(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023060616
(43)【公開日】2023-04-28
(54)【発明の名称】作業機械バケットに用いる横型ロックピン構造、及び該横型ロックピン構造を備える作業機械バケット
(51)【国際特許分類】
E02F 9/28 20060101AFI20230421BHJP
【FI】
E02F9/28 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021170304
(22)【出願日】2021-10-18
(71)【出願人】
【識別番号】397072617
【氏名又は名称】越後商事株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080528
【弁理士】
【氏名又は名称】下山 冨士男
(74)【代理人】
【識別番号】100073601
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 和男
(72)【発明者】
【氏名】岡▲崎▼ 満
【テーマコード(参考)】
2D015
【Fターム(参考)】
2D015JA04
(57)【要約】 (修正有)
【課題】着脱操作時の操作性の簡略容易化と強打撃の不要化による作業者の安全性の向上を図った作業機械バケットに用いる横型ロックピン構造を提供する。
【解決手段】作業機械バケットの掘削縁部側に取り付けたアダプタ2に対して、このアダプタ2に嵌着するツース盤3をロック、又はロック解除可能に連結するように構成した横型ロックピン構造1で、前記アダプタ2及びツース盤3に、各々横方向に貫通するロック受体21用の溝孔4及び横型ロックピン11用の挿通穴5を連通状態に設け、この挿通穴に挿通配置した横型ロックピン本体12外周の前記挿通穴5との係合と、前記溝孔4に固定配置した突出ピン構造のロック受体21に対する前記横型ロックピン本体回転操作に基づいて、横型ロックピン本体11に設けた溝部とロック受体21の前記突出ピン構造とのロック嵌合による一体化、又はロック嵌合解除による一体化解除を行う。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業機械バケットの掘削縁部側に取り付けたアダプタに対して、このアダプタに嵌着するツース盤をロック又はロック解除可能に連結する横型ロックピン構造であって、
前記アダプタ及びツース盤に各々横方向に貫通するロック受体用の溝孔及び横型ロックピン用の挿通穴を連通状態に設け、
前記挿通穴に挿通配置した横型ロックピン構造を構成する横型ロックピン本体外周の前記挿通穴との係合と、前記溝孔に固定配置した突出ピン構造のロック受体に対する前記横型ロックピン本体の回転操作に基づいて、前記横型ロックピン本体に設けた溝部と前記突出ピンとのロック嵌合による一体化又はロック嵌合解除による一体化解除とにより、前記アダプタと前記ツース盤とを、ロック状態又はロック解除状態とするにようにしたことを特徴とする作業機械バケットに用いる横型ロックピン構造。
【請求項2】
作業機械バケットの掘削縁部側に取り付けたアダプタに対して、このアダプタに嵌着するツース盤をロック又はロック解除可能に連結する横型ロックピン構造であって、
前記アダプタ及びツース盤に各々横方向に貫通するロック受体用の溝孔及び横型ロックピン用の挿通穴を連通状態に設け、
前記挿通穴に挿通配置した横型ロックピン構造を構成する横型ロックピン本体外周の前記挿通穴との係合と、前記溝孔に固定配置した半球状の金属突出ピン構造でその周囲にゴム材からなる突出ピン保持体を一体形成してなるロック受体に対する前記横型ロックピン本体の回転操作に基づいて、前記横型ロックピン本体に設けた溝部と前記突出ピンとのロック嵌合による一体化又はロック嵌合解除による一体化解除とにより、前記アダプタと前記ツース盤とを、ロック状態又はロック解除状態とするにようにしたことを特徴とする作業機械バケットに用いる横型ロックピン構造。
【請求項3】
前記横型ロックピン本体の外周には、その長手方向に挿入ラインを形成するガイド凹部を設けていることを特徴とする請求項1又は2記載の作業機械バケットに用いる横型ロックピン構造。
【請求項4】
前記横型ロックピン本体の中央部には、円周方向に沿って溝部が設けられ、この溝部はピン挿入ライン側のガイド凹部、続くピン円周溝部、続くピンロック用溝部の3連構成であり、横型ロックピン本体の外周面からの深さが、ピン挿入ラインの外周面からの深さ<ピン円周溝部の外周面からの深さ<ピンロック用溝部の外周面からの深さの順に大きく形成していることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の作業機械バケットに用いる横型ロックピン構造。
【請求項5】
前記横型ロックピン本体の両端部には、回転操作用のナット形状部を設けていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の作業機械バケットに用いる横型ロックピン構造。
【請求項6】
前記横型ロックピン本体の円周方向に沿って螺旋溝部が設けられ、この螺旋溝部に前記ロック受体の金属突出ピン構造に対応して、ガイド凹部、続くピン円周溝部、続くピンロック用溝部の3連構成を繰り返し形成していることを特徴とする請求項1、2又は請求項5のいずれか1項に記載の作業機械バケットに用いる横型ロックピン構造。
【請求項7】
前記ロック受体用の溝孔に固定配置した円筒状の金属突出ピン構造でその周囲にゴム材からなる突出ピン保持体を一体成型してなるロック受体と、
前記横型ロックピン本体の外周に、その長手方向に挿入ラインを形成するとともに、前記ロック受体の円筒状の金属突出ピンに嵌合させる円筒面形状の溝部を備える横型ロックピン本体と、
を有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の作業機械バケットに用いる横型ロックピン構造。
【請求項8】
前記ロック受体用の溝孔に固定配置した山形状の金属突出ピン構造でその周囲にゴム材からなる突出ピン保持体を一体成型してなるロック受体と、
前記横型ロックピン本体の外周に、その長手方向に挿入ラインを形成するとともに、前記ロック受体の山形状の金属突出ピンに対応する山形凹面形状の溝部を備える横型ロックピン本体と、
を有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の作業機械バケットに用いる横型ロックピン構造。
【請求項9】
前記横型ロックピン本体外周の長手方向に形成される挿入ラインは、1条又は2以上の複数条を備えるようにしたものである請求項3、4、7又は8のいずれか1項に記載の横型ロックピン構造。
【請求項10】
前記横型ロックピン本体の中央部に位置するロック嵌合用の溝部は、1条又は2以上の複数条を備えるようにしたものである請求項1、2、4、7又は8のいずれか1項に記載の横型ロックピン構造。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれか1項に記載の横型ロックピン構造を備えることを特徴とする作業機械バケット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業機械バケットに用いる横型ロックピン構造、及び該横型ロックピン構造を備える作業機械バケットに関し、詳しくは、ロックピンの着脱し易さを考慮して、着脱操作時における操作性の簡略容易化と、強い打撃を必要とすることなく軽度の打ち込みで作業できるようにした作業者の安全性の向上と、を図った作業機械バケットに用いる横型ロックピン構造、及び該横型ロックピン構造を備える作業機械バケットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
昨今、作業機械バケットにおけるアダプタ、ツース盤の一体化構造に関して、縦ピンタイプの固定方法からツース盤等の脱落の少ない横ピンタイプの需要が高まりつつある。
【0003】
しかしながら、従来、多数ある横ピンタイプのロック方法も万能ではなく、様々な問題を内包している。
【0004】
例えば、作業機械用のバケットに付設するポイントツース盤(楔形ツース盤)、及び同じく付設可能な交換式平板ツース(ツース盤)等の歯体をバケットに連結するためのロックピンの特に横型のロックピンにおいて、様々な横型ロックピンが存在するが、それらの多くは着脱の際に、ハンマーを用いた強い打撃作業が必要な場合があり、その打撃作業に伴う作業者の怪我の危険が問題となっている。
【0005】
また、上記のような打撃作業を伴わないロック方法であっても、その構成パーツが多く構造も複雑なために、その取り扱いが非常に煩雑であったり、また、作業時に一層高価なセットが必要となっている。
【0006】
例えば、特許文献1には、横型のロックピンの構成に関するものであり、作業機械バケットの掘削縁部側に列設したアダプタとこのアダプタに嵌装するポイントとを貫く横孔に嵌着する作業機械バケットの横ピンであって、横ピン打ち抜き工具の殴打端部と当接する端面部に凹陥部を設けた構成の作業機械バケットの横ピンが提案されている。
【0007】
しかし、特許文献1の横ピンの場合、横ピン打ち抜き工具、すなわち、ハンマーを使用する構造、形態を前提とするものであり、依然としてハンマーの打撃作業に伴う作業者の怪我の危険性があるという問題を包含している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、従来の上記事情に鑑みて開発されたものであり、着脱し易さを考慮し、着脱操作時の操作性の簡略容易化と、強打撃の不要化による作業者の安全性の向上と、を図った作業機械バケットに用いる横型ロックピン構造、及び該横型ロックピン構造を備える作業機械バケットを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の作業機械バケットに用いる横型ロックピン構造は、作業機械バケットの掘削縁部側に取り付けたアダプタに対して、このアダプタに嵌着するツース盤をロック又はロック解除可能に連結する横型ロックピン構造であって、前記アダプタ及びツース盤に、各々横方向に貫通するロック受体用の溝孔及び横型ロックピン用の挿通穴を連通状態に設けて、前記挿通穴に挿通配置した横型ロックピン構造を構成する横型ロックピン本体外周の前記挿通穴との係合と、前記溝孔に固定配置した突出ピン構造のロック受体に対する前記横型ロックピン本体の回転操作に基づいて、前記横型ロックピン本体に設けた溝部と前記突出ピンとのロック嵌合による一体化、又はロック嵌合解除による一体化解除とにより、前記アダプタと前記ツース盤とを、ロック状態又はロック解除状態とするにようにしたことを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1記載の発明によれば、ロックピンの着脱操作時における操作性の簡略容易化と強打撃の不要化による作業者の安全性の向上を図った優れた機能を発揮する作業機械バケットに用いる横型ロックピン構造を実現し提供することができる。
【0012】
請求項2記載の発明によれば、ロック受体を半球状の金属突出ピン構造とし、横型ロックピン本体側を回転操作に基づき金属突出ピンとのはロック状態又はロック解除状態とする構成の基に、ロックピンの着脱操作時の操作性の簡略容易化と強打撃の不要化による作業者の安全性の向上を図った優れた機能を発揮する作業機械バケットに用いる横型ロックピン構造を実現し提供することができる。
【0013】
請求項3記載の発明によれば、請求項1又は2記載の発明において、横型ロックピン本体の外周にはその長手方向に挿入ラインを形成するガイド凹部を設けていることから、この構成の基に、請求項1又は2記載の発明と同様な効果を奏するとともに、横型ロックピン本体の挿入操作時の取り扱い性が良好な作業機械バケットに用いる横型ロックピン構造を実現し提供することができる。
【0014】
請求項4記載の発明によれば、前記横型ロックピン本体の中央部には円周方向に沿って溝部が設けられ、この溝部はピン挿入ライン側のガイド凹部、続くピン円周溝部、続くピンロック用溝部の3連構成であり、横型ロックピン本体の外周面からの深さがピン挿入ラインの外周面からの深さ<ピン円周溝部の外周面からの深さ<ピンロック用溝部の外周面からの深さの順に大きく形成していることから、この構成の基に、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の発明と同様な効果を奏するとともに、ロックピンの着脱操作時の操作性の簡略容易化と横型ロックピン本体の回転操作に基づく前記横型ロックピン本体に設けた溝部と前記突出ピンとのロック嵌合による一体化又はロック嵌合解除による一体化解除操作の確実性を期すことが可能な作業機械バケットに用いる横型ロックピン構造を実現し提供することができる。
【0015】
請求項5記載の発明によれば、横型ロックピン本体の両端部には、回転操作用のナット形状部を設けていることから、この構成の基に、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の発明と同様な効果を奏するとともに、ラチェットレンチ等による回転操作作業の利便性の良い作業機械バケットに用いる横型ロックピン構造を実現し提供することができる。
【0016】
請求項6記載の発明によれば、横型ロックピン本体に螺旋溝部を設け、この螺旋溝部に前記ロック受体の金属突出ピン構造に対応してガイド凹部、続くピン円周溝部、続くピンロック用溝部の3連構成を繰り返し形成していることから、この構成の基に、請求項1、2又は請求項5のいずれか1項に記載の発明と同様な効果を奏するとともに、横型ロックピン本体自体の各種使用箇所に対する適合性の多様化を図る作業機械バケットに用いる横型ロックピン構造を実現し提供することができる。
【0017】
請求項7記載の発明によれば、円筒状の金属突出ピン構造とし、横型ロックピン本体側の溝部を円筒面形状とした構成の基に、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の発明と同様な効果を奏する作業機械バケットに用いる横型ロックピン構造を実現し提供することができる。
【0018】
請求項8記載の発明によれば、ロック受体側を山形状の金属突出ピン構造とし、横型ロックピン本体側を属突出ピンに対応する山形凹面形状の溝部を備える構成として、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の発明と同様な効果を奏する作業機械バケットに用いる横型ロックピン構造を実現し提供することができる。
【0019】
請求項9記載の発明によれば、横型ロックピン本体外周の長手方向に形成される挿入ラインを1条又は2以上の複数条を備えるようにした構成として、請求項3、4、7又は8のいずれか1項に記載の発明と同様な効果を奏する作業機械バケットに用いる横型ロックピン構造を実現し提供することができる。
【0020】
請求項10記載の発明によれば、横型ロックピン本体の中央部に位置するロック嵌合用の溝部を1条又は2以上の複数条を備えるようにした構成として、請求項1、2、4、7又は8のいずれか1項に記載の発明と同様な効果を奏する作業機械バケットに用いる横型ロックピン構造を実現し提供することができる。
【0021】
請求項11記載の発明によれば、請求項1乃至10のいずれか1項に記載の横型ロックピン構造を備える作業機械バケットとしているので、アダプタに対するツース盤の脱着が簡略容易であり、かつ、作業者の安全性にも優れた作業機械バケットを実現し提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】
図1は本発明の実施例に係る作業機械バケットに用いる横型ロックピン構造を示す概略横断面図である。
【
図2】
図2は本実施例に係る作業機械バケットに用いる横型ロックピン構造を示す概略縦断面図である。
【
図3】
図3は本実施例に係る作業機械バケットに用いる横型ロックピン構造におけるロック受体に対する横型ロックピン本体の挿入初期状態、回転操作状態、ロック状態を示す動作説明図である。
【
図4】
図4は本実施例に係る作業機械バケットに用いる横型ロックピン構造における横型ロックピン本体の正面、平面、底面、背面、左側面、右側面、及び斜視状態を示す一覧説明図である。
【
図5】
図5は本実施例に係る作業機械バケットに用いる横型ロックピン構造における横型ロックピン本体の溝部の形状であってピン挿入ライン側のガイド凹部、続くピン円周溝部、続くピンロック用溝部の3連構成を示す断面説明図である。
【
図6】
図6は本実施例に係る作業機械バケットに用いる横型ロックピン構造におけるロック受体の正面、平面、底面、背面、左側面、右側面、及び斜視状態を示す一覧説明図である。
【
図7】
図7は本実施例に係る作業機械バケットに用いる横型ロックピン構造におけるロック受体を透視図形態で示す概略斜視図である。
【
図8】
図8は本実施例に係る作業機械バケットに用いる横型ロックピン構造の横型ロックピン本体、及びロック受体のアダプタ、ツース盤への装着状態を示す概略説明図である。
【
図9】
図9は本実施例に係る作業機械バケットに用いる横型ロックピン構造を構成する横型ロックピン本体の変形例を示す概略斜視図である。
【
図10】
図10は本実施例に係る作業機械バケットに用いる横型ロックピン構造の第1の変形例である円筒型タイプの横型ロックピン本体及びロック受体を示す概略斜視図である。
【
図11】
図11は本実施例に係る作業機械バケットに用いる横型ロックピン構造の第2の変形例である山型タイプの横型ロックピン本体及びロック受体を示す概略斜視図である。
【
図12】
図12は本実施例に係る作業機械バケットに用いる横型ロックピン構造を備える作業機械バケットの概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明は、着脱し易さを考慮し、着脱操作時の操作性の簡略容易化と、強打撃の不要化による作業者の安全性の向上とを図った作業機械バケットに用いる横型ロックピン構造を提供するという目的を、作業機械バケットの掘削縁部側に取り付けたアダプタに対して、このアダプタに嵌着するツース盤をロック又はロック解除可能に連結する横型ロックピン構造であって、前記アダプタ及びツース盤に、各々横方向に貫通するロック受体用の溝孔及び横型ロックピン用の挿通穴を連通状態に設け、前記挿通穴に挿通配置した横型ロックピン構造を構成する横型ロックピン本体外周の前記挿通穴との係合と、前記溝孔に固定配置した半球状の金属突出ピン構造で、その周囲にゴム材からなる突出ピン保持体を一体形成してなるロック受体に対する前記横型ロックピン本体の回転操作に基づく前記横型ロックピン本体に設けた溝部と前記突出ピンとのロック嵌合による一体化又はロック嵌合解除による一体化解除とにより、前記アダプタと前記ツース盤とを、ロック状態又はロック解除状態とするにようにした構成により実現した。
【実施例0024】
以下、各図面を参照して、本発明の実施例に係る作業機械バケットに用いる横型ロックピン構造、及び該横型ロックピン構造を備える作業機械バケットについて、詳細に説明する。
【0025】
本実施例に係る作業機械バケット71に用いる横型ロックピン構造1は、後述する作業機械バケット71の掘削縁部側に取り付けたアダプタ2に対して、このアダプタ2の外側に嵌着するツース盤3をロック又はロック解除可能に連結するものである。
【0026】
すなわち、
図1、
図2、
図8に示すように、前記アダプタ2及びツース盤3に各々横方向に貫通するロック受体21用の溝孔4及び横型ロックピン11用の挿通穴5を連通状態に設けている。
【0027】
そして、前記アダプタ2内の溝孔4内に、例えば3個の半球状の金属突出ピン構造でその周囲にゴム材からなる外装体22を一体成型してなるロック受体21を前記3個の半球状の金属突出ピン21aを前記挿通穴5側に向けた状態で固定配置している。
【0028】
また、前記アダプタ2内の挿通穴5に対しては、横型ロックピン11の横型ロックピン本体12が例えば
図1に示す矢印a方向から挿通され、横型ロックピン本体12の両端部に設けた回転操作用のナット形状部13の
図2に示す矢印b方向への回転操作により横型ロックピン本体12と前記ロック受体21とを前記アダプタ2内でロック結合させるように構成している。
【0029】
このとき、前記挿通穴5に挿通配置した横型ロックピン構造1を構成する横型ロックピン本体12の両側の外周端部は、前記挿通穴5と係合するように構成している。
【0030】
このロック結合に関しては後に詳述する。
【0031】
前記ロック受体21の外装体22の材質としては、例えばクロロプレンゴム(CR)を用いる例を、また、3個の半球状の金属突出ピン21a及びそのピン保持体21bの材質としては、例えば機械構造化用炭素鋼(S45C)を用いる例を挙げることができる。
【0032】
次に、
図4乃至
図8を参照して横型ロックピン11、前記ロック受体21について、詳述する。
【0033】
図4は、本実施例に係る横型ロックピン構造1における横型ロックピン11の正面、平面、底面、背面、左側面、右側面、及び斜視状態を一覧的に示すものである。
【0034】
前記横型ロックピン11は、横型ロックピン本体12と、その両端部に設けたオペレータの回転操作(例えばラチェット操作等)用のナット形状部13、13とを具備している。
【0035】
このナット形状部13の外側端面には例えば三角形状のロック用目印13aを設けている。
【0036】
また、前記横型ロックピン本体12の外周には、その長手方向に挿入ラインLを形成するガイド凹部15aを設けている。
【0037】
更に、前記横型ロックピン本体12の中央部には円周方向に沿って例えば3条の溝部14が設けられ、この各溝部14はピン挿入ラインL側のガイド凹部15a、続くピン円周溝部15b、続くピンロック用溝部15cの3連構成であり、横型ロックピン本体121の外周面からの深さが
図5に示すようにピン挿入ラインLの外周面からの深さ(例えば2mm)<ピン円周溝部15bの外周面からの深さ(例えば3mm)<ピンロック用溝部15cの外周面からの深さ(例えば4mm)のように順に大きく(深く)形成している。
【0038】
図6は本実施例に係る横型ロックピン構造1におけるロック受体21の正面、平面、底面、背面、左側面、右側面、及び斜視状態を一覧的に示すものである。
【0039】
また、
図7は本実施例に係る横型ロックピン構造1におけるロック受体21を透視図形態で示すものである。
【0040】
前記ロック受体21は、3個の半球状の金属突出ピン21a及びその金属突出ピン21aを一体的に保持するとともに、両端に前記3個の半球状の金属突出ピン21aとは反対となる配置で突出させた脚片21cを備えるピン保持体21bと、このピン保持体21bの外周を前記金属突出ピン21aが外方に突出する態様で一体的に包囲するようにゴム製の外装体22により一体成型した構成としている。
【0041】
そして、
図8に示すように、前記アダプタ2及びツース盤3に各々横方向に貫通する状態で設けた挿通穴5に横型ロックピン11を回転操作可能に挿入し、また、ロック受体21用の溝孔4内に前記ロック受体21を固定配置となるように挿入するように構成している。
【0042】
次に、本実施例に係る作業機械バケットに用いる横型ロックピン構造1におけるロック受体21に対する横型ロックピン本体12の挿入初期状態、回転操作状態、ロック状態について、
図3を参照して説明する。
【0043】
図3上欄はロック受体21に対する横型ロックピン本体12の挿入初期状態を示し、この状態ではロック受体21における3個の半球状の金属突出ピン21aと、横型ロックピン11側におけるピン挿入ラインL側のガイド凹部15aとが対向配置となっている。
【0044】
このとき、前記挿通穴5に挿通配置した横型ロックピン構造1を構成する横型ロックピン本体12の両側の外周端部は、前記ツース盤3の挿通穴5と係合するようになっている。
【0045】
図3中欄は
図3上欄の状態からオペレータがナット形状部13を矢印b方向に一定角度回転操作した状態を示し、この状態ではロック受体21における3個の半球状の金属突出ピン21aと、横型ロックピン11側におけるピン円周溝部15bとが摺接する状態となっている。
【0046】
図3下欄は
図3中欄の状態からオペレータがナット形状部13を更に矢印b方向に一定角度回転操作した状態を示し、この状態では、ロック受体21における3個の半球状の金属突出ピン21aが横型ロックピン11側におけるピンロック用溝部15c内に入り込み、これにより、横型ロックピン11とロック受体21とがロック状態に一体化する態様を示している。
【0047】
このようにして、オペレータは、ロック受体21と対向するような横型ロックピン本体12の挿入、2段階の回転操作を経て、極めて簡略、かつ、安全に、アダプタ2の外側に嵌着するツース盤3をロック状態とし、また、上述した場合と逆の回転操作を経て、横型ロックピン11とロック受体21とのロック解除を行い、ツース盤3をアダプタ2から取り外すことができる。
【0048】
図9は本実施例に係る横型ロックピン構造1における横型ロックピン11の変形例である横型ロックピン11Aを示すものであり、この横型ロックピン11Aにおいて、前記横型ロックピン11と同一の要素には同一の符号を付して示す。
【0049】
横型ロックピン11Aは、基本的構成は前記横型ロックピン11と同様であるが、横型ロックピン本体12の円周方向に沿って螺旋溝部16が設けられ、この螺旋溝部16に、前記ロック受体21の金属突出ピン構造に対応してガイド凹部17a、続くピン円周溝部17b、続くピンロック用溝部17cの3連構成を繰り返し形成(例えば3か所)していることが特徴である。
【0050】
前記横型ロックピン11Aの両端部には、既述した場合と同様ナット形状部13、13を形成し、かつ、ナット形状部13の端面には例えば三角形状のロック用目印13aを設けている。
【0051】
前記横型ロックピン11Aによっても前記横型ロックピン11と同様な作用効果を発揮させることができる。
【0052】
図10は本実施例の横型ロックピン構造1の第1の変形例である横型ロックピン構造1Aを示すものであり、この横型ロックピン構造1Aにおいて、前記横型ロックピン構造1の場合と同一の要素には同一の符号を付して示す。
【0053】
前記横型ロックピン構造1Aは、前記横型ロックピン構造1の場合と略同様な構成であるが、ロック受体31において3個の円筒型の金属突出ピン32aを備える構成とし、前記3個の円筒型の金属突出ピン32aを一体的に保持するとともに、両端に前記3個の円筒型の金属突出ピン32aとは反対方向となる配置で突出させた脚片32cを備えるピン保持体32bと、このピン保持体32bの外周を、前記金属突出ピン32aが外方に突出する態様でゴム製の外装体33により一体的に包囲するように一体成型した構成としている。
【0054】
前記金属突出ピン32aやピン保持体32b、更には外装体33の材質は、既述した場合と同様である。
【0055】
また、前記横型ロックピン構造1Aは、横型ロックピン41の横型ロックピン本体42の中央部領域の外周部に、前記3個の円筒型の金属突出ピン32aの形状に対応した3か所の円周面形態の溝部43を設けている。
【0056】
前記横型ロックピン41は、横型ロックピン本体42と、その両端部に設けたオペレータの回転操作用のナット形状部13、13とを具備し、かつ、ナット形状部13の端面には例えば三角形状のロック用目印13aを設けている。
【0057】
また、前記横型ロックピン本体42の外周に設けた前記溝部43は、その長手方向に挿入ラインLを形成するガイド凹部45aを備えている。
【0058】
更に、前記横型ロックピン本体12の中央部には円周方向に沿って例えば3条の円周面形態の溝部43が設けられ、この各溝部14はピン挿入ラインL側の円周面形態のガイド凹部45a、続く円周面形態のピン円周溝部45b、続く円周面形態のピンロック用溝部45cの3連構成としている。
【0059】
このような第1の変形例である横型ロックピン構造1Aによっても、既述した横型ロックピン構造1の場合と同様な作用効果を発揮させることができる。
【0060】
図11本実施例の横型ロックピン構造1の第2の変形例である横型ロックピン構造1Bを示すものであり、この横型ロックピン構造1Bにおいて、前記横型ロックピン構造1の場合と同一の要素には同一の符号を付して示す。
【0061】
前記横型ロックピン構造1Bは、前記横型ロックピン構造1の場合と略同様な構成であるが、ロック受体51において山形状の金属突出ピン52aを備える構成とし、前記山形状の金属突出ピン52aを一体的に保持するとともに、両端に前記金属突出ピン52aとは反対方向となる配置で突出させた脚片52cを備えるピン保持体52bと、このピン保持体52bの外周を前記金属突出ピン52aが外方に突出する態様でゴム製の外装体53により一体的に包囲するように一体成型した構成としている。
【0062】
前記金属突出ピン52aやピン保持体52b更には外装体53の材質は既述した場合と同様である。
【0063】
また、前記横型ロックピン構造1Bは、横型ロックピン61の横型ロックピン本体62の中央部領域の外周部に、前記山形状の金属突出ピン52aの形状に対応した円周面形態の溝部63を設けている。
【0064】
前記横型ロックピン61は、横型ロックピン本体62と、その両端部に設けたオペレータの回転操作用のナット形状部13、13とを具備し、かつ、ナット形状部13の端面には例えば三角形状のロック用目印13aを設けている。
【0065】
また、前記横型ロックピン本体62の外周に設けた前記溝部63は、その長手方向に挿入ラインLを形成するガイド凹部65aを備えている。
【0066】
更に、前記横型ロックピン本体62の中央部には円周方向に沿って円周面形態の溝部63が設けられ、この溝部63はピン挿入ラインL側の円周面形態のガイド凹部65a、続く円周面形態のピン円周溝部65b、続く円周面形態のピンロック用溝部65cの3連構成としている。
【0067】
このような第2の変形例である横型ロックピン構造1Bによっても、既述した横型ロックピン構造1の場合と同様な作用効果を発揮させることができる。
【0068】
図12は、既述した本実施例に係る横型ロックピン構造1を備える作業機械バケット71を示すものである。
【0069】
この作業機械バケット71は、作業機械バケット71自体の掘削縁部側に幅方向に3連構成でアダプタ2を取り付け、各アダプタ2に対して各々前記ツース盤3を3連構成で嵌め付け、合計3組の横型ロックピン構造1を備える構成としたものである。
【0070】
なお、
図12に示す例は一例であり、各アダプタ2、ツース盤3の連設個数は、使用目的に応じ2連、4連、5連等種々の変形態様を採用し得ることは言うまでもない。
【0071】
以上説明したように、本実施例に係る横型ロックピン構造1によれば、横型ロックピン11に設けた回転操作用具として機能するナット形状部13の一定方向の回転操作に基づいて横型ロックピン11とロック受体21とがロック状態に一体化することになり、また、ナット形状部13の逆方向への回転操作により横型ロックピン11とロック受体21とのロック状態解除も容易におこなうことができ、この結果、前記ツース盤3をアダプタ2に対してロック状態又はロック解除状態とする作業を、着脱操作時の操作性の簡略容易化と強打撃の不要化による作業者の安全性の向上を図りつつ着実に実行することが可能となる。
【0072】
前記第1の変形例である横型ロックピン構造1A、第2の変形例である横型ロックピン構造1Bを採用した場合も同様である。
【0073】
また、本実施例に係る横型ロックピン構造1を採用した作業機械バケット71によれば、ツース盤3をアダプタ2に対してロック状態又はロック解除状態とする作業を、着脱操作時の操作性の簡略容易化を図りつつハンマー等の打撃用具を用いての強打撃作業の必要もなく安全性が向上した作業機械バケット71の保守作業等を実行可能となる。
【0074】
以上説明した本実施例に係る横型ロックピン構造を作業機械バケットに具備すると、一層優れた作業機械バケットを実現し提供することができる。
【0075】
なお、以下、本実施例について更に付言する。
本実施例に係る横型ロックピン構造1によれば、横型ロックピン本体12の長手方向に挿入ラインLを設け、中央部領域には円周に沿っての溝部があり、横型ロックピン本体12を回転させた先にロック受け体21を配置して、回転操作により横型ロックピン11とロック受け体21とを簡略容易にロック状態又はロック解除状態とするように構成し、ツース盤3をアダプタ2に対して管理役にロック状態又はロック解除状態とすることを可能としているので、特に着脱操作時の操作性の簡略容易化と強打撃の不要化による作業者の安全性の向上を図ることができる。
【0076】
また、横型ロックピン本体12の各溝はピン挿入ライン<ピン円周溝<ピンロック用窪みの順番で深くなっていることから、横型ロックピン11とロック受け体21とのロック状態をより抜け難い構造とすることができる。
【0077】
本実施例に係る横型ロックピン構造1によれば、ロック受け体21は、従来型のロック受け体とよく似た外観形状をしているが、横型ロックピン11と噛み合う金属突出ピンの部分が外装体と一体化しているので、従来品のように金属突出ピンの部分がラバー部より脱落するという問題を回避できる。
【0078】
本実施例に係る横型ロックピン構造1によれば、ロック受け体21における金属突出ピンの部分は、ゴム製の外装体により保護されているので、掘削方向の荷重でも均し方向の荷重においても直接的な荷重を受け難く、破損に対しても効果的である利点がある。
【0079】
更に、本実施例、変形例においては、横型ロックピン構造1、1A、1Bで示すように、金属突出ピンの部分の形態としては、半球形の3連形状のみならず、円筒型や山形一体型というように用途に合わせて使い分ける事が可能である。
【0080】
更に、ロック受け体21における金属突出ピンの突出個数も1個~4個、5個等の複数個構成とすることもできる。
本発明に係る横型ピン構造は、単に横型の形態のみならず縦型又は斜め型の形態としての応用も幅広く可能である。また、前記したように、本発明に係る横型ロックピン構造を作業機械バケットに具備すると、一層優れた作業機械バケットを実現し提供することができる。