(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023060756
(43)【公開日】2023-04-28
(54)【発明の名称】船舶
(51)【国際特許分類】
B63B 35/58 20060101AFI20230421BHJP
B63B 5/24 20060101ALI20230421BHJP
B63B 35/38 20060101ALI20230421BHJP
B63B 73/10 20200101ALI20230421BHJP
【FI】
B63B35/58
B63B5/24 103
B63B35/38 B
B63B73/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021170526
(22)【出願日】2021-10-18
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り (1)令和2年11月6日に、広島県廿日市市塩屋漁港にて小型船舶登録の為の検査試験を実施。(2)令和3年11月30日に、https://youtu.be/PQ8QU_ZubTAに動画を掲載。
(71)【出願人】
【識別番号】520252871
【氏名又は名称】YOU-Be株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】藤里 昌彦
(57)【要約】
【課題】耐久性に優れた筏型の船舶を提供すること。
【解決手段】本開示の筏型の船舶は、繊維強化プラスチック材料で構成された複数のフロートと、前記複数のフロートに連結され、アルミニウムを含む金属材料で構成された船体フレームと、前記船体フレームの上に配置されたデッキと、を備える。前記フロートは、前記フロートの幅方向に延在するブラケット部を有し、前記ブラケット部と前記船体フレームとが連結部材により着脱可能に連結されていてもよい。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維強化プラスチック材料で構成された複数のフロートと、
前記複数のフロートに連結され、アルミニウムを含む金属材料で構成された船体フレームと、
前記船体フレームの上に配置されたデッキと、
を備える、筏型の船舶。
【請求項2】
前記フロートは、前記フロートの幅方向に延在するブラケット部を有し、
前記ブラケット部と前記船体フレームとが連結部材により着脱可能に連結されている、請求項1に記載の船舶。
【請求項3】
前記連結部材は、ボルト、ナット及び座金を含み、
前記座金は、有底の筒形形状を有する、請求項2に記載の船舶。
【請求項4】
前記船体フレームは、枠部と前記枠部に取り付けられた梁部とを有し、
前記フロートは、前記梁部と直交する方向に長手方向を有し、
前記ブラケット部は、前記フロートと前記梁部とが交差する位置に設けられる、請求項2又は3に記載の船舶。
【請求項5】
前記ブラケット部は、前記フロートの上面を構成する第1繊維強化プラスチック層及び前記フロートの側面を構成する第2繊維強化プラスチック層の積層構造で構成される、請求項2乃至4のいずれか一項に記載の船舶。
【請求項6】
前記フロートの内部における上側端部には、補強部材と、前記補強部材を覆う複数の繊維強化プラスチック層とが設けられている、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の船舶。
【請求項7】
前記複数の繊維強化プラスチック層は、少なくとも3層以上の積層構造を有し、
前記3層以上の積層構造において、前記補強部材から最も遠い層は、他の層の端部を覆うとともに前記フロートの内面に接する、請求項6に記載の船舶。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、船舶に関する。特に、筏型の船舶に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、海上における足場として筏が利用されている。例えば、海上釣り堀などにおいては、複数の筏を組み合わせて観光客の足場として用い、陸地から離れた海上での海釣りを可能としている。また、筏の上に建造物を設け、ダイビングやシュノーケリング等の足場や休憩所として筏を活用する試みもある。例えば、特許文献1には、自家発電装置を搭載した自走式の筏型屋形船が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の筏型の船舶は、浮体として発砲スチロールを用いるなど、海上に浮かぶことに主眼を置いた簡易的な作りとなっており、海上を航行する船舶として使用するには耐久性に改善の余地があった。
【0005】
本開示の一実施形態における課題は、航行時の耐久性に優れた筏型の船舶を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一実施形態における筏型の船舶は、繊維強化プラスチック材料で構成された複数のフロートと、前記複数のフロートに連結され、アルミニウムを含む金属材料で構成された船体フレームと、前記船体フレームの上に配置されたデッキと、を備える。
【0007】
前記フロートは、前記フロートの幅方向に延在するブラケット部を有していてもよく、前記ブラケット部と前記船体フレームとが連結部材により着脱可能に連結されていてもよい。このとき、前記連結部材は、ボルト、ナット及び座金を含んでもよく、前記座金は、有底の筒形形状を有していてもよい。
【0008】
前記船体フレームは、枠部と前記枠部に取り付けられた梁部とを有していてもよく、前記フロートは、前記梁部と直交する方向に長手方向を有していてもよい。このとき、前記ブラケット部は、前記フロートと前記梁部とが交差する位置に設けられていてもよい。
【0009】
前記ブラケット部は、前記フロートの上面を構成する第1繊維強化プラスチック層及び前記フロートの側面を構成する第2繊維強化プラスチック層の積層構造で構成されていてもよい。
【0010】
前記フロートの内部における上側端部には、補強部材と、前記補強部材を覆う複数の繊維強化プラスチック層とが設けられていてもよい。
【0011】
前記複数の繊維強化プラスチック層は、少なくとも3層以上の積層構造を有していてもよい。このとき、前記3層以上の積層構造における前記補強部材から最も遠い層は、他の層の端部を覆うとともに前記フロートの内面に接していてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本開示の一実施形態によれば、航行時の耐久性に優れた筏型の船舶を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本開示の一実施形態における船舶の構成を示す図であり、(A)は、斜め上方から見た斜視図であり、(B)は、正面から見た正面図である。
【
図2】本開示の一実施形態の船舶におけるベース部の構成を示す図であり、(A)は、船体フレームに対しフロートが連結された状態を斜め上方から見た斜視図であり、(B)は、船体フレームに対しフロートが分離された状態を斜め上方から見た斜視図である。
【
図3】本開示の一実施形態の船舶におけるベース部の構成を示す図であり、(A)は、船体フレームに対しフロートが連結された状態を斜め下方から見た斜視図であり、(B)は、船体フレームに対しフロートが分離された状態を斜め下方から見た斜視図である。
【
図4】本開示の一実施形態の船舶におけるベース部の構成を示す図であり、(A)は、ベース部を正面から見たときの断面図であり、(B)は、(A)において枠線で示す部分を拡大した拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して本開示の一実施形態の船舶について説明する。但し、本発明の船舶は多くの異なる態様で実施することが可能であり、以下に示す例の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0015】
また、本明細書において、「上」とは、船舶を使用した際に浮力が働く方向を指し、「下」とは、「上」とは逆の方向(すなわち、重力が働く方向)を指す。また、「前」及び「後」は、船舶が進行する方向を「前」とし、その逆の方向を「後」とする。さらに、「左」及び「右」は、「前」を向いた状態における左側及び右側を指す。なお、以下の説明において、前後方向は、全長方向と呼ぶ場合があり、左右方向は、幅方向と呼ぶ場合がある。
【0016】
〈第1実施形態〉
(船舶の構成)
図1は、本開示の一実施形態における船舶100の構成を示す図である。具体的には、
図1(A)は、船舶100を斜め上方から見た斜視図であり、
図1(B)は、船舶100を正面から見た正面図である。
【0017】
図1(A)及び
図1(B)に示すように、船舶100は、フロート102、フロート102の上に配置された船体フレーム104、船体フレーム104の上に配置されたデッキ106、デッキ106上に設置された防護柵108、及び、デッキ106上に設置された建築物110を含む。本実施形態の船舶100は、3つのフロートを設けた例を示しているが、この例に限らず、フロートは、2つであってもよいし、4つ以上であってもよい。また、以下の説明において、フロート102、船体フレーム104及びデッキ106で構成される構造物をベース部100aと呼ぶ。
【0018】
フロート102は、船舶100の全長方向に長手を有する中空状の浮体であり、繊維強化プラスチック(Fiber Reinforced Plastics)材料で構成されている。後述するように、フロート102の内部には、全長方向に沿って棒状の補強部材(図示せず)が複数本配置されている。補強部材は、外圧によるフロートの変形を防ぐ役割を有する。フロート102は、平面状の上面を介して船体フレーム104に連結される。
【0019】
船体フレーム104は、アルミニウムを含む金属材料で構成された筒状部材を組み合わせてなり、船舶100の骨格として機能する。船体フレーム104は、枠状に組立てられた枠部104aと、枠部104aに取り付けられた梁部104bとを含む。なお、
図1には図示されていないが、船体フレーム104は、梁部104bと直交する方向に設けられた梁部104c(
図3参照)も含む。なお、船体フレーム104は、この例に限られるものではなく、梁部104bは省略されてもよい。
【0020】
アルミニウムを含む金属材料を用いて船体フレーム104を構成することにより、船舶100を全体的に軽量化することが可能である。また、アルミニウムは加工しやすく、表面に酸化物が形成されるため、耐食性に優れているという利点を有する。船体フレーム104の耐久性をさらに向上させるためには、アルマイト処理を施した部材を組み合わせて船体フレーム104を構成してもよい。
【0021】
デッキ106は、船舶100の床面として機能する。図示は省略するが、デッキ106は、短冊状の板状部材を複数並べて配置することにより構成されており、各板状部材の隙間は、ゴム部材などで目張りされている。デッキ106の隙間を目張りすることにより海水等がデッキ106に上がってきたり、デッキ106の下方から風が吹き上げたりすることを防止することができる。
【0022】
防護柵108は、デッキ106を囲むようにデッキ106の上に配置され、デッキ106の上の人や物が落ちないようにするための構造物である。防護柵108を構成する材料に特に制限はないが、軽量で耐食性に優れたアルミニウムを含む金属材料で構成することが好ましい。ただし、船舶100の用途によっては、防護柵108を省略してもよい。
【0023】
建築物110は、少なくとも支柱110a及び屋根110bを含む構造物であり、人を収容したり物を収納したりする用途に用いられる。建築物110は、壁材、窓ガラス等を含んでもよい。つまり、建築物110は、風雨をしのげる室内空間として使用可能な構造物であってもよい。この場合、建築物110を構成する材料に特に制限はないが、なるべく軽量かつ耐食性の高い材料を用いることが望ましい。
【0024】
建築物110の用途に制限はなく、海洋、河川を問わず水上を航行可能という利点を利用して、様々な用途に適用することができる。例えば、図示を省略しているが、本実施形態の建築物110は、支柱110aの間を大きなガラス板で塞ぐことにより、ガラス張りの室内空間を形成することができる。具体的には、本実施形態の船舶100は、建築物110の内部を複数の室内空間に仕切り、トイレ、厨房、客室空間等を備えたクルージングレストランとして使用することを想定している。そのため、図示は省略するが、船体フレーム104の後方には、船舶100を航行させるための船外機が取り付けられている。
【0025】
(ベース部の構成)
図2及び
図3は、本開示の一実施形態の船舶100におけるベース部100aの構成を示す図である。具体的には、
図2(A)は、船体フレーム104に対しフロート102が連結された状態を斜め上方から見た斜視図であり、
図2(B)は、船体フレーム104に対しフロート102が分離された状態を斜め上方から見た斜視図である。また、
図3(A)は、船体フレーム104に対しフロート102が連結された状態を斜め下方から見た斜視図であり、
図3(B)は、船体フレーム104に対しフロート102が分離された状態を斜め下方から見た斜視図である。
【0026】
図2及び
図3に示すように、船体フレーム104は、枠状に構成された枠部104aと、船舶100の全長方向(前後方向)にわたって設けられた2本の梁部104bと、船舶100の幅方向(左右方向)にわたって設けられた複数の梁部104cと、を有する。平面視において、枠部104aの外形とデッキ106の外形とは略一致する。複数の梁部104cは、2本の梁部104bに直交して設けられ、枠部104aを構成する2辺の間に架け渡された構成となっている。なお、本実施形態において、梁部104b及び梁部104cの本数は、
図2及び
図3に示した例に限られるものではない。例えば、梁部104bは、各フロート102の間に少なくとも1本以上設けられていてもよい。すなわち、梁部104b及び梁部104cを格子状に組み合わせてもよい。
【0027】
本実施形態において、各フロート102は、2本の梁部104bの間に等間隔に配置される。
図2(B)に示すように、フロート102の上面102aは、平面状に構成されており、各フロート102は、上面102aと船体フレーム104とが向かい合うように船体フレーム104に対し装着される。各フロート102は、船体フレーム104に対し固定具(図示せず)を介して着脱可能に装着されている。そのため、本実施形態の船舶100は、船体フレーム104からフロート102を外して搬送することができるという利点を有する。また、船舶100の航行中にフロート102が破損するなどの不具合が生じた場合、破損したフロート102のみ交換するだけで船舶100の運用を継続することができるため、メンテナンス性に優れるという利点も有する。
【0028】
図3に示すように、フロート102は、梁部104cと直交するように配置される。すなわち、フロート102の長手方向と梁部104cの長手方向とは互いに直交する。本実施形態では、フロート102と梁部104cとが交差する位置においてフロート102と船体フレーム104とが連結される。
【0029】
図4は、本開示の一実施形態の船舶100におけるベース部100aの構成を示す図である。具体的には、
図4(A)は、ベース部100aを正面から見たときの断面図であり、
図4(B)は、
図4(A)において枠線200で示す部分を拡大した拡大図である。
【0030】
図4(A)に示すように、各フロート102は、上面102a、側面102b及び底面102cを有する。また、フロート102の内部には、全長方向に沿って棒状の補強部材18が複数本配置されている。補強部材18の本数に特に制限はないが、配置する補強部材18の本数は、フレーム強度の向上と重量の増加とのバランスを考慮して適宜決定すればよい。各フロート102は、上面102aと船体フレーム104の梁部104cとを対向させて連結される。
【0031】
また、
図4(B)に示すように、各フロート102は、フロート102の上面102aを構成する繊維強化プラスチック層11と、フロート102の側面102b及び底面102cを構成する繊維強化プラスチック層12とで構成される。つまり、フロート102は、平面状の繊維強化プラスチック層11と、略U字状の繊維強化プラスチック層12とを組み合わせて構成されている。繊維強化プラスチック層11及び12は、単層構造であっても積層構造であってもよいが、フロート102の強度を確保するために、本実施形態では、繊維強化プラスチック層を複数積層した積層体を繊維強化プラスチック層11及び12として用いる。
【0032】
ここで、フロート102の上面102aと船体フレーム104の梁部104cとは互いに平面形状であるため、これらを向かい合わせて連結した場合、フロート102の上方端部(隅部)に応力が集中しやすい。そこで、本実施形態では、船体フレーム104に連結されるフロート102の上側端部(隅部)に対し、補強構造20を設けている。
【0033】
本実施形態において、補強構造20は、補強部材21と、補強部材21を覆う3層の繊維強化プラスチック層22~24とで構成される。補強部材21は、例えば合板などで構成され、繊維強化プラスチック層12に接着される。補強部材21の幅に制限はないが、例えば、150mm以上250mm以下の範囲内とすればよい。補強部材21の厚さは、例えば、10mm以上15mm以下の範囲であればよい。なお、本実施形態では、補強部材21として合板を用いる例を示したが、この例に限らず、金属板であってもよいし、硬化プラスチック部材であってもよい。
【0034】
繊維強化プラスチック層22~24は、それぞれ単層構造であっても積層構造であってもよい。本実施形態では、まず、繊維強化プラスチック層22として機能するFRPシートを溶剤に浸した後、補強部材21を覆うように貼り付ける。その後、繊維強化プラスチック層23として機能するFRPシートを溶剤に浸して繊維強化プラスチック層22の上に貼り付ける。最後に、繊維強化プラスチック層24として機能するFRPシートを溶剤に浸して繊維強化プラスチック層22及び23を覆うように貼り付ける。溶剤は、時間が経つにつれて硬化する性質を有し、所定の時間が経過すると硬化する。このようにして繊維強化プラスチック層22~24で補強部材21を覆った補強構造20が形成される。
【0035】
図4(B)に示すように、本実施形態では、繊維強化プラスチック層22及び23の端部が概ね揃うように両者が接着され、最上層(最も補強部材21から遠い層)である繊維強化プラスチック層24は、繊維強化プラスチック層22及び23の端部を覆うとともにフロート102の内面(すなわち、繊維強化プラスチック層11及び12の内側の面)に接するように接着される。繊維強化プラスチック層24がフロート102の内面に接する部分(接触部24a及び24b)の長さは、30mm以上(好ましくは、50mm以上)であることが望ましい。
【0036】
また、本実施形態では、繊維強化プラスチック層22の強度と繊維強化プラスチック層24の強度とを略同一のものとし、繊維強化プラスチック層23の強度を、繊維強化プラスチック層22及び24の強度よりも高くしている。この場合、例えば、繊維強化プラスチック層23の積層数(層の厚さ)を繊維強化プラスチック層22及び24の積層数(層の厚さ)よりも大きくすればよい。
【0037】
また、本実施形態では、3層の繊維強化プラスチック層22~24を用いて補強構造20を形成しているが、繊維強化プラスチック層の積層数は、この例に限られるものではない。例えば、補強部材21を覆う繊維強化プラスチック層は、1層又は2層であってもよいし、4層以上であってもよい。ただし、補強構造20の強度を確保するためにも、繊維強化プラスチック層の積層数は、少なくとも3層以上であることが望ましい。
【0038】
次に、
図4(B)を用いてフロート102と船体フレーム104とを連結する構造について説明する。本実施形態において、フロート102と船体フレーム104とは連結部材30を用いて着脱可能に連結される。
【0039】
連結部材30は、ボルト31、ナット32及び座金33を含む。座金33は、有底の筒形形状を有し、底部にボルト31が挿通される開口部を有する。本実施形態の座金33は、立体の筒形形状を有するため強度が高く、連結部材30の耐久性を向上させることができるという効果を奏する。ただし、連結部材30は、この例に限られるものではなく、フロート102と船体フレーム104とを着脱可能に連結可能な部材であれば、如何なる部材であってもよい。
【0040】
連結部材30は、フロート102の幅方向に延在するブラケット部15と船体フレーム104とを連結する。ブラケット部15は、フロート102の上面102aを構成する繊維強化プラスチック層11とフロート102の側面102bを構成する繊維強化プラスチック層12との積層構造で構成される。具体的には、ブラケット部15は、平面視において、側面102bから幅方向に突出する繊維強化プラスチック層11及び12の積層構造で構成される。ブラケット部15は、フロート102の全長方向にわたって設けられてもよいが、少なくともフロート102と船体フレーム104の梁部104cとが交差する位置に設けられていればよい。ブラケット部15には、あらかじめボルト31のネジ部に適合した直径を有する挿通孔15aが設けられている。
【0041】
船体フレーム104の梁部104cには、あらかじめボルト31を挿通するための開孔部35が設けられている。開孔部35は、ボルト31の頭部の直径よりも大きな直径を有する第1孔35aと、ボルト31のネジ部に適合した直径を有する第2孔35bとを有する。つまり、ボルト31の頭部は、第1孔35aの底部に当接して止まる。
【0042】
以上説明した連結構造では、ボルト31及びナット32により、第1孔35aの底部(梁部104c)、ブラケット部15(繊維強化プラスチック層11及び12)及び座金33がネジ締めされ、フロート102と船体フレーム104とが連結される。本実施形態では、フロート102の上側端部(隅部)に補強構造20を設けているため、外力に対するフロート102の強度を向上させることができる。特に、本実施形態では、上面102aが平面状のフロート102を、同様に平面を有する船体フレーム104(具体的には、梁部104c)に連結するため、補強構造20により強度を向上させることは船舶100の耐久性を向上させる上で有意である。
【0043】
さらに、フロート102と船体フレーム104とを連結する連結部分として、フロート102と一体化されたブラケット部15を用いるため、フロート102の本体にネジ穴を設ける必要がなく、フロート102の本体の強度を損なうことがない。また、連結部材30として、筒形形状の座金33を用いるため、連結部材30の耐久性も向上し、信頼性の高い連結構造を実現することが可能である。
【0044】
以上説明したとおり、本実施形態の船舶100は、耐久性に優れた繊維強化プラスチック材料を用いたフロート102及び軽量かつ耐食性に優れたアルミニウムを含む金属材料で構成された船体フレーム104でデッキ106を支持した構造のベース部100aを備える。さらに、本実施形態の船舶100は、フロート102と船体フレーム104とを連結する部分において、上述のように、フロート102の強度(特に、上側端部の強度)を向上させ、かつ、信頼性の高い連結構造を採用している。したがって、本実施形態によれば、従来よりも耐久性に優れた筏型の船舶を提供することができる。
【0045】
以上、本発明について図面を参照しながら説明したが、本発明は上記の実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。また、上述した各実施形態は、特に技術的な矛盾を生じない限り、それぞれ組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0046】
11、12…繊維強化プラスチック層、15…ブラケット部、15a…挿通孔、18…補強部材、20…補強構造、21…補強部材、22~24…繊維強化プラスチック層、30…連結部材、31…ボルト、32…ナット、33…座金、35…開孔部、35a…第1孔、35b…第2孔、100…船舶、100a…ベース部、102…フロート、102a…上面、102b…側面、102c…底面、104…船体フレーム、104a…枠部、104b、104c…梁部、106…デッキ、108…防護柵、110…建築物、110a…支柱、110b…屋根