IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三島光産株式会社の特許一覧

特開2023-60628マイクロニードル用レバー式アプリケータ
<>
  • 特開-マイクロニードル用レバー式アプリケータ 図1
  • 特開-マイクロニードル用レバー式アプリケータ 図2
  • 特開-マイクロニードル用レバー式アプリケータ 図3
  • 特開-マイクロニードル用レバー式アプリケータ 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023060628
(43)【公開日】2023-04-28
(54)【発明の名称】マイクロニードル用レバー式アプリケータ
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/42 20060101AFI20230421BHJP
   A61M 37/00 20060101ALI20230421BHJP
   A61M 5/32 20060101ALN20230421BHJP
【FI】
A61M5/42 510
A61M37/00 500
A61M5/32 530
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021170329
(22)【出願日】2021-10-18
(71)【出願人】
【識別番号】000176626
【氏名又は名称】三島光産株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090697
【弁理士】
【氏名又は名称】中前 富士男
(74)【代理人】
【識別番号】100176142
【弁理士】
【氏名又は名称】清井 洋平
(72)【発明者】
【氏名】松尾 正昭
(72)【発明者】
【氏名】東島 敦弘
(72)【発明者】
【氏名】田代 康典
【テーマコード(参考)】
4C066
4C267
【Fターム(参考)】
4C066AA10
4C066BB01
4C066CC01
4C066DD13
4C267AA71
4C267CC05
(57)【要約】
【課題】小さな力で操作することができ、操作中に位置ずれや傾きが発生し難く、マイクロニードルによる穿刺を簡単かつ確実に行うことができる動作の安定性に優れたマイクロニードル用レバー式アプリケータを提供する。
【解決手段】アプリケータ本体13の先側に配置されるマイクロニードルアレイ11を対象となる皮膚12に押付けるマイクロニードル用レバー式アプリケータ10であって、アプリケータ本体13と、回動運動を直線運動に変換するレバー式操作部14とを有し、アプリケータ本体13は、アプリケータ本体13の軸方向に沿って摺動可能なトリガー部材15を備え、レバー式操作部14の回動動作に連動させてトリガー部材15をアプリケータ本体13の先側に向かって移動させることにより、マイクロニードルアレイ11を皮膚12に押付ける。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アプリケータ本体の先側に配置されるマイクロニードルアレイを対象となる皮膚に押付けるレバー式アプリケータであって、
前記アプリケータ本体と、回動運動を直線運動に変換するレバー式操作部とを有し、前記アプリケータ本体は、該アプリケータ本体の軸方向に沿って摺動可能なトリガー部材を備え、前記レバー式操作部の回動動作に連動させて前記トリガー部材を前記アプリケータ本体の先側に向かって移動させることにより、前記マイクロニードルアレイを前記皮膚に押付けることを特徴とするマイクロニードル用レバー式アプリケータ。
【請求項2】
請求項1記載のマイクロニードル用レバー式アプリケータにおいて、前記アプリケータ本体は、筒状のケースを有し、前記トリガー部材は、先側が前記ケースの基側内部に挿通され、基側が前記ケースの基側から突出しており、前記レバー式操作部は、一端部が前記ケースの基側端部に回動可能に保持された操作レバーと、一端部が前記トリガー部材の基側端部に回動可能に連結され他端部が前記操作レバーに回動可能に連結されたリンク部材とを有することを特徴とするマイクロニードル用レバー式アプリケータ
【請求項3】
請求項1又は2記載のマイクロニードル用レバー式アプリケータにおいて、前記アプリケータ本体の先側に取付けられ、前記皮膚に当接して前記アプリケータ本体を支持するガイド部材を備えていることを特徴とするマイクロニードル用レバー式アプリケータ。
【請求項4】
請求項3記載のマイクロニードル用レバー式アプリケータにおいて、前記ガイド部材は、筒状に形成されて前記アプリケータ本体の先端部に嵌着される装着部と、該装着部の先側に延設され、該装着部側に凸の円弧状に湾曲して前記皮膚に当接する当接部とを有することを特徴とするマイクロニードル用レバー式アプリケータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療目的又は美容目的で、従来使用されている注射器の代わりに、マイクロニードルアレイを使用して体内への投薬を行う際に用いられるマイクロニードル用レバー式アプリケータに関する。
【背景技術】
【0002】
今後、少子高齢化が進むにつれ、医療の果たす役割は増大し、病院及び医師等の不足を招くものと考えられる。
医療行為には、外科的治療の他に投薬治療があり、投薬治療の中では、注射器による体内投薬が大きな比率を占める。この注射器による投薬は、通常、医師や看護師のような有資格者が病院で施行するが、糖尿病に対するインシュリン投与のように、中には患者自身が在宅で施行することを認められているものもある。
そこで、医師の処方に基づいて在宅で投薬を行う在宅投薬を普及させることができれば、患者の通院頻度が低くなり、医師及び患者(特に老齢者や勤労者)の負担を軽減することができるため、このような在宅投薬への関心が高まっている。特に、病院不足や医師不足の問題を抱える過疎地では、在宅投薬に対するニーズは大きい。
【0003】
しかし、注射器による投薬には、皮下や血管に直接投薬できるという長所がある一方で、痛みを伴い、投薬回数の増加と共に皮膚が傷付いたり、腫れたりするという欠点がある。
そこで、注射器の代わりに、先端が尖ったマイクロニードル(微小針)を平板上に複数有する樹脂製のマイクロニードルアレイを使用することが考えられている。このマイクロニードルアレイの特徴は、マイクロニードルが、皮下の無痛点の深さに到達可能な長さを有することにより、無痛で投薬を行うことができ、また、パッチ式に表皮に貼り当てるだけで患者自身が手軽に投薬できる点にあり、患者の負担を大幅に軽減することができる。そして、このようなマイクロニードルアレイは、医療目的だけでなく、美容目的でも使用が期待される。
以上のことから、マイクロニードルアレイの普及を目的として、マイクロニードルアレイを皮膚に押し付ける際に用いられるアプリケータが検討されている(例えば、特許文献1、2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-191702号公報
【特許文献2】特開2018-102680号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1及び特許文献2のアプリケータは、それぞれ筒状部材及び作動ボタンを指で押し、バネの力に抗してプランジャー及びピストンを軸方向に移動させることにより、マイクロニードルアレイ(マイクロニードルデバイス)を押圧して、皮膚に押付けるため、指に強い力が必要であり、女性や高齢者等には使い難いという問題がある。また、特許文献1のように、アプリケータ本体が、軸方向に長い筒状に形成され、先端部(マイクロニードルアレイ)と皮膚との接触面積が小さい場合、操作中に位置ずれ及びアプリケータ本体の傾き等が発生し易く、操作性に欠けるという問題もある。
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、小さな力で操作することができ、操作中に位置ずれや傾きが発生し難く、マイクロニードルによる穿刺を簡単かつ確実に行うことができる動作の安定性に優れたマイクロニードル用レバー式アプリケータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的に沿う本発明に係るマイクロニードル用レバー式アプリケータは、アプリケータ本体の先側に配置されるマイクロニードルアレイを対象となる皮膚に押付けるレバー式アプリケータであって、
前記アプリケータ本体と、回動運動を直線運動に変換するレバー式操作部とを有し、前記アプリケータ本体は、該アプリケータ本体の軸方向に沿って摺動可能なトリガー部材を備え、前記レバー式操作部の回動動作に連動させて前記トリガー部材を前記アプリケータ本体の先側に向かって移動させることにより、前記マイクロニードルアレイを前記皮膚に押付ける。
【0007】
本発明に係るマイクロニードル用レバー式アプリケータにおいて、前記アプリケータ本体は、筒状のケースを有し、前記トリガー部材は、先側が前記ケースの基側内部に挿通され、基側が前記ケースの基側から突出しており、前記レバー式操作部は、一端部が前記ケースの基側端部に回動可能に保持された操作レバーと、一端部が前記トリガー部材の基側端部に回動可能に連結され他端部が前記操作レバーに回動可能に連結されたリンク部材とを有することができる。
【0008】
本発明に係るマイクロニードル用レバー式アプリケータにおいて、前記アプリケータ本体の先側に取付けられ、前記皮膚に当接して前記アプリケータ本体を支持するガイド部材を備えることができる。
【0009】
本発明に係るマイクロニードル用レバー式アプリケータにおいて、前記ガイド部材は、筒状に形成されて前記アプリケータ本体の先端部に嵌着される装着部と、該装着部の先側に延設され、該装着部側に凸の円弧状に湾曲して前記皮膚に当接する当接部とを有することが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係るマイクロニードル用レバー式アプリケータによれば、レバー式操作部を回動させるだけで、小さな力で簡単かつ確実にトリガー部材をアプリケータ本体の先側に向かって移動させ、マイクロニードルアレイを皮膚に押付けて、マイクロニードルによる穿刺や薬剤注入を行うことができ、省力性及び動作の安定性に優れる。
【0011】
本発明に係るマイクロニードル用レバー式アプリケータにおいて、アプリケータ本体が、筒状のケースを有し、トリガー部材の先側がケースの基側内部に挿通され、基側がケースの基側から突出しており、レバー式操作部が、一端部がケースの基側端部に回動可能に保持された操作レバーと、一端部がトリガー部材の基側端部に回動可能に連結され他端部が操作レバーに回動可能に連結されたリンク部材とを有する場合、レバー式操作部の回動運動を、リンク部材を介してトリガー部材に伝達する際に、直線運動に変換してトリガー部材を摺動させることができ、操作レバーの操作(回動運動)に必要な力を梃の原理によって大幅に削減することができる。
【0012】
本発明に係るマイクロニードル用レバー式アプリケータにおいて、アプリケータ本体の先側に取付けられ、皮膚に当接してアプリケータ本体を支持するガイド部材を備えている場合、操作中に、アプリケータ本体の位置ずれ及び傾きが発生することを防止し、皮膚の所定の位置に確実にマイクロニードルアレイを押付けることができる。
【0013】
本発明に係るマイクロニードル用レバー式アプリケータにおいて、ガイド部材が、筒状に形成されてアプリケータ本体の先端部に嵌着される装着部と、装着部の先側に延設され、装着部側に凸の円弧状に湾曲して皮膚に当接する当接部とを有する場合、アプリケータ本体へのガイド部材の着脱作業性に優れると共に、皮膚と当接部との密着性を高め、ガイド部材によるアプリケータ本体の支持安定性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】(A)は本発明の一実施の形態に係るマイクロニードル用レバー式アプリケータの正面図であり、(B)は同レバー式アプリケータの平面図である。
図2図1のA-A線矢視断面図である。
図3】(A)~(C)は同レバー式アプリケータの内部動作を示す説明図である。
図4】(A)は同レバー式アプリケータにガイド部材を取付けた状態を示す要部正面図であり、(B)は同レバー式アプリケータにガイド部材を取付けた状態を示す要部側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
続いて、添付した図面を参照して本発明を具体化した実施の形態について説明する。
図1図3に示す本発明の一実施の形態に係るマイクロニードル用レバー式アプリケータ(以下、単に「レバー式アプリケータ」という)10は、マイクロニードルアレイ11を対象となる患者等の皮膚12に押付けて体内への投薬等を行う際に用いられるものである。
図1(A)、(B)に示すように、レバー式アプリケータ10は、マイクロニードルアレイ11が先側に装着されるアプリケータ本体13と、回動運動を直線運動に変換するレバー式操作部14とを有している。そして、アプリケータ本体13は、図1(A)、図2図3に示すように、アプリケータ本体13の軸方向に沿って摺動可能なトリガー部材15を備えており、図1(A)に示すように、レバー式操作部14の回動運動(矢印a)に連動させてトリガー部材15をアプリケータ本体13の先側に向かって移動(直線運動)させる(矢印b)ことにより、マイクロニードルアレイ11を皮膚12に押付けることができる。
【0016】
アプリケータ本体13は、図2図3(A)~(C)に示すように、筒状(ここでは円筒状)のケース17を有し、トリガー部材15は、先側がケース17の基側内部に挿通され、基側がケース17の基側から突出している。そして、レバー式操作部14は、図1(A)、(B)に示すように、一端部がケース17の基側端部に回動可能に保持された操作レバー18と、一端部がトリガー部材15の基側端部に回動可能に連結され他端部が操作レバー18に回動可能に連結されたリンク部材19とを有している。これにより、図1(A)に示すように、矢印aの方向に操作レバー18を回動させると、リンク部材19を介して引っ張られたトリガー部材15が矢印bの方向に(アプリケータ本体13の先側に向かって)移動する。本実施の形態では、操作レバー18の回動に必要な力が、トリガー部材15を直接押圧する場合の力の1/5~1/6程度まで削減された。
【0017】
なお、ケース17の基側端部と操作レバー18の一端部を回動可能に連結する第1の回動軸21、トリガー部材15の基側端部とリンク部材19の一端部を回動可能に支持する第2の回動軸22及びリンク部材19の他端部と操作レバー18を回動可能に連結する第3の回動軸23の位置関係は、適宜、選択され、第1の回動軸21から第3の回動軸23までの距離と、第2の回動軸22から第3の回動軸23までの距離に応じて、操作レバー18の回動量及びトリガー部材15の移動量が変化し、操作レバー18の操作(回動動作)に必要な力も変化する。また、本実施の形態では、二股状に形成した操作レバー18の一端部で、ケース17の基側端部を両側から挟むようにしてケース17と操作レバー18を連結し、二股状に形成したトリガー部材15の基側端部で、リンク部材19の一端部を両側から挟むようにしてトリガー部材15とリンク部材19を連結したが、各部は互いに回動可能に連結されていればよく、その構造は、適宜、選択される。さらに、レバー式操作部は、回動運動を直線運動に変換することができればよく、その構造は、本実施の形態に限定されることなく、適宜、選択され、様々なリンク機構で実現される。
【0018】
次に、レバー式アプリケータ10の内部構造につき説明する。
図2図3(A)~(C)に示すように、レバー式アプリケータ10は、基側がケース17の先側内部に挿通され、先側がケース17の先側から突出するようにケース17に保持されて、先端部にマイクロニードルアレイ11が着脱可能に装着され、ケース17の軸方向に摺動可能なノッカーピン25を有する。さらに、レバー式アプリケータ10は、ケース17の内部でトリガー部材15とノッカーピン25との間に収容され、ケース17の軸方向に摺動可能なハンマー部材26を有しており、トリガー部材15の先側とハンマー部材26の基側との間には第1のコイルバネ27が配置され、ハンマー部材26の先側とノッカーピン25の基側との間には第2のコイルバネ28が配置されている。
【0019】
トリガー部材15は、先側が開口した筒状部30を有しており、この筒状部30に第1のコイルバネ27が収容されている。そして、筒状部30の基側に延設されたトリガー軸31はケース17の基側から突出しており、その基端は、他の部分よりも大径に形成されている。
ハンマー部材26は、第1のコイルバネ27の先側に内挿される基側軸部32を有しており、基側軸部32の先側には、ハンマー部材26の先側に向かって拡径したテーパ部33が形成されている。そして、テーパ部33の先側には円柱状の胴部34が形成され、さらに胴部34の先側には、第2のコイルバネ28に内挿される先側軸部35が形成されている。
ケース17の内部には、ハンマー部材26の先側とノッカーピン25の基側との間を仕切る仕切り部37が設けられ、仕切り部37の中央部には、ハンマー部材26の先側軸部35が進退可能に挿通される貫通孔38が形成されている。
【0020】
ハンマー部材26は胴部34で最大径となるが、この胴部34の外径がケース17の内径より小さく、基側軸部32及び先側軸部35の外径もそれぞれ第1のコイルバネ27及び第2のコイルバネ28の内径より小さくなっている。そして、ハンマー部材26が、先側軸部35の基側外周で第2のコイルバネ28の基側端部に当接するバネ受面39を有し、バネ受面39が、ハンマー部材26の軸方向と直交する面に対して傾斜しているので、初期状態では、図2に示すように、第2のコイルバネ28の基側端部がバネ受面39に当接し、第2のコイルバネ28の基側端部で支持されるハンマー部材26を確実かつ自動的(強制的)に傾斜させる(ハンマー部材26の軸心をケース17の軸心に対して傾斜させる)ことができる。なお、必ずしもハンマー部材のバネ受面を傾斜させなくてもよく、必要に応じて、レバー式アプリケータ10を振ったり、ケース17の軸方向を鉛直方向から一旦、傾けて鉛直方向に戻したりして、ハンマー部材の軸心をケースの軸心に対して傾斜させることもできる。
【0021】
ケース17の仕切り部37の先側にはノッカーピン保持部40が形成されており、ノッカーピン25は、ノッカーピン保持部40に摺動可能に保持される基端部41と、基端部41の先側に基端部41の外径より小径に形成され、先側がケース17の先側から突出する軸部42とを有している。この軸部42の先端部には、マイクロニードルアレイ11が装着されるアダプタ部材44が着脱可能に取付けられており、マイクロニードルアレイの種類(形状)に応じてアダプタ部材を交換することにより、多種多様なマイクロニードルアレイに対応することができる。なお、本実施の形態では、ホルダー45を介してアダプタ部材44にマイクロニードルアレイ11を装着したが、ホルダーの形状及び構造は適宜、選択することができ、ホルダーを用いずに、アダプタ部材に直接、マイクロニードルアレイを装着することも可能である。
【0022】
ケース17の基側及び先側の端部には、それぞれ第1、第2のキャップ部材47、48が着脱可能に取付けられており、アプリケータ本体13からレバー式操作部14及び第1、第2のキャップ部材47、48を取外すことにより、アプリケータ本体13(ケース17)を簡単に分解することができ、必要に応じて、第1のコイルバネ27を交換し、マイクロニードルの穿刺速度(穿刺深さ)を調整することができる。なお、第1、第2のキャップ部材の形状は、適宜、選択することができる。また、ケースの材質は金属でも合成樹脂でもよいが、ケースを合成樹脂で形成する場合は、ケースを長手方向に沿う切断面で半分割して形成することも可能である。
【0023】
以上のように構成されたレバー式アプリケータ10の使用方法について説明する。
ノッカーピン保持部40には、ノッカーピン25の摺動を制約するバネ等がないので、マイクロニードルアレイ11が下向きとなるようにアプリケータ本体13(ケース17)を傾けると、ノッカーピン25がケース17の先側に移動し、図1(A)、図2のように、先端にマイクロニードルアレイ11が装着されたホルダー45が第2のキャップ部材48から突出した状態となる。よって、レバー式アプリケータ10の使用者(患者等)は、マイクロニードルアレイ11を目視で確認しながら皮膚12の所定の位置に接触させることができる。そして、アプリケータ本体13(ケース17)を皮膚12に向かって移動させると、ノッカーピン25の基端部41がノッカーピン保持部40の内部をケース17の基側に摺動し、図3(A)のように、マイクロニードルアレイ11が第2のキャップ部材48の中に引っ込んで、第2のキャップ部材48の先端が皮膚12の表面に当接した状態となる。このとき、ノッカーピン25は、ほとんど無負荷で摺動するので、使用者が痛みを感じることはない。
【0024】
使用者が、アプリケータ本体13(ケース17)を手で支えながら、操作レバー18を矢印aの方向に回動させる(図1(A)参照)と、トリガー部材15と共にハンマー部材26が第1、第2のコイルバネ27、28を圧縮しながらケース17の先側に向かって移動する。このとき、先に説明したように、ハンマー部材26の軸心がケース17の軸心に対して傾斜しているため、図3(A)に示すように、ハンマー部材26の先側軸部35の先側端部が、貫通孔38の基側周縁で仕切り部37に係合し、ハンマー部材26が停止する。さらに操作レバー18を回動し続けると、ケース17の先側に向かって移動するトリガー部材15と、停止したハンマー部材26との間で第1のコイルバネ27が圧縮される。そして、移動を続けるトリガー部材15の筒状部30の先側の開口周縁がハンマー部材26のテーパ部33に係合すると、図3(B)に示すように、ハンマー部材26の姿勢が矯正されて、ハンマー部材26の軸心がケース17の軸心と一致する。これにより、ハンマー部材26の先側軸部35が、貫通孔38に進入可能となり、図3(C)に示すように、第1のコイルバネ27が伸張してハンマー部材26をケース17の先側に移動させると共に、胴部34と仕切り部37との間で第2のコイルバネ28を圧縮する。そして、貫通孔38に進入したハンマー部材26の先側軸部35が、ノッカーピン25の基端部41に衝突して打撃を加える。このとき、先側軸部35が貫通孔38の先側から突出する突出量が僅かであっても、第1のコイルバネ27に蓄えられた弾性エネルギーで打撃が加えられたノッカーピン25は、その勢いによって図3(C)に示すように基端部41の先側端面がノッカーピン保持部40の先端面に当接するまで移動可能であり、皮膚12を凹ませるようにしてマイクロニードルアレイ11を皮膚12に強く押付けることができる。なお、第1のコイルバネ27に蓄えられた弾性エネルギーを利用してノッカーピン25を移動させる(ケース17の先側から突出させる)ことにより、マイクロニードルアレイ11を皮膚12に押付けるので、ノッカーピン25が下向きである必要はなく、様々な姿勢で使用可能であり、横向き又は上向きで使用することもできる。
使用者が操作レバー18から手を離すと、第2のコイルバネ28が伸張(復元)し、自動的に初期状態(図2参照)に戻るので、ノッカーピン25の先端部(アダプタ部材44の先端部)にホルダー45を介して(またはホルダー45を介さず)新たなマイクロニードルアレイ11を装着して、次の使用に備えることができる。
【0025】
ハンマー部材については、図2図3(A)~(C)に二点鎖線で示したように、胴部の長手方向の途中で二分割することもできる。その場合、先側軸部を含むハンマー部材の先側が、先側軸部の軸心回りに回転することができ、貫通孔の基側周縁で仕切り部に係合する先側端部の位置が随時移動(変化)するので、先側端部の特定位置が摩耗することを防止して、ハンマー部材の耐久性及び動作の安定性を向上させることができる。
また、本実施の形態では、マイクロニードルアレイをホルダーを介してノッカーピンの先端部(アダプタ部材の先端部)に装着して使用する場合について説明したが、マイクロニードルアレイを皮膚の表面に予め載置してテープ等で固定しておき、ノッカーピン(アダプタ部材)の先端をマイクロニードルアレイに当てて皮膚に押付けることもできる。
【0026】
アプリケータ本体13の先側には、図4(A)、(B)に示すように、皮膚12に当接してアプリケータ本体13を支持するガイド部材50を取付けることもできる。ガイド部材50は、筒状に形成されてアプリケータ本体13の先端部に嵌着される装着部51と、装着部51の先側に延設され、側面視して装着部51側(ここでは上側)に凸の円弧状に湾曲して皮膚12に当接する当接部52とを有している。なお、当接部52には装着部51の位置に合わせてマイクロニードルアレイ11が通過可能な貫通孔(図示せず)が形成されている。これにより、例えば仮想線で示したように表面が湾曲した腕53等の皮膚12に対しても、アプリケータ本体13の位置ずれ及び傾き等を発生させることなく、所定の位置に確実にマイクロニードルアレイ11を押付けることができる。なお、ガイド部材50をアプリケータ本体13(ケース17)に装着する際に、対象となる皮膚(患部)の位置及び使用者の使い易さに応じて、アプリケータ本体13の軸心を中心にガイド部材50を回転させることにより、当接部52の向きを適宜、変更(選択)することができる。例えば、図4(A)、(B)の状態からガイド部材50を90度回転させ、当接部52が正面視して円弧状となるようにして使用してもよい。
【0027】
ガイド部材の材質としてはポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリエチレン等の合成樹脂が好適に用いられるが、これらに限定されず、適宜、選択される。例えば、当接部をシリコンゴム等の可撓性を有する(変形可能な)材質で形成し、対象部位の表面形状に沿うように変形させてもよい。また、合成樹脂で形成された当接部のうち、皮膚に当接する面(裏面)に、板状の合成ゴム等で形成された軟質性又は弾力性の被覆材を貼り付け、当接部を皮膚に押し当てた時に、患者等の対象者が痛みを感じ難くすると共に、当接部が滑り難く(位置ずれし難く)することもできる。なお、ガイド部材の各部の形状及び大きさ並びにアプリケータ本体への取付け方法は、本実施の形態に限定されることなく、適宜、選択される。また、形状及び大きさの異なる複数のガイド部材を用意しておき、対象者の体格又は対象部位の表面形状若しくは大きさ等に応じて、ガイド部材を交換してもよい。
【0028】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明は何ら上記した実施の形態に記載の構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載されている事項の範囲内で考えられるその他の実施の形態や変形例も含むものである。
例えば、上記実施の形態では、ケースを円筒状に形成したが、適宜、ケースの外表面に凹凸を形成してもよい。
ケースを第1、第2の分割ケースに半割可能に形成する場合、ケースの基側及び先側の端部を第1、第2のキャップ部材で固定する代わりに、第1、第2の分割ケースに、互いに係合する係合凸部と係合凹部を形成して固定することもできる。また、アプリケータ本体は、内部にトリガー部材、ノッカーピン、ハンマー部材及び第1、第2のコイルバネを収容して所定の動作を行わせることができればよく、ケースの分割形状及び分割数は適宜、選択される。
上記実施の形態では、トリガー部材の筒状部の先側の開口周縁(内周)を、先側に向かって拡径するテーパ状に形成したが、ストレートに形成してもよい。ハンマー部材の形状も、適宜、選択される。例えば、上記実施の形態では、基側軸部とテーパ部の間に円柱部を形成したが、例えば円柱部を省略してもよい。また、上記実施の形態では、ノッカーピンの軸部にアダプタ部材を螺子止めする構成としたが、アダプタ部材はノッカーピンに対して着脱可能であればよく、固定方法は適宜、選択され、例えば両者を嵌合(嵌着)により固定してもよいし、一方に形成した凸部と、他方に形成した凹部を係合させて固定してもよい。
なお、アプリケータ本体は、トリガー部材の摺動に伴って、アプリケータ本体の先側でマイクロニードルアレイを皮膚に押付けることができればよく、その内部構造は、上記実施の形態に限定されるものではなく、適宜、選択される。
【符号の説明】
【0029】
10:レバー式アプリケータ、11:マイクロニードルアレイ、12:皮膚、13:アプリケータ本体、14:レバー式操作部、15:トリガー部材、17:ケース、18:操作レバー、19:リンク部材、21:第1の回動軸、22:第2の回動軸、23:第3の回動軸、25:ノッカーピン、26:ハンマー部材、27:第1のコイルバネ、28:第2のコイルバネ、30:筒状部、31:トリガー軸、32:基側軸部、33:テーパ部、34:胴部、35:先側軸部、37:仕切り部、38:貫通孔、39:バネ受面、40:ノッカーピン保持部、41:基端部、42:軸部、44:アダプタ部材、45:ホルダー、47:第1のキャップ部材、48:第2のキャップ部材、50:ガイド部材、51:装着部、52:当接部、53:腕
図1
図2
図3
図4