。
【0008】
上述のように成形された複数のコアプレートを積層状態のままロータコアとして用いた場合、ロータコアを複数の永久磁石と荷重受けブロックとともにマグネットカバー内に収容したときに、軸方向外側の端部に位置されるコアプレートの突極部の先端部分(反りの先端部分)が荷重受けブロックに当接する。このとき、コアプレートの突極部の先端部は、かしめ荷重に抗する方向(軸方向の外側)に荷重受けブロックを押し返すため、かしめ作業が難しくなるとともに、かしめによるロータコアの固定が不安定になり易い。
【0009】
そこで本発明は、コアプレートの突極部の先端の反り変形に拘わらず、マグネットカバー内にロータコアと荷重受けブロックを容易に、かつ安定して組み付けることができるロータ、及び、モータを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明に係るロータは、以下の構成を採用した。
即ち、本発明に係るロータは、略円筒状のコア本体部、及び当該コア本体部の外周部から放射方向に突出する複数の突極を有するロータコアと、前記ロータコアの周方向で隣接する各前記突極の間に配置される複数の永久磁石と、前記ロータコアと複数の前記永久磁石の外側を覆い、軸方向外側の端部に径方向内側に屈曲したフランジ部を有する略筒状のマグネットカバーと、前記ロータコアの軸方向外側の端部と前記フランジ部の間に配置されて、前記フランジ部と前記ロータコアの間で軸方向の荷重を伝達可能な荷重受けブロックと、を備え、前記ロータコアは、磁性材料から成る複数のコアプレートが軸方向に積層されて構成され、前記ロータコアの少なくとも一方の軸方向外側の端部側には、前記突極の軸方向外側の端面と、当該端面に対向する前記荷重受けブロックの対向面との間に軸方向に離間する隙間を形成するスペーサ部が配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係るロータによれば、ロータコアの突極の軸方向の端面と荷重受けブロックの対向面との間に、突極部の先端の反りを受容する隙間が形成される。このため、本発明に係るロータを採用した場合には、コアプレートの突極部の先端の反り変形に拘わらず、マグネットカバー内にロータコアと荷重受けブロックを容易に、かつ安定して組み付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図2】実施形態のモータユニットの
図1のII-II線に沿う断面図である。
【
図4】実施形態のロータの軸方向に沿う断面図である。
【
図6】実施形態の第1コアプレートの斜視図である。
【
図7】実施形態の第2コアプレートの斜視図である。
【
図8】実施形態の第1コアプレートの平面図である。
【
図9】実施形態の第2コアプレートの平面図である。
【
図10】実施形態のロータのかしめ工程前の
図4と同様の断面図である。
【
図12】他の実施形態1の第1コアプレートと第2コアプレートを重ね合わせた平面図である。
【
図13】他の実施形態2のロータコアの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下で説明する各実施形態においては、同一部分に共通符号を付し、重複する説明を省略するものとする。
【0014】
(モータユニット)
図1は車両に用いられるモータユニット1の斜視図である。
図2は、モータユニット1の
図1のII-II線に沿う断面図である。
モータユニット1は、例えば、車両のワイパー装置の駆動源として用いられる。
図1,
図2に示すように、モータユニット1は、モータ2と、モータ2の回転を減速して出力する減速部3と、モータ2の駆動制御を行うコントローラ4と、を備えている。
なお、以下の説明において、単に「軸方向」という場合は、モータ2の回転軸31の回転軸線方向に沿う方向を意味し、単に「周方向」という場合は、回転軸31の周方向を意味するものとする。また、単に「径方向」という場合は、回転軸31の径方向を意味するものとする。
【0015】
(モータ)
モータ2は、モータケース5と、モータケース5内に収納された略円筒状のステータ8と、ステータ8の径方向内側に配置され、ステータ8に対して回転可能に設けられたロータ9と、を備えている。本実施形態のモータ2は、ステータ8に電力を供給する際にブラシを必要としない、いわゆるブラシレスモータである。
【0016】
(モータケース)
モータケース5は、アルミニウム合金等の放熱性に優れた材料によって形成されている。モータケース5は、軸方向で分割可能に構成された第1モータケース6と、第2モータケース7と、からなる。第1モータケース6と第2モータケース7は、それぞれ有底円筒状に形成されている。
第1モータケース6は、底部10が減速部3のギヤケース40と接続されるように、当該ギヤケース40と一体成形されている。底部10の径方向略中央には、モータ2の回転軸31を挿通可能な貫通孔が形成されている。
【0017】
また、第1モータケース6と第2モータケース7の各開口部6a,7aには、径方向外側に向かって張り出す外フランジ部16,17がそれぞれ形成されている。モータケース5は、外フランジ部16,17同士を突き合わせて内部空間が形成されている。モータケース5の内部空間には、ステータ8とロータ9が配置されている。ステータ8は、モータケース5の内周面に固定されている。
【0018】
(ステータ)
ステータ8は、積層した電磁鋼板等から成るステータコア20と、ステータコア20に巻回される複数のコイル24と、を備えている。ステータコア20は、円環状のコア本体部21と、コア本体部21の内周部から径方向内側に向かって突出する複数(例えば、6つ)のティース22と、を有している。コア本体部21の内周面と各ティース22は、樹脂製のインシュレータ23によって覆われている。コイル24は、インシュレータ23の上から対応する所定のティース22に巻回されている。各コイル24は、コントローラ4からの給電により、ロータ9を回転させるための磁界を生成する。
【0019】
ロータ9は、ステータ8の径方向内側に微小隙間を介して回転自在に配置されている。ロータ9は、内周部に回転軸31が圧入固定される略筒状のロータコア32と、ロータコア32の外周部に組付けられた4つの永久磁石33(
図3参照)と、を備えている。本実施形態では、回転軸31は、減速部3を構成するウォーム軸44と一体に形成されている。回転軸31とウォーム軸44は、モータケース5とギヤケース40とに回転自在に支持されている。回転軸31とウォーム軸44は、回転軸線(軸心C)回りに回転する。なお、永久磁石33としては、例えば、フェライト磁石が用いられる。しかしながら、永久磁石33は、これに限るものではなく、ネオジムボンド磁石やネオジム焼結磁石等を適用することも可能である。
ロータ9の詳細構造については後に説明する。
【0020】
(減速部)
減速部3は、モータケース5と一体化されたギヤケース40と、ギヤケース40内に収納されたウォーム減速機構41と、を備えている。ギヤケース40は、アルミニウム合金等の放熱性に優れた金属材料によって形成されている。ギヤケース40は、一面に開口部40aを有する箱状に形成されている。ギヤケース40は、ウォーム減速機構41を内部に収容するギヤ収容部42を有する。また、ギヤケース40の側壁40bには、第1モータケース6が一体形成されている箇所に、第1モータケース6の貫通孔とギヤ収容部42を連通する開口部43が形成されている。
【0021】
ギヤケース40の底壁40cには、略円筒状の軸受ボス49が突設されている。軸受ボス49は、ウォーム減速機構41の出力軸48を回転自在に支持するためのものであり、内周側に不図示の滑り軸受が配置されている。軸受ボス49の先端部内側には、不図示のOリングが装着されている。また、軸受ボス49の外周面には、剛性確保のための複数のリブ52が突設されている。
【0022】
ギヤ収容部42に収容されたウォーム減速機構41は、ウォーム軸44と、ウォーム軸44に噛合されるウォームホイール45と、により構成されている。ウォーム軸44は、軸方向の両端部が軸受46,47を介してギヤケース40に回転可能に支持されている。ウォームホイール45には、モータ2の出力軸48が同軸に、かつ一体に設けられている。ウォームホイール45と出力軸48とは、これらの回転軸線が、ウォーム軸44(モータ2の回転軸31)の回転軸線(軸心C)と略直交するように配置されている。出力軸48は、ギヤケース40の軸受ボス49を介して外部に突出している。出力軸48の突出した先端には、モータ駆動する対象物品と接続可能なスプライン48aが形成されている。
【0023】
また、ウォームホイール45には、不図示のセンサマグネットが設けられている。このセンサマグネットは、後述するコントローラ4に設けられた磁気検出素子61によって位置を検出される。つまり、ウォームホイール45の回転位置は、コントローラ4の磁気検出素子61によって検出される。
【0024】
(コントローラ)
コントローラ4は、磁気検出素子61が実装されたコントローラ基板62を有している。コントローラ基板62は、磁気検出素子61がウォームホイール45のセンサマグネットに対向するように、ギヤケース40の開口部40a内に配置されている。ギヤケース40の開口部40aはカバー63によって閉塞されている。
【0025】
コントローラ基板62には、ステータコア20から引き出された複数のコイル24の端末部が接続されている。また、コントローラ基板62には、カバー63に設けられたコネクタ11(
図1参照。)の端子が電気的に接続されている。コントローラ基板62には、磁気検出素子61の他に、コイル24に供給する駆動電圧を制御するFET(Field Effect Transistor:電界効果トランジスタ)等のスイッチング素子からなるパワーモジュール(不図示)や、電圧の平滑化を行うコンデンサ(不図示)等が実装されている。
【0026】
(ロータの詳細構造)
図3は、本実施形態のロータ9の分解斜視図であり、
図4は、ロータ9の軸方向に沿う(軸心Cに沿う)断面図である。なお、
図4は、後述のロータコア32の軸心C回りの相反位置に配置される二つの突極32Bを通るように、ロータ9が断面にされている。また、本明細書においては、ロータ9に関し、「軸方向」とは、回転軸線(軸心C)に沿う方向を意味し、「径方向」とは、回転軸線と直交する方向を意味するものとする。
図3,
図4に示すように、ロータ9は、回転軸31(
図2参照。)とともに回転軸線(軸心C)回りに回転可能なロータコア32と、ロータコア32の外周部に配置された4つの永久磁石33と、ロータコア32の軸方向の一端側と他端側にそれぞれ配置される一対の荷重受けブロック70と、ロータコア32及び永久磁石33を一対の荷重受けブロック70とともに軸方向及び径方向外側から覆う金属製のマグネットカバー71と、を備えている。
【0027】
ロータコア32は、略円筒状のコア本体部32Aと、コア本体部32Aの外周面から放射方向に突出する4つの突極32Bと、を有している。本実施形態の場合、各突極32Bの径方向の突出長さは、コア本体部32Aの径方向幅(半径方向の最大幅)よりも長くなっている。
ロータコア32は、電磁鋼板等の磁性材料から成る複数のコアプレートを軸方向に積層して構成されている。コアプレートは、同形状の複数の第1コアプレート80と、第1コアプレート80と若干形状の異なる一つの第2コアプレート81と、から成る。第2コアプレート81は、軸方向に複数積層された第1コアプレート80の軸方向の一方の端面に重ねられている。第1コアプレート80と第2コアプレート81の詳細構造については後に説明する。
【0028】
ロータコア32の4つの突極32Bは、コア本体部32Aの外周部から放射方向に等間隔に突出し、かつ、その突出部分が軸方向に沿って延在している。本実施形態では、コア本体部32Aの外周面は、ロータ9の軸心C(回転軸線)を中心とした略円形形状に形成されている。各突極32Bのうちの、ロータコア32の円周方向に臨む側面は、平坦面によって構成されている。ロータコア32の円周方向で隣接する各突極32Bの間には、永久磁石33が配置される。
【0029】
本実施形態では、永久磁石33は軸方向視で略円弧状に形成されている。ロータコア32の各突極32Bは、ロータ9の軸心Cから径方向外側の端部までの距離が、ロータ9の軸心Cから永久磁石33の外周面の最大膨出部までの距離とほぼ同じになるように設定されている。
【0030】
各永久磁石33の軸方向の長さは、ロータコア32の突極32Bの軸方向長さよりも長くなるように形成されている。本実施形態の場合、各永久磁石33は、ロータコア32に組付けられた状態において、突極32Bに対して軸方向の一端側と他端側にほぼ同長さだけ突出するように設定されている。
【0031】
また、ロータコア32の内周面には、ロータ9の軸心Cを中心とした4つ円弧面と、隣接する円弧面の間から径方向外側に向かって延びる逃げ溝73が形成されている。各逃げ溝73は、径方向外側に向かって同長さ延び、延び方向の端部は、円弧状の係合部73aとされている。各逃げ溝73の係合部73aには、後述する荷重受けブロック70の係止爪74が嵌入される。また、ロータコア32の内周の4つの円弧面には、モータ2の回転軸31(
図2参照)が圧入固定される。
【0032】
マグネットカバー71は、円筒状の周壁71aと、周壁71aの軸方向の一端部と他端部からそれぞれ径方向内側に屈曲して延びる一対のフランジ部71b,71cと、を有している。周壁71aの内側には、ロータコア32及び永久磁石33が一対の荷重受けブロック70とともに配置される。一対のフランジ部71b,71cの少なくとも一方は、周壁71aの内側に、ロータコア32及び永久磁石33を一対の荷重受けブロック70とともに配置した状態で、かしめによって塑性変形させられるかしめフランジとされている。以下では、一方のフランジ部71bは予め曲げ形成され、他方のフランジ部71cは、ロータコア32等の装填後にかしめによって形成されるものとして説明する。
【0033】
ロータコア32の軸方向の一端側と他端側に配置される荷重受けブロック70は同形状とされている。二つの荷重受けブロック70は、上下を反転させた状態でロータコア32に組付けられている。荷重受けブロック70は、例えば、硬質樹脂によって形成されている。荷重受けブロック70は、軸方向視でロータコア32、及び永久磁石33とほぼ重なる形状に形成されている。
【0034】
荷重受けブロック70は、ロータコア32のコア本体部32Aの軸方向の端面に重ねて配置される環状部70Aと、環状部70Aの外周面から放射方向に突出して、ロータコア32の各突極32Bの軸方向の端面に対向するように配置される4つの脚部70Bと、環状部70A及び脚部70Bの軸方向外側に一体に設けられ、環状部70Aから径方向外側に張り出す孔開き円板状の端部壁70Cと、を有している。
【0035】
4つの脚部70Bは、ロータ9の軸方向視において、ロータコア32の各突極32Bと重なるように形成されている。各脚部70Bの円周方向の幅は、突極32Bの円周方向の幅とほぼ同幅に設定されている。各脚部70Bのロータコア32に臨む側の軸方向の端面は、ロータコア32側の突極32Bの端面(軸方向外側の端面)に対向する対向面70Baとされている。一方の荷重受けブロック70(
図3,
図4中の下側の荷重受けブロック)の各脚部70Bの対向面70Baは、ロータコア32の軸方向の一端側の突極32Bの端面に重ねられる。これに対し、他方の荷重受けブロック70(
図3,
図4中の上側の荷重受けブロック)の各脚部70Bの対向面70Baは、ロータコア32の軸方向の他端側の突極32Bの端面に対し当接せずに隙間をもって対向する。
【0036】
端部壁70Cは、ロータコア32の軸心Cから脚部270Bの先端部までの長さとほぼ同寸法の外径の円板形状(孔開き円板形状)に形成されている。端部壁70Cは、円周方向で隣接する脚部70Bの間の空間を脚部70Bの軸方向外側位置で閉塞している。
【0037】
各荷重受けブロック70は、ロータコア32とともにマグネットカバー71内に収容された状態でマグネットカバー71のフランジ部71cがかしめられると、フランジ部71b,71cから軸方向にかしめ荷重を受ける。このとき、各荷重受けブロック70は、フランジ部71b,71cとロータコア32とに当接し、フランジ部71b,71cとロータコア32との間で軸方向の荷重(かしめ荷重)を伝達する。
【0038】
荷重受けブロック70の各脚部70Bの軸方向の厚みは、ロータコア32の突極32Bからの永久磁石33の突出長さよりも厚くなるように設定されている。したがって、荷重受けブロック70がロータコア32の軸方向の端部に組付けられると、ロータコア32の軸方向の端部から突出した永久磁石33の端部が荷重受けブロック70の隣接する脚部70B間に受容される。また、本実施形態の場合、各脚部70Bは、径方向に関して、ロータコア32の対応する突極32Bの径方向の端部と等しい径方向位置まで延びている。
なお、ロータコア32の軸方向の一方の端部(
図3,
図4中の下側の端部)では、荷重受けブロック70が組付けられると、その荷重受けブロック70の環状部70Aと各脚部70Bがロータコア32のコア本体部32Aと各突極32Bの端面に当接する。また、ロータコア32の軸方向の他方の端部(
図3,
図4中の上側の端部)では、荷重受けブロック70が組付けられると、その荷重受けブロック70の環状部70Aがロータコア32のコア本体部32Aの端面に当接する。
【0039】
各荷重受けブロック70の環状部70Aの内周縁部のうちの、各脚部70Bの径方向内側の延長上位置には、軸方向に略沿ってロータコア32側に向かって突出する係止爪74が一体に形成されている。係止爪74は、断面が略半円状に形成され、荷重受けブロック70がロータコア32の端面に組付けられたときに、ロータコア32の内周の逃げ溝73(係合部73a)に嵌合されるようになっている。荷重受けブロック70は、各係止爪74が対応する逃げ溝73(係合部73a)に嵌合されることにより、ロータコア32に対して径方向と周方向に位置決めされる。
【0040】
(コアプレートの詳細構造)
図5は、第1コアプレート80と第2コアプレート81を積層したロータコア32の斜視図である。
図6,
図7は、第1コアプレート80と第2コアプレート81の各単体の斜視図であり、
図8,
図9は、第1コアプレート80と第2コアプレート81の各単体の平面図である。
図6,
図8に示すように、第1コアプレート80は、ロータコア32のコア本体部32Aを構成する円環状の基部80aと、ロータコア32の突極32Bを構成する複数の突極片80b(突極部)と、を有する。突極片80bは、基部80aの外周部から放射状に外側に延びている。基部80aの内周側には、前述した複数の逃げ溝73が形成されている。基部80aの周方向で隣接する各逃げ溝73の間にはボス部53が設けられている。ボス部53は、プレス成形等により、第1コアプレート80の軸方向の一方に膨出するように有底円筒状に形成されている。積層される複数の第1コアプレート80は、下層の第1コアプレート80のボス部53の凸部側が上層の第1コアプレート80のボス部53の凹部側に嵌合されることにより、第1コアプレート80同士が固定される。
【0041】
第1コアプレート80の成形に際しては、複数のプレート素材に予めボス部53を形成しておく。この状態から上下のプレート素材のボス部53同士を相互に凹凸嵌合し、複数のプレート素材を積層しておく。この後、積層された複数のプレート素材に対してプレスによる打ち抜きを行い、複数の第1コアプレート80の輪郭部を同時に成形する。
このとき、プレスによる打ち抜きによって形成される第1コアプレート80の突極片80bは、幅が狭く、かつ径方向に長く延びていることから、突極片80bの先端側には、打ち抜き方向に沿った反り変形(
図11参照)が発生し易い。
【0042】
なお、各突極片80bに基部80aのボス部53と同様のボス部を予め形成しておき、積層される複数の第1コアプレート80の各突極片80b同士をボスによる凹凸嵌合によって相互に固定しておけば、突極片80bの反り変形はある程度抑制することができる。しかし、実際には、幅の狭い突極片80bにボス部を形成すると、ロータコア32の突極32Bにおける磁気抵抗が増大してしまう。このため、突極片80bにボス部を形成することができないこともあり、プレスによる打ち抜き時に突極片80bの先端に生じる反り変形を無くすことは難しい。
【0043】
第2コアプレート81は、
図7,
図9に示すように円環状に形成されている。第2コアプレート81は、第1コアプレート80の基部80aとほぼ同形状・同サイズに形成されている。第2コアプレート81は、第1コアプレート80と同厚みのプレート素材から構成される。第2コアプレート81は、ロータコア32のコア本体部32Aの一部を構成する。第2コアプレート81は、第1コアプレート80の積層体の軸方向の端部のうちの、プレスによる打ち抜き時に突極片80bの先端が反り変形する側の端部に重ねて配置される。
【0044】
第2コアプレートの内周側には、第1コアプレート80の基部80aと同様に複数の逃げ溝73が形成されている。第2コアプレートの周方向で隣接する各逃げ溝73の間には、円形状の貫通孔54が形成されている。貫通孔54は、第1コアプレート80の各ボス部53と対応する位置に形成されている。貫通孔54の内径は、ボス部53の外径とほぼ同じに形成されている。各貫通孔54には、端部の第1コアプレート80のボス部53が嵌合される。これにより、第2コアプレート81が端部の第1コアプレート80に固定され、ロータコア32の組付けが完了する。
【0045】
(ロータの組付け)
図10は、ロータコア32の軸方向の両側の端部に荷重受けブロック70を組付け、その状態でロータコア32と荷重受けブロック70をマグネットカバー71の内部に収容した状態を示す断面図である。
図10では、マグネットカバー71の一端部(図中下端部)にのみフランジ部71bが曲げ形成されているが、マグネットカバー71の他端側のフランジ部71cは曲げられていない。他端側のフランジ部71は、後のかしめ工程によって曲げられる。また、
図11は、
図10のXI部を拡大して示した図である。
図10,
図11に示すように、ロータコア32の第2コアプレート81が配置される側の端部に荷重受けブロック70が組付けられると、荷重受けブロック70は環状部70Aの軸方向の端面において、第2コアプレート81の端面に当接する。このとき、荷重受けブロック70の各脚部70Bの対向面70Ba(端面)は、端部の第1コアプレート80の突極片80bに対して軸方向の隙間dを挟んで対向する。突極片80bの先端の反り変形部は、突極片80bと対向面70Baの間の隙間dに受容される。突極片80bと対向面70Baの間の隙間dは、突極片80bの先端の反り変形部が対向面70Baに当接しない寸法とされている。突極片80bの先端の反り変形部が対向面70Baに当接する場合には、第2コアプレート81を複数枚重ねて用いるようにしても良い。
本実施形態では、ロータコア32の端部に配置される第2コアプレート81が、突極32Bの軸方向の端面と荷重受けブロック70の対向面70Baとの間に軸方向の隙間dを形成するスペーサ部を構成している。
【0046】
(マグネットカバー71のかしめ)
図10,
図11に示す状態からマグネットカバー71の他端側のフランジ部71cがかしめられると、フランジ部71cが径方向内側に曲げられつつ、フランジ部71cから荷重受けブロック70を介してロータコア32にかしめ荷重が伝達される。これにより、ロータコア32は、二つの荷重受けブロック70とともにマグネットカバー71内に固定される。このとき、二つのフランジ部71b,71cとロータコア32の各端面の間には荷重受けブロック70が介装されているため、ロータコア32の外周に配置される永久磁石33にはかしめ荷重が作用しない。この結果、永久磁石33の損傷や劣化は未然に防止される。
【0047】
(実施形態の効果)
以上のように、本実施形態のロータ9は、ロータコア32の軸方向の端部に、突極32B(突極片80b)の端面と荷重受けブロック70の対向面70Baとの間に隙間dを形成するように、スペーサ部である第2コアプレート81が配置されている。このため、第1コアプレート80の打ち抜き時に第1コアプレート80の突極片80b(突極部)の先端に打ち抜き方向に沿った反り変形が生じても、第2コアプレート81によってできた上記の隙間dによって突極片80bの先端の反りを受容することができる。したがって、マグネットカバー71内にロータコア32と荷重受けブロック70を組付けたときに、ロータコア32の端部の突極片80bの反りが、荷重受けブロック70に当接して荷重受けブロック70を押し返すのを防止することができる。
【0048】
よって、本実施形態のロータ9を採用した場合には、第1コアプレート80の突極片80b(突極部)の先端の反り変形に拘わらず、マグネットカバー71内にロータコア32と荷重受けブロック70を容易に、かつ安定して組み付けることができる。
この結果、ロータ9の製造が容易になり、かつロータ9の製品品質も向上する。これにより、ロータ9を製造する際の消費エネルギーが抑えられるとともに、ロータ9を使用するモータ2の性能も向上する。したがって、国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)の目標7「すべての人々の、安価かつ信頼できる持続可能な近代的エネルギーへのアクセスを確保する」に貢献することが可能となる。
【0049】
また、本実施形態のロータ9は、スペーサ部である第2コアプレート81が、第1コアプレート80の基部80a(コア本体部)と略同径の円板形状に形成されている。このため、第2コアプレート81の製造が容易になり、かつ歩留まりも良好になる。さらに、本構成の第2コアプレート81は、径方向外側に突出する突極片(突極部)がないことから、組付け時における取り扱いも容易になる。
【0050】
また、本実施形態のロータ9は、ロータコア32側の突極片80bと荷重受けブロック70の対向面70Baとの間に軸方向の隙間dを作るためのスペーサ部として、磁性材料からなる第2コアプレート81を採用しているこのため、ロータコア32を流れる有効磁束を増大させることができる。したがって、本構成を採用した場合には、モータ2の回転性能の向上を図ることができる。
さらに、本実施形態のロータ9は、第2コアプレート81に径方向外側に突出する突極片がないため、その分ロータコア32を軽量化し、延いては、ロータ9全体を軽量化することができる。したがって、本構成を採用した場合には、ロータ9の慣性力を小さくし、モータ2の制御性を高めることができる。
【0051】
また、本実施形態のロータ9は、サペーサ部である第2コアプレート81が、ロータコア32の他のコアプレート(第1コアプレート80)と同厚みのプレード材によって構成されている。このため、本構成を採用した場合には、同じプレート素材から第1コアプレート80と第2コアプレート81を効率良く打ち抜くことができ、生産コストの低減を図ることができる。
【0052】
さらに、本実施形態のロータ9は、積層方向で隣接するコアプレート(隣接する第1コアプレート80、及び、隣接する第1コアプレート80と第2コアプレート81)が突極32B以外の部分(基部80a等)でボス部53や貫通孔54による凹凸嵌合によって固定されている。この種のロータ9では、通常、コアプレートの打ち抜き時に、コアプレート同士が相互に固定されていない突極32B(突極片80b)の先端側に反り変形が不可避的に発生する。このため、ロータコア32の突極32Bと荷重受けブロック70の対向面70Baの間にできる隙間d部分で突極32B(突極片80b)の先端の反りを受容する本実施形態の構成は特に有効となる。
【0053】
また、本実施形態のロータ9は、ロータコア32の突極32Bの径方向の突出長さが、コア本体部32Aの径方向幅(半径方向の幅)よりも長くなっている。この種のロータ9の場合、第1コアプレート80の突極片80bの突出長さが長くなり、第1コアプレート80の打ち抜き時に突極片80bの先端側に反り変形が生じ易くなる。このため、ロータコア32の突極32Bと荷重受けブロック70の対向面70Baの間にできる隙間d部分で突極32B(突極片80b)の先端の反りを受容する本実施形態の構成は特に有効となる。
【0054】
(他の実施形態1)
図12は、他の実施形態1のロータコア132の第1コアプレート80と第2コアプレート181を重ね合わせた平面図である。
本実施形態のロータは、基本的な構成は上記の実施形態とほぼ同様であるが、第2コアプレート181の形状が上記の実施形態のものと若干異なっている。
【0055】
即ち、第2コアプレート181は、第1コアプレート80の基部(コア本体部)と略同外径の円環部181aと、円環部181aから放射方向に突出して第1コアプレート80の突極片80b(突極32B)の付根部に重ねられる複数の爪部181bと、を有する。第2コアプレート181の各爪部181bは、ロータコア132の各突極32Bに対応する位置に配置され、各突極32Bとほぼ同幅に形成されている。そして、各爪部181bの突出長さ(径方向の突出長さ)は、ロータコア132の突極32Bの突出長さの1/2よりも短く設定されている。これにより、第2コアプレート181をプレス成形した際に、各爪部181bが反り変形することを抑制できる。
【0056】
本実施形態の第2コアプレート181は、円環部181aから第1コアプレート80の突極片80bの付根部に重ねられる爪部181bが突出しているものの、爪部181bは突極片80bの先端側には重ならない長さとなっている。このため、ロータコア132が荷重受けブロックとともにマグネットカバー内に組付けられると、端部の第1コアプレート80の突極片80bの先端に反り変形があっても、その反り変形部は第2コアプレート181の爪部181bよりも径方向外側にできる軸方向の隙間(突極と荷重受けブロックの対向面の間にできる隙間)によって受容される。
したがって、本実施形態のロータの場合も、第1コアプレート80の突極片80bの先端の反り変形に拘わらず、マグネットカバー内にロータコア132と荷重受けブロックを容易に、かつ安定して組み付けることができる。
【0057】
また、本実施形態のロータは、組付け時に荷重受けブロックから第2コアプレート181にかしめ荷重が入力されたときに、そのかしめ荷重が、第2コアプレート181の爪部181bを通して第1コアプレート80の突極片80bの反り変形を抑制するように作用する。したがって、本構成を採用した場合には、マグネットカバー内にロータコア132と荷重受けブロックをより容易に、かつ安定して組み付けることが可能になる。
【0058】
(他の実施形態2)
図13は、他の実施形態2のロータコア232の側面図である。
本実施形態のロータは、基本的な構成は
図1~
図11に示した上記の実施形態とほぼ同様であるが、積層された第1コアプレート80の軸方向の両側に第2コアプレート81が夫々配置されている点が、上記の実施形態のものと異なっている。なお、二つの第2コアプレート81を区別するために、
図13では、一方の第2コアプレートに符号81Aを付し、他方の第2コアプレートに符号81Bを付してある。
【0059】
積層された第1コアプレート80の軸方向の一端側に配置される第2コアプレート81Aには、
図1~
図11に示した実施形態のものと同様に、第1コアプレート80のボス部の凸部側が嵌入される複数の貫通孔(図示せず)が形成されている。これに対し、軸方向の他端側に配置される第2コアプレート81Bには、積層方向で隣接する第1コアプレート80のボス部の凹部側に嵌入されるボス部が形成されている。積層された第1コアプレート80の軸方向の一端側には、一方の第2コアプレート81Aが固定され、軸方向の他端側には、他方の第2コアプレート81Bが固定される。
【0060】
こうして構成されたロータコア232に二つの荷重受けプレートが組付けられると、ロータコア232の各第2コアプレート81A,81Bが対応する荷重受けブロックの環状部(径方向内側の縁部)に当接する。これにより、各荷重受けブロックの対向面とロータコア232の突極32B(突極片80b)の端部との間に軸方向の隙間が形成される。第1コアプレート80の突極片80bの先端側に形成されている反り変形部は、いずれか一方の荷重受けブロックの対向面と突極の間に形成される隙間に受容されることになる。
【0061】
本実施形態のロータは、基本構成は上記の実施形態と同様であるため、上記の実施形態と同様の基本的な効果を得ることができる。
ただし、本実施形態のロータは、ロータコア232の積層された第1コアプレート80の軸方向の両側に、径方向外側に突出する突極片の無い第2コアプレート81A,81Bが配置されているため、ロータコア232をより軽量化することができる。したがって、ロータ全体をさらに軽量化して、モータの制御性をより高めることができる。
【0062】
また、本実施形態のロータは、ロータコア232の積層された第1コアプレート80の軸方向の両側に略同形状の第2コアプレート81A,81Bが配置されているため、ロータコア232をマグネットカバー内に組み付ける際の方向性が無くなり(軸方向のいずれの向きからも同様に組付けられるようになり)、ロータの製造が容易になる、という利点もある。
【0063】
なお、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更が可能である。
上記の各実施形態では、スペーサ部がロータコアの端部に配置される第2コアプレートによって構成されているが、スペーサ部は、突極の端面と荷重受けブロックの対向面の間に軸方向の隙間を形成し得る構成であれば、この構成に限らない。例えば、スペーサ部は、ロータコアと荷重受けブロックの間に介装される非磁性のプレート材によって構成するようにしても良い。また、スペーサ部は、プレート材に限らず、ブロック状のものでも良く、ロータコアと荷重受けブロックの間に介装するスペーサブロックの個数も二つ以上であっても良い。例えば、ロータコアと荷重受けブロックの内周縁部の間に三つのスペーサブロックを周方向に均等に配置するようにしても良い。
さらに、スペーサ部は、荷重受けブロックの環状部からロータコアの方向に突出するように、荷重受けブロックに一体に形成するようにしても良い。この場合、荷重受けブロックに形成されたスペーサ部がロータコアのコア本体部の端面に当接することにより、荷重受けブロックの対向面とロータコアの突極の間に軸方向の隙間が形成される。
また、スペーサ部は、ロータコアのコア本体部の軸方向の端部に軸方向外側に突出するように形成したボス部によって構成するようにしても良い。この場合、そのボス部が荷重受けブロックに当接することにより、荷重受けブロックの対向面とロータコアの突極の間に軸方向の隙間が形成される。
【符号の説明】
【0064】
1…モータユニット、2…モータ、3…減速部、4…コントローラ、5…モータケース、6…第1モータケース、6a…開口部、7…第2モータケース、7a…開口部、8…ステータ、9…ロータ、10…底部、11…コネクタ、13…ロータコア、16…外フランジ部、17…外フランジ部、20…ステータコア、21…コア本体部、22…ティース、23…インシュレータ、24…コイル、31…回転軸、32…ロータコア、32A…コア本体部、32B…突極、33…永久磁石、40…ギヤケース、40a…開口部、40b…側壁、40c…底壁、41…ウォーム減速機構、42…ギヤ収容部、43…開口部、44…ウォーム軸、45…ウォームホイール、46…軸受、47…軸受、48…出力軸、48a…スプライン、49…軸受ボス、49…軸受ボス、50…第1コアプレート、50b…突極片、52…リブ、53…ボス部、54…貫通孔、61…磁気検出素子、62…コントローラ基板、63…カバー、70…重受けブロック、70A…環状部、70B…脚部、70Ba…対面面、70C…端部壁、71…マグネットカバー、71a…周壁、71A…環状部、71b…フランジ部、71c…フランジ部、73…逃げ溝、73a…係合部、74…係止爪、80…第1コアプレート、80a…基部、80b…突極片、81…第2コアプレート、81A…2コアプレート、81B…第2コアプレート、132…ロータコア、181…第2コアプレート、181a…円環部、181b…爪部、232…ロータコア、C…軸心、d…隙間