(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023060637
(43)【公開日】2023-04-28
(54)【発明の名称】バックル
(51)【国際特許分類】
B60R 22/18 20060101AFI20230421BHJP
A44B 11/26 20060101ALI20230421BHJP
【FI】
B60R22/18
A44B11/26
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021170344
(22)【出願日】2021-10-18
(71)【出願人】
【識別番号】318002149
【氏名又は名称】Joyson Safety Systems Japan合同会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086911
【弁理士】
【氏名又は名称】重野 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100144967
【弁理士】
【氏名又は名称】重野 隆之
(72)【発明者】
【氏名】伊西 穂高
【テーマコード(参考)】
3B090
3D018
【Fターム(参考)】
3B090AC06
3B090AC08
3B090BC02
3D018BA12
(57)【要約】
【課題】ハーネスが繰り返し屈曲することが防止されるバックルを提供する。
【解決手段】バックル1内のバックル本体部2にスイッチアッシー8が設けられており、ハーネス9,9の先端がスイッチアッシー8に接続されている。ハーネス9,9はチューブ10に挿通されている。チューブ10は、ケース3のハーネス挿通口12を通ってケース3外に引き出されている。バックル本体部2に、ピン13,14、ピン13,14の一端同士を連結する連結部を有するU字状の保持部が設けられている。チューブ10は、ピン13,14間に引き通されて保持されている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タングが挿脱されると共に、挿入されたタングをロック機構によって係脱可能にロックするバックルであって、
該ロック機構を有したバックル本体部と、
該バックル本体部を包囲するカバーと、
該バックル本体部の電気部材に連なり、該カバーのハーネス挿通口を通ってカバー外に引き出されたハーネスと、
該ハーネスが挿通されたチューブと、
を有し、
該チューブは、該カバーに設けられたハーネス挿通口を通ってカバー外からカバー内にまで入り込んでおり、
前記バックル本体部に設けられたチューブ保持部に保持されている、バックル。
【請求項2】
前記チューブ保持部は、第1のピン、第2のピン、及び該第1のピンの一端部と該第2のピンの一端部とを連結する連結部を有するU字状であり、前記チューブが該第1のピンと該第2のピンとの間に挟持されている、請求項1のバックル。
【請求項3】
前記ハーネス挿通口を通り抜けたチューブが前記第1のピンに沿って曲がり、該第1のピンと前記第2のピンとの間を通過する、請求項2のバックル。
【請求項4】
前記チューブ保持部は第3のピンをさらに有し、
前記第1のピンと前記第2のピンとの間を通過したチューブが、該第2のピンに沿って曲がり、該第3のピンに接触する、請求項3のバックル。
【請求項5】
前記第1のピンの上部に前記第2のピン側に張り出す張出部が設けられている、請求項2~4のいずれかのバックル。
【請求項6】
前記チューブは、前記ハーネス挿通口に係合する係合部を備えている、請求項1~5のいずれかのバックル。
【請求項7】
前記係合部は1対のフランジを備えており、該フランジ間で前記ハーネス挿通口の縁部が挟持されている、請求項6のバックル。
【請求項8】
前記電気部材は、タングのラッチを検出するスイッチである、請求項1~7のいずれかのバックル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車等の移動体に設けられるシートベルト装置のバックルに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等に設置されるシートベルト装置は、乗員拘束用のウェビングが掛通されたタングをバックルにラッチするよう構成されている。バックルは、タングを係脱可能にロックするバックル本体部と、該バックル本体部を包囲するカバー等を備えている。
【0003】
バックルには、タングが挿入されてラッチされたことを検知するためのスイッチ(バックルスイッチ)が設けられている。スイッチに連なるハーネスは、カバーの後部の挿通口を通ってカバー外に引き通されている(特許文献1,2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002-362312号公報
【特許文献2】特開2016-137884号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1,2にあっては、ハーネスがチューブ(特許文献2では配線チューブと称されている。特許文献1には図示のみされ、部材名称は記載されていない。)に通されているが、チューブはバックルのカバー内には引き込まれていない。そのため、ハーネスのうちチューブ端部付近は、外力が作用することにより繰り返し屈曲するおそれがある。
【0006】
本発明はハーネスが繰り返し屈曲することが防止されるバックルを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のバックルは、タングが挿脱されると共に、挿入されたタングをロック機構によって係脱可能にロックするバックルであって、該ロック機構を有したバックル本体部と、該バックル本体部を包囲するカバーと、該バックル本体部の電気部材に連なり、該カバーのハーネス挿通口を通ってカバー外に引き出されたハーネスと、該ハーネスが挿通されたチューブと、を有し、該チューブは、該カバーに設けられたハーネス挿通口を通ってカバー外からカバー内にまで入り込んでおり、前記バックル本体部に設けられたチューブ保持部に保持されている。
【0008】
本発明の一態様では、前記チューブ保持部は、第1のピン、第2のピン、及び該第1のピンの一端部と該第2のピンの一端部とを連結する連結部を有するU字状であり、前記チューブが該第1のピンと該第2のピンとの間に挟持されている。
【0009】
本発明の一態様では、前記ハーネス挿通口を通り抜けたチューブが前記第1のピンに沿って曲がり、該第1のピンと前記第2のピンとの間を通過する。
【0010】
本発明の一態様では、前記チューブ保持部は第3のピンをさらに有し、前記第1のピンと前記第2のピンとの間を通過したチューブが、該第2のピンに沿って曲がり、該第3のピンに接触する。
【0011】
本発明の一態様では、前記第1のピンの上部に前記第2のピン側に張り出す張出部が設けられている。
【0012】
本発明の一態様では、前記チューブは、前記ハーネス挿通口に係合する係合部を備えている。
【0013】
本発明の一態様では、前記係合部は1対のフランジを備えており、該フランジ間で前記ハーネス挿通口の縁部が挟持されている。
【0014】
本発明の一態様では、前記電気部材は、タングのラッチを検出するスイッチである。
【発明の効果】
【0015】
本発明のバックルにあっては、ハーネスが挿通されたチューブがバックルのカバー内にまで入り込み、該チューブがバックル本体部に対し係止されている。そのため、チューブに外力が作用しても、ハーネスのチューブ端部付近は不動状態を維持するので、繰り返し屈曲することがない。
【0016】
本発明の一態様では、前記チューブは、前記ハーネス挿通口に係合する係合部を備えているので、チューブのカバーに対する挿抜方向の動きが拘束される。これにより、カバー内でのチューブ先端部付近におけるハーネスの繰り返し屈曲がより確実に防止される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図4】別の実施の形態に係るバックルの、ハーネスとカバーとの係合を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して実施の形態について説明する。
【0019】
図1~3の通り、バックル1は、上端面のタング挿入口1aから挿入されたタング(図示略)をラッチ機構でラッチすると共に、プレスボタン4(
図3)が押されたときにはラッチを解除してタングをバックル1外に押し出すよう構成されている。
【0020】
ラッチ機構を有したバックル本体部2(
図3)は、バックル1の外殻を構成するカバー3によって包囲されている。バックル本体部2の上端のプレスボタン4がバックル1の上端面に露呈状に配置されている。プレスボタン4は、バネ(図示略)によって上方に付勢されている。
【0021】
ラッチ機構5は、ベース6に対し傾動自在に支持されたラッチングプレート7を備えている。タング挿入口1aからタング挿入スペースにタングが挿入されると、該タング挿入スペースに配置されたイジェクタがイジェクタスプリング(図示略)を押し縮めながら後退する。タングが十分に深く差し込まれると、タング先端部の開口(タング開口)にラッチングプレートの先端部が入り込み、ラッチ状態となる。
【0022】
プレスボタン4を押すと、ラッチングプレートの先端側がタング開口から退出し、イジェクタスプリングによってイジェクタが上方に移動し、タングをバックル1外に押し出す。
【0023】
バックル1にタングが挿入されてラッチされたことを検知するためにスイッチアッシー8が設けられており、該スイッチアッシー8にハーネス9,9の先端が接続されている。ハーネス9,9は、カバー3のハーネス挿通口12(
図1)からカバー3の下方に引き出されている。
【0024】
ハーネス9,9は絶縁被覆9a(
図2)を有している。ハーネス9,9は合成樹脂等よりなるチューブ10に挿通されている。
【0025】
図3の通り、ベース6上にはハーネス保持部材としての柱状の第1ないし第3のピン13,14,15が設けられている。第1ピン13と第2ピン14は上下方向に並んで配置され、ベース6側の端部同士が連結されたU字形状のハーネス保持部材となっている。
【0026】
ハーネス挿通口12からケース3内に入り込んだチューブ10は、第1ピン13に沿って略直角に曲がってピン13,14で挟持される。チューブ10は、第2ピン14に沿って略直角に曲がり、ピン15により位置が規制される。チューブ10の先端は、ピン15間よりも若干上位に位置している。ハーネス9,9は、チューブ10の先端から延出し、スイッチアッシー8に接続されている。
【0027】
このように、このバックル1にあっては、ハーネス9,9が挿通されたチューブ10の先端側がカバー3内にまで入り込み、ピン13,14,15によって保持されており、カバー3内ではハーネス9,9は不動状態となっている。そのため、バックル1外においてチューブ10に外力が加えられてもチューブ10の先端部付近でハーネス9,9に繰り返し屈曲が生じない。
【0028】
上記実施の形態では、チューブ10はカバー3のハーネス挿通口12を単に通り抜ける構造となっているが、
図4のように、チューブ20にフランジ21,22を設け、フランジ21,22によってハーネス挿通口12の縁部を挟持する構成としてもよい。
【0029】
図4では、カバー3は第1カバーハーフ3aと第2カバーハーフ(
図4では図示略)との二体よりなる。チューブ挿通口12は、第1カバーハーフ3aの第2カバーハーフとの合わせ面から切り込んだ略U字形状となっている。第1のフランジ21がカバー3の内部側に位置し、第2のフランジ22がカバー3の外部側に位置するように、チューブ20のフランジ21,22同士の間の部分をチューブ挿通口12に係合させる。チューブ20のその他の構成はチューブ10と同一である。
【0030】
このようにチューブ20をフランジ21,22によってチューブ挿通口12に係止させることにより、チューブ挿通口12とピン13,14との間におけるチューブ20の動きが防止される。特に、チューブ20のカバー3に対する挿抜方向の動きが拘束される。これにより、カバー3内でのチューブ20先端部付近におけるハーネス9,9の繰り返し屈曲がより確実に防止される。
【0031】
図5に示すように、ピン14の上部に、ピン13側に張り出す張出部14aを設けてもよい。張出部14aを設けることで、チューブ10がピン13,14間から脱離することを抑制できる。ピン13の上部に、ピン14側に張り出す張出部を設けてもよい。張出部は、ピン13、14のいずれか一方の上部にのみ設けてもよいし、両方に設けてもよい。
【0032】
上記実施の形態は本発明の一例であり、本発明は上記以外の構成とされてもよい。上記実施の形態では、ハーネス9,9はスイッチアッシーに接続されているが、バックル内のソレノイド、モータなどの電気部品に接続されてもよい。あるいはまた、タング嵌合有無や注意喚起、装飾等のイルミネーション用のLEDに接続されていてもよい。
【符号の説明】
【0033】
1 バックル
2 バックル本体部
3 カバー
5 ラッチング機構
6 ベース
7 ラッチングプレート
8 スイッチアッシー
9 ハーネス
9a 絶縁被覆
10 チューブ
12 ハーネス挿通口
13,14,15 ピン
20 チューブ
21,22 フランジ