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  • 特開-クリーム状物 図1
  • 特開-クリーム状物 図2
  • 特開-クリーム状物 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023060727
(43)【公開日】2023-04-28
(54)【発明の名称】クリーム状物
(51)【国際特許分類】
   A63H 33/42 20060101AFI20230421BHJP
【FI】
A63H33/42 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021170485
(22)【出願日】2021-10-18
(71)【出願人】
【識別番号】000128234
【氏名又は名称】株式会社エポック社
(74)【代理人】
【識別番号】110002022
【氏名又は名称】弁理士法人コスモ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】境 亮
【テーマコード(参考)】
2C150
【Fターム(参考)】
2C150BC10
2C150CA30
2C150FB42
(57)【要約】
【課題】透明性を有し、成形性に優れたクリーム状物を提供すること。
【解決手段】装飾体玩具を作製するために絞り具から吐出されるクリーム状の樹脂であるクリーム状物であって、でんぷんを含有し、透明性を有する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装飾体玩具を作製するために絞り具から吐出されるクリーム状の樹脂であるクリーム状物であって、でんぷんを含有し、透明性を有することを特徴とするクリーム状物。
【請求項2】
前記でんぷんがジャガイモでんぷんであることを特徴とする請求項1に記載のクリーム状物。
【請求項3】
前記ジャガイモでんぷんを8.5~10重量%の範囲内で含有することを特徴とする請求項2に記載のクリーム状物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クリーム状物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、クリーム状の樹脂を充填したチューブを用いて、ケーキなどの疑似食品を作成する玩具が提案されている。例えば、特許文献1には合成樹脂であるクリーム樹脂をチューブ容器に充填した樹脂チューブを備える玩具セットが開示されている。この玩具セットは、見た目に綺麗な食品を模したアクセサリーとして装飾性の高い疑似食品の装飾体玩具を容易に成形して遊ぶことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-152号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したクリーム状の樹脂であるクリーム状物は、種々の色のものが提供されており、色彩に富んだ装飾性を有する装飾体玩具を成形することができる。この種のクリーム状物では、より多様な色彩の装飾体玩具を成形するために、透明性が要求されることがある。
【0005】
本発明は、透明性を有し、成形性に優れたクリーム状物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一つの態様に係るクリーム状物は、装飾体形成玩具を作製するために絞り具から吐出されるクリーム状の樹脂であるクリーム状物であって、でんぷんを含有し、透明性を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、透明性を有し、成形性に優れたクリーム状物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態に係るクリーム状物を吐出するための絞り具の正面図である。
図2】実施形態に係るクリーム状物を装飾体玩具に吐出した状態を示す斜視図である。
図3】実施例で作製したクリーム状物の配合表である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図面を参照して本発明の実施形態について説明する。実施形態に係るクリーム状物10は、例えば図1に示すような絞り具20に収納される。絞り具20の容器22は、ポリ塩化ビニル樹脂等の柔軟性のある2枚のシート部材を重ねて、側辺を熱圧着で接合することにより形成されている。容器22の後方部は、2枚のシート部材を熱圧着で接合することで袋状に閉じられている。クリーム状物10を絞り具20の先端の吐出口24から吐出して、ケーキ等を模した装飾体の作製面に盛り付けることにより、装飾体玩具を作製することができる。
【0010】
ここで、クリーム状物10とは、アクリル樹脂等の合成樹脂に防腐剤等を含有させて形成され、空気に触れて乾燥すると固化するものである。また、クリーム状物10は、白色や桃色等、種々着色して形成することができるクリーム状の樹脂である。さらに本実施形態に係るクリーム状物10は、でんぷん、好ましくはジャガイモでんぷんを9重量%含有させて形成されており、半透明の樹脂(透明性を有する樹脂)となっている。ここで、透明性とは、半透明を含み、クリーム状物10に覆われたもの、及びクリーム状物10を挟んで反対側にあるものの形状が認識できるだけでなく、形状が分からなくても光を透過するよう透光性を有するものも含む。
【0011】
次に、図2に示すような装飾体玩具の台座30に、クリーム状物10を吐出して盛り付ける例を説明する。台座30は、上面視において円形状をなしており、例えば樹脂材料を用いた射出成形により形成されている。台座30の上面30aは、装飾体40が作製される作製面とされる。図1に示す絞り具20から吐出したクリーム状物10を、作製面上の装飾体支持部32に盛り付けて装飾体40とすることにより、円形状のケーキを模した装飾体玩具を作製することができる。
【0012】
装飾体支持部32は、略直円錐体状に突出する形で、台座30の上面30aに等間隔で4つ設けられている。装飾体支持部32の外周の上面には、環状凸部34が設けられている。環状凸部34は、上面視において円形に形成されている。
【0013】
台座30の装飾体支持部32にクリーム状物10を盛り付けると、装飾体支持部32によりクリーム状物10が見栄え良く支持される。環状凸部34は、クリーム状物10を盛り付ける範囲の目安とすることができると共に外形からのクリーム状物10のはみ出しも阻止して外形をきれいなものとすることができる。全ての装飾体支持部32に盛り付けられたクリーム状物10は、乾燥、固化されて装飾体40が形成され、装飾体玩具が完成する。
【0014】
ここで、本実施形態に係るクリーム状物10は半透明であることから、装飾体支持部32にクリーム状物10を盛り付ける際に、クリーム状物10を透過して装飾体支持部32を視認することができる(図2参照)。このため、クリーム状物10が不透明である場合に比してクリーム状物10を装飾体支持部32に盛り付け易くなっている。
【0015】
また、クリーム状物10が乾燥、固化されて形成された装飾体40もまた半透明であるため、装飾体40に覆われた装飾体支持部32及び環状凸部34を、装飾体40を透過して視認することができる。このため、視覚的に目新しい装飾体形成玩具を形成することができる。なお、本実施形態に係るクリーム状物10を従来の不透明のクリーム状物と組み合わせて装飾体玩具を形成してもよい。
【0016】
さらに、クリーム状物10にはジャガイモでんぷんが少量(本実施形態では9重量%)含有されていることにより、絞り具20から吐出するクリーム状物10は、でんぷんが含有されていない従来のクリーム状物に比して、でんぷんによる糊化(α化)により軟らかいものとなる。このため、クリーム状物10は、絞り具20から吐出させ易く、装飾体支持部32に盛り付ける際の成形性にも優れている。
【0017】
一方、ジャガイモでんぷんが少量含有されていることにより、クリーム状物10が乾燥、固化されて形成された装飾体40は、従来のクリーム状物が乾燥、固化されて形成された装飾体に比して、でんぷんの老化(β化)により固いものとなる。このため、装飾体40により形成された装飾体玩具の安定性、耐久性を向上させることができる。
【0018】
以上説明したように実施形態に係るクリーム状物10は、少量のジャガイモでんぷんが含有されていることにより、透明性を有しており、成形性に優れている。このため、不透明のクリーム状物によって形成される装飾体玩具に比して、より多様な色彩の装飾体玩具を容易に成形することができ、使用者に飽きることのない装飾体玩具遊びを行わせることができる。
【0019】
以上のような本発明の実施形態によれば、下記の態様のクリーム状物を提供することができる。
【0020】
第1の態様に係るクリーム状物は、装飾体玩具を作製するために絞り具から吐出されるクリーム状の樹脂であるクリーム状物であって、でんぷんを含有し、透明性を有する。
【0021】
この構成によれば、でんぷんが含有されていない従来の不透明のクリーム状物に比して、透明性を有し、成形性に優れたクリーム状物を実現することができる。
【0022】
第2の態様に係るクリーム状物は、前記でんぷんがジャガイモでんぷんである。
【0023】
この構成によれば、ジャガイモでんぷんが他のでんぷんに比して糊化温度が低く透明性に優れていることから、透明性を有し、成形性に優れたクリーム状物を効果的に実現するための具体的な材料を提供することができる。
【0024】
第3の態様に係るクリーム状物は、前記ジャガイモでんぷんを8.5~10重量%の範囲内で含有する。
【0025】
ジャガイモでんぷんの含有量が少なすぎる場合(8.5重量%より小さい場合)、形状維持ができず、成形性が低いクリーム状物となり易い。一方、ジャガイモでんぷんの含有量が多すぎる場合(10重量%より大きい場合)、クリーム状物の乾燥、固化後に過度に硬くなり易い。上記の構成によれば、透明性を有し、成形性に優れたクリーム状物を効果的に実現するためのジャガイモでんぷんの具体的な配合比を提供することができる。
【0026】
以上説明した実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の趣旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【実施例0027】
実施例では、少量のジャガイモでんぷんを含有させたクリーム状物を作製した。合成樹脂として、ポリアクリル酸系ポリマー(具体的には、ポリアクリル酸に精製水及び少量の界面活性剤を加えたポリアクリル酸水溶液)を用いた。また、防腐剤として少量のフェノキシエタノールを添加した。ポリアクリル酸系ポリマー、ジャガイモでんぷん、及びフェノキシエタノールの配合比を図3に示す。図3において、各原材料の配合比の単位は重量%である。
【0028】
作製したクリーム状物の透明性を目視により観察したところ、半透明であることを確認することができた。また、作製したクリーム状物を乾燥、固化したものについても、半透明であることを確認することができた。
【0029】
また、作製したクリーム状物を装飾体玩具の台座に吐出することによりその成形性を確認したところ、でんぷんが含有されていない従来の不透明のクリーム状物に比して軟らかく、成形性に優れていることを確認することができた。
【符号の説明】
【0030】
10 クリーム状物 20 絞り具
22 容器 24 吐出口
30 台座 30a 上面
32 装飾体支持部 34 環状凸部
40 装飾体
図1
図2
図3