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特開2023-60570配達管理システム、配達管理方法及び配達管理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023060570
(43)【公開日】2023-04-28
(54)【発明の名称】配達管理システム、配達管理方法及び配達管理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/083 20230101AFI20230421BHJP
【FI】
G06Q10/08 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021170236
(22)【出願日】2021-10-18
(71)【出願人】
【識別番号】507347048
【氏名又は名称】日本郵便株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】521456117
【氏名又は名称】株式会社DATAFLUCT
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 祐弥
(72)【発明者】
【氏名】高井 淳次
(72)【発明者】
【氏名】久米村 隼人
(72)【発明者】
【氏名】喜久里 陽
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA16
(57)【要約】
【課題】配達に要する時間を効率的に評価するための配達管理システム、配達管理方法及び配達管理プログラムを提供する。
【解決手段】支援サーバ20は、配達先の位置情報を記録した配達先情報記憶部22と、配達者の所在位置を時系列に記録した移動履歴記憶部24と、配達先毎の配達所要時間を算出する制御部21と、を備える。制御部21が、移動履歴記憶部24に記録された所在位置毎に、方位に応じてマップを複数の領域に分割し、領域毎に、配達先情報記憶部22を用いて最寄りの配達先を特定し、最寄りの配達先に、時系列の時間間隔を分配する配達管理処理を実行する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配達先の位置情報を記録した配達先情報記憶部と、
配達者の所在位置を時系列に記録した移動履歴記憶部と、
前記配達先毎の配達所要時間を算出する制御部と、を備えた配達管理システムであって、
前記制御部が、
前記移動履歴記憶部に記録された所在位置毎に、方位に応じてマップを複数の領域に分割し、
前記領域毎に、前記配達先情報記憶部を用いて最寄りの配達先を特定し、
前記最寄りの配達先に、前記時系列の時間間隔を分配する配達管理処理を実行することを特徴とする配達管理システム。
【請求項2】
前記制御部が、
前記所在位置における移動速度を算出し、
閾値速度以下の移動速度の所在位置を用いて、前記配達管理処理を実行することを特徴とする請求項1に記載の配達管理システム。
【請求項3】
前記配達管理処理を行なう評価対象領域を特定するための情報を記録したマップ記憶部を更に備え、
前記制御部が、前記マップ記憶部により特定した評価対象領域に含まれる所在位置を用いて、前記配達管理処理を実行することを特徴とする請求項1又は2に記載の配達管理システム。
【請求項4】
配達先の位置情報を記録した配達先情報記憶部と、
配達者の所在位置を時系列に記録した移動履歴記憶部と、
前記配達先毎の配達所要時間を算出する制御部と、を備えた配達管理システムを用いて、配達管理を行なう方法であって、
前記制御部が、
前記移動履歴記憶部に記録された所在位置毎に、方位に応じてマップを複数の領域に分割し、
前記領域毎に、前記配達先情報記憶部を用いて最寄りの配達先を特定し、
前記最寄りの配達先に、前記時系列の時間間隔を分配する配達管理処理を実行することを特徴とする配達管理方法。
【請求項5】
配達先の位置情報を記録した配達先情報記憶部と、
配達者の所在位置を時系列に記録した移動履歴記憶部と、
前記配達先毎の配達所要時間を算出する制御部と、を備えた配達管理システムを用いて、配達管理を行なうプログラムであって、
前記制御部を、
前記移動履歴記憶部に記録された所在位置毎に、方位に応じてマップを複数の領域に分割し、
前記領域毎に、前記配達先情報記憶部を用いて最寄りの配達先を特定し、
前記最寄りの配達先に、前記時系列の時間間隔を分配する配達管理処理を実行する手段として機能させることを特徴とする配達管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配達に要する時間を評価するための配達管理システム、配達管理方法及び配達管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
複数の荷物を各宛先に配達する場合、順次、宛先住所を巡回しながら、配達を行なう。そこで、作業の所要時間や終了時刻を予測するための作業管理システムが検討されている(例えば、特許文献1を参照。)。この文献記載の技術では、作業管理システムの制御部は、配達が終了した区分口番号に基づいて午前の配達率を算出し、午前の配達率・応援率を差し引いて午後の配達率を算出する。制御部は、出発・帰着間時間から、応援作業時間、午前の往復走行時間及び午前配達外時間を減算することにより、午前中の実質的な通配作業時間を算出する。更に、制御部は、この午前中の実質的な通配作業時間を、算出した午前の配達率で除算して、この午前の作業能率を算出する。制御部は、この午前の作業能率に、算出した午後の配達率を乗算することにより、午後の配達予定作業時間を算出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-160007号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、配達物数(郵便物の数)が同じであっても、配達する地域の地形や住宅の密集度合い等によって、配達作業に要する時間は異なる。また、配達先毎に、配達のための所要時間を管理できると、全体の所要時間を予測できる。しかしながら、日々変動する配達先毎の所要時間を個別に測定する場合には、作業負担が大きくなる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する配達管理システムは、配達先の位置情報を記録した配達先情報記憶部と、配達者の所在位置を時系列に記録した移動履歴記憶部と、前記配達先毎の配達所要時間を算出する制御部と、を備える。そして、前記制御部が、前記移動履歴記憶部に記録された所在位置毎に、方位に応じてマップを複数の領域に分割し、前記領域毎に、前記配達先情報記憶部を用いて最寄りの配達先を特定し、前記最寄りの配達先に、前記時系列の時間間隔を分配する配達管理処理を実行する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、配達に要する時間を効率的に評価することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態のシステムの構成を説明する概略構成図。
図2】実施形態のハードウェア構成の説明図。
図3】実施形態の各データ記憶部の説明図であって、(a)は配達先情報記憶部、(b)はマップ記憶部、(c)は移動履歴記憶部、(d)は所要時間記憶部の説明図。
図4】実施形態の処理手順の説明図。
図5】実施形態の処理手順の説明図。
図6】実施形態の処理手順の説明図。
図7】実施形態の配達時の位置情報の説明図。
図8】実施形態の配達先の特定処理の説明図であって、(a)は位置p1、(b)は位置p2、(c)は位置p3、(d)は位置p4の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1図8を用いて、配達管理システム、配達管理方法及び配達管理プログラムを具体化した一実施形態を説明する。本実施形態においては、複数の配達先を巡回しながら、郵便物を配達する場合の所要時間を評価する場合に用いる配達管理システムについて説明する。本実施形態では、配達先として、近隣の複数世帯をまとめた区分口を用いる。
図1に示すように、本実施形態の配達管理システムには、ユーザ端末10、管理端末11、支援サーバ20を用いる。
【0009】
(ハードウェア構成の説明)
次に、図2を用いて、ユーザ端末10、管理端末11、支援サーバ20を構成する情報処理装置H10のハードウェア構成を説明する。情報処理装置H10は、通信装置H11、入力装置H12、表示装置H13、記憶装置H14、プロセッサH15を備える。なお、このハードウェア構成は一例であり、他のハードウェアにより実現することも可能である。
【0010】
通信装置H11は、他の装置との間で通信ルートを確立して、データの送受信を実行するインタフェースであり、例えばネットワークインタフェースや無線インタフェース等である。
【0011】
入力装置H12は、各種情報の入力を受け付ける装置であり、例えばマウスやキーボード、カメラ(撮影装置)等である。表示装置H13は、各種情報を表示するディスプレイ等である。
【0012】
記憶装置H14は、ユーザ端末10、管理端末11、支援サーバ20の各種機能を実行するためのデータや各種プログラムを格納する記憶装置である。記憶装置H14の一例としては、ROM、RAM、ハードディスク等がある。
【0013】
プロセッサH15は、記憶装置H14に記憶されるプログラムやデータを用いて、ユーザ端末10、管理端末11、支援サーバ20における各処理を制御する。プロセッサH15の一例としては、例えばCPUやMPU等がある。このプロセッサH15は、ROM等に記憶されるプログラムをRAMに展開して、各処理のための各種プロセスを実行する。
【0014】
プロセッサH15は、自身が実行するすべての処理についてソフトウェア処理を行なうものに限られない。例えば、プロセッサH15は、自身が実行する処理の少なくとも一部についてハードウェア処理を行なう専用のハードウェア回路(例えば、特定用途向け集積回路:ASIC)を備えてもよい。すなわち、プロセッサH15は、〔1〕コンピュータプログラムに従って動作するプロセッサ、〔2〕各種処理の一部を実行する専用のハードウェア回路、〔3〕それらの組み合わせ、を含む回路(circuitry)として構成しうる。プロセッサは、CPU並びに、RAM及びROM等のメモリを含み、メモリは、処理をCPUに実行させるように構成されたプログラムコード又は指令を格納している。メモリすなわちコンピュータ可読媒体は、汎用又は専用のコンピュータでアクセスできるあらゆる利用可能な媒体を含む。
【0015】
(配達管理システムの機能)
次に、図1を用いて、配達管理システムとしてのユーザ端末10、管理端末11、支援サーバ20の機能を説明する。
【0016】
ユーザ端末10は、配達作業を行なう担当者(配達者)が携帯するコンピュータ端末である。このユーザ端末10は、位置情報取得手段を備える。位置情報取得手段としては、GSNN(Global Navigation Satellite System:全世界測位システム)等を用いることができる。この位置情報取得手段を用いて、定期的に担当者の所在位置を特定し、現在時刻と関連付けて移動履歴として記憶する。そして、ユーザ端末10は、移動履歴情報を、支援サーバ20既にアップロードする。
管理端末11は、配達作業の管理者が用いるコンピュータ端末である。
【0017】
支援サーバ20は、配達作業を管理するコンピュータシステムである。この支援サーバ20は、制御部21、配達先情報記憶部22、マップ記憶部23、移動履歴記憶部24及び所要時間記憶部25を備えている。
【0018】
制御部21は、配達管理プログラムを実行することにより、マッピング部211、速度分析部212、配達先分析部213、時間評価部214として機能する。
マッピング部211は、ユーザ端末10から移動履歴情報を取得し、移動履歴記憶部24に記録する処理を実行する。
【0019】
速度分析部212は、移動履歴における走行速度を分析する処理を実行する。そして、走行速度を用いて、配達を行なったエリアを特定する。速度分析部212は、配達のための停止、或は信号待ちのための停止を判定するための閾値速度に関するデータを保持している。
配達先分析部213は、移動履歴と区分口との位置関係に応じて、配達を行なった区分口を特定する処理を実行する。配達先分析部213は、区分口を特定するための閾値距離に関するデータを保持している。
時間評価部214は、移動履歴情報を用いて、各区分口の配達に要する所要時間を評価する処理を実行する。
【0020】
図3(a)に示すように、配達先情報記憶部22には、配達を行なう可能性がある住所に関する配達先情報220が記録される。この配達先情報220は、居住者の住所登録を行なった場合に記録される。この配達先情報220には、エリア識別子、配達先識別子、住所、座標に関するデータが記録される。
【0021】
エリア識別子データ領域には、配達対象の各エリア(配達区)を特定するための識別子に関するデータが記録される。
配達先識別子データ領域には、このエリアに含まれる各区分口を特定するための識別子に関するデータが記録される。この配達先識別子として、配達する順番で並べた区分口番号を用いる。
【0022】
住所データ領域には、区分口の住所に関するデータが記録される。
座標データ領域には、マップ上において、区分口の位置を特定する座標に関するデータが記録される。座標としては、例えば、緯度及び経度を用いることができる。
【0023】
図3(b)に示すように、マップ記憶部23には、配達を行なうエリア(配達区)のマップ情報230が記録される。このマップ情報230は、配達を行なうエリアが登録された場合に記録される。このマップ情報230には、座標(緯度、経度)に対してジオフェンスに関するデータが記録されており、このジオフェンスにより、境界領域を特定できる。
【0024】
境界領域は、配達の所要時間の集計対象とする区分口を個別に判定する領域である。例えば、区分口間の境界が近しい領域や、配達以外の目的で担当者が滞在している郵便局の周辺領域では、滞在時間が近隣区分口に誤算出される可能性がある。そこで、これらの領域の滞在時間を誤評価しないため、郵便局周辺等の領域に仮想的な地理的境界線(ジオフェンス)を設定して、移動履歴において境界領域外を評価する領域を特定する。すなわち、ジオフェンス内の境界領域は、誤算出の防止のため、評価対象領域外と設定する。
【0025】
図3(c)に示すように、移動履歴記憶部24には、配達時の担当者の所在地に関する移動履歴情報240が記録される。この移動履歴情報240は、ユーザ端末10から移動履歴情報を取得した場合に記録される。この移動履歴情報240には、担当者識別子、エリア識別子、配達日、時刻、位置、集計対象判定に関するデータが記録される。
【0026】
担当者識別子データ領域には、配達行なう担当者を特定するための識別子に関するデータが記録される。
エリア識別子データ領域には、この担当者が配達を行なったエリア(配達区)を特定するための識別子に関するデータが記録される。
【0027】
配達日データ領域には、配達を行なった年月日に関するデータが記録される。
時刻データ領域には、位置情報を取得した時刻に関するデータが記録される。
位置データ領域には、担当者の所在位置に関するデータが記録される。所在位置としては、例えば、緯度及び経度を用いることができる。時刻を用いて、各位置を時系列に並べることにより、担当者の移動履歴を特定することができる。
【0028】
集計対象判定データ領域には、配達時間の計算に用いるかどうかを判定するためのフラグが記録される。配達時間の計算に用いる場合には対象フラグが記録され、配達時間の計算に用いない場合には除外フラグが記録される。
【0029】
図3(d)に示すように、所要時間記憶部25には、各配達先について、配達に要する時間に関する所要時間管理情報250が記録される。この所要時間管理情報250は、所要時間の評価処理を行なった場合に記録される。この所要時間管理情報250には、配達日、エリア識別子、配達先識別子、所要時間に関するデータが記録される。
【0030】
配達日データ領域には、配達を行なった年月日に関するデータが記録される。
エリア識別子データ領域には、配達を行なったエリア(配達区)を特定するための識別子に関するデータが記録される。
【0031】
配達先識別子データ領域には、このエリアに含まれる各区分口を特定するための識別子に関するデータが記録される。
所要時間データ領域には、この区分口への配達に要した時間に関するデータが記録される。
【0032】
(配達管理処理)
次に、図4図8を用いて、配達管理処理について説明する。本実施形態では、配達管理処理として、平均速度処理(図4)、4象限処理(図5)、集計処理(図6)が行なわれる。
【0033】
(平均速度処理)
まず、図4を用いて、平均速度処理を説明する。ここでは、担当者は、バイクを用いて配達を行なう場合を想定する。そして、平均速度処理では、配達中の区分口を抽出するようにする。この場合、配達区への移動中に、区分口とは無関係に交差点や信号待ちで停止する場合もある。そこで、移動履歴の平均速度を用いて、このような停止を除外する。
【0034】
まず、支援サーバ20の制御部21は、位置履歴の取得処理を実行する(ステップS101)。具体的には、担当者は、ユーザ端末10を用いて、支援サーバ20にアクセスする。そして、ユーザ端末10に表示されたアクセス画面において、担当者識別子、エリア識別子を入力する。この場合、制御部21のマッピング部211は、担当者識別子、エリア識別子を含めた移動履歴情報240を生成する。次に、マッピング部211は、ユーザ端末10から位置履歴情報を取得し、担当者識別子、エリア識別子に関連付けて、移動履歴記憶部24の移動履歴情報240に記録する。
【0035】
次に、支援サーバ20の制御部21は、区分口の取得処理を実行する(ステップS102)。具体的には、制御部21のマッピング部211は、エリア識別子が記録された配達先情報220を配達先情報記憶部22から取得する。
【0036】
次に、支援サーバ20の制御部21は、マッピング処理を実行する(ステップS103)。具体的には、制御部21のマッピング部211は、マップ記憶部23から、移動履歴情報240の移動履歴を含むマップをマップ記憶部23から取得する。次に、マッピング部211は、移動履歴情報240の位置を時系列に繋げた移動経路をマップ上に配置する。更に、マッピング部211は、このマップ上に区分口を配置する。
【0037】
次に、支援サーバ20の制御部21は、移動履歴を構成する各位置を順次、評価対象位置として特定し、以下の処理を繰り返す。
ここでは、支援サーバ20の制御部21は、平均速度の算出処理を実行する(ステップS104)。具体的には、制御部21の速度分析部212は、評価対象位置の先行位置及び後続位置を特定する。なお、先行位置及び後続位置のいずれか一方のみを特定した場合には、特定した位置のみを用いる。次に、先行位置と評価対象位置との距離、及び評価対象位置と後続位置との距離をそれぞれ算出する。次に、速度分析部212は、先行位置、評価対象位置、後続位置の各時間間隔を用いて、先行位置→評価対象位置、評価対象位置→後続位置の各移動速度を算出する。そして、速度分析部212は、各移動速度の平均値により、評価対象位置での移動速度を算出する。
【0038】
次に、支援サーバ20の制御部21は、境界領域内かどうかについての判定処理を実行する(ステップS105)。具体的には、制御部21の速度分析部212は、処理対象位置の座標が、マップ情報230の境界領域内かどうかを判定する。
【0039】
境界領域内と判定した場合(ステップS105において「YES」の場合)、支援サーバ20の制御部21は、集計対象外処理を実行する(ステップS106)。具体的には、制御部21の速度分析部212は、この評価対象位置について、移動履歴情報240に除外フラグを記録することにより、集計対象から除く。
【0040】
一方、境界領域外と判定した場合(ステップS105において「NO」の場合)、支援サーバ20の制御部21は、閾値速度以上かどうかについての判定処理を実行する(ステップS107)。具体的には、制御部21の速度分析部212は、算出した移動速度と閾値速度とを比較する。
【0041】
移動速度が閾値速度以上と判定した場合(ステップS107において「YES」の場合)、支援サーバ20の制御部21は、集計対象外処理を実行する(ステップS106)。
一方、移動速度が閾値速度未満と判定した場合(ステップS107において「NO」の場合)、支援サーバ20の制御部21は、集計対象処理を実行する(ステップS108)。具体的には、制御部21の速度分析部212は、この評価対象位置について、移動履歴情報240に対象フラグを記録することにより、集計対象とする。
【0042】
次に、支援サーバ20の制御部21は、直近の位置を集計対象への変更処理を実行する(ステップS109)。具体的には、制御部21の速度分析部212は、移動履歴情報240に記録された対象外フラグを対象フラグに変更することにより、集計対象とする。
そして、支援サーバ20の制御部21は、すべての位置について終了するまで繰り返す。
【0043】
(4象限処理)
次に、図5を用いて、4象限処理を説明する。
【0044】
ここでは、まず、支援サーバ20の制御部21は、処理対象の取得処理を実行する(ステップS201)。具体的には、制御部21の配達先分析部213は、移動履歴記憶部24の移動履歴情報240に対象フラグが記録された位置を取得する。
【0045】
ここでは、支援サーバ20の制御部21は、処理対象の位置を、時系列に順次特定して、以下の処理を繰り返す。
まず、支援サーバ20の制御部21は、4象限の分割処理を実行する(ステップS202)。具体的には、制御部21の配達先分析部213は、処理対象位置を中心にして、同じ面積の4つの領域(4象限)に分割する。例えば、処理対象位置に対して、方位に応じて、経度線、緯度線を設定することにより、処理対象位置を中心に第1象限~第4象限を設定する。
【0046】
次に、支援サーバ20の制御部21は、各象限において、閾値距離内で最寄り住所の特定処理を実行する(ステップS203)。具体的には、制御部21の配達先分析部213は、第1象限~第4象限の各象限において、閾値距離内で、最寄りの区分口を特定する。
【0047】
次に、支援サーバ20の制御部21は、移動時間を最寄りの各区分口への分配処理を実行する(ステップS204)。具体的には、制御部21の配達先分析部213は、直近先行の位置の時刻から処理対象位置の時刻の差分を用いて、移動時間を算出する。そして、配達先分析部213は、算出した移動時間を、各象限で特定した区分口に対して均等に分配する。例えば、すべての象限で最寄りの配達先を特定した場合には、移動時間の1/4をそれぞれの区分口に分配する。一方、最寄りの区分口が存在しない象限が存在する場合には、特定した区分口の数で均等分配する。なお、すべての象限で最寄りの区分口が存在しない場合には、次の分配に、この移動時間を繰り越す。そして、配達先分析部213は、算出した移動時間を、区分口に関連付けて所要時間管理情報250の所要時間に加算する。
【0048】
図7に示すように、マップ500の配達経路R1において、配達先501~504がある場合を想定する。
例えば、図8(a)において、位置p1では、閾値距離の範囲a1内で、第1象限においては配達先503、第4象限においては配達先502を特定する。そして、直近で移動時間を分配した位置から位置p1までの移動時間を、配達先503,502に二等分で配分する。
【0049】
図8(b)において、位置p2では、閾値距離の範囲a2内で、第2象限においては配達先503を特定する。この場合には、直近で移動時間を分配した位置から位置p2までの移動時間を、配達先503に配分する。
【0050】
図8(c)において、位置p3では、閾値距離の範囲a3内で、第3象限においては配達先501,502が含まれるが、最寄の配達先502を特定する。また、第4象限においては配達先504を特定する。この場合には、直近で移動時間を分配した位置から位置p3までの移動時間を、配達先502,504に二等分で配分する。
【0051】
図8(d)において、位置p4では、閾値距離の範囲a4内で、第1象限においては配達先504、第2象限においては配達先502、第3象限においては配達先501を特定する。この場合には、直近で移動時間を分配した位置から位置p4までの移動時間を、配達先501,502,504に三等分で配分する。
支援サーバ20の制御部21は、以上の処理を、処理対象のすべての位置について繰り返す。
【0052】
(集計処理)
次に、図6を用いて、集計処理を説明する。この処理は、管理端末11から支援サーバ20にアクセスがあった場合に行なわれる。
【0053】
ここでは、支援サーバ20の制御部21は、配達先情報記憶部22に記録された区分口を順次処理対象として特定し、以下の処理を繰り返す。
まず、支援サーバ20の制御部21は、配達時間の集計処理を実行する(ステップS301)。具体的には、制御部21の時間評価部214は、処理対象の区分口について、所要時間記憶部25に記録された所要時間を取得する。そして、時間評価部214は、取得した所要時間を合計した集計時間を算出する。
【0054】
次に、支援サーバ20の制御部21は、統計値の算出処理を実行する(ステップS302)。具体的には、制御部21の時間評価部214は、処理対象の区分口についての配達回数を算出する。ここでは、所要時間記憶部25を用いて、処理対象の区分口に配達を行なった日数をカウントする。そして、時間評価部214は、集計時間を配達回数で除算することにより、所要時間の統計値(配達所要時間)を算出する。
【0055】
区分口毎についての処理の繰り返しを終了した場合、支援サーバ20の制御部21は、出力処理を実行する(ステップS303)。具体的には、制御部21の時間評価部214は、区分口毎に、配達所要時間を含めたリストを生成し、管理端末11に出力する。
【0056】
本実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)本実施形態では、支援サーバ20の制御部21は、平均速度の算出処理を実行する(ステップS104)。これにより、配達時の移動経路における各位置の速度を算出することができる。
【0057】
(2)本実施形態では、境界領域内と判定した場合(ステップS105において「YES」の場合)、支援サーバ20の制御部21は、集計対象外処理を実行する(ステップS106)。これにより、マップにジオフェンスを設定して、所望の範囲を評価対象とすることができる。
【0058】
(3)本実施形態では、支援サーバ20の制御部21は、閾値速度以上かどうかについての判定処理を実行する(ステップS107)。移動速度が閾値速度以上と判定した場合(ステップS107において「YES」の場合)、支援サーバ20の制御部21は、集計対象外処理を実行する(ステップS106)。これにより、移動速度に基づいて、配達区への移動と、配達区での配達作業での移動とを識別することができる。
【0059】
(4)本実施形態では、移動速度が閾値速度未満と判定した場合(ステップS107において「NO」の場合)、支援サーバ20の制御部21は、集計対象処理を実行する(ステップS108)。これにより、移動経路において、配達所要時間の評価に用いる移動履歴を特定することができる。
【0060】
(5)本実施形態では、支援サーバ20の制御部21は、直近の位置を集計対象への変更処理を実行する(ステップS109)。これにより、配達区に到着した直後の移動速度が閾値速度以上であっても、配達中の移動履歴として扱うことができる。
【0061】
(6)本実施形態では支援サーバ20の制御部21は、4象限の分割処理(ステップS202)、各象限において、閾値距離内で最寄り住所の特定処理(ステップS203)、移動時間を最寄りの各区分口への分配処理(ステップS204)を実行する。これにより、移動時間を、移動経路の周囲の区分口に分配することができる。例えば、面積が広い区分口への配達においては、近くに他の区分口が存在する場合、他の区分口への配達と誤認識する可能性がある。象限毎に区分口を認識することにより、一部の象限において広い面積の区分口を特定することができる。更に、広い面積の区分口は、長期間にわたって象限において最寄りの区分口として特定されるため、認識期間に応じた長い配達所要時間を算出することができる。
【0062】
(7)本実施形態では支援サーバ20の制御部21は、配達時間の集計処理(ステップS301)、統計値の算出処理(ステップS302)を実行する。これにより、各区分口への配達に要する時間を算出して、配達負荷の調整を行なうことができる。
【0063】
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・上記実施形態においては、郵便物の配達作業において、配達管理処理を行なう。本発明の適用対象は、郵便物の配達に限定されるものではない。
【0064】
・上記実施形態においては、支援サーバ20の制御部21は、閾値速度以上かどうかについての判定処理を実行する(ステップS107)。ここで、閾値速度を状況に応じて変更してもよい。例えば、支援サーバ20の制御部21が、交通情報サイトから交通情報を取得して、交通量や渋滞状況に応じて、閾値速度を変更する。この場合、交通量が多い場合には、閾値速度を低くする。
【0065】
・上記実施形態においては、支援サーバ20の制御部21は、4象限の分割処理を実行する(ステップS202)。ここで、処理対象位置を中心に、方位に応じて、同じ面積の複数の領域に分割できれば、4象限に限定されるものではない。また、方位に応じて均等に分割できれば、経度線、緯度線に平行でなくてもよい。
【0066】
・上記実施形態においては、郵便局周辺にジオフェンスを設定する。ジオフェンスを設定する領域は、郵便局周辺に限定されるものではない。例えば、区分口が存在しない領域に、ジオフェンスを設定しておいてもよい。
【符号の説明】
【0067】
10…ユーザ端末、11…管理端末、20…支援サーバ、21…制御部、211…マッピング部、212…速度分析部、213…配達先分析部、214…時間評価部、22…配達先情報記憶部、23…マップ記憶部、24…移動履歴記憶部、25…所要時間記憶部。
図1
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図8