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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023060585
(43)【公開日】2023-04-28
(54)【発明の名称】液晶素子、照明装置
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/1343 20060101AFI20230421BHJP
   G02F 1/13 20060101ALI20230421BHJP
【FI】
G02F1/1343
G02F1/13
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021170261
(22)【出願日】2021-10-18
(71)【出願人】
【識別番号】000002303
【氏名又は名称】スタンレー電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001184
【氏名又は名称】弁理士法人むつきパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】戸塚 浩
(72)【発明者】
【氏名】岩本 宜久
【テーマコード(参考)】
2H088
2H092
【Fターム(参考)】
2H088EA33
2H088HA02
2H088HA04
2H088HA06
2H088HA18
2H088JA10
2H088KA27
2H088LA07
2H092GA03
2H092GA13
2H092GA17
2H092GA21
2H092GA29
2H092GA40
2H092HA18
2H092PA11
2H092PA13
2H092QA09
2H092RA10
(57)【要約】      (修正有)
【課題】各画素電極の相互間領域において光の透過/非透過を切り替え可能な部分を設けるための技術を提供すること。
【解決手段】平面視のサイズが異なる少なくとも2つのセグメント領域を含む複数のセグメント領域を備える液晶素子であって、各画素電極と共通電極が平面視で重なる領域の各々において各セグメント領域が構成されており、各配線部は、第1絶縁層に設けられたスルーホールを介して各画素電極の何れかと接続されており、各補助電極は、各画素電極のうちの2つであって平面視で隣り合う部分を有する2つの画素電極の相互間の隙間と重なるように配置され、かつ、第1絶縁層に設けられたスルーホールを介して当該隣り合う部分を有する2つの画素電極の何れかと接続されている、液晶素子である。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面視のサイズが異なる少なくとも2つのセグメント領域を含む複数のセグメント領域を備える液晶素子であって、
互いの一面側を対向させて配置された第1基板及び第2基板と、
前記第1基板の一面側に配置されており、外部との接続を図るための端子部を有する複数の配線部と、
前記第1基板の一面側に配置されており、各前記配線部とは分離して構成された複数の補助電極と、
前記第1基板の一面側において各前記配線部及び各前記補助電極を覆って配置された第1絶縁層と、
前記第1絶縁層の前記第2基板と対向する側の面に配置されており、各々が前記セグメント領域の何れかと略同一の平面視形状である複数の画素電極と、
前記第2基板の一面側に配置されており、各前記画素電極と対向する少なくとも1つの共通電極と、
前記第1基板と前記第2基板の間に配置された液晶層と、
を含み、
各前記画素電極と前記共通電極が平面視で重なる領域の各々において各前記セグメント領域が構成されており、
各前記配線部は、前記第1絶縁層に設けられたスルーホールを介して各前記画素電極の何れかと接続されており、
各前記補助電極は、各前記画素電極のうちの2つであって平面視で隣り合う部分を有する2つの前記画素電極の相互間の隙間と重なるように配置され、かつ、前記第1絶縁層に設けられたスルーホールを介して当該隣り合う部分を有する2つの前記画素電極の何れかと接続されている、
液晶素子。
【請求項2】
各前記補助電極のうちの2つ以上の補助電極が各前記画素電極のうちの1つを共有して接続されている、
請求項1に記載の液晶素子。
【請求項3】
各前記補助電極のうちの少なくとも一部は、各前記配線部のうちの平面視で隣り合う部分を有する2つの前記配線部の相互間に配置されている、
請求項1又は2に記載の液晶素子。
【請求項4】
各前記配線部は、各前記画素電極の相互間の隙間と重なるように配置される部位であって他の部位よりも相対的に幅の狭い第1部位を有しており、
各前記補助電極は、各前記配線部のうち何れかの前記第1部位と平面視で隣り合うように配置されている、
請求項1~3の何れか1項に記載の液晶素子。
【請求項5】
各前記配線部は、前記第1部位と繋がっており当該第1部位よりも相対的に幅の広い第2部位を有しており、
各前記補助電極は、各前記配線部の前記第1部位と前記第2部位により確定される平面視で凹状の領域に対応付けて配置される、
請求項4に記載の液晶素子。
【請求項6】
各前記画素電極を個別に覆うように配置された複数の第2絶縁層を更に含む、
請求項1~5の何れか1項に記載の液晶素子。
【請求項7】
請求項1~6の何れか1項に記載の液晶素子と、
前記液晶素子へ入射させる光を放出する光源と、
前記液晶素子を挟んで対向配置される一対の偏光素子と、
前記液晶素子を透過した光を投影するレンズと、
を含む、照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、液晶素子及び照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2019-120730号公報(特許文献1)には、第1基板の一面側に対向電極が設けられ、第2基板の一面側に複数の画素間電極及び複数の配線部と複数の画素電極とが絶縁層を介して設けられ、それら基板間に液晶層が設けられた液晶素子が記載されている。この液晶素子は、平面視において、各画素電極の相互間に画素間電極あるいはこの画素間電極と接続された配線部の一部分が配置されており、これらを用いることで各画素電極の相互間領域でも光の透過/非透過を切り替えられるように構成されている。それにより、各画素電極の相互間領域が輝点や暗点などとなって目立つことが防止される。しかしながら、各画素電極の平面視の形状やサイズあるいはレイアウトによっては、各画素電極の相互間領域における光の透過/非透過を切り替え可能に構成できない場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-120730号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示に係る具体的態様は、液晶素子の各画素電極の相互間領域において光の透過/非透過を切り替え可能な部分を設けるための技術を提供することを目的の1つとする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
[1]本開示に係る一態様の液晶素子は、平面視のサイズが異なる少なくとも2つのセグメント領域を含む複数のセグメント領域を備える液晶素子であって、(a)互いの一面側を対向させて配置された第1基板及び第2基板と、(b)前記第1基板の一面側に配置されており、外部との接続を図るための端子部を有する複数の配線部と、(c)前記第1基板の一面側に配置されており、各前記配線部とは分離して構成された複数の補助電極と、(d)前記第1基板の一面側において各前記配線部及び各前記補助電極を覆って配置された第1絶縁層と、(e)前記第1絶縁層の前記第2基板と対向する側の面に配置されており、各々が前記セグメント領域の何れかと略同一の平面視形状である複数の画素電極と、(f)前記第2基板の一面側に配置されており、各前記画素電極と対向する少なくとも1つの共通電極と、(g)前記第1基板と前記第2基板の間に配置された液晶層と、を含み、(h)各前記画素電極と前記共通電極が平面視で重なる領域の各々において各前記セグメント領域が構成されており、(i)各前記配線部は、前記第1絶縁層に設けられたスルーホールを介して各前記画素電極の何れかと接続されており、(j)各前記補助電極は、各前記画素電極のうちの2つであって平面視で隣り合う部分を有する2つの前記画素電極の相互間の隙間と重なるように配置され、かつ、前記第1絶縁層に設けられたスルーホールを介して当該隣り合う部分を有する2つの前記画素電極の何れかと接続されている、液晶素子である。
[2]本開示に係る一態様の照明装置は、前記[1]の液晶素子と、前記液晶素子へ入射させる光を放出する光源と、前記液晶素子を挟んで対向配置される一対の偏光素子と、前記液晶素子を透過した光を投影するレンズと、を含む、照明装置である。
【0006】
上記構成によれば、液晶素子の各画素電極の相互間領域において光の透過/非透過を切り替え可能な部分を設けるための技術が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、第1実施形態の液晶素子の画素形状を示す平面図である。
図2図2(A)及び図2(B)は、液晶素子の構成を示す模式的な断面図である。
図3図3(A)は、液晶素子の画素電極、配線部及びダミー電極の構成を示す模式的な平面図であり、図3(B)は、配線部及びダミー電極の構成を示す模式的な平面図である。
図4図4は、比較例の電極構成を示す図である。
図5図5は、第2実施形態の液晶素子の画素形状を示す平面図である。
図6図6(A)及び図6(B)は、液晶素子の第1基板の構成を示す模式的な断面図である。
図7図7(A)は、液晶素子の画素電極、配線部及びダミー電極の構成を示す模式的な平面図であり、図7(B)は、配線部及びダミー電極の構成を示す模式的な平面図である。
図8図8(A)は、比較例の液晶素子の電極構造を示す模式的な平面図であり、図8(B)は、比較例の液晶素子の電極構造を示す模式的な断面図である。
図9図9は、第3実施形態の液晶素子の画素形状を示す平面図である。
図10図10は、図9に示した領域Rに対応する電極構造を示す平面図である。
図11図11は、各画素電極を個別に覆うようにして絶縁層(第2絶縁層)を設けた変形実施例の液晶素子の構成例を示す図である。
図12図12は、照明装置の一例である車両用灯具の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態の液晶素子の画素形状を示す平面図である。図示の液晶素子100は、有効表示領域1内に配置された略正方形状の複数(図示の例では6個)の画素2a及び略長方形状の複数(図示の例では3個)の画素2bを備える。これらの画素2a、2bは、それぞれ独立に光の透過/非透過を切り替え可能なセグメント領域(光変調領域)である。各画素2aは、図中のX方向(左右方向)に沿って配列されている。各画素2bは、それぞれ図中のX方向に長手方向を有しており、図中のY方向(上下方向)に沿って互いに隣り合って配列されている。また、1つの画素2bは、各画素2aからなる列とY方向において隣接している。各画素2aと各画素2bは、互いに平面視のサイズ(大きさ/面積)が異なっている。
【0009】
図2(A)及び図2(B)は、液晶素子の構成を示す模式的な断面図である。また、図3(A)は、液晶素子の画素電極、配線部及びダミー電極の構成を示す模式的な平面図であり、図3(B)は、配線部及びダミー電極の構成を示す模式的な平面図である。なお、図2(A)に示す断面図は図3(A)におけるa-a線断面に対応し、図2(B)に示す断面図は図3(A)におけるb-b線断面に対応している。なお、図示を省略するが液晶素子100を挟んで対向するようにして一対の偏光素子(偏光板や偏光ビームスプリッタ等)が配置される。さらに、これら偏光素子と液晶素子との間に適宜光学補償板が配置されていてもよい。
【0010】
各図に示すように、液晶素子100は、第1基板11、第2基板12、配線部(配線電極)13、共通電極(対向電極)14、絶縁層(第1絶縁層)15、画素電極16、第1配向膜17、第2配向膜18、液晶層19、ダミー電極(補助電極)20を含んで構成されている。この液晶素子100においては、各画素電極16と共通電極14とが液晶層19を挟んで対向する各領域(一部領域)において上記した各画素2a、2bが構成されている。
【0011】
図2(A)及び図2(B)に示すように、第1基板11及び第2基板12は、それぞれ、例えば平面視において矩形状の基板であり、それぞれの液晶層19に近い側(以下、「一面側」という。)を対向させて配置されている。各基板としては、例えばガラス基板、プラスチック基板等の透光性基板を用いることができる。第1基板11と第2基板12の間には、例えば樹脂膜などからなる球状スペーサー(図示省略)が分散配置されており、それら球状スペーサーによって基板間隙が所望の大きさ(例えば数μm程度)に保たれている。なお、球状スペーサーに代えて、樹脂等からなる柱状体を第1基板11側若しくは第2基板12側に設け、それらをスペーサーとして用いてもよい。
【0012】
各配線部13は、第1基板11の一面側に設けられている。また、各ダミー電極20は、第1基板11の一面側に設けられている。本実施形態における「ダミー電極」とは、各配線部13とは物理的に分離・独立して形成されているアイランド状(浮島状)の電極をいう(後述の図3(B)参照)。各配線部13及び各ダミー電極20は、例えばインジウム錫酸化物(ITO)などの透明導電膜を適宜パターニングすることによって構成されている。
【0013】
共通電極14は、第2基板12の一面側に設けられている。この共通電極14は、各画素電極16と対向するようにして一体に設けられている。共通電極14は、例えばインジウム錫酸化物(ITO)などの透明導電膜を適宜パターニングすることによって構成されている。なお、共通電極14は、複数に分割されていてもよい(例えば、デューティ駆動を行う場合等)。
【0014】
絶縁層15は、第1基板11の一面側において各配線部13及び各ダミー電極20を覆うようにして設けられている。この絶縁層15は、各配線部13及び各ダミー電極20と各画素電極16との間を絶縁するためのもの(層間絶縁膜)である。絶縁層15は、良好な絶縁性と光透過性を有するものであればよく、例えばアクリル系絶縁材料やシロキサン系感光性樹脂材料などからなる絶縁膜、シリコン酸化膜やシリコン窒化膜などの無機酸化膜など種々の絶縁膜を用いて構成することができる。
【0015】
各画素電極16は、第1基板11の一面側において絶縁層15の液晶層19に近い面(第2基板12の一面と対向する側の面)に設けられている。各画素電極16は、例えばインジウム錫酸化物(ITO)などの透明導電膜を適宜パターニングすることによって構成されている。各画素電極16は、絶縁層15に設けられた各スルーホール21を介して配線部13やダミー電極20と電気的/物理的に接続されている。
【0016】
第1配向膜17は、第1基板11の一面側において各画素電極16を覆うようにしてそれらの上側に配置されている。第2配向膜18は、第2基板12の一面側において共通電極14を覆うようにしてその上側に配置されている。これらの第1配向膜17、第2配向膜18は、液晶層19の初期状態(電圧無印加時)の配向状態を規定するためのものである。各配向膜17、18は、例えばラビング処理等の一軸配向処理が施されており、その方向に沿って液晶層19の液晶分子の配向を規定する一軸配向規制力を有している。一軸配向規制力の発現する方向を配向容易軸と呼ぶ。各配向膜17、18への配向処理の方向は、例えば互い違い(アンチパラレル)となるように設定される。各配向膜17、18としては、液晶層19の動作モードに応じて、水平配向膜又は垂直配向膜が適宜用いられる。例えば本実施形態では、各配向膜17、18として、各々と液晶層19との界面近傍における液晶分子のプレチルト角を90°に近い垂直方向(例えば80°~89.9°)に規制する垂直配向膜が用いられる。
【0017】
液晶層19は、第1基板11と第2基板12の間に設けられている。液晶層19は、例えば、流動性を有するネマティック液晶材料を用いて構成される。本実施形態では、液晶層19は、負の誘電率異方性を有する液晶材料を用いて構成される。液晶層19の層厚は、例えば4μm程度とすることができる。なお、液晶層19の動作モードによっては液晶材料として正の誘電率異方性を有するものが用いられてもよい。
【0018】
次に、図3(A)及び図3(B)を参照しながら各配線部13、各画素電極16、各ダミー電極20の構造について詳細に説明する。なお、以下では各配線部13を区別するために配線部13a、13b・・・13hと表し、各画素電極16を区別するために画素電極16a、16b、・・・16jと表す。他方で、用途ないし機能が共通する部位であって特に区別の必要がない部位(例えば、ダミー電極20、スルーホール21)については同一符号を用いて表す。
【0019】
図3(A)に示す各画素電極16a、16b、16c、16d、16e、16fは、上記した各画素2aに対応するものであり、それぞれ電気的/物理的に分離しており、図示のX方向に沿って並んで配置されている。各画素電極16g、16h、16jは、上記した各画素2bに対応するものであり、それぞれ電気的/物理的に分離しており、図示のX方向に長手方向を有するように配置されている。本実施形態では、各画素電極16a~16fの平面視形状は各画素2aと略同一であり、各画素電極16g~16iの平面視形状は各画素2bと略同一である。これら画素電極16a等と共通電極14(図2(A)参照)との重なる領域の各々において各画素2a、2b(セグメント領域)が構成されている。各画素電極16a等と共通電極14の間に電圧が与えられることで、液晶層19の各画素2a、各画素2bに対応する領域において液晶分子の配向変化を生じさせて光の透過率を可変に設定することができる。
【0020】
配線部13aは、図示のY方向に延在しており、画素電極16a、画素電極16g、16h、16jのそれぞれと平面視において重なるように配置されている。この配線部13aは、画素電極16jよりも図中で下側の一端領域が外部取り出し電極端子(端子部)として用いられる。この配線部13aは、1つのスルーホール21を介して画素電極16aと電気的/物理的に接続されている。それにより、外部取り出し電極端子と接続された外部装置(図示せず)から入力される電圧が配線部13aを通して画素電極16aへ印加される。図3(A)に示す平面視において、相対的に大きさの小さい各画素電極16a、16b、16c、16d、16e、16fと外部取り出し電極端子との間には、相対的に大きさの大きい各画素電極16g、16h、16jが配置されている。つまり、配線部13aは、外部取り出し電極端子側から、相対的に大きさの大きい画素電極16j、画素電極16g、画素電極16h、画素電極16aの下を順に通って、画素電極16aの下まで配置されている。
【0021】
また、配線部13aは、平面視において画素電極16aの左側に張り出す部位131を有している。さらに、配線部13aは、X方向の長さ(幅)が相対的に大きくなっている部位132を有している。この部位132は、画素電極16aと画素電極16hとの隙間に重なるように配置されており、画素電極16aの略同一のX方向長さ(幅)を有している。これらの部位131、132は、画素電極16aと略同電位になるので、画素電極16aへの電圧印加時に画素電極16aの図中下側領域と左側領域でも液晶層19に電圧を印加することができるようになる。それにより、画素電極16aに対応する領域と連動してこれら下側領域と左側領域でも光の透過/非透過を切り替えることができる。
【0022】
また、配線部13aは、X方向の長さ(幅)が相対的に小さくなっている部位(第1部位)133、134を有している。部位133は、画素電極16gと画素電極16hの相互間の隙間と重なるように配置されており、部位134は、画素電極16hと画素電極16jの相互間の隙間と重なるように配置されている。これらの部位133、134とそれらに繋がる相対的に幅の広い部位(第2部位)により、平面視において凹状となる領域が確定される。そして、この凹状の領域のそれぞれに対応付けて各ダミー電極20が配置されている。別言すれば、各ダミー電極20は、各部位133、134の何れかと平面視で隣り合うように配置されている。また、各ダミー電極20は、各配線部13a~13hのうち平面視で隣り合う部分を有する2つの配線部の相互間に配置されている(配線部13hの図中右側に配置されるダミー電極20を除く)。例えば、配線部13aと配線部13bを見ると、少なくとも各々の部位133、134の部分で隣り合っており、それらの相互間に1つのダミー電極20が配置されている。
【0023】
また、これらの部位133、134は、画素電極16aと略同電位であるので、画素電極16aへの電圧印加時にこれらの部位133、134に対応する領域でも液晶層19に電圧を印加されるが、幅を相対的に狭くしているので光の透過による輝点などとして目立つことはない。なお、これらの部位133、134における光漏れ等をより確実に防ぐには、これら部位133等に対応して遮光膜を設け、あるいは樹脂等からなる柱状体を設けてもよい。
【0024】
他の配線部13b、13c、13d、13e、13fについても、平面視形状において多少の違いはあるが、上記した配線部13aにおける各部位131、132、133、134と同等の用途/機能を有する各部位131、132、133、134を備えている。そして、各配線部13b~13fにおいても、幅の小さい部位133、134に対応付けてそれぞれダミー電極20が配置されている。また、配線部13b、13c、13d、13eは、部位131の右側部位が略三角形状に構成されている。
【0025】
また、各配線部13b~13fは、それぞれ、画素電極16b~16fと平面視において重なるように配置されているとともに、画素電極16g、16h、16jのそれぞれと平面視において重なるように配置されている。各配線部13b~13fは、画素電極16jよりも図中で下側の一端領域が外部取り出し電極端子として用いられる。各配線部13b~13fは、それぞれ、1つのスルーホール21を介して画素電極16b~16fと電気的/物理的に接続されている。それにより、外部取り出し電極端子から入力される電圧が各配線部13b等を通して画素電極16b等のそれぞれに個別に印加される。
【0026】
配線部13gは、Y方向に延在しており、画素電極16g、16jと重なるように配置されている。また、配線部13gは、1つのスルーホール21を介して画素電極16gと電気的/物理的に接続されている。それにより、外部取り出し電極端子から入力される電圧が配線部13gを通して画素電極16gに印加される。また、配線部13gは、画素電極16gと画素電極16jとの隙間に重なるように配置される部位135を有している。この部位135は、配線部13gの全体と略同一のX方向長さ(幅)を有している。この部位135は、画素電極16gと略同電位になるので、画素電極16gへの電圧印加時に画素電極16gの図中下側領域でも液晶層19に電圧を印加することができるようになる。それにより、画素電極16gに対応する領域と連動してこの下側領域でも光の透過/非透過を切り替えることができる。
【0027】
配線部13hは、Y方向に延在しており、各画素電極16g、16h、16jと重なるように配置されている。また、配線部13hは、1つのスルーホール21を介して画素電極16hと電気的/物理的に接続されている。それにより、外部取り出し電極端子から入力される電圧が配線部13hを通して画素電極16hに印加される。また、配線部13hは、画素電極16hと画素電極16gとの隙間に重なるように配置される部位136を有している。この部位136は、配線部13hの全体において相対的にX方向長さ(幅)が大きい。この部位136は、画素電極16hと略同電位になるので、また、配線部13hは、上記した配線部13aにおける各部位134と同等の用途/画素電極16hへの電圧印加時に画素電極16hの図中下側領域でも液晶層19に電圧を印加することができるようになる。それにより、画素電極16hに対応する領域と連動してこの下側領域でも光の透過/非透過を切り替えることができる。また、配線部13hは、相対的に幅の狭い部位134を備えている。そして、この幅の小さい部位134に対応付けて1つのダミー電極20が配置されている。
【0028】
配線部13jは、Y方向に延在しており、画素電極16jと重なるように配置されている。また、配線部13jは、1つのスルーホール21を介して画素電極16jと電気的/物理的に接続されている。それにより、外部取り出し電極端子から入力される電圧が配線部13jを通して画素電極16jに印加される。
【0029】
次に、各ダミー電極20について更に詳細に説明する。
各配線部13a~13eのそれぞれの部位133に対応づけて設けられた各ダミー電極20は、画素電極16hと画素電極16gとの隙間に重なるようにしてX方向に沿って配列されている。そして、各ダミー電極20は、それぞれ1つのスルーホール21(図中、黒点で示す)を介して画素電極16hと接続されている。別言すれば、各ダミー電極20は、1つの画素電極16hを共有し、その画素電極16hを渡り配線として用いて相互に電気的に接続されている。それにより、これらのダミー電極20は画素電極16hと同電位になるので、画素電極16hへの電圧印加時に画素電極16hの図中下側領域でも液晶層19に電圧を印加することができるようになる。上記した配線部13hの部位136による作用も合わせると、画素電極16hと画素電極16gとの隙間の大部分において、画素電極16hへの電圧印加による光の透過/非透過の切り替えに連動して光の透過/非透過を切り替えることができるようになる。
【0030】
同様に、各配線部13a~13f、13hのそれぞれの部位134に対応づけて各ダミー電極20が設けられており、各ダミー電極20は、画素電極16gと画素電極16jとの隙間に重なるようにしてX方向に沿って配列されている。そして、各ダミー電極20は、それぞれ1つのスルーホール21(図中、黒点で示す)を介して画素電極16gと接続されている。別言すれば、各ダミー電極20は、1つの画素電極16gを共有し、これを渡り配線として用いて相互に電気的に接続されている。それにより、これらのダミー電極20は画素電極16gと同電位になるので、画素電極16gへの電圧印加時に画素電極16gの図中下側領域でも液晶層19に電圧を印加することができるようになる。上記した配線部13gの部位135による作用も合わせると、画素電極16gと画素電極16jとの隙間の大部分において、画素電極16hへの電圧印加による光の透過/非透過の切り替えに連動して光の透過/非透過を切り替えることができるようになる。
【0031】
このように本実施形態では、アイランド状のダミー電極20を画素電極間に重なる位置に設け、かつそれらを近隣の画素電極と同電位に接続することで、従来では画素形状やレイアウト等によっては困難であった画素電極間でも画素電極に連動して光の透過/非透過の切り替えが可能になる。
【0032】
ここで、比較例の電極構成を図4に示す。図示の比較例では、各画素電極216a~216h、216jの構成は上記した液晶素子100と同様であり、各画素電極216a~216fがそれぞれ各配線部213a~213fと各スルーホール221を介して接続されている点並びに各画素電極216g、216h、216jがそれぞれ各配線213g、213h、213jと各スルーホール221を介して接続されている点は同様であるが、ダミー電極20に相当する構成は備わっていない。このため、各配線部213a~213fのX方向長さ(幅)が狭くなっている領域250では、画素電極216hと画素電極216gとの隙間の大部分において、光の透過/非透過を切り替えることができない。また、各配線部213a~213fのX方向長さ(幅)が広くなっている領域251では、画素電極216gあるいは画素電極216jに対する電圧の印加状況とは関係なく、各画素電極216a等への電圧の印加状況に連動して光の透過/非透過が切り替わってしまう。領域252でも同様であり、画素電極216hへの電圧の印加状況に連動して光の透過/非透過が切り替わってしまう。
【0033】
<第2実施形態>
図5は、第2実施形態の液晶素子の画素形状を示す平面図である。図示の液晶素子100Aは、有効表示領域1内に配置された円形の画素2cと、この画素2cに対して同心円状に配置される環状の画素2d、2eを備える。これらの画素2c、2d、2eは、それぞれ独立に光の透過/非透過を切り替え可能なセグメント領域(光変調領域)である。なお、以下の説明では上記した第1実施形態と共通する内容については適宜説明を省略する。
【0034】
図6(A)及び図6(B)は、液晶素子100Aの第1基板の構成を示す模式的な断面図である。また、図7(A)は、液晶素子100Aの画素電極、配線部及びダミー電極の構成を示す模式的な平面図であり、図7(B)は、配線部及びダミー電極の構成を示す模式的な平面図である。なお、図6(A)に示す断面図は図5(A)におけるc-c線断面を示しており、図6(B)に示す断面図は図7(A)におけるd-d線断面を示しているが、図面を理解しやすくするために各図の縮尺は適宜調整されている。
【0035】
図6(A)に示すように、第1基板311には各配線部313a、313b、313cが設けられ、これらを覆うように絶縁層315が設けられ、絶縁層315に各画素電極316a、316b、316cが設けられている。また、図6(B)に示すように、第1基板311にはダミー電極320が設けられ、このダミー電極320は1つのスルーホール321を介して画素電極316cと接続されている。また、図7(A)に示すように、各画素電極316a、316b、316cは、それぞれ1つのスルーホール321を介して各配線部313a、313b、313cと接続されている。
【0036】
図7(A)に示すように、配線部313aは、平面視において、環状部分が画素電極316aと画素電極316bとの隙間に重なるように配置されている。配線部313bは、平面視において、環状部分が画素電極316bと画素電極316cとの隙間に重なるように配置されている。配線部313cは、平面視において、環状部分が画素電極316cの外縁領域と重なるように配置されている。各配線部313a~313cは、図中で下側の一端領域が外部取り出し電極端子として用いられる。そして、配線部313bと配線部313cの各々の直線状部分同士の間にダミー電極320が配置されている。それにより、配線部313bと配線部313cの各々の直線状部分同士の隙間においても画素電極313cへの電圧の印加状況に連動して光の透過/非透過を切り替えることができる。すなわち、画素2eの大部分において欠損のない表示を行うことができる。
【0037】
ここで、比較例の液晶素子の電極構造を図8(A)で平面図により示し、図8(B)で断面図により示す。なお、第2実施形態の液晶素子と共通する要素については同一符号を付しており、それらについては詳細説明を省略する。比較例の液晶素子では、ダミー電極320に相当する構成が設けられていない。このため、配線部313bと配線部313cの各々の直線状部分同士の隙間においては光の透過/非透過を切り替えることができない。従って、外観上、画素2eの下側の一部に常時点灯もしくは常時消灯となる領域350が生じてしまう。
【0038】
<第3実施形態>
図9は、第3実施形態の液晶素子の画素形状を示す平面図である。図示の液晶素子100Bは、有効表示領域1内に配置された種々の形状の画素を含み、英文字、数字などを任意に表示可能に構成されている。例えば、図示の領域Rに着目すると、略三角形状の画素2f、2g、略台形状の画素2h、2jといった画素が含まれる。これらの画素2f等は、それぞれ独立に光の透過/非透過を切り替え可能なセグメント領域(光変調領域)である。なお、液晶素子100Bの基本的な構成は上記した第1実施形態と共通するため説明を省略する。
【0039】
図10は、図9に示した領域Rに対応する電極構造を示す平面図である。図示の液晶素子100Bにおいて、画素電極416fは画素2fに対応し、画素電極416gは画素2gに対応し、画素電極416hは画素2hに対応し、画素電極416jは画素2jに対応するものである。また、配線部413fは、1つのスルーホール421を介して画素電極416fと接続されている。配線部413jは、1つのスルーホール421を介して画素電極416jと接続されている。各配線部413f、413jの範囲を理解しやすくするため、これらには模様が付されている。なお、図示しない他の画素電極についても同様にして各々に1つの配線部(図中点線で示す)が対応付けられ、スルーホールを介してそれぞれ接続されている。
【0040】
また、画素電極416fと画素電極416hとの隙間に重なる位置にダミー電極420が設けられており、このダミー電極420は、1つのスルーホール421を介して画素電極416fと接続され、同電位化されている。それにより、画素電極416fへの電圧印加時に画素電極416fの図中右側領域でも液晶層19に電圧を印加することができるようになる。同様に、画素電極416jと画素電極416gとの隙間に重なる位置にダミー電極420が設けられており、このダミー電極420は、1つのスルーホール421を介して画素電極416jと接続され、同電位化されている。それにより、画素電極416jへの電圧印加時に画素電極416jの図中右側領域でも液晶層19に電圧を印加することができるようになる。
【0041】
以上のような各実施形態によれば、液晶素子の各画素電極の相互間領域において、従来困難であった領域であっても光の透過/非透過を切り替え可能な部分を設けることが可能となる。
【0042】
なお、本開示は上記した実施形態の内容に限定されるものではなく、本開示の要旨の範囲内において種々に変形して実施をすることが可能である。例えば、上記した各実施形態における画素電極、配線部、ダミー電極などの平面視形状やレイアウト、あるいは形成に用いられる材料は一例であり、開示した内容に限定されない。
【0043】
また、上記した各実施形態の液晶素子において、各画素電極を個別に覆うようにして絶縁層(第2絶縁層)を設けてもよい。具体的な構成例を図11に示す。ここでは第1実施形態の液晶素子100をベースにして第2絶縁層を追加した場合の構成例の断面図が示されている。なお、共通する各構成については同符号を用いており、それらについては説明を省略する。図示の例の液晶素子100Cは、各画素電極16を覆うようにして各第2絶縁層22が配置されている。これらの第2絶縁層22は、上記の絶縁層(第1絶縁層)15と同様に、良好な絶縁性と光透過性を有するものであればよく、例えばアクリル系絶縁材料やシロキサン系感光性樹脂材料などからなる絶縁膜、シリコン酸化膜やシリコン窒化膜などの無機酸化膜など種々の絶縁膜を用いることができる。このような第2絶縁層22を設けることで、ダミー電極20から液晶層19へ電圧が印加される領域と、各画素電極16から液晶層19へ電圧が印加される領域での電圧差をより少なくすることができる。それにより、各領域での光透過率の差を少なくすることができる。
【0044】
上記した各実施形態や変形実施例の液晶素子は、例えば画像表示用途に好適に用いられるほか、種々の照明装置においても好適に用いることができる。ここでいう照明装置とは、液晶素子に光を透過させて種々の像を形成してその像を投射するものをいう。本開示に係る照明装置には、例えば車両の周囲(前方、側方あるいは路面上など)へ種々の像を投射する車両用灯具や、演劇などの公演に用いられる舞台照明装置、あるいは街路灯などが含まれる。
【0045】
図12は、照明装置の一例である車両用灯具の構成例を示す図である。図示の車両用灯具は、光源500、液晶素子501、一対の偏光素子(偏光板)502、503、投影レンズ504、カメラ505、コントローラ506、ドライバ507を含んで構成されている。この車両用灯具は、光源500から放出される光を液晶素子501へ入射させ、液晶素子501を用いて種々の像を形成してその像を投影レンズ504により車両前方へ投影するものである。詳細には、この車両用灯具は、車両前方空間に存在する先行車、対向車などの位置をカメラ505によって検出し、それら先行車等の位置に応じた減光範囲を含んだ配光パターンをコントローラ506によって設定し、その配光パターンを実現するようにドライバ507によって液晶素子501へ駆動電圧を与える。それにより、先行車等の位置に応じた所定範囲が減光されたハイビームが車両前方に照射されるので、先行車等にグレアを与えないようにすることができる。このような車両用灯具における液晶素子501として、例えば上記した第1実施形態に係る液晶素子100あるいはその変形実施例の液晶素子100Cを好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0046】
1:有効表示領域、2a、2b:画素、11:第1基板、12:第2基板、13、13a、13b、13c、13d、13e、13f、13g、13h:配線部、14:共通電極、15:絶縁層、16、16a、16b、16c、16d、16e、16f、16g、16h、16j:画素電極、17:第1配向膜、18:第2配向膜、19:液晶層、20:ダミー電極、21:スルーホール、100:液晶素子
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12