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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023060650
(43)【公開日】2023-04-28
(54)【発明の名称】足回り装置及び走行装置
(51)【国際特許分類】
   B61B 13/00 20060101AFI20230421BHJP
【FI】
B61B13/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021170365
(22)【出願日】2021-10-18
(71)【出願人】
【識別番号】000002107
【氏名又は名称】住友重機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100116274
【弁理士】
【氏名又は名称】富所 輝観夫
(72)【発明者】
【氏名】谷口 繁
【テーマコード(参考)】
3D101
【Fターム(参考)】
3D101BB16
3D101BB23
(57)【要約】
【課題】ロッカーボギー機構を用いた足回り装置の小型化を図る技術を提供することにある。
【解決手段】駆動輪24と、駆動輪24に対して前後方向一方側に配置される第1従動輪26と、駆動輪24に対して前後方向他方側に配置される第2従動輪28と、駆動輪24及び第1従動輪26を支持し第1揺動軸44周りに揺動可能なボギーリンク部材38と、第2従動輪28及びボギーリンク部材38を支持し第2揺動軸50周りに揺動可能なロッカーリンク部材40と、を備え、左右方向から見て、第1揺動軸44は、駆動輪24の回転軸70と同一鉛直線上になく、回転軸70より鉛直方向上方に位置し、駆動輪24の外形の内側に位置する足回り装置。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動輪と、
前記駆動輪に対して前後方向一方側に配置される第1従動輪と、
前記駆動輪に対して前後方向他方側に配置される第2従動輪と、
前記駆動輪及び前記第1従動輪を支持し第1揺動軸周りに揺動可能なボギーリンク部材と、
前記第2従動輪及び前記ボギーリンク部材を支持し第2揺動軸周りに揺動可能なロッカーリンク部材と、を備え、
左右方向から見て、前記第1揺動軸は、前記駆動輪の回転軸と同一鉛直線上になく、前記回転軸より鉛直方向上方に位置し、前記駆動輪の外形の内側に位置する足回り装置。
【請求項2】
前記第1従動輪及び前記第2従動輪のうちの一方の従動輪を上下に延びる回動軸周りに回動可能に支持する回動支持機構を備える請求項1に記載の足回り装置。
【請求項3】
前記第1従動輪及び前記第2従動輪のうちの一方の従動輪を昇降可能に支持する昇降支持機構を備える請求項1または2に記載の足回り装置。
【請求項4】
前記第1従動輪及び前記第2従動輪のうちの一方の従動輪が走行面に接地した状態にあるとき、前記走行面から離れて位置する補助輪を備え、
前記補助輪は、前記一方の従動輪に対して前記第1従動輪及び前記第2従動輪のうちの他方の従動輪とは前後方向の反対側に突出する請求項1から3のいずれか1項に記載の足回り装置。
【請求項5】
前記一方の従動輪及び前記補助輪を一体的に上下に延びる回動軸周りに回動可能に支持する回動支持機構を備える請求項4に記載の足回り装置。
【請求項6】
前記一方の従動輪及び前記補助輪を一体的に昇降可能に支持する昇降支持機構を備える請求項4または5に記載の足回り装置。
【請求項7】
前記駆動輪と、前記第1従動輪及び前記第2従動輪のうちの一方の従動輪との外径比は2:1以上である請求項1から6のいずれか1項に記載の足回り装置。
【請求項8】
装置本体と、
前記装置本体に取り付けられる請求項1から7のいずれかに記載の足回り装置と、を備える走行装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、走行装置に用いられる足回り装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、駆動輪及び第1従動輪を支持するボギーリンク部材と、第2従動輪及びボギーリンク部材を支持するロッカーリンク部材とを備えるロッカーボギー機構を用いた足回り装置を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-19348号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願発明者は、ロッカーボギー機構を用いた足回り装置の小型化を図るうえで、従来技術に関して、改良の余地があるとの認識を得た。
【0005】
本開示の目的の1つは、ロッカーボギー機構を用いた足回り装置の小型化を図る技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の足回り装置は、駆動輪と、前記駆動輪に対して前後方向一方側に配置される第1従動輪と、前記駆動輪に対して前後方向他方側に配置される第2従動輪と、前記駆動輪及び前記第1従動輪を支持し第1揺動軸周りに揺動可能なボギーリンク部材と、前記第2従動輪及び前記ボギーリンク部材を支持し第2揺動軸周りに揺動可能なロッカーリンク部材と、を備え、左右方向から見て、前記第1揺動軸は、前記駆動輪の回転軸と同一鉛直線上になく、前記回転軸より鉛直方向上方に位置し、前記駆動輪の外形の内側に位置する。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、ロッカーボギー機構を用いた足回り装置の小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態の走行装置の側面図である。
図2】第1実施形態の足回り装置の斜視図である。
図3】第1実施形態の足回り装置の一部を左右方向内側から見た側面図である。
図4図3のB-B断面を模式的に示す図である。
図5】第2実施形態の走行装置の側面図である。
図6図5の一部を示す部分断面側面図である。
図7図5の一部を示す部分断面側面図である。
図8図8(A)は、補助輪の動作に関する第1説明図であり、図8(B)は、その第2説明図であり、図8(C)は、その第3説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施形態を説明する。同一の構成要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。各図面では、説明の便宜のため、適宜、構成要素を省略、拡大、縮小する。図面は符号の向きに合わせて見るものとする。
【0010】
(第1実施形態)図1を参照する。走行装置10は、AGV(Automatic Guided Vehicle)、AMR(autonomous mobile robot)等の無人搬送車である。走行装置10は、装置本体12と、装置本体12に取り付けられる足回り装置14と、を備える。装置本体12は、搬送対象となる物品を載置するための載置部16を備える。装置本体12は、走行装置10の走行動作を制御するためのコンピュータからなる制御装置(不図示)と、制御装置及び駆動装置20(後述する)に電力を供給するバッテリー(不図示)等を搭載する。
【0011】
図2図3図4を参照する。図3は、図2の矢視Aから足回り装置14の一部を見た図でもある。本明細書では、各構成要素の位置関係に関して、前後方向X、左右方向Y及び上下方向Zを用いて説明する。前後方向Xは、駆動輪24(後述する)の回転中心となる回転軸70(仮想軸)と直交する水平方向であり、左右方向Yは、その前後方向Xと直交する水平方向である。上下方向Zは鉛直方向である。
【0012】
足回り装置14は、左右両側に配置される一対の車輪組18と、車輪組18の駆動輪24を駆動する駆動装置20と、一対の車輪組18のそれぞれを支持するホイールベース(車輪組支持体)22と、を備える。
【0013】
車輪組18は、複数の車輪からなる。車輪組18を構成する複数の車輪は、駆動輪24と、駆動輪24に対して前後方向X一方側となる前側(図3の左側)に配置される第1従動輪26と、駆動輪24に対して前後方向X他方側となる後側(図3の右側)に配置される第2従動輪28と、を含む。
【0014】
駆動輪24は、駆動装置20から伝達される動力によって回転可能である。本実施形態の駆動輪24はタイヤ付車輪であり、駆動装置20によって回転させられるホイール30と、ホイール30に取り付けられるタイヤ32とを備える。駆動輪24の種類は特に限定されず、一体車輪等でもよい。
【0015】
各従動輪26、28は、駆動装置20から動力が伝達されず、駆動輪24の回転に追従して回転可能である。本実施形態の各従動輪26、28は一体車輪である。従動輪26、28の種類は特に限定されず、タイヤ付車輪等でもよい。本実施形態の第1従動輪26は前側にある前輪となり、第2従動輪28は後側にある後輪となる。
【0016】
本実施形態の駆動装置20はギヤモータである。駆動装置20の具体例は特に限定されず、モータ、エンジン等でもよい。駆動装置20は、ボギーリンク部材38(後述する)にボルト等によって固定されるケーシング34を備える。ケーシング34は、ボギーリンク部材38を左右方向Yに貫通している。駆動装置20は、駆動輪24の左右方向Yの内側に配置される。駆動装置20は、駆動輪24のホイール30にボルト等によって固定され、回転動力を出力可能な出力部材36を備える。駆動輪24は、この出力部材36から動力が直接に伝達されることで回転させられる。
【0017】
一対のホイールベース22は、左右方向Yに間隔を空けて配置される。ホイールベース22は、駆動輪24及び第1従動輪26を支持するボギーリンク部材38と、第2従動輪28及びボギーリンク部材38を支持するロッカーリンク部材40と、を備える。ホイールベース22の各リンク部材38、40は、例えば、ステンレス、アルミニウム等の金属によって構成される。
【0018】
ボギーリンク部材38は、前後方向Xに長い長尺部材である。ボギーリンク部材38は、その前後方向Xの一端部(前端部)において第1従動輪26に接続され、それとは前後方向Xの反対側にある他端部(後端部)において駆動輪24に接続される。ボギーリンク部材38は、前述の通り、駆動装置20を介して駆動輪24に接続される。
【0019】
ボギーリンク部材38は、第1支持軸受42を介して、第1揺動軸44周りでの相対回転を伴い揺動可能にロッカーリンク部材40に接続される。第1揺動軸44は、ボギーリンク部材38の揺動中心となる仮想軸である。ここでの揺動とは、左右方向Yから見て、言及している揺動軸を揺動中心として、その揺動軸周りに言及しているリンク部材(ここではボギーリンク部材38)が回動することをいう。
【0020】
第1支持軸受42は、例えば、クロスローラ軸受である。第1支持軸受42は、第1外輪42a及び第1内輪42bと、第1外輪42a及び第1内輪42bを転動する複数の第1転動体(不図示)と、を備える。ボギーリンク部材38は、その前後方向Xの中間部において、ロッカーリンク部材40と左右方向Yに対向する箇所に設けられ、左右方向Yに凹む第1収容凹部46を備える。第1支持軸受42は、第1収容凹部46に収容される。第1支持軸受42の第1外輪42aはボギーリンク部材38にねじ等によって固定され、その第1内輪42bはロッカーリンク部材40にねじ等によって固定される。これにより、第1支持軸受42は、ボギーリンク部材38を揺動可能にロッカーリンク部材40に接続する。この揺動中心となる第1揺動軸44は、第1支持軸受42の軸心上に設けられる。
【0021】
ロッカーリンク部材40は、前後方向Xに長い長尺部材である。ロッカーリンク部材40は、その前後方向Xの一端部(前端部)においてボギーリンク部材38に接続され、それとは前後方向Xの反対側にある他端部(後端部)において第2従動輪28に接続される。
【0022】
ロッカーリンク部材40は、第2支持軸受48を介して、第2揺動軸50周りでの相対回転を伴い揺動可能に装置本体12に接続される。本実施形態のロッカーリンク部材40は、第2支持軸受48の他に、装置本体12に取り付けるための取付部材52を介して、装置本体12に接続される。第2揺動軸50は、ロッカーリンク部材40の揺動中心となる仮想軸である。
【0023】
第2支持軸受48は、例えば、クロスローラ軸受である。第2支持軸受48は、第2外輪48a及び第2内輪48bと、第2外輪48a及び第2内輪48bを転動する複数の第2転動体48cとを備える。ロッカーリンク部材40は、その前後方向Xの中間部において、取付部材52と左右方向Yに対向する箇所に設けられ、左右方向Yに凹む第2収容凹部54を備える。第2支持軸受48は、第2収容凹部54に収容される。第2支持軸受48の第2外輪48aはロッカーリンク部材40にねじ等によって固定され、その第2内輪48bは取付部材52にねじ等によって固定される。これにより、第2支持軸受48は、ロッカーリンク部材40を揺動可能に取付部材52を介して装置本体12に接続する。この揺動中心となる第2揺動軸50は、第2支持軸受48の軸心上に設けられる。
【0024】
ホイールベース22のボギーリンク部材38及びロッカーリンク部材40はロッカーボギー機構を構成する。ロッカーボギー機構は、凹凸、うねり等のある不整地を走行するときに、走行面56の形状に追従して揺動軸44、50の周りで各リンク部材38、40を揺動させることで、三つの車輪(駆動輪24及び各従動輪26、28)を走行面56に接地した状態を維持することができる。これにより、三つの車輪のいずれかが走行面56から浮いてしまう事態を防止でき、不整地の走行時に高い安定性を得ることができる。このロッカーボギー機構の動作原理そのものは公知のため、ここでの詳細な説明は省略する。
【0025】
足回り装置14は、従動輪26、28を上下(鉛直方向)に延びる回動軸60周りに回動可能に支持する回動支持機構62を備える。回動軸60は、従動輪26、28の回動中心となる仮想軸であり、本実施形態では鉛直軸となる。本実施形態の足回り装置14は、第1従動輪26、第2従動輪28のそれぞれに対応する個別の回動支持機構62を備える。本実施形態において、第1従動輪26に対応する回動支持機構62と第2従動輪28に対応する回動支持機構62とは構成を共通とするため、主に前者の構成を説明して後者の説明を省略する。
【0026】
回動支持機構62は、ホイールベース22に回動軸60周りに回動可能に従動輪26、28を接続する。第1従動輪26は、回動支持機構62によって、ホイールベース22のボギーリンク部材38に接続される。第2従動輪28は、回動支持機構62によって、ホイールベース22のロッカーリンク部材40に接続される。本実施形態において回動支持機構62及び従動輪26、28は旋回キャスターとして機能する。回動支持機構62は、従動輪26、28の軸心周りに回転可能に従動輪26を支持する車輪支持体64と、ホイールベース22に車輪支持体64を回転可能に接続する回転接続機構66と、を備える。車輪支持体64は、例えば、フォーク等を用いて構成される。本実施形態の回転接続機構66は、回転継手(スイベルジョイント)によって構成される。各従動輪26、28の軸心29は、回動軸60に対してずれた位置に配置される。これにより、走行面56に対する回動軸60の交点と従動輪26、28の接地点とをずらしてキャスタートレールを確保できる。よって、走行装置10の走行時に走行装置10の進行方向と従動輪26,28の向きを揃え易くなり、良好な直進安定性を得ることができる。
【0027】
図3を参照する。以下、左右方向Yから見た各構成要素の位置関係を説明する。駆動輪24の回転中心となる回転軸70から第1揺動軸44までの前後寸法をLaとする。第1揺動軸44からボギーリンク部材38に対する第1従動輪26の接続位置(本実施形態では第1従動輪26の回動軸60)までの前後寸法をLbとする。ロッカーリンク部材40に対する第2従動輪28の接続位置(本実施形態では第2従動輪28の回動軸60)から第2揺動軸50までの前後寸法をLcとする。第2揺動軸50から第1揺動軸44までの前後寸法をLdとする。第2揺動軸50から、ボギーリンク部材38に対する第1従動輪26の接続位置までの前後寸法をLeとする。本実施形態ではLa=Ldとなるが、これらは異なっていてもよい。ここでの前後寸法とは前後方向Xに沿った寸法をいう
【0028】
走行面56から各車輪24、26、28に作用する上向きの垂直反力をFa、Fb1、Fb2とする。Faは駆動輪24の垂直反力、Fb1は第1従動輪26の垂直反力、Fb2は第2従動輪28の垂直反力である。ロッカーボギー機構を用いる場合、La:LbとLc:Ldの比(以下、長さ比)に応じて、各垂直反力Fa、Fb1、Fb2の比(以下、反力比という)をコントロールできることが知られる。
【0029】
ボギーリンク部材38に作用する垂直反力Fa、Fb1による第1揺動軸44周りのモーメントが釣り合う場合、Fa×La=Fb1×Lbとなり、La:Lb=Fb1:Fa・・・(A)と書き換えることができる。また、ロッカーリンク部材40に作用する垂直反力Fa、Fb1、Fb2による第2揺動軸50周りのモーメントが釣り合う場合、Fb2×Lc=(Fa+Fb1)×Ldとなり、Lc:Ld=(Fa+Fb1):Fb2・・・(B)と書き換えることができる。前述のLa等の長さ比とこれら式(A)、(B)を用いて、各車輪24、26、28の垂直反力の反力比を求めることができる。
【0030】
例えば、本実施形態では、La:Lbを1:2としており、Fb1:Faは1:2となる。また、本実施形態では、Lc:Ld(=La)を3:1としており(結果的にLc:Le=1:1となる)、Fa+Fb1:Fb2は3:1となる。これらを組み合わせると、Fa:Fb1:Fb2=2:1:1として反力比を求めることができる。
【0031】
この反力比は、本実施形態において、ロッカーボギー機構のつり合いがとれた状態にあるとき、駆動輪24に作用する垂直反力Faよりも、従動輪26、28に作用する垂直反力Fb1、Fb2が小さくなることを意味している。これは、走行面56にある段差に進行方向にある従動輪26、28が乗り上げようとするとき、垂直反力Faと垂直反力Fb1,Fb2を同じにする場合と比べ、従動輪26、28が上昇するようにリンク部材38、40が容易に揺動できるようになることを意味する。ひいては、走行面56にある段差に従動輪26、28によって容易に乗り上げ易くなる。この他にも、垂直反力Faよりも垂直反力Fb1、Fb2を小さくすることで、駆動装置20から動力が伝達される駆動輪24のトラクション性を高めつつ、走行面56の形状に追従する従動輪26、28の上昇動作を軽くすることができる。ひいては、不整地の走破性を高めることができる。ここでの不整地は、凹凸、段差等のある箇所の他、スリッピーな箇所も含む。
【0032】
このように、ロッカーボギー機構を用いる場合、目的とする反力比で各車輪24、26、28に垂直反力が作用するように、設計上、La等に関して所定の長さ比に設定している。
【0033】
ここで、第1揺動軸44は、回転軸70と同一鉛直線上にはない。これは、第1揺動軸44が回転軸70に対して前後方向Xにずれた位置にあることを意味する。本実施形態の第1揺動軸44は、回転軸70よりも第1従動輪26側に位置する。これは、前述のLa:Lbに関する長さ比の実現に必要な条件となる。
【0034】
走行面の段差の乗り越え時には第1支持軸受42には大荷重が付与され、その大荷重に抵抗するためには第1支持軸受42の大型化が要求される。仮に、回転軸70より鉛直方向(上下方向Z)下方に第1揺動軸44を配置した場合、第1揺動軸44及び第1支持軸受42が走行面56に近くなり過ぎ、第1支持軸受42の寸法が制約されてしまう。これを防止するため、第1揺動軸44は、回転軸70より鉛直方向(上下方向Z)上方に位置している。これにより、第1支持軸受42の寸法が走行面56によって制約され難くなり、第1支持軸受42の寸法を大型化できる。ひいては、段差の乗り越え時に付与される大荷重に抵抗するために第1支持軸受42に要求される耐久性を容易に確保することができる。
【0035】
第1揺動軸44は、駆動輪24の外形の内側に位置している。第1揺動軸44は、左右方向Yから見て、駆動輪24の外周面24aよりも駆動輪24の径方向内側(回転軸70側)に位置しているということである。これにより、駆動輪24の第1従動輪26側の端24bよりも前後方向Xで第1従動輪26側(図3の紙面左側)に第1揺動軸44が位置する場合と比べ、回転軸70から第1揺動軸44までの距離Laを短くすることができる。この距離Laを短くできるほど、La:Lbの長さ比を維持するうえで必要な距離Lbも短くできるようになる。また、これと同時に、これらの距離La、Lbを短くすることで、Lc:Ldの比を維持するうえで必要な距離Lcも短くできるようになる。ひいては、La等に関して所定の長さ比を維持したまま、足回り装置14全体の前後寸法を小型化できる。La等に関して所定の長さ比を維持できるということは、各車輪24、26、28への反力の作用の仕方に関して目的とする反力比を維持できることを意味する。
【0036】
以上の足回り装置14の効果を説明する。
【0037】
(A)足回り装置14は、駆動輪24と第1揺動軸44とに関して、前述した所定の位置関係を定めている。よって、ロッカーボギー機構を用いた足回り装置14において、足回り装置14の前後寸法の小型化を図ることができる。これを実現するうえで、前述の通り、La等に関して所定の長さ比を維持することができる。また、この他にも、前述の通り、段差の乗り越え時に第1支持軸受42に要求される耐久性を確保することもできる。
【0038】
(B)足回り装置14は、従動輪26、28を回動軸60周りに回動可能に支持する回動支持機構62を備える。よって、足回り装置14が進行方向を変更しようとするとき、その変更に追従して従動輪26、28が回動できるようになり、その進行方向を変更するときの追従性が良好となる。
【0039】
回動支持機構62は、第1従動輪26及び第2従動輪28のそれぞれに対応して個別に設けられる。よって、左右の駆動輪24の回転方向を逆向きにしたときに、超信地旋回ができるようになる。
【0040】
なお、ボギーリンク部材38とロッカーリンク部材40を接続する第1支持軸受42は回転軸70に対して前後方向Xで第1従動輪26側にずれた位置にある。よって、第1支持軸受42と回転軸70との間において、ロッカーリンク部材40の一部とボギーリンク部材38の一部が上下に重なる構造となる。このため、第1支持軸受42が回転軸70と同一鉛直線上にある場合と比べ、足回り装置14全体の前後寸法を小型化できる。
【0041】
次に、本実施形態の足回り装置14の他の特徴を説明する。本実施形態において、駆動輪24と、第1従動輪26及び第2従動輪28のうちの一方の従動輪との外径比は2:1以上である。この条件は、本実施形態において、駆動輪24と第1従動輪26との間でも満たされるし、駆動輪24と第2従動輪28との間でも満たされる。ここでの外径とは半径での外径をいう。駆動輪24の外径をR24、第1従動輪26の外径をR26、第2従動輪28の外径をR28とする。R24:R26は2:1以上となるし、R24:R28は2:1以上になるということである。
【0042】
従動輪26、28の外径R26、R28を大きくするほど、La等に関する所定の長さ比を維持するために、足回り装置14全体の前後寸法が大型化する。例えば、第1従動輪26の外径R26が大きくなるほど、駆動輪24との干渉を避けるためにボギーリンク部材38の前後寸法を大きくして距離Lbを長くする必要がある。これに伴い、La:Lbの比を維持するために、距離Laも長くする必要があり、さらには、Lc:Ldの比を維持するために、距離Lcも長くする必要がある。この結果、足回り装置14全体の前後寸法が大型化する。
【0043】
また、第2従動輪28の外径R28が大きくなるほど、駆動輪24との干渉を避けるために、ロッカーリンク部材40の前後寸法を大きくして距離Lcを長くする必要がある。これに伴い、Lc:Ldの比やLa:Lbの比を維持するために、距離La(=Ld)、Lbも長くする必要がある。この結果、足回り装置14全体の前後寸法が大型化する。
【0044】
この点、前述の外径比に関する条件を満たすことで、これを満たさない場合と比べて、La等に関して所定の長さ比を維持したまま、足回り装置14全体の前後寸法を小型化できる。なお、従動輪と駆動輪24の外径比の上限は特に限定されないものの、例えば、3~4:1以下としてもよい。
【0045】
(第2実施形態)図5図6を参照する。本実施形態の走行装置10は、第1実施形態と比べて、主に第1従動輪26周りの構成において相違する。第2従動輪28周りの構成は第1実施形態と共通のため、ここでの説明は省略する。ロッカーボギー機構において駆動装置20から動力が伝達されない従動輪26がある場合、従動輪26によって走行面56にある段差80に乗り上げ難くなる。以下、この段差80に乗り上げ易くするための工夫点を説明する。
【0046】
図6図7を参照する。足回り装置14は、第1従動輪26を昇降可能に支持する昇降支持機構82を備える。昇降支持機構82は、ホイールベース22に昇降可能に第1従動輪26を接続する。昇降支持機構82は、第1従動輪26の軸心29周りに回転可能に第1従動輪26を支持する車輪支持体64と、車輪支持体64を昇降可能にホイールベース22に接続する昇降接続機構84とを備える。
【0047】
本実施形態の昇降接続機構84は、ホイールベース22(本実施形態ではボギーリンク部材38)に取り付けられる直動軸受86と、車輪支持体64に取り付けられるシャフト88と、を備える。直動軸受86は、シャフト88を直動可能に支持する。本実施形態の直動軸受86とシャフト88はボールスプラインを構成する。ボールスプラインを構成するシャフト88は、複数のスプラインを備えるスプラインシャフトである。ボールスプラインを構成する直動軸受86は、ホイールベース22に取り付けられる外筒86aと、シャフト88のスプラインと外筒86aとの間に配置される複数のボール(不図示)とを備える。直動軸受86は、不図示のボールが外筒86aとシャフト88を転動することで、シャフト88を回転不能かつ軸方向に直動可能に支持する。以上の昇降支持機構82によって、車輪支持体64の上下方向Zでの移動を伴い第1従動輪26を昇降可能に支持できる。
【0048】
ホイールベース22と車輪支持体64との間には圧縮ばね等の衝撃吸収部材90が配置される。装置本体12及びホイールベース22の荷重は、衝撃吸収部材90を介して車輪支持体64及び第1従動輪26に伝達される。第1従動輪26に上向きの衝撃荷重が入力されたとき衝撃吸収部材90が弾性変形することで、その衝撃荷重が吸収される。ひいては、走行装置10の装置本体12に伝達される衝撃荷重を緩和できる。
【0049】
足回り装置14は、第1従動輪26が平坦な走行面56に接地した状態にあるとき、その走行面56から上方に離れて位置する補助輪92を備える。補助輪92は、第1従動輪26の左右方向Yの内側に配置される。本実施形態の補助輪92の外径は、第1従動輪26の外径より大きい。補助輪92は、車輪支持体64によって補助輪92の軸心93周りに回転可能に支持される。昇降支持機構82は、第1従動輪26及び補助輪92を一体的に昇降可能に支持していることになる。補助輪92は、第1従動輪26に対して第2従動輪28とは前後方向Xの反対側(ここでは前側)に突出する(図5も参照)。
【0050】
第1従動輪26に対応する回動支持機構62は、第1従動輪26及び補助輪92を一体的に回動軸60周りに回動可能に支持する。この回動支持機構62の一部は昇降支持機構82の構成も兼ねている。詳しくは、回動支持機構62の後述する車輪支持体64、シャフト88は、昇降支持機構82の構成も兼ねている。
【0051】
第1従動輪26に対応する回動支持機構62は、第1実施形態で説明したように、第1従動輪26の軸心周りに回転可能に第1従動輪26を支持する車輪支持体64と、車輪支持体64を回動可能にホイールベース22に接続する回転接続機構66とを備える。
【0052】
車輪支持体64は、第1従動輪26を支持する第1車輪支持部材104と、補助輪92を支持する第2車輪支持部材106と、を備える。
【0053】
第1車輪支持部材104は、第1従動輪26を支持する第1フォーク104aと、第1フォークを支持するとともに第2車輪支持部材106に支持される第2フォーク104bとを備える。本実施形態の第1従動輪26は、第1車輪支持部材104の第1フォーク140aに車軸108を介して支持される。
【0054】
第2車輪支持部材106は、板状の第2ベース部106aと、第2ベース部106aから下向きに延びる板状の第2支持部106bと、を備える。第1車輪支持部材104は、第2車輪支持部材106の第2ベース部106aに固定される。第2支持部106bは、補助輪92を車軸110を介して支持する。
【0055】
本実施形態の回転接続機構66は、ホイールベース22に取り付けられるシャフト88と、シャフト88と車輪支持体64との間に配置され、シャフト88に対して車輪支持体64を回転可能に接続する回転軸受112と、を備える。
【0056】
回転軸受112は、内輪112a及び外輪112bと、内輪112a及び外輪112bを転動する複数の転動体112cを備える。本実施形態のシャフト88は、シャフト88の下端部に装着されるベアリングホルダ114を介して回転軸受112の内輪112aに固定される。本実施形態の回転軸受112は、車輪支持体64の上面部に設けられる凹部64a内に収容され、その外輪112bは凹部64aの内周部に固定される。
【0057】
以上の回動支持機構62は、ホイールベース22に対してシャフト88の軸心上を通る上下に延びる回動軸60周りで車輪支持体64を回動させることで第1従動輪26を回動させる。以上の回動支持機構62は、第1従動輪26及び補助輪92を一体的に回動軸60周りに回動可能に支持している。
【0058】
なお、本実施形態の回動支持機構62のシャフト88は、昇降支持機構82の構成も兼ねており、昇降支持機構82に用いられる直動軸受86を介してホイールベース22に取り付けられる。回動支持機構62のシャフト88は、昇降支持機構82の構成を兼ねない場合、直動軸受86を用いずに、ホイールベース22に直動不能に取り付けられていてもよい。また、昇降支持機構82のシャフト88は、回動支持機構62の構成も兼ねており、回動支持機構62に用いられる回転軸受112を介して車輪支持体64に回転可能に取り付けられる。昇降支持機構82のシャフト88は、回動支持機構62の構成を兼ねない場合、車輪支持体64に回転不能に取り付けられてもよい。
【0059】
以上の補助輪92に関する動作を説明する。図8(A)を参照する。図8では、第1従動輪26、補助輪92、回動軸60の位置のみ模式的に示す。第1従動輪26に対して第2従動輪28とは反対側(ここでは前側。図8(A)の紙面右側)を進行方向として走行装置10が走行する場合を考える。このとき、補助輪92が第2従動輪28とは前後方向Xの反対側に突出するため、図8(B)に示すように、走行面にある段差80に対して第1従動輪26よりも先に補助輪92が乗り上げることができる。このとき、補助輪92は、前述の通り、平坦な走行面56から上方に離れて位置するため、その走行面56に接地する場合と比べて、高い段差80に容易に乗り上げることができる。
【0060】
補助輪92が段差80に乗り上げた後、走行装置10が更に進行方向に進行すると、図8(C)に示すように、第1従動輪26が段差80に乗り上げることができる。この結果、第1従動輪26のみによって乗り上げ可能な最高高さの段差よりも高い段差80に、補助輪92と第1従動輪26を用いて容易に乗り上げることができるようになる。
【0061】
なお、補助輪92が段差80に乗り上げるとき、その動きに追従してロッカーボギー機構のリンク部材38、40が揺動軸44、50周りに揺動する。図8(A)~(C)では回動軸60の傾き方の変化を示すことでリンク部材38、40が揺動していることを示す。これにより、補助輪92が段差80に乗り上げている間は、図示しないものの、駆動輪24と第2従動輪28が走行面56に接した状態となり、かつ、第1従動輪26の代わりに補助輪92が走行面56にある段差80に接した状態となる。つまり、補助輪92が段差80に乗り上げるときも、三つの車輪(補助輪92、駆動輪24、第2従動輪28)が走行面56に接地した状態を維持できる。
【0062】
以上の足回り装置14の効果を説明する。
【0063】
(C)足回り装置14は、第1従動輪26を昇降可能に支持する昇降支持機構82を備える。よって、走行面56の段差80に追従して第1従動輪26が昇降できるようになり、第1従動輪26によって乗り上げ可能な段差80の最高高さを高くすることができる。
【0064】
(D)足回り装置14は、走行面56から離れて位置する補助輪92を備える。よって、補助輪92と従動輪26の組み合わせによって、従動輪26によって乗り上げ可能な最高高さの段差よりも高い段差を乗り越えることができる。このような高い段差を乗り越えるうえで、従動輪26を大型化してしまうと、前述のLa等に関して所定の長さ比を維持するため、足回り装置14全体の前後寸法の大型化を招く。この点、本実施形態によれば、高い段差を乗り越えるうえで、従動輪26の大型化が不要となり、ひいては、足回り装置14全体の前後寸法の大型化を避けることができる。
【0065】
(E)本実施形態の回動支持機構62は、第1従動輪26及び補助輪92を一体的に回動可能に支持する。よって、足回り装置14が進行方向を変更しようとしたとき、その変更に追従して第1従動輪26及び補助輪92の舵角(向き)を揃えたままこれらを一体的に回動させることができる。このため、足回り装置14の直進走行及びカーブ走行にかかわりなく、第1従動輪26及び補助輪92の舵角を揃えたまま補助輪92が段差に乗り上げることができるようになり、その段差に乗り上げる前後でスムーズな動作を維持できるようになる。
【0066】
(F)本実施形態の昇降支持機構82は、第1従動輪26及び補助輪92を一体的に昇降可能に支持している。よって、走行面56の段差に追従して第1従動輪26及び補助輪92が一体的に昇降できるようになり、第1従動輪26及び補助輪92によって乗り上げ可能な高さをさらに大きくすることができる。
【0067】
次に、ここまで説明した各構成要素の変形形態を説明する。
【0068】
実施形態では、第1従動輪26は前後方向Xの一方側(前側)にある前輪となり、第2従動輪28は前後方向Xの他方側(後側)にある後輪となる例を説明した。この他にも、第1従動輪26は前後方向Xの一方側(後側)にある後輪となり、第2従動輪28は前後方向Xの他方側(前側)にある前輪となってもよい。
【0069】
第1実施形態では、垂直反力Faよりも垂直反力Fb1、Fb2が小さくするようにLa等の長さ比を設定する例を説明した。この長さ比と反力比との関係は特に限定されない。例えば、各車輪24、26、28に作用する垂直反力Fa、Fb1、Fb2が均等になるようにLa等の長さ比を設定してもよい。これを実現する場合、例えば、図3のLa:Lbを1:1とし、Lc(=La):Ldを1:2としてもよい。
【0070】
また、駆動輪24に作用する垂直反力Faよりも、従動輪26、28に作用する垂直反力Fb1、Fb2を小さくするうえで、La等の長さ比は実施形態の内容に限定されない。例えば、第1従動輪26の垂直反力Fb1を駆動輪24の垂直反力Faよりも小さくするうえでは、La:Lbを1:X(Xは1超の数値)としてもよい。実施形態ではXを2として説明したが、Xを1超の任意の数値としてもよいということである。これにより、式(A)からFb1:Faを1:Xとすること、つまり、垂直反力Fb1を垂直反力Faよりも小さくすることができる。このとき、Lc:Ldを1+X:1として(結果的にLc:Leが1:1となる)もよい。これにより、式(A),(B)から、Fa:Fb1:Fb2をX:1:1にすることができる。つまり、垂直反力Faよりも垂直反力Fb1、Fb2の両方が小さくなるようにすることができる。ここでは、垂直反力Faよりも垂直反力Fb1、Fb2の両方を小さくする例を説明したが、垂直反力Faよりも垂直反力Fb1、Fb2の少なくとも一方が小さくなるように、La等の長さ比を設定してもよい。
【0071】
実施形態で説明した回動支持機構62、昇降支持機構82、補助輪92は必須ではなく、足回り装置14は、これらうちの一つ以上又は全部を備えなくともよい。
【0072】
回動支持機構62は従動輪26、28を回動可能に支持できればよく、その具体例は特に限定されない。また、前述した(B)の効果との関係で、回動支持機構62は、第1従動輪26、第2従動輪28のいずれかにのみ対応して設けられていればよい。足回り装置14は、第1従動輪26及び第2従動輪28の一方の従動輪を回動可能に支持する回動支持機構62を備えていればよいともいえる。
【0073】
車輪支持体64は、従動輪26、28の軸心周りに回転可能に従動輪26、28を支持できればよく、その具体的な構成は特に限定されない。
【0074】
昇降支持機構82は第1従動輪26を昇降可能に支持する例を説明した。この他にも、前述した(C)の効果との関係で、昇降支持機構82は第2従動輪28を昇降可能に支持してもよい。昇降支持機構82は、第1従動輪26及び第2従動輪28のうちの一方の従動輪を昇降可能に支持していればよいということである。この場合、実施形態での説明事項について、第1従動輪26を第2従動輪28に置き換えた内容によって具体化することができる。
【0075】
昇降支持機構82の昇降接続機構84に直動軸受86を用いる場合、直動軸受86の具体例は特に限定されず、例えば、スライドブッシュ等でもよい。この他にも、昇降支持機構82の昇降接続機構84は、直動軸受86とシャフト88の組み合わせの他にも、リニアガイド等のガイド機構でもよい。
【0076】
昇降支持機構82の車輪支持体64は、従動輪26の他に補助輪92を支持する例を説明したが、補助輪92を支持せずに従動輪26のみを支持していてもよい。この場合も、前述した(C)の効果を同様に得ることができる。また、昇降支持機構82は、第1従動輪26及び補助輪92を一体的に昇降可能に支持する例を説明したが、第2従動輪28及び補助輪92を一体的に昇降可能に支持してもよい。
【0077】
第1実施形態では、前述した(D)の効果を得るうえで、補助輪92は、第1従動輪26に対応して設けられ、その第1従動輪26に対して第2従動輪28とは反対側に突出する例を説明した。同様の効果を得るうえで、補助輪92は、第2従動輪28に対応して設けられ、その第2従動輪28に対して第1従動輪26とは反対側に突出してもよい。補助輪92は、第1従動輪26及び第2従動輪28のうちの一方の従動輪に対して他方の従動輪とは前後方向Xの反対側に突出していればよいということである。この場合、第2従動輪28に対して第1従動輪26とは反対側を進行方向として走行装置10が走行するとき、前述した(D)と同様の効果を得ることができる。この他にも、補助輪92は、第1従動輪26及び第2従動輪28のそれぞれに対応して個別に設けられてもよい。
【0078】
駆動輪24と、第1従動輪26及び第2従動輪28のうちの一方の従動輪との外径比は2:1未満であってもよい。また、駆動輪24とこれらのうちの一方の従動輪との外径比のみを2:1以上とし、駆動輪24と他方の従動輪との外径比を2:1未満としてもよい。
【0079】
以上の実施形態及び変形形態は例示である。これらを抽象化した技術的思想は、実施形態及び変形形態の内容に限定的に解釈されるべきではない。実施形態及び変形形態の内容は、構成要素の変更、追加、削除等の多くの設計変更が可能である。前述の実施形態では、このような設計変更が可能な内容に関して、「実施形態」との表記を付して強調している。しかしながら、そのような表記のない内容でも設計変更が許容される。図面の断面に付したハッチングは、ハッチングを付した対象の材質を限定するものではない。実施形態及び変形形態において言及している構造/数値には、製造誤差等を考慮すると同一とみなすことができるものも当然に含まれる。
【符号の説明】
【0080】
10…走行装置、12…装置本体、14…足回り装置、24…駆動輪、26…第1従動輪、28…第2従動輪、38…ボギーリンク部材、40…ロッカーリンク部材、44…第1揺動軸、50…第2揺動軸、56…走行面、60…回動軸、62…回動支持機構、82…昇降支持機構、92…補助輪。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8