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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023060644
(43)【公開日】2023-04-28
(54)【発明の名称】車両の保護構造
(51)【国際特許分類】
   B60K 1/04 20190101AFI20230421BHJP
   B60K 15/063 20060101ALI20230421BHJP
   B60K 15/067 20060101ALI20230421BHJP
   F02M 37/00 20060101ALI20230421BHJP
   B62D 25/20 20060101ALN20230421BHJP
【FI】
B60K1/04 Z
B60K15/063 A
B60K15/067
F02M37/00 301J
B62D25/20 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021170357
(22)【出願日】2021-10-18
(71)【出願人】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000006286
【氏名又は名称】三菱自動車工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100174366
【弁理士】
【氏名又は名称】相原 史郎
(72)【発明者】
【氏名】安田 慎太郎
(72)【発明者】
【氏名】岡田 雄介
(72)【発明者】
【氏名】楊 淋淋
(72)【発明者】
【氏名】石崎 晋
(72)【発明者】
【氏名】神保 郁充
(72)【発明者】
【氏名】和田 昇平
【テーマコード(参考)】
3D038
3D203
3D235
【Fターム(参考)】
3D038CA03
3D038CA12
3D038CA17
3D038CA18
3D038CB01
3D038CD01
3D038CD09
3D038CD19
3D203CA04
3D203CA25
3D203CA75
3D203DA08
3D203DA20
3D203DB05
3D235AA02
3D235BB04
3D235BB32
3D235CC15
3D235DD35
3D235EE63
3D235EE64
3D235FF06
3D235FF07
3D235FF12
3D235FF23
3D235FF43
3D235HH02
3D235HH25
(57)【要約】
【課題】車両衝突時に互いに近づく方向に移動した蓄電池のコネクタ及び燃料タンクの保護を図る車両の保護構造を提供する。
【解決手段】車両前後方向に並んで配置された電池パック2と燃料タンク3との間で、電力ケーブル11のコネクタ12が電池パック2に着脱可能に接続された車両1の保護構造であって、コネクタ12と燃料タンク3の前壁14の段差部15との間に配置され、電池パック2側に固定されたプロテクタ部24を備え、プロテクタ部24は、基端部が電池パック2のコネクタフランジ20の台座部に固定され、先端部が接続されたコネクタ12よりも燃料タンク3側に突出し、基端部から先端部に向けて上下長さが短くなる第1の傾斜部が形成された板状部材である。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両前後方向に並んで配置された蓄電池と燃料タンクとの間で、電力線のコネクタが前記蓄電池に接続された車両の保護構造であって、
前記コネクタと前記燃料タンクの外壁との間に配置され、前記蓄電池の前記コネクタを保護するプロテクタを備え、
前記プロテクタは、基端部が前記コネクタを接続する前記蓄電池の台座に固定され、先端部が前記台座に接続された前記コネクタよりも前記燃料タンク側に突出し、前記基端部から前記先端部に向けて上下長さが短くなる第1の傾斜部が形成された板状部材を有することを特徴とする車両の保護構造。
【請求項2】
前記プロテクタは、前記板状部材の前記基端部と前記先端部との間で車幅方向側方に延びる鍔部を有することを特徴とする請求項1に記載の車両の保護構造。
【請求項3】
前記プロテクタと前記台座との間には、前記プロテクタの側面から前記台座に向けて下方に傾斜する第2の傾斜部を有することを特徴とする請求項1または2に記載の車両の保護構造。
【請求項4】
前記プロテクタの前記基端部と前記台座との間には、前記プロテクタ側から前記台座側に向けて下方に傾斜する第3の傾斜部を有することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の車両の保護構造。
【請求項5】
前記プロテクタの強度は、前記コネクタの強度よりも高く、かつ前記燃料タンクの外壁の強度よりも低いことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の車両の保護構造。
【請求項6】
前記燃料タンクの前記蓄電池側の壁面には、前記コネクタの車幅方向側方に段差部が設けられており、
前記プロテクタは、前記段差部と前記コネクタとの間に配置されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の車両の保護構造。
【請求項7】
前記鍔部の先端部側端部に、面取り部を備えたことを特徴とする請求項2に記載の車両の保護構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の蓄電池に接続されたコネクタの保護構造に関する。
【背景技術】
【0002】
プラグインハイブリッド車や電気自動車のように、走行駆動用の電動モータを備えた車両では、電動モータによる走行可能距離を増加させるために大型の蓄電池が搭載されている。
特許文献1に示すように、走行駆動用の電動モータを備えた車両は、例えばフロア下に車両の車幅方向及び前後方向に大きい蓄電池が搭載されている。更に、特許文献1に開示された車両は、フロア下に格子状に配置されたフレームの間に蓄電池(電池パック)が搭載され、車両衝突時における保護が図られている。
【0003】
一方、蓄電池及び電動モータを備えるとともに、更にエンジンを備えたハイブリッド車では、車両にエンジンへ燃料を供給するための燃料タンクが搭載されている。燃料タンクについても、車両のフロア下に配置されることが一般的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-186072号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のように、大型の蓄電池及び燃料タンクをフロア下に搭載した車両の多くは、車両の前後方向に蓄電池及び燃料タンクが並べて配置されている。また、蓄電池には電力入出力用のコネクタが接続されているが、衝突時のコネクタ保護のために、蓄電池と燃料タンクとの間に配置されている場合がある。更に、蓄電池と燃料タンクとの間に蓄電池用のコネクタが配置されている車両において、例えば燃料タンクの蓄電池側の壁面に段差を設け、側方視でコネクタと燃料タンクの段差部とが重なるようにして、コネクタの側方で蓄電池と燃料タンクとの隙間を少なくすることで、限られた搭載スペースを極力利用して燃料タンクの容量を増加させることができる。
【0006】
しかしながら、蓄電池と燃料タンクとが並んで配置された車両において、車両衝突時に衝突位置や車両の構成により、蓄電池と燃料タンクの移動が相対的に異なる場合があり、コネクタと燃料タンクとが接触して、いずれか一方あるいは双方が破損する可能性がある。
本発明はこのような問題を解決するためになされたもので、車両衝突時に互いに近づく方向に移動した蓄電池のコネクタ及び燃料タンクの保護を図る車両の保護構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の車両の保護構造は、車両前後方向に並んで配置された蓄電池と燃料タンクとの間で、電力線のコネクタが前記蓄電池に接続された車両の保護構造であって、前記コネクタと前記燃料タンクの外壁との間に配置され、前記蓄電池の前記コネクタを保護するプロテクタを備え、前記プロテクタは、基端部が前記コネクタを接続する前記蓄電池の台座に固定され、先端部が前記台座に接続された前記コネクタよりも前記燃料タンク側に突出し、前記基端部から前記先端部に向けて上下長さが短くなる第1の傾斜部が形成された板状部材を有することを特徴とする。
【0008】
これにより、車両の衝突により、コネクタと燃料タンクとが互いに近づいたとしても、プロテクタによってコネクタと燃料タンクとの接触が防止される。また、コネクタを接続するための蓄電池の台座を利用して、プロテクタを容易に設置することができる。また、プロテクタの先端部に燃料タンクが接触して車幅方向側方に向かって荷重を受けた場合に、プロテクタに作用するモーメントが基端部に向かうにしたがって増加することに対応して、プロテクタの強度を必要十分なものに設定することができる。更に、プロテクタの先端部の上下長さを短くすることで、コネクタの側面の一部を露出させて、作業者がコネクタを把持し易くすることが可能になる。
【0009】
好ましくは、前記プロテクタは、前記板状部材の前記基端部と前記先端部との間で車幅方向側方に延びる鍔部を有するとよい。
これにより、車幅方向側方に作用する荷重に対するプロテクタの強度を向上させることができる。
好ましくは、前記プロテクタと前記台座との間には、前記プロテクタの側面から前記台座に向けて下方に傾斜する第2の傾斜部を有するとよい。
【0010】
これにより、プロテクタの側面と台座との接続箇所における応力集中を抑制して強度を向上させることができる。
好ましくは、前記プロテクタの前記基端部と前記台座との間には、前記プロテクタ側から前記台座に向けて下方に傾斜する第3の傾斜部を有するとよい。
これにより、プロテクタの基端部と台座との接続箇所における応力集中を抑制して強度を向上させることができる。
【0011】
好ましくは、前記プロテクタの強度は、前記コネクタの強度よりも高く、かつ前記燃料タンクの外壁の強度よりも低いとよい。
これにより、プロテクタの強度がコネクタの強度よりも高いので、車両衝突時にコネクタを十分に保護することができる。また、プロテクタの強度が燃料タンクの外壁の強度よりも低いので、プロテクタと燃料タンクの外壁とが接触した場合に燃料タンクの保護を図ることができる。
【0012】
好ましくは、前記燃料タンクの前記蓄電池側の壁面には、前記コネクタの車幅方向側方に段差部が設けられており、前記プロテクタは、前記段差部と前記コネクタとの間に配置されているとよい。
これにより、例えば車両の側突により、蓄電池と燃料タンクとが車幅方向に相対的に移動し、コネクタが段差部に近づくように移動した場合に、プロテクタによってコネクタと燃料タンクとの接触を防止して、コネクタ及び燃料タンクの保護を図ることができる。
【0013】
好ましくは、前記鍔部の先端部側端部に、面取り部を備えるとよい。
これにより、車両の衝突によりプロテクタの先端部と燃料タンクとが互いに近づいて、プロテクタの鍔部の先端部側端部が燃料タンクと接触した場合に、接触面積を増加させて燃料タンクへの局所的な入力を抑制し、燃料タンクの保護を図ることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の車両の保護構造によれば、蓄電池と燃料タンクとを並べて配置することで、蓄電池及び燃料タンクの容量を大きく確保することができるとともに、電池と燃料タンクとの間に蓄電池に接続されるコネクタを配置することで、車両衝突時におけるコネクタの保護を図ることができる。更に、コネクタと燃料タンクの外壁との間に、蓄電池側に固定されたプロテクタを備えることで、車両衝突時にコネクタと燃料タンクとの接触を防止してコネクタの保護を図ることができる。
【0015】
プロテクタは、基端部がコネクタを接続する蓄電池の台座に固定され、先端部が台座に接続されたコネクタよりも燃料タンク側に突出し、基端部から先端部に向けて上下長さが短くなる第1の傾斜部が形成された板状部材を有するので、プロテクタを容易に設置することができ、プロテクタの強度を必要十分なものに設定することができるとともに、コネクタの側面の一部を露出させることで、作業者がコネクタの側面を把持して脱着を容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施形態に係る車両のフロア下の概略構成を示す下面図である。
図2】本実施形態に係る蓄電池のコネクタ取付部の構造を示す斜視図である。
図3】本実施形態に係るコネクタフランジの形状を示す構造図であり、(A)は正面図、(B)は側面図、(C)は上面図、(d)は斜視図である。
図4】側突時における車両のフロア下の状態の一例を示す下面図である。
図5】側突時におけるコネクタ付近の状態の一例を示す拡大下面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面に基づき本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る車両1のフロア下の概略構成を示す下面図である。
図1に示すように、本発明の保護構造を採用する車両1は、図示しないエンジン及び大容量の電池パック2(蓄電池)を搭載したプラグインハイブリッド車である。
車両1のフロア下には、電池パック2とエンジンの燃料タンク3とが、車両前後方向に並べて搭載されている。
【0018】
燃料タンク3は、車両1の後輪5a、5b付近の車両前後位置に配置され、車両1の車幅方向に延びた略矩形箱状に形成されている。燃料タンク3は、薄板の鋼板や樹脂等で形成されている。
電池パック2は、燃料タンク3の車両前方に配置され、車両1の前輪4a、4bと後輪5a、5bとの間の車両前後位置に位置している。電池パック2は、複数のリチウムイオン電池等の二次電池を収納して構成されている。電池パック2は、車両1の左右一対のサイドフレーム6、7間のスペースに配置され、当該スペースの車幅方向略一杯の大きさに形成されている。
【0019】
電池パック2の車両後方側の壁面(後壁10)には、電池パック2と電力ケーブル11(電力線)の一端とを着脱可能に接続するためのコネクタ12が備えられている。電力ケーブル11の他端は、燃料タンク3の後方かつフロア上に設置されたインバータ等の電力制御ユニット13に接続されている。
コネクタ12は、電池パック2の後壁10の車幅方向左部に配置され、後壁10よりも車両後方に突出するように配置されている。燃料タンク3の前壁14(外壁)と電池パック2の後壁10とは、例えば数cm程度の隙間を有している。燃料タンク3の前壁14は、コネクタ12との干渉を避けるように、コネクタ12付近及びその車幅方向左側が車両後方側に凹んでおり、コネクタ12の車幅方向右方に段差部15が設けられている。
【0020】
図2は、電池パック2のコネクタ取付部の構造を示す斜視図である。図3は、コネクタフランジ20の形状を示す構造図であり、(A)は正面図、(B)は側面図、(C)は上面図、(d)は斜視図である。なお、コネクタフランジ20については、以降、車両1に設置された状態での車両方向を用いて説明する。
図2、3に示すように、コネクタ12は、コネクタフランジ20を介して電池パック2の後壁10に固定される電池側コネクタ21と、電力ケーブル11の一端に接続されたケーブル側コネクタ22によって構成されている。電池側コネクタ21及びケーブル側コネクタ22は、略矩形状に形成され、互いに着脱可能に構成されている。ケーブル側コネクタ22は、コネクタフランジ20に固定されている電池側コネクタ21の車両後方側に接続されている。コネクタは、外形部分が例えば樹脂によって形成されている。
【0021】
コネクタフランジ20は、電池パック2の後壁10に電池側コネクタ21を固定するための台座部23(台座)と、コネクタ12を保護するプロテクタ部24(プロテクタ)を有しており、例えばアルミダイキャストで一体的に形成されている。
台座部23は、一面が開口した略矩形箱状であって、開口部25側の左右の縁部26a、26bが左右外方に突出している。左右の縁部26a、26bには、電池パック2の後壁10に固定するためのボルト穴27が夫々複数個設けられている。
【0022】
コネクタフランジ20は、台座部23の開口部25側を電池パック2の後壁10に向けて配置され、左右の縁部26a、26bのボルト穴27にボルトを通して電池パック2の後壁10に固定されている。
台座部23の開口部25とは反対側の壁面28、即ち車両後方側になる壁面28に電池側コネクタ21が複数のボルト29によって固定されている。
【0023】
プロテクタ部24は、台座部23の右側壁30の上部に設けられた板状部材である。プロテクタ部24は、台座部23の前端部付近を基端部として後方に延び、先端部が台座部23の後壁である壁面28よりも更にコネクタ12の前後厚さ以上後方に突出している。台座部23に固定したコネクタ12とプロテクタ部24とが例えば数mm~数cm程度離間するように、台座部23の幅方向の大きさ及び台座部23に対する電池側コネクタ21の固定位置が設定されている。
【0024】
プロテクタ部24の上端は、台座部23の上壁33より上方に突出している。プロテクタ部24の下端は、台座部23の下壁34より上方に位置し、車両後方に向かうに伴って上方に位置するように傾斜して第1の傾斜部35が形成されている。
プロテクタ部24は、第1の傾斜部35によって、台座部23に固定されているコネクタ12のケーブル側コネクタ22の右側面を指で把持することが可能な程度に露出するように形成されている。
【0025】
プロテクタ部24の上端は、略垂直に屈曲して右方に数mm程度突出した鍔部32が形成され、縦断面が逆L字状になっている。鍔部32はプロテクタ部24の先端部から基端部まで設けられており、鍔部32の先端部右端部(先端部側端部)にはR形状の面取り部38が設けられている。
台座部23の上壁33とプロテクタ部24の左側面との接続箇所には、滑らかに接続するように、プロテクタ部24側から台座部23側に向けて下方に傾斜させた第2の傾斜部36が設けられている。更に第2の傾斜部36以外にも台座部23とプロテクタ部24との接続箇所において、垂直に接続されている箇所が滑らかになるように傾斜部が設けられている。例えば、台座部23の右縁部26bの上端面とプロテクタ部24の前端面上部との接続箇所にプロテクタ部24側から台座部23側に向けて下方に傾斜した第3の傾斜部40を有するとともに、右縁部26bとプロテクタ部24の右側面との接続箇所41、台座部23の後方側の壁面28とプロテクタ部24の左側面との接続箇所42を、滑らかに接続するように傾斜させた傾斜部にしている。
【0026】
更に、プロテクタ部24の強度は、コネクタ12の強度よりも高く、かつ燃料タンク3の前壁14よりも低く設定されている。
図4は、側突時における車両1のフロア下の状態の一例を示す下面図である。図5は、側突時におけるコネクタ12付近の状態の一例を示す拡大下面図である。
図4、5に示すように、車両1の左前輪4aと左後輪5aの間を車両1の車幅方向左方から車幅方向右方に向けて例えば電柱のような柱状の物体(衝突物50)が衝突した場合、電池パック2は衝突物50に押されて車両1内で右方に移動する。これに対し、燃料タンク3は衝突物50との衝突位置に対して車両後方に離間しているので、車両1内で殆ど移動しないか、あるいは衝突による車体の後部の捻じれによって、車両1内で左方に移動する。また、燃料タンク3の内容物が流体であるため、衝突時において慣性力により電池パック2よりも移動し難い。したがって、衝突物50との側突時に、電池パック2に接続されているコネクタ12と燃料タンク3の前壁14の段差部15とが車幅方向に近づくように移動する。
【0027】
コネクタ12と燃料タンク3の段差部15とは車両前後位置及び上下位置が略同一であるので、コネクタ12と燃料タンク3とが車幅方向に近づくように移動した場合に、コネクタ12と燃料タンク3の段差部15とが衝突する可能性がある。
しかしながら、コネクタ12を支持するコネクタフランジ20に、コネクタ12と段差部15との間を車両前後方向に延びるプロテクタ部24が設けられているので、側突時にコネクタ12と燃料タンク3の段差部15とが近づくように移動しても、燃料タンク3の段差部15はプロテクタ部24に接触し、燃料タンク3とコネクタ12とが接触することを防止することができる。これにより、側突時におけるコネクタ12の破損を防止することができる。プロテクタ部24の強度は、コネクタ12の強度よりも高いので、プロテクタ部24によってコネクタ12の保護が十分に可能になる。
【0028】
また、プロテクタ部24は、板状部材で形成されているので、燃料タンク3に接触した際に湾曲して衝撃を吸収することができる。プロテクタ部24の強度は、燃料タンク3の前壁14の強度よりも低いので、プロテクタ部24と燃料タンク3とが接触した際に燃料タンク3の保護を図ることができる。
なお、電池パック2のコネクタ12は、電池パック2と燃料タンク3との間に配置されているが、これは車両衝突時において衝突物を到達し難くしてコネクタ12を破損し難くするためである。また、電池パック2の後方にコネクタ12を配置することで、車両後部に配置した電力制御ユニット13に接続する電力ケーブル11を短くすることができる。また、燃料タンク3に段差部15を設けることで、コネクタ12の設置スペースを確保しつつ、コネクタ12より車幅方向右方の部分で燃料タンク3を車両前方に延ばして、燃料タンク3の容量を増加させることができる。
【0029】
コネクタフランジ20のプロテクタ部24は、第1の傾斜部35において下端が傾斜してケーブル側コネクタ22の右側面の一部が露出しており、ケーブル側コネクタ22の側面を作業者が指で把持することができるので、ケーブル側コネクタ22を容易に着脱することができる。
また、プロテクタ部24は、下端が傾斜しており、基端部である車両前方側の上下長さが先端部である車両後方側の上下長さより長くなっているので、先端部に燃料タンク3が当接した際に作用するモーメントの大きさに対応してプロテクタ部24の強度を必要十分な程度に設定することができる。
【0030】
また、プロテクタ部24の上端が折り曲げられて左右方向に延びる鍔部32を有しているので、プロテクタ部24に左右方向(車幅方向)に作用する力に対する強度を増加させ、プロテクタ部24の強度を向上させることができる。
また、台座部23の上壁33とプロテクタ部24の左側面との間の第2の傾斜部36や、台座部23の右縁部26bとプロテクタ部24の前端面上部との間の第3の傾斜部40、その他の台座部23とプロテクタ部24との接続箇所41、42において、滑らかに接続するように形成されているので、プロテクタ部24と台座部23との接続箇所における応力集中を抑制し、当該接続箇所の強度を向上させることができる。
【0031】
また、プロテクタ部24の鍔部32の先端部右端部には面取り部38が設けられているので、車両1の側突時にプロテクタ部24の先端部と燃料タンク3の段差部15とが互いに近づいて接触した場合に、接触面積を増加させて燃料タンク3への局所的な荷重の入力を抑制し、燃料タンク3の保護を図ることができる。
本発明は、上記の実施形態に限定するものではない。
【0032】
例えば、コネクタフランジ20の詳細な形状については、適宜変更することができる。
また、本発明は、蓄電池と燃料タンクを隣接して配置する車両に広く適用することができる。
【符号の説明】
【0033】
1 車両
2 電池パック(蓄電池)
3 燃料タンク
11 電力ケーブル(電力線)
14 前壁(外壁)
15 段差部
22 ケーブル側コネクタ(コネクタ)
23 台座部(台座)
24 プロテクタ部(プロテクタ)
32 鍔部
35 第1の傾斜部
36 第2の傾斜部
38 面取り部
40 第3の傾斜部
図1
図2
図3
図4
図5