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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023060740
(43)【公開日】2023-04-28
(54)【発明の名称】即湯式給湯装置
(51)【国際特許分類】
   F24D 17/00 20220101AFI20230421BHJP
【FI】
F24D17/00 P
F24D17/00 U
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021170502
(22)【出願日】2021-10-18
(71)【出願人】
【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】長瀬 弘明
【テーマコード(参考)】
3L073
【Fターム(参考)】
3L073AA02
3L073AA13
3L073AB12
3L073AC01
3L073AC07
3L073AD05
3L073AD07
3L073AE02
3L073AE04
3L073AE09
3L073CC06
3L073DE03
3L073DF05
(57)【要約】
【課題】本来構成を有効利用した簡素な構成にて水漏れを検出することができる即湯式給湯装置を提供する。
【解決手段】給水路2からの湯水を加熱して給湯路3に出湯する給湯用加熱部Aと、給湯路3に接続される給湯栓1と、少なくとも給湯路3の給湯栓側部分3aを含んで構成される即湯用循環回路Jとが設けられ、即湯用循環回路Jに、循環ポンプ15、即湯用加熱部K、湯水温度検出センサMが設けられ、運転制御部Cが、湯水温度検出センサMの検出温度が設定加熱開始温度よりも低下すると、循環ポンプ15を作動させた状態で、湯水温度検出センサMの検出情報に基づいて即湯用循環回路J内の湯水の温度を設定目標温度にすべく即湯用加熱部Kを加熱作動させる即湯用加熱処理を実行し、かつ、即湯用加熱処理を実行する時間間隔が設定基準時間間隔よりも短くなると、水漏れ異常であると判定する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
給水路からの湯水を加熱して給湯路に出湯する給湯用加熱部と、前記給湯路に接続される給湯栓と、少なくとも前記給湯路の給湯栓側部分を含んで構成される即湯用循環回路と、運転制御部とが設けられ、
前記即湯用循環回路に、循環ポンプ、即湯用加熱部、湯水温度検出センサが設けられ、
前記運転制御部が、前記湯水温度検出センサの検出温度が設定目標温度よりも低い設定加熱開始温度よりも低下すると、前記循環ポンプを作動させた状態で、前記湯水温度検出センサの検出情報に基づいて即湯用循環回路内の湯水の温度を前記設定目標温度にすべく前記即湯用加熱部を加熱作動させる即湯用加熱処理を実行する即湯式給湯装置であって、
前記運転制御部が、前記即湯用加熱処理を実行する時間間隔が設定基準時間間隔よりも短くなる又は前記即湯用加熱処理の非実行時における前記湯水温度検出センサの検出温度の単位時間当たりの低下量が設定基準低下量よりも大きくなると、水漏れ異常であると判定する即湯式給湯装置。
【請求項2】
外気温度を検出する外気温度検出センサが設けられ、
前記運転制御部が、前記外気温度検出センサの検出情報に基づいて、前記設定基準時間間隔又は前記設定基準低下量を補正するように構成されている請求項1に記載の即湯式給湯装置。
【請求項3】
前記運転制御部が、設定時間間隔が経過する毎に、前記即湯用加熱部の加熱作動を停止させた状態で前記循環ポンプを作動させたときに、前記湯水温度検出センサの検出温度が前記設定加熱開始温度よりも低下しているか否かを判定し、前記湯水温度検出センサの検出温度が前記設定加熱開始温度よりも低下していると、前記即湯用加熱処理を実行する請求項1又は2に記載の即湯式給湯装置。
【請求項4】
前記運転制御部が、前記即湯用加熱部の加熱作動を停止し且つ前記循環ポンプを停止させた状態に維持しているときに、前記湯水温度検出センサの検出温度が前記設定加熱開始温度よりも低下しているか否かを判定し、前記湯水温度検出センサの検出温度が前記設定加熱開始温度よりも低下していると、前記即湯用加熱処理を実行する請求項1又は2に記載の即湯式給湯装置。
【請求項5】
前記即湯用循環回路が、前記給湯路、当該給湯路の端部箇所と前記給水路とを接続する給水側戻り路、及び、前記給水路における前記給水側戻り路の接続箇所よりも下流側となる給水側下流路から構成され、
前記給湯用加熱部が、前記即湯用加熱部に兼用され、
前記給水側下流路に配置される給水温度センサが、前記湯水温度検出センサに兼用される請求項1~4のいずれか1項に記載の即湯式給湯装置。
【請求項6】
前記即湯用循環回路が、当該給湯路の給湯栓側端部箇所と前記給湯路とを接続する給湯側戻り路、及び、前記給湯路における前記給湯側戻り路の接続箇所よりも下流側となる前記給湯栓側部分から構成され、
前記循環ポンプが、前記給湯側戻り路に配設され、
前記湯水温度検出センサとして、前記給湯側戻り路に配置される戻り温度センサが設けられている請求項1~4のいずれか1項に記載の即湯式給湯装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給水路からの湯水を加熱して給湯路に出湯する給湯用加熱部と、前記給湯路に接続される給湯栓と、少なくとも前記給湯路の給湯栓側部分を含んで構成される即湯用循環回路と、運転制御部とが設けられ、
前記即湯用循環回路に、循環ポンプ、即湯用加熱部、湯水温度検出センサが設けられ、
前記運転制御部が、前記湯水温度検出センサの検出温度が設定目標温度よりも低い設定加熱開始温度よりも低下すると、前記循環ポンプを作動させた状態で、前記湯水温度検出センサの検出情報に基づいて即湯用循環回路内の湯水の温度を前記設定目標温度にすべく前記即湯用加熱部を加熱作動させる即湯用加熱処理を実行する即湯式給湯装置に関する。
【背景技術】
【0002】
かかる即湯式給湯装置は、即湯用循環回路の湯水を設定目標温度に加熱しておくことにより、給湯用加熱部と給湯栓とが大きく離れている場合、つまり、給湯用加熱部と給湯栓との距離が大きい場合等においても、給湯栓を開いたときに高温の湯を出湯できるようにしたものである(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1においては、給湯栓から出湯する出湯設定温度が設定目標温度として設定される場合について記載されているが、給湯栓として、高温(例えば、60℃)の湯水と常温の湯水を混合して目標とする温度の湯水を出湯する混合栓が用いられる場合等においては、設定目標温度として、高温(例えば、60℃)が適用される場合もある。
【0004】
また、特許文献1においては、即湯用加熱部として、給湯用加熱部を兼用する形態が記載されているが、即湯用加熱部として、暖房用の熱媒と即湯用循環回路の湯水とを熱交換する液々熱交換器が適用される場合があり(例えば、特許文献2参照)、また、即湯用加熱部として、電気ヒータが適用される場合がある(例えば、特許文献3参照)。
【0005】
また、運転制御部が即湯用加熱処理を実行する形態として、特許文献1に記載の如く、運転制御部が、循環ポンプを停止させた状態に維持しているときに、湯水温度検出センサの検出温度が設定加熱開始温度よりも低下しているか否かを判定して、検出温度が設定加熱開始温度よりも低下していると、即湯用加熱処理を実行する形態がある。
その他、運転制御部が、設定時間間隔が経過する毎に、即湯用加熱部の加熱作動を停止した状態で循環ポンプを作動させたときに、湯水温度検出センサが検出する検出温度が設定加熱開始温度よりも低下しているか否かを判定して、検出温度が設定加熱開始温度よりも低下していると、即湯用加熱処理を実行する形態がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平7-269949号公報
【特許文献2】特開2001-193955号公報
【特許文献3】特開2000-18623号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
即湯式給湯装置においては、給湯栓が故障して水漏れを起こす場合や、即湯用循環回路の一部が破損して水漏れを起こす場合がある等、水漏れを起こす場合がある。
水漏れの量が多い場合には、給水路から給湯用加熱部(例えば、燃焼バーナ加熱式熱交換器)に流動する湯水量が、給湯用加熱部の加熱作動を開始させることになる湯水量(例えば、点火水量)よりも多くなり、給湯用加熱部が長時間に亘って加熱作動(燃焼)を続けることになるため、水漏れ異常であることを検出できることになる。
【0008】
しかしながら、水漏れの量が少ない場合には、この水漏れ異常が検出されることなく使用が続けられる虞があり、水漏れ量が少ない場合においても、この水漏れ異常を検出することが望まれている。
【0009】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、本来構成を有効利用した簡素な構成にて水漏れを検出することができる即湯式給湯装置を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の即湯式給湯装置は、水路からの湯水を加熱して給湯路に出湯する給湯用加熱部と、前記給湯路に接続される給湯栓と、少なくとも前記給湯路の給湯栓側部分を含んで構成される即湯用循環回路と、運転制御部とが設けられ、
前記即湯用循環回路に、循環ポンプ、即湯用加熱部、湯水温度検出センサが設けられ、
前記運転制御部が、前記湯水温度検出センサの検出温度が設定目標温度よりも低い設定加熱開始温度よりも低下すると、前記循環ポンプを作動させた状態で、前記湯水温度検出センサの検出情報に基づいて即湯用循環回路内の湯水の温度を前記設定目標温度にすべく前記即湯用加熱部を加熱作動させる即湯用加熱処理を実行するものであって、その特徴構成は、
前記運転制御部が、前記即湯用加熱処理を実行する時間間隔が設定基準時間間隔よりも短くなる又は前記即湯用加熱処理の非実行時における前記湯水温度検出センサの検出温度の単位時間当たりの低下量が設定基準低下量よりも大きくなると、水漏れ異常であると判定する点にある。
【0011】
すなわち、給湯栓が故障して水漏れを起こす場合や、即湯用循環回路の一部が破損して水漏れを起こす場合等、水漏れが発生すると、給水路からの冷たい湯水が即湯用循環回路に流動することになる。
給水路からの冷たい湯水が即湯用循環回路に流動すると、即湯用加熱処理が実行された後、即湯用循環回路に設けられた湯水温度検出センサの検出温度が加熱開始温度よりも低下するまでの時間が、水漏れが発生していない状態よりも短くなる。同様に、即湯用加熱処理の非実行時における湯水温度検出センサの検出温度の単位時間当たりの低下量が、水漏れが発生していない状態よりも大きくなる。
【0012】
その結果、即湯用加熱処理を実行する時間間隔が、水漏れが発生していない状態に応じて設定した設定基準時間間隔より短くなり、水漏れ異常であると判定することができる。
同様に、湯水温度検出センサの検出温度の単位時間当たりの低下量が、水漏れが発生していない状態に応じて設定した設定基準低下量よりも大きくなる。
【0013】
つまり、即湯用循環回路内の湯水は、即湯用加熱処理にて設定目標温度に加熱され、その後、自然冷却にて漸次温度低下するものであるが、給水路からの冷たい湯水が即湯用循環回路に流動すると、即湯用循環回路に設けられた湯水温度検出センサの検出温度が加熱開始温度よりも低下するまでの時間が、水漏れが発生していない状態よりも短くなる。
同様に、即湯用循環回路に設けられた湯水温度検出センサの検出温度の単位時間当たりの温度低下量が、水漏れが発生していない状態よりも大きくなる。
その結果、即湯用加熱処理を実行する時間間隔が、水漏れが発生していない状態に応じて設定した設定基準時間間隔より短くなる、又は、湯水温度検出センサの検出温度の単位時間当たりの低下量が、水漏れが発生していない状態に応じて設定した設定基準低下量よりも大きくなり、水漏れ異常であると判定することができることになる。
【0014】
そして、即湯用加熱処理を実行する時間間隔が、水漏れが発生していない状態に応じて設定した設定基準時間間隔より短くなるか否かにより、又は、湯水温度検出センサの検出温度の単位時間当たりの低下量が、水漏れが発生していない状態に応じて設定した設定基準低下量よりも大きくなるか否かにより、水漏れ異常であるか否かを判定するものであるから、本来構成を有効利用した簡素な構成にて水漏れを検出できる。
【0015】
要するに、本発明の即湯式給湯装置の特徴構成によれば、本来構成を有効利用した簡素な構成にて水漏れを検出することができる。
【0016】
本発明の即湯式給湯装置の更なる特徴構成は、外気温度を検出する外気温度検出センサが設けられ、
前記運転制御部が、前記外気温度検出センサの検出情報に基づいて、前記設定基準時間間隔又は前記設定基準低下量を補正するように構成されている点にある。
【0017】
すなわち、設定基準時間間隔又は設定基準低下量が、外気温度検出センサの検出情報に基づいて補正されるものであるから、設定基準時間間隔又は設定基準低下量を外気温度に応じた適正な値に定めて、水漏れを適切に検出できる。
【0018】
つまり、即湯用加熱処理にて設定目標温度に加熱された湯水の温度は、外気温度が低いほど急激に低下することになり、その結果、即湯用加熱処理を実行する時間間隔である基準時間が、外気温度が低いほど短くなる。
同様に、湯水温度検出センサの検出温度の単位時間当たりの低下量が、外気温度が低いほど大きくなる。
そこで、設定基準時間間隔又は設定基準低下量を外気温度検出センサの検出情報に基づいて補正することにより、外気温度が変化しても水漏れを適切に検出できる。
【0019】
要するに、本発明の即湯式給湯装置の更なる特徴構成によれば、外気温度が変化しても水漏れを適切に検出できる。
【0020】
本発明の即湯式給湯装置の更なる特徴構成は、前記運転制御部が、設定時間間隔が経過する毎に、前記即湯用加熱部の加熱作動を停止させた状態で前記循環ポンプを作動させたときに、前記湯水温度検出センサの検出温度が前記設定加熱開始温度よりも低下しているか否かを判定し、前記湯水温度検出センサの検出温度が前記設定加熱開始温度よりも低下していると、前記即湯用加熱処理を実行する点にある。
【0021】
すなわち、設定時間間隔が経過する毎に、即湯用加熱部の加熱作動を停止させた状態で循環ポンプを作動させ、そのときに、湯水温度検出センサにて検出される検出温度が設定加熱開始温度よりも低下しているか否かを判定して、検出温度が設定加熱開始温度よりも低下していると、即湯用加熱処理が実行されることになる。
【0022】
このように、即湯用加熱部の加熱作動を停止させた状態で循環ポンプを作動させて、循環される湯水の温度を湯水温度検出センサにて検出するものであるから、循環ポンプを停止させた状態においては、水漏れの発生により即湯用循環回路に流動した冷たい湯水が、湯水温度検出センサの設置箇所に流動しない場合においても、湯水が循環されることにより、冷たい湯水の存在を的確に検出できるものとなり、結果的に、水漏れを適切に検出できる。
【0023】
要するに、本発明の即湯式給湯装置の更なる特徴構成によれば、循環ポンプを停止させた状態においては、冷たい湯水が湯水温度検出センサの設置箇所に流動しない場合においても、水漏れを適切に検出できる。
【0024】
本発明の即湯式給湯装置の更なる特徴構成は、前記運転制御部が、前記即湯用加熱部の加熱作動を停止し且つ前記循環ポンプを停止させた状態に維持しているときに、前記湯水温度検出センサの検出温度が前記設定加熱開始温度よりも低下しているか否かを判定し、前記湯水温度検出センサの検出温度が前記設定加熱開始温度よりも低下していると、前記即湯用加熱処理を実行する点にある。
【0025】
すなわち、即湯用加熱部の加熱作動を停止し且つ循環ポンプを停止させた状態に維持しているときに、湯水温度検出センサの検出温度が設定加熱開始温度よりも低下しているか否かを判定して、検出温度が設定加熱開始温度よりも低下していると、即湯用加熱処理が実行されることになる。
【0026】
このように、即湯用加熱部の加熱作動を停止し且つ循環ポンプを停止させた状態に維持ながら、湯水の温度を湯水温度検出センサにて検出するものであるから、水漏れの発生により、給水路からの冷たい湯水が即湯用循環回路における湯水温度検出センサの存在箇所に流動すれば、冷たい湯水の存在を検出できるものとなり、結果的に、水漏れを適切に検出できる。
【0027】
そして、即湯用加熱部の加熱作動を停止し且つ循環ポンプを停止させた状態に維持ながら、即湯用循環回路の湯水温度を湯水温度検出センサにて検出するものであるから、湯水温度検出のために要するエネルギーの消費を抑えながら、即湯用循環回路の湯水温度を検出できる。
【0028】
要するに、本発明の即湯式給湯装置の更なる特徴構成によれば、湯水温度検出のために要するエネルギーの消費を抑えながら、即湯用循環回路の湯水温度を検出できる。
【0029】
本発明の即湯式給湯装置の更なる特徴構成は、前記即湯用循環回路が、前記給湯路、当該給湯路の端部箇所と前記給水路とを接続する給水側戻り路、及び、前記給水路における前記給水側戻り路の接続箇所よりも下流側となる給水側下流路から構成され、
前記給湯用加熱部が、前記即湯用加熱部に兼用され、
前記給水側下流路に配置される給水温度センサが、前記湯水温度検出センサに兼用される点にある。
【0030】
すなわち、即湯用加熱部として、給湯用加熱部を利用しながら、即湯用循環回路を、給湯用加熱部にて加熱された湯水を給湯栓に導く給湯路、当該給湯路の給湯栓側端部箇所と給水路とを接続する給水側戻り路、及び、給水路における給水側戻り路の接続箇所よりも下流側となる給水側下流路から構成するものであるから、給湯栓に給湯するための構成を利用した簡素な構成にて、即湯を行うことができる。
【0031】
また、給水路における給水側下流路には、給湯栓に給湯する湯水の温度制御を行うことを目的として、給水温度センサが配置されことになるが、その給水温度センサを、即湯用加熱処理を実行する際に必要な湯水温度検出センサに利用するものであるから、この点からも、給湯栓に給湯のための構成を利用した簡素な構成にて、即湯を行うことができる。
【0032】
要するに、本発明の即湯式給湯装置の更なる特徴構成によれば、給湯栓に給湯するための構成を利用した簡素な構成にて、即湯を行うことができる。
【0033】
本発明の即湯式給湯装置の更なる特徴構成は、前記即湯用循環回路が、当該給湯路の給湯栓側端部箇所と前記給湯路とを接続する給湯側戻り路、及び、前記給湯路における前記給湯側戻り路の接続箇所よりも下流側となる前記給湯栓側部分から構成され、
前記循環ポンプが、前記給湯側戻り路に配設され、
前記湯水温度検出センサとして、前記給湯側戻り路に配置される戻り温度センサが設けられている点にある。
【0034】
すなわち、即湯用循環回路が、給湯路の給湯栓側端部箇所と給湯路における給湯栓側部分の上流側箇所とを接続する給湯側戻り路、及び、給湯路における給湯側戻り路の接続箇所よりも下流側となる給湯栓側部分から構成されるものであるから、即湯用循環回路を、給湯用加熱部に湯水を供給する給水路とは切り離した状態で構成できる。
【0035】
そして、循環ポンプ及び即湯用加熱部を、給湯側戻り路に配設し、加えて、湯水温度検出センサとして、給湯側戻り路に配置される戻り温度検出センサを設けるものであるから、即湯用加熱処理を、給湯用加熱部の加熱作動とは切り離した状態で行うことができる。
【0036】
従って、給湯用加熱部にて加熱された湯水の給湯形態に多様性を持たせることができるものとなる。つまり、例えば、浴槽等の別の給湯箇所に給湯する分岐路が給湯路における給湯側戻り路の接続箇所よりも上流側箇所から分岐されて、給湯路からの湯水が給湯栓に加えて、浴槽等の別の給湯箇所に給湯される場合において、給湯用加熱部にて加熱された湯水を浴槽等の別の箇所に給湯しながら、即湯用加熱処理を行いながら即湯を行わせることができる等、給湯用加熱部にて加熱された湯水の給湯形態に多様性を持たせることができる。
【0037】
要するに、本発明の即湯式給湯装置の更なる特徴構成によれば、給湯用加熱部にて加熱された湯水の給湯形態に多様性を持たせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】即湯式給湯装置の全体構成を示す図である。
図2】即湯処理の概要を示す図である。
図3】即湯処理の概要を示す図である。
図4】即湯処理のフローチャートである。
図5】別実施形態の即湯式給湯装置の全体構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
〔実施形態〕
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
(即湯式給湯装置の全体構成)
図1に示すように、即湯式給湯装置は、台所や洗面所の給湯栓1に給湯する熱源機G及び即湯ユニットHを備えている。本実施形態においては、給湯栓1は、湯と水とを混合する混合栓式の給湯栓である。
尚、熱源機Gは、給湯栓1に加えて浴槽(図示せず)に給湯する機能を備えることになるが、本実施形態においては、浴槽に給湯する構成についての詳細を省略する。
【0040】
熱源機Gは、運転を制御する熱源側制御部Cgを備え、即湯ユニットHは、運転を制御するユニット側制御部Chを備え、熱源側制御部Cgとユニット側制御部Chとが通信線Dにて各種情報を通信自在に接続されている。
そして、熱源側制御部Cgとユニット側制御部Chとから、後述する即湯処理を実行する運転制御部Cが構成されている。
【0041】
熱源側制御部Cgに対して各種制御指令を指令する手動操作式指令部としてのリモコンRが設けられている。ちなみに、リモコンRとしては、台所などに設置されるメインリモコンや浴室に設置される浴室リモコンが存在する。
リモコンRには、熱源機G及び即湯ユニットHの運転の開始と停止を指令する運転スイッチ、後述する即湯処理の開始と停止を指令する即湯スイッチ等の各種の指令を行う指令スイッチ類、給湯用の設定目標温度を設定する給湯温度設定スイッチ等の設定スイッチ類、及び、設定目標温度等の各種情報を表示する表示部が設けられている。
【0042】
図1に示すように、熱源機Gには、一般家庭用の水道管に接続された給水路2からの水を加熱して、加熱後の湯水を給湯路3に出湯する給湯用加熱部Aが設けられ、給湯路3における熱源機Gの外部に延出される外部給湯路3Aが、給湯栓1に接続されている。
また、給水路2における熱源機Gの外部に位置する外部給水路2Aから分岐する分岐給水路4が、給湯栓1に接続されている。
尚、外部給湯路3Aは、給湯路3における給湯栓側部分3aを含むことになる。
【0043】
(給湯用加熱部の構成)
給湯用加熱部Aは、入口側に給水路2が接続され且つ出口側に給湯路3が接続される給湯用熱交換器5、当該給湯用熱交換器5を加熱する給湯バーナ6、及び、当該給湯バーナ6に燃焼用空気を供給する給湯用送風ファン7を備えて、給湯用熱交換器5を流動する湯水を給湯バーナ6の燃焼ガスにて加熱するように構成されている。
【0044】
給湯用加熱部Aに装備された給湯バーナ6には、都市ガス等の燃料ガスを供給する給湯側ガス供給路8が接続されている。
給湯側ガス供給路8には、燃料ガス供給量を調整する電磁式のガス比例弁9、燃料ガスの供給を断続する断続弁10が設けられている。
尚、図示を省略するが、給湯バーナ6の近くには、点火用のイグナイタ及び着火を検出するフレームロッドが設けられることになる。
【0045】
(一般給湯用構成)
給水路2には、給水温度を検出する給水サーミスタ11(給水温度センサの一例)と給水量を検出する水量センサ12とが設けられている。
また、給湯路3には、湯水の温度を検出する給湯サーミスタ13(給湯温度センサの一例)が設けられている。
【0046】
(即湯用構成)
少なくとも給湯路3の給湯栓側部分3aを含んで構成される即湯用循環回路Jが設けられている。本実施形態においては、即湯用循環回路Jが、給湯栓側部分3aを含む給湯路3の全体、当該給湯路3の給湯栓側端部箇所(給湯栓1の近くに位置する箇所)と給水路2における外部給水路2Aとを接続する給水側戻り路14、及び、給水路2における給水側戻り路14の接続箇所よりも下流側となる給水側下流路から構成されている。
本実施形態においては、給水側戻り路14が、即湯ユニットHの内部を通過する状態で設けられている。
【0047】
そして、即湯用循環回路Jに、循環ポンプ15、即湯用加熱部K、湯水温度検出センサMが設けられている。
本実施形態では、即湯用加熱部Kが給湯用加熱部Aを兼用して構成され、湯水温度検出センサMが、給水路2における給水側戻り路14の接続箇所よりも下流側となる給水側下流路に配置される給水サーミスタ11を兼用して構成されている。
本実施形態では、循環ポンプ15が即湯ユニットHの内部に配置され、又、即湯ユニットHの内部に位置する給水側戻り路14における循環ポンプ15の下流側箇所に、逆流防止用のユニット側逆止弁16が設けられている。
【0048】
また、給水側戻り路14における給湯栓側端部箇所と循環ポンプ15との間に相当する流路部分に、空気放出弁17及び湯水の膨張を吸収するアキュームレータ18が設けられている。
さらに、外部給水路2Aにおける分岐給水路4の分岐箇所と給水側戻り路14の接続箇所との間に相当する流路部分に、逆流防止用の給水路側逆止弁19が設けられている。
【0049】
従って、循環ポンプ15を作動させて、即湯用循環回路Jの内部の湯水を循環させた状態において、給湯用加熱部Aを加熱作動させることにより、即湯用循環回路Jの内部の湯水を設定目標温度に昇温させることができるように構成されている。
【0050】
(一般給湯運転)
運転制御部Cにおける熱源側制御部Cgは、運転スイッチが入り操作されると制御可能な状態になり、給湯栓1が開操作されると給湯栓1から湯水を給湯する給湯運転を実行する。
すなわち、熱源側制御部Cgは、即湯処理における加熱前検出処理や即湯用加熱処理を実行していないときに、水量センサ12による検出水量が点火用所定量以上になると、給湯運転を実行する。
【0051】
また、運転制御部Cにおける熱源側制御部Cgは、後述の如く、ユニット側制御部Chにて循環ポンプ15が作動されて、即湯処理における加熱前検出処理や即湯用加熱処理を実行しているときには、水量センサ12による検出水量が点火用所定量に設定増加量を加えた設定判別量以上になると、給湯運転を実行する。ちなみに、熱源側制御部Cgは、給湯運転を実行するときには、ユニット側制御部Chに給湯信号を送信して、循環ポンプ15を停止させて、即湯処理における加熱前検出処理や即湯用加熱処理を停止することになる。
【0052】
つまり、運転制御部Cは、即湯処理における加熱前検出処理や即湯用加熱処理においては、循環ポンプ15を作動させて、水量センサ12による検出水量が点火用所定量になる状態で湯水を循環させることになるが、その循環状態において、水量センサ12による検出水量が点火用所定量に設定増加量を加えた設定判別量以上になる場合には、給湯栓1が開操作された状態であるとして、循環ポンプ15を停止させて、給湯運転を実行することになる。
【0053】
給湯運転においては、給湯用加熱部Aにおける給湯用送風ファン7を駆動した後、断続弁10を開弁してイグナイタにより給湯バーナ6に点火し、給湯温度設定スイッチにより設定された設定目標温度、水量センサ12の検出水量、給水サーミスタ11の検出水温及び給湯サーミスタ13の検出温度に基づいて、給湯サーミスタ13の検出温度が給湯温度設定スイッチにて設定された設定目標温度になるように、ガス比例弁9の開度を調節する処理が実行される。
そして、水量センサ12により通水が検出されなくなると、断続弁10を閉弁して給湯バーナ6の燃焼を停止し、給湯用送風ファン7を停止して、給湯運転が終了されることになる。
【0054】
(即湯処理)
運転制御部Cは、運転スイッチが入り操作された状態で即湯スイッチにて即湯処理の開始が指令されると即湯処理を実行する。
運転制御部Cは、即湯処理においては、循環ポンプ15を作動させた状態で、給水サーミスタ11の検出情報に基づいて即湯用循環回路J内の湯水の温度を設定目標温度(例えば、60℃)にすべく給湯用加熱部Aを加熱作動させる即湯用加熱処理を繰り返し実行することになる(図2及び図3参照)。
ちなみに、図2及び図3においては、即湯用加熱処理が実行される期間を実行期間Wとして記載する。
【0055】
また、運転制御部Cは、図2及び図3に示す如く、即湯スイッチ即湯スイッチにて即湯処理の開始が指令された直後においては、直ちに即湯用加熱処理を実行することになるが、その後においては、給湯用加熱部Aの加熱作動を停止した状態で循環ポンプ15を作動させたときの給水サーミスタ11の検出温度である加熱前検出温度を検出する加熱前検出処理を、設定時間間隔T(例えば、20分)を隔てて繰り返し実行する。
【0056】
この加熱前検出処理は、少なくとも即湯用循環回路J内の湯水の全体が1循環するのに要する時間以上に設定した検出処理時間Uに亘って実行され、検出処理時間Uの間に検出される給水サーミスタ11の検出温度のうちの最も低い温度が加熱前検出温度として定められる。
そして、運転制御部Cは、加熱前検出温度が、設定目標温度よりも低く設定した加熱開始温度(例えば、55℃)より低い場合には、即湯用加熱処理を実行するように構成されている。つまり、加熱前検出温度が加熱開始温度(例えば、55℃)以上の場合には、即湯用加熱処理が実行されない。
【0057】
ちなみに、図2及び図3においては、即湯スイッチにて即湯処理の開始が指令された直後において即湯用加熱処理を実行した後、3回目の加熱前検出処理を実行した際に検出される加熱前検出温度が、加熱開始温度よりも低下していることにより、即湯用加熱処理が実行されることを例示する。
【0058】
本実施形態では、熱源側制御部Cgが、運転スイッチが入り操作された状態で即湯スイッチが操作されると、即湯開始信号を、設定時間間隔T(例えば、20分)を隔ててユニット側制御部Chに送信することになり、ユニット側制御部Chが、即湯開始信号に基づいて、加熱前検出処理のために循環ポンプ15を作動させることになる。
熱源側制御部Cgが、循環ポンプ15が作動されている間における給水サーミスタ11の検出温度を加熱前検出温度として取得することになる。
【0059】
熱源側制御部Cgが、加熱前検出処理にて検出された加熱前検出温度が設定加熱開始温度よりも低くない場合には、即湯停止信号を、ユニット側制御部Chに送信することになり、ユニット側制御部Chが、即湯停止信号に基づいて、循環ポンプ15を停止させることになる。
【0060】
また、熱源側制御部Cgが、加熱前検出処理にて検出された加熱前検出温度が設定加熱開始温度よりも低い場合には、給湯用加熱部Aを加熱作動させ、その後、給水サーミスタ11にて検出される温度が設定目標温度になると給湯用加熱部Aの加熱作動を停止し、かつ、即湯停止信号を、ユニット側制御部Chに送信することになる。
ユニット側制御部Chが、即湯停止信号に基づいて、循環ポンプ15を停止させることになる。
【0061】
さらに、熱源側制御部Cgが、給湯運転を実行するときには、加熱前検出処理や即湯用加熱処理を実行しているときには、その処理を中断し、かつ、上述の如く、給湯信号をユニット側制御部Chに送信する。また、給湯運転を終了するときには、給湯終了信号をユニット側制御部Chに送信することになる。
【0062】
ユニット側制御部Chが、給湯信号に基づいて、加熱前検出処理や即湯用加熱処理を実行するために循環ポンプ15を作動させているときには、循環ポンプ15の作動を停止させることになる。
【0063】
(水漏れ異常検出)
運転制御部Cが、即湯用加熱処理を実行する時間間隔が設定基準時間間隔よりも短くなると、又は、即湯用加熱処理の非実行時における給水サーミスタ11の検出温度の単位時間当たりの低下量が基準低下量よりも大きくなると、水漏れ異常であると判定するように構成されている。
【0064】
本実施形態においては、図2及び図3に示す如く、即湯スイッチが操作された直後において即湯用加熱処理を実行した後、3回目の加熱前検出処理を実行した際に検出される加熱前検出温度が、加熱開始温度よりも低下していることにより、即湯用加熱処理が実行されるものである。
つまり、本実施形態においては、即湯用加熱処理が繰り返し実行される設定基準時間間隔が、3回目の加熱前検出処理を実行する時間間隔に相当する時間(例えば、1時間)に設定される。
【0065】
本実施形態では、給水サーミスタ11の検出温度の単位時間当たりの低下量として、例えば、1分当たりの低下量が求められ、基準低下量が、1分当たりの基準低下量として定められている。
基準低下量は、設定目標温度(例えば、60℃)と加熱開始温度(例えば、55℃)との差異に相当する値を、3回の加熱前検出処理を実行する時間間隔に相当する時間(例えば、1時間)に除算した値に対して設定余裕値を加えた値に設定されている。
ちなみに、単位時間当たりは、1分当たりに限らず、種々の値が設定されるものであり、例えば、設定時間間隔T(例えば、20分)と同じ値に設定してもよい。
【0066】
本実施形態では、給水サーミスタ11の検出温度の単位時間当たりの低下量は、初回の即湯用加熱処理を実行した後に次に加熱前検出処理を行ったときには、設定目標温度(例えば、60℃)から加熱前検出処理にて検出された加熱前検出温度を減算した値を、設定時間間隔T(例えば、20分)にて除算した値として求められる。その後は、前回の加熱前検出処理にて検出された加熱前検出温度から今回の加熱前検出処理にて検出された加熱前検出温度を減算した値を、設定時間間隔T(例えば、20分)にて除算した値として求められる。
【0067】
また、熱源機Gに、外気温度を検出する外気温度検出センサEが設けられている。
そして、運転制御部Cが、外気温度検出センサEの検出情報に基づいて、設定基準時間間隔及び基準低下量を補正するように構成されている。
【0068】
説明を加えると、熱源機G及び即湯ユニットHを設置したときに試運転を行い、そのときに即湯用加熱処理が繰り返し実行される時間間隔及び給水サーミスタ11の検出温度の単位時間当たりの低下量を計測し、その計測結果と外気温度とが記憶される。
つまり、試運転を行うことにより記憶した即湯用加熱処理が繰り返し実行される時間間隔が、記憶した外気温度での設定基準時間間隔として設定され、記憶した検出温度の単位時間当たりの低下量に設定余裕値を加えた値が、記憶した外気温度での基準低下量として設定される。
そして、現在の外気温度と記憶した外気温度との差異に基づいて、予め設定した補正情報に基づいて、設定基準時間間隔及び基準低下量を補正するように構成されている。
【0069】
例えば、外気温度が28℃の場合を基準として設定基準時間間隔及び基準低下量が設定される場合には、外気温度が28℃よりも低くなるほど、設定基準時間間隔を短くしかつ基準低下量を大きくし、また、外気温度が28℃よりも高くなるほど、設定基準時間間隔を長くしかつ基準低下量を小さく設定するように構成されている。
以下の説明においては、設定基準時間間隔と基準低下量とのうちの基準低下量に基づいて、水漏れ異常が判定される場合について説明する。
【0070】
つまり、本実施形態では、単位時間当たりの温度低下量が、基準低下量よりも大きくなると、水漏れ異常であると判定するように構成されている。
そして、水漏れ異常であると判定した際には、水漏れ異常であることをリモコンRにて報知する報知処理を実行するように構成されている。
ちなみに、水漏れ異常であると判定した際には、即湯処理を継続して実行する形態で実施してもよいが、本実施形態では、即湯処理を停止するように構成されている。
【0071】
すなわち、運転制御部C(熱源側制御部Cg)は、循環ポンプ15を停止させた状態で、上述した設定時間間隔T(例えば、20分)を待機している間において、図2において点線で示す如く、給水サーミスタ11の検出温度が低下することにより、加熱前検出処理にて検出された加熱前検出温度が大きく低下することに起因して、単位時間当たりの温度低下量が基準低下量よりも大きくなると、水漏れ異常であると判定するように構成されている。
【0072】
また、運転制御部C(熱源側制御部Cg)は、循環ポンプ15を作動させた状態で、検出処理時間Uが経過するまで加熱前検出処理を実行しているときに、図3において点線で示す如く、加熱前検出温度が低下してすることに起因して、単位時間当たりの温度低下量が基準低下量よりも大きくなると、水漏れ異常であると判定するように構成されている。
【0073】
つまり、給湯栓1が故障して水漏れを起こす場合や、即湯用循環回路Jの一部が破損して水漏れを起こす場合等、水漏れが発生すると、給水路2からの冷たい湯水が即湯用循環回路Jに流動することになる。
即湯用循環回路Jの内部の湯水は、即湯用加熱処理にて設定目標温度に加熱されるものであるから、即湯用循環回路Jの内部の湯水の温度は、水漏れが発生していない場合には、設定目標温度よりも低くなることがあっても、設定目標温度よりも急激に大きく低下する状態にはならない。
しかしながら、水漏れが発生すると、少量の水漏れが発生した場合においても、設定目標温度よりもかなり低い常温の冷たい湯水が、即湯用循環回路Jの内部に流動することになり、単位時間当たりの温度低下量が基準低下量よりも大きくなると、運転制御部C(熱源側制御部Cg)が水漏れ異常であると判定することになる。
【0074】
本実施形態では、即湯用循環回路Jにおける給水サーミスタ11の設置箇所よりも下流側となる箇所にて水漏れが発生すると、循環ポンプ15が停止した状態において、設定目標温度よりもかなり低い常温の冷たい湯水が、給水サーミスタ11の設置箇所に流動することになる。
例えば、図2において点線で示す如く、1回目の加熱前検出処理と2回目の加熱処理との間で水漏れが発生すると、その水漏れにより、給水サーミスタ11の検出温度が加熱開始温度よりも低下することになる。
その結果、2回目の加熱前検出処理が実行されたときに、単位時間当たりの温度低下量が基準低下量よりも大きくなり、水漏れ異常であると判定されることになる。
【0075】
ちなみに、図2の点線は、単位時間当たりの温度低下量が基準低下量よりも大きくなっても、即湯用加熱処理が実行される場合を例示し、これは、即湯用加熱処理を実行する時間間隔が設定基準時間間隔よりも短くなることを記載するものである。
但し、本実施形態は、上述の如く、水漏れ異常であると判定した際には、即湯処理を停止するように構成されている。
【0076】
また、即湯用循環回路Jにおける給水サーミスタ11の設置箇所よりも上流側となる箇所にて水漏れが発生すると、つまり、給水路2における給水側戻り路14の接続箇所と給水サーミスタ11の設置箇所との間に相当する部分にて水漏れが発生すると、循環ポンプ15が停止した状態においては、設定目標温度よりも低い常温の冷たい湯水は、給水温度センサの設置箇所には流動しないものとなるが、循環ポンプ15が作動した状態においては、即湯用循環回路Jにおける給水サーミスタ11の設置箇所よりも上流側の水漏れ箇所に向けて流れ込んでいる冷たい湯水が、給水サーミスタ11の設置箇所を通過して流動することになる。
【0077】
例えば、1回目の加熱前検出処理と2回目の加熱処理との間で水漏れが発生すると、図3において点線で示す如く、加熱前検出処理により循環ポンプ15が作動した状態においては、給水サーミスタ11の検出温度が、一時的ではあるが、加熱開始温度よりも低くなる。
その結果、2回目の加熱前検出処理が実行されたときに、単位時間当たりの温度低下量が基準低下量よりも大きくなり、水漏れ異常であると判定されることになる。
【0078】
ちなみに、図3の点線は、単位時間当たりの温度低下量が基準低下量よりも大きくなっても、即湯用加熱処理が実行される場合を例示し、これは、即湯用加熱処理を実行する時間間隔が設定基準時間間隔よりも短くなることを記載するものである。
但し、本実施形態は、上述の如く、水漏れ異常であると判定した際には、即湯処理を停止するように構成されている。
【0079】
(即湯処理の詳細)
次に、即湯処理における運転制御部Cの制御作動について、図4のフローチャートに基づいて説明を加える。
即湯処理を開始すると、先ず、初回の即湯用加熱処理が実行され(#1)、その後、設定時間間隔Tが経過したか否かが判別され(#2)、設定時間間隔Tが経過していない場合には、設定時間間隔Tが経過するまで待機する。
【0080】
#2の処理にて、設定時間間隔Tが経過したと判別されると、加熱前検出処理が開始され(#3)、続いて、加熱前検出処理にて検出する給水サーミスタ11の加熱前検出温度が加熱開始温度よりも低いか否かが判別される(#4)。
#4の処理にて、給水サーミスタ11の加熱前検出温度が加熱開始温度よりも低いと判別されると、続いて、単位時間当たりの温度低下量が温度低下量よりも大きいか否かが判別される(#5)。
【0081】
#5の処理にて、単位時間当たりの温度低下量が基準低下量よりも大きくないと判別された場合には、即湯用加熱処理が実行され(#6)、その後、#2の処理に移行する。
#5の処理にて、単位時間当たりの温度低下量が基準低下量よりも大きい判別された場合には、水漏れ異常であることをリモコンRにて報知する報知処理が実行され(#7)、その後、即湯処理が終了される。
【0082】
〔別実施形態〕
次に、図5により、別実施形態を説明するが、この別実施形態は、熱源機Gに、給湯用加熱部Aに加えて、床暖房用装置や浴室暖房乾燥機等の熱消費端末に供給する熱媒を加熱する熱媒用加熱部Bが備えられている場合を例示するものであって、上記実施形態と同様な構成については、上記実施形態と同様な符号を付して、詳細な説明を省略する。
【0083】
(熱媒供給構成)
図4に示すように、熱源機Gは、熱消費端末に循環供給する熱媒を加熱する熱媒用加熱部Bを備え、即湯ユニットHには、即湯用加熱部Kとして、熱媒用加熱部Bにて加熱された熱媒が循環供給される液々熱交換器21が設けられている。
熱媒用加熱部Bと熱消費端末との間で熱媒を循環させる熱媒循環回路Lと、当該熱媒循環回路Lを通して熱媒を循環させる熱媒循環ポンプ22とが設けられている。
【0084】
熱媒用加熱部Bは、熱媒循環回路Lの熱媒戻り路23が入口側に接続され且つ熱媒循環回路Lの熱媒往き路24が出口側に接続される熱媒加熱用熱交換器25、当該熱媒加熱用熱交換器25を加熱する熱媒加熱バーナ26、及び、当該熱媒加熱バーナ26に燃焼用空気を供給する熱媒用送風ファン27を備えて、熱媒加熱用熱交換器25を流動する熱媒を熱媒加熱バーナ26の燃焼ガスにて加熱するように構成されている。
【0085】
熱媒用加熱部Bに装備された熱媒加熱バーナ26には、都市ガス等の燃料ガスを供給する熱媒側ガス供給路28が接続されている。
熱媒側ガス供給路28には、燃料ガス供給量を調整する電磁式の熱媒側ガス比例弁29、燃料ガスの供給を断続する熱媒側断続弁30が設けられている。
尚、図示を省略するが、熱媒加熱バーナ26の近くには、点火用のイグナイタ及び着火を検出するフレームロッドが設けられている。
【0086】
熱媒戻り路23の入口側端部には熱媒戻りヘッダ31が設けられ、熱媒往き路24の出口側端部には、熱媒往きヘッダ32が設けられている。そして、熱媒往きヘッダ32からの熱媒を液々熱交換器21に供給する熱媒端末往き路33が設けられ、液々熱交換器21からの熱媒を熱媒戻りヘッダ31に供給する熱媒端末戻り路34が設けられている。
熱媒端末往き路33には、熱媒の供給を断続する熱動弁35が設けられている。
【0087】
熱媒戻り路23には、膨張タンク36及び上述した熱媒循環ポンプ22が配設され、熱媒往き路24には、供給される熱媒の温度を検出する熱媒サーミスタ37が設けられている。
ちなみに、熱媒往きヘッダ32と熱媒戻りヘッダ31との間には、他の熱消費端末との間で熱媒を循環させる熱媒端末往き路33や熱媒端末戻り路34が設けられることになるが、本実施形態では詳細な説明を省略する。
また、熱動弁35を閉じたときに、熱媒往き路24の熱媒を熱媒戻り路23に短絡して流動させるための接続路が設けられることになるが、本実施形態では記載を省略する。
【0088】
(端末加熱運転)
熱源側制御部Cgは、リモコンRにて端末加熱運転の開始が指令されると、端末加熱運転を実行する。
端末加熱運転においては、熱媒循環ポンプ22を作動させて熱媒を循環させ、かつ、熱媒用送風ファン27を作動させながら熱媒加熱バーナ26を燃焼させることになり、加えて、熱媒サーミスタ37の検出温度が熱媒用供給温度(例えば、70℃)になるように、熱媒側ガス比例弁29の開度を調整することになる。
ちなみに、熱源側制御部Cgは、液々熱交換器21を加熱作動させる際には、熱動弁35を開いて、熱媒を液々熱交換器21に循環供給することになる。
【0089】
(即湯用構成)
少なくとも給湯路3の給湯栓側部分3aを含んで構成される即湯用循環回路Jが設けられている。本実施形態においては、外部給湯路3Aの大部分が給湯栓側部分3aを形成するように構成されている。
そして、即湯用循環回路Jが、外部給湯路3Aの給湯栓側端部箇所(給湯栓1の近くに位置する箇所)と給湯路3における給湯栓側部分3aの上流側箇所とを接続する給湯側戻り路38、及び、給湯路3の外部給湯路3Aにおける給湯側戻り路38の接続箇所よりも下流側となる給湯栓側部分3aから構成されている。
ちなみに、外部給湯路3Aにおける給湯側戻り路38の接続箇所よりも上流側箇所には、逆流を防止する給湯側逆止弁39が設けられている。
【0090】
循環ポンプ15、ユニット側逆止弁16、及び、即湯用加熱部Kとしての液々熱交換器21が、給湯側戻り路38における即湯ユニットHの内部に位置する部分に配設されている。
また、湯水温度検出センサMとして、給湯側戻り路38における即湯ユニットHの内部に位置する部分に配置される戻り温度検出センサ40が設けられている。
【0091】
(即湯処理)
運転制御部Cは、運転スイッチが入り操作された状態で即湯スイッチにて即湯処理の開始が指令されると即湯処理を実行する。
運転制御部Cは、循環ポンプ15を作動させた状態で、戻り温度検出センサ40の検出情報に基づいて即湯用循環回路J内の湯水の温度を設定目標温度(例えば、60℃)にすべく、熱動弁35を開いて液々熱交換器21を加熱作動させる即湯用加熱処理を繰り返し実行することになる。
【0092】
本実施形態では、運転制御部Cは、熱動弁35を閉じることにより液々熱交換器21の加熱作動を停止した状態で循環ポンプ15を作動させたときの戻り温度検出センサ40の検出温度である加熱前検出温度を検出する加熱前検出処理を、設定時間間隔T(例えば、20分)を隔てて繰り返し実行する。
この加熱前検出処理は、少なくとも即湯用循環回路J内の湯水の全体が1循環するのに要する時間以上に設定した検出処理時間Uに亘って実行され、検出処理時間Uの間に検出される戻り温度検出センサ40の検出温度のうちの最も低い温度が加熱前検出温度として定められる。
そして、運転制御部Cは、加熱前検出温度が、設定目標温度よりも低く設定した加熱開始温度(例えば、55℃)より低い場合には、即湯用加熱処理を実行するように構成されている。つまり、加熱前検出温度が加熱開始温度以上の場合には、即湯用加熱処理が実行されない。
【0093】
本実施形態では、熱源側制御部Cgが、運転スイッチが入り操作された状態で即湯スイッチが操作されると、即湯開始信号を、設定時間間隔(例えば、20分)を隔ててユニット側制御部Chに送信することになり、ユニット側制御部Chが、即湯開始信号に基づいて、加熱前検出処理のために循環ポンプ15を作動させることになる。
ユニット側制御部Chが、循環ポンプ15が作動されている間における戻り温度検出センサ40の検出温度を加熱前検出温度として取得し、その加熱前検出温度を熱源側制御部Cgに送信することになる。
【0094】
熱源側制御部Cgが、加熱前検出処理にて検出された加熱前検出温度が設定加熱開始温度よりも低くない場合には、即湯停止信号を、ユニット側制御部Chに送信することになり、ユニット側制御部Chが、即湯停止信号に基づいて、循環ポンプ15を停止させることになる。
【0095】
また、熱源側制御部Cgが、加熱前検出処理にて検出された加熱前検出温度が設定加熱開始温度よりも低い場合には、熱媒用加熱部Bを加熱作動させかつ熱動弁35を開くことにより液々熱交換器21の加熱作動を開始させ、かつ、加熱開始信号をユニット側制御部Chに送信することになる。
ユニット側制御部Chが、加熱開始信号を受信した後において、戻り温度検出センサ40の検出温度が設定目標温度以上になると、加熱停止信号を熱源側制御部Cgに送信し、かつ、循環ポンプ15を停止させることになる。
熱源側制御部Cgが、加熱停止信号に基づいて、熱動弁35を閉じて液々熱交換器21の加熱作動を停止させかつ熱媒用加熱部Bの加熱作動を停止することになる。
【0096】
さらに、熱源側制御部Cgが、水量センサ12による検出水量が点火用所定量以上になることにより給湯運転を実行するときには、加熱前検出処理や即湯用加熱処理を実行中の場合には、その処理を中断し、かつ、即湯用加熱処理を実行中の場合には、熱動弁35を閉じることになり、さらには、給湯信号をユニット側制御部Chに送信する。また、給湯運転を終了するときには、給湯終了信号をユニット側制御部Chに送信することになる。
【0097】
ユニット側制御部Chが、給湯信号に基づいて、加熱前検出処理や即湯用加熱処理を実行するために循環ポンプ15を作動させているときには、循環ポンプ15の作動を停止させることになる。
【0098】
(水漏れ異常検出)
運転制御部Cが、即湯用加熱処理を実行する時間間隔が設定基準時間間隔よりも短くなると、又は、即湯用加熱処理の非実行時における給水サーミスタ11の検出温度の単位時間当たりの低下量が基準低下量よりも大きくなると、水漏れ異常であると判定するように構成されている。
【0099】
本実施形態においては、図2及び図3に示す如く、即湯スイッチが操作された直後において即湯用加熱処理を実行した後に、3回目の加熱前検出処理を実行した際に検出される加熱前検出温度が、加熱開始温度よりも低下していることにより、即湯用加熱処理が実行されるものである。
つまり、本実施形態においては、即湯用加熱処理が繰り返し実行される設定基準時間間隔が、3回目の加熱前検出処理を実行する時間間隔に相当する時間(例えば、1時間)に設定される。
【0100】
本実施形態では、戻り温度検出センサ40の検出温度の単位時間当たりの低下量として、例えば、1分当たりの低下量が求められ、基準低下量が、1分当たりの基準低下量として定められている。
基準低下量は、設定目標温度(例えば、60℃)と加熱開始温度(例えば、55℃)との差異に相当する値を、3回の加熱前検出処理を実行する時間間隔に相当する時間(例えば、1時間)に除算した値に対して設定余裕値を加えた値に設定されている。
【0101】
本実施形態では、戻り温度検出センサ40の検出温度の単位時間当たりの低下量は、初回の即湯用加熱処理を実行した後に次に加熱前検出処理を行ったときには、設定目標温度(例えば、60℃)から加熱前検出処理にて検出された加熱前検出温度を減算した値を、設定時間間隔T(例えば、20分)にて除算した値として求められる。その後は、前回の加熱前検出処理にて検出された加熱前検出温度から今回の加熱前検出処理にて検出された加熱前検出温度を減算した値を、設定時間間隔T(例えば、20分)にて除算した値として求められる。
【0102】
また、熱源機Gに、外気温度を検出する外気温度検出センサEが設けられている。
そして、運転制御部Cが、外気温度検出センサEの検出情報に基づいて、設定基準時間間隔及び基準低下量を補正するように構成されている。
【0103】
説明を加えると、熱源機G及び即湯ユニットHを設置したときに試運転を行い、そのときに即湯用加熱処理が繰り返し実行される時間間隔及び戻り温度検出センサ40の検出温度の単位時間当たりの低下量を計測し、その計測結果と外気温度とが記憶される。
つまり、試運転を行うことにより記憶した即湯用加熱処理が繰り返し実行される時間間隔が、記憶した外気温度での設定基準時間間隔として設定され、記憶した検出温度の単位時間当たりの低下量に設定余裕値を加えた値が、記憶した外気温度での基準低下量として設定される。
そして、現在の外気温度と記憶した外気温度との差異に基づいて、予め設定した補正情報に基づいて、設定基準時間間隔及び基準低下量を補正するように構成されている。
【0104】
例えば、外気温度が28℃の場合を基準として設定基準時間間隔及び基準低下量を設定される場合には、外気温度が28℃よりも低くなるほど、設定基準時間間隔を短くしかつ基準低下量を大きくし、また、外気温度が28℃よりも高くなるほど、設定基準時間間隔を長くしかつ基準低下量を小さく設定するように構成されている。
以下の説明においては、設定基準時間間隔と基準低下量とのうちの基準低下量に基づいて、水漏れ異常が判定される場合について説明する。
【0105】
つまり、本実施形態では、即湯用加熱処理を実行する時間間隔に対応する単位時間当たりの温度低下量が、基準低下量よりも大きくなると、水漏れ異常であると判定するように構成されている。
そして、水漏れ異常であると判定した際には、水漏れ異常であることをリモコンRにて報知する報知処理を実行するように構成されている。
ちなみに、水漏れ異常であると判定した際には、即湯処理を継続して実行する形態で実施してもよいが、本実施形態では、即湯処理を停止するように構成されている。
【0106】
すなわち、運転制御部C(熱源側制御部Cg)は、循環ポンプ15を停止させた状態で、上述した設定時間間隔T(例えば、20分)を待機している間において、図2において点線で示す如く、戻り温度検出センサ40の検出温度が低下してすることにより、加熱前検出処理にて検出された加熱前検出温度が大きく低下することに起因して、単位時間当たりの温度低下量が基準低下量よりも大きくなると、水漏れ異常であると判定するように構成されている。
【0107】
また、運転制御部C(熱源側制御部Cg)は、循環ポンプ15を作動させた状態で、検出処理時間Uが経過するまで加熱前検出処理を実行しているときに、図3において点線で示す如く、加熱前検出温度が低下してすることに起因して、単位時間当たりの温度低下量が基準低下量よりも大きくなると、水漏れ異常であると判定するように構成されている。
【0108】
つまり、給湯栓1が故障して水漏れを起こす場合や、即湯用循環回路Jの一部が破損して水漏れを起こす場合等、水漏れが発生すると、給水路2からの冷たい湯水が即湯用循環回路Jに流動することになる。
即湯用循環回路Jの内部の湯水は、即湯用加熱処理にて設定目標温度に加熱されるものであるから、即湯用循環回路Jの内部の湯水の温度は、水漏れが発生していない場合には、設定目標温度よりも低くなることがあっても、設定目標温度よりも急激に大きく低下する状態にはならない。
しかしながら、水漏れが発生すると、少量の水漏れが発生した場合においても、設定目標温度よりもかなり低い常温の冷たい湯水が、即湯用循環回路Jの内部に流動することになり、単位時間当たりの温度低下量が基準低下量よりも大きくなると、運転制御部C(熱源側制御部Cg)が水漏れ異常であると判定することになる。
【0109】
本実施形態では、即湯用循環回路Jの給湯側戻り路38における戻り温度検出センサ40の設置箇所よりも下流側箇所(本実施形態においては、戻り温度検出センサ40の設置箇所からユニット側逆止弁16の設置箇所まで)にて水漏れが発生すると、給水路2からの冷たい常温の湯水が給湯路3を経由して即湯用循環回路Jに流れ込むことになる。
そして、給水路2からの冷たい常温の湯水が即湯用循環回路Jに流れ込んでくると、循環ポンプ15が停止した状態においても、即湯用循環回路Jに流れ込んでいる冷たい湯水が、戻り温度検出センサ40の設置箇所に流動することになる。
【0110】
例えば、図2において点線で示す如く、1回目の加熱前検出処理と2回目の加熱処理との間で水漏れが発生すると、その水漏れにより、戻り温度検出センサ40の検出温度が加熱開始温度よりも低下することになる。
その結果、2回目の加熱前検出処理が実行されたときに、単位時間当たりの温度低下量が基準低下量よりも大きくなり、水漏れ異常であると判定されることになる。
【0111】
ちなみに、図2の点線は、単位時間当たりの温度低下量が基準低下量よりも大きくなっても、即湯用加熱処理が実行される場合を例示し、これは、即湯用加熱処理を実行する時間間隔が設定基準時間間隔よりも短くなることを記載するものである。
但し、本実施形態は、上述の如く、水漏れ異常であると判定した際には、即湯処理を停止するように構成されている。
【0112】
また、即湯用循環回路Jにおける戻り温度検出センサ40の設置箇所よりも上流側箇所にて水漏れが発生すると、又は、本実施形態においては給湯側戻り路38におけるユニット側逆止弁16の設置箇所よりも下流側箇所にて水漏れが発生すると、給水路2からの冷たい常温の湯水が給湯路3を経由して即湯用循環回路Jに流れ込むことになる。
給水路2からの冷たい常温の湯水は、循環ポンプ15が作動していない状態では、戻り温度検出センサ40の設置箇所には流動しないものとなるが、循環ポンプ15が作動した状態においては、即湯用循環回路Jに流れ込んでいる冷たい湯水が、戻り温度検出センサ40の設置箇所を通過して流動することになる。
【0113】
例えば、1回目の加熱前検出処理と2回目の加熱前検出処理との間で水漏れが発生すると、図3において点線で示す如く、2回目の加熱前検出処理を実行したときに、戻り温度検出センサ40の検出温度が、一時的ではあるが、加熱開始温度よりも低下することになる。
その結果、2回目の加熱前検出処理が実行されたときに、単位時間当たりの温度低下量が基準低下量よりも大きくなり、水漏れ異常であると判定されることになる。
【0114】
ちなみに、図3の点線は、単位時間当たりの温度低下量が基準低下量よりも大きくなっても、即湯用加熱処理が実行される場合を例示し、これは、即湯用加熱処理を実行する時間間隔が設定基準時間間隔よりも短くなることを記載するものである。
但し、本実施形態は、上述の如く、水漏れ異常であると判定した際には、即湯処理を停止するように構成されている。
【0115】
この別の実施形態における運転制御部Cの即湯処理の制御作動は、上記実施形態において図4に基づいて説明した内容と同様であるので、記載を省略する。
【0116】
〔その他の別実施形態〕
次にその他の別実施形態を説明する。
(1)上記実施形態及び別実施形態においては、運転制御部Cが、熱源側制御部Cgとユニット側制御部Chとから構成される場合を例示したが、ユニット側制御部Chを省略して、熱源側制御部Cgにて運転制御部Cを構成する形態で実施してもよい。
【0117】
(2)上記実施形態及び別実施形態においては、運転制御部Cが、湯水温度検出センサMの検出温度の単位時間当たりの低下量に基づいて、水漏れ異常を判定する場合を例示したが、即湯用加熱処理を実行する時間間隔に基づいて、水漏れ異常を判定する形態で実施してもよい。つまり、即湯用加熱処理を実行する時間間隔が設定基準時間間隔よりも短くなると、水漏れ異常であると判定する形態で実施してもよい。
【0118】
(3)上記別実施形態では、熱媒が循環供給される液々熱交換器21を即湯用加熱部Kとして設ける場合を例示したが、液々熱交換器21に代えて、電気ヒータにて加熱されるヒータ式加熱部を即湯用加熱部Kとして設ける形態で実施してもよい。
【0119】
(4)上記実施形態及び別実施形態においては、給湯栓1として、混合栓式の給湯栓を例示したが、給湯栓1として、単に、給湯路3からの湯水を給湯する給湯栓を適用してもよい。この場合には、即湯用加熱処理において、給湯栓1から給湯する温度を設定目標温度として、即湯用循環回路Jの内部の湯水を加熱することになる。
【0120】
(5)上記実施形態及び別実施形態においては、運転制御部Cが、湯水温度検出センサMの検出温度が設定目標温度よりも低い設定加熱開始温度よりも低下すると、即湯用加熱処理を実行する形態として、運転制御部Cが、設定基準時間間隔Tが経過する毎に、即湯用加熱部Kの加熱停止状態で循環ポンプ15を作動させたときに、湯水温度検出センサMの検出温度が加熱開始温度よりも低下しているか否かを判定して、検出温度が加熱開始温度よりも低下していると、即湯用加熱処理実行する形態を例示したが、これに代えて、運転制御部Cが、即湯用加熱部Kの加熱作動を停止しかつ循環ポンプ15を停止させた状態に維持しているときに、湯水温度検出センサMの検出温度が加熱開始温度よりも低くなるか否かを判定し、湯水温度検出センサMの検出温度が設定加熱開始温度よりも低下していると、即湯用加熱処理を実行する形態で実施してもよい。
この形態の場合においても、運転制御部Cが、即湯用加熱処理を実行する時間間隔が設定基準時間間隔よりも短くなる又は即湯用加熱処理の非実行時における湯水温度検出センサMの検出温度の単位時間当たりの低下量が設定基準低下量よりも大きくなると、水漏れ異常であると判定することになる。
【0121】
(6)上記実施形態及び別実施形態においては、湯水温度検出センサMの検出温度の単位時間当たりの低下量が設定基準低下量よりも大きくなると、水漏れ異常であると判定するにあたり、単位時間当たりの低下量を、設定時間間隔T(例えば、20分)が経過する毎に実行される加熱前検出処理にて検出される加熱前検出温度に基づいて求める場合を例示したが、即湯用加熱処理の非実行時においては、例えば、1分毎に継続して湯水温度検出センサMの検出温度を取得して、当該取得した検出温度に基づいて、湯水温度検出センサMの検出温度の単位時間当たりの低下量を求めるようにしてもよい。
【0122】
なお、上記実施形態(別実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能であり、また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
【符号の説明】
【0123】
3 給湯路
3a 給水栓側部分
4 給水路
13 給水温度センサ
14 給水側戻り路
15 循環ポンプ
38 給湯側戻り路
40 戻り温度検出センサ
A 給湯用加熱部
C 運転制御部
E 外気温度検出センサ
K 即湯用加熱部
M 温水温度検出センサ
J 即湯用循環回路
図1
図2
図3
図4
図5