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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023060613
(43)【公開日】2023-04-28
(54)【発明の名称】鋼材移載装置及び鋼材移載方法
(51)【国際特許分類】
   B21B 39/20 20060101AFI20230421BHJP
   B66C 17/04 20060101ALI20230421BHJP
【FI】
B21B39/20 B
B66C17/04
B21B39/20 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021170299
(22)【出願日】2021-10-18
(71)【出願人】
【識別番号】306022513
【氏名又は名称】日鉄エンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100145012
【弁理士】
【氏名又は名称】石坂 泰紀
(74)【代理人】
【識別番号】100171099
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】池▲崎▼ 徹
(72)【発明者】
【氏名】須田 清次
(72)【発明者】
【氏名】岩▲崎▼ 誠司
【テーマコード(参考)】
3F203
【Fターム(参考)】
3F203CA07
3F203DA09
(57)【要約】
【課題】より高い自由度で鋼材を移載するのに有効な鋼材移載装置を提供する。
【解決手段】鋼材移載装置10は、長手方向LDを有する鋼材9が、長手方向LDを水平な第1方向に沿わせた状態で搬入される搬入位置と、第1方向に交差する水平な第2方向に長手方向LDを沿わせた状態で鋼材9が搬出される搬出位置との間において、水平な円軌道114に沿って往復する台車111と、円軌道114に交差する水平な基部軸線141まわりにスイングするように台車111上に設けられたアーム14と、基部軸線141に平行な端部軸線151まわりにスイングするようにアーム14の端部に接続されたサドル15と、搬入位置から鋼材9を受け取る受取位置P21と、搬出位置に鋼材9を引き渡す引渡位置P31,P32,P33とにサドル15を配置するように、台車111、アーム14、及びサドル15を駆動する駆動装置20と、を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向を有する鋼材が、前記長手方向を水平な第1方向に沿わせた状態で搬入される搬入位置と、
前記第1方向に交差する水平な第2方向に前記長手方向を沿わせた状態で前記鋼材が搬出される搬出位置との間において、水平な円軌道に沿って往復する台車と、
前記円軌道に交差する水平な基部軸線まわりにスイングするように前記台車上に設けられたアームと、
前記基部軸線に平行な端部軸線まわりにスイングするように前記アームの端部に接続されたサドルと、
前記搬入位置から前記鋼材を受け取る受取位置と、前記搬出位置に前記鋼材を引き渡す引渡位置とに前記サドルを配置するように、前記台車、前記アーム、及び前記サドルを駆動する駆動装置と、を備える鋼材移載装置。
【請求項2】
前記駆動装置は、前記基部軸線まわりに前記アームをスイングさせるアーム駆動装置と、前記アームのスイングとは独立して前記端部軸線まわりに前記サドルをスイングさせるサドル駆動装置と、を有する、請求項1記載の鋼材移載装置。
【請求項3】
前記アームは、中間関節を有し、前記基部軸線及び前記端部軸線に平行な中間軸線まわりに前記中間関節で屈曲するように構成されており、
前記駆動装置は、前記アームのスイング及び前記サドルのスイングとは独立して、前記中間軸線まわりに前記アームを屈曲させる関節駆動装置を更に有する、請求項2記載の鋼材移載装置。
【請求項4】
前記サドル駆動装置は、前記台車に設けられたモータと、前記モータの駆動力を前記アームに沿って前記サドルに伝達する伝達ユニットとを有する、請求項3記載の鋼材移載装置。
【請求項5】
前記伝達ユニットは、前記モータが停止した状態において、前記アームがスイング又は屈曲しても鉛直方向に対する前記サドルの姿勢を一定に保つように構成されている、
請求項4記載の鋼材移載装置。
【請求項6】
前記アーム駆動装置は、前記受取位置に前記サドルを配置する際と、前記引渡位置に前記サドルを配置する際とで、前記台車に対する前記アームのスイング角度を変更し、
前記サドル駆動装置は、前記受取位置に前記サドルを配置する際と、前記引渡位置に前記サドルを配置する際とで、前記アームに対する前記サドルのスイング角度を変更する、請求項3~5のいずれか一項記載の鋼材移載装置。
【請求項7】
前記関節駆動装置は、前記受取位置に前記サドルを配置する際と、前記引渡位置に前記サドルを配置する際とで、前記アームの屈曲角度を変更する、請求項3~6のいずれか一項記載の鋼材移載装置。
【請求項8】
前記駆動装置は、前記搬入位置において前記サドルが受け取った前記鋼材を、前記端部軸線に平行な転回軸線まわりに転回させることなく前記搬出位置に引き渡す第1モードの移載を行うように、前記台車、前記アーム、及び前記サドルを駆動することと、
前記搬入位置において前記サドルが受け取った前記鋼材を、転回軸線まわりに90°転回させて前記搬出位置に引き渡す第2モードの移載を行うように、前記台車、前記アーム及び前記サドルを駆動することと、
前記搬入位置において前記サドルが受け取った前記鋼材を、転回軸線まわりに180°転回させて前記搬出位置に引き渡す第3モードの移載を行うように、前記台車、前記アーム及び前記サドルを駆動することと、のいずれも実行し得るように構成されている、請求項1~7のいずれか一項記載の鋼材移載装置。
【請求項9】
前記サドルは、
前記端部軸線まわりにスイングするように前記アームの端部に接続され、第1支持面を有するサドルベースと、
前記第1支持面に垂直な第2支持面を構成するように前記サドルベースから突出したフィンガと、
前記第2支持面に垂直で前記第1支持面に対向する第3支持面を構成するように前記フィンガの端部から突出したチップと、を有し、
前記駆動装置は、
前記第1モードの移載において、前記搬入位置から前記鋼材を受け取る際、及び前記搬出位置に前記鋼材を引き渡す際のいずれにおいても、前記第1支持面によって下方から前記鋼材を支持するように前記アーム及び前記サドルを駆動し、
前記第2モードの移載において、前記搬入位置から前記鋼材を受け取る際には前記第1支持面によって下方から前記鋼材を支持し、前記搬出位置に前記鋼材を引き渡す際には前記第2支持面によって下方から前記鋼材を支持するように前記アーム及び前記サドルを駆動し、
前記第3モードの移載において、前記搬入位置から前記鋼材を受け取る際には前記第1支持面によって下方から前記鋼材を支持し、前記搬出位置に前記鋼材を引き渡す際には前記第3支持面によって下方から前記鋼材を支持するように前記アーム及び前記サドルを駆動する、請求項8記載の鋼材移載装置。
【請求項10】
前記端部軸線に沿った方向から見て、前記フィンガからの前記チップの突出長が、前記第1支持面の幅よりも小さい、請求項9記載の鋼材移載装置。
【請求項11】
水平な第1方向に沿って鋼材が搬入される搬入位置と、前記第1方向に交差する水平な第2方向に沿って前記鋼材が搬出される搬出位置との間において、水平な円軌道に沿って往復可能な台車を、前記搬入位置の近傍の受取用ベース位置に移動させることと、
前記台車上に設けられたアームを前記円軌道に垂直な基部軸線まわりにスイングさせ、前記アームの端部に接続されたサドルを前記基部軸線に平行な端部軸線まわりにスイングさせて、前記搬入位置から前記鋼材を受け取る受取位置に前記サドルを配置することと、
前記台車を前記搬出位置の近傍の引渡用ベース位置に移動させることと、
前記アームを前記基部軸線まわりにスイングさせ、前記サドルを前記端部軸線まわりにスイングさせて、前記搬出位置に前記鋼材を引き渡す引渡位置に前記サドルを配置することと、を含む鋼材移載方法。
【請求項12】
前記引渡位置に前記サドルを配置することは、前記基部軸線及び前記端部軸線に平行な中間軸線まわりに前記アームを屈曲させて、前記搬入位置とは高さが異なる前記搬出位置に前記鋼材を引き渡し可能な前記引渡位置に前記サドルを配置することを含む、請求項11記載の鋼材移載方法。
【請求項13】
前記引渡位置に前記サドルを配置することは、前記受取位置における前記サドルの姿勢を基準にして前記サドルを転回させることなく前記引渡位置に配置することを含む、請求項11又は12記載の鋼材移載方法。
【請求項14】
前記引渡位置に前記サドルを配置することは、前記受取位置における前記サドルの姿勢を基準にして、前記端部軸線まわりに前記サドルを90°転回させて前記引渡位置に配置することを含む、請求項11又は12記載の鋼材移載方法。
【請求項15】
前記引渡位置に前記サドルを配置することは、前記受取位置における前記サドルの姿勢を基準にして、前記端部軸線まわりに前記サドルを180°転回させて前記引渡位置に配置することを含む、請求項11又は12記載の鋼材移載方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、鋼材移載装置及び鋼材移載方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、鋼材を水平方向に90度旋回するための台車式鋼材ターナーにおいて、台車上で鋼材を90度転回可能な転回機構を有する鋼材ターナーが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平3-85101号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、より高い自由度で鋼材を移載するのに有効な鋼材移載装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一側面に係る鋼材移載装置は、長手方向を有する鋼材が、長手方向を水平な第1方向に沿わせた状態で搬入される搬入位置と、第1方向に交差する水平な第2方向に長手方向を沿わせた状態で鋼材が搬出される搬出位置との間において、水平な円軌道に沿って往復する台車と、円軌道に交差する水平な基部軸線まわりにスイングするように台車上に設けられたアームと、基部軸線に平行な端部軸線まわりにスイングするようにアームの端部に接続されたサドルと、搬入位置から鋼材を受け取る受取位置と、搬出位置に鋼材を引き渡す引渡位置とにサドルを配置するように、台車、アーム、及びサドルを駆動する駆動装置と、を備える。
【0006】
この鋼材移載装置は、台車の上に、基部軸線まわりにアームをスイングさせる自由度と、端部軸線まわりにサドルをスイングさせる自由度と、の少なくとも2自由度を有する。
従って、より高い自由度で鋼材を移載するのに有効である。
【0007】
駆動装置は、基部軸線まわりにアームをスイングさせるアーム駆動装置と、アームのスイングとは独立して端部軸線まわりにサドルをスイングさせるサドル駆動装置と、を有してもよい。基部軸線まわりのアームのスイング角度と、端部軸線まわりのサドルのスイング角度とを互いに独立して変更し得るので、より高い自由度で鋼材を移載するのに有効である。
【0008】
アームは、中間関節を有し、基部軸線及び端部軸線に平行な中間軸線まわりに中間関節で屈曲するように構成されており、駆動装置は、アームのスイング及びサドルのスイングとは独立して、中間軸線まわりにアームを屈曲させる関節駆動装置を更に有してもよい。基部軸線まわりのアームのスイング角度、及び端部軸線まわりのサドルのスイング角度とは独立して、基部軸線と端部軸線との間の距離を変更し得る。このため、搬入位置と搬出位置との位置関係の様々なバリエーションに柔軟に適応することが可能となる。例えば、搬入位置と搬出位置との高さが異なる場合にも柔軟に適応することが可能となる。従って、より高い自由度で鋼材を移載するのに有効である。
【0009】
サドル駆動装置は、台車に設けられたモータと、モータの駆動力をアームに沿ってサドルに伝達する伝達ユニットとを有してもよい。モータをサドルから遠ざけて配置することで、サドルの耐熱性を向上させることができる。
【0010】
伝達ユニットは、モータが停止した状態において、アームがスイング又は屈曲しても鉛直方向に対するサドルの姿勢を一定に保つように構成されていてもよい。移載中における鋼材の姿勢を容易に安定化させることができる。
【0011】
アーム駆動装置は、受取位置にサドルを配置する際と、引渡位置にサドルを配置する際とで、台車に対するアームのスイング角度を変更し、サドル駆動装置は、受取位置にサドルを配置する際と、引渡位置にサドルを配置する際とで、アームに対するサドルのスイング角度を変更してもよい。搬入位置と搬出位置との位置関係の様々なバリエーションに柔軟に適応することができる。
【0012】
関節駆動装置は、受取位置にサドルを配置する際と、引渡位置にサドルを配置する際とで、アームの屈曲角度を変更してもよい。搬入位置と搬出位置との位置関係の様々なバリエーションに柔軟に適応することができる。
【0013】
駆動装置は、搬入位置においてサドルが受け取った鋼材を、端部軸線に平行な転回軸線まわりに転回させることなく搬出位置に引き渡す第1モードの移載を行うように、台車、アーム、及びサドルを駆動することと、搬入位置においてサドルが受け取った鋼材を、転回軸線まわりに90°転回させて搬出位置に引き渡す第2モードの移載を行うように、台車、アーム及びサドルを駆動することと、搬入位置においてサドルが受け取った鋼材を、転回軸線まわりに180°転回させて搬出位置に引き渡す第3モードの移載を行うように、台車、アーム及びサドルを駆動することと、のいずれも実行し得るように構成されていてもよい。高い自由度を活かして、同じ装置を第1モード、第2モード、及び第3モードの3種類の駆動に利用することができる。
【0014】
サドルは、端部軸線まわりにスイングするようにアームの端部に接続され、第1支持面を有するサドルベースと、第1支持面に垂直な第2支持面を構成するようにサドルベースから突出したフィンガと、第2支持面に垂直で第1支持面に対向する第3支持面を構成するようにフィンガの端部から突出したチップと、を有し、駆動装置は、第1モードの移載において、搬入位置から鋼材を受け取る際、及び搬出位置に鋼材を引き渡す際のいずれにおいても、第1支持面によって下方から鋼材を支持するようにアーム及びサドルを駆動し、第2モードの移載において、搬入位置から鋼材を受け取る際には第1支持面によって下方から鋼材を支持し、搬出位置に鋼材を引き渡す際には第2支持面によって下方から鋼材を支持するようにアーム及びサドルを駆動し、第3モードの移載において、搬入位置から鋼材を受け取る際には第1支持面によって下方から鋼材を支持し、搬出位置に鋼材を引き渡す際には第3支持面によって下方から鋼材を支持するようにアーム及びサドルを駆動してもよい。第1モード、第2モード、及び第3モードの3種類の駆動に適応可能な装置を、簡素なサドルの構成にて実現することができる。
【0015】
端部軸線に沿った方向から見て、フィンガからのチップの突出長が、第1支持面の幅よりも小さくてもよい。各モードにおいて、鋼材の保持及び解放を容易に行うことができる。
【0016】
本開示の他の側面に係る鋼材移載方法は、水平な第1方向に沿って鋼材が搬入される搬入位置と、第1方向に交差する水平な第2方向に沿って鋼材が搬出される搬出位置との間において、水平な円軌道に沿って往復可能な台車を、搬入位置の近傍の受取用ベース位置に移動させることと、台車上に設けられたアームを円軌道に垂直な基部軸線まわりにスイングさせ、アームの端部に接続されたサドルを基部軸線に平行な端部軸線まわりにスイングさせて、搬入位置から鋼材を受け取る受取位置にサドルを配置することと、台車を搬出位置の近傍の引渡用ベース位置に移動させることと、アームを基部軸線まわりにスイングさせ、サドルを端部軸線まわりにスイングさせて、搬出位置に鋼材を引き渡す引渡位置にサドルを配置することと、を含む。
【0017】
この移載方法によれば、サドルを受取位置に配置する際、及びサドルを引渡位置に配置する際のいずれにおいても、アーム及びサドルの両方がスイングする。このため、移載装置の構成を、高い自由度での鋼材の搬送に有効活用することができる。
【0018】
引渡位置にサドルを配置することは、基部軸線及び端部軸線に平行な中間軸線まわりにアームを屈曲させて、搬入位置とは高さが異なる搬出位置に鋼材を引き渡し可能な引渡位置にサドルを配置することを含んでもよい。この移載方法によれば、アームを屈曲させる自由度を、搬入位置から、搬入位置とは高さが異なる搬出位置への鋼材の移載に有効活用することができる。
【0019】
引渡位置にサドルを配置することは、受取位置におけるサドルの姿勢を基準にしてサドルを転回させることなく引渡位置に配置することを含んでもよい。移載装置の構成を、第1モードによる鋼材の移載に有効活用することができる。
【0020】
引渡位置にサドルを配置することは、受取位置におけるサドルの姿勢を基準にして、端部軸線まわりにサドルを90°転回させて引渡位置に配置することを含んでもよい。移載装置の構成を、第2モードによる鋼材の移載に有効活用することができる。
【0021】
引渡位置にサドルを配置することは、受取位置におけるサドルの姿勢を基準にして、端部軸線まわりにサドルを180°転回させて引渡位置に配置することを含んでもよい。移載装置の構成を、第3モードによる鋼材の移載に有効活用することができる。
【発明の効果】
【0022】
本開示によれば、より高い自由度で鋼材を移載するのに有効な鋼材移載装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】搬送システムを例示する平面図である。
図2】搬送システムを例示する平面図である。
図3図1中のIII-III線矢視図である。
図4図2中のIV-IV線矢視図である。
図5】サドル駆動装置の構成を例示する模式図である。
図6】アーム駆動装置及びサドル駆動装置の構成を例示する模式図である。
図7】サドル駆動装置の変形例を示す模式図である。
図8】制御装置を例示するブロック図である。
図9】第1モードの移載手順を例示する模式図である。
図10】第1モードの移載手順を例示する模式図である。
図11】第1モードの移載手順を例示する模式図である。
図12】第2モードの移載手順を例示する模式図である。
図13】第3モードの移載手順を例示する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、実施形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0025】
図1に示す搬送システム1は、長手方向LDを有する鋼材9を搬送するシステムである。長手方向LDを有する鋼材9の具体例としては、圧延により形成される圧延材、又は圧延材の形成工程における中間生成物が挙げられる。中間生成物の具体例としては、連続鋳造材等が挙げられる。図1に示すように、搬送システム1は、駆動装置20と、第2搬送装置80と、鋼材移載装置10とを有する。
【0026】
第1搬送装置70は、鋼材9の長手方向LDを水平な第1方向D1に沿わせた状態にて、第1方向D1に沿って鋼材9を搬送する。例えば第1搬送装置70は、第1方向D1に沿って並ぶ複数のローラ71を備える。複数のローラ71のそれぞれは、鋼材9を支持し、第1方向D1に直交する水平な軸線周りに回転して鋼材9を搬送する。
【0027】
第2搬送装置80は、鋼材9の長手方向LDを水平な第2方向D2に沿わせた状態にて、第2方向D2に沿って鋼材9を搬送する。第2方向D2は第1方向D1に交差(例えば直交)する。なお、ここでの交差は、所謂立体交差のように、互いにねじれの位置にある関係を含む。例えば第2搬送装置80は、第2方向D2に沿って並ぶ複数のローラ81を備える。複数のローラ81のそれぞれは、鋼材9を支持し、第2方向D2に直交する水平な軸線周りに回転して鋼材9を搬送する。
【0028】
鋼材移載装置10は、第1搬送装置70から第2搬送装置80に鋼材9を移載する。例えば鋼材移載装置10は、搬入位置P1から搬出位置P2に鋼材9を移載する。搬入位置P1は、長手方向LDを第1方向D1に沿わせた状態で、第1搬送装置70により鋼材9が搬入される位置である。搬出位置P2は、長手方向LDを第2方向D2に沿わせた状態で、第2搬送装置80により鋼材9が搬出される位置である。
【0029】
上方から見て、第1搬送装置70による鋼材9の搬送経路R1と、第2搬送装置80による鋼材9の搬送経路R2とは、交点JPにおいて交わっている。搬入位置P1は、搬送経路R1において、交点JPの近傍に位置している。搬出位置P2は、搬送経路R2において、交点JPの近傍に位置している。
【0030】
鋼材移載装置10は、旋回装置11と、受渡装置12と、駆動装置20とを備える。旋回装置11は、長手方向LDが第1方向D1に沿うように配置された鋼材9を、長手方向LDが第2方向D2に沿うように旋回させる。旋回装置11は、台車111を有する。台車111は、搬入位置P1と搬出位置P2との間において、水平な円軌道114に沿って往復する。例えば台車111は、円軌道114の中心を通る鉛直な旋回軸線113まわりに旋回する。台車111は、円軌道114に沿ったレール115上を走行して、搬入位置P1の近傍の受取用ベース位置P11と、搬出位置P2の近傍の引渡用ベース位置P12との間を往復する。
【0031】
受渡装置12は、旋回装置11上に設けられており、旋回装置11が受取用ベース位置P11に位置する状態で搬入位置P1から鋼材9を受け取り、旋回装置11が引渡用ベース位置P12に位置する状態で搬出位置P2に鋼材9を引き渡す。例えば受渡装置12は、複数の受渡ユニット13を有する。複数の受渡ユニット13は、円軌道114に直交する水平な配列方向ADに沿って並んでいる。台車111が受取用ベース位置P11に位置する状態で、複数の受渡ユニット13は、第1方向D1に沿って複数のローラ71と交互に並ぶ。複数の受渡ユニット13のそれぞれは、ローラ71とローラ71との間において、搬入位置P1から鋼材9を受け取る。
【0032】
図2に示すように、台車111が引渡用ベース位置P12に位置する状態で、複数の受渡ユニット13は、第2方向D2に沿って複数のローラ81と交互に並び、複数の受渡ユニット13のそれぞれは、ローラ81とローラ81との間において、搬出位置P2に鋼材9を引き渡す。
【0033】
図3に示すように、複数の受渡ユニット13のそれぞれは、アーム14と、サドル15とを有する。アーム14は、円軌道114に交差(例えば直交)する水平な基部軸線141まわりにスイングするように台車111上に設けられている。例えば台車111は、上方に突出したアーム支持部112を有し、アーム14は、基部軸線141まわりにスイングするようにアーム支持部112の上端に接続されている。
【0034】
アーム14は、基部軸線141から遠ざかる方向に延びている。サドル15は、基部軸線141に平行な端部軸線151まわりにスイングするようにアーム14の端部に接続されており、搬入位置P1から搬出位置P2への移載対象の鋼材9を支持する。
【0035】
例えばサドル15は、サドルベース152と、フィンガ153と、チップ154とを有する。サドルベース152は、基部軸線141に平行な端部軸線151わりにスイングするようにアーム14の端部に接続されている。サドルベース152は、平面状の端面155を有する。
【0036】
端面155は、縁161,縁162を有する。縁161,縁162は、端部軸線151まわりのサドル15のスイング方向に並んでいる。フィンガ153は、縁161,縁162の間において、端面155の法線に沿ってサドルベース152から突出している。
【0037】
フィンガ153は、縁161,縁162の間において縁161寄りに位置している。端面155のうち、フィンガ153と縁162との間の部分は、鋼材9を支持する第1支持面156として用いられる。フィンガ153は、第1支持面156に垂直な第2支持面157を構成する。後述するように、第2支持面157によっても鋼材9を支持することが可能である。
【0038】
チップ154は、第2支持面157の法線に沿って、フィンガ153の端部から突出している。チップ154は、第1支持面156に対向する第3支持面158を構成する。後述するように、第3支持面158によっても鋼材9を支持することが可能である。端部軸線151に沿った方向から見て、フィンガ153からのチップ154の突出長L1は、第1支持面156の幅W1よりも小さい。
【0039】
このようなサドル15の構成によれば、第1支持面156、第2支持面157及び第3支持面158のいずれによっても鋼材9を支持することが可能である。このため、第1支持面156、第2支持面157及び第3支持面158のいずれかが上方に向けながら、鋼材9を支持したままサドル15を転回させることができる。これにより、端部軸線151に平行な転回軸線まわりに鋼材9を転回させることができる。
【0040】
サドル15の構成はあくまで一例である。鋼材9を支持したまま転回させ得る限り、サドル15の構成は適宜変更可能である。例えばサドル15は、鋼材9を一対のフィンガにより把持するように構成されていてもよい。
【0041】
アーム14は、中間関節142を有し、基部軸線141及び端部軸線151に平行な中間軸線143まわりに中間関節142で屈曲するように構成されていてもよい。例えばアーム14は、第1アーム144と、第2アーム145とを有する。第1アーム144は、基部軸線141まわりにスイングするようにアーム支持部112の上端に接続されており、基部軸線141から遠ざかる方向に延びている。第2アーム145は、中間軸線143まわりにスイングするように第1アーム144の端部に接続されており、中間軸線143から遠ざかる方向に延びている。サドル15は、端部軸線151まわりにスイングするように第2アーム145の端部に接続されている。
【0042】
アーム14が中間軸線143まわりに屈曲することによって、基部軸線141と端部軸線151との間隔が変わる。なお、ここに示したアーム14の構成はあくまで一例である。アーム14は、二箇所以上の中間関節において屈曲するように構成されていてもよい。
【0043】
駆動装置20は、搬入位置P1から鋼材9を受け取る受取位置と、搬出位置P2に鋼材を引き渡す引渡位置とにサドル15を配置するように、台車111、アーム14、及びサドル15を駆動する。例えば駆動装置20は、旋回駆動装置21と、アーム駆動装置22と、サドル駆動装置23とを有する。旋回駆動装置21は、円軌道114に沿って台車111を往復させる。例えば旋回駆動装置21は、モータ等の動力源が発生する動力によって、台車111を往復させる。
【0044】
アーム駆動装置22は、基部軸線141まわりにアーム14をスイングさせる。例えばアーム駆動装置22は、モータ等の動力源が発生する動力によって、アーム14をスイングさせる。
【0045】
サドル駆動装置23は、アーム14のスイングとは独立して端部軸線151まわりにサドル15をスイングさせる。例えばサドル駆動装置23は、モータ等の動力源が発生する動力によって、サドル15をスイングさせる。
【0046】
このように構成された駆動装置20によれば、搬入位置P1においてサドル15が受け取った鋼材9を、端部軸線151に平行な転回軸線まわりに転回させることなく搬出位置P2に引き渡す第1モードの移載を行うように、台車111、アーム14及びサドル15を駆動することができる。搬入位置P1においてサドル15が受け取った鋼材9を、転回軸線まわりに90°転回させて搬出位置P2に引き渡すように、台車111、アーム14及びサドル15を駆動することもできる。搬入位置P1においてサドル15が受け取った鋼材9を、転回軸線まわりに180°転回させて搬出位置P2に引き渡す第3モードの移載を行うように、台車111、アーム14及びサドル15を駆動することもできる。
【0047】
例えば第1モードの移載において、駆動装置20は、搬入位置P1から鋼材9を受け取る際、及び搬出位置P2に鋼材9を引き渡す際のいずれにおいても、第1支持面156によって下方から鋼材9を支持するようにアーム14及びサドル15を駆動する。第2モードの移載において、駆動装置20は、搬入位置P1から鋼材9を受け取る際には第1支持面156によって下方から鋼材9を支持し、搬出位置P2に鋼材9を引き渡す際には第2支持面157によって下方から鋼材9を支持するようにアーム14及びサドル15を駆動する。第3モードの移載において、駆動装置20は、搬入位置P1から鋼材9を受け取る際には第1支持面156によって下方から鋼材9を支持し、搬出位置P2に鋼材9を引き渡す際には第3支持面158によって下方から鋼材9を支持するようにアーム14及びサドル15を駆動する。
【0048】
駆動装置20は、関節駆動装置24を更に有してもよい。関節駆動装置24は、アーム14のスイング及びサドル15のスイングとは独立して、中間軸線143まわりにアーム14を屈曲させる。例えば関節駆動装置24は、油圧シリンダ等の動力源が発生する動力によって、アーム14を屈曲又は伸展させる。
【0049】
関節駆動装置24を有する駆動装置20によれば、アーム14の屈曲角度を変更することによって、搬入位置P1から鋼材9を受け取る際、及び搬出位置P2に鋼材9を引き渡す際のそれぞれにおけるサドル15の高さを自在に調節することができる。図3及び図4は、第3モードの移載が行われる場合におけるアーム14及びサドル15の状態を例示している。
【0050】
図3において、サドル15は、第1支持面156によって下方から鋼材9を支持する受取位置P21に配置されている。図4において、サドル15は、第3支持面158によって下方から鋼材9を支持する引渡位置P33に配置されている。図3及び図4の例において、アーム駆動装置22は、受取位置P21にサドル15を配置する際と、引渡位置P33にサドル15を配置する際とで、台車111に対するアーム14のスイング角度(台車111に対する第1アーム144のスイング角度)を変更している。サドル駆動装置23は、受取位置P21にサドル15を配置する際と、引渡位置P33にサドル15を配置する際とで、アーム14に対するサドル15のスイング角度(第2アーム145に対するサドル15のスイング角度)を変更している。
【0051】
更に、関節駆動装置24は、受取位置P21にサドル15を配置する際と、引渡位置P33にサドル15を配置する際とで、アーム14の屈曲角度を変更している。アーム14の屈曲角度を変えて、基部軸線141と端部軸線151との間の距離を変えることで、搬入位置P1とは高さが異なる搬出位置P2に鋼材9を引き渡し可能な引渡位置P33にサドル15が配置されている。例えば、受取位置P21にサドル15を配置する際に比較して、引渡位置P33にサドル15を配置する際に基部軸線141と端部軸線151との間の距離を大きくすることで、搬入位置P1よりも高い搬出位置P2に鋼材9を引き渡し可能な引渡位置P33にサドル15が配置されている。
【0052】
図5に示すように、サドル駆動装置23は、モータ231と、伝達ユニット232とを有してもよい。モータ231は、例えば電動式の回転モータであり、台車111に設けられている。伝達ユニット232は、モータ231の駆動力をアーム14に沿ってサドル15に伝達する。伝達ユニット232は、モータ231が停止した状態において、アーム14がスイング又は屈曲しても、鉛直方向に対するサドル15の姿勢を一定に保つように構成されていてもよい。
【0053】
例えば伝達ユニット232は、モータ231により駆動されるピボット歯車233と、第1アーム144と第2アーム145との間の中間関節142に設けられた関節歯車235と、サドル15に直結されたサドル軸歯車234と、これら歯車間に設置される複数の伝達歯車236とを有する。関節歯車235は、第1アーム144及び第2アーム145のいずれに対しても、中間軸線143まわりに回転自在である。ピボット歯車233と関節歯車235との間にはピボット歯車233の回転を関節歯車235に伝達する奇数個の伝達歯車236が配置される。関節歯車235とサドル軸歯車234との間には関節歯車235の回転をサドル軸歯車234に伝達する奇数個の伝達歯車236が配置される。ピボット歯車233と、関節歯車235と、サドル軸歯車234と、伝達歯車236とは、互いに同じPCD(Pitch Circle Diameter)及び歯数を有する。ピボット歯車233と、奇数個の伝達歯車236と、関節歯車235と、奇数個の伝達歯車236と、サドル軸歯車234とは、アーム14に沿って配置されている。
【0054】
この構成によれば、アーム14がスイング又は屈曲しても、ピボット歯車233に対するサドル軸歯車234の角度は一定に保たれる。モータ231が停止している場合には、鉛直方向に対するピボット歯車233の姿勢が一定に保たれるので、鉛直方向に対するサドル軸歯車234の姿勢も一定に保たれる。このため、鉛直方向に対するサドル15の姿勢が一定に保たれる。
【0055】
モータ231がピボット歯車233を回転させると、サドル軸歯車234がピボット歯車233と同じ方向に同じ角度で回転する。このため、アーム14のスイングとは独立してサドル15をスイングさせることができる。
【0056】
図6に示すように、アーム駆動装置22は、モータ221と、アーム軸歯車222とを有してもよい。モータ221は、例えば電動式の回転モータであり、台車111に設けられている。アーム軸歯車222は、モータ221の駆動力を第2アーム145に伝達する。例えばアーム軸歯車222はアーム軸223に固定され、アーム軸223は第1アーム144に固定されている。アーム軸223は、基部軸線141に沿って延び、アーム支持部112により回転自在に支持されている。上述したピボット歯車233は、アーム軸223の外周に装着されている。ピボット歯車233はアーム軸223に固定されていないので、モータ221によるアーム軸223の回転駆動と、モータ231によるピボット歯車233の回転駆動とを互いに独立して行うことが可能となっている。
【0057】
伝達ユニット232の構成は、歯車列を用いた構成に限られない。例えば図7に示すように、伝達ユニット232は、スプロケット251,252,253と、環状伝達部材254と、環状伝達部材255とを有してもよい。スプロケット251は、モータ231により駆動される。スプロケット252はサドル15に直結されている。スプロケット253は、第1アーム144及び第2アーム145のいずれに対しても、中間軸線143まわりに回転自在である。スプロケット251,252,253は、互いに同じPCD(Pitch Circle Diameter)及び歯数を有する。環状伝達部材254は、スプロケット251の回転をスプロケット253に伝達するように、スプロケット251とスプロケット253とに掛け渡されている。環状伝達部材255は、スプロケット253の回転をスプロケット252に伝達するように、スプロケット252とスプロケット253とに掛け渡されている。
【0058】
この構成によれば、アーム14がスイング又は屈曲しても、スプロケット251に対するスプロケット252の角度は一定に保たれる。モータ231が停止している場合には、鉛直方向に対するスプロケット251の姿勢が一定に保たれるので、鉛直方向に対するスプロケット252の姿勢も一定に保たれる。このため、鉛直方向に対するサドル15の姿勢が一定に保たれる。
【0059】
モータ231がスプロケット251を回転させると、スプロケット252がスプロケット251と同じ方向に同じ角度で回転する。このため、アーム14のスイングとは独立してサドル15をスイングさせることができる。
【0060】
図8に示すように、鋼材移載装置10は、制御装置30を更に備えてもよい。制御装置30は、搬入位置P1から搬出位置P2への鋼材9の移載を鋼材移載装置10に実行させるように、旋回駆動装置21と、アーム駆動装置22と、サドル駆動装置23と、関節駆動装置24とを制御する。
【0061】
例えば、制御装置30が鋼材移載装置10に実行させる鋼材9の移載は、台車111を受取用ベース位置P11に移動させることと、アーム14を基部軸線141まわりにスイングさせ、サドル15を端部軸線151まわりにスイングさせて、搬入位置P1から鋼材9を受け取る受取位置にサドル15を配置することと、台車111を引渡用ベース位置P12に移動させることと、アーム14を基部軸線141まわりにスイングさせ、サドル15を端部軸線151まわりにスイングさせて、搬出位置P2に鋼材9を引き渡す引渡位置にサドル15を配置することと、を含む。
【0062】
引渡位置にサドル15を配置することは、中間軸線143まわりにアーム14を屈曲させて、搬入位置P1とは高さが異なる搬出位置P2に鋼材9を引き渡し可能な引渡位置にサドル15を配置することを含んでもよい。引渡位置にサドル15を配置することは、受取位置におけるサドル15の姿勢を基準にしてサドル15を転回させることなく引渡位置に配置することを含んでもよい。これにより、上記第1モードの移載が行われる。
【0063】
例えば制御装置30は、旋回駆動装置21により受取用ベース位置P11に台車111を移動させた後、図9の(a)に示すように、上記受取位置P21にサドル15を配置するようにアーム駆動装置22、サドル駆動装置23及び関節駆動装置24を制御する。次に、制御装置30は、図9の(b)に示すように、鋼材9を支持したサドル15を上昇させるように、アーム駆動装置22により第1アーム144をスイングさせる。次に、制御装置30は、旋回駆動装置21により引渡用ベース位置P12に台車111を移動させる。台車111が引渡用ベース位置P12に移動する間、制御装置30は、図10の(a)及び(b)に示すように、サドル15を搬出位置P2の上方に配置するように、アーム駆動装置22及び関節駆動装置24を制御する。例えば制御装置30は、第1アーム144を搬出位置P2側に傾けるように、アーム駆動装置22により第1アーム144をスイングさせながら、基部軸線141と端部軸線151との間の距離を大きくするように、関節駆動装置24によりアーム14を伸展させる。
【0064】
図9の(a)から図10の(b)に至るまで、制御装置30は、モータ231を動作させない。このため、サドル15は、第1支持面156が上方に向いた状態に維持される。台車111が引渡用ベース位置P12に移動し、サドル15が搬出位置P2の上方に配置された後、制御装置30は、図11の(a)、図11の(b)及び図11の(c)に示すように、第1支持面156を上方に向けたまま引渡位置P31にサドル15を配置し、第1支持面156上から搬出位置P2に鋼材9を引き渡すように、アーム駆動装置22及び関節駆動装置24を制御する。
【0065】
引渡位置にサドル15を配置することは、受取位置におけるサドル15の姿勢を基準にして、端部軸線151まわりにサドル15を90°転回させて引渡位置に配置することを含んでもよい。これにより、上記第2モードの移載が行われる。例えば制御装置30は、第1モードの移載の場合と同様に、受取位置P21において第1支持面156により下方から鋼材9を支持したサドル15を、搬出位置P2の上方に配置するように旋回駆動装置21、アーム駆動装置22及び関節駆動装置24を制御する(図9の(a)~図10の(b)参照)。台車111が引渡用ベース位置P12に移動し、サドル15が搬出位置P2の上方に配置された後、制御装置30は、モータ231によりサドル15を転回させる。例えば制御装置30は、図12の(a)、図12の(b)、及び図12の(c)に示すように、モータ231によりサドル15を90°転回させ、第2支持面157を上方に向けたまま引渡位置P32にサドル15を配置し、第2支持面157上から搬出位置P2に鋼材9を引き渡すようにアーム駆動装置22及び関節駆動装置24を制御する。
【0066】
引渡位置にサドル15を配置することは、受取位置におけるサドル15の姿勢を基準にして、端部軸線151まわりにサドル15を180°転回させて引渡位置に配置することを含んでもよい。これにより、上記第3モードの移載が行われる。例えば制御装置30は、第1モードの移載の場合と同様に、受取位置P21において第1支持面156により下方から鋼材9を支持したサドル15を、搬出位置P2の上方に配置するように旋回駆動装置21、アーム駆動装置22及び関節駆動装置24を制御する(図9の(a)~図10の(b)参照)。台車111が引渡用ベース位置P12に移動し、サドル15が搬出位置P2の上方に配置された後、制御装置30は、モータ231によりサドル15を転回させる。例えば制御装置30は、図13の(a)、図13の(b)、及び図13の(c)に示すように、第2支持面157が上方に向いた状態を経て、モータ231によりサドル15を180°転回させ、第3支持面158を上方に向けたまま引渡位置P33にサドル15を配置し、第3支持面158上から搬出位置P2に鋼材9を引き渡すようにアーム駆動装置22及び関節駆動装置24を制御する。
【0067】
〔実施形態の効果〕
以上に説明したように、鋼材移載装置10は、長手方向LDを有する鋼材9が、長手方向LDを水平な第1方向に沿わせた状態で搬入される搬入位置と、第1方向に交差する水平な第2方向に長手方向LDを沿わせた状態で鋼材9が搬出される搬出位置との間において、水平な円軌道114に沿って往復する台車111と、円軌道114に交差する水平な基部軸線141まわりにスイングするように台車111上に設けられたアーム14と、基部軸線141に平行な端部軸線151まわりにスイングするようにアーム14の端部に接続されたサドル15と、搬入位置から鋼材9を受け取る受取位置P21と、搬出位置に鋼材9を引き渡す引渡位置P31,P32,P33とにサドル15を配置するように、台車111、アーム14、及びサドル15を駆動する駆動装置20と、を備える。
【0068】
この鋼材移載装置10は、台車111の上に、基部軸線141まわりにアーム14をスイングさせる自由度と、端部軸線151まわりにサドル15をスイングさせる自由度と、の少なくとも2自由度を有する。
従って、より高い自由度で鋼材9を移載するのに有効である。
【0069】
駆動装置20は、基部軸線141まわりにアーム14をスイングさせるアーム駆動装置22と、アーム14のスイングとは独立して端部軸線151まわりにサドル15をスイングさせるサドル駆動装置23と、を有してもよい。基部軸線141まわりのアーム14のスイング角度と、端部軸線151まわりのサドル15のスイング角度とを互いに独立して変更し得るので、より高い自由度で鋼材9を移載するのに有効である。
【0070】
アーム14は、中間関節142を有し、基部軸線141及び端部軸線151に平行な中間軸線143まわりに中間関節142で屈曲するように構成されており、駆動装置20は、アーム14のスイング及びサドル15のスイングとは独立して、中間軸線143まわりにアーム14を屈曲させる関節駆動装置24を更に有してもよい。基部軸線141まわりのアーム14のスイング角度、及び端部軸線151まわりのサドル15のスイング角度とは独立して、基部軸線141と端部軸線151との間の距離を変更し得る。このため、搬入位置と搬出位置との位置関係の様々なバリエーションに柔軟に適応することが可能となる。例えば、搬入位置と搬出位置との高さが異なる場合にも柔軟に適応することが可能となる。従って、より高い自由度で鋼材9を移載するのに有効である。
【0071】
サドル駆動装置23は、台車111に設けられたモータ231と、モータ231の駆動力をアーム14に沿ってサドル15に伝達する伝達ユニット232とを有してもよい。モータ231をサドル15から遠ざけて配置することで、サドル15の耐熱性を向上させることができる。
【0072】
伝達ユニット232は、モータ231が停止した状態において、アーム14がスイング又は屈曲しても鉛直方向に対するサドル15の姿勢を一定に保つように構成されていてもよい。移載中における鋼材9の姿勢を容易に安定化させることができる。
【0073】
アーム駆動装置22は、受取位置P21にサドル15を配置する際と、引渡位置P31,P32,P33にサドル15を配置する際とで、台車111に対するアーム14のスイング角度を変更し、サドル駆動装置23は、受取位置P21にサドル15を配置する際と、引渡位置P31,P32,P33にサドル15を配置する際とで、アーム14に対するサドル15のスイング角度を変更してもよい。搬入位置と搬出位置との位置関係の様々なバリエーションに柔軟に適応することができる。
【0074】
関節駆動装置24は、受取位置P21にサドル15を配置する際と、引渡位置P31,P32,P33にサドル15を配置する際とで、アーム14の屈曲角度を変更してもよい。搬入位置と搬出位置との位置関係の様々なバリエーションに柔軟に適応することができる。
【0075】
駆動装置20は、搬入位置においてサドル15が受け取った鋼材9を、端部軸線151に平行な転回軸線まわりに転回させることなく搬出位置に引き渡す第1モードの移載を行うように、台車111、アーム14、及びサドル15を駆動することと、搬入位置においてサドル15が受け取った鋼材9を、転回軸線まわりに90°転回させて搬出位置に引き渡す第2モードの移載を行うように、台車111、アーム14及びサドル15を駆動することと、搬入位置においてサドル15が受け取った鋼材9を、転回軸線まわりに180°転回させて搬出位置に引き渡す第3モードの移載を行うように、台車111、アーム14及びサドル15を駆動することと、のいずれも実行し得るように構成されていてもよい。高い自由度を活かして、同じ装置を第1モード、第2モード、及び第3モードの3種類の駆動に利用することができる。
【0076】
サドル15は、端部軸線151まわりにスイングするようにアーム14の端部に接続され、第1支持面156を有するサドルベース152と、第1支持面156に垂直な第2支持面157を構成するようにサドルベース152から突出したフィンガ153と、第2支持面157に垂直で第1支持面156に対向する第3支持面158を構成するようにフィンガ153の端部から突出したチップ154と、を有し、駆動装置20は、第1モードの移載において、搬入位置から鋼材9を受け取る際、及び搬出位置に鋼材9を引き渡す際のいずれにおいても、第1支持面156によって下方から鋼材9を支持するようにアーム14及びサドル15を駆動し、第2モードの移載において、搬入位置から鋼材9を受け取る際には第1支持面156によって下方から鋼材9を支持し、搬出位置に鋼材9を引き渡す際には第2支持面157によって下方から鋼材9を支持するようにアーム14及びサドル15を駆動し、第3モードの移載において、搬入位置から鋼材9を受け取る際には第1支持面156によって下方から鋼材9を支持し、搬出位置に鋼材9を引き渡す際には第3支持面158によって下方から鋼材9を支持するようにアーム14及びサドル15を駆動してもよい。第1モード、第2モード、及び第3モードの3種類の駆動に適応可能な装置を、簡素なサドル15の構成にて実現することができる。
【0077】
端部軸線151に沿った方向から見て、フィンガ153からのチップ154の突出長が、第1支持面156の幅よりも小さくてもよい。各モードにおいて、鋼材9の保持及び解放を容易に行うことができる。
【0078】
鋼材移載装置10による鋼材移載方法は、水平な第1方向に沿って鋼材9が搬入される搬入位置と、第1方向に交差する水平な第2方向に沿って鋼材9が搬出される搬出位置との間において、水平な円軌道114に沿って往復可能な台車111を、搬入位置の近傍の受取用ベース位置P11に移動させることと、台車111上に設けられたアーム14を円軌道114に垂直な基部軸線141まわりにスイングさせ、アーム14の端部に接続されたサドル15を基部軸線141に平行な端部軸線151まわりにスイングさせて、搬入位置から鋼材9を受け取る受取位置P21にサドル15を配置することと、台車111を搬出位置の近傍の引渡用ベース位置P12に移動させることと、アーム14を基部軸線141まわりにスイングさせ、サドル15を端部軸線151まわりにスイングさせて、搬出位置に鋼材9を引き渡す引渡位置P31,P32,P33にサドル15を配置することと、を含む。
【0079】
この移載方法によれば、サドル15を受取位置P21に配置する際、及びサドル15を引渡位置P31,P32,P33に配置する際のいずれにおいても、アーム14及びサドル15の両方がスイングする。このため、移載装置の構成を、高い自由度での鋼材9の搬送に有効活用することができる。
【0080】
引渡位置P31,P32,P33にサドル15を配置することは、基部軸線141及び端部軸線151に平行な中間軸線143まわりにアーム14を屈曲させて、搬入位置とは高さが異なる搬出位置に鋼材9を引き渡し可能な引渡位置P31,P32,P33にサドル15を配置することを含んでもよい。この移載方法によれば、アーム14を屈曲させる自由度を、搬入位置から、搬入位置とは高さが異なる搬出位置への鋼材9の移載に有効活用することができる。
【0081】
引渡位置P31,P32,P33にサドル15を配置することは、受取位置P21におけるサドル15の姿勢を基準にしてサドル15を転回させることなく引渡位置P31,P32,P33に配置することを含んでもよい。移載装置の構成を、第1モードによる鋼材9の移載に有効活用することができる。
【0082】
引渡位置P31,P32,P33にサドル15を配置することは、受取位置P21におけるサドル15の姿勢を基準にして、端部軸線151まわりにサドル15を90°転回させて引渡位置P31,P32,P33に配置することを含んでもよい。移載装置の構成を、第2モードによる鋼材9の移載に有効活用することができる。
【0083】
引渡位置P31,P32,P33にサドル15を配置することは、受取位置P21におけるサドル15の姿勢を基準にして、端部軸線151まわりにサドル15を180°転回させて引渡位置P31,P32,P33に配置することを含んでもよい。移載装置の構成を、第3モードによる鋼材9の移載に有効活用することができる。
【0084】
以上、実施形態について説明したが、本発明は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0085】
10…鋼材移載装置、111…台車、114…円軌道、P11…受取用ベース位置、P12…引渡用ベース位置、14…アーム、141…基部軸線、15…サドル、151…端部軸線、152…サドルベース、156…第1支持面、153…フィンガ、157…第2支持面、154…チップ、158…第3支持面、142…中間関節、143…中間軸線、P21…受取位置、P31,P32,P33…引渡位置、20…駆動装置、22…アーム駆動装置、24…関節駆動装置、23…サドル駆動装置、231…モータ、232…伝達ユニット、233…ピボット歯車、234…サドル軸歯車、235…関節歯車、9…鋼材、LD…長手方向。
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