(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023060575
(43)【公開日】2023-04-28
(54)【発明の名称】機械式駐車装置及びその安全確認方法並びに車両搬送台車
(51)【国際特許分類】
E04H 6/42 20060101AFI20230421BHJP
E04H 6/18 20060101ALI20230421BHJP
E04H 6/34 20060101ALI20230421BHJP
【FI】
E04H6/42 Z
E04H6/18 601Z
E04H6/34
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021170241
(22)【出願日】2021-10-18
(71)【出願人】
【識別番号】309036221
【氏名又は名称】三菱重工機械システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100140914
【弁理士】
【氏名又は名称】三苫 貴織
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100172524
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】冨山 陽司
(72)【発明者】
【氏名】高桑 義直
(72)【発明者】
【氏名】奈良 拓馬
(72)【発明者】
【氏名】福島 大輔
(72)【発明者】
【氏名】波多野 貴眞
(72)【発明者】
【氏名】中尾 健太
(72)【発明者】
【氏名】宮本 学
(57)【要約】
【課題】車内における人等の検出精度を向上させること。
【解決手段】機械式駐車装置は、乗降室7を備える。乗降室7内には、送受信部31が設けられている。送受信部31は、乗降室7の側方領域に設置され、乗降室7内に設定された所定の停車エリア16に停止された車両2のサイドガラスに向けてマイクロ波を送信するとともに、該マイクロ波の反射波を受信する。受信された反射波は、検知部32に出力される。検知部32は、反射波を用いて車両2の内部における人又は動物を検知する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗降室を有する機械式駐車装置であって、
前記乗降室の側方領域に設置され、乗降室内に設定された所定の停車エリアに停止された車両のサイドガラスに向けてマイクロ波を送信するとともに、該マイクロ波の反射波を受信する送受信部と、
前記反射波を用いて前記車両の内部における人又は動物を検知する検知部と
を備える機械式駐車装置。
【請求項2】
前記送受信部と前記車両を挟んで反対側に設けられた反射板を有する請求項1に記載の機械式駐車装置。
【請求項3】
前記反射板は、矩形平板状とされ、長さ方向が前記乗降室の前後方向と一致するように前記乗降室の側方壁面に沿って設けられている請求項2に記載の機械式駐車装置。
【請求項4】
前記反射板の長さ方向の長さが、前記停車エリアの前後方向の長さよりも長い請求項3に記載の機械式駐車装置。
【請求項5】
前記反射板は、長さ方向の端部に、内側に向けて湾曲した曲面を備える請求項3又は4に記載の機械式駐車装置。
【請求項6】
前記反射板は、高さ方向の端部に、内側に向けて湾曲した曲面を備える請求項3から5のいずれかに記載の機械式駐車装置。
【請求項7】
乗降室内に設けられた所定の停車エリアに停止された車両を積載し、前記車両を乗降室から乗降室外の駐車エリアへ移動させる自走式の車両搬送台車であって、
前記車両を積載するための積載部と、
前記積載部に積載された車両の内部における人又は動物を検知するための車内人検知センサと
を備える車両搬送台車。
【請求項8】
前記車内人検知センサは、
前記積載部に前記車両が積載された状態で、前記車両の内部に向けてマイクロ波を送信し、該マイクロ波の反射波を受信する送受信部と、
前記反射波を用いて、前記車両の内部における人又は動物を検知する検知部と
を具備する請求項7に記載の車両搬送台車。
【請求項9】
前記送受信部は、前記車両の側方からサイドガラスに向けてマイクロ波を送信する請求項8に記載の車両搬送台車。
【請求項10】
前記車内人検知センサは、前記積載部の側面に水平軸線回りに回転可能に取り付けられた長尺状の支持部材に支持され、
前記支持部材は、前記車内人検知センサの使用状態に応じて、前記積載部の上面に対する傾斜角度が変更される請求項7から9のいずれかに記載の車両搬送台車。
【請求項11】
乗降室を有する機械式駐車装置の安全確認方法であって、
乗降室内に設定された所定の停車エリアに停止された車両のサイドガラスに向けてマイクロ波を送信するとともに、該マイクロ波の反射波を受信し、受信した前記反射波を用いて前記車両の内部における人又は動物を検知する機械式駐車装置の安全確認方法。
【請求項12】
乗降室内に設けられた所定の停車エリアに停止された車両を自走式の車両搬送台車によって駐車エリアへ移動させる機械式駐車装置に適用される安全確認方法であって、
前記車両搬送台車に車内人検知センサを搭載し、
前記乗降室内において、前記車両搬送台車が前記車両を積載した状態で、前記車内人検知センサによって、車両の内部における人又は動物を検知する機械式駐車装置の安全確認方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、機械式駐車装置及びその安全確認方法並びに車両搬送台車に関するものである。
【背景技術】
【0002】
機械式駐車装置では、例えばパレット等の搬送機を用いて、車両の入出庫が行われる乗降室と車両の格納が行われる格納庫(駐車エリア)との間で車両を搬送している。例えば車両を入庫する場合(車両を乗降室から格納庫へ搬送する場合)、搬送機が稼働するため、車両の搬送を開始する前に乗降室内の安全確認を行う必要がある。安全確認では、例えば、乗降室内に人やペット、障害物等が存在しないことを確認したり、車内に人やペットなどが置き去りにされていないかを確認したりする必要がある。
【0003】
例えば、特許文献1には、乗降室内に停車された車両の前方にマイクロ波ドップラーセンサを設け、このセンサから車両のフロントガラスに向けてマイクロ波を放射し、その反射波に基づいて車内の人等を検知する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示の方法では、運転席や助手席のシートなどの車内部品に邪魔されてマイクロ波が後部座席まで届かず、後部座席における人やペットを検知することが難しかった。また、フロントガラスの傾斜により、マイクロ波が反射、減衰することによって検出精度が低下する可能性があった。更に、車種によってフロントガラスの高さ、車体の形状、フロントガラスの傾斜が異なることから、センサの設置位置を調整する必要があった。
【0006】
本開示は、このような事情に鑑みてなされたものであって、車内における人等の検知精度を向上させることのできる機械式駐車装置及びその安全確認方法並びに車両搬送台車を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の第1態様は、乗降室を有する機械式駐車装置であって、前記乗降室の側方領域に設置され、乗降室内に設定された所定の停車エリアに停止された車両のサイドガラスに向けてマイクロ波を送信するとともに、該マイクロ波の反射波を受信する送受信部と、前記反射波を用いて前記車両の内部における人又は動物を検知する検知部とを備える機械式駐車装置である。
【0008】
本開示の第2態様は、乗降室内に設けられた所定の停車エリアに停止された車両を積載し、前記車両を乗降室から乗降室外の駐車エリアへ移動させる自走式の車両搬送台車であって、前記車両を積載するための積載部と、前記積載部に積載された車両の内部における人又は動物を検知するための車内人検知センサとを備える車両搬送台車である。
【0009】
本開示の第3態様は、乗降室を有する機械式駐車装置の安全確認方法であって、乗降室内に設定された所定の停車エリアに停止された車両のサイドガラスに向けてマイクロ波を送信するとともに、該マイクロ波の反射波を受信し、受信した前記反射波を用いて前記車両の内部における人又は動物を検知する機械式駐車装置の安全確認方法である。
【0010】
本開示の第4態様は、乗降室内に設けられた所定の停車エリアに停止された車両を自走式の車両搬送台車によって駐車エリアへ移動させる機械式駐車装置に適用される安全確認方法であって、前記車両搬送台車に車内人検知センサを設け、前記乗降室内において、前記車両搬送台車が前記車両を積載した状態で、前記車内人検知センサによって、車両の内部における人又は動物を検知する機械式駐車装置の安全確認方法である。
【発明の効果】
【0011】
本開示に係る機械式駐車装置及びその安全確認方法並びに車両搬送台車によれば、車内における人等の検知精度を向上させることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本開示の第1実施形態に係る機械式駐車装置の縦断面図である。
【
図2】本開示の第1実施形態に係る乗降室の概略平面図である。
【
図3】本開示の第1実施形態に係る機械式駐車装置において、乗降室の前方領域から後方領域を見たときの車内人検知センサの配置を示した図である。
【
図4】本開示の第1実施形態に係る駐車場制御装置が備える機能の一例を示した機能ブロック図である。
【
図5】本開示の第1実施形態に係る駐車場制御装置によって実行される入庫処理の手順の一例を示したフローチャートである。
【
図6】本開示の第2実施形態に係る機械式駐車装置が備える乗降室の概略平面図である。
【
図7】本開示の第2実施形態に係る機械式駐車装置において、乗降室の前方領域から後方領域を見たときの概略図である。
【
図8】本開示の第2実施形態に係る機械式駐車装置において、車内人検知センサが配置されている乗降室の側方領域から反対側の側方領域を見たときの概略図である。
【
図9】本開示の第3実施形態に係る車両搬送台車の概略平面図である。
【
図10】本開示の第3実施形態に係る車両搬送台車の概略側面図である。
【
図11】本開示の第3実施形態に係る機械式駐車装置が備える乗降室の概略平面図である。
【
図12】本開示の第3実施形態に係る機械式駐車装置が備える駐車場制御装置によって実行される入庫処理の手順の一例を示したフローチャートである。
【
図13】本開示の第3実施形態に係る機械式駐車装置が備える駐車場制御装置によって実行される入庫処理の手順の一例を示したフローチャートである。
【
図14】本開示の第3実施形態に係る機械式駐車装置において、車両搬送台車の積載部に車両が積載された状態を示した乗降室の概略平面図である。
【
図15】本開示の第3実施形態に係る機械式駐車装置において、車両搬送台車の積載部に車両が積載された状態を乗降室の側方領域から見たときの図である。
【
図16】本開示の第3実施形態に係る機械式駐車装置において、車内人検知センサの使用状態を乗降室の前方領域から見たときの図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
〔第1実施形態〕
以下、本開示の第1実施形態に係る機械式駐車装置及びその安全確認方法について、図面を参照して説明する。第1実施形態では、本開示の機械式駐車装置としてエレベータ方式のタワー型機械式駐車装置を例示して説明するが、この例に限定されず、本開示の機械式駐車装置は、垂直循環方式、平面往復方式、水平循環方式、多層循環方式、二多段方式等であってもよい。
【0014】
図1は、本開示の第1実施形態に係る機械式駐車装置1の縦断面図である。
図1に示すように、機械式駐車装置1は、複数の車両2を収容可能なエレベータ方式のタワー型立体駐車設備であり、入出庫口3と出入口扉4とが設けられた駐車塔5を備えている。駐車塔5の地上階は、車両2を入出庫させる乗降室7となっており、その床面には車両2の方向を転換させるターンテーブル8が設置されている。ターンテーブル8は、乗降室7の床面に形成された凹状のピット9内に旋回板10と旋回駆動部11が設けられた構成である。
本実施形態では、入庫時と出庫時とで同じ乗降室7を用いる場合を例示するが、例えば、入庫専用の乗降室及び出庫専用の乗降室を備え、それぞれ異なる乗降室7を用いて入庫と出庫とが行われる構成とされていてもよい。
【0015】
駐車塔5の中心部には垂直な昇降通路13が形成されており、この中にリフト14(車両搬送手段)が上下に昇降可能に設けられている。リフト14は、例えば駐車塔5の上部に設けられた図示しないウインチから下方に延びる複数本のワイヤロープ12に四隅を吊持され、上記ウインチが起動することにより昇降通路13内を上下に昇降することができる。
【0016】
一方、昇降通路13の両側には車両格納棚17(駐車エリア)が設けられている。この車両格納棚17は、昇降通路13を挟むようにして上下に多階層状に設けられており、それぞれの車両格納棚17には車両を積載するためのパレット(車両搬送手段)18が1枚ずつ収容されている。なお、車両格納棚17の支柱等は図示が省略されている。
【0017】
リフト14と車両格納棚17の床面には、リフト14と車両格納棚17の床面の高さが一致した時に、空荷のパレット18、または車両2が積載されたパレット18を、リフト14から車両格納棚17に、または車両格納棚17からリフト14に、スムーズに受け渡すことができる図示しない受渡機構が設けられている。
【0018】
図2は、乗降室7の概略平面図である。乗降室7の略中央には、車両2を停止させる停車エリア16が設けられている。本実施形態において、この停車エリア16は、例えば、パレット18と同一範囲に設定されているが、この例に限られない。例えば、停車エリア16は、パレット18の大きさに多少の余裕を持たせた範囲に設定されていてもよい。
乗降室7は、車両2や利用者等が出入りするための入出庫口3を有し、入出庫口3には出入口扉4が設けられている。利用者は、入庫時において、入出庫口3から乗降室7内に車両を進入させ、停車エリア16、換言するとパレット18上に停止する。
以下、乗降室7において、停止車両の前方を前方領域、車両の後方を後方領域、車両の左右を側方領域という。
【0019】
乗降室7の側方領域には、車両2の内部における人や動物を検知するための車内人検知センサ20が設けられている。車内人検知センサ20は、例えば、
図3に示されるように、停車エリア16に停止された車両2のサイドガラスに対応する高さ位置に設けられている。好ましくは、車内人検知センサ20は、
図2、
図3に示されるように、車両2の後部座席のサイドガラスに対応する位置に設けられるとよい。より好ましくは、車内人検知センサ20は、車両2の後部座席のサイドガラスの高さ方向における中央部よりも上方に対応する高さ位置に設けられているとよい。このような高さに配置された車内人検知センサ20からマイクロ波を送信することで、車体の金属部による影響を低減することが可能となる。
【0020】
車内人検知センサ20は、例えば、送受信部31と、検知部32とを備えている。送受信部31は、例えば、マイクロ波発信器と、反射波を受信する受信器とを有する構成とされている。送受信部31は、停車エリア16に停止された車両2の側方からサイドガラスに向けて放射線状にマイクロ波を送信するとともに、そのマイクロ波の反射波を受信する。具体的には、送受信部31は、車両2のサイドガラスの全域を含むように設定された放射エリアに向けてマイクロ波を送信する。
検知部32は、送受信部31によって受信された反射波を用いて車両2の内部における人又は動物を検知する。具体的には、検知部32は、送信したマイクロ波と受信したマイクロ波との位相差に基づいて人等の呼吸に応じた信号変化があるか否かを判定することにより、人等を検知する。
【0021】
車内人検知センサ20の一例として、マイクロ波ドップラーセンサが挙げられる。マイクロ波ドップラーセンサを用いた人検知の技術については、公知であり、一例として、特許第3527362号公報等に例示される手法を用いることが可能である。
【0022】
上記車内人検知センサ20の他、乗降室7内には、例えば、庫内における人、動物、障害物等の物体を検知する人検知センサ21(
図4参照)、車両2が停車エリア16に適切に停車されたことを検知するための停止位置検知センサ22(
図4参照)、乗降室7に進入した人又は乗降室7から退出した人を検出するための入退室検知センサ23(
図4参照)等の各種センサが必要に応じて設けられていてもよい。
【0023】
人検知センサ21は、例えば、人感センサであり、乗降室7の複数箇所に設けられている。例えば、人検知センサ21は、前方領域、左側方領域、右側方領域、後方領域にそれぞれ設けられていることが好ましい。なお、人検知センサ21、停止位置検知センサ22、入退室検知センサ23については、周知であるので、ここでの詳細な説明は省略する。
【0024】
乗降室7内には、例えば、乗降室7内を撮影するための複数のカメラ25が設置されている。カメラ25は、例えば、ビデオカメラであり、乗降室7の全体を撮影できるような位置に取り付けられている。なお、
図2に示したカメラ25の設置数及び設置位置については一例であり、適宜決定することが可能である。
また、乗降室7内には利用者等に音声で情報を報知するためのスピーカが設けられていてもよい。
【0025】
乗降室7の外側であって、入出庫口3の近傍には、操作盤30が設けられている。操作盤30は、例えば、この機械式駐車装置1を利用する利用者や機械式駐車装置1を管理する管理人や保守員により操作される。
【0026】
操作盤30には、例えば、タッチパネル、利用者に操作方法を音声で案内するためのスピーカ、機械式駐車装置1の動作を非常停止させる非常停止ボタン等が設けられている。タッチパネルには、例えば、入出庫の操作を行わせるための各種案内情報が表示されるとともに、入出庫の操作を利用者に行わせるための操作ボタン等が表示される。タッチパネルの表示は後述する駐車場制御装置40(
図4参照)によって制御され、また、タッチパネルが利用者等によって操作されることにより入力された情報は、駐車場制御装置40に出力される。
【0027】
操作盤30の近傍には、カメラ25によって撮像されたリアルタイム画像を表示するためのディスプレイ(図示略)が設置されている。なお、ディスプレイは、操作盤30に設けられていてもよく、例えば、操作盤30が備えるタッチパネルにリアルタイム画像が表示される構成とされてもよい。
【0028】
機械式駐車装置1は、駐車場制御装置40によって制御される。
図4は、本実施形態に係る駐車場制御装置40が備える機能の一例を示した機能ブロック図である。駐車場制御装置40は、例えば、コンピュータであり、CPU、CPUが実行するプログラム等を記憶するための補助記憶装置、各プログラム実行時のワーク領域として機能するメインメモリ、通信ネットワークに接続するための通信インターフェース等を備えている。また、駐車場制御装置40は、機械式駐車装置1を制御するために必要となる各種データが格納されている総合データベース52を備えている。総合データベース52には、在車状況、パレット形状種別、車両格納棚形状種別、当該機械式駐車装置1の使用を許可されている複数の利用者の識別情報である利用者ID等が格納されている。
【0029】
駐車場制御装置40の補助記憶装置には、機械式駐車装置1の各機構を制御するための制御プログラム等が記憶されており、CPUが補助記憶装置に格納されている各種プログラムをメインメモリに読み出して実行することにより、後述する各部の機能を実現させる。また、プログラムの実行にあたり、CPUは総合データベース52に格納されている各種データを参照して用いる。
【0030】
上記制御プログラムは、駐車場制御装置40の製造時においてROM等の補助記憶装置に予め格納されていてもよいし、施工後などにおいて、制御プログラム等を配信するサーバ等からダウンロードしてインストールされてもよい。また、外部記憶装置を介してインストールされる態様としてもよい。このように、各種プログラムのインストール方法については特に限定されない。
【0031】
図4に示すように、駐車場制御装置40は、例えば、主制御部50を備えている。主制御部50には、上述した総合データベース52に加えて、出入口扉制御部55、センサ制御部56、搬送機制御部57、カメラ制御部58、画像データベース59等が接続されている。また、主制御部50には、操作盤30が接続されており、双方向通信が可能な構成とされている。
【0032】
出入口扉制御部55は、主制御部50から動作指令を受けて出入口扉4を開閉操作するとともに、出入口扉センサ53から出入口扉4の位置信号を受けて、その情報を主制御部50にフィードバックする。
【0033】
センサ制御部56は、主制御部50からの動作命令に従って、車内人検知センサ20、人検知センサ21、停止位置検知センサ22、入退室検知センサ23等の動作制御を行う。また、センサ制御部56は、車内人検知センサ20、人検知センサ21、停止位置検知センサ22、入退室検知センサ23等からのセンサ信号をそれぞれ受信し、その情報を主制御部50に出力する。
【0034】
搬送機制御部57は、主制御部50から動作指令を受けてリフト14の昇降およびパレット18の積み下ろし動作を実行させ、搬送機位置センサ54からリフト14の位置信号を受けて、その情報を主制御部50にフィードバックする。
【0035】
カメラ制御部58は、主制御部50から動作指令を受けてカメラ25に画像を撮像させ、その画像情報を主制御部50に出力する。この画像情報は、画像データベース59に所定の期間蓄積される。なお、画像データベース59を総合データベース52の内部に設けたり、クラウド上に設けたりしても良い。
【0036】
主制御部50は、各制御部55~58からのフィードバック、操作盤30からの入力情報に基づいて機械式駐車装置1を制御する。また、主制御部50は、入庫処理の制御プログラム及び出庫処理の制御プログラムを実行して、入庫処理および出庫処理を行い、操作盤30が備えるタッチパネルの表示制御、ユーザ認証処理、リフト14の呼び出し制御、出入口扉4の開閉制御、安全確認処理等を行う。なお、各種センサ20~23からのセンサ信号については、上述したセンサ制御部56を介して主制御部50に入力されるのに代えて、直接的に主制御部50に入力されることとしてもよい。このようにすることで、センサ信号に応じたより迅速な制御を実施することが可能となる。
【0037】
〔入庫処理〕
次に、入庫時において、駐車場制御装置40によって実行される入庫処理の一例について図を参照して説明する。
図5は、駐車場制御装置40によって実行される入庫処理の手順の一例を示したフローチャートである。
【0038】
例えば、利用者によって空パレットを呼び出すための所定の入力操作(例えば、利用者認証に関する操作やパレット呼び出し操作等)が行われると、駐車場制御装置40は、パレット呼出処理を行う(SA1)。これにより、空パレットが乗降室7に到着すると、駐車場制御装置40は開扉処理を行う(SA2)。これにより、出入口扉4が完全に開くと、駐車場制御装置40は、乗降室7内の安全を確認する安全確認処理を行う(SA3)。例えば、駐車場制御装置40は、人検知センサ21等によって人が検知されていないか判定する。このとき、人検知センサ21等の各種センサに加えて、車内人検知センサ20を用いて車内の安全を確認してもよい。この場合、車両2が停車エリア16に停車されていない状態なので、車内人検知センサ20は、乗降室内における人検知を行うこととなる。
【0039】
安全確認処理において、人が検知された場合には(SA4:YES)、駐車場制御装置40は、庫内の安全が確認できないとして、操作盤30のタッチパネルやスピーカなどを用いて利用者に安全性が確保されていない旨の警告を行う(SA5)。このとき、駐車場制御装置40は、カメラ25によって取得された画像データが表示されているディスプレイに対して、人又は動物が検知された位置を重畳させて表示させてもよい。これにより、利用者に、人や動物が検知された場所を認識させることができ、安全確認をより効率的に行わせることが可能となる。
【0040】
利用者は、乗降室7内における安全を目視により確認し、安全であることを確認すると、操作盤30のタッチパネル等から安全確認を行った旨の入力を行う(SA6)。駐車場制御装置40は、安全確認の入力が利用者によって行われると、ステップSA3に戻り、安全確認処理を再度行う。これにより、庫内の安全が確認できるまで、ステップSA3~SA6が繰り返し行われる。
【0041】
一方、ステップSA4において、人が検知されず(SA4:NO)、庫内の安全が確認された場合には、入庫を促すガイダンスが行われることにより、車両2の入庫が行われる(SA7)。具体的には、利用者は、車両2を乗降室7内に進入させ、停車エリア16、換言すると、空パレットに車両2を停止させる。その後、利用者は、乗降室7から退出する。
【0042】
続いて、利用者によって所定の入力操作(利用者認証に関する操作や閉扉指示等)が行われると、駐車場制御装置40は、閉扉処理を行う(SA8)。これにより、出入口扉4が完全に閉じると、駐車場制御装置40は、乗降室7内の安全を確認する安全確認処理を行う(SA9)。例えば、車内人検知センサ20においては、マイクロ波が車両2の側方からサイドガラスに向けて放射線状に送信される。放射線状に送信されたマイクロ波は、車両本体の金属部以外の部分(例えば、サイドガラス)を透過し、直進する。車内に人や動物が存在していた場合、人や動物によってマイクロ波は反射され、その反射波が車内人検知センサ20の送受信部31によって受信される。受信された反射波は、検知部32により送信されたマイクロ波の位相と比較等される。これにより、車内及び車両周辺における人の検知が行われ、センサ検知結果が駐車場制御装置40に出力される。
【0043】
安全確認処理において、人が検知された場合には(SA10:YES)、駐車場制御装置40は、庫内の安全が確認できないとして、操作盤30のタッチパネルやスピーカなどを用いて利用者に安全性が確保されていない旨の警告を行うとともに(SA11)、開扉処理を行う(SA12)。これにより、出入口扉4が開けられることにより、庫内に閉じ込められていた人などを庫外に移動させることができる。
【0044】
利用者は、乗降室7内における安全を目視により確認し、安全であることを確認すると、操作盤30のタッチパネル等から安全確認を行った旨の入力を行う(SA13)。駐車場制御装置40は、安全確認の入力が利用者によって行われると、閉扉処理を行い(SA14)、ステップSA9に戻り、安全確認処理を再度行う。これにより、庫内の安全が確認できるまで、ステップSA9~SA14が繰り返し行われる。
【0045】
一方、ステップSA10において、人が検知されず(SA10:NO)、庫内の安全が確認された場合には、格納処理を行う(SA15)。これにより、車両2を載置したパレット18がリフト14によって搬送され、車両格納棚17に格納される。
【0046】
なお、上述した一連の入庫処理の手順や処理内容については一例であり、適宜処理の追加や省略が可能である。
例えば、車両2が停車エリア16に停止された後であって閉扉処理前(ステップSA7とSA8との間)に安全確認処理を行うこととしてもよい。これにより、閉扉を行う前に庫内の安全が確認されるので、人や動物の閉じ込めを未然に防ぐことができ、安全性をより高めることが可能となる。
【0047】
以上説明してきたように、本実施形態に係る機械式駐車装置1及びその安全確認方法によれば、以下の作用効果を奏する。
乗降室7の側方領域に設置され、停車エリア16に停止された車両2のサイドガラスに向けてマイクロ波を送信し、そのマイクロ波の反射波を受信する送受信部31と、反射波を用いて車両2の内部における人又は動物を検知する検知部32とを備える。
【0048】
サイドガラスは、フロントガラスに比べて傾斜が少ないため、マイクロ波の反射や減衰を低減することができる。また、フロントガラスから車内を監視しようとすると、運転席や助手席のシートが障害となるが、サイドガラスであれば、シートや車内部品等の障害となるものも少ないため、安定したセンシングを行うことができる。さらに、一般的な機械式駐車装置では、入庫車種も限定されており、サイドガラスの高さ位置も大きく変わらない。このため、車内人検知センサの取り付け位置を固定でき、車種に応じた位置調整を不要とすることができる。
【0049】
また、サイドガラスの上部高さの位置から車内に向けてマイクロ波を送信することで、車両2の側面金属ボディによる反射を少なくでき、車内全体の人検知を行うことが可能となる。さらに、サイドガラスを透過したマイクロ波は、車両2の反対側の人を検出することが可能である。これにより、車内だけでなく車両2の周辺の人検知も行うことが可能となる。また、マイクロ波を一方向から送信するだけでは車内における人検知の精度が十分でない場合には、乗降室7の両方の側方領域に車内人検知センサ20を設置し、両方向からマイクロ波を送信することとしてもよい。これにより、例えば、ドア裏面等の一つのセンサでは検出が困難なところについてもセンシングが可能となる。
【0050】
また、マイクロ波による人の検知は、呼吸や心拍数を検出することが可能である。これにより、寝ている人や子供など、大きな動作をしていない状態であっても検出することができる。
【0051】
〔第2実施形態〕
次に、本開示の第2実施形態に係る機械式駐車装置及びその安全確認方法について
図6~
図8を参照して説明する。以下、上述した第1実施形態と共通の構成については、同一の符号を付して説明を省略し、異なる構成について主に説明する。
【0052】
図6は、本実施形態に係る乗降室7aの概略平面図である。
図6に示されるように、本実施形態に係る機械式駐車装置は、乗降室7a内において、車内人検知センサ20と車両2を挟んで反対側に設けられた反射板15を備えている。反射板15は、金属(例えば、鉄、アルミニウム等)で形成されている。
【0053】
図7は、乗降室7aの前方領域から後方領域を見たときの概略図、
図8は、車内人検知センサ20が配置されている側方領域から反対側の側方領域を見たときの概略図である。
図7、
図8に示されるように、例えば、反射板15は、矩形平板状とされ、長さ方向が乗降室7aの前後方向と一致するように、乗降室7aの側方壁面19に沿って設けられている。反射板15は、側方壁面19に取り付けられていてもよいし、側方壁面19から多少の距離をあけた位置に、周知の支持部材等に支持されるようにして配置されていてもよい。
【0054】
図6、
図8に示されるように、反射板15の長さ方向の長さは、停車エリア16の前後方向(長さ方向)の長さよりも長くされていてもよい。また、
図6に示されるように、反射板15は、長さ方向の端部に、内側に向けて湾曲した曲面15aを備えていてもよい。また、
図7に示されるように、反射板15は、高さ方向の端部に、内側に向けて湾曲した曲面15bを備えていてもよい。曲面15a、15bはそれぞれ、反射板15の両端部に設けられる他、いずれか一方の端部にのみ設けられていてもよい。
【0055】
このような構成において、車内人検知センサ20は、車両2の側方からサイドガラスに向けて放射線状にマイクロ波を送信する。このとき、本実施形態においては、上述した第1実施形態に比べて、より広範囲における人検知を実現するため、放射エリアをより広く設定してもよい。車内人検知センサ20から送信されたマイクロ波は、その一部がサイドガラスを透過して直進するとともに、他の一部が車両周辺の空間(車両以外の部分)を直進する。人や動物が存在している場合には、マイクロ波は反射され、その反射波が車内人検知センサ20によって受信される。一方、人などがいない場合には、マイクロ波は反射板15によって反射される。このとき、反射板15の長さ方向の端部に曲面15aが、高さ方向の端部に曲面15bが設けられていることにより、反射波を車両周辺に集めることが可能となり、車両周辺の人検知を集中的に行うことが可能となる。
【0056】
以上説明してきたように、本実施形態に係る機械式駐車装置及びその安全確認方法によれば、車内人検知センサ20の送受信部31と車両2を挟んで反対側に設けられた反射板15を有するので、車内だけでなく車両周辺における人や動物の検知を行うことができる。これにより、反射板15を設けない第1実施形態に比べて、センシング範囲を拡張させることが可能となる。また、反射板15の大きさや配置及びマイクロ波の放射エリアを調整することにより、車内人検知センサ20による検知範囲を所望の範囲に拡張させることが可能となる。これにより、検知範囲が重複するセンサ(例えば、人検知センサ21等)やカメラ25を不要又はそれらの設置数を低減することが可能となる。
【0057】
なお、上述した第1又は第2実施形態においては、パレット18によって車両を搬送する機械式駐車装置を例示して説明したが、この例に限定されない。例えば、本開示の機械式駐車装置は、コンベアによって車両の受け渡しをする平面往復方式のバース式機械駐車装置や、自走式の車両搬送台車によって車両の搬送が行われるような機械式駐車装置等であってもよく、各種機械式駐車装置が備える乗降室(入庫バース)に上述した車内人検知センサ20や反射板15を備え、これらによって車内や庫内の安全を確認することとしてもよい。
【0058】
〔第3実施形態〕
次に、本開示の本実施形態に係る機械式駐車装置及びその安全確認方法並びに車両搬送台車について説明する。本実施形態に係る機械式駐車装置は、乗降室と駐車エリアとの間における車両2の搬送を自走式の車両搬送台車によって行うものである。
以下、上述した第1又は第2実施形態と共通の構成については、同一の符号を付して説明を省略し、異なる構成について主に説明する。
【0059】
図9は、本開示の第3実施形態に係る車両搬送台車60の概略平面図、
図10は、車両搬送台車60の概略側面図である。
図9、
図10に示されるように、車両搬送台車60は、車両を積載するための積載部61と、本体部62と、タイヤ63を備えている。本体部62には、車両搬送台車60全体の制御を行う台車制御装置64、バッテリ65等、走行に必要とされる各種機器が収容されている。
【0060】
また、車両搬送台車60は、車内人検知センサ20を有している。
図10に示すように、車内人検知センサ20は、例えば、積載部61の側面に取り付けられた長尺状の支持部材67によって支持される。支持部材67は、例えば、回転機構(図示略)によって、水平軸線回りに回転可能に取り付けられている。回転機構は、例えば、積載部61に対して支持部材67を水平軸線回りに回転可能に支持する回転軸と、回転軸を水平軸線回りに回転させる回転モータ等を備えている。回転機構は、台車制御装置64によって制御される。
【0061】
台車制御装置64は、車内人検知センサ20の使用状態に応じて積載部61の上面に対する支持部材67の傾斜角度を変更する。例えば、台車制御装置64は、車内人検知センサ20の使用期間において、積載部61上面と支持部材67とのなす角がほぼ90度になるように回転機構を制御する。また、台車制御装置64は、車内人検知センサ20が使用されていない期間において、積載部61の上面と支持部材67とがほぼ平行になるように回転機構を制御する。これにより、車内人検知センサ20の使用期間においては、車内人検知センサ20をセンシングに適した位置に配置することができる。また、車内人検知センサ20が使用されていない期間においては、支持部材67及び車内人検知センサ20を走行等の邪魔にならない状態とすることができる。これにより、安定した走行を実現することができる。また、車内人検知センサ20の損傷等を防止することが可能となる。
【0062】
図11は、本実施形態に係る機械式駐車装置の乗降室7bの概略平面図である。
図11に示すように、乗降室7bの略中央には、車両2を停止させる停車エリア16が設けられている。本実施形態において、この停車エリア16は、例えば、車両搬送台車60の積載部61とほぼ同一範囲に設定されている。なお、この例に限定されず、例えば、停車エリア16は、積載部61の大きさに多少の余裕を持たせた範囲に設定されていてもよい。
【0063】
乗降室7bは、車両2が出入りするための入出庫口3を有し、入出庫口3には出入口扉4が設けられている。また、乗降室7bは、入庫を終えた利用者が待機スペース35へ移動するための入退室扉36、及び車両2を乗降室7bから駐車エリア37へ移動させるための区画扉38が設けられている。
【0064】
待機スペース35には、操作盤30が設けられている。操作盤30は、入退室扉36の近傍に設けられ、乗降室7b内が視認可能な場所に設けられていることが好ましい。
また、乗降室7bには、人検知センサ21、停止位置検知センサ22、入退室検知センサ23、及びカメラ25等が必要に応じて設けられていてもよい。ここで、入退室検知センサ23は、例えば、乗降室7と待機スペース35との間を移動したことを検知可能な位置、車両2が入出庫口3を通過したか否かを検知可能な位置、車両搬送台車60が乗降室7bと駐車エリア37との間を移動したか否かを検知可能な位置にそれぞれ設けられていてもよい。
【0065】
〔入庫処理〕
次に、入庫時において、駐車場制御装置によって実行される入庫処理の一例について
図12及び
図13を参照して説明する。
図12及び
図13は、駐車場制御装置によって実行される入庫処理の手順の一例を示したフローチャートである。
【0066】
例えば、利用者によって入庫を開始するための所定の入力操作(例えば、入庫予約操作、利用者認証に関する操作等)が行われると、駐車場制御装置は、出入口扉4を開く開扉処理を行う(SB1)。これにより、出入口扉4が完全に開くと、駐車場制御装置は、乗降室7内の安全を確認する安全確認処理を行う(SB2)。例えば、駐車場制御装置は、人検知センサ21等からのセンサ信号やカメラ25によって取得されている画像データ等に基づいて、乗降室7b内に人がいるか否かを判定する。
【0067】
安全確認処理において、人が検知された場合には(SB3:YES)、駐車場制御装置40は、庫内の安全が確認できないとして、入庫処理を中止し、スピーカ等を用いて安全性が確保されていない旨の警告を行う(SB4)。一方、ステップSB3において、人が検知されず(SB3:NO)、庫内の安全が確認された場合には、入庫を促すガイダンスが行われることにより、利用者による車両2の入庫が行われる(SB5)。具体的には、利用者は車両2を乗降室7b内に進入させ、停車エリア16に車両2を停止させる。その後、利用者は、入退室扉36を通じて乗降室7から待機スペース35へ移動する。
【0068】
続いて、利用者又は管理人によって所定の入力操作(利用者認証に関する操作や閉扉指示等)が行われると、駐車場制御装置は、入退室扉36をロックして人が乗降室7b内に進入できないようにするとともに、出入口扉4を閉じる閉扉処理を行う(SB6)。これにより、出入口扉4が完全に閉じると、駐車場制御装置は、区画扉38の開扉処理を行う(SB7)。これにより、車両搬送台車60が駐車エリア37から乗降室7b内に進入し(SB8)、積載部61を乗降室7b内に停車されている車両の下方に進入させ、車両2を移動可能な状態(積載)とする。
図14は、車両搬送台車60の積載部61に車両2が積載された状態を示した乗降室7bの概略平面図、
図15は、車両搬送台車60の積載部61に車両2が積載された状態を乗降室7bの側方領域から見たときの図である。なお、
図15において、支持部材67及び車内人検知センサ20は図示を省略している。
【0069】
台車制御装置64は、車両2の積載処理が完了すると、駐車場制御装置に対して車両の積載処理が完了した旨の信号を出力する。駐車場制御装置は、積載処理の完了信号を受信すると、安全確認処理を行う(
図13のSB9)。例えば、駐車場制御装置は、台車制御装置64に対して安全確認開始信号を出力するとともに、人検知センサ21等を作動させ、人検知センサ21やカメラ25によって取得された画像データに基づく人検知を行う。
【0070】
台車制御装置64は、安全確認開始信号を受信すると、車両2を積載部61に積載した状態で回転機構を駆動させる。これにより、車内人検知センサ20は、使用状態に適した位置まで回転移動される(
図10、
図16参照)。
図16は、車内人検知センサ20の使用状態を乗降室7bの前方領域から見たときの図である。
【0071】
続いて、台車制御装置64は、車内人検知センサ20に対して作動を開始させるための作動信号を出力する。これにより、車内人検知センサ20による人検知が行われる。ここでの人検知は、上述した第2実施形態と同様であるため詳細な説明を省略する。車内人検知センサ20による検知結果は、台車制御装置64を介して駐車場制御装置に送信される。なお、車内人検知センサ20から直接的に駐車場制御装置にセンサ信号が送信される構成とされていてもよい。
【0072】
駐車場制御装置は、庫内に人が検知された場合には(SB10:YES)、庫内の安全が確認できないとして、入庫処理を中止し、スピーカ等を用いて安全性が確保されていない旨の警告を行う(SB11)。また、駐車場制御装置は、入退室扉36のロックを解除して、人や動物が乗降室7bから退出できる状態にする。
【0073】
一方、ステップSB11において、人が検知されず(SB11:NO)、庫内の安全が確認された場合には、駐車場制御装置は、台車制御装置64に対して格納指示信号を出力する。これにより、車両2を積載した車両搬送台車60は、乗降室7bから区画扉38を通じて駐車エリア37に移動し、所定の格納エリアに車両2を格納する(SB12)。駐車場制御装置は、車両搬送台車60が乗降室7bから退出したことを検知すると、区画扉38を閉じる閉扉処理を行い(SB13)、入庫処理を終了する。
【0074】
なお、上述した一連の入庫処理の手順や処理内容については一例であり、適宜処理の追加、省略、変更が可能である。
例えば、出入口扉4を空ける前に(ステップSB1の前)に、安全確認処理を行うこととしてもよい。これにより、閉扉を行う前に庫内の安全が確認されるので、人や動物の閉じ込めを未然に防ぐことができ、安全性をより高めることが可能となる。
【0075】
以上説明してきたように、本実施形態に係る機械式駐車装置及びその安全確認方法並びに車両搬送台車によれば、以下の作用効果を奏する。
乗降室7b内に設けられた所定の停車エリア16に停止された車両2を積載し、車両2を乗降室7bから乗降室7b外部の駐車エリア37へ移動させる自走式の車両搬送台車60を備える。車両搬送台車60は、車両2を積載するための積載部61と、積載部61に積載された車両2の内部における人又は動物を検知するための車内人検知センサ20とを備える。
【0076】
このように、車両搬送台車60が車内人検知センサ20を備えることにより、乗降室7bに車内人検知センサ20を設置する必要がなくなる。また、車両搬送台車60は、自走可能であることから、例えば、乗降室7b内だけでなく、駐車エリア37においても、格納されている車両2の車内の人や動物の検知を行うことが可能となる。例えば、車両2の搬送中や格納場所到着時に車内のセンシングを行うこととしてもよい。また、車両搬送台車60に駐車エリア37を巡回させ、車内人検知センサ20を用いて、定期的に駐車車両の監視を行わせることとしてもよい。これにより、残留者だけでなく、駐車エリア37における侵入者や車上荒らしについても監視することが可能となる。
【0077】
また、車両搬送台車60は、積載している車両2の内部に人や動物を検知した場合に、警告を報知するための報知手段を備えていてもよい。報知手段の一例として、例えば、警告灯等のように視覚により報知する手段、スピーカ等のように音によって報知する手段、またはこれらの組み合わせが挙げられる。また、当該機械式駐車装置の上位制御装置である駐車場管理装置に対して、警告を送信し、作業員などへの対応を促すこととしてもよい。
【0078】
なお、上記第3実施形態では、車両2の側方からマイクロ波を送信する構成としたが、この例に限られない。例えば、車内人検知センサ20を本体部62の上部に設置し、車両2の前方からフロントガラスに向けてマイクロ波を送信する構成としてもよい。また、例えば、車内人検知センサ20は、積載部61の後方からリアガラスに向けてマイクロ波を送信する構成とされていてもよい。この場合、車内人検知センサ20は、例えば、上述した支持部材67と同様の構造体によって支持されてもよい。
【0079】
また、上記第3実施形態では、車両2が停車エリア16に停止された後に、車両搬送台車60が乗降室7b内に進入することとしたが、これに限定されない。例えば、出入口扉4が開けられる前に、車両搬送台車60が停車エリア16に待機しており、出入口扉4が開けられたときに、利用者が車両搬送台車60の積載部61上に車両2を停止させることとしてもよい。
また、上記第3実施形態において説明した車両搬送台車60の構成は一例であり、これに限られない。すなわち、車両搬送台車60は、車両2を乗降室7と駐車エリア37との間で移動可能な構造とされていればよく、また、車両2の車内における人や動物を検知するための車内人検知センサ20を備えていればよい。
【0080】
また、上記第3実施形態では、車内人検知センサ20の使用状態に応じて、支持部材67の積載部61上面に対する傾斜角度を変更する構成とされていたが、この例に限定されない。例えば、車内人検知センサ20は、車両搬送台車60内に収納可能な構成とされていてもよい。
【0081】
以上、本開示について各実施形態を用いて説明したが、本開示の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。開示の要旨を逸脱しない範囲で上記実施形態に多様な変更又は改良を加えることができ、該変更又は改良を加えた形態も本開示の技術的範囲に含まれる。
また、上記実施形態で説明した各種処理の流れも一例であり、本開示の主旨を逸脱しない範囲内において不要なステップを削除したり、新たなステップを追加したり、処理順序を入れ替えたりすることが可能である。
【0082】
以上説明した各実施形態に記載の機械式駐車装置及びその安全確認方法並びに車両搬送台車は、例えば、以下のように把握される。
【0083】
本開示に係る機械式駐車装置(1)は、乗降室(7)を有する機械式駐車装置であって、乗降室の側方領域に設置され、乗降室内に設定された所定の停車エリア(16)に停止された車両(2)のサイドガラスに向けてマイクロ波を送信するとともに、該マイクロ波の反射波を受信する送受信部(31)と、反射波を用いて車両の内部における人又は動物を検知する検知部(32)とを備える。
【0084】
上記機械式駐車装置によれば、車両の側方からサイドガラスに向けてマイクロ波を送信するので、マイクロ波の反射や減衰を低減することができる。また、車両の側方からサイドガラスに向けてマイクロ波を送信することにより、シートや車内部品等の障害による影響を低減でき、安定した車内監視を行うことができる。
【0085】
上記機械式駐車装置は、送受信部と車両を挟んで反対側に設けられた反射板(15)を有することとしてもよい。
【0086】
上記機械式駐車装置によれば、車内だけでなく車両周辺における人検知を行うことができる。これにより、反射板を備えていない場合と比べて、センシング範囲を拡張させることが可能となる。
【0087】
上記機械式駐車装置において、反射板は、矩形平板状とされ、長さ方向が乗降室の前後方向と一致するように乗降室の側方壁面に沿って設けられていてもよい。また、上記機械式駐車装置において、反射板の長さ方向の長さが、停車エリアの前後方向の長さよりも長くされていてもよい。
【0088】
上記機械式駐車装置によれば、反射板の長さ方向の長さが停車エリアの前後方向の長さよりも長くされているので、より広範囲の人検知を行うことが可能となり、車両の周辺における人検知をより確実に行うことが可能となる。
【0089】
上記機械式駐車装置において、反射板は、長さ方向の端部に、内側に向けて湾曲した曲面(15a)を備えていてもよい。
上記機械式駐車装置において、反射板は、高さ方向の端部に、内側に向けて湾曲した曲面(15b)を備えていてもよい。
【0090】
上記機械式駐車装置によれば、反射板によって反射されたマイクロ波の反射波を車両周辺に集めることが可能となる。これにより、車両の周辺における人検知をより確実に行うことが可能となる。
【0091】
本開示に係る車両搬送台車(60)は、乗降室(7b)内に設けられた所定の停車エリア(16)に停止された車両(2)を積載し、車両を乗降室から乗降室外の駐車エリア(37)へ移動させる自走式の車両搬送台車であって、車両を積載するための積載部(61)と、積載部に積載された車両の内部における人又は動物を検知するための車内人検知センサ(20)とを備える。
【0092】
上記車両搬送台車によれば、車両の内部における人又は動物を検知するための車内人検知センサを備えるので、乗降室の構成を簡素化することができる。また、車両搬送台車は、自走可能であることから、例えば、乗降室内だけでなく、駐車エリアにおいても、格納されている車両の内部における人や動物の検知を行うことが可能となる。これにより、利便性を向上させることが可能となる。
【0093】
上記車両搬送台車において、車内人検知センサは、積載部に車両が積載された状態で、車両の内部に向けてマイクロ波を送信し、該マイクロ波の反射波を受信する送受信部(31)と、反射波を用いて、車両の内部における人又は動物を検知する検知部(32)とを備える。
【0094】
上記車両搬送台車によれば、簡易な構成により車内における人検知を行うことが可能となる。
【0095】
上記車両搬送台車において、送受信部は、車両の側方からサイドガラスに向けてマイクロ波を送信することとしてもよい。
【0096】
上記車両搬送台車によれば、マイクロ波の反射や減衰を低減することができる。また、車内のシートや車内部品等の障害による影響を低減でき、安定した車内監視を行うことができる。
【0097】
上記車両搬送台車において、車内人検知センサは、積載部の側面に水平軸線回りに回転可能に取り付けられた長尺状の支持部材(67)に支持され、支持部材は、車内人検知センサの使用状態に応じて、積載部の上面に対する傾斜角度が変更されてもよい。
【0098】
上記車両搬送台車によれば、車内人検知センサの使用状態に応じて、積載部に対する車内人検知センサの配置を変えることが可能となる。これにより、例えば、使用時においては車内検知に適切な位置に車内人検知センサを配置し、また、センサを使用しないときには、車内人検知センサを走行等の邪魔にならない位置に移動させることが可能となる。
【0099】
本開示の機械式駐車装置の安全確認方法は、乗降室を有する機械式駐車装置の安全確認方法であって、乗降室内に設定された所定の停車エリアに停止された車両のサイドガラスに向けてマイクロ波を送信するとともに、該マイクロ波の反射波を受信し、受信した前記反射波を用いて前記車両の内部における人又は動物を検知する。
【0100】
本開示の機械式駐車装置の安全確認方法は、乗降室内に設けられた所定の停車エリアに停止された車両を自走式の車両搬送台車によって駐車エリアへ移動させる機械式駐車装置に適用される安全確認方法であって、車両搬送台車に車内人検知センサを搭載し、乗降室内において、車両搬送台車が車両を積載した状態で、車内人検知センサによって、車両の内部における人又は動物を検知する。
【符号の説明】
【0101】
1 :機械式駐車装置
2 :車両
3 :入出庫口
4 :出入口扉
7 :乗降室
7a :乗降室
7b :乗降室
15 :反射板
15a :曲面
15b :曲面
16 :停車エリア
17 :車両格納棚
18 :パレット
20 :車内人検知センサ
21 :人検知センサ
22 :停止位置検知センサ
23 :入退室検知センサ
25 :カメラ
30 :操作盤
31 :送受信部
32 :検知部
37 :駐車エリア
38 :区画扉
40 :駐車場制御装置
50 :主制御部
56 :センサ制御部
60 :車両搬送台車
61 :積載部
62 :本体部
63 :タイヤ
64 :台車制御装置
65 :バッテリ
67 :支持部材