(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023060733
(43)【公開日】2023-04-28
(54)【発明の名称】微粒化装置
(51)【国際特許分類】
B01F 25/21 20220101AFI20230421BHJP
B01F 23/41 20220101ALI20230421BHJP
B01F 23/47 20220101ALI20230421BHJP
B01F 23/57 20220101ALI20230421BHJP
B01F 25/50 20220101ALI20230421BHJP
B01F 25/70 20220101ALI20230421BHJP
B05C 11/00 20060101ALI20230421BHJP
B05C 11/10 20060101ALI20230421BHJP
B05B 1/26 20060101ALI20230421BHJP
B02C 19/06 20060101ALI20230421BHJP
【FI】
B01F5/02 A
B01F3/08 A
B01F3/10
B01F3/14
B01F5/10
B01F5/18
B05C11/00
B05C11/10
B05B1/26 A
B02C19/06 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021170491
(22)【出願日】2021-10-18
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 株式会社工業通信発行、「化学装置」2021年10月号、令和3年10月1日発行
(71)【出願人】
【識別番号】000132161
【氏名又は名称】株式会社スギノマシン
(74)【代理人】
【識別番号】100101432
【弁理士】
【氏名又は名称】花村 太
(72)【発明者】
【氏名】片山 敬一
【テーマコード(参考)】
4D067
4F033
4F042
4G035
【Fターム(参考)】
4D067CA01
4D067CA07
4D067GA11
4D067GA20
4F033BA03
4F033DA02
4F033EA01
4F033GA11
4F033JA07
4F033LA04
4F033LA11
4F033LA13
4F042BA09
4F042BA12
4F042CA01
4F042CB02
4F042CB08
4F042CB11
4F042CB20
4F042CC07
4F042CC22
4F042CC30
4F042DH09
4G035AB37
4G035AB40
4G035AB41
4G035AB44
4G035AC15
4G035AC29
4G035AC37
4G035AE02
4G035AE13
(57)【要約】 (修正有)
【課題】簡便な装置構成で、流体に対する処理回数を明確にカウントすることができ、処理工程及び処理状態の管理が効率的に行える微粒化装置の提供。
【解決手段】微粒化装置は、流体が微粒化処理部10へ供給される第1のタンク1Aと、第1のタンクの上方に配置され、微粒化処理部から排出された処理後流体を回収貯留し、連結配管Hを介して第1のタンクへ送る第2のタンク1Bとを備え、連結配管Hに開閉手段7を備え、供給配管LSに液面検知手段6を備え、制御部は、第1のタンクから、流体が微粒化処理部へ供給され、微粒化処理部から排出された処理後流体を第2のタンクへ回収する工程が繰り返される回数を確定させるカウント手段を備え、このカウント手段からのタイミングに従って開閉手段の開閉を行い、カウント手段は、液面検知手段からの信号に基づいて、開閉手段の開閉タイミングを計り、各処理工程の期間を確定させている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理対象の原料を含む流体を増圧機によって高圧化して噴射チャンバー内の高圧ノズルから高圧噴射させて前記原料の微粒化処理を行う微粒化処理部と、前記流体を貯留して前記流体を微粒化処理部へ給液ポンプの駆動によって供給すると共に前記微粒化処理部から排出される高圧噴射後の流体を回収するタンクユニットと、前記増圧機の駆動および前記給液ポンプの駆動を制御する制御部とを備えた微粒化装置において、
前記タンクユニットは、
前記流体が内部に貯留されると共に、前記給液ポンプの駆動によって前記流体がそのタンク底面に形成された供給口から供給配管を介して前記微粒化処理部へ供給される第1のタンクと、
前記第1のタンクの上方に配置され、前記微粒化処理部から排出される高圧噴射後の流体が回収貯留されると共に、そのタンク底面に形成された排出口から下方へ延在して前記第1のタンクへ連結する連結配管を介して前記流体が前記第1のタンクへ送られる第2のタンクと、
前記連結配管に備えられ、連結配管内流路を開閉する開閉手段と、
前記供給配管に備えられ、前記供給口の近傍の予め定められた位置で供給配管内の流体の有無を検知する液面検知手段と、を備え、
前記制御部は、
前記第2のタンクに回収貯留された前記流体が前記第1のタンクに全て出し切られた後、前記第1のタンクからの前記流体の前記微粒化処理部への供給、前記流体の高圧噴射、高圧噴射後の前記流体の前記第2のタンクへの回収、の工程が繰り返される各期間を1処理工程として計数し、処理済み回数を確定するカウント手段を備え、前記カウント手段によって示されるタイミングに従って前記開閉手段の開閉を行うものであり、
前記カウント手段は、前記液面検知手段からの流体無しを示す信号に基づいて、前記信号の取得時から予め定められた経過時間を計測すると共に、前記開閉手段の開閉のタイミングを計り、各処理工程の期間を確定するものであることを特徴とする微粒化装置。
【請求項2】
前記第2のタンクが、その垂直方向の中心軸が第1のタンクの垂直方向の中心軸に対して水平方向にずれた位置に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の微粒化装置。
【請求項3】
前記供給配管は、前記第1のタンクの供給口から下方へ垂直に延在する垂直配管部と、該垂直配管部の下端の屈曲配管部と、該屈曲配管部から前記給液ポンプへ向けて水平方向に延在する水平配管部とを備えており、
前記カウンタ手段は、
前記第1のタンクから前記流体が前記微粒化処理部へ供給が進み、前記供給配管の前記液面検知手段から流体無しを示す信号が出力されてから、前記第2のタンクに回収貯留された前記流体の前記第1のタンクへの送りを開始するために前記開閉手段を開けるタイミングまでを計測するための期間t1〔s〕が予め設定されており、前記期間t1〔s〕が経過した時点で、前記開閉手段を開くタイミングを示す信号を発生するものであり、
前記期間t1〔s〕は、
前記流体が0~100cp以下の粘性無しのものあるいは低粘度であるとき、前記第1のタンクからの前記流体の供給流量Q〔L/min〕と、前記垂直配管部の前記液面検知手段による検知位置から前記屈曲配管部の上端で連続する前記水平配管部に前記流体が満たされる水平面位置までの配管内容積W1〔L〕とに基づいて、以下の式(1)
t1=(W1/Q)×60 …(1)
によって決定され、
前記流体が100cpを越える中~高粘度である場合に0に設定されるものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の微粒化装置。
【請求項4】
前記カウンタ手段は、
前記期間t1〔s〕が経過し、前記開閉手段が開にされた時点から、前記第1のタンクからの次の処理工程のための流体供給開始時としての前記開閉手段を閉じるタイミングまでを計測するための期間t2〔s〕が予め設定されており、前記期間t2〔s〕が経過した時点で、前記開閉手段を閉じるタイミングを示す信号を発生するものであり、
前記期間t2〔s〕は、前記Q〔L/min〕と、前記流体が前記第1のタンクから出て前記第2のタンクに戻るまでの経路における装置内部及び配管内の総容積W2〔L〕とに基づいて、以下の式(2)
t2=(W2/Q)×60 …(2)
によって決定されることを特徴とする請求項3に記載の微粒化装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、簡便な装置構成でありながら、処理対象の流体に対する微粒化処理工程を連続的に繰り返すなかで、明確に処理回数をカウントすることができ、処理工程および処理状態の管理が従来よりも効率的に行える微粒化装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
微粒化装置では、従来、処理対象の原料を含む流体を100~245MPaまで高圧化し、その高圧流体を衝突による衝撃によって原料の微粒化、分散、乳化等を行っている。
【0003】
しかし、処理前の原料の微粒化、分散、乳化等の程度は均一とは限らず、また、処理後も処理回数1回程度では均一とはならない。実際に、比較的粒径の大きな原料粒子を微細化する場合には、高圧流体同士の衝突処理を複数回、例えば10~20回、と多数回繰り返し行うことによって、求められる粒子径のものを均一に生成している。
【0004】
微粒化装置の一例として、例えば、下記特許文献1には、スラリー中のパルプ繊維を微細化処理するセルロースナノファイバーの製造装置で、スラリーを対向衝突させる機械的処理を複数回行うものが開示されている。この装置では、機械的処理の回数を重ねるごとにセルロースファイバーが微細化されるものの、セルロースファイバーのスラリーの粘性が高くなり流動性が悪化することでセルロースナノファイバーの生産性効率が低下してしまうという問題を回避するために、スラリーを流入及び流出する流入出管をスラリーが交互に貯留される2つのタンクの底部に配置したものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記のような従来の微粒化装置においては、原料を含む高圧流体同士の衝突処理回数は、タンクから処理対象原料を含む流体を供給し、タンク内に戻った原料の状態を適宜確認しながら以降の処理回数を増やす方法や、事前のテスト段階で定めた処理時間に基づいて処理済み回数に換算する方法等が用いられており、処理回数を確定する明確な定義はなかった。
【0007】
また、処理対象の原料が同一でも、原料と原料が混合、懸濁あるいは分散される媒質としての液体との配合条件、例えば、粘性の高低、原料粒子径の大小、添加溶剤の特性(例えばpH、揮発度、毒性)、などに応じて、加えて、製品化のために処理対象の原料に求められる微粒化、分散、乳化等の程度によって、必要な処理回数が異なるため、処理回数を一律に正しくカウントできる仕組みが求められている。対象原料の各処理工程期間を確定して処理済み回数を正しくカウントすることで、必要な回数の処理工程の繰り返し実施や処理状態の管理を効率化できる。
【0008】
さらに、このような明確に各処理工程期間を確定して処理済み回数を正しくカウントすることによって微粒化装置による処理の効率化が図れるが、各種ポンプ、熱交換器、配管等の周辺機器を含む微粒化装置全体での効率化を実現するために、装置構成の省スペース化も同時に望まれている。
【0009】
本発明は、上記問題点に鑑み、簡便な構成でありながら、対象原料に対する各処理工程期間を良好に確定して処理済み回数を正しくカウントすることを可能とするタンクユニットを備え、従来よりも効率化が図れる微粒化装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の請求項1に記載の発明に係る微粒化装置は、処理対象の原料を含む流体を増圧機によって高圧化して噴射チャンバー内の高圧ノズルから高圧噴射させて前記原料の微粒化処理を行う微粒化処理部と、前記流体を貯留して前記流体を微粒化処理部へ給液ポンプの駆動によって供給すると共に前記微粒化処理部から排出される高圧噴射後の流体を回収するタンクユニットと、前記増圧機の駆動および前記給液ポンプの駆動を制御する制御部とを備えた微粒化装置において、
前記タンクユニットは、
前記流体が内部に貯留されると共に、前記給液ポンプの駆動によって前記流体がそのタンク底面に形成された供給口から供給配管を介して前記微粒化処理部へ供給される第1のタンクと、
前記第1のタンクの上方に配置され、前記微粒化処理部から排出される高圧噴射後の流体が回収貯留されると共に、そのタンク底面に形成された排出口から下方へ延在して前記第1のタンクへ連結する連結配管を介して前記流体が前記第1のタンクへ送られる第2のタンクと、
前記連結配管に備えられ、連結配管内流路を開閉する開閉手段と、
前記供給配管に備えられ、前記供給口の近傍の予め定められた位置で供給配管内の流体の有無を検知する液面検知手段と、を備え、
前記制御部は、
前記第2のタンクに回収貯留された前記流体が前記第1のタンクに全て出し切られた後、前記第1のタンクからの前記流体の前記微粒化処理部への供給、前記流体の高圧噴射、高圧噴射後の前記流体の前記第2のタンクへの回収、の工程が繰り返される各期間を1処理工程として計数し、処理済み回数を確定するカウント手段を備え、前記カウント手段によって示されるタイミングに従って前記開閉手段の開閉を行うものであり、
前記カウント手段は、前記液面検知手段からの流体無しを示す信号に基づいて、前記信号の取得時から予め定められた経過時間を計測すると共に、前記開閉手段の開閉のタイミングを計り、各処理工程の期間を確定するものである。
【0011】
以上の構成により、本発明の微粒化装置では、カウント手段によって、第1のタンク内の流体が全て排出されて液面検知手段からの流体無しを示す検知信号を取得した時点から、予め定められた経過時間が計測されると、前記開閉手段を開けるタイミングが示されるが、前記経過時間として、液面検知手段による流体無し検知時から、微粒化処理部での高圧噴射処理を経て第2のタンクに回収された流体を次の処理のために第1のタンクへ戻すタイミングまでと設定することによって、繰り返される処理工程の中で、開閉手段が開となる時点毎にカウントすることで、その時行われている処理工程の回を確実に計数することができる。
【0012】
従って、カウント手段は、各処理工程における開閉手段の開時をカウントのタイミングとして自動的に処理回数を更新して処理済み回数を確定することができる。そして、制御部は、予め設定した処理回数分のカウント数が得られたら、それ以後の装置各部の駆動を停止して、微粒化処理を自動的に終了できる。
【0013】
この処理工程の流れを、
図1の処理工程中の各過程(a)~(g)における流体Mの移動状態を示す概略概念図に沿って以下に示す。当初の、第2のタンク1Bと第1のタンク1Aとを連結する連結配管に設けられている開閉弁等の開閉手段7を閉として第1のタンク1Aに処理対象の流体Mが投入され貯留された状態(
図1(a))から、制御部は、微粒化処理工程の開始指令に従って、給液ポンプの駆動を開始させて、第1のタンク1Aからの微粒化処理部への流体Mの供給を開始すると共に、微粒化処理部の増圧機の駆動を開始させて、微粒化処理部に供給されてくる流体Mの高圧噴射処理を始める。これによって、1回目の処理工程(第1処理工程)が開始される。
【0014】
第1回目の処理工程が進むにつれ、第1のタンク1Aからの流体Mの供給が進むと同時に、高圧噴射処理後の流体Mが第2のタンク1Bへ回収されていく(
図1(b))。さらに第1回目の処理工程が進むと、第1のタンク1Aから全流体Mが出し切られ、流体Mの液面がタンク底面の供給口近傍の供給配管に設けられた液面検知手段6による検知位置よりも下流位置に達すると、液面検知手段から、流体無しの検知信号が発生される(
図1(c))。
【0015】
制御部におけるカウント手段は、流体無しの検知信号を取得してから、予め定められた期間t1に達するまで経過時間を計測する。この間、全流体Mの微粒化処理部での高圧噴射処理が進み、第1のタンクから最後に出し切られた流体Mは供給配管内をさらに微粒化処理部へ向けて移動する(
図1(d))。そして、期間t1が経過した時点で、カウント手段は、第2のタンク1Bに回収された流体Mを再び第1のタンク1Aへ戻すために開閉手段7を開とするタイミングであることを制御部に示す信号を発すると共に、現在行われている処理工程が1回目(1パス目)であることカウントする。
【0016】
制御部は、カウント手段からの開閉手段7を開とするタイミングを示す信号を取得すると、開閉手段7を開状態へ駆動させる。開閉手段7が開かれることによって、前の処理工程を終えて第2のタンク1Bに回収され貯留されていた流体Mの第1のタンク1Aへの戻し送りが開始される(
図1(e))。従って、開閉手段7の開期間t2は、第2のタンク1B内の流体Mを全て第1のタンク1Aへ出し切った時点までとし、この期間t2を予め設定しておくことによって、カウント手段は、この開期間t2が経過した時点で開閉手段7を閉とするタイミングを制御部に示すことができる。
【0017】
なお、開閉手段7が開状態となって、第2のタンク1Bから第1のタンク1Aに戻された流体Mは、そのタンク底面の供給口から供給配管へ流れていき、第1回目の処理工程のために第1のタンク1Aから供給され最後に出し切られた流体Mの後端に達して連続した状態となり、この供給配管内を満たしながら、途切れることなく次の第2回目の処理工程のために微粒化処理部へ向けて移動していくものとする。従って、開閉手段7が開状態となってから、やがて液面検知手段6は、流体M有りを検知した状態となる(
図1(f))。
【0018】
さらに第2のタンク1Bから戻された流体Mは、第1のタンク1A内に溜まりながらも微粒化処理部への供給が開始される(
図1(g))。そして、第2のタンク1Bから全て流体が出し切られた時点で、第1回目の処理工程は完了し、続いて第2回目の処理工程が開始するとみなされるため、ここで開閉手段が閉じられる(
図1(a))。従って、期間t2が経過し、第2のタンク1Bから流体Mが全て出し切られ、開閉手段7を閉とする時点を実質的な前の処理工程の完了と同時に次の処理工程の開始時点として特定することができる。
【0019】
そして開閉手段7が閉じた状態で、第1回と同様に、微粒化処理部での流体Mの第2回の高圧噴射処理が行われつつ、第1のタンク1Aから微粒化処理部への供給が進み、第1のタンク内から流体が出し切られると、液面検知手段6は第2回目の流体無しを検知する。そしてカウント手段はこの流体無しの検知信号に基づいて、予め定められた期間t1の経過時間が計測され、期間t1が経過した時点で第2回の開閉手段7を開とするタイミングを示す信号が発せられる。ここで処理回数がカウントされ、現在の処理工程が2回目(2パス目)であるとカウント数が更新される。
【0020】
本発明では、以上の工程が、予め設定された処理回数がカウントされるまで繰り返されるが、液面検知手段から流体無しの検知情報に基づく開閉手段の開の時点毎に、その処理工程が何回目であるかが自動的に確実にカウントされるため、実質的に開閉手段の開の回数が処理済み回数として計数されることになる。したがって、従来に比べて格段に処理回数の確定や処理状態の管理の効率化が図れる。
【0021】
しかも、本発明によれば、このような微粒化処理の管理の効率化は、複雑な装置構成を必要とすることなく、第1と第2のタンクを上下に配置し、両タンクを連結する連結配管に設けた開閉手段の開閉を第1のタンクの供給口の近傍に設けた液面検知手段からの流体の有無の検知情報に基づいて制御するという簡便な構成で実現可能となった。
【0022】
なお、第1のタンクと第2のタンクとは、両者の間で同じ対象の流体をバッチ式に移動させるものであるため、同一容積のもので良く、よって、同一形状のものとするのが最も簡便であり、本発明においても採用される可能性が高い。この場合、流体が投入されるタンクの上部開口も、同一面積であるため、上下の配置で互いに垂直方向の中心軸同士を合わせて上下の配置にすると、特に装置の占有空間の省略化のためにタンク同士の距離を大きく取らない場合には、第1タンクの上部開口の多くの領域が上方の第2のタンクで覆われることになり、当初の流体の投入作業が困難になることが考えられる。
【0023】
そこで、上下に配置される第1のタンクと第2のタンクは、第2のタンクが、その垂直方向の中心軸が第1のタンクの垂直方向の中心軸に対して水平方向にずれた位置に配置されるものとすることが望ましい。このずれた配置によって、第1のタンクの上部開口は、開放領域を大きく確保できるため、流体の投入が容易に行える。なお、第1のタンクと第2のタンクとの上下配置によって、第2のタンクから第1のタンクへの流体の戻りは、重力による落下で送りが促進される。
【0024】
また、カウント手段にて、上記の液面検知手段から流体無しの検知信号が取得されてから、開閉手段を開けるタイミングまで予め定められた期間t1の経過が計測されるが、開閉手段を開けるタイミングは、先の処理工程のために第1のタンクから出し切られた流体と次の処理工程のために第2のタンクから戻され、第1のタンクから供給配管へ導入される流体とが良好に連続して、次の処理工程への切り替え時の連続性が確保できるものとする。
【0025】
そのための期間t1〔s〕は、供給配管が第1のタンクの供給口から下方へ垂直に延在する垂直配管部と該垂直配管部の下端の屈曲配管部と該屈曲配管部から給液ポンプへ向けて水平方向に延在する水平配管部とを備えた構成とし、流体が0~100cP以下の粘性無しあるいは低粘度であるとき、t1=(W1/Q)×60 …(1)の式によって決定することができる。
【0026】
ここで、Q〔L/min〕は、第1のタンク1Aからの流体Mの供給流量であり、微粒化処理部での処理容量に相当する。W1〔L〕は、
図2(a)、(b)に示すように、供給配管の垂直配管部LS1における液面検知手段6による検知位置Aから、垂直配管部LS1と水平配管部LS2との間の屈曲配管部LSbの上端で連続する水平配管部LS2に流体Mが満たされる水平面位置Bまでの配管内容積である。
【0027】
流体Mが0~100cPの低粘度のものあるいは粘性無しの場合、微粒化処理部への供給に伴って供給配管の垂直配管部LS1の内部を下がっていく流体Mの液面は水平のままであり、液面検知手段6による流体Mの有無の検知結果は、実際の流体面の液面位置に基づいたものとなる。従って、上記式(1)によって決定される期間t1〔s〕は、流体Mが位置Aから位置Bまで下がるのにかかる時間である。よって、液面が位置Aに達した直後から期間t1が経過した時点で、開閉手段7が開かれると、液面が位置Bの位置にある流体Mに第2のタンク1Bから戻された流体Mが追加導入されるため、水平配管部LS2内は流体Mで満たされた状態のまま、流体Mの供給が継続される。
【0028】
例えば、流体Mの液面が位置Bに達しても流体Mが導入されないと、水平配管LS2内の上部に隙間=エア層ができてしまい、位置Bより低い位置Cに達した時点で流体Mが導入されると、供給配管LS内の流体Mにエアが混ざり、良好な流体Mの供給が維持できない恐れが生じる。また、前の処理工程のための流体供給と次の処理工程のための流体供給が途切れて繰り返し処理工程の連続性が損なわれ、全体の作業効率の低下を招く恐れもある。さらに混入エアは、復旧に時間のかかる不具合を増圧機に引き起こす恐れがある。
【0029】
本発明の微粒化装置においては、微粒化処理工程を繰り返すためにバッチ式で第2のタンク1Bから第1のタンク1Aへ流体Mの移動も繰り返されるが、上記期間t1〔s〕を適切に設定することによって、第1のタンク1Aから微粒化処理部へ供給される流体Mは、途中でエアが入ることなく、常に良好に配管内を満たしながら安定して移動する。このため、前の処理工程の終わりから次の処理工程の開始のための流体供給が滞りなく切り替えられるため、繰り返される処理工程の連続性が確保されて作業全体の高い効率性が維持できる。
【0030】
一方、流体Mが100cPを越える中~高粘度である場合には、期間t1〔s〕は0に設定される。これは、
図2(c)に示すように、粘性の高い流体Mが垂直配管部LS1内を進むとき、その流体Mの液面は、配管壁面に沿って移動する流体Mが壁面に付着してしまうため、実際の液面である中央部が液面検知位置Aを越えてさらに下方に移動しても、液面検知手段6は壁面に付着した流体Mにより流体有りと判断するためである。従って、液面検知手段6が流体無しを検知した時点から、
図2(b)の場合のような所定期間を経過してから開閉手段7を開けて、第2のタンク1Bから流体Mを追加導入しても、既に水平配管部LS2内にはエア層ができており、次の処理工程のために供給される流体Mにはエアが入ってしまっていることになる。
【0031】
そこで、液面検出手段6によって流体無しが検知された時点では、既に液面中央部は位置Bにほぼ達しているものとして見なすことができる。従って、期間t1を0と設定しておくことで、液面検知手段6による流体無しが検知された時点で、経過期間をおくことなく直ちに開閉手段7を開いて第2のタンク1Bからの流体Mの追加導入が行われるため、水平配管部LS2内に隙間ができて流体にエアが入ることは回避される。これによって、流体が高粘度の場合であっても、第1のタンク1Aから微粒化処理部に向けて流体Mは配管内を満たしたまま安定して移動する。結果、前の処理工程の終わりから次の処理工程の開始のため流体供給が滞りなく切り替えられるため、流体Mが高粘度であっても、繰り返される処理工程の連続性が確保され、作業全体の高い効率性が維持できる。
【0032】
さらに、カウント手段は、上記のように、期間t1が経過して開閉手段7が開にされた時点から、前の処理工程の完了と次の処理工程の開始とが確定される開閉手段7を閉じるタイミングまでを期間t2として経過時間を計測するものとしてもよい。
【0033】
この期間t2〔s〕は、t2=(W2/Q)×60 …(2)の式によって決定することができる。ここで、W2〔L〕は、流体Mが第1のタンク1Aから出て第2のタンク1Bに戻るまでの経路における装置内部及び配管内の総容積である。
【0034】
従って、開閉手段7が開となってから、期間t2〔s〕が経過した時点では、前の処理工程での高圧噴射処理が済んで第2のタンク1Bに回収された流体Mは、第1のタンク1Bに戻されて全て出し切られた状態である。そして、ここで開閉手段7を閉とすることで、第2のタンク1Bは、次の処理工程が進んで処理済みの流体Mが再び回収されるための準備が完了するため、この開閉手段7を閉とする時点を、実質的な次の処理工程の開始時点として確定できる。これによって、処理工程が繰り返される中で、期間t1の経過後のさらに期間t2が経過して開閉手段7が閉となる度に、第2回目以降の処理工程の開始が確定できる。
【0035】
なお、本発明の開閉手段としては、電磁式あるいは電動式の各種開閉バルブなど、制御部によって連結配管内流路の開閉を簡便にON・OFFの自動制御で行える機構のものとすれば良い。
【0036】
また、本発明の液面検知手段としては、所定位置における供給配管内の液体の有無を検知できる機構であれば、既存の各種液面レベルセンサが広く採用可能であるが、例えば、静電容量式レベルスイッチや、振動式レベルセンサである音叉式レベルスイッチなど、できるだけ軽量小型で取り扱いが簡便なものが望ましい。
【0037】
また、本発明の第1のタンク及び第2のタンクは、原料および原料を含む流体の物性に応じて材質を適宜設定すれば良い。また、原料および原料を含む流体の物性に応じて決定される一回の処理量に対応する大きさのものが適宜選択される。
【0038】
また、本発明の制御部としては、予め設定された処理回数、噴射圧力や噴射速度等の微粒化処理に必要な処理条件が記憶部に入力、収納されるものであり、処理工程中はこれらの設定値条件に従って微粒化装置の各駆動部が駆動制御される。また、処理回数が進むに従って、初回の処理条件よりも流体の噴射圧力や噴射速度を上昇、あるいは下降させるなど、処理対象物の状態に応じて処理条件を変更することが望ましい場合がある。そこで、制御部は、少なくとも噴射圧力および噴射得速度の一方について、所定の処理回数で異なる処理条件への変更を予め設定しておけば、設定回数の処理工程で、その処理条件を変更されるようにフィードバック制御を行うことができる機能を備えるものとすればよい。
【発明の効果】
【0039】
本発明は以上説明した通り、液面検知によって第1のタンクの供給口近傍位置の供給配管内の流体の有無を検知し、カウント手段によって、流体無しの検知情報に基づいて予め設定された経過時間を計測しつつ、供給タンクである第1のタンクとその上方に配置された回収タンクである第2のタンクとを連結する連結配管の開閉を制御することによって、前の処理工程の完了次の処理工程の開始と確定しながら、各処理工程における処理回数のカウントを確実に計数できる。これによって、処理状態の管理や、処理工程の連続繰り返しの実施の管理が効率的に行えるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【
図1】本発明による微粒化装置のタンクユニットにおける処理工程中の流体の移動状態を簡略的に示す概念図であり、(a)~(g)の各過程での状態を示すものである。
【
図2】本発明による微粒化装置のカウント手段によって計測される設定期間t1の決定方法を説明するための概略模式図であり、(a)は期間t1〔s〕を求めるのに用いる配管容積W1〔L〕を示す供給配管部分の概略構成図であり、(b)は図(a)中の破線円Z内の部分拡大断面図で、流体が粘度無しあるいは低粘度である場合の流体の状態を示し、(c)は、流体が高粘度である場合の、液面検知手段による検知位置における供給配管内の状態を示すものである。
【
図3】本発明の一実施形態による微粒化装置を示す概略構成図であり、(a)は概略全体構成を示し、(b)は、タンクユニットのより詳しい構成を示すものである。
【
図4】
図1の微粒化装置における制御動作を示すフローチャート図である。
【
図5】
図1の微粒化装置による処理回数5パスの微粒化処理を行った場合の制御動作をタイムチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
本発明の一実施形態として、
図3に微粒化装置の概略構成図を示す。
図3(a)は概略全体構成を示し、
図3(b)は、タンクユニットのより詳しい構成を示すものである。本実施形態の微粒化装置100は、主に、処理対象の原料粒子を含むスラリーである流体Mを高圧噴射して微粒化処理を行う微粒化処理部10と、流体Mを貯留して該流体Mを微粒化処理部10へ給液ポンプ2の駆動によって供給すると共に微粒化処理部10から排出される高圧噴射後の流体Mを回収するタンクユニット1と、微粒化処理部10の各駆動部および給液ポンプ2の駆動を制御する制御部20とから構成されている。
【0042】
微粒化処理部10は、内部に処理空間を有する噴射チャンバー5と、タンクユニット1側から供給されてくる流体Mを高圧化して噴射チャンバー5へ送る増圧機(3、3)とを備えている。本実施形態では、一対の増圧機(3、3)を備え、制御部20によって駆動制御される油圧装置11によって、交互に高圧流体を吐出する構成とした。各増圧機(3、3)は、油圧装置11からの作動油の給排によってピストンロッドがシリンダ内を往復駆動し、吸引した流体Mを増圧して吐出するものである。これらの増圧機(3、3)から交互に吐出される高圧流体は、超高圧フィルタ4を介してフィルタ処理されてから噴射チャンバー5に送られる。本実施形態では、流体の高圧噴射による微粒化処理は、噴流同士の衝突処理をするものとし、噴射チャンバー5には、内部の処理空間で流体Mの噴流同士が衝突するように一対の高圧ノズルが配置されている。
【0043】
タンクユニット1は、原料粒子を含む流体Mを貯留し、微粒化処理部10へ供給する供給タンクである第1のタンク1Aと、第1のタンク1Aの上方に配置され、微粒化処理部10で高圧噴射処理が終了し、冷却されて排出されてくる流体Mが回収される回収タンクとしての第2のタンク1Bとを備え、縦型構成としたものである。
【0044】
第1のタンク1Aは、タンク底面が漏斗状でその中央部に供給口が形成されている。この供給口から微粒化処理部10へ向けて供給配管LSが延在している。供給配管LSは、供給口から下方へ垂直に延在する垂直配管部LS1と、該垂直配管部LS1の下端の屈曲配管部LSbと、該屈曲配管部LSbから水平方向に延在する水平配管部LS2とを備え、水平配管部LS2の下流側に給液ポンプ2が配置されている。
【0045】
第2のタンク1Bは、第1のタンク1Aと同一の形状、サイズで材質も同種のものとした。即ち、タンク底面が漏斗状でありその中央部に排出口が形成されている。この排出口から下方に連結配管Hが延在しており、この連結配管Hによって第2のタンク1Bが第1のタンク1Aの上部開口に連通している。
【0046】
本実施形態においては、第2のタンク1Bは、その垂直方向の中心軸が、第1のタンク1Aの垂直方向の中心軸に対して水平方向のずれた位置に配置されている。この配置によって、第1のタンク1Aの上部開口は、第2のタンク1Bで覆われる領域が小さく、開放領域が大きく確保されるため、当初の原料粒子を含む流体Mの第1のタンク1Aの投入作業が容易で効率的に行える。
【0047】
連結配管Hには、配管内流路を制御部20からの駆動制御によって開閉される開閉手段としての送液バルブ7が設けられている。この送液バルブ7は、例えば、所定のタイミングにおける制御部20からの開指令に基づく通電ONによって直ちに開状態へ駆動され、閉指令に基づく通電OFFによって直ちに閉状態に駆動される高応答のものとするのが好ましい。送液バルブ7の閉状態で連結配管Hを介して第2のタンク1Bから第1のタンク1Aへ流体が送られると共に、閉状態にて微粒化処理部10から回収されてくる流体Mが第2のタンク1Bに貯留される。
【0048】
また、供給配管LSの垂直配管部LS1には、第1のタンク1Aの供給口の近傍の下流位置で流体の有無を検知する液面検知手段としての液面センサ6が設けられている。本実施形態では、この液面センタ6として、静電容量式レベルスイッチまたは音叉式レベルスイッチが用いられており、検知位置に流体Mが存在している場合に、流体有りとしてのON信号が発信され、検知位置に流体Mが存在しなくなると、流体無しとしてON信号がOFFとなるものとした。
【0049】
以下に、上記構成を備えた本実施形態による微粒化装置100の運転動作の流れを
図4のフローチャート図に沿って説明する。なお、制御部20には、記憶部(不図示)に、第1のタンク1Aに投入され貯留されている流体M(原料粒子を含むスラリー)に関して、予め設定された微粒化処理回数Yと、微粒化処理部10における噴射圧力および噴射速度と、期間t1および期間t2、等の必要な処理条件が入力、収納されている。カウント手段は、記憶部に収納されているこれら期間t1および期間t2を利用するものである。
【0050】
図4に示すように、制御部20に微粒化処理開始指令が入力されると、制御部20は、液面センサ6の稼働状態において、微粒化装置100の運転開始モードに入り(S100)、まず給液ポンプ2に対して駆動ONとして運転を開始させ(S101)、次いで油圧装置11に対して駆動ONとして運転を開始させる(S102)。そして、制御部20は、送液バルブ7に対してOFF指令により閉状態とすることによって、回収されてくる流体Mが第2のタンク1B内に貯留できる状態とする(S103)。
【0051】
このとき、第1のタンク1Aから流体Mの微粒化処理部10への供給は始まっており、増圧機(3、3)が油圧装置11によって駆動され、供給されてくる流体Mの噴射チャンバー5内での高圧噴射処理も開始され、第1回の処理工程が開始されている。従って、液面センサ6は第1のタンク1Aから供給配管LSへの流体Mの供給が開始されてから、流体有りを検知してON信号を発信している状態であり、制御部20では、噴射処理工程中はカウント手段がこの液面センサ6からの検出信号をモニタリングしている(S104)。
【0052】
高圧噴射処理が進み、第1のタンク1Aから流体Mが出し切られ、供給配管LS内の流体Mの液面が液面センサ6による検知位置より下がると液面センサ6は流体有りON信号がOFFに切り換えられる。制御部20では、カウント手段が、この信号OFFを受けてから経過時間aを計測し、液なし遅延時間としての期間t1が経過した時点で、現在の処理工程が第1回目であるとして、処理回数(パス回数)Xを1回とカウントする。カウント手段は、同時にこのパス回数Xが設定された全処理回数Yに達していなければ、制御部20へ送液バルブ7を開けるタイミングであることを示す信号を発すると共に、パス回数を確定する(S106)。
【0053】
制御部20は、カウント手段からの信号を受けて、送液バルブ7に対して駆動ONとして開状態とする(S107)。これにより、第2のタンク1Bから第1のタンク1Aへ流体Mが戻され、さらに供給口から供給配管LS内へ導入されて、次回の処理工程のための流体供給が滞りなく連続する。
【0054】
カウント手段は、送液バルブ7を開とするタイミングから期間t2に達するまで経過時間bを計測する(S108)。経過時間bが期間t2に達すると、カウント手段は、制御部20に、送液バルブ7を閉じるタイミングであること示す信号を発し、パス回数を確定する(S109)。このとき、制御部20は、これまでの処理工程が完了し、次(確定されたパス回数カウント+1回目)の処理工程が開始されることを確定する。そして制御部20は送液バルブのOFF駆動を行い、閉状態とする工程(S103)へ戻り、以降同様に、液面センサ6からの検知情報に基づいて、期間t1および期間t2を計測しながら処理回数(パス回数)のカウントの更新を行っていく。
【0055】
やがて、カウント手段でのカウント数が予め設定された全処理回数Yに達すると、制御部20は、微粒化処理工程の終了モードへ移り(S110)給液ポンプ2と油圧装置11に対して共にOFF駆動を指令して運転を停止させる(S111)。
【実施例0056】
本発明の一実施例として、
図1の実施形態で示した微粒化装置100によって、原料粒子を含むスラリー流体に対して全処理回数5開(5パス)の微粒化処理工程を繰り返し連続して行った場合の一例を
図5のタイムチャート図に沿って説明する。
本実施例においては、処理対象である流体は100cP以下の低粘度のものであり、配管要容積W1=130ml、配管容積W2=1100ml、流量Q=0.86L/minであることから、t1=9s、t2=77s≒80sで設定を行った。また、給液ポンプ2の運転開始から、油圧装置11の運転開始までに3sの遅延が設定されている。
【0057】
なお、本実施例は、微粒化装置全体を覆うハウジングの表面に、制御部への運転開始及び停止の指令信号を送る運転開始ボタン及び停止ボタンを備えるものとする。そして、運転開始のボタンが押され、微粒化装置が運転開始モードに入って給液ポンプ2が駆動されて運転が開始されて以降、油圧装置11の運転開始前、あるいは又油圧装置11の運転が開始された後から液面センサ6により流体無しの検知がされるまでの間、その後の期間t1、さらにその後の期間t2、の各期間において装置に異常が生じた場合、または停止ボタン入力があった際には、給液ポンプ2の運転が停止される。その後、運転再開が可能な場合は、再度運転開始ボタンが押されることによって、給液ポンプ2の運転が再開され、処理工程が再開される。
【0058】
以上の設定において、第1のタンク1Aへの流体の投入完了後、
図5に示すように、送液バルブ7が閉じられた初期状態から、運転開始ボタンが押されることによって、微粒化装置100が運転開始モードに入る。まず、給液ポンプ2の運転が開始されるが、次いで油圧装置11の運転が開始される前に、何らかの問題が発生したことによって停止ボタンが押されると、給液ポンプ2の運転が停止される。
【0059】
その後、問題が解消され、運転再開が可能である場合、再度運転開始ボタンが押され、それに基づいて、給液ポンプ2の運転が再開され、油圧装置11の運転が開始される。これによって増圧機3の駆動も開始され、給液ポンプ2を介して供給されてくる流体は加圧され、噴射チャンバー5に送られ、高圧噴射処理が行われる。
【0060】
処理工程が進み、処理済みの流体が第2のタンク1Bへ回収されつつ、第1のタンク1Aから流体が出し切られると、液面センサ6は、流体有りのON状態から流体無しのOFF状態に切り替わり、その状態変化を示す検知信号が発せられ、カウント手段は、その時点から9秒(期間t1)経過時間を計測する。期間t1=9sが経過すると、カウント手段は、初めての処理回数の計数を行い、カウント数1とする。制御部は、このカウント数1に基づいて、記憶部に今行われている処理工程が第1回目(1パス目)であることを確定する。一方、期間t1=9sの経過時に送液バルブ7は開(ON)状態となる。
【0061】
カウント手段は、送液バルブ7を開(ON)状態とするタイミングから、80秒(期間t2)経過時間を計測する。この間、送液バルブ7の開により、第2のタンク1Bに回収されていた流体が、連結配管H介して第1のタンク1Aへ戻されていくため、供給配管LS内流体が満たされていき、液面センサ6は流体有りを示すON状態となる。
【0062】
その後、カウント手段が、期間t2として80秒の経過を計測した時点で、送液バルブ7を閉じるタイミングであることを制御部20に示し、制御部は、送液バルブ7を閉状態とすると共に、その前の処理工程の完了と次の処理工程の開始を確定する。
【0063】
以降、同様に、液面センサ6の流体無しの検知から期間t1の経過毎に、カウント手段は処理回数の計数を行い、カウント数を順次更新していく。制御部は、カウント手段によって更新されていくカウント数に基づき、記憶部で処理回数(パス回数)を更新し、確定していきながら、送液バルブ7の開閉制御を行って各処理工程の完了及び開始を確定していく。
【0064】
カウント手段によるカウント数が、予め設定されていた最後の処理回数5に達すると、期間t1が経過後、制御部20は、微粒化装置の運転停止モードに入り、送液バルブ7を開けることなく閉じたままで、給液ポンプ2と油圧装置11の運転を停止させる。また制御部は、運転停止モードの終了により、設定された回数分の処理工程が全て完了したことを確定する。なお、この時点で回路内に残留している流体は、微粒化装置内、特に微粒化処理部10の回路内にエアが混入することが無いように溶媒等で押し出して回収される。
【0065】
以上の5パス分の処理工程が終了し、第2のタンク1Bに回収、貯留された全ての処理済み流体は、微粒化装置100から装置外へ回収され、制御部20では、カウント手段および記憶部におけるカウント数がリセットされる。
【0066】
以上のように、本実施形態の微粒化装置100によれば、微粒化処理工程を繰り返し連続して行うなかで、各処理工程毎に、確実に処理回数(パス回数)が確定されると共に、各処理工程の完了と開始とが確実に確定されるため、処理工程の連続繰り返しが効率的に管理される。
【0067】
なお、以上の実施例では、処理対象の流体が低粘度の場合を示したが、流体が100cPを越える中粘度、さらには1000cPまでの高粘度の場合は、期間t1を0秒あるいは0秒に近い短期間に設定するだけで、同様に、確実な処理回数のカウントと効率的な処理工程の管理が行える。