IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社エポック社の特許一覧

<>
  • 特開-溶着性ビーズ玩具 図1
  • 特開-溶着性ビーズ玩具 図2
  • 特開-溶着性ビーズ玩具 図3
  • 特開-溶着性ビーズ玩具 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023060726
(43)【公開日】2023-04-28
(54)【発明の名称】溶着性ビーズ玩具
(51)【国際特許分類】
   A63H 33/22 20060101AFI20230421BHJP
   A63H 33/00 20060101ALI20230421BHJP
【FI】
A63H33/22 K
A63H33/00 304C
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021170484
(22)【出願日】2021-10-18
(71)【出願人】
【識別番号】000128234
【氏名又は名称】株式会社エポック社
(74)【代理人】
【識別番号】110002022
【氏名又は名称】弁理士法人コスモ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】境 亮
【テーマコード(参考)】
2C150
【Fターム(参考)】
2C150BC10
2C150FB22
2C150FD31
(57)【要約】
【課題】光沢性を有し、見栄えに優れた溶着性ビーズ玩具を提供する。
【解決手段】水溶性樹脂に着色剤である顔料を配合して形成された溶着性ビーズ玩具10であって、顔料は金色又は銀色の真珠粉を含有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水溶性樹脂に着色剤である顔料を配合して形成された溶着性ビーズ玩具であって、
前記顔料は金色又は銀色の顔料を含有することを特徴とする溶着性ビーズ玩具。
【請求項2】
表面に複数のウェルドラインが形成されていることを特徴とする請求項1に記載の溶着性ビーズ玩具。
【請求項3】
前記顔料のうち前記金色又は銀色の顔料の含有量が45重量%以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の溶着性ビーズ玩具。
【請求項4】
前記金色又は銀色の顔料が真珠粉であることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の溶着性ビーズ玩具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶着性ビーズ玩具に関する。
【背景技術】
【0002】
今日、ビーズ玩具と呼ばれ、樹脂製の小球体又は筒状体などのビーズを相互に溶着させ、種々の装飾体等を作製する遊びを行う玩具がある。
【0003】
このビーズ玩具では、種々の色彩の粒状ビーズ又は短筒状ビーズにより比較的単純な絵を描くようにビーズを相互に接触させて並べ、加熱することにより隣接したビーズを相互に溶着させて色の異なるビーズにより絵柄模様を有する平板状の樹脂板とし、又は、ビーズを並べる形状により模様を有する装飾体を作製することのできるビーズ玩具(溶着性ビーズ玩具)が提案されている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011-139820号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したビーズ玩具は、種々の色のビーズが提供されており、色彩に富んだ絵模様を有する装飾品を作製することができる。この種のビーズ玩具では、より煌びやかな装飾品を作製するために、光沢性が要求されることがある。
【0006】
本発明は、光沢性を有し、見栄えに優れた溶着性ビーズ玩具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一つの態様に係る溶着性ビーズ玩具は、水溶性樹脂に着色剤である顔料を配合して形成された溶着性ビーズ玩具であって、前記顔料は金色又は銀色の顔料を含有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、光沢性を有し、見栄えに優れた溶着性ビーズ玩具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態に係る溶着性ビーズ玩具におけるビーズの外観を示す正面図である。
図2】実施例で作製した各種ビーズの配合表である。
図3】実施例で作製したメタリックライトブルーのビーズの外観を示す写真である。
図4】実施例で作製したメタリックブラックのビーズの外観を示す写真である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図面を参照して本発明の実施形態について説明する。図1に示すように、実施形態に係る溶着性ビーズ玩具10は、粒径が5mm程度の球状のビーズ20からなる。ビーズ20は、ポリビニルアルコールを配合した水溶性樹脂に、着色剤である複数の顔料を配合して有色とした透明な合成樹脂を原材料とし、金型を用いた射出成形により形成されている。ビーズ20を着色剤により着色する際には、透明感と色彩とを調和させる色として、緑、青、赤、黄、紫等の色を呈する有色透明とすることができる。
【0011】
また、着色剤である顔料には、金色又は銀色のうち少なくとも一方の真珠粉が含有されている。金色又は銀色の真珠粉を含むことにより、ビーズ20は光沢性を有しており、見栄えに優れたものとなっている。なお、金色又は銀色の真珠粉の含有量は、ビーズ20の形成時に用いられる顔料の全重量に対して45重量%以上である。真珠粉をこのような含有量とすることにより、ビーズ20に対して効果的に光沢性を付与することができる。
【0012】
また、図1に示すように、ビーズ20の表面には、形成過程における射出成形に起因する複数のウェルドライン26が形成されている。これらの複数のウェルドライン26はビーズ20の形成過程において意図的に(例えば射出成形の速度を遅くすることにより)付与されるものである。このように複数のウェルドライン26が形成されていることにより、各ウェルドライン26の表面で光の乱反射が生じるため、より光沢性に優れたビーズ20を実現することができる。
【0013】
ビーズ20は水溶性樹脂により形成されているため、このビーズ20を相互に接触した状態に配列し、水などの液体を塗布し、又は水などの液体中に浸漬することにより表面を湿潤状態として溶解させることができる。その後、ビーズ20表面の水分を蒸発させて乾燥させることにより、隣接したビーズ20相互を溶着させることができる。このため、例えばトレイの下側に所望の絵柄が描かれたイラストシートを固定し、その絵柄に合わせて所望の色にビーズ20をトレイ上に載置した後、ビーズ20を湿潤状態としてビーズ20を乾燥させることにより、イラストシートに描かれた絵柄に合わせた装飾体を作製することができる。
【0014】
ビーズ20は光沢性を有することから、ビーズ20を用いて上記の装飾体を作製することにより、光沢感に優れた煌びやかな装飾体を実現することができる。なお、光沢性を有するビーズ20と非光沢性の他のビーズとを組み合わせて装飾体を作製してもよい。
【0015】
以上説明したように実施形態に係る溶着性ビーズ玩具10は、金色又は銀色のうち少なくとも一方を含有する顔料(真珠粉)を着色剤として配合して形成されることにより、金属粉の粒子の粗さにより見栄えが低下する従来の溶着性ビーズ玩具に比して光沢性を発揮する粒子が細かく、より煌びやかな光沢性を有しており、見栄えに優れている。このため、溶着性ビーズ玩具10は、ビーズ20を用いて組み立てた装飾体に照射する光の角度によって一層煌びやかな光沢性を発揮し、使用者に飽きることのないビーズ遊びを行わせることができる。
【0016】
なお、本実施形態では球状のビーズ20を例示しているが、ビーズ20の形状については限定されない。例えば星型形状や多面体形状など他の形状であってもよい。多面体形状とすることにより、反射光による表面光沢の効果が増大し、より見栄えに優れた煌びやかな溶着性ビーズを実現することができる。
【0017】
以上のような本発明の実施形態によれば、下記の態様の溶着性ビーズ玩具を提供することができる。
【0018】
第1の態様に係る溶着性ビーズ玩具は、水溶性樹脂に着色剤である顔料を配合して形成された溶着性ビーズ玩具であって、前記顔料は金色又は銀色の顔料を含有する。
【0019】
この構成によれば、従来の溶着性ビーズ玩具に比して光沢性を発揮する粒子が細かく、煌びやかな光沢性を発揮し、見栄えに優れた溶着性ビーズ玩具を実現することができる。
【0020】
第2の態様に係る溶着性ビーズ玩具は、表面に複数のウェルドラインが形成されている。
【0021】
この構成によれば、各ウェルドラインの表面で光の乱反射が生じるため、金色又は銀色の顔料を含有することとの相乗効果により、より一層の光沢性を発揮する溶着性ビーズ玩具を実現することができる。
【0022】
第3の態様に係る溶着性ビーズ玩具は、前記顔料のうち前記金色又は銀色の顔料の含有量が45重量%以上である。
【0023】
この構成によれば、金色又は銀色の顔料の含有量が多くなることにより、溶着性ビーズ玩具に対して効果的に光沢性を付与することができる。
【0024】
第4の態様に係る溶着性ビーズ玩具は、前記金色又は銀色の顔料が真珠粉である。
【0025】
この構成によれば、従来の溶着性ビーズ玩具に比して光沢性を発揮するための具体的な材料を提供することができる。
【0026】
以上説明した実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の趣旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【実施例0027】
実施例では、光沢性を有する12色の溶着性ビーズ玩具のビーズを作製した。光沢性を出すための真珠粉として金、銀(粗)、銀(細)の真珠粉をそれぞれ用いた。各色における着色剤の配合量及び真珠粉の含有率を図2に示す。なお、図2に示す二酸化チタンは白を発色するために含有させるものであり、金は粒子径が5~25μmの金粒子の真珠粉であり、銀(粗)は粒子径が10~60μmの粗い銀粒子の真珠粉であり、銀(細)は粒子径が5~25μmの細かい銀粒子の真珠粉である。また、図2において、各着色剤の配合量の単位はgであり、真珠粉含有率、即ち全着色剤中における金、銀(粗)、銀(細)の含有量の単位は重量%である。
【0028】
ビーズの作製では、まず、溶剤としてのPVA(ポリビニルアルコール)に微量のグリセリン及び少量のステアリン酸を混合した混合液中に真珠粉を含む各着色剤を溶解させた。次に、その溶解液を金型に注入し、射出成形により球状のビーズの成形物を作製した。射出成形後、成形物を金型のランナー部から切り離し、紫外線遮光下に一時保管した。なお、射出成形では、意図的にビーズの表面に複数のウェルドラインが形成されるように、標準的な速度よりも遅い速度で金型への溶解液の注入及び射出を行った。
【0029】
射出成形の条件は、成形温度を175~190℃の範囲内とし、射出圧を30~100kgf/cm(又はMpa)の範囲内とした。また、射出スピードは25~40mm/秒の範囲内とし、成形サイクルは28秒/ショットとした。また、冷却水として冷水を用いた。これらの条件については、非光沢性の同系色ビーズの作製条件と比較して、成形温度を5℃程度高い温度とし、射出圧を5kgf/cm程度高い圧力とし、射出スピードを5mm/秒程度遅い速度とし、成形サイクルを2~3秒/ショット程度遅く設定した。
【0030】
作製した12色のビーズの表面観察を目視によりそれぞれ行った。作製した12色のビーズのうち、メタリックライトブルー(水色)の外観写真を図3に示し、メタリックブラック(黒色)の外観写真を図4に示す。図3及び図4に示すように、両ビーズの表面にはウェルドライン(写真中の黒い縞模様の部分)が見られ、光沢性も見られた。このように、作製した全てのビーズにおいて表面に複数のウェルドラインを確認することができ、さらに、光沢性を有することを確認することができた。
【符号の説明】
【0031】
10 溶着性ビーズ玩具
20 ビーズ
26 ウェルドライン
図1
図2
図3
図4