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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023060690
(43)【公開日】2023-04-28
(54)【発明の名称】ヘッドアップディスプレイ
(51)【国際特許分類】
   B60K 35/00 20060101AFI20230421BHJP
   G02B 5/10 20060101ALI20230421BHJP
   G02B 7/182 20210101ALI20230421BHJP
   B60R 11/02 20060101ALI20230421BHJP
【FI】
B60K35/00 A
G02B5/10
G02B7/182
B60R11/02 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021170418
(22)【出願日】2021-10-18
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】小倉 徹也
【テーマコード(参考)】
2H042
2H043
3D020
3D344
【Fターム(参考)】
2H042DA20
2H042DE01
2H043CB01
2H043CD03
2H043CE00
3D020BA04
3D020BC02
3D020BD07
3D344AA12
3D344AA19
3D344AB01
3D344AC25
(57)【要約】
【課題】ミラーが軸受部材によって回転自在に支持される状態で、筐体に固定する作業を容易に行うことができるヘッドアップディスプレイを提供する。
【解決手段】ヘッドアップディスプレイ100は、ミラー本体141と、回転軸AX1となる軸部142を有するミラー140と、ミラー140の軸部AX1を回転自在に支持する軸受部材160と、軸部142に貫通され、ミラー140を軸受部材160に対して、回転軸AX1における所定の回転方向に付勢するトーションスプリング170と、ミラー140、軸受部材160、及び、トーションスプリング170を収容する筐体110と、を備え、トーションスプリング170は、軸受部材160のミラー140とは反対側に配置され、軸受部材160は、トーションスプリング170の一端171が掛けられる突起部164を有し、筐体110は、軸受部材160と嵌合して、軸受部材160を固定する凹部を有する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミラー本体と、回転軸となる軸部を有するミラーと、
前記ミラーの前記軸部を回転自在に支持する軸受部材と、
前記軸部に貫通され、前記ミラーを前記軸受部材に対して、前記回転軸における所定の回転方向に付勢するトーションスプリングと、
前記ミラー、前記軸受部材、及び、前記トーションスプリングを収容する筐体と、を備え、
前記トーションスプリングは、前記軸受部材の前記ミラーとは反対側に配置され、
前記軸受部材は、前記反対側に突出し、前記トーションスプリングの一端が掛けられる突起部を有し、
前記筐体は、前記軸受部材と嵌合して、前記軸受部材を固定する凹部を有する
ヘッドアップディスプレイ。
【請求項2】
前記突起部の高さは、前記トーションスプリングの前記一端の太さよりも大きい
請求項1に記載のヘッドアップディスプレイ。
【請求項3】
前記軸受部材は、さらに、前記突起部の高さよりも大きく突出する平板部を有する
請求項1または2に記載のヘッドアップディスプレイ。
【請求項4】
前記突起部は、前記平板部が延在する方向に配置され、
前記軸受部材は、前記突起部と、前記平板部との間に配置される窪みを有する
請求項3に記載のヘッドアップディスプレイ。
【請求項5】
前記窪みから前記突起部までの間の部分は、前記軸部の軸方向に対して傾斜している
請求項4に記載のヘッドアップディスプレイ。
【請求項6】
前記筐体の前記凹部は、前記軸受部材と密着している
請求項1から5のいずれか1項に記載のヘッドアップディスプレイ。
【請求項7】
前記軸受部材は、前記軸受部材の前記平板部を除く部分が前記凹部に嵌合することで、前記凹部に固定されている
請求項3から5のいずれか1項に記載のヘッドアップディスプレイ。
【請求項8】
前記凹部は、前記軸受部材が嵌合している第1空間を形成する第1部分と、前記第1空間の下方に設けられ、前記第1空間よりも小さい第2空間とを形成する第2部分とを有する
請求項1から7のいずれか1項に記載のヘッドアップディスプレイ。
【請求項9】
前記筐体は、第1部材と、前記第1部材と共に前記筐体の空間を形成する第2部材とを有し、
前記軸受部材の前記平板部は、前記第1部材及び前記第2部材に挟まれている
請求項3から5のいずれか1項に記載のヘッドアップディスプレイ。
【請求項10】
前記軸受部材は、さらに、前記平板部が締結部材で貫通されて前記筐体に固定されることで、前記凹部に固定されている
請求項9に記載のヘッドアップディスプレイ。
【請求項11】
さらに、
前記ミラーを回転させる動力を発生する駆動部を備え、
前記ミラーは、前記駆動部からの動力を前記軸部に伝達するためのギア部材を有する
請求項1から10のいずれか1項に記載のヘッドアップディスプレイ。
【請求項12】
さらに、
押し込まれることでオン状態に遷移するスイッチを備え、
前記ギア部材は、前記ミラーが回転開始の姿勢であるときに、前記スイッチを押し込む凸部を有する
請求項11に記載のヘッドアップディスプレイ。
【請求項13】
前記トーションスプリングは、さらに、圧縮バネとしての機能を有し、
前記ヘッドアップディスプレイは、さらに、
前記軸部の端部に固定され、前記軸受部材と共に前記トーションスプリングを挟んで圧縮した状態で前記トーションスプリングが伸張することを規制する規制部材を備える
請求項1から12のいずれか1項に記載のヘッドアップディスプレイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、筐体の内部において角度を変更することができるミラーを有するヘッドアップディスプレイに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、表示光を反射させる凹面鏡(ミラー)が軸受部材(支持部材)により回転自在に支持されているヘッドアップディスプレイが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-78966号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のヘッドアップディスプレイでは、ミラーが軸受部材によって回転自在に支持される状態で、筐体に固定する作業が煩雑になり得る。
【0005】
そこで、本開示は、ミラーが軸受部材によって回転自在に支持される状態で、筐体に固定する作業を容易に行うことができるヘッドアップディスプレイを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係るヘッドアップディスプレイは、ミラー本体と、回転軸となる軸部を有するミラーと、前記ミラーの前記軸部を回転自在に支持する軸受部材と、前記軸部に貫通され、前記ミラーを前記軸受部材に対して、前記回転軸における所定の回転方向に付勢するトーションスプリングと、前記ミラー、前記軸受部材、及び、前記トーションスプリングを収容する筐体と、を備え、前記トーションスプリングは、前記軸受部材の前記ミラーとは反対側に配置され、前記軸受部材は、前記反対側に突出し、前記トーションスプリングの一端が掛けられる突起部を有し、前記筐体は、前記軸受部材と嵌合して、前記軸受部材を固定する凹部を有する。
【発明の効果】
【0007】
本開示のヘッドアップディスプレイは、ミラーが軸受部材によって回転自在に支持される状態で、筐体に固定する作業を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施の形態に係るヘッドアップディスプレイの使用例を示す図である。
図2図2は、実施の形態に係るヘッドアップディスプレイにより表示される画像の領域を示す図である。
図3図3は、実施の形態におけるヘッドアップディスプレイの筐体の上部筐体を除いた分解斜視図である。
図4図4は、下部筐体に対するミラーの接続部分の分解斜視図である。
図5図5は、下部筐体に対するミラーの接続部分の上面視図、側面視図、及び、斜視図である。
図6図6は、下部筐体に対するミラーの接続部分の上面視図、側面視図、及び、斜視図である。
図7図7は、ミラーが回転する前の初期状態の第1姿勢を示す側面図である。
図8図8は、ミラーが回転して角度が調整された後の状態の第2姿勢を示す側面図である。
図9図9は、上部筐体を除いた状態における軸受部材の周辺の斜視図である。
図10図10は、図9におけるX-X断面図である。
図11図11は、図10におけるXI-XI断面図である。
図12図12は、変形例に係る、下部筐体に対するミラーの接続部分の分解斜視図である。
図13図13は、変形例に係る、ミラーの接続部分を拡大した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(本開示の基礎となった知見)
本発明者は、「背景技術」の欄において記載した、ヘッドアップディスプレイに関し、以下の問題が生じることを見出した。
【0010】
特許文献1のヘッドアップディスプレイでは、軸受部材が筐体に固定される構成であるため、ミラーを軸受部材に取り付けてから筐体に軸受部材を取り付ける作業を行う必要がある。よって、軸受部材を筐体に固定する作業が繁雑になり得る。
【0011】
以上のことから、ミラーが軸受部材によって回転自在に支持される状態で、筐体に固定する作業を容易に行うことができるヘッドアップディスプレイが求められている。
【0012】
そこで、本開示の一態様に係るヘッドアップディスプレイは、ミラー本体と、回転軸となる軸部を有するミラーと、前記ミラーの前記軸部を回転自在に支持する軸受部材と、前記軸部に貫通され、前記ミラーを前記軸受部材に対して、前記回転軸における所定の回転方向に付勢するトーションスプリングと、前記ミラー、前記軸受部材、及び、前記トーションスプリングを収容する筐体と、を備え、前記トーションスプリングは、前記軸受部材の前記ミラーとは反対側に配置され、前記軸受部材は、前記反対側に突出し、前記トーションスプリングの一端が掛けられる突起部を有し、前記筐体は、前記軸受部材と嵌合して、前記軸受部材を固定する凹部を有する。
【0013】
このため、ヘッドアップディスプレイの組立作業の作業者は、軸受部材及びトーションスプリングが設けられた状態のミラーを、筐体の凹部に嵌合させることで、ミラーを軸受部材によって回転可能に支持された状態で筐体に取り付けることが容易にできる。つまり、作業者は、ミラーが軸受部材によって回転自在に支持される状態で、ミラーを筐体110に固定する作業を容易に行うことができる。
【0014】
また、前記突起部の高さは、前記トーションスプリングの前記一端の太さよりも大きくてもよい。
【0015】
このため、トーションスプリングの一端を突起部に引っ掛けたままとすることができ、トーションスプリングの一端が突起部から外れることを低減することができる。
【0016】
また、前記軸受部材は、さらに、前記突起部の高さよりも大きく突出する平板部を有してもよい。
【0017】
このため、軸受部材の剛性を向上させることができ、軸受部材の耐久性を向上させることができる。
【0018】
また、前記突起部は、前記平板部が延在する方向に配置され、前記軸受部材は、前記突起部と、前記平板部との間に配置される窪みを有してもよい。
【0019】
このため、トーションスプリングに回転方向に付勢力が発生しない状態で、トーションスプリングの一端を窪みに収めることができる。
【0020】
また、前記窪みから前記突起部までの間の部分は、前記軸部の軸方向に対して傾斜していてもよい。
【0021】
このため、組立作業を行う作業者は、トーションスプリングの一端を窪みから突起部の窪みとは反対側に引っ掛けるために移動させるときに、突起部の窪み側に引っ掛かることを抑制でき、スムーズに移動させることができる。
【0022】
また、前記筐体の前記凹部は、前記軸受部材と密着していてもよい。
【0023】
これにより、軸受部材と筐体の凹部との間の隙間を0にすることができ、ミラーが振動することを低減することができ、映像の表示ブレを低減することができる。
【0024】
また、前記軸受部材は、前記軸受部材の前記平板部を除く部分が前記凹部に嵌合することで、前記凹部に固定されていてもよい。
【0025】
このため、軸受部材の平板部を除く部分を凹部に固定することができる。
【0026】
また、前記凹部は、前記軸受部材が嵌合している第1空間を形成する第1部分と、前記第1空間の下方に設けられ、前記第1空間よりも小さい第2空間とを形成する第2部分とを有してもよい。
【0027】
また、前記筐体は、第1部材と、前記第1部材と共に前記筐体の空間を形成する第2部材とを有し、前記軸受部材の前記平板部は、前記第1部材及び前記第2部材に挟まれていてもよい。
【0028】
このように、軸受部材は、平板部が第1部材と第2部材とに挟まれているため、より強固に筐体に固定される。
【0029】
また、前記軸受部材は、さらに、前記平板部が締結部材で貫通されて前記筐体に固定されることで、前記凹部に固定されていてもよい。
【0030】
このように、軸受部材は、平板部が締結部材により貫通された状態で、筐体に固定されるため、より強固に筐体に固定される。
【0031】
また、さらに、前記ミラーを回転させる動力を発生する駆動部を備え、前記ミラーは、前記駆動部からの動力を前記軸部に伝達するためのギア部材を有してもよい。
【0032】
このように、ミラーに後付けでギア部材を取り付けることができるため、ギア部材を他の形状のミラーまたは他の形状の筐体にも適用させることが容易にできる。
【0033】
また、さらに、押し込まれることでオン状態に遷移するスイッチを備え、前記ギア部材は、前記ミラーが回転開始の姿勢であるときに、前記スイッチを押し込む凸部を有してもよい。
【0034】
このため、スイッチのオン状態であることで、ミラーが第1姿勢であることを検知することができる。
【0035】
また、前記トーションスプリングは、さらに、圧縮バネとしての機能を有し、前記ヘッドアップディスプレイは、さらに、前記軸部の端部に固定され、前記軸受部材と共に前記トーションスプリングを挟んで圧縮した状態で前記トーションスプリングが伸張することを規制する規制部材を備えてもよい。
【0036】
このように、規制部材がトーションスプリングを圧縮した状態に規制するため、ミラーの回転軸の方向における位置を規制することができる。トーションスプリングで回転軸の方向に付勢されることでミラーの回転軸の方向における位置が規制されるため、ヘッドアップディスプレイが振動した場合に、振動による衝撃が筐体からミラーの軸部に伝達されることを低減することができる。
【0037】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも本開示の一具体例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置および接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本開示を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0038】
(実施の形態)
[1.ヘッドアップディスプレイの使用例]
まず、図1および図2を参照しながら、本実施の形態に係るヘッドアップディスプレイ100の使用例および概略構成について説明する。図1は、本実施の形態に係るヘッドアップディスプレイ100の使用例を示す図である。図2は、本実施の形態に係るヘッドアップディスプレイ100により表示される画像の表示領域を示す図である。
【0039】
本実施の形態におけるヘッドアップディスプレイ100は、車載用のヘッドアップディスプレイ(HUD)として構成され、車両300のダッシュボード301の上面付近に取り付けられる。
【0040】
このヘッドアップディスプレイ100は、表示媒体であるウインドシールド(フロントガラス)302の領域D1に光を投射する。投射された光はウインドシールド302に反射される。この反射光は、ヘッドアップディスプレイ100のユーザである運転席に座る運転者の目に向かう。運転者は、目に入ったその反射光を、ウインドシールド302越しに見える実際にある物を背景に、ウインドシールド302の反対側(車外側)に見える虚像I1として捉える。本実施の形態においてはこの一連の状況を、ヘッドアップディスプレイ100はウインドシールド302を用いて虚像I1を表示する、と表現する。
【0041】
図2は、本実施の形態におけるヘッドアップディスプレイ100によって光が投射される領域であるD1の一例を示す図である。
【0042】
図2が示すように、ダッシュボード301に取り付けられたヘッドアップディスプレイ100は例えば、光をウインドシールド302の運転席側下寄りに位置する領域D1(図中破線で囲まれた領域)に投射する。これにより、運転席に座る運転者から見てウインドシールド302の反対側(車外側)に見える虚像I1(図1参照)が表示される。
【0043】
[2.ヘッドアップディスプレイの構成]
次に、図1及び図3を用いて、ヘッドアップディスプレイ100の構成について説明する。図3は、本実施の形態におけるヘッドアップディスプレイ100の筐体の上部筐体を除いた分解斜視図である。
【0044】
なお、図3以降の図では、鉛直方向をZ軸方向とし、車両の進行方向、かつ、Z軸方向に垂直な方向をX軸方向とし、Z軸方向およびX軸方向に垂直な方向(車両の左右方向)をY軸方向とする。
【0045】
ヘッドアップディスプレイ100は、図1に示すように、筐体110と、ミラー130と、ミラー140と、液晶モジュール200とを備える。また、ヘッドアップディスプレイ100は、図3に示すように、ミラー140を筐体110に接続するための各種構成要素と、駆動部190とを備える。
【0046】
筐体110は、上部に開口部114が形成された、Y軸方向に長い略直方体状の形状を有する箱体の上部を構成する上部筐体111と、箱体の化部を構成する下部筐体112と、上部筐体111の開口部114を塞ぐ透明カバー113とを有する。上部筐体111と、下部筐体112とは、共に筐体110の空間S1を形成する。上部筐体111は、第1部材の一例であり、下部筐体112は、第2部材の一例である。筐体110は、ミラー130と、ミラー140と、液晶モジュール200とを収容している。筐体110は、例えば、樹脂により構成されるが、金属により構成されてもよい。
【0047】
ミラー130は、液晶モジュール200により投影された映像を反射するミラーである。ミラー140は、ミラー130で反射された映像をさらに反射し、反射した映像を、開口部114を介してヘッドアップディスプレイ100の外部に投影する。具体的には、ミラー140により反射された映像は、ウインドシールド302に投影される。ミラー130およびミラー140は、本実施の形態では、Y軸方向に長い矩形板状の部材である。ミラー130、140は、例えば、樹脂、金属などにより構成される。
【0048】
駆動部190は、ミラー140を回転させる動力を発生する。具体的には、駆動部190は、ミラー140の角度を変更するための動力をミラー140に付与する、例えば、モータである。駆動部190の回転軸と、ミラー140の回転軸とは、動力伝達部材により接続されている。駆動部190による動力は、動力伝達部材を介してミラー140に伝達される。動力伝達部材は、本実施の形態では、ギアである。動力伝達部材は、ギアに限らずにベルトであってもよい。
【0049】
液晶モジュール200は、液晶パネルに光源からの光を照射することで映像を投影する映像生成部の一例である。なお、液晶モジュール200は、本実施の形態では、全部が筐体110に収容される構成としたが、その一部が筐体110に収容される構成であってもよいし、筐体110の外部に配置される構成であってもよい。
【0050】
[3.ミラー140の接続部分の構成]
次に、下部筐体112に対するミラー140の接続部分の構成について、図3及び図4を用いて説明する。図4は、下部筐体112に対するミラー140の接続部分の分解斜視図である。
【0051】
図3及び図4に示すように、ミラー140は、下部筐体112の支持部115、116に対してY軸方向に平行な回転軸AX1で回転自在に支持される。
【0052】
ミラー140は、ミラー本体141と、ミラー本体141の回転軸AX1となる軸部142、143とを有する。ミラー本体141は、Y軸方向に長い矩形板状の部材であり、表面にミラーが設けられている部位である。軸部142は、ミラー本体141のY軸方向マイナス側の端面からY軸方向マイナス側に突出している円柱形状の部位である。軸部143は、ミラー本体141のY軸方向プラス側の端面からY軸方向プラス側に突出している円柱形状の部位である。軸部142と軸部143とは、回転軸AX1上に配置されており、回転軸AX1でミラー本体141が回転自在となるように支持される部位である。
【0053】
軸部142は、下部筐体112の支持部115により支持され、軸部143は、下部筐体112の支持部116により支持される。軸部142には、ギア部材150、軸受部材160、トーションスプリング170、及び、規制部材180が設けられている。
【0054】
ギア部材150は、軸部142と駆動部190との間に亘って設けられる部材であり、駆動部190からの動力を軸部142に伝達するための部材である。ギア部材150は、軸部142に固定される固定部151と、駆動部190からの動力を受けるギア部152とを有する。ギア部材150は、軸部142を貫通した締結部材155が固定部151に固定されることで、軸部142に固定される。また、ギア部材150は、さらに、トーションスプリング170の端部が固定される孔153を有していてもよい。また、ギア部材150は、さらに、凸部154を有していてもよい。凸部154の機能については、後述する。
【0055】
軸受部材160は、ミラー140の軸部142を回転自在に支持する部材である。軸受部材160は、軸部142に貫通される貫通孔162を有する軸受本体161と、回転軸AX1に平行な平板部163とを有する。貫通孔162は、軸受本体161からY軸方向マイナス側に突出する円筒形状の部位に囲われていてもよい。平板部163は、X-Y平面に平行であり、軸受本体161の上端に配置される。平板部163は、X軸方向に長い矩形板状の部位である。
【0056】
また、軸受部材160は、Y軸方向マイナス側、つまり、軸受部材160のミラー140のミラー本体141とは反対側に突出する突起部164を有する。突起部164は、トーションスプリング170の一端171が掛けられる部位である。突起部164は、平板部163が延在する方向、つまり、平板部163を通り、平板部163に平行なX-Y平面が存在する方向に配置される。なお、平板部163は、Y軸方向マイナス側に、突起部164の高さよりも大きく突出している。つまり、軸受本体161からのY軸方向マイナス側への突出量は、平板部163の方が突起部164よりも大きい。
【0057】
また、軸受部材160は、さらに、平板部163と、突起部164との間に配置される窪み165を有する。平板部163と、突起部164とは、軸受本体161からY軸方向マイナス側に突出している部位を有する。つまり、窪み165は、平板部163及び突起部164と比較して、軸受本体161からY軸方向マイナス側に突出する突出量が少ない部位である。なお、窪み165は、軸受本体161からY軸方向マイナス側に突出する突出量が0の部位であってもよい。
【0058】
また、平板部163は、貫通孔166を有する。貫通孔166の機能については、後述する。
【0059】
トーションスプリング170は、軸部142に貫通され、軸受部材160のミラー140のミラー本体141とは反対側に配置される。トーションスプリング170は、その一端171が突起部164に掛けられて固定され、その他端172がギア部材150の孔153に固定される。トーションスプリング170は、一端171と他端172とが回転軸AX1を中心とする円の周方向に近づいた場合に、周方向に遠ざかる方向に反発する力を発生する。つまり、トーションスプリング170は、回転軸AX1の回転方向にギア部材150と軸受部材160とを遠ざける回転方向に付勢力を発生する。
【0060】
また、トーションスプリング170は、さらに、圧縮バネとしての機能を有していてもよい。つまり、トーションスプリング170は、軸部142に貫通されるコイルの部分がY軸方向に圧縮された場合に、伸長する方向に反発する力を発生する。
【0061】
規制部材180は、軸部142のY軸方向マイナス側の端部に固定され、軸受部材160と共にトーションスプリング170を挟んで圧縮した状態でトーションスプリング170が伸長することを規制する。規制部材180は、軸部142の回転軸AX1に垂直な方向に軸部142から遠ざかる方向に広がる板状の形状を有する。規制部材180は、Y軸方向においてトーションスプリング170の少なくとも一部に重なる位置に設けられる。
【0062】
このように、規制部材180がトーションスプリング170を圧縮した状態に規制するため、ミラー140の回転軸AX1の方向における位置を規制することができる。トーションスプリング170で回転軸AX1の方向に付勢されることでミラー140の回転軸AX1の方向における位置が規制されるため、ヘッドアップディスプレイ100が振動した場合に、振動による衝撃が筐体110からミラー140の軸部142に伝達されることを低減することができる。
【0063】
ここで、トーションスプリング170の固定方法について、図5及び図6を用いて説明する。
【0064】
図5及び図6は、下部筐体112に対するミラー140の接続部分の上面視図、側面視図、及び、斜視図である。図5は、トーションスプリング170の一端171を軸受部材160の突起部164に掛ける前の状態を示し、図6は、一端171を突起部164に掛けた後の状態を示す。図5及び図6の(a)は上面視図であり、(b)は側面視図であり、(c)は斜視図である。
【0065】
図5に示すように、軸部142にギア部材150、軸受部材160、トーションスプリング170及び規制部材180が組み立てられた状態で、トーションスプリング170の一端171は、軸受部材160の窪み165の位置に配置される。この状態で、トーションスプリング170の一端171を窪み165の位置から突起部164のX軸方向プラス側に移動させる。この結果、図6に示すように、トーションスプリング170の一端171は、突起部164のX軸方向プラス側の位置に掛けられて固定される。つまり、トーションスプリング170の一端171と他端172とは、軸部142周りの周方向に近づいた状態で固定される。よって、トーションスプリング170は、図6の(b)に示すように、軸受部材160に対して、ギア部材150を右回りの回転方向に付勢することになる。ギア部材150は、ミラー140の軸部142に固定されているため、トーションスプリング170は、軸受部材160に対してミラー140を右回りの回転方向に付勢することになる。このため、作業者は、トーションスプリング170の一端171を窪み165から突起部164のX軸方向プラス側へ移動させて突起部164に引っ掛けるだけで、トーションスプリング170を、軸受部材160とミラー140との間に回転方向の付勢力を付与する状態に容易にできる。よって、作業効率を向上させることができる。
【0066】
なお、軸受部材160において、窪み165から突起部164までの間の部分167は、軸部142の軸方向AX1に対して傾斜している。このため、組立作業を行う作業者は、トーションスプリング170の一端171を窪み165から突起部164のX軸方向プラス側に移動させるときに、突起部164のX軸方向マイナス側に引っ掛かることを抑制でき、スムーズに移動させることができる。
【0067】
また、軸受部材160において、突起部164の高さ(つまり、突起部164の軸受本体161からのY軸方向マイナス側への突出量)は、トーションスプリング170の一端171の太さよりも大きい。このため、トーションスプリング170の一端171を突起部164に引っ掛けたままとすることができ、トーションスプリング170の一端171が突起部164から外れることを低減することができる。
【0068】
次に、トーションスプリング170により軸受部材160とミラー140及びギア部材150との間に付勢力を働かせる効果について図7及び図8を用いて説明する。
【0069】
図7は、ミラー140が回転する前の初期状態の第1姿勢を示す側面図である。図8は、ミラー140が回転して角度が調整された後の状態の第2姿勢を示す側面図である。
【0070】
なお、ミラー140の初期状態の第1姿勢は、水平方向DI1に対して角度θ1の方向DI11に平行な姿勢である。ミラー140の調整後の状態の第2姿勢は、水平方向DI1に対して角度θ2の方向DI12に平行な姿勢である。
【0071】
軸受部材160は、下部筐体112に固定されているため、トーションスプリング170により図7及び図8で示す右回りの回転方向に付勢力が働くと、ギア部材150のギア部152の各歯の右回転方向側の側面(歯面)が、駆動部190のギア191の各歯の左回転方向側の側面(歯面)と接触した状態が維持される。よって、ミラー140が第1姿勢であっても第2姿勢であっても、ギア部152の歯面が駆動部190のギア191の歯面と接触した状態が維持されるため、ミラー140のがたつきを低減することができる。
【0072】
また、図7及び図8を用いて、ギア部材150の凸部154の機能について説明する。
【0073】
凸部154は、図7に示すように、ミラー140が初期状態の第1姿勢である場合に、スイッチ156を押し込んだ状態となる。スイッチ156は、例えば図9に示すように、下部筐体112に対して固定されている。スイッチ156は、押し込まれることでオン状態に遷移し、押し込まれた状態が解除されるとオフ状態に遷移する。スイッチ156は、例えば、タクタイルスイッチである。図示しない制御部は、例えば、スイッチ156がオン状態である場合に、ミラー140の姿勢が第1姿勢である判定できる。また、凸部154は、図8に示すように、ミラー140が第2姿勢である場合に、スイッチ156から離れる。このため、制御部は、例えば、スイッチ156がオフ状態である場合に、ミラー140の姿勢が第1姿勢でないと判定できる。よって、制御部は、スイッチ156のオン状態である場合に第1姿勢であると容易に判定することができる。
【0074】
次に、軸受部材160と下部筐体112との接続形態について、図9図11を用いて説明する。図9は、上部筐体111を除いた状態における軸受部材160の周辺の斜視図である。図10は、図9におけるX-X断面図である。具体的には、図10は、回転軸AX1を通るX-Y平面で、上部筐体111を除くヘッドアップディスプレイ100を切断した場合の断面図である。図11は、図10におけるXI-XI断面図である。具体的には、図11は、軸受部材160の軸受本体161のY軸方向における中心を通るX-Z平面で切断した場合の断面図である。
【0075】
これらの図に示すように、支持部115は、軸受部材160の軸受本体161、つまり、軸受部材160の平板部163を除く部分が嵌合する凹部(溝部)により構成されている。支持部115である凹部は、軸受本体161と嵌合することで軸受部材160を下部筐体112に固定する。支持部115である凹部は、軸受部材160の軸受本体161と密着している。具体的には、支持部115である凹部のY軸方向における幅と、軸受本体161のY軸方向における幅とは、幅W1であり、互いに等しい。また、支持部115である凹部のX軸方向における幅と、軸受本体161のX軸方向における幅とは、幅W2であり、互いに等しい。なお、軸受本体161は、支持部115の凹部に圧入されていてもよいし、支持部115の凹部との間のクリアランスが0であってもよい。これにより、軸受部材160と下部筐体112の支持部115との間の隙間を0にすることができ、ミラー140が振動することを低減することができ、映像の表示ブレを低減することができる。
【0076】
また、支持部115は、図11に示すように、軸受部材160の軸受本体161が嵌合している第1空間S11を形成する第1部分115aと、第1空間S11の下方に設けられ、第1空間S11よりも小さい第2空間S12を形成する第2部分115bとを有する。第2空間S12は、第1空間S11よりもX軸方向の幅が小さい。第2空間S12は、ギア部材150の孔153とトーションスプリング170の他端172とが通過可能な空間である。第2空間S12は、ミラー140の角度が変更されて、ギア部材150の孔153とトーションスプリング170の他端172とが移動する範囲に形成されている。第2空間S12は、第1空間よりもX軸方向の幅が小さいため、下部筐体112のX軸方向マイナス側の外壁から第2空間S12まで、壁を設けることができ、下部筐体112の剛性を向上させることができる。
【0077】
また、軸受部材160は、平板部163が上部筐体111と下部筐体112とに挟まれることで、筐体110に固定されている。また、軸受部材160は、平板部163が締結部材117で貫通されて筐体110に固定されることで、支持部115の凹部に固定されている。締結部材117は、平板部163の貫通孔166を貫通している。締結部材117は、例えば、ビスである。
【0078】
このように、軸受部材160は、平板部163が上部筐体111と下部筐体112とに挟まれているため、より強固に筐体110に固定されうる。また、軸受部材160は、平板部163が締結部材117により貫通された状態で、筐体110に固定されるため、より強固に筐体110に固定される。
【0079】
締結部材117は、筐体110の外側の位置において、筐体110の外壁に近い位置で、下部筐体112及び軸受部材160の平板部163を貫通して上部筐体111の孔111aに固定される。
【0080】
[4.効果など]
本実施の形態に係るヘッドアップディスプレイ100は、ミラー140と、軸受部材160と、トーションスプリング170と、筐体110とを備える。ミラー140は、ミラー本体141と、回転軸AX1となる軸部142を有する。軸受部材160は、ミラー140の軸部142を回転自在に支持する。トーションスプリング170は、軸部142に貫通され、ミラー140を軸受部材160に対して、回転軸AX1における所定の回転方向に付勢する。筐体110は、ミラー140、軸受部材160、及び、トーションスプリング170を収容する。トーションスプリング170は、軸受部材160のミラー140とは反対側に配置される。軸受部材160は、軸受部材160のミラー140とは反対側に突出し、トーションスプリング170の一端171が掛けられる突起部164を有する。筐体110は、軸受部材160と嵌合して、軸受部材160を固定する凹部(支持部115)を有する。
【0081】
このため、ヘッドアップディスプレイ100の組立作業の作業者は、軸受部材160及びトーションスプリング170が設けられた状態のミラー140を、筐体110の支持部115の凹部に嵌合させることで、ミラー140を軸受部材160によって回転可能に支持された状態で筐体110に取り付けることが容易にできる。つまり、作業者は、ミラー140が軸受部材160によって回転自在に支持される状態で、ミラー140を筐体110に固定する作業を容易に行うことができる。
【0082】
また、ヘッドアップディスプレイ100において、突起部164の高さは、トーションスプリング170の一端の太さよりも大きい。このため、トーションスプリング170の一端171を突起部164に引っ掛けたままとすることができ、トーションスプリング170の一端171が突起部164から外れることを低減することができる。
【0083】
また、ヘッドアップディスプレイ100において、軸受部材160は、さらに、突起部164の高さよりも大きく突出する平板部163を有する。このため、軸受部材160の剛性を向上させることができ、軸受部材160の耐久性を向上させることができる。
【0084】
また、ヘッドアップディスプレイ100において、突起部164は、平板部163が延在する方向に配置される。軸受部材160は、突起部164と、平板部163との間に配置される窪み165を有する。このため、トーションスプリング170に回転方向に付勢力が発生しない状態で、トーションスプリング170の一端171を窪み165に収めることができる。
【0085】
また、ヘッドアップディスプレイ100において、窪み165から突起部164までの間の部分167は、軸部142の軸方向AX1に対して傾斜している。このため、組立作業を行う作業者は、トーションスプリング170の一端171を窪み165から突起部164のX軸方向プラス側に移動させるときに、突起部164のX軸方向マイナス側に引っ掛かることを抑制でき、スムーズに移動させることができる。
【0086】
また、ヘッドアップディスプレイ100において、筐体110の支持部115の凹部は、軸受部材160と密着している。これにより、軸受部材160と下部筐体112の支持部115との間の隙間を0にすることができ、ミラー140が振動することを低減することができ、映像の表示ブレを低減することができる。
【0087】
また、ヘッドアップディスプレイ100において、軸受部材160は、軸受部材160の平板部163を除く部分が支持部115の凹部に嵌合することで、当該凹部に固定されている。このため、軸受部材160の軸受本体161を凹部に固定することができる。
【0088】
また、ヘッドアップディスプレイ100において、支持部115の凹部は、軸受部材160が嵌合している第1空間S11を形成する第1部分115aと、第1空間S11の下方に設けられ、第1空間S1よりも小さい第2空間S12とを形成する第2部分115bとを有する。
【0089】
また、ヘッドアップディスプレイ100において、筐体110は、上部筐体111と、上部筐体111と共に筐体110の空間S1を形成する下部筐体112とを有する。軸受部材160の平板部163は、上部筐体111及び下部筐体112に挟まれている。このように、軸受部材160は、平板部163が上部筐体111と下部筐体112とに挟まれているため、より強固に筐体110に固定される。
【0090】
また、ヘッドアップディスプレイ100において、軸受部材160は、さらに、平板部163が締結部材117で貫通されて筐体110に固定されることで、支持部115の凹部に固定されている。このように、軸受部材160は、平板部163が締結部材117により貫通された状態で、筐体110に固定されるため、より強固に筐体110に固定される。
【0091】
また、ヘッドアップディスプレイ100は、さらに、ミラー140を回転させる動力を発生する駆動部190を備える。ミラー140は、駆動部190からの動力を軸部142に伝達するためのギア部材150を有する。このように、ミラー140に後付けでギア部材150を取り付けることができるため、ギア部材150を他の形状のミラーまたは他の形状の筐体にも適用させることが容易にできる。
【0092】
また、ヘッドアップディスプレイ100は、さらに、押し込まれることでオン状態に遷移するスイッチ156を備える。ギア部材150は、ミラー140が回転開始の姿勢、つまり、第1姿勢であるときに、スイッチ156を押し込む凸部154を有する。このため、制御部は、スイッチ156のオン状態である場合に第1姿勢であると容易に判定することができる。
【0093】
また、ヘッドアップディスプレイ100において、トーションスプリング170は、さらに、圧縮バネとしての機能を有する。ヘッドアップディスプレイ100は、さらに、規制部材180を備える。規制部材180は、軸部142の端部に固定され、軸受部材160と共にトーションスプリング170を挟んで圧縮した状態でトーションスプリング170が伸張することを規制する。このように、規制部材180がトーションスプリング170を圧縮した状態に規制するため、ミラー140の回転軸AX1の方向における位置を規制することができる。トーションスプリング170で回転軸AX1の方向に付勢されることでミラー140の回転軸AX1の方向における位置が規制されるため、ヘッドアップディスプレイ100が振動した場合に、振動による衝撃が筐体110からミラー140の軸部142に伝達されることを低減することができる。
【0094】
[5.変形例]
上記実施の形態では、ミラー140は、軸部142に取り付けられたギア部材150により、駆動部190からの動力を受ける構成としたが、これに限らない。例えば、図12及び図13に示すように、ギア部材150Aは、ミラー140Aの下部に設けられてもよい。図12は、変形例に係る、下部筐体に対するミラー140Aの接続部分の分解斜視図である。図13は、変形例に係る、ミラー140Aの接続部分を拡大した斜視図である。
【0095】
これらの図に示すように、ミラー140Aは、ミラー本体141Aと、軸部142Aと、孔143Aと、取付部144Aとを有する。ミラー本体141Aは、ミラー本体141と同じである。軸部142Aは、ミラー本体141Aの長手方向外側の端面から長手方向外側に突出している円柱形状の部位である。軸部142Aには、実施の形態と同様に、軸受部材160A、トーションスプリング170、及び、規制部材180が取り付けられる。
【0096】
トーションスプリング170の一端171は、軸受部材160Aの突起部164Aに掛けられ、他端172は、ミラー本体141Aに設けられた孔143Aに固定される。規制部材180は、軸受部材160A及びトーションスプリング170が軸部142Aに貫通された状態で、軸部142Aの端部に固定される。
【0097】
ギア部材150Aは、取付部144Aと嵌合する固定部151Aと、ギア部152Aとを有する。固定部151Aは、取付部144Aと嵌合されて固定される。ギア部152Aは、駆動部190Aからの動力を受ける。また、ギア部材150Aは、図13に示すように、ミラー140Aが初期状態の第1姿勢の時にスイッチ156Aを押し込む。このため、実施の形態と同様に、ミラー140Aが第1姿勢であることを容易に検知することができる。
【0098】
このように、ギア部材150Aは、ミラー140Aの下部に設けられる場合であっても、実施の形態と同様の機能を実現することができる。
【0099】
以上、本開示の一つまたは複数の態様に係るヘッドアップディスプレイについて、実施の形態に基づいて説明したが、本開示は、この実施の形態に限定されるものではない。本開示の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したものや、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本開示の一つまたは複数の態様の範囲内に含まれてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0100】
本開示は、ミラーが軸受部材によって回転自在に支持される状態で、筐体に固定する作業を容易に行うことができるヘッドアップディスプレイなどとして有用である。
【符号の説明】
【0101】
100 ヘッドアップディスプレイ
110 筐体
111 上部筐体
111a、153 孔
112 下部筐体
113 透明カバー
114 開口部
115、116 支持部
115a 第1部分
115b 第2部分
117、155 締結部材
130、140、140A ミラー
141、141A ミラー本体
142、143、142A 軸部
150、150A ギア部材
151、151A 固定部
152、152A ギア部
154 凸部
160、160A 軸受部材
161 軸受本体
162、166、162A 貫通孔
163 平板部
164、164A 突起部
165 窪み
167 部分
170 トーションスプリング
171 一端
172 他端
180 規制部材
190 駆動部
191 ギア
200 液晶モジュール
300 車両
301 ダッシュボード
302 ウインドシールド
AX1 回転軸
I1 虚像
D1 領域
DI1 水平方向
DI11、DI12 方向
S1 空間
S11 第1空間
S12 第2空間
W1、W2 幅
θ1、θ2 角度
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13