IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社日立製作所の特許一覧

特開2023-6056インフラ立地評価システムおよびインフラ立地評価方法
<>
  • 特開-インフラ立地評価システムおよびインフラ立地評価方法 図1
  • 特開-インフラ立地評価システムおよびインフラ立地評価方法 図2
  • 特開-インフラ立地評価システムおよびインフラ立地評価方法 図3
  • 特開-インフラ立地評価システムおよびインフラ立地評価方法 図4
  • 特開-インフラ立地評価システムおよびインフラ立地評価方法 図5
  • 特開-インフラ立地評価システムおよびインフラ立地評価方法 図6
  • 特開-インフラ立地評価システムおよびインフラ立地評価方法 図7
  • 特開-インフラ立地評価システムおよびインフラ立地評価方法 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023006056
(43)【公開日】2023-01-18
(54)【発明の名称】インフラ立地評価システムおよびインフラ立地評価方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/26 20120101AFI20230111BHJP
【FI】
G06Q50/26
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021108446
(22)【出願日】2021-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001678
【氏名又は名称】藤央弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】吉本 尚起
(72)【発明者】
【氏名】太田 延之
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC35
(57)【要約】
【課題】インフラ設備の適正配置を、利用住民の意思を反映して評価する。
【解決手段】インフラ立地評価システムは、対象地域の人口情報に基づいて、アセットの設置位置を設定し、設定された位置における前記アセットの効果へのアセットの寄与度を第1の寄与度として計算し、対象地域の居住者の行動を示す情報に基づいて、対象地域の居住者の行動への、アセットの効果の寄与度を第2の寄与度として計算し、居住者の行動を示す情報と居住者の生活の満足度を示す情報とに基づいて、居住者の行動と居住者の生活の満足度との関係を推定し、第1の寄与度、第2の寄与度、および、居住者の行動と居住者の生活の満足度とに基づいて、アセットの設置位置の適正性を評価する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサと、記憶装置と、を有するインフラ立地評価システムであって、
前記記憶装置は、対象地域の人口情報と、前記対象地域の居住者の行動を示す情報と、前記対象地域の居住者の生活の満足度を示す情報と、を保持し、
前記プロセッサは、
前記対象地域の人口情報に基づいて、前記対象地域のインフラを構成するアセットの設置位置を設定し、
前記設定された位置に前記アセットが設置された場合の、前記アセットの効果への前記アセットの寄与度を第1の寄与度として計算し、
前記対象地域の居住者の行動を示す情報に基づいて、前記対象地域の居住者の行動への、前記アセットの効果の寄与度を第2の寄与度として計算し、
前記対象地域の居住者の行動を示す情報と前記対象地域の居住者の生活の満足度を示す情報とに基づいて、前記対象地域の居住者の行動と前記対象地域の居住者の生活の満足度との関係を推定し、
前記第1の寄与度、前記第2の寄与度、および、前記対象地域の居住者の行動と前記対象地域の居住者の生活の満足度とに基づいて、前記アセットの設置位置の適正性を評価することを特徴とするインフラ立地評価システム。
【請求項2】
請求項1に記載のインフラ立地評価システムであって、
前記対象地域の居住者の行動を示す情報は、前記対象地域の人流情報および前記対象地域の交通量の情報の少なくともいずれかを含むことを特徴とするインフラ立地評価システム。
【請求項3】
請求項2に記載のインフラ立地評価システムであって、
前記対象地域の人流情報は、前記対象地域に設置された1以上のカメラによる撮影画像を解析することによって得られた情報であることを特徴とするインフラ立地評価システム。
【請求項4】
請求項1に記載のインフラ立地評価システムであって、
前記プロセッサは、前記対象地域の居住者全体の数より少ない数の居住者の行動を示す情報および前記生活の満足度を示す情報に基づいて、前記対象地域の居住者全体の数に対する生活への満足を示した居住者の数の割合を前記対象地域の居住者全体の生活の満足度として推定する処理を繰り返すことによって、前記対象地域の居住者の生活の満足度の時間的継続性を推定することを特徴とするインフラ立地評価システム。
【請求項5】
請求項1に記載のインフラ立地評価システムであって、
前記プロセッサは、前記対象地域の居住者の生活の満足度が所定の目標値を満たすか否かに基づいて、前記アセットの設置位置の適正性を評価することを特徴とするインフラ立地評価システム。
【請求項6】
プロセッサと、記憶装置と、を有するインフラ立地評価システムが実行するインフラ立地評価方法であって、
前記記憶装置は、対象地域の人口情報と、前記対象地域の居住者の行動を示す情報と、前記対象地域の居住者の生活の満足度を示す情報と、を保持し、
前記インフラ立地評価方法は、
前記プロセッサが、前記対象地域の人口情報に基づいて、前記対象地域のインフラを構成するアセットの設置位置を設定する第1手順と、
前記プロセッサが、前記設定された位置に前記アセットが設置された場合の、前記アセットの効果への前記アセットの寄与度を第1の寄与度として計算する第2手順と、
前記プロセッサが、前記対象地域の居住者の行動を示す情報に基づいて、前記対象地域の居住者の行動への、前記アセットの効果の寄与度を第2の寄与度として計算する第3手順と、
前記プロセッサが、前記対象地域の居住者の行動を示す情報と前記対象地域の居住者の生活の満足度を示す情報とに基づいて、前記対象地域の居住者の行動と前記対象地域の居住者の生活の満足度との関係を推定する第4手順と、
前記プロセッサが、前記第1の寄与度、前記第2の寄与度、および、前記対象地域の居住者の行動と前記対象地域の居住者の生活の満足度とに基づいて、前記アセットの設置位置の適正性を評価する第5手順と、を含むことを特徴とするインフラ立地評価方法。
【請求項7】
請求項6に記載のインフラ立地評価方法であって、
前記対象地域の居住者の行動を示す情報は、前記対象地域の人流情報および前記対象地域の交通量の情報の少なくともいずれかを含むことを特徴とするインフラ立地評価方法。
【請求項8】
請求項7に記載のインフラ立地評価方法であって、
前記対象地域の人流情報は、前記対象地域に設置された1以上のカメラによる撮影画像を解析することによって得られた情報であることを特徴とするインフラ立地評価方法。
【請求項9】
請求項6に記載のインフラ立地評価方法であって、
前記第4手順において、前記プロセッサは、前記対象地域の居住者全体の数より少ない数の居住者の行動を示す情報および前記生活の満足度を示す情報に基づいて、前記対象地域の居住者全体の数に対する生活への満足を示した居住者の数の割合を前記対象地域の居住者全体の生活の満足度として推定する処理を繰り返すことによって、前記対象地域の居住者の生活の満足度の時間的継続性を推定することを特徴とするインフラ立地評価方法。
【請求項10】
請求項6に記載のインフラ立地評価方法であって、
前記第5手順において、前記プロセッサは、前記対象地域の居住者の生活の満足度が所定の目標値を満たすか否かに基づいて、前記アセットの設置位置の適正性を評価することを特徴とするインフラ立地評価方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広域マネジメントを行う地方公共団体またはディベロッパーなどが設置するインフラ設備の立地適正化に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、少子高齢化および人口減少に伴い、同程度の税収と地方自治体の運営の観点から複数の自治体が合併し、それぞれの自治体が広域化する傾向にある。複数の自治体が合併した場合、個々の旧自治体が有していた公共施設やインフラが新しい自治体に複数存在し、かつ道路や水道設備といったインフラが冗長化するため、管理すべきアセットが増大する。このため、広域化した自治体において、将来の自治体動向を見据えた公共施設やインフラの立地適正化が重要視されている。
【0003】
このような状況下において、国土交通省から公共施設やインフラに対する立地適正化の手引きが作成され、各自治体に対して適切な立地適正化計画を立てるように指導されている。
【0004】
また、立地適正化を実現するために、所定の地域における地図データ、人口データ及び施設データを記憶させておき、所定の地域における施設の配置を変更し、施設の配置変更後の所定の地域における施設の立地評価値及びサービス品質評価値を算出し、立地評価値及びサービス品質評価値に基づいて所定の地域における施設評価を算出、その評価結果を表示することが提案されている(例えば特許文献1参照)。
【0005】
また、特定地域の商業圏において、複数の同業種の商業施設を立地させた際の集客予測、競合予測を地図データと商業圏の人口分布および道路点データから最小距離で到達できる集客量を計算し、商業圏の商業施設の立地適正化を求める方法も提案されている(例えば特許文献2参照)。
【0006】
さらに、道路情報と、所定の評価基準に応じた評価の指標となりうる関連情報との関係性に基づいて、所定の評価基準に応じた道路評価を示す道路評価情報を生成し、適切な道路建設計画を迅速に生成する装置も提案されている(例えば特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004-287771号公報
【特許文献2】特開2003-288459号公報
【特許文献3】特開2018-181063号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
合併等によって形成された自治体は、旧自治体体制で構築した公共施設、インフラが余剰、冗長化する傾向が大きく、従来から立地適正化の検討や縮減に関する検討が行われていた。これらの立地適正化は地域の人口分布および将来の人口分布に基づき、人口規模に対する立地適正化を図る試みが多かった。
【0009】
一方、人口減少の局面では、画一的に公共施設やインフラを縮減させた場合、生活の質が著しく低下することが考えられる。人口縮減局面下においても、住民生活を豊かにするインフラを提供することは重要であるが、住民生活の豊かさの指標が主観的であるため、標準的な指標として整備しにくく、積極的に導入されるのが困難であった。また、公共施設やインフラが直接的に住民の生活に寄与する関係性を見出す事例は乏しい状況であった。
【0010】
このように人口減少局面の自治体において、画一的に公共施設やインフラを縮減せず、住民の生活の質を低下させることなく立地適正化を評価する必要があり、住民生活を豊かにする要因が公共施設やインフラの立地等に関して寄与する関連性を見出すことが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題の少なくとも一つを解決するため、本発明は、プロセッサと、記憶装置と、を有するインフラ立地評価システムであって、前記記憶装置は、対象地域の人口情報と、前記対象地域の居住者の行動を示す情報と、前記対象地域の居住者の生活の満足度を示す情報と、を保持し、前記プロセッサは、前記対象地域の人口情報に基づいて、前記対象地域のインフラを構成するアセットの設置位置を設定し、前記設定された位置に前記アセットが設置された場合の、前記アセットの効果への前記アセットの寄与度を第1の寄与度として計算し、前記対象地域の居住者の行動を示す情報に基づいて、前記対象地域の居住者の行動への、前記アセットの効果の寄与度を第2の寄与度として計算し、前記対象地域の居住者の行動を示す情報と前記対象地域の居住者の生活の満足度を示す情報とに基づいて、前記対象地域の居住者の行動と前記対象地域の居住者の生活の満足度との関係を推定し、前記第1の寄与度、前記第2の寄与度、および、前記対象地域の居住者の行動と前記対象地域の居住者の生活の満足度との関係に基づいて、前記アセットの設置位置の適正性を評価することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の一態様によれば、人口減少局面の自治体において、住民の生活の質を低下させることなく立地適正化を実施することが可能となり、住民生活を豊かにする要因が公共施設およびインフラの立地等に関して寄与する関連性を見出すことが可能となる。なお、上記した以外の目的、構成、効果は、以下の実施形態において明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施例に係るインフラ立地適正化評価システムのハードウェア構成のブロック図である。
図2】本発明の実施例に係るインフラ立地適正化評価システムにおいて実行される処理の概要を示すフローチャートである。
図3】本発明の実施例に係るインフラ立地適正化評価システムにおいて実行される処理の詳細を示すフローチャートである。
図4】本発明の実施例に係るインフラ立地適正化評価システムにおいて参照されるアセット設置対応リストを示す説明図である。
図5】本発明の実施例に係るインフラ立地適正化評価システムにおいて実行される生活向上寄与度検証処理の詳細を示すフローチャートである。
図6】本発明の実施例に係るインフラ立地適正化評価システムにおいて保持される効果リストを示す説明図である。
図7】本発明の実施例に係るインフラ立地適正化評価システムにおいて保持される住民行動リストを示す説明図である。
図8】本発明の実施例に係るインフラ立地適正化評価システムによって推計された住民生活の満足度と住民行動との関係を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面に基づいて、本開示の実施例を説明する。なお、本開示の実施例は、後述する実施例に限定されるものではなく、その技術思想の範囲において、種々の変形が可能である。また、後述する各実施例の説明に使用する各図の対応部分には同一の符号を付して示し、重複する説明を省略する。
【0015】
[インフラ立地適正化評価システム]
図1は、本発明の実施例に係るインフラ立地適正化評価システムのハードウェア構成のブロック図である。
【0016】
本実施例のインフラ立地適正化評価システムは、ネットワーク120を介して接続されたインフラ立地適正化評価装置100及びセンサ群130を有する。
【0017】
本実施例のインフラ立地適正化評価装置100は、プロセッサ101、メモリ102、記憶装置103、入力装置104、出力装置105および通信装置106からなる。
【0018】
プロセッサ101は、メモリ102に格納されたプログラムに従って、インフラ立地適正化評価装置100を制御する。以下に説明するインフラ立地適正化評価装置100の処理は、プロセッサ101がメモリ102に格納されたプログラムに従って実行するものである。
【0019】
メモリ102は、例えば半導体メモリであり、プロセッサ101によって実行されるプログラム、プロセッサ101によって参照されるデータ、およびプロセッサ101が実行する処理の結果として取得されたデータ等を格納する。記憶装置103に格納されたプログラム及びデータの少なくとも一部が、必要に応じてメモリ102にコピーされてもよいし、取得されたデータが必要に応じてメモリ102から記憶装置103にコピーされてもよい。
【0020】
記憶装置103は、例えばフラッシュメモリまたはハードディスクのような不揮発性の記憶媒体を有する。
【0021】
入力装置104は、インフラ立地適正化評価装置100のユーザからの入力を受ける。具体的には、入力装置104は、例えばキーボード、ボタンまたはポインティングデバイス等を含んでもよい。例えば記憶装置103に格納される情報の少なくとも一部が入力装置104を介して入力されてもよい。
【0022】
出力装置105は、インフラ立地適正化評価装置100のユーザに情報を出力する。具体的には、出力装置105は、例えば画像表示装置等を含んでもよい。
【0023】
通信装置106は、有線又は無線のネットワーク120を介してインフラ立地適正化評価装置100と外部の機器(例えばセンサ群130等)とのデータのやり取りを可能とするための装置であり、例えばLAN(Local Area Network)アダプタ等を含んでもよい。例えば記憶装置103に格納される情報の少なくとも一部が通信装置106を介して入力されてもよいし、上記のプログラムに従う処理の結果として生成された情報の少なくとも一部が通信装置106を介して出力されてもよい。
【0024】
ネットワーク120には、センサ群130が接続される。センサ群130は、複数のセンサを含む。センサ群130は、例えば、街頭に設置された防犯カメラ131、及び、道路等に設置され、通行する車両を検知する車両センサ132等を含んでもよい。これらは、インフラ立地適正化評価装置100による評価の対象となる地域における住民の行動を検知するためのセンサの一例であり、上記以外の種類のセンサが設置されてもよい。また、設置されるセンサの数は限定されない。例えば多数のセンサが地域内に設置されてもよい。
【0025】
インフラ立地適正化評価装置100は、ネットワーク120を介して、センサ群130によって計測されたセンサデータを取得することができる。例えば、センサ群130が過去に計測したセンサデータが、後述する外部データ121の一部として保持されてもよい。その場合、インフラ立地適正化評価装置100は、外部データ121に含まれるセンサデータを取得する。
【0026】
インフラ立地適正化評価装置100は、さらに、ネットワーク120を介して外部データ121を取得可能であってもよい。外部データ121は、例えば、対象地域を含む自治体等の行政機関が保持する各種の統計データ等を含んでもよいし、企業が保持する情報であってもよい。
【0027】
例えば、外部データ121は、人口に関する統計データ、および、経済活動に関する統計データなどを含んでもよい。また、外部データ121は、対象地域の道路データおよび公共交通データといった、地理および交通網に関するデータを含んでもよい。
【0028】
また、外部データ121は、対象地域の住民の行動を示すデータ、および、住民の生活の質を示すデータを含んでもよい。その一例は、上記のセンサ群130によるセンサデータであるが、それに限られない。例えば、外部データ121は、いわゆる交通センサスの調査結果を含んでもよい。また、外部データ121は、SNS(Social Networking Service)を利用してやり取りされた当該地域に関する情報などを含んでもよい。また、外部データ121は、対象地域の住民が保持する情報端末から取得した位置情報等に基づく人流データ等を含んでもよい。
【0029】
インフラ立地適正化評価装置100は、外部データ121のうち、少なくとも後述する処理に必要なデータを取得して、記憶装置103に格納する。
【0030】
図2は、本発明の実施例に係るインフラ立地適正化評価システムにおいて実行される処理の概要を示すフローチャートである。
【0031】
本実施例によると、住民の生活の質を低下させることなく立地適正化を実施するためには、4つの項目からなるフローを経る。第1には、インフラ立地適正化評価装置100は、現状の当該地域の人口分布情報を収集し、将来の人口分布を推計する(地区人口分布情報の収集および推計ステップ201)。第2に、インフラ立地適正化評価装置100は、インフラ(インフラストラクチャ、社会基盤)を構成するアセット(例えば公共施設または商業施設等)の設置要件を参照し、設置要件を検証する(アセット設置設定ステップ202)。第3に、インフラ立地適正化評価装置100は、住民の生活習慣性、地域における移動を考慮して立地適正化を算出する(適正位置選定ステップ203)。第4に、インフラ立地適正化評価装置100は、住民の行動や主観的事実からインフラ立地適正に対する生活向上寄与度を求め、インフラ立地適正に対する住民の生活の質の向上の寄与度を関連付けて施策の有効度を判断する(生活向上寄与度検証ステップ204)。
【0032】
図3は、本発明の実施例に係るインフラ立地適正化評価システムにおいて実行される処理の詳細を示すフローチャートである。
【0033】
具体的には、図3は、図2に示した4項目のフローの詳細を示すものであり、これを参照して各項目について説明する。処理において参照されるデータは、特に記載のない限り、一般的な自治体で所有しているオープンデータを利用する。このデータは、外部データ121として取得することができる。
【0034】
[地区人口分布情報の収集および推計]
対象地区における人口分布情報の収集および推計(図2のステップ201)の詳細は次のとおりである。まず、インフラ立地適正化評価装置100は、対象地域を選択する(ステップ301)。この選択は、例えば、ユーザから入力された対象地域を指定する情報に基づいて行われてもよい。
【0035】
次に、インフラ立地適正化評価装置100は、地域別の人口分布データ302を参照し、地域別の人口分布を地図上に表示する(ステップ303)。将来の人口分布は、出生率などの数値を設定し、コホート法などの既知の方法によって推計することが出来る。このとき、インフラ立地適正化評価装置100は、出生率などの数値を外部データ121から取得してもよいし、将来の人口分布を推計した結果が外部データ121に含まれている場合にはそれを取得してもよい。
【0036】
[アセット設置設定]
人口分布に対するアセット設置(図2のステップ202)は、アセット設置対応リスト304の参照に基づいて行う。アセット設置対応リスト304とは、域内人口に対する適切な公共施設を表示したリストであって、予め各種統計からリスト化しておくことによって得られる。アセット設置対応リスト304は、域内人口に対する適切な公共施設の対応が取れていれば特に制限なく、各種統計から作成することが出来る。
【0037】
一方、複数の自治体が合併した場合、役場機能や文化施設を必ずしも人口規模のみに依存させず存続させたり、逆に積極的に改廃させたりするケースもある。本実施例によれば、これらの地域の要求は生活向上寄与度の検証によって評価するが、予めアセット設置に一定の条件を加える場合、アセット設置対応リスト304の参照条件に加えることが出来る。
【0038】
例えば、現行の自治体とは別に地域コミュニティが成熟しており、地域コミュニティが必要と認めた要件を入力する地域形成要件305、および、現行の自治体の運営に基づいて人口規模に依らず存続の必要があるアセットを入力する行政形成要件306の2つの要件を予めアセット設置対応リスト304に組み入れることが出来る。
【0039】
図4は、本発明の実施例に係るインフラ立地適正化評価システムにおいて参照されるアセット設置対応リスト304を示す説明図である。
【0040】
図4には、アセット設置対応リスト304の一例として、国土交通省が開示している「都市圏参考資料」に含まれる「サービス施設の立地する確率が50%及び80%となる自治体の人口規模」から抜粋した情報を示す。
【0041】
例えば、図4に示すアセット設置対応リスト304は、小売業に分類される書籍・文房具小売業の施設(例えば書店又は文具店等)が、人口が1500人程度の自治体に立地している確率は50%であり、人口が2500人程度の自治体に立地している確率は80%であることを示している。同様に、アセット設置対応リスト304は、自治体の人口規模と種々の業種の施設が立地する確率とを対応付ける情報を含んでいる。
【0042】
ただし、図4は一例であり、域内人口に対する適切な公共施設を示す情報であれば図4に示したものと異なる情報を参照してもよい。
【0043】
インフラ立地適正化評価装置100は、アセット設置対応リスト304、地域形成要件305および行政形成要件306に基づいて、対象地域における人口規模に対して設置することが適切なアセットを選定することができる(ステップ307)。
【0044】
[適正位置選定]
続いて、第3の項目として、対象地域の中における適正位置選定(図2のステップ203)について説明する。これは、例えばアセット設置対応リスト304に基づいて対象地域に設置することが適切であると推定されたアセットの適正な位置を選定する処理である。例えば、インフラ立地適正化評価装置100は、アセットの設置位置に対して住民の移動時間を基準とする移動ゾーン308に基づいて適正な位置を選定する(ステップ309)。
【0045】
例えば、インフラ立地適正化評価装置100は、対象地域の居住者のうち、居住地から対象のアセットまでの移動時間が所定の時間内となる居住者の割合が所定の閾値を超えるなど、所定の条件が満たされるように、対象アセットの適正な位置を選定してもよい。
【0046】
具体的には、インフラ立地適正化評価装置100は、対象のアセットが既存の施設を存続させたものである場合は既存施設の位置を設定し、対象のアセットが新規に建設を計画する施設である場合は新規計画位置を設定し、対象地域の道路データ、公共交通データおよび人口分布情報に基づいて、対象のアセットに一定時間で到達できる人口比率を算出する。道路データからは、施設位置と道路距離から、徒歩、自家用車またはその他手段で到達する時間を既存の方法で算出する。また、公共交通データの活用の場合は、最寄り駅ないしはバス停からの距離に基づいて、到達する時間を既存の方法で算出する。
【0047】
また、インフラ立地適正化評価装置100は、選定された適正位置またはその付近に対象のアセットが既にある場合、当該既存アセットの保守データ310を参照して、当該既存アセットの活用方針を決定してもよい(ステップ311)。アセット保守データ310は、例えば外部データ121に含まれてもよい。
【0048】
具体的には、例えば、インフラ立地適正化評価装置100は、アセット保守データ310に基づいて、当該既存アセットを将来も使用した場合の保守費用、改修が必要であればその費用等を推定し、費用便益評価を行って、当該既存アセットを廃止する(ステップ312)、そのまま活用する(ステップ313)または回収して使用する(ステップ314)のいずれかを決定してもよい。
【0049】
[生活向上寄与度]
次に、インフラ立地適正化評価装置100は、図2のステップ203で適正位置が選定されたアセットを対象として、当該アセットが当該適正位置に設置されることが住民の生活向上に寄与する程度(生活向上寄与度)を評価し、生活向上寄与度の観点で当該アセットを当該選定された位置に設置することが適正であるかを判断する(図2のステップ204)。
【0050】
この処理は、図3の都市QoLデータベース315に基づく施策要因分析(ステップ316)、その結果に基づく費用便益分析(ステップ317)、およびその結果に基づく生活向上への寄与度(言い換えると住民の生活の満足度への寄与度)の検証(ステップ318)に相当する。都市QoLデータベース315には、住民の生活の質に関連する情報、例えば、緑被率、地価、財政、犯罪率、防犯対策、福祉度およびアクセサビリティ等の情報が含まれる。これらの情報は、外部データ121の一部として取得され、必要に応じて記憶装置103に格納されてもよい。
【0051】
生活向上への寄与度の検証結果に基づいて、例えば、設置することが住民の生活の満足度に寄与するアセットの設置、または、廃止しても住民の生活の満足度への影響が小さいアセットの廃止を、都市計画マスタープラン319に反映することができる。上記の生活向上への寄与度の検証までの処理の方法については、図5を参照して説明する。
【0052】
図5は、本発明の実施例に係るインフラ立地適正化評価システムにおいて実行される生活向上寄与度検証処理の詳細を示すフローチャートである。
【0053】
アセット設置の適正化については、アセット設置による効果を選定するデータ収集およびそのリスト化の工程と、アセット設置の効果を住民生活に関連付ける工程と、住民生活の感度と住民生活向上との関連性について推計する工程と、に分けられる。
【0054】
まず、アセット設置による効果を選定するデータ収集およびそのリスト化の工程(ステップ501、503)について説明する。インフラ立地適正化評価装置100は、アセットの設置に起因する効果をアセットの語句を含むデータから名寄せし、その名寄せデータ群を作成する(ステップ501)。そして、インフラ立地適正化評価装置100は、アセットの語句を含む名寄せデータに、従来の費用便益分析の評価項目および評価ガイドライン等から作成した効果リストと照合し、寄与度の高い効果と住民生活向上の価値を照合する。
【0055】
図6は、本発明の実施例に係るインフラ立地適正化評価システムにおいて保持される効果リストを示す説明図である。
【0056】
図6に例示する効果リスト600は、アセットの立地またはアセットの改修による効果を示した費用便益分析および評価ガイドラインに基づいてリスト化したものである。費用便益分析や評価ガイドラインに表記された語句のスコア率などを参照し、その寄与度を規定することが出来る。寄与度を規定することによって、アセットの立地または改修に対する費用便益評価を実施することが出来る。
【0057】
ここで、従来のアセット設置、アセット改修に関する費用便益分析は、既存の方法で行うことが出来る(ステップ504)。費用便益分析の結果は評価結果として出力される。
【0058】
図6に例示する効果リスト600は、カテゴリー601、施策602、効果603および寄与度604を含む。カテゴリー601は、施策を分類するものであり、例えば施策の目的に対応する。施策602、効果603および寄与度604は、施策と、その施策の効果と、その施策のその効果に対する寄与度と、を示している。
【0059】
図6の例では、生活利便性の向上を目的とする施策である「道路拡幅」は、交通量に対して効果があり、その寄与度は0.8である。交通量は、例えば1車線当たりの交通量であり、例えば道路を拡幅するという施策は、1車線当たりの交通量を減らし、道路の混雑を緩和するという効果に寄与する。寄与度は、施策効果寄与度データ502に基づくものであり、例えば、過去の道路の拡幅前後の交通量などから計算された、拡幅と交通量の減少との相関の強さ等に基づいて設定されてもよい。
【0060】
続いて、アセット設置の効果を住民生活に関連付ける工程について説明する。インフラ立地適正化評価装置100は、ステップ503で求めた効果リスト600から、一定以上の寄与度を抽出したリストを作成する。そして、インフラ立地適正化評価装置100は、このリストと関連する住民行動リスト(図7参照)を作成し、この住民行動リストに基づいて住民行動を計測する。住民行動は、交通量、歩行量、歩行者数、歩行年齢層、利用者数、公共交通機関の乗車数など定められたデータに基づいて判断する。また、公園またはホールのようなアセットの居心地の良さまたは人気度といった主観要素は、social network service (SNS)などのキーワードなどの特定情報を活用することもでき、特に制限はない。これらのデータは、例えばセンサ群130および外部データ121から動的ユーザデータとして収集される(ステップ505)。なお、ここでのユーザとは、アセットの利用者を指し、本実施例では住民と同義である。
【0061】
図7は、本発明の実施例に係るインフラ立地適正化評価システムにおいて保持される住民行動リストを示す説明図である。
【0062】
図7に例示する住民行動リスト700は、効果701、住民行動702および高次効果寄与度703を含む。効果701は、施策の効果であり、図6の効果リスト600の効果603に対応する。住民行動702は、施策の効果によって引き起こされる住民の行動の程度(例えば行動の量)を示す指標である。高次効果寄与度703は、住民の行動に対する施策の効果の寄与の程度を示す指標である。
【0063】
例えば、図7に示す住民行動リスト700の先頭の行は、事故防止という効果の結果として、事故に起因する道路の混雑が緩和され、交通量の減少という住民行動の変化が生じ、事故防止の交通量の減少への寄与度が0.8であることを示している。ここで、高次効果寄与度703の値は、効果701と住民行動702との相関の強さを示すものであってもよい。
【0064】
上記のように、住民行動は、交通量、歩行量、歩行者数、歩行年齢層、利用者数、公共交通機関の乗車数など定められたデータに基づいて判断される。これら計測可能な情報は、住民の生活向上と一定の関係があるとは知られているが、住民の主観によって左右されるため、統計的な推計を用いることが望ましい。
【0065】
推計方法は限定されないが、例えばベイズ推計など、住民生活の満足という結果因子が明らかである場合の住民行動という満足の原因を推計する手法を適用することができる。例えば、インフラ立地適正化評価装置100は、住民全体の数より少ない数の住民の行動を示す情報と満足度を示す情報とに基づいて、住民全体の数に対する生活への満足を示した住民の数の割合を住民全体の生活の満足度として推定してもよい。そして、インフラ立地適正化評価装置100は、上記の処理を繰り返すことによって、住民の生活の満足度の時間的継続性を推定してもよい。
【0066】
図8は、本発明の実施例に係るインフラ立地適正化評価システムによって推計された住民生活の満足度と住民行動との関係を示す説明図である。
【0067】
図8には、例として、ベイズ推計を用いて求めた、住民生活の満足度と、住民行動を示す指標の一つである歩行者数との関係を示す。図8のグラフの横軸は歩行者数の指標であり、縦軸は住民生活の満足度の指標である。また、グラフ上に表示された点は、実際に計測された歩行者数の指標に対応して実際に計測された住民生活の満足度の指標をプロットしたものである。これは、例えば、ある時期に防犯カメラが撮影した画像に基づく対象地域の歩行者数と、当該時期の対象地域の住民の生活の満足度を示す情報とに基づいて算出されてもよい。
【0068】
住民の生活の満足度を示す情報は、例えば、住民がSNS等に投稿した情報に含まれるキーワード等に基づいて推定されたものであってもよいし、施設を利用した住民に対するアンケートの結果等から推定されたものであってもよいし、当該時期の都市QoLデータベース315内のデータから推定されたものであってもよい。
【0069】
一方、実線は、それらの実測値からベイズ推計の方法によって作成したモデルに基づいて推定されたものである。例えば、この時の満足度が一定以上(例えば所定の目標値以上)になる歩行者指数との関係を定めて、それに基づいてアセットの適正な設置位置を判断することが出来る。同様に、例えば交通量、歩行量といった、他の住民行動を示す指標と住民生活の満足度との関係を推計し、アセットの適正な設置位置の判断に利用することができる。
【0070】
住民生活の感度と住民生活向上との関連性について推計する工程は、例えば次のように行う。図7のようにアセットの効果と住民の生活向上との関連が判明し、高度価値を明らかにすることが出来る(ステップ510)。本実施例によると、アセットの費用便益評価に必要となる効果リストの項目と、このリストと関連する住民行動リストを定め、その寄与度を明らかにしていることから、従来把握することが困難であったアセットの直接便益(図6の効果603に対応する)から住民の生活向上への関連付けが、住民の生活情報(図7の住民行動702に対応する)の取得によって、直接行われることを示している。このようにして、住民行動の情報から読み取った満足度を指標として、アセット立地およびアセット改修に関する評価、すなわち、生成した高次効果寄与度データに基づく高次価値の表示(ステップ506、507)をすることが可能となる。
【0071】
インフラ立地適正化評価装置100は、図7に示した効果リストから直接アセット立地およびアセット改修に関係しないオープンデータリストを参照し、スコアの高いデータを抽出し、関連サービスとしてリスト化する(ステップ508)。この関連サービスは、例えば歩行者数の増加や歩行者年齢層の拡がりを指標として、健康増進や社会福祉といった、従来の自治体の行政サービスを横断的に把握し、サービス投資に対する多角的な判断を促すことが可能となる。
【0072】
インフラ立地適正化評価装置100は、関連サービスのリスト化に応じて、住民の行動リストから効果を解析し、このサービスの費用便益分析を行うことが出来る(ステップ509)。関連サービスの費用便益分析は、従来評価項目に基づいて行うものとし、特に制限はない。ただし、従来評価項目で直接把握できない事項については、上記工程と同様に住民の行動リストから推計することが可能である。
【0073】
上記の費用便益分析を、従来手法および高次効果の費用便益評価の手法で行うことによって、アセットの立地およびアセットの改修に基づいた住民の生活向上要素を反映した評価が可能となり、自治体の多角的な施策評価にもつながる。
【0074】
以上の本発明の一実施形態によると、居住者の地理的な位置情報及びその位置での滞留情報と、その位置による行為や行動を規定する動的情報を把握し、その動的情報と関連する情報を集約する住民の生活向上寄与度の算出工程を有し、前記住民の生活向上寄与度の高い公共施設及びインフラの関連性を寄与度から算出する工程とを有し、前記住民の生活向上寄与度の高い公共施設及びインフラの立地適正化を公開データの集約状況と照合することによって、住民生活向上寄与度と公共施設及びインフラの立地適正化を評価することができる住民意思反映に基づくインフラ立地適正化評価システムおよび評価方法が可能となる。
【0075】
本発明の一実施形態によると、人口減居住者の地理的な位置情報及びその位置での滞留情報と、その位置による行為や行動を規定する動的情報を把握する方法として、カメラ等の画像記録から行動を解析する工程を含むことによって、住民生活向上寄与度と公共施設及びインフラの立地適正化を評価することができる住民意思反映に基づくインフラ立地適正化評価システムおよび評価方法が可能となる。
【0076】
本発明の一実施形態によると、居住者の母数から一定人数を任意に抽出することを繰り返し、その都度、前記居住者の環境に対する満足を統計的な手法によって地域空間の全体の居住者数に占める満足を示した居住者数の比で表す満足度を算出する手段と、前記居住者の満足の時間的継続性を推計する手段を備え、居住空間の居住者全体の満足度の算出結果に基づき、目標満足度を設定することを可能となる。
【0077】
これによって、広域マネジメントを行う地方公共団体やディベロッパーなどが設置するインフラ設備が地理的要件、地域的背景に基づいて適切に配置されることを誘導し、その適正配置が利用住民の意思を反映して評価される。
【0078】
また、本発明の実施形態のシステムは次のように構成されてもよい。
【0079】
(1)プロセッサ(例えばプロセッサ101)と、記憶装置(例えばメモリ102および記憶装置103の少なくともいずれか)と、を有するインフラ立地評価システム(例えば少なくともインフラ立地適正化評価装置100を含むシステム)であって、記憶装置は、対象地域の人口情報と、対象地域の居住者の行動を示す情報と、対象地域の居住者の生活の満足度を示す情報と、を保持し、プロセッサは、対象地域の人口情報に基づいて、対象地域のインフラを構成するアセットの設置位置を設定し(例えば図2のステップ201~203、図3のステップ301~309)、設定された位置にアセットが設置された場合の、アセットの効果(例えば効果603)へのアセットの寄与度を第1の寄与度(例えば寄与度604)として計算し、対象地域の居住者の行動を示す情報に基づいて、対象地域の居住者の行動への、アセットの効果の寄与度を第2の寄与度(例えば高次効果寄与度703)として計算し、対象地域の居住者の行動を示す情報と対象地域の居住者の生活の満足度を示す情報とに基づいて、対象地域の居住者の行動と対象地域の居住者の生活の満足度との関係(例えば図8に示す関係)を推定し、第1の寄与度、第2の寄与度、および、対象地域の居住者の行動と対象地域の居住者の生活の満足度とに基づいて、アセットの設置位置の適正性を評価する(例えば図2のステップ204、図3のステップ316~318、図5)。
【0080】
これによって、住民の生活の質を低下させることなく立地適正化を実施することが可能となり、住民生活を豊かにする要因が公共施設およびインフラの立地等に関して寄与する関連性を見出すことが可能となる。
【0081】
(2)上記(1)において、対象地域の居住者の行動を示す情報は、対象地域の人流情報および対象地域の交通量の情報の少なくともいずれかを含む。
【0082】
これによって、実際の居住者の意思に基づいて適切にアセットの設置位置の適正性を評価することができる。
【0083】
(3)上記(2)において、対象地域の人流情報は、対象地域に設置された1以上のカメラ(例えば防犯カメラ131)による撮影画像を解析することによって得られた情報である。
【0084】
これによって、実際の居住者の意思に基づいて適切にアセットの設置位置の適正性を評価することができる。
【0085】
(4)上記(1)において、プロセッサは、対象地域の居住者全体の数より少ない数の居住者の行動を示す情報および生活の満足度を示す情報に基づいて、対象地域の居住者全体の数に対する生活への満足を示した居住者の数の割合を対象地域の居住者全体の生活の満足度として推定する処理を繰り返すことによって、対象地域の居住者の生活の満足度の時間的継続性を推定する。
【0086】
これによって、実際の居住者の意思に基づいて適切にアセットの設置位置の適正性を評価することができる。
【0087】
(5)上記(1)において、プロセッサは、対象地域の居住者の生活の満足度が所定の目標値を満たすか否かに基づいて、アセットの設置位置の適正性を評価する。
【0088】
これによって、実際の居住者の意思に基づいて適切にアセットの設置位置の適正性を評価することができる。
【0089】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明のより良い理解のために詳細に説明したものであり、必ずしも説明の全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることが可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【0090】
また、上記の各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等によってハードウェアで実現してもよい。また、上記の各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによってソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、不揮発性半導体メモリ、ハードディスクドライブ、SSD(Solid State Drive)等の記憶デバイス、または、ICカード、SDカード、DVD等の計算機読み取り可能な非一時的データ記憶媒体に格納することができる。
【0091】
また、制御線及び情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線及び情報線を示しているとは限らない。実際にはほとんど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
【符号の説明】
【0092】
100 インフラ立地適正化評価装置
101 プロセッサ
102 メモリ
103 記憶装置
104 入力装置
105 出力装置
106 通信装置
120 ネットワーク
121 外部データ
130 センサ群
131 防犯カメラ
132 車両センサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8