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特開2023-60723捕虫シート、捕虫器及び誘引光照射装置
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  • 特開-捕虫シート、捕虫器及び誘引光照射装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023060723
(43)【公開日】2023-04-28
(54)【発明の名称】捕虫シート、捕虫器及び誘引光照射装置
(51)【国際特許分類】
   A01M 1/14 20060101AFI20230421BHJP
   A01M 1/04 20060101ALI20230421BHJP
【FI】
A01M1/14 S
A01M1/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021170474
(22)【出願日】2021-10-18
(71)【出願人】
【識別番号】594063670
【氏名又は名称】株式会社SHIMADA
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100193839
【弁理士】
【氏名又は名称】杉山 周平
(72)【発明者】
【氏名】西堀 美智雄
【テーマコード(参考)】
2B121
【Fターム(参考)】
2B121AA12
2B121BA03
2B121BA07
2B121BA52
2B121BA54
2B121BA58
2B121BA60
2B121DA34
2B121EA01
(57)【要約】
【課題】運搬性や廃棄性に優れることにより取り扱い易さが向上した捕虫シートと、そのような捕虫シートを備えた捕虫器及び誘引光照射装置を提供する。
【解決手段】素材シート11の谷折り部11aを介して互いに離接可能に対向する表側シート部12及び背面側シート部13と、表側シート部12と背面側シート部13との間に形成される捕虫スペース15と、捕虫スペース15を外部に開放する開口部16と、表側シート部12及び背面側シート部13の互いの対向面のうちの少なくとも一方に設けられる粘着部17と、を備える捕虫シート10である。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
素材シートの谷折り部を介して互いに離接可能に対向する表側シート部及び背面側シート部と、
前記表側シート部と前記背面側シート部との間に形成される捕虫スペースと、
前記捕虫スペースを外部に開放する開口部と、
前記表側シート部及び前記背面側シート部の互いの対向面のうちの少なくとも一方に設けられる粘着部と、を備える捕虫シート。
【請求項2】
前記谷折り部の両端側に設けられ、前記表側シート部及び前記背面側シート部とともに前記捕虫スペースを囲む一対の側壁シート部をさらに備え、
前記一対の側壁シート部のそれぞれは、折り畳み状態が広がることにより前記開口部が広がる折り畳み部を含む、請求項1に記載の捕虫シート。
【請求項3】
前記折り畳み部が広がった状態を保持する保持部をさらに有する、請求項2に記載の捕虫シート。
【請求項4】
前記保持部により前記折り畳み部の折り畳み状態が保持された状態で、前記表側シート部は、前記一対の側壁シート部の一方の側から他方の側にわたって前記背面側シート部から離れる外側に凸となるように全体的に湾曲する、請求項3に記載の捕虫シート。
【請求項5】
耐水性を有する紙素材で形成されている、請求項1~4のいずれか1項に記載の捕虫シート。
【請求項6】
前記表側シート部及び前記背面側シート部の互いの対向面のうちの少なくとも一方の面が光反射性を有する、請求項1~5のいずれか1項に記載の捕虫シート。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載の捕虫シートと、
前記背面側シート部に着脱可能に装着される設置具と、を備え、
前記設置具は、当該設置具を所定の設置場所に着脱可能に設置可能とし、その設置状態で前記開口部を上向きに配置する設置部材を有する、捕虫器。
【請求項8】
前記設置具は、挿抜可能に挿入された前記背面側シート部を弾性的に挟む板ばねを含む、請求項7に記載の捕虫器。
【請求項9】
前記設置具は、虫を誘引する誘引光を前記捕虫スペース内に照射する誘引光照射部を有する、請求項7に記載の捕虫器。
【請求項10】
折り畳まれた素材シートの谷折り部を介して互いに離接可能に対向する表側シート部及び背面側シート部と、前記表側シート部と前記背面側シート部との間に形成される捕虫スペースと、前記捕虫スペースを外部に開放する開口部と、前記表側シート部及び前記背面側シート部の互いの対向面のうちの少なくとも一方に設けられる粘着部と、を有する捕虫シートと、
前記捕虫シートを着脱自在に把持する把持部と、
前記把持部に把持された前記捕虫シートの前記捕虫スペースに虫を誘引する誘引光を照射する誘引光照射部と、を有する誘引光照射装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、捕虫シート、捕虫器及び誘引光照射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、飛来する虫等の捕獲対象を粘着部によって捕獲する捕虫シートが知られている。例えば特許文献1には、アクリル板からなる額縁状の本体ケース内に虫を誘引するLEDユニット及び導光板が設けられ、導光板上に配置された透光性の粘着シートに、誘引した虫を付着させて捕獲する捕虫装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許5064588号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の捕虫装置は、コンパクト、かつシンプルな構成で十分な捕獲面積を確保できるとしている。しかしながら、本体ケースが嵩張ることにより持ち運び難かったり、粘着シートを捨て難かったりする点が懸念される。
【0005】
本発明は、運搬性や廃棄性に優れることにより取り扱い易さが向上した捕虫シートと、そのような捕虫シートを備えた捕虫器及び誘引光照射装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、素材シートの谷折り部を介して互いに離接可能に対向する表側シート部及び背面側シート部と、前記表側シート部と前記背面側シート部との間に形成される捕虫スペースと、前記捕虫スペースを外部に開放する開口部と、前記表側シート部及び前記背面側シート部の互いの対向面のうちの少なくとも一方に設けられる粘着部と、を備える捕虫シートに関する。
【0007】
本発明の捕虫シートは、前記谷折り部の両端側に設けられ、前記表側シート部及び前記背面側シート部とともに前記捕虫スペースを囲む一対の側壁シート部をさらに備え、前記一対の側壁シート部のそれぞれは、折り畳み状態が広がることにより前記開口部が広がる折り畳み部を含むことが好ましい。
【0008】
本発明の捕虫シートは、前記折り畳み部が広がった状態を保持する保持部をさらに有することが好ましい。
【0009】
本発明の捕虫シートにおいては、前記保持部により前記折り畳み部の折り畳み状態が保持された状態で、前記表側シート部は、前記一対の側壁シート部の一方の側から他方の側にわたって前記背面側シート部から離れる外側に凸となるように全体的に湾曲することが好ましい。
【0010】
本発明の捕虫シートは、耐水性を有する紙素材で形成されていると好ましい。
【0011】
本発明の捕虫シートは、前記表側シート部及び前記背面側シート部の互いの対向面のうちの少なくとも一方の面が光反射性を有すると好ましい。
【0012】
また、本発明は、前記捕虫シートと、前記背面側シート部に着脱可能に装着される設置具と、を備え、前記設置具は、当該設置具を所定の設置場所に着脱可能に設置可能とし、その設置状態で前記開口部を上向きに配置する設置部材を有する捕虫器に関する。
【0013】
本発明の捕虫器においては、前記設置具は、挿抜可能に挿入された前記背面側シート部を弾性的に挟む板ばねを含むことが好ましい。
【0014】
本発明の捕虫器においては、前記設置具は、虫を誘引する誘引光を前記捕虫スペース内に照射する誘引光照射部を有することが好ましい。
【0015】
また、本発明は、折り畳まれた素材シートの谷折り部を介して互いに離接可能に対向する表側シート部及び背面側シート部と、前記表側シート部と前記背面側シート部との間に形成される捕虫スペースと、前記捕虫スペースを外部に開放する開口部と、前記表側シート部及び前記背面側シート部の互いの対向面のうちの少なくとも一方に設けられる粘着部と、を有する捕虫シートと、前記捕虫シートを着脱自在に把持する把持部と、前記把持部に把持された前記捕虫シートの前記捕虫スペースに虫を誘引する誘引光を照射する誘引光照射部と、を有する誘引光照射装置に関する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、運搬性や廃棄性に優れることにより取り扱い易さが向上した捕虫シートと、そのような捕虫シートを備えた捕虫器及び誘引光照射装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】実施形態に係る捕虫シートを備える捕虫器の使用状態を示す斜視図である。
図2】実施形態に係る捕虫シートの正面図である。
図3図2のIII-III断面図である。
図4】実施形態に係る捕虫器の平面図である。
図5】実施形態に係る捕虫シートの使用前の状態を示す平面図である。
図6】実施形態に係る捕虫シートと保持部を示す斜視図である。
図7】実施形態に係る捕虫シートと保持部を示す平面図である。
図8】実施形態に係る設置具の斜視図である。
図9】実施形態に係る保持部の変形例を示す裏面図である。
図10】上記変形例の保持部を示す正面図である。
図11図10のXI-XI断面図である。
図12】上記変形例の保持部で捕虫シートを保持した捕虫器を正面斜め方向から見た斜視図である。
図13】上記変形例の保持部で捕虫シートを保持した捕虫器を背面斜め方向から見た斜視図である。
図14】実施形態に係る捕虫器を平面部に載置して使用する場合を示す側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。なお、実施形態に係る捕虫器1は、本発明の誘引光照射装置の一例でもある。
【0019】
図1は、実施形態に係る捕虫器1が壁面や窓ガラス等の図示せぬ設置場所に設置された使用状態の斜視図である。図1では、右斜め横から捕虫器1を見ている。図2は捕虫器1の正面図である。図3は、図2のIII-III断面図である。図4は、捕虫器1の平面図である。図5は、捕虫器1が備える捕虫シート10の平面図である。
なお、以下の説明において、正面、背面、左右といった位置や方向に関する用語は、捕虫器の設置状態に基づくものである。置き方によっては正面、背面、左右の関係が変わる場合がある。
【0020】
図1図4に示すように、捕虫器1は、捕虫シート10と、設置具30と、を備える。
捕虫シート10は、平面状の素材シート11を折り畳んで立方体形状に組み立てることにより、上方が開口し、かつ底部及び側部が閉塞する器状に形成される。素材シート11は、表側シート部12と、背面側シート部13と、左右一対の側壁シート部14と、を備える。図5に示すように、素材シート11は長方形形状を有するシートである。
【0021】
図3に示すように、表側シート部12と背面側シート部13とは、素材シート11の内面側での谷折り部11aを介して互いに対向する。谷折り部11aは、素材シート11の長さ方向に延びている。表側シート部12と背面側シート部13とは、谷折り部11aをヒンジとして離接可能に対向する。表側シート部12と背面側シート部13との間に、捕虫スペース15が形成される。捕虫スペース15は、上方外部に開放している。すなわち捕虫シート10は、捕虫スペース15を上方外部に開放する開口部16を有する。捕虫スペース15は、表側シート部12と背面側シート部13とが離間すると形成される。
【0022】
表側シート部12の、捕虫スペース15に面する内面には、粘着部17が設けられる。粘着部17に、飛来する虫が付着して捕獲される。粘着部17は、粘着シートを貼ったり、粘着材を薄く層状に形成したりすることにより設けられる。図5に示すように、組み立て前の素材シート11の粘着部17には、粘着部17の露出を防ぐ保護フィルム17aが剥離可能に貼られる。粘着部17の面積は、捕虫効率の観点からは可能な限り大きいことが望ましいが、例えば縁部近くまであると粘着部17に手指が触れるため、適宜な大きさに決定される。
なお、粘着部17は背面側シート部13の内面に設けられてもよく、表側シート部12及び背面側シート部13の双方の内面に設けられてもよい。
【0023】
一対の側壁シート部14のそれぞれは、谷折り部11aの両端側に設けられる。一対の側壁シート部14のそれぞれは、表側シート部12と背面側シート部13とを連結し、表側シート部12及び背面側シート部13とともに捕虫スペース15を囲む。
【0024】
一対の側壁シート部14のそれぞれは、折り畳み部18を有する。実施形態の折り畳み部18は、表側に配置される第1折り畳み部18Aと、背面側に配置される第2折り畳み部18Bと、を含む。すなわち側壁シート部14は、二重に折り畳まれる。第1折り畳み部18A及び第2折り畳み部18Bのそれぞれは、側壁シート部14が内面側での山折り部14dで内側に折り畳まれることにより形成される。
【0025】
図5の素材シート11を参照すると、第1折り畳み部18Aは、素材シート11が内面側での第1谷折り部18aが内側に折り畳まれることにより形成される。第2折り畳み部18Bは、素材シート11が内面側での第2谷折り部18bで外側に折り畳まれることにより形成される。第1折り畳み部18A及び第2折り畳み部18Bは、いずれも素材シート11の一部が互いに重畳可能となっており、重畳する部分が離間する、すなわち折り畳み状態が広がることにより、開口部16が広がり、捕虫スペース15も追従して広がる。第2折り畳み部18Bには、折り畳まれた状態で合致する同じ大きさの一対の孔19a、19bが設けられている。
【0026】
図6及び図7に示すように、これら孔19a、19bには、保持部20のピン22が嵌入される。保持部20は、細長い板部21と、一対のピン22と、を有する。各ピン22は、板部21の片面から突出している。ピン22の先端には、ピン22の太さよりも大きく、かつ孔19a、19bよりも大きい球状の係合部22aが形成されている。第2折り畳み部18Bを折り畳んだ状態で、合致した2つの孔19a、19bに背面側から各ピン22の係合部22aを押し通してピン22を嵌入する。これにより、第2折り畳み部18Bは板部21と係合部22aとの間に挟まれて折り畳まれた状態が保持される。この状態で、第1折り畳み部18Aの広がった状態が保持される。保持部20は、樹脂等の耐水性を有する材料で形成されていると好ましい。
【0027】
図4及び図6に示すように、第1折り畳み部18Aが広がると、表側シート部12が背面側シート部13から離間し、開口部16及び捕虫スペース15が広がる。このとき、表側シート部12は、一対の側壁シート部14の一方の側から他方の側にわたって背面側シート部13から離れる外側に凸となるように、全体的に湾曲する状態とすることができる。
【0028】
捕虫シート10の素材シート11は、紙や樹脂等によるシートで形成される。素材シート11は、捕虫シート10として組み立てられた状態で形状が保持される剛性を備え得る厚みを有する。素材シート11としては、耐水性を有する紙素材で形成されていると好ましい。耐水性は、表面に樹脂フィルムを貼るなどの手法で具備させることができる。
【0029】
また、捕虫シート10の、捕虫スペース15に面する内面は光反射性を有する光反射面であることが好ましい。光反射面は、例えば銀色等の光沢性シートを貼ったり、光反射性の塗料を塗布したりするなどの手法で設けることができる。また、素材シート11自体が光反射性を有する面に加工されていてもよい。上記粘着部17は、光反射面が透過して見えるように設けられると、光反射性が粘着部17で低減することが回避されるので好ましい。光反射面は、捕虫シート10の内面全面であってもよく、表側シート部12の内面及び背面側シート部13の内面のうちのいずれか一方の面であってもよい。
【0030】
設置具30は、捕虫シート10を所定の設置場所に着脱可能に設置可能とする器具である。設置具30は、捕虫シート10の背面側シート部13に着脱可能に装着される。設置具30は、設置状態で捕虫シート10の開口部16を上向きに配置する設置部材35を有する。
【0031】
図8に示すように、設置具30は、略直方体形状の筐体31を主体としている。設置部材35は、筐体31の上部に設けられて筐体31を吊るすことを可能とするリング部35cと、壁面や窓ガラス等の設置場所に着脱可能に吸着する吸盤35aと、吸盤35aに装着されるフック35bと、を含む。リング部35cをフック35bに掛けることにより、設置具30を介して捕虫シート10が設置場所に設置される。
【0032】
筐体31は、捕虫シート10が設置される側の設置面31aを有する。その設置面31aには、捕虫シート10の背面側シート部13を把持する把持部としての板ばね32が配置されている。板ばね32は、上端部が設置面31aの上側の部分に支持され、下方に延在しており、下端部が設置面に弾性的に当接する。板ばね32と設置面31aとの間に背面側シート部13が挿抜可能に挿入され、挿入状態で背面側シート部13が弾性的に挟まれる。板ばね32の下部には、設置面31aから離れるように屈曲するガイド部32aが形成されている。ガイド部32aにより、板ばね32と設置面31aとの間に背面側シート部13を挿入しやすくなっている。
【0033】
設置面31aの上端部には、傾斜面31b設けられている。傾斜面31bは、上側に向かうにつれて正面側すなわち捕虫シート10側にせり出すように傾斜している。図3に示すように、設置面31aに対する傾斜面31bの傾斜角度θは、例えば10°程度であるが、これに限定されない。傾斜面31bには、誘引光照射部33が内蔵されている。誘引光照射部33は、虫を誘引する誘引光を捕虫スペース15内に照射する。傾斜面31bに配置されることにより、誘引光照射部33から照射される光は斜め下向きに照射されて表側シート部12の内面の粘着部17を効果的に照射する。筐体31には、誘引光照射部33の電源として所定数の電池(乾電池)が交換可能に収容されるか、または内蔵リチウムイオン充電池等の充電式電池が収容される。筐体31には、当該電池の電力を誘引光照射部33に供給する回路及び誘引光照射部33の電源をON・OFFするスイッチが設けられる。なお、誘引光照射部33の電源は、上述した電池に代えて、家庭用交流電源やUSB電源等の外部電源を直接導入するようにしてもよい。
【0034】
誘引光照射部33の光源としては、虫を効果的に誘引する光を発光照射するものであれば特に限定されないが、例えば、LED素子等が採用される。
【0035】
実施形態の捕虫器1は、例えば、粘着部17が保護フィルム17aで覆われた平面状態の素材シート11から、第1折り畳み部18A及び第2折り畳み部を折り畳んだ状態で使用者に供給される。使用者は、保持部20で第2折り畳み部18Bを折り畳んだ状態を保持し、第1折り畳み部18Aを広げ、捕虫シート10の開口部16及び捕虫スペース15を広げて捕虫シート10を組み立てる。また、保護フィルム17aを剥がして粘着部17を露出させる。背面側シート部13及び保持部20の板部21を設置具30の板ばね32で挟んで捕虫シート10を設置具30で支持し、設置具30を設置部材35により所望の設置場所に設置する。そして、誘引光照射部33から誘引光を照射させて使用する。飛来する虫が、誘引光照射部33で照射され明るくなっている捕虫シート10の内面に誘引され、開口部16から捕虫スペース15に入り、粘着部17に付着して捕獲される。保持部20は背面側シート部13の裏側に配置されるので粘着部17と隔絶しており、このため、捕獲した虫が保持部20に付着することはない。
【0036】
粘着部17に多数の虫が付着し、虫が付着しにくくなったら、捕虫シート10を設置具30から取り外し、新たな捕虫シート10を設置具30に設置する。設置具30から取り外した使用後の捕虫シート10は、保持部20を外して第1折り畳み部18A及び第2折り畳み部を折り畳み、ごみとして廃棄する。捕虫シート10が紙製であれば、焼却処理することができる。
【0037】
なお、粘着部17に付着しにくくなった虫が粘着部17から落下しても、その虫は捕虫シート10の底の谷折り部11aにとどまり、捕虫シート10の内部から外部に落下したり飛散したりすることはない。
【0038】
以上の実施形態に係る捕虫シート10は、素材シート11の谷折り部11aを介して互いに離接可能に対向する表側シート部12及び背面側シート部13と、表側シート部12と背面側シート部13との間に形成される捕虫スペース15と、捕虫スペース15を外部に開放する開口部16と、表側シート部12及び背面側シート部13の互いの対向面のうちの少なくとも一方に設けられる粘着部17と、を備える。
【0039】
これにより、捕虫シート10はコンパクト、かつ簡素な構成で、十分な捕虫スペース15を確保できる。捕虫シート10は紙製とすることにより、軽量であって、平面状に容易に折り畳んで持ち運ぶことができ、使用後は手軽に廃棄することができる。また、複数を重ねてもコンパクトである。したがって、運搬性や保管性、廃棄性等に優れ、取り扱い易さが向上する。
【0040】
実施形態に係る捕虫シート10においては、谷折り部11aの両端側に設けられ、表側シート部12及び背面側シート部13とともに捕虫スペース15を囲む一対の側壁シート部14をさらに備え、一対の側壁シート部14のそれぞれは、折り畳み状態が広がることにより開口部16が広がる折り畳み部18を含むことが好ましい。
【0041】
これにより、飛来する虫を確実に取り囲む捕虫スペース15が形成されて捕虫効率が向上するとともに、折り畳み部18を折り畳んだ状態ではコンパクトなシート状に折り畳まれるので持ち運びやすい。
【0042】
実施形態に係る捕虫シート10においては、折り畳み部18の第1折り畳み部18Aが広がった状態を保持する保持部20を有することが好ましい。
【0043】
これにより、捕虫スペース15及び開口部16が開いた状態を確実に保持することができ、捕虫効率の向上が図られる。
【0044】
実施形態に係る捕虫シート10においては、保持部20により折り畳み部18の第1折り畳み部18Aの折り畳み状態が保持された状態で、表側シート部12は、一対の側壁シート部14の一方の側から他方の側にわたって背面側シート部13から離れる外側に凸となるように全体的に湾曲することが好ましい。
【0045】
これにより、さらに捕虫スペース15及び開口部16が開き、捕虫効率のさらなる向上が図られる。
【0046】
実施形態に係る捕虫シート10においては、耐水性を有する紙素材で形成されていることが好ましい。
【0047】
これにより、アウトドア等の降雨が想定される環境下でも十分に使用することができ、水分を含むことによる耐久性低減や形状変化が抑制される。
【0048】
実施形態に係る捕虫シート10においては、表側シート部12及び背面側シート部13の互いの対向面のうちの少なくとも一方の面が光反射性を有することが好ましい。
【0049】
これにより、光に誘引されて虫が集まりやすく、捕虫効率が向上する。
【0050】
実施形態に係る捕虫器1は、捕虫シート10と、背面側シート部13に着脱可能に装着される設置具30と、を備え、設置具30は、当該設置具30を所定の設置場所に着脱可能に設置可能とし、その設置状態で開口部16を上向きに配置する設置部材35を有する。
なお、上述したように実施形態に係る捕虫器1は、本発明の誘引光照射装置の一例でもある。
【0051】
これにより、所望の設置場所に、捕虫器1を使用可能な状態に容易に設置することができる。
【0052】
実施形態に係る捕虫器1においては、設置具30は、挿抜可能に挿入された背面側シート部を弾性的に挟む板ばね32を含むことが好ましい。
【0053】
これにより、設置具30に対する捕虫シート10の取り付けや付け替えの作業を容易に行うことができる。
【0054】
実施形態に係る捕虫器1においては、設置具30は、虫を誘引する誘引光を捕虫スペース15内に照射する誘引光照射部33を有することが好ましい。
【0055】
これにより、誘引光照射部33による光に誘引されて虫が集まりやすく、捕虫効率が向上する。
【0056】
次に、本発明に係る保持部の変形例を説明する。
図9図11は、変形例に係る保持部40を示している。上記実施形態の保持部20に代えて、この保持部40により捕虫シート10の第2折り畳み部18Bを折り畳んだ状態に保持することができる。図9は保持部40の背面図、図10は正面図、図11図10のXI-XI断面図である。
【0057】
図9図11に示すように、保持部40は、左右方向に延びる細長い板部41と、一対の把持部42と、を有する。保持部40は、図10に示す板部41の表面41aを正面に向け、その表面41aを捕虫シート10の背面側シート部13に重ね合わせた状態で用いられる。
【0058】
板部41の長さ方向両端部の下側の角部には、その角部を斜めに切り欠いた切欠き41cがそれぞれ形成されている。図9に示すように、板部41の背面側の面である裏面41bの長さ方向両端部には、板厚を厚くしたリブ部41dが左右対称の形状で形成されている。各リブ部41dは、裏面41bの上端縁及び下端縁にそれぞれ沿う上部41d1及び下部41d2と、上部41d1と下部41d2とをつなぐ長さ方向中央部寄りの側部41d3と、を含む。そして、板部41の長さ方向両端寄りには、貫通孔41eがそれぞれ設けられている。
【0059】
把持部42は、板部41の長さ両端部に配置されている。図11に示すように、把持部42は、板部41の上端から板部41の表面41a側に短く延びる第1片部42aと、第1片部42aの前端から表面41aに沿って下方に延びる第2片部42bと、を有する。図10に示すように、第2片部42bは、貫通孔41eとほぼ同じ形状及び同じ寸法を有し、貫通孔41eと対応する位置に配置されている。したがって正面から見た場合、貫通孔41eは第2片部42bに塞がれて目視不可能な状態となる。
保持部40は、樹脂等の耐水性を有する材料で形成されていると好ましい。
【0060】
図12及び図13は、保持部40を捕虫シート10に装着し、設置具30に保持部40付きの捕虫シート10を設置して捕虫器1を構成した状態を示している。
【0061】
図12及び図13に示すように、捕虫シート10は、折り畳んで板部41に対面させた第2折り畳み部18Bと、第1折り畳み部18Aの背面側部分18A1との3枚のシート部分を、板部41と一対の把持部42との間に下側から差し込まれる。これにより、各第2折り畳み部18Bは各把持部42によって折り畳まれた状態が保持される。第2折り畳み部18Bと背面側部分18A1は、板部41と把持部42の第2片部42bとの間に圧入され、挟まれた状態が保持される。板部41と第2片部42bとの間の隙間は、このような圧入による保持が可能な寸法に設定される。そして、背面側シート部13及び保持部40の板部41を設置具30の板ばね32で挟んで捕虫シート10を設置具30で支持し、設置具30を設置部材35により所望の設置場所に設置する。設置具30は、板部41の裏面41bの左右のリブ部41dの間の部分に接触する状態で配置される。
【0062】
保持部40によれば、第2折り畳み部18Bが板部41と把持部42の第2片部42bとの間に挟まれて折り畳まれた状態が保持される。この状態で、第1折り畳み部18Aの広がった状態とすることができる。
【0063】
変形例に係る保持部40によれば、一対の貫通孔41eを有することにより軽量化が図られつつ、一対のリブ部41dにより剛性が確保されて反りが抑えられて捕虫シート10を良好に保持できる。また、板部41と把持部42の第2片部42bとの間に差し込むだけの操作で捕虫シート10を容易に保持できる。さらに、上記実施形態の保持部20のように捕虫シート10に孔19a、19bを設ける必要がないという利点を有する。保持部40は背面側シート部13の裏側に配置されるので粘着部17と隔絶しており、このため、捕獲した虫が保持部40に付着することはない。
【0064】
実施形態の捕虫器1は、上述したようにリング部35cを利用して吊り下げた状態で使用する他に、図14に示すように設置具30を床やテーブル等の略水平な平面部50上に載置する自立状態でも使用できる。この場合、設置具30の底面に柔軟性を有するマット部材51を介在させ、耐震性を持たせた状態で使用できる。マット部材51は設置具30の底面に貼着するなどして設けてもよいし、平面部50上に載置する形式のものでもよい。さらに、設置具30を、設置台を介して床等に設置してもよく、電源供給端子を備えたクレードルを介して床等に設置してもよい。
【0065】
以上、実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。
例えば、左右一対の側壁シート部14のうちの少なくとも一方を省略してもよい。
側壁シート部14の折り畳み部は1つであってもよく、あるいは3重以上の蛇腹状に構成された折り畳み部であってもよい。
設置部材35としては、設置場所に対応したものでよく、例えば手軽に着脱可能なクリップ、磁石、あるいは筐体に直接取り付けた吸盤等であってもよい。
捕虫シート10を設置具30に装着する板ばね32は把持部の一例であり、背面側シート部13を把持できるものであれば、クリップ等であってもよい。
【0066】
上述した保持部20及び保持部40は、捕虫シート10の左右方向の長さの変更に対応可能なように、左右方向に伸縮するような構成であってよい。例えば実施形態に係る保持部20の場合であれば、板部21を2分割し、重畳させた中央部分において適宜な係止手段で重畳長さを調整して固定できるようにすることにより、板部21を伸縮可能に構成することができる。
【符号の説明】
【0067】
1 捕虫器(誘引光照射装置)
10 捕虫シート
11 素材シート
11a 谷折り部
12 表側シート部
13 背面側シート部
14 側壁シート部
15 捕虫スペース
16 開口部
17 粘着部
18 折り畳み部
20、40 保持部
30 設置具
32 板ばね(把持部)
33 誘引光照射部
35 設置部材
42 把持部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14