(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023060562
(43)【公開日】2023-04-28
(54)【発明の名称】点灯制御モジュール
(51)【国際特許分類】
F21S 45/47 20180101AFI20230421BHJP
F21V 29/508 20150101ALI20230421BHJP
F21V 29/70 20150101ALI20230421BHJP
F21V 23/00 20150101ALI20230421BHJP
F21V 23/02 20060101ALI20230421BHJP
F21W 102/00 20180101ALN20230421BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20230421BHJP
【FI】
F21S45/47
F21V29/508 100
F21V29/70
F21V23/00 130
F21V23/00 140
F21V23/02
F21W102:00
F21Y115:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021170225
(22)【出願日】2021-10-18
(71)【出願人】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100122183
【弁理士】
【氏名又は名称】小澤 一郎
(72)【発明者】
【氏名】外山 拓哉
(72)【発明者】
【氏名】太田 真司
【テーマコード(参考)】
3K014
【Fターム(参考)】
3K014AA01
(57)【要約】
【課題】点灯制御モジュールのノイズ対策と放熱対策とを比較的簡易に実現する。
【解決手段】点灯制御モジュール24は、回路基板36と、回路基板に搭載されている電子部品38と、回路基板の電子部品が搭載されている側の搭載面36aを覆うように、電子部品38の上方に配置されている導電性のカバー40と、電子部品38とカバー40の間に挟まれており、電子部品38の熱をカバー40に伝導する熱伝導部材42と、を備える。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路基板と、
前記回路基板に搭載されている電子部品と、
前記回路基板の電子部品が搭載されている側の面を覆うように、前記電子部品の上方に配置されている導電性のカバーと、
前記電子部品と前記カバーの間に挟まれており、前記電子部品の熱を前記カバーに伝導する熱伝導部材と、
を備える点灯制御モジュール。
【請求項2】
前記カバーは、前記回路基板と対向する側の面に凸部が設けられており、
前記熱伝導部材は、前記電子部品と前記凸部の間に挟まれていることを特徴とする請求項1に記載の点灯制御モジュール。
【請求項3】
前記電子部品は、コイル又は電界効果トランジスタであることを特徴とする請求項1又は2に記載の点灯制御モジュール。
【請求項4】
前記熱伝導部材は、熱伝導率が1.0[W/m・K]以上であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の点灯制御モジュール。
【請求項5】
前記熱伝導部材は、厚みが1.0mm以上のシリコーン樹脂シートであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の点灯制御モジュール。
【請求項6】
前記回路基板の電子部品が搭載されている面と反対側に導電性のカバーが設けられていないことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の点灯制御モジュール。
【請求項7】
前記カバーは、車両用灯具のランプボディに取り付ける取付部を有することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の点灯制御モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、点灯制御モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車等の車両用灯具の点消灯を制御する回路や基板を一体化したモジュールが車両用灯具や車両本体の適切な位置に配置されている。また、モジュールの回路に含まれる電子部品によってはノイズを発生することがあり、発生したノイズがモジュール外部の他の部品の駆動に影響を与えないように何らかのノイズ対策が必要である。例えば、特許文献1には、電子部品のノイズ対策として、電子部品を搭載した配線基板を2つの金属カバーで上下から覆った電子ユニットが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述の電子ユニットは、ノイズ対策として2つのカバーを用いており、更に内部カバーの外側にケーシングも備えている。そのため、部品点数の増加による部品コストの増大と、複数の部品を互いに組み付ける工程の増加による組立てコストの増大が懸念される。加えて、配線基板に搭載されている電子部品の一部には発熱が多いものが含まれている場合があり、その場合にはより積極的な放熱対策が必要である。
【0005】
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的とするところの一つは、点灯制御モジュールのノイズ対策と放熱対策とを比較的簡易に実現する新たな構成を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の点灯制御モジュールは、回路基板と、回路基板に搭載されている電子部品と、回路基板の電子部品が搭載されている側の面を覆うように、電子部品の上方に配置されている導電性のカバーと、電子部品とカバーの間に挟まれており、電子部品の熱をカバーに伝導する熱伝導部材と、を備える。
【0007】
この態様によると、電子部品の上方に配置されている導電性のカバーにより、回路基板に搭載されている各種素子や部品からのノイズがモジュールの外に漏れることが抑制される。また、電子部品の熱が熱伝導部材を介してカバーに伝導されることで、電子部品が発する熱が効率良く外部に放出される。
【0008】
カバーは、回路基板と対向する側の面に凸部が設けられており、熱伝導部材は、電子部品と凸部の間に挟まれていてもよい。これにより、熱伝導部材が電子部品やカバーとしっかり接触するため、電子部品からカバーへの熱の伝導がより良好になる。
【0009】
電子部品は、コイル又は電界効果トランジスタであってもよい。
【0010】
熱伝導部材は、熱伝導率が1.0[W/m・K]以上であってもよい。これにより、電子部品からカバーへの熱の伝導がより良好になる。
【0011】
熱伝導部材は、厚みが1.0mm以上のシリコーン樹脂シートであってもよい。これにより、電子部品と熱伝導部材との密着性や、熱伝導部材とカバーとの密着性が向上し、電子部品からカバーへの熱の伝導がより良好になる。
【0012】
回路基板の電子部品が搭載されている面と反対側に導電性のカバーが設けられていない。これにより、回路基板の両面を導電性のカバーで覆う場合と比較して、部品点数や材料費を低減できる。
【0013】
カバーは、車両用灯具のランプボディに取り付ける取付部を有してもよい。これにより、点灯制御モジュールをカバーを介してランプボディに取り付けることができ、取付部を有する他の部品が不要となる。
【0014】
以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を製造方法、灯具や照明などの装置、発光モジュール、光源などの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ノイズ対策と放熱対策とを比較的簡易に実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本実施の形態に係る点灯制御モジュールを搭載可能な車両用灯具の一例を示す縦断面図である。
【
図2】本実施の形態に係る点灯制御モジュールの斜視図である。
【
図3】本実施の形態に係る点灯制御モジュールの分解斜視図である。
【
図4】本実施の形態に係る点灯制御モジュールの上面図である。
【
図5】
図4に示す点灯制御モジュールのA-A断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を好適な実施の形態をもとに図面を参照しながら説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、実施の形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組合せは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
【0018】
(車両用灯具)
図1は、本実施の形態に係る点灯制御モジュールを搭載可能な車両用灯具の一例を示す縦断面図である。
図1に示す車両用灯具としての前照灯10は、左右前照灯の一方を示す。これら前照灯10は、車両前部における車幅方向両側に取り付けられており、これら前照灯10により車両前方が照射される。
【0019】
図1に示すように、前照灯10のランプハウジング12は、ランプボディ14と前面カバー16とで構成されている。ランプハウジング12内には、エクステンション18とともに光源ユニット20が設けられている。また、光源ユニット20に搭載された光源(LED22)の点灯状態を制御する点灯制御モジュール24は、例えば、ランプハウジング12の内部であるランプボディ14の底面14aに取り付けられている。点灯制御モジュール24は、ハーネス26を介して光源ユニット20に電気接続され、ハーネス27を介して外部電源や車両ECUに電気接続されている。
【0020】
光源ユニット20は、いわゆるプロジェクタ型のランプユニットであって、ユニットベース28と、ユニットベース28上に光源として設けられたLED22とを備えている。光源ユニット20は、LED22を覆うように設けられたリフレクタ30と、LED22の前方に配置された投影レンズ32とを更に備えている。LED22から出射されてリフレクタ30で反射された光と、LED22からの直接光とが、ユニットベース28に形成されたシェード34によって一部が遮光されながら、投影レンズ32により前方に向けて照射される。これにより、光源ユニット20は、所要の配光パターンによる光照射を実現する。
【0021】
(点灯制御モジュール)
図2は、本実施の形態に係る点灯制御モジュールの斜視図である。
図3は、本実施の形態に係る点灯制御モジュールの分解斜視図である。
図4は、本実施の形態に係る点灯制御モジュールの上面図である。
図5は、
図4に示す点灯制御モジュールのA-A断面図である。
【0022】
図2乃至
図5に示す点灯制御モジュール24は、回路基板36と、回路基板36に搭載されている電子部品38と、回路基板36の電子部品が搭載されている側の搭載面36aを覆うように、電子部品38の上方に配置されている導電性のカバー40と、電子部品38とカバー40の間に挟まれており、電子部品38の熱をカバーに伝導する熱伝導部材42と、回路基板36をカバー40に締結するネジ44と、を備える。
【0023】
回路基板36は、内部や表面に配線が形成されている絶縁樹脂製の基板である。電子部品38は、回路基板36に搭載される様々な受動素子や能動素子のうち、比較的発熱が多い大型の部品である。例えば、LED22に流す電流値が600mA以上の場合に損失の大きい電子部品である。具体的には、コイルや電界効果トランジスタといった部品があげられる。カバー40は、鉄やアルミニウム等の金属製の導電部材である。
【0024】
このような点灯制御モジュール24は、電子部品38の上方に配置されている導電性のカバー40により、回路基板36に搭載されている各種素子や部品からのノイズがモジュールの外に漏れることが抑制され、また周辺機器からのノイズを受けて性能が低下するといったことがなく作動する。また、電子部品38の熱が熱伝導部材42を介してカバー40に伝導されることで、電子部品38が発する熱が効率良く外部に放出される。
【0025】
また、本実施の形態に係るカバー40は、回路基板36と対向する側の裏面40aに凸部40bが設けられている。熱伝導部材42は、電子部品38と凸部40bの間に挟まれている。これにより、熱伝導部材42が電子部品38やカバー40としっかり接触するため、電子部品38からカバー40への熱の伝導がより良好になる。
【0026】
本実施の形態に係る熱伝導部材42は、熱伝導率が1.0[W/m・K]以上、好ましくは2.0[W/m・K]以上の材料が好ましい。このような熱伝導部材を用いることにより、電子部品38からカバー40への熱の伝導がより良好になる。また、本実施の形態に係る熱伝導部材42は、厚みが1.0mm以上のシリコーン樹脂シートであってもよい。これにより、電子部品38と熱伝導部材42との密着性や、熱伝導部材42とカバー40との密着性が向上し、電子部品38からカバー40への熱の伝導がより良好になる。
【0027】
また、本実施の形態に係る点灯制御モジュール24は、回路基板36の電子部品38が搭載されている搭載面36aと反対側に導電性のカバーが設けられていない。これにより、回路基板36の両面を導電性のカバーで覆う場合と比較して、部品点数や材料費を低減できる。
【0028】
本実施の形態に係るカバー40は、前照灯10のランプボディ14に取り付ける取付部46を有している。これにより、点灯制御モジュール24をカバー40を介してランプボディ14に取り付けることができ、取付部を有する他の部品が不要となる。また、カバー40は、回路基板36上のコネクタ48が露出する切り欠き50が形成されている。切り欠き50は、カバー40の四つの側面のうち、取付部46が設けられていない一つの側面に設けられている。
【0029】
以上、本発明を上述の実施の形態を参照して説明したが、本発明は上述の実施の形態に限定されるものではなく、実施の形態の構成を適宜組み合わせたものや置換したものについても本発明に含まれるものである。また、当業者の知識に基づいて実施の形態における組合せや処理の順番を適宜組み替えることや各種の設計変更等の変形を実施の形態に対して加えることも可能であり、そのような変形が加えられた実施の形態も本発明の範囲に含まれうる。
【符号の説明】
【0030】
10 前照灯、 14 ランプボディ、 20 光源ユニット、 22 LED、 24 点灯制御モジュール、 36 回路基板、 36a 搭載面、 38 電子部品、 40 カバー、 40a 裏面、 40b 凸部、 42 熱伝導部材、 46 取付部。