(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023060603
(43)【公開日】2023-04-28
(54)【発明の名称】フェーズドアレーアンテナ、移動体搭載型通信システム、および、プログラム
(51)【国際特許分類】
H01Q 21/06 20060101AFI20230421BHJP
H01Q 3/26 20060101ALI20230421BHJP
【FI】
H01Q21/06
H01Q3/26 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021170286
(22)【出願日】2021-10-18
(71)【出願人】
【識別番号】000217653
【氏名又は名称】電気興業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100193389
【弁理士】
【氏名又は名称】谷口 智利
(72)【発明者】
【氏名】嶋田 将大
【テーマコード(参考)】
5J021
【Fターム(参考)】
5J021AA05
5J021AA06
5J021AA09
5J021AB03
5J021DB03
5J021GA02
5J021HA05
(57)【要約】
【課題】アンテナサイズを大きくすることなく広角にビーム走査が可能なフェーズドアレーアンテナを提供することを目的とする。
【解決手段】フェーズドアレーアンテナはアンテナ面に複数の素子列を有する。素子列は1以上の素子ユニットを有し、1以上の素子ユニットは縦方向に並ぶ。素子ユニットは、横方向に素子間隔aで隣接する左素子および右素子と、横方向に隣接する左素子および右素子の中央から縦方向に素子間隔bの位置に配置される2つの上素子および下素子を基本とする。隣接する素子列は、横方向に1.5a、縦方向に1.5bずれて配置されることにより、縦方向に素子ユニットを構成する素子が横方向にも素子ユニットを構成する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンテナ面を有するフェーズドアレーアンテナであって、
前記アンテナ面に複数の素子列を有し、
互いに直交するX軸方向、Y軸方向、Z軸方向について、X軸方向を横方向、Y軸方向を縦方向、Z軸方向を高さ方向として、
前記素子列は1以上の素子ユニットを有し、前記1以上の素子ユニットは縦方向に並んでおり、
前記素子ユニットは、
横方向に素子間隔aで隣接する左素子および右素子と、
横方向に隣接する左素子および右素子の中央から縦方向に素子間隔bの位置に配置される2つの上素子および下素子を基本とし、
1以上の完全素子ユニットを有し、
1以上の前記完全素子ユニットがアンテナ面の略中心に配置され、
前記完全素子ユニットは、前記左素子、前記右素子、前記上素子、および、前記下素子を有し、
隣接する前記素子列は、横方向に1.5a、縦方向に1.5bずれて配置されることにより、縦方向に前記素子ユニットを構成する前記素子が横方向にも前記素子ユニットを構成することを特徴とする、
フェーズドアレーアンテナ。
【請求項2】
縦方向の素子間隔と、横方向の素子間隔について、aとbが等しいことを特徴とする、請求項1に記載のフェーズドアレーアンテナ。
【請求項3】
3列の前記素子列から構成され、
中央の前記素子列は、中心に配置される1の前記完全素子ユニットを有し、
左右の前記素子列はそれぞれ2つの半素子ユニットを有し、前記半素子ユニットは前記完全素子ユニットのうち中心側の2素子のみを有し、
4段12素子を有することを特徴とする、請求項1または2のいずれかに記載のフェーズドアレーアンテナ。
【請求項4】
3列の前記素子列から構成され、
中央の前記素子列は、中心に配置される1の前記完全素子ユニット、および、中心に配置される1の前記素子ユニットに対して縦方向に上および下に隣接する2つの部分素子ユニットを有し、
前記部分素子ユニットは、前記完全素子ユニットの前記上素子、前記下素子、前記左素子、および、前記右素子のうち中心側の1素子のみを有し、
左右の前記素子列は、4つの不完全素子ユニットを有し、
前記不完全素子ユニットは、前記完全素子ユニットの前記上素子、前記下素子、前記左素子、および、前記右素子のうち中心側の3素子のみを有し、
5段18素子を有することを特徴とする、請求項1または2のいずれかに記載のフェーズドアレーアンテナ。
【請求項5】
3列の前記素子列から構成され、
中央の前記素子列は、中心に配置される1の前記完全素子ユニット、および、中心に配置される1の前記素子ユニットに対して縦方向に上および下に隣接する2つの部分素子ユニットを有し、
前記部分素子ユニットは、前記完全素子ユニットの前記上素子、前記下素子、前記左素子、および、前記右素子のうち中心側の1素子のみを有し、
左右の前記素子列は、4つの前記完全素子ユニットを有し、
6段24素子を有することを特徴とする、請求項1または2のいずれかに記載のフェーズドアレーアンテナ。
【請求項6】
前記アンテナ面が、一辺が他方の辺より長い略長方形であることを特徴とする、請求項1または2のいずれかに記載のフェーズドアレーアンテナ。
【請求項7】
前記素子がダイポールアンテナであることを特徴とする、請求項1ないし6のいずれかに記載のフェーズドアレーアンテナ。
【請求項8】
前記素子が偏波共用アンテナであることを特徴とする、請求項1ないし7のいずれかに記載のフェーズドアレーアンテナ。
【請求項9】
前記素子ユニットが一体に形成されていることを特徴とする、請求項1ないし8のいずれかに記載のフェーズドアレーアンテナ。
【請求項10】
前記素子ユニットは誘電体基板または金属で形成されていることを特徴とする、請求項1ないし9のいずれかに記載のフェーズドアレーアンテナ。
【請求項11】
電波送信方向制御部を備え、時分割で複数の方向に電波を送信することを特徴とする、請求項1ないし10のいずれかに記載のフェーズドアレーアンテナ。
【請求項12】
電波送信方向制御部を備え、周波数分割で複数の方向に電波を送信することを特徴とする、請求項1ないし10のいずれかに記載のフェーズドアレーアンテナ。
【請求項13】
受信した電波の方向を検知する電波受信方向検知部を備えることを特徴とする、請求項1ないし12のいずれかに記載のフェーズドアレーアンテナ。
【請求項14】
前記電波受信方向検知部が周波数分割部を備え、受信した電波の方向を、周波数ごとに検知することを特徴とする、請求項13に記載のフェーズドアレーアンテナ。
【請求項15】
通信部を備え、通信用の電波を送信または受信することを特徴とする、請求項1ないし14のいずれかに記載のフェーズドアレーアンテナ。
【請求項16】
請求項15に記載のフェーズドアレーアンテナを搭載することを特徴とする、移動体搭載型通信システム。
【請求項17】
アンテナ面を有するフェーズドアレーアンテナを制御するプログラムであって、
前記フェーズドアレーアンテナは、
電波送信方向制御部、および、
前記アンテナ面に配置された複数の素子列を有し、
互いに直交するX軸方向、Y軸方向、Z軸方向について、X軸方向を横方向、Y軸方向を縦方向、Z軸方向を高さ方向として、
前記素子列は1以上の素子ユニットを有し、前記1以上の素子ユニットは縦方向に並んでおり、
前記素子ユニットは、複数の素子を有し、
最も近接する素子の間隔は、横方向a、縦方向bであり、
前記フェーズドアレーアンテナは、
横方向に1.5aずれて配置されている前記素子ユニットを有することにより、横方向にa/2だけずれて配置された前記素子を有し、かつ、
縦方向に1.5bずれて配置されている前記素子ユニットを有することにより、縦方向にb/2だけずれて配置された前記素子を有し、
前記プログラムは、
前記電波送信方向制御部に入力される信号を受け付ける信号受信ステップ、
前記信号受信ステップの後に実行され、横方向にa/2ずつずれた、それぞれの前記素子の位置に応じた位相と振幅を有する入力信号を生成する、横方向入力信号生成ステップ、
前記信号受信ステップの後に実行され、縦方向にb/2ずつずれた、それぞれの前記素子の位置に応じた位相と振幅を有する入力信号を生成する、縦方向入力信号生成ステップ、
前記電波送信方向制御部から、前記縦方向入力信号生成ステップ、および、前記横方向入力信号生成ステップで生成された、それぞれの前記素子に対応した入力信号を出力する入力信号出力ステップを実行することを特徴とする、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フェーズドアレーアンテナ、移動体搭載型通信システム、および、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、フェーズドアレーアンテナ等の多素子の配列には、
図1に示されるような正方配列や、
図2に示されるような三角配列が用いられることが多い。
図1の4段の正方配列では、縦方向に4段、横方向に4つの素子で、計16個の素子が用いられる。
図2の4段の三角配列では、縦方向に4段、横方向に3または4つの素子で、計14素子が用いられる。
なお、以下の説明では、縦方向を「段」として表現することがある。
特許文献1および特許文献2には、放射パターンのアレーアンテナが記載されている。また、特許文献3および特許文献4には、サイドローブやグレーティングローブを抑制するためのアンテナ装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4040410号明細書
【特許文献2】特許第4066324号明細書
【特許文献3】特開2005-303801号公報
【特許文献4】特開2015-226291号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
素子間隔を狭くすれば、同じ面積でも広角にビーム走査が可能となるが、素子間隔を狭くすると、素子数が増加しコスト高につながる。
図2に示される一般的な三角配列では、横方向にλ/4間隔で素子が存在する。このため、横方向については正方配列に比べてより広角にビーム走査が可能となる。他方、縦方向については、素子間隔がλ/2であるため正方配列と同等である。
このように、三角配列では、指向性が改善されない面が存在する。
また、特許文献1および特許文献2に記載の技術では、同心円構造となり、配列が複雑となる。
特許文献3および特許文献4は、本質的には三角配列と同様であり、やはり指向性が改善されない面が存在する。
そこで、本発明は、縦方向・横方向にもλ/4などの間隔で、素子が存在する配列により、2つの方向において広角にビーム走査が可能なフェーズドアレーアンテナ、それを用いた移動体搭載型通信システム、および、プログラムを提供することを目的とする。
また、正方配列や三角配列より素子数を減らし、広角にビーム走査が可能なフェーズドアレーアンテナ、それを用いた移動体搭載型通信システム、および、プログラムを提供することを目的とする。
さらに、以上の構成を、同心円状など複雑な構成ではなく、半素子単位の正方格子上の所定の位置に素子を配置するだけの、製造が容易な構造で実現する、フェーズドアレーアンテナ、それを用いた移動体搭載型通信システム、および、プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述の課題を解決するため、本発明の請求項1に係るフェーズドアレーアンテナは、
アンテナ面を有するフェーズドアレーアンテナであって、
アンテナ面に複数の素子列を有し、
互いに直交するX軸方向、Y軸方向、Z軸方向について、X軸方向を横方向、Y軸方向を縦方向、Z軸方向を高さ方向として、
素子列は1以上の素子ユニットを有し、1以上の素子ユニットは縦方向に並んでおり、
素子ユニットは、
横方向に素子間隔aで隣接する左素子および右素子と、
横方向に隣接する左素子および右素子の中央から縦方向に素子間隔bの位置に配置される2つの上素子および下素子を基本とし、
1以上の完全素子ユニットを有し、
1以上の完全素子ユニットがアンテナ面の略中心に配置され、
完全素子ユニットは、左素子、右素子、上素子、および、下素子を有し、
隣接する素子列は、横方向に1.5a、縦方向に1.5bずれて配置されることにより、縦方向に素子ユニットを構成する素子が横方向にも素子ユニットを構成することを特徴とする、フェーズドアレーアンテナである。
本発明の請求項2に係るフェーズドアレーアンテナは、
縦方向の素子間隔と、横方向の素子間隔について、aとbが等しいことを特徴とする、請求項1に記載のフェーズドアレーアンテナである。
本発明の請求項3に係るフェーズドアレーアンテナは、
3列の素子列から構成され、
中央の素子列は、中心に配置される1の完全素子ユニットを有し、
左右の素子列はそれぞれ2つの半素子ユニットを有し、半素子ユニットは完全素子ユニットのうち中心側の2素子のみを有し、
4段12素子を有することを特徴とする、請求項1または2のいずれかに記載のフェーズドアレーアンテナである。
本発明の請求項4に係るフェーズドアレーアンテナは、
3列の素子列から構成され、
中央の素子列は、中心に配置される1の完全素子ユニット、および、中心に配置される1の素子ユニットに対して縦方向に上および下に隣接する2つの部分素子ユニットを有し、
部分素子ユニットは、完全素子ユニットの上素子、下素子、左素子、および、右素子のうち中心側の1素子のみを有し、
左右の素子列は、4つの不完全素子ユニットを有し、
不完全素子ユニットは、完全素子ユニットの上素子、下素子、左素子、および、右素子のうち中心側の3素子のみを有し、
5段18素子を有することを特徴とする、請求項1または2のいずれかに記載のフェーズドアレーアンテナである。
本発明の請求項5に係るフェーズドアレーアンテナは、
3列の素子列から構成され、
中央の素子列は、中心に配置される1の完全素子ユニット、および、中心に配置される1の素子ユニットに対して縦方向に上および下に隣接する2つの部分素子ユニットを有し、
部分素子ユニットは、完全素子ユニットの上素子、下素子、左素子、および、右素子のうち中心側の1素子のみを有し、
左右の素子列は、4つの完全素子ユニットを有し、
6段24素子を有することを特徴とする、請求項1または2のいずれかに記載のフェーズドアレーアンテナである。
本発明の請求項6に係るフェーズドアレーアンテナは、
アンテナ面が、一辺が他方の辺より長い略長方形であることを特徴とする、請求項1または2のいずれかに記載のフェーズドアレーアンテナである。
本発明の請求項7に係るフェーズドアレーアンテナは、
素子がダイポールアンテナであることを特徴とする、請求項1ないし6のいずれかに記載のフェーズドアレーアンテナである。
本発明の請求項8に係るフェーズドアレーアンテナは、
素子が偏波共用アンテナであることを特徴とする、請求項1ないし7のいずれかに記載のフェーズドアレーアンテナである。
本発明の請求項9に係るフェーズドアレーアンテナは、
素子ユニットが一体に形成されていることを特徴とする、請求項1ないし8のいずれかに記載のフェーズドアレーアンテナである。
本発明の請求項10に係るフェーズドアレーアンテナは、
素子ユニットは誘電体基板または金属で形成されていることを特徴とする、請求項1ないし9のいずれかに記載のフェーズドアレーアンテナである。
本発明の請求項11に係るフェーズドアレーアンテナは、
電波送信方向制御部を備え、時分割で複数の方向に電波を送信することを特徴とする、請求項1ないし10のいずれかに記載のフェーズドアレーアンテナである。
本発明の請求項12に係るフェーズドアレーアンテナは、
電波送信方向制御部を備え、周波数分割で複数の方向に電波を送信することを特徴とする、請求項1ないし10のいずれかに記載のフェーズドアレーアンテナである。
本発明の請求項13に係るフェーズドアレーアンテナは、
受信した電波の方向を検知する電波受信方向検知部を備えることを特徴とする、請求項1ないし12のいずれかに記載のフェーズドアレーアンテナである。
本発明の請求項14に係るフェーズドアレーアンテナは、
電波受信方向検知部が周波数分割部を備え、受信した電波の方向を、周波数ごとに検知することを特徴とする、請求項13に記載のフェーズドアレーアンテナである。
本発明の請求項15に係るフェーズドアレーアンテナは、
通信部を備え、通信用の電波を送信または受信することを特徴とする、請求項1ないし14のいずれかに記載のフェーズドアレーアンテナである。
本発明の請求項16に係る移動体搭載型通信システムは、
請求項15に記載のフェーズドアレーアンテナを搭載することを特徴とする、移動体通信システムである。
本発明の請求項17に係るプログラムは、
アンテナ面を有するフェーズドアレーアンテナを制御するプログラムであって、
フェーズドアレーアンテナは、
電波送信方向制御部、および、
アンテナ面に配置された複数の素子列を有し、
互いに直交するX軸方向、Y軸方向、Z軸方向について、X軸方向を横方向、Y軸方向を縦方向、Z軸方向を高さ方向として、
素子列は1以上の素子ユニットを有し、1以上の素子ユニットは縦方向に並んでおり、
素子ユニットは、複数の素子を有し、
最も近接する素子の間隔は横方向a、縦方向bであり、
フェーズドアレーアンテナは、
横方向に1.5aずれて配置されている素子ユニットを有することにより、横方向にa/2だけずれて配置された素子を有し、かつ、
縦方向に1.5bずれて配置されている素子ユニットを有することにより、縦方向にb/2だけずれて配置された素子を有し、
プログラムは、
電波送信方向制御部に入力される信号を受け付ける信号受信ステップ、
信号受信ステップの後に実行され、横方向にa/2ずつずれた、それぞれの素子の位置に応じた位相と振幅を有する入力信号を生成する、横方向入力信号生成ステップ、
信号受信ステップの後に実行され、縦向にb/2ずつずれた、それぞれの素子の位置に応じた位相と振幅を有する入力信号を生成する、縦方向入力信号生成ステップ、
電波送信方向制御部から、横方向入力信号生成ステップ、および、縦方向入力信号生成ステップで生成された、それぞれの素子に対応した入力信号を出力する入力信号出力ステップを実行することを特徴とする、プログラムである。
本発明は、以上の構成を備えることにより、従来の配列方法と比較して、アンテナサイズを大きくすることなく広角にビーム走査が可能となる。
また、素子数を減らしても同等以上の性能が見込めると同時に、素子数削減により、低コストとなる。
さらに、従来の配列方法と比較して、素子数の削減と性能向上を同時に実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】従来のフェーズドアレーアンテナの構成例を示す。
【
図2】従来のフェーズドアレーアンテナの構成例を示す。
【
図3】本発明の一実施例におけるフェーズドアレーアンテナの構成例を示す。
【
図4】本発明の一実施例におけるフェーズドアレーアンテナの構成例を示す。
【
図5】本発明の一実施例におけるフェーズドアレーアンテナの構成例を示す。
【
図6】本発明の一実施例におけるフェーズドアレーアンテナの構成例を示す。
【
図7】本発明の一実施例におけるフェーズドアレーアンテナの構成例を示す。
【
図8】本発明の一実施例におけるフェーズドアレーアンテナの構成例を示す。
【
図9】比較例におけるフェーズドアレーアンテナの構成例を示す。
【
図10】比較例におけるフェーズドアレーアンテナの構成例を示す。
【
図11】本発明の一実施例におけるフェーズドアレーアンテナの結果の例を示す。
【
図12】比較例におけるフェーズドアレーアンテナの結果の例を示す。
【
図13】比較例におけるフェーズドアレーアンテナの結果の例を示す。
【
図14】比較例におけるフェーズドアレーアンテナの結果の例を示す。
【
図15】比較例におけるフェーズドアレーアンテナの結果の例を示す。
【
図16】本発明の一実施例におけるフェーズドアレーアンテナの結果の例を示す。
【
図17】本発明の一実施例におけるフェーズドアレーアンテナの結果の例を示す。
【
図18】本発明の一実施例および比較例におけるフェーズドアレーアンテナの結果の例を示す。
【
図19】本発明の一実施例および比較例におけるフェーズドアレーアンテナの結果の例を示す。
【
図20】本発明の一実施例におけるフェーズドアレーアンテナの構成例を示す。
【
図21】本発明の一実施例におけるフェーズドアレーアンテナの構成例を示す。
【
図22】本発明の一実施例におけるフェーズドアレーアンテナの構成例を示す。
【
図23】本発明の一実施例におけるフェーズドアレーアンテナの構成例を示す。
【
図24】本発明の一実施例におけるフェーズドアレーアンテナの構成例を示す。
【
図25】本発明の一実施例におけるフェーズドアレーアンテナの構成例を示す。
【
図26】本発明の一実施例における移動体通信システムの構成例を示す。
【
図27】本発明の一実施例におけるフェーズドアレーアンテナの構成例を示す。
【
図28】本発明の一実施例におけるプログラムの構成例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0007】
図3および
図4は、本発明の一実施例におけるフェーズドアレーアンテナ100の構成例を示す。
フェーズドアレーアンテナ100はアンテナ面110を有し、アンテナ面110に複数の素子列101を有する。
図3および
図4に示されるように、互いに直交するX軸方向、Y軸方向、Z軸方向について、X軸方向を横方向、Y軸方向を縦方向、Z軸方向を高さ方向とする。
【0008】
素子列101は1以上の素子ユニット10を有する。そして、1以上の素子ユニット10は縦方向に並んでいる。
ここで、図における素子列101は、理解を容易にするための模式的なものであり、実際には後述の
図4以降に示されるように、素子列101は、互いに入り組んだ、網目のような構造をしていることに注意が必要である。
【0009】
素子ユニット10は、上素子、左素子、右素子、および、下素子を基本とする。例えば、素子1では、上素子1A、左素子1B、右素子1C、および、下素子1Dである。左素子および右素子は、横方向に素子間隔aで隣接して配置されている。上素子および下素子は、横方向に隣接する左素子および右素子の中央から縦方向に素子間隔bの位置に配置されている。
なお、上素子、左素子、右素子、下素子の呼称は、理解を容易にするためのものであり、実際には、傾いていても、上下や左右が逆でもよい。例えば、上素子および下素子が水平方向に、左素子および右素子が上下方向に並ぶ構成でもよい。
【0010】
フェーズドアレーアンテナ100は1以上の完全素子ユニット11を有する。そして、1の完全素子ユニット11がアンテナ面110の略中心に配置されている。
完全素子ユニット11は、左素子、右素子、上素子、および、下素子を有する。本実施例では、素子1A、素子1B、素子1C、素子1Dが、それぞれ、上素子、左素子、右素子、下素子として、完全素子ユニット11を構成している。なお、図中の実線および破線は構成および素子間隔の把握を容易とするためのものであり、実際の構成とは異なり得ることに注意されたい。
隣接する素子列101は、横方向に1.5a、縦方向に1.5bずれて配置されることにより、縦方向に素子ユニット10を構成する素子が、
図4の破線に示されるように横方向にも素子ユニット10を構成する。
【0011】
縦方向と横方向について、aとbは同じ距離である必要はなく、フェーズドアレーアンテナ100のビームについて、ビーム走査を優先する方向と優先しない方向がある場合には、a<bなど、縦方向の素子間隔と横方向の素子間隔を異なるものとすることもできる。
この場合には、縦方向には長い素子ユニット10が、横方向には短い素子ユニット10が構成される。
【0012】
また、縦方向と横方向について、a=b、つまり、同じ距離としてもよい。
図5は本発明の一実施例におけるフェーズドアレーアンテナ100を示す。
本実施例では、縦方向の素子間隔と、横方向の素子間隔について、aとbが等しい。具体的には、a=bであり、縦方向にも横方向にも、同じ長さの素子ユニット10が構成される。
本構成では、フェーズドアレーアンテナ100の設置に際して、縦と横のいずれの設置方向でも性能が同様となり、設置時の自由度が増す。
【0013】
当業者に容易に理解されるように、実際のアンテナ素子は、正方形、長方形、円形などでもよく、後述のダイポールアンテナなどでもよい。
素子間隔aは素子長以上であり、その範囲は、アンテナの波長λに対して、(λ/2)<a<2×λ、(λ/2)<b<2×λである。ただし、通常、素子長は誘電体を有する基板等の影響でλ/2より短くなる。
本構成により、素子間隔aを狭くすることで広角にビーム走査が可能である。また、素子間隔aを広げても、正方配列と同等の性能が得られ、素子数を大幅に削減することが可能となる。
【0014】
一実施例において、フェーズドアレーアンテナ100は、
図5に示されるように、3列の素子列101から構成される。
中央の素子列102は、中心に配置される1の完全素子ユニット11を有する。完全素子ユニット11は、素子1A,1B,1C,1Dから構成される。
左右の素子列101および103は4つの半素子ユニット12を有し、半素子ユニット12は完全素子ユニット11のうち中心側の2素子のみを有する。具体的には、それぞれ、素子2Bおよび素子2D、素子3Aおよび素子3B、素子4Aおよび素子4C、素子5Cおよび素子5Dを有する。
そして、全体として、4段12素子を有する。
このように、4段の正方配列16素子の75%の素子で構成することができる。
【0015】
本構成により、X軸方向、つまり、横方向について、素子1A、素子1B、素子1C、および、素子1Dで構成される完全素子ユニット11があり、他の素子も含めると、横方向に素子間隔aで素子が配置されている。
他方、Y軸方向、つまり、縦方向についても、素子1B、素子4A、および、素子5Dなどが後述の非完全素子を形成し、他の素子も含めると、縦方向に素子間隔bで素子が配置されている。
これにより、広角なビーム走査が可能となる。
【0016】
一実施例において、フェーズドアレーアンテナ100は、
図6に示されるように、 3列の素子列101から構成される。
中央の素子列102は、中心に配置される1の完全素子ユニット11、および、中心に配置される1の素子ユニット10に対して縦方向に上および下に隣接する2つの部分素子ユニット14を有する。
部分素子ユニット14は、完全素子ユニット11の上素子、下素子、左素子、および、右素子のうち、中心側の1素子のみを有する。具体的には、素子6Aおよび素子7Dをそれぞれ有する。
左右の素子列101および103は、4つの不完全素子ユニット13を有する。
不完全素子ユニット13は、完全素子ユニット11のうち、上素子、左素子、右素子、および、下素子のうち、中心側の3素子のみを有する。具体的には、それぞれ、素子2B,2C,2D、素子3A,3B,3C、素子4A,4B,4C、素子5B,5C,5Dの3素子ずつを有する。
そして、全体として、5段18素子を有する。
このように、5段の正方配列25素子の72%で構成することができる。
【0017】
一実施例において、フェーズドアレーアンテナ100は、
図7に示されるように、3列の素子列101から構成される。
中央の素子列102は、中心に配置される1の完全素子ユニット11、および、中心に配置される1の素子ユニット10に対して縦方向に上および下に隣接する2つの部分素子ユニット14を有する。
部分素子ユニット14は、完全素子ユニット11のうち、上素子、下素子、左素子、および、右素子のうち中心側の1素子のみを有する。具体的には、素子7D、素子8C、素子9B、および、素子6Aをそれぞれ有する。
左右の素子列101および103は、4つの完全素子ユニット11を有する。
そして、全体として、6段24素子を有する。
【0018】
このように、6段の正方配列36素子の67%で構成することができ、正方配列より約2割程度の素子削減が期待できる。
本構成により、X軸方向、つまり、横方向について、素子1A、素子1B、素子1C、および、素子1Dで構成される完全素子ユニット11があり、他の素子も含めると、横方向に素子間隔aで素子が配置されている。
他方、Y軸方向、つまり、縦方向についても、例えば、素子1A、素子2B、素子5C、および、素子7Dなどが完全素子を形成し、他の素子も含めると、縦方向に素子間隔bで素子が配置されている。
これにより、広角なビーム走査が可能となる。
【0019】
同様に、7段相当で40素子となり、7段の正方配列49素子の82%、8段相当で50素子となり、8段の正方配列64素子の78%で構成することができ、正方配列より約2割程度の素子削減が期待できる。
本構成により、X軸方向、つまり、横方向について、素子1A、素子1B、素子1C、および、素子1Dで構成される完全素子ユニット11があり、他の素子も含めると、横方向に素子間隔aで素子が配置されている。
他方、Y軸方向、つまり、縦方向についても、実質的に完全素子が形成され、他の素子も含めると、縦方向に素子間隔bで素子が配置されている。
これにより、広角なビーム走査が可能となる。
【0020】
以上の実施例のように、正方配列と同面積比較で、素子数の削減と広角ビーム走査を同時に可能としている。
素子数が減るため利得は低下するが、実機では入力電力を増すことで補うことができる。
【0021】
図8に示されるように、一実施例において、フェーズドアレーアンテナ100の一辺が他方の辺より長い略長方形とすることができる。
広角なビーム走査が求められる方向が1方向に限られている場合に、略長方形のアンテナ面110の、他方の辺より長い一辺の向きを、求められる方向に合わせることにより、特に有効である。
また、広角なビーム走査が求められる方向が複数の場合にも、略長方形のアンテナ面110を複数配置することにより対応することが可能となる。
【0022】
一実施例において、上述のフェーズドアレーアンテナ100の有する素子ユニット10が一体に形成されている。
本構成により、素子ユニット10内での素子間の配置が固定され、製造が容易となる。
【0023】
図9は6段36素子での正方配列を、
図10は6段33素子での三角配列による比較例を、それぞれ示し、
図11は本発明の一実施例におけるフェーズドアレーアンテナ100の構成例を示す。
図12および
図13は正方配列での相対電力を示す。
図12の実線は電波の主ビーム方向が縦方向で0度、破線は縦方向で60度での結果である。また、
図13の実線は電波の主ビーム方向が横方向で0度、破線は横方向で60度での結果である。ここで、主ビームとは、フェーズドアレーアンテナ100が送信または受信する電波の方向を示す。
縦方向60度では、反対側の63度付近に大きなサイドローブが見られる。同様に、横方向60度では、反対側の90度付近に大きなサイドローブが見られる。
【0024】
図14および
図15は三角配列での相対電力を示す。
図14の実線は電波の主ビーム方向が縦方向で0度、破線は縦方向で60度での結果である。また、
図15の実線は電波の主ビーム方向が横方向で0度、破線は横方向で60度での結果である。
縦方向60度では、反対側の63度付近に大きなサイドローブが見られる。他方、横方向60度では、サイドローブが抑制されている。
【0025】
図16および
図17は本実施例での相対電力を示す。
図16の実線は電波の主ビーム方向が縦方向で0度、破線は縦方向で60度での結果である。また、
図17の実線は電波の主ビーム方向が横方向で0度、破線は横方向で60度での結果である。
縦方向60度、横方向60度のいずれにおいても、サイドローブが抑制されている。
【0026】
図18および
図19は正方配列、三角配列、および、本実施例での電波の主ビーム方向を、それぞれ、縦方向で60度、および、横方向で60度の場合について、比較したものである。図の実線は正方配列、図の破線は三角配列、図の点線は本実施例の結果を、それぞれ示す。
上述のように、正方配列では、縦方向、横方向のいずれにおいても大きなサイドローブが生じ、三角配列では、縦方向に大きなサイドローブが生じる。
しかし、本実施例では、縦方向60度、横方向60度のいずれにおいても、サイドローブが抑制されていることが分かる。
【0027】
図20は本発明の一実施例におけるフェーズドアレーアンテナ100の素子の構成例を示す。
本実施例において、素子1は2偏波共用アンテナである。具体的には、クロスダイポールアンテナとなっている。
本構成により、2つの偏波に対応することができる。
例えば通信に用いた場合、回線数を2倍にできる。また、受信に用いた場合も、受信信号についても2偏波に対応できる。
【0028】
図21は本発明の一実施例におけるフェーズドアレーアンテナ100の構成例を示す。
本実施例において、素子ユニット10は誘電体基板または金属で形成されている。「素子ユニット10は誘電体基板または金属で形成されている」とは、素子ユニット10の部材の主要部、具体的には体積においては半分以上が、誘電体基板または金属を含んで構成されることを意味し、誘電体基板や金属以外の部材も有する場合も含む。また、アンテナ面110はフレキシブル基板上に配置されている。
本構成により、アンテナ面110が配置される部位が平面でない場合にも、対応することが可能となる。
【0029】
図22は本発明の一実施例におけるフェーズドアレーアンテナ100の構成例を示す。
本実施例において、フェーズドアレーアンテナ100は、電波送信方向制御部120を備え、時分割で複数の方向に電波を送信する。
本構成により、携帯電話の基地局などにおいて、効率的な通信電波の送受信が可能となる。
【0030】
図は本発明の一実施例におけるフェーズドアレーアンテナ100の構成例を示す。
本実施例において、フェーズドアレーアンテナ100は、電波送信方向制御部120を備え、周波数分割で複数の方向に電波を送信する。
本構成により、携帯電話の基地局などにおいて、効率的な通信電波の送受信が可能となる。
【0031】
図23は本発明の一実施例におけるフェーズドアレーアンテナ100の構成例を示す。
本実施例において、フェーズドアレーアンテナ100は、受信した電波の方向を検知する電波受信方向検知部130を備える。
本構成により、例えば電波送信方向制御部120と共に携帯端末との通信に用いた場合、携帯端末の方向に応じた方向制御が可能となる。
【0032】
図24は本発明の一実施例におけるフェーズドアレーアンテナ100の構成例を示す。
本実施例では、電波受信方向検知部130が周波数分割部131を備え、受信した電波の到来方向を周波数ごとに検知する。
本構成により、例えば電波送信方向制御部120と共に携帯端末との通信に用いた場合、周波数ごとに複数の携帯端末の方向に応じた方向制御が可能となる。
【0033】
図25は本発明の一実施例におけるフェーズドアレーアンテナ100の構成例を示す。
本実施例において、フェーズドアレーアンテナ100は、通信部140を備え、通信用の電波を送信または受信する。
【0034】
図26は本発明の一実施例における移動体200通信システムの構成例を示す。
本実施例において、移動体搭載型通信システム210は、前述の通信部140を備えたフェーズドアレーアンテナ100を搭載する。
例えばドローンなどの移動体200では重量がその性能に大きく影響するが、本構成によるフェーズドアレーアンテナ100は、少ない素子数と少ない回路部品数で軽量化され、かつ、広角にビーム走査が可能であるため、移動体200通信システムとして非常に有利になる。
航空機や、電気自動車などの自動車など、他の移動体200にも適用できる。
【0035】
図27および
図28は本発明の一実施例におけるフェーズドアレーアンテナ100の構成例、および、プログラムの構成例を示す。
図27に示されるように、電波送信方向制御部120は、演算部121としてのCPU、不揮発性メモリ122であるROM、および、揮発性メモリ123であるRAMを備える。CPUとROMおよびRAMは互いに接続されている。
プログラムは、ROMに格納されており、電波送信方向制御部120の電源がONになると、CPUの制御の下で、ROMに格納されたプログラムがRAM上に展開され、実行される。
【0036】
図28に示されるように、プログラムは、アンテナ面110を有するフェーズドアレーアンテナ100を制御するプログラムである。
フェーズドアレーアンテナ100は、前述の図のように、電波送信方向制御部120、および、アンテナ面110に配置された複数の素子列101、102、103等を有する。
互いに直交するX軸方向、Y軸方向、Z軸方向について、X軸方向を横方向、Y軸方向を縦方向、Z軸方向を高さ方向とする。
【0037】
素子列101、102、103等は1以上の素子ユニット10を有し、1以上の素子ユニット10は縦方向に並んでいる。
素子ユニット10は、複数の素子を有し、最も近接する素子の間隔は、横方向a、縦方向bである。
フェーズドアレーアンテナ100は、横方向に1.5aずれて配置されている素子ユニット10を有する。これにより、結果として、横方向にa/2だけずれて配置された素子を有する。また、縦方向にも、1.5bずれて配置されている素子ユニット10を有する。これにより、結果として、縦方向にb/2だけずれて配置された素子を有する。
【0038】
プログラムは、信号受信ステップS02、縦方向入力信号生成ステップS10、横方向入力信号生成ステップS20、および、入力信号出力ステップS30を有する。
信号受信ステップS02では、電波送信方向制御部120に入力される信号を受け付ける。本実施例では、通信部140において、電波送信方向制御部120は制御部接続端子141を備える。そして、制御部接続端子141を介して、電波送信方向制御部120に信号が入力される。
【0039】
縦方向入力信号生成ステップS10は、信号受信ステップS02の後に実行され、縦方向にb/2ずつずれた、それぞれの素子の位置に応じた位相と振幅を有する入力信号を生成する。
横方向入力信号生成ステップS20もまた、信号受信ステップS02の後に実行され、横方向にa/2ずつずれた、それぞれの素子の位置に応じた位相と振幅を有する入力信号を生成する。
入力信号出力ステップS30では、電波送信方向制御部120から、縦方向入力信号生成ステップS10、および、横方向入力信号生成ステップS20で生成された、それぞれの素子に対応した入力信号を出力する。
【0040】
以下、ステップごとに説明する。
入力信号の生成が開始されると、まず、制御部接続端子141を介して信号が入力されるのを待つ、待機ステップS01に進む。
待機ステップS01で入力が確認されると、信号受信ステップS02に進み、電波送信方向制御部120に入力される信号を受け付ける。
【0041】
続いて、縦方向入力信号生成ステップS10に進む。信号受信ステップS02では、それぞれの素子の縦方向の位置に応じた位相と振幅を有する入力信号を生成する。
次いで、横方向入力信号生成ステップS20に進み、それぞれの素子の横方向の位置に応じた位相と振幅を有する入力信号を生成し、先に生成された縦方向入力信号と合成される。
【0042】
この2つのステップは、逆順に実行されてもよく、あるいは、CPUとメモリが2ステップ分確保できれば、同時に実行されてもよい。同時に実行される場合には、別途、縦方向入力信号と横方向入力信号を合成する合成ステップを設けてもよい。
続いて、入力信号出力ステップS30に進み、それぞれの素子に対応した入力信号を出力する。
本構成により、縦方向および横方向の両方向において、素子間隔a,bだけずれて配置された素子を制御することが可能となり、少ない素子および部品数で、サイドローブの少ない電波を合成することができる。
【0043】
本発明は以上の実施例に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で様々な実施例を含むことは言うでもない。
例えば、移動体搭載型通信システムは、人が装着するものであってもよい。
【符号の説明】
【0044】
1 素子
1A、3A、4A, 6A 上素子
1B、2B、3B、4B、5B、9B 左素子
1C、2C、3C、4C、5C、8C 右素子
1D、2D、5D、7D 下素子
10 素子ユニット
11 完全素子ユニット
12 半素子ユニット
13 不完全素子ユニット
14 部分素子ユニット
100 フェーズドアレーアンテナ
110 アンテナ面
101、102、103 素子列
120 電波送信方向制御部
121 演算部
122 不揮発性メモリ
123 揮発性メモリ
130 電波受信方向検知部
131 周波数分割部
140 通信部
141 制御部接続端子
142 検知部接続端子
200 移動体
210 移動体搭載型通信システム