(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023060801
(43)【公開日】2023-04-28
(54)【発明の名称】ポリマーフィルム及びその使用
(51)【国際特許分類】
C03C 27/12 20060101AFI20230421BHJP
B32B 27/00 20060101ALI20230421BHJP
【FI】
C03C27/12 Z
C03C27/12 D
B32B27/00 B
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022069795
(22)【出願日】2022-04-21
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-12-07
(31)【優先権主張番号】110138590
(32)【優先日】2021-10-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(31)【優先権主張番号】202111207963.5
(32)【優先日】2021-10-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】519435854
【氏名又は名称】チャン チュン ペトロケミカル カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】ファン、イェン チェン
(72)【発明者】
【氏名】ファン、ズ ジュン
【テーマコード(参考)】
4F100
4G061
【Fターム(参考)】
4F100AG00A
4F100AG00C
4F100AK23B
4F100BA03
4F100BA06
4F100GB07
4F100GB32
4F100JA05B
4G061AA11
4G061AA20
4G061BA01
4G061BA02
4G061CB03
4G061CB18
4G061CB19
4G061CD02
4G061CD18
4G061DA10
4G061DA14
(57)【要約】
【課題】ポリマーフィルム、及び前記ポリマーフィルムを用いて製造された合わせガラスを提供すること。
【解決手段】第1の層と、第2の層と、前記第1の層及び前記第2の層の間に配置された第3の層とを含むポリマーフィルムであって、前記第3の層の2つの表面が、それぞれ前記第1の層及び前記第2の層と接触し、前記第3の層と接触しない前記第1の層の表面が第1の表面であり、前記第3の層と接触しない前記第2の層の表面が第2の表面であり、前記第1の表面が、3μm3/μm2~30μm3/μm2の範囲である10%の負荷面積率における空隙体積(Vv)値、及び2μm3/μm2未満の80%の負荷面積率におけるデール空隙体積(Vvv)を有し、前記第1の層の厚さに対する前記第1の表面の最大谷高さ(Sv)の比率が0.2以下である、ポリマーフィルム。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の層と、第2の層と、前記第1の層及び前記第2の層の間に配置された第3の層とを含むポリマーフィルムであって、
前記第3の層の2つの表面が、それぞれ前記第1の層及び前記第2の層と接触し、前記第3の層と接触しない前記第1の層の表面が第1の表面であり、前記第3の層と接触しない前記第2の層の表面が第2の表面であり、
前記第1の表面が、3μm3/μm2~30μm3/μm2の範囲である10%の負荷面積率における空隙体積(Vv)値、及び2μm3/μm2未満の80%の負荷面積率におけるデール空隙体積(Vvv)を有し、前記第1の層の厚さに対する前記第1の表面の最大谷高さ(Sv)の比率が0.2以下であり、前記負荷面積率、前記空隙体積、前記デール空隙体積及び前記最大谷高さがISO25178-2:2012に準拠して定義される、ポリマーフィルム。
【請求項2】
前記第2の表面が、3μm3/μm2~30μm3/μm2の範囲である10%の負荷面積率における空隙体積(Vv)値、及び2μm3/μm2未満の80%の負荷面積率におけるデール空隙体積(Vvv)を有し、前記第2の層の厚さに対する前記第2の表面の最大谷高さ(Sv)の比率が0.2以下である、請求項1に記載のポリマーフィルム。
【請求項3】
前記第1の層及び前記第2の層が、独立して250μm~450μmの範囲である厚さを有する、請求項1又は2に記載のポリマーフィルム。
【請求項4】
前記第1の層の厚さが、前記第2の層の厚さと同一である、請求項1~3のいずれかに記載のポリマーフィルム。
【請求項5】
前記第3の層が、50μm~250μmの範囲である厚さを有する、請求項1~4のいずれかに記載のポリマーフィルム。
【請求項6】
前記ポリマーフィルムがポリビニルアセタールを含む、請求項1~5のいずれかに記載のポリマーフィルム。
【請求項7】
前記ポリビニルアセタールがポリ(ビニルブチラール)である、請求項6に記載のポリマーフィルム。
【請求項8】
前記第3の層が、ポリビニルアセタールを含み、-30℃~10℃の範囲であるガラス転移温度(Tg)を有し、
前記ポリビニルアセタールが、52モル%~80モル%の範囲であるアセタール化度、0.1モル%~20モル%の範囲であるアセチル化度、及び20モル%~28モル%の範囲である水酸基含有量を有する、請求項6に記載のポリマーフィルム。
【請求項9】
0.1mm~2.5mmの範囲である厚さを有する、請求項1~8のいずれかに記載のポリマーフィルム。
【請求項10】
第1のガラスシートと、第2のガラスシートと、前記第1のガラスシート及び前記第2のガラスシートの間に配置された中間フィルムとを含む、合わせガラスであって、
前記中間フィルムが請求項1~9のいずれかに記載のポリマーフィルムで提供される、合わせガラス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリマーフィルム、特に、特定の負荷面積率(material ratio)における空隙体積(void volume,Vv)及びデール空隙体積(dale void volume,Vvv)、並びに第1の層の厚さに対する最大谷高さ(maximum pit height,Sv)の特定の比率を有するポリマーフィルムに関する。本発明はまた、前記ポリマーフィルムを用いて製造された合わせガラス(laminated glass)に関する。
【背景技術】
【0002】
合わせガラスは、2枚のガラスシートの間にポリマーフィルムを介在させ、ホットプレスを行ってガラスシートとポリマーフィルムとを互いに密接に結合させることによって形成された複合構造を有するガラス材料である。合わせガラスは、優れた耐衝撃性と防音性を有する。そのため、自動車業界及び建築業界で広く用いられている。
【0003】
合わせガラスの製造方法は、合わせガラスのガラスシートとポリマーフィルムの間に空気が残ることを回避するために、ガラスシートとポリマーフィルムをホットプレスする工程を含む。そこで、通常、前もってポリマーフィルムの表面をエンボス加工をして、テクスチャ(すなわち、設計された凹凸構造)を形成させ、予熱の間に脱気を促進し、それによって合わせガラス中の気泡の生成を回避する。
【0004】
合わせガラスのポリマーフィルムは、望ましい機能を合わせガラスに与える多層構造を有することができる。例えば、2つの外層と1つの遮音内層を有するポリマーフィルムを用いることで、防音機能を有する合わせガラスを製造することができる。
【0005】
多層構造を有するポリマーフィルムに機械エンボス加工を行う時、外層の表面上のみに形成されなければならないテクスチャが、通常、ポリマーフィルムの内部の機能層(すなわち、遮音層)に転写プリントされる。続く合わせガラスのホットプレス工程を通して、機能層の表面上のテクスチャを除去することができず、結果として目に見える細かい線となる。合わせガラス中の細かい線が、光学的歪の目に見える欠点の原因となり、合わせガラスの可視性に影響する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、少なくとも3つの層を含む構造を有するポリマーフィルムであって、特定の負荷面積率における空隙体積(Vv)及びデール空隙体積(Vvv)並びに第1の層の厚さに対する最大谷高さ(Sv)の特定の比率を有するポリマーフィルムに関する。本発明のポリマーフィルムとガラスシートをホットプレスする工程で製造された合わせガラスは、気泡及び端部の離層(edge-delamination)の欠陥と光学的歪の問題を有さない。従って、本発明のポリマーフィルムは、防音機能を有する合わせガラスの製造に特に適している。
【0007】
本発明の目的は、第1の層と、第2の層と、前記第1の層及び前記第2の層の間に配置された第3の層とを含むポリマーフィルムであって、前記第3の層の2つの表面が、それぞれ前記第1の層及び前記第2の層と接触し、前記第3の層と接触しない前記第1の層の表面が第1の表面であり、前記第3の層と接触しない前記第2の層の表面が第2の表面であり、前記第1の表面が、3μm3/μm2~30μm3/μm2の範囲である10%の負荷面積率における空隙体積(Vv)値、及び2μm3/μm2未満の80%の負荷面積率におけるデール空隙体積(Vvv)を有し、前記第1の層の厚さに対する前記第1の表面の最大谷高さ(Sv)の比率が0.2以下である、ポリマーフィルムを提供することである。
【0008】
本発明のいくつかの実施態様において、前記第2の表面が、3μm3/μm2~30μm3/μm2の範囲である10%の負荷面積率における空隙体積(Vv)値、及び2μm3/μm2未満の80%の負荷面積率におけるデール空隙体積(Vvv)を有し、前記第2の層の厚さに対する前記第2の表面の最大谷高さ(Sv)の比率が0.2以下である。
【0009】
本発明のいくつかの実施態様において、前記第1の層及び前記第2の層が、独立して250μm~450μmの範囲である厚さを有する。
【0010】
本発明のいくつかの実施態様において、前記第1の層の厚さが、前記第2の層の厚さと同一である。
【0011】
本発明のいくつかの実施態様において、前記第3の層が、50μm~250μmの範囲である厚さを有する。
【0012】
本発明のいくつかの実施態様において、前記ポリマーフィルムがポリビニルアセタールを含む。前記ポリビニルアセタールは、ポリ(ビニルホルマール)、ポリ(ビニルアセタール)、ポリ(ビニルブチラール)、ポリ(ビニルペンタナール)、ポリ(ビニルヘキサナール)及びこれらの組合せからなる群から選択することができる。本発明の好ましい実施態様において、前記ポリビニルアセタールがポリ(ビニルブチラール)である。
【0013】
本発明のいくつかの実施態様において、前記第3の層が、ポリビニルアセタールを含み、-30℃~10℃の範囲であるガラス転移温度(Tg)を有し、前記ポリビニルアセタールが、52モル%~80モル%の範囲であるアセタール化度、0.1モル%~20モル%の範囲であるアセチル化度、及び20モル%~28モル%の範囲である水酸基含有量を有する。
【0014】
本発明のいくつかの実施態様において、前記ポリマーフィルムが0.1mm~2.5mmの範囲である厚さを有する。
【0015】
本発明の他の目的は、第1のガラスシートと、第2のガラスシートと、前記第1のガラスシート及び前記第2のガラスシートの間に配置された中間フィルムとを含む、合わせガラスであって、前記中間フィルムが前記ポリマーフィルムで提供される、合わせガラスを提供することである。
【0016】
本発明の前記の課題、技術的特徴及び利点をより明らかにするために、以下にいくつかの実施態様を参照して本発明を詳細に説明する。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明のいくつかの実施態様を、詳細に説明する。しかし、本発明は、様々な実施態様で具現化されてよく、保護を求める発明の範囲は、本明細書に記載された実施態様に限定されるべきではない。
【0018】
追加的に説明されていなければ、本明細書及び特許請求の範囲に記載された表現「1つの(a)」、「その(the)」等は単数及び複数の形態の両方を含むべきである。
【0019】
追加的に説明されていなければ、本明細書及び特許請求の範囲に記載された表現「第1」、「第2」等は、特別な意味を有さず、説明された要素又は成分を区別するためにのみ使用される。これらの表現は、優先度を表すためには使用されない。
【0020】
追加的に説明されていなければ、本明細書及び特許請求の範囲に記載された用語「負荷面積率」は、ISO25178-2:2012に準拠して定義される。負荷面積率曲線は、それによって囲まれた局所面積に対する表面高さを表す機能曲線グラフを意味する。負荷面積率は、指定された高さより上の囲まれた局所面積を意味する。
【0021】
追加的に説明されていなければ、本明細書及び特許請求の範囲に記載された用語「空隙体積(Vv)」は、ISO25178-2:2012に準拠して定義される。空隙体積は、特定の負荷面積率における単位面積当たりの空隙(void)の体積(volume)を意味する。
【0022】
追加的に説明されていなければ、本明細書及び特許請求の範囲に記載された用語「デール空隙体積(Vvv)」は、ISO25178-2:2012に準拠して定義される。デール空隙体積は、特定の負荷面積率におけるデール空間(dale space)の体積(volume)を意味する。
【0023】
追加的に説明されていなければ、本明細書及び特許請求の範囲に記載された用語「最大谷高さ(Sv)」は、ISO25178-2:2012に準拠して定義される。最大谷高さは、規定された面積内の最大の谷(pit)の高さの絶対値を意味する。
【0024】
追加的に説明されていなければ、本明細書及び特許請求の範囲に記載された用語「コア空隙体積(core void volume,Vvc)」は、ISO25178-2:2012に準拠して定義される。コア空隙体積は、特定の負荷面積率におけるコア空間(core space)の体積(volume)を意味する。
【0025】
本発明は、少なくとも3つの層を有するポリマーフィルムであって、特定の負荷面積率における空隙体積(Vv)及びデール空隙体積(Vvv)並びに第1の層の厚さに対する最大谷高さ(Sv)の特定の比率を有するポリマーフィルムを提供する。本発明のポリマーフィルムは、気泡及び端部の離層の欠陥と光学的歪を有さない合わせガラスを提供するのに有用である。本発明のポリマーフィルムを用いて製造された合わせガラスは、防音機能を有する合わせガラスの製造に特に適している。以下、本発明のポリマーフィルム及びその用途を、以下に詳細に説明する。
【0026】
1.ポリマーフィルム
1.1.ポリマーフィルムの構成
本発明のポリマーフィルムは、第1の層、第2の層及び第3の層を含む。又は、本発明のポリマーフィルムは、実質的に第1の層、第2の層及び第3の層からなる。又は、本発明のポリマーフィルムは、第1の層、第2の層及び第3の層からなる。第3の層は、第1の層及び第2の層の間に配置され、第3の層の2つの表面が、それぞれ第1の層及び第2の層と接触する。第1の層、第2の層及び第3の層は、独立して必須成分としてポリビニルアセタールを含み、第1の層、第2の層及び第3の層は、必要に応じて、独立して可塑剤又は他の標準的な添加剤等の他の任意の成分を更に含んでもよい。本発明のいくつかの実施態様において、第1の層、第2の層及び第3の層は、独立してポリビニルアセタール及び可塑剤を含む。又は、第1の層、第2の層及び第3の層は、独立して実質的にポリビニルアセタール及び可塑剤からなる。又は、第1の層、第2の層及び第3の層は、独立してポリビニルアセタール及び可塑剤からなる。
【0027】
第1の層、第2の層及び第3の層は、独立して単層構造又は2以上の層を有する構造を有する。例えば、第3の層は、1つ以上の薄層からなり、防音機能、断熱機能、反射機能、反射防止機能、屈折機能、屈折防止機能、光分割機能及び調光機能のうちの1つ以上の機能を有する機能層であることができる。本発明のいくつかの実施態様において、第3の層が、単層構造を有する遮音層であることができる。
【0028】
1.1.1.ポリビニルアセタール
ポリビニルアセタールの例としては、ポリ(ビニルホルマール)、ポリ(ビニルアセタール)、ポリ(ビニルブチラール)、ポリ(ビニルペンタナール)、及びポリ(ビニルヘキサナール)が挙げられるが、これらに限定されない。前記ポリビニルアセタールは、単独で、又は2種以上の混合物として用いることができる。本発明の好ましい実施態様において、ポリビニルアセタールはポリ(ビニルブチラール)である。添付された実施例では、ポリマーフィルムは、ポリ(ビニルブチラール)及び可塑剤からなる。
【0029】
本発明のポリマーフィルム中に用いることができるポリビニルアセタールの特性は、限定されないが、ポリマーフィルムの表面上に所望のテクスチャを提供するために、必要に応じて選択することができる。本発明のいくつかの実施態様において、ポリマーフィルムの第1の層、第2の層及び第3の層の中に用いられるポリビニルアセタールは、以下の物理的特性を有することができる。
【0030】
第1の層及び第2の層の中のポリビニルアセタールは、独立して230,000~280,000の範囲、より特に240,000~260,000の範囲である重量平均分子量(Mw)を有することができるが、本発明はこれらに限定されない。第3の層の中のポリビニルアセタールは、独立して280,000~450,000の範囲、より特に320,000~420,000の範囲である重量平均分子量(Mw)を有することができるが、本発明はこれらに限定されない。
【0031】
本発明のいくつかの実施態様において、第1の層及び第2の層の中に含まれるポリビニルアセタールは、ポリビニルアセタールの水酸基、アセタール基及びアセチル基の総モル数に対して、独立して60モル%~85モル%の範囲であるアセタール基の含有量(すなわち、アセタール化度)を有することができる。例えば、第1の層及び第2の層の中に含まれるポリビニルアセタールのアセタール化度は、ポリビニルアセタールの水酸基、アセタール基及びアセチル基の総モル数に対して、独立して60モル%、60.5モル%、61モル%、61.5モル%、62モル%、62.5モル%、63モル%、63.5モル%、64モル%、64.5モル%、65モル%、65.5モル%、66モル%、66.5モル%、67モル%、67.5モル%、68モル%、68.5モル%、69モル%、69.5モル%、70モル%、70.5モル%、71モル%、71.5モル%、72モル%、72.5モル%、73モル%、73.5モル%、74モル%、74.5モル%、75モル%、75.5モル%、76モル%、76.5モル%、77モル%、77.5モル%、78モル%、78.5モル%、79モル%、79.5モル%、80モル%、80.5モル%、81モル%、81.5モル%、82モル%、82.5モル%、83モル%、83.5モル%、84モル%、84.5モル%、若しくは85モル%、又はこれら記載された2つの値の間の範囲内に入ることができる。本発明の好ましい実施態様において、第1の層及び第2の層の中に含まれるポリビニルアセタールは、独立して66モル%~75モル%の範囲であるアセタール化度を有することができる。
【0032】
本発明のいくつかの実施態様において、第3の層の中に含まれるポリビニルアセタールは、ポリビニルアセタールの水酸基、アセタール基及びアセチル基の総モル数に対して、52モル%~80モル%の範囲であるアセタール化度を有することができる。例えば、第3の層の中に含まれるポリビニルアセタールのアセタール化度は、ポリビニルアセタールの水酸基、アセタール基及びアセチル基の総モル数に対して、52モル%、53モル%、54モル%、55モル%、56モル%、57モル%、58モル%、59モル%、60モル%、61モル%、62モル%、63モル%、64モル%、65モル%、66モル%、67モル%、68モル%、69モル%、70モル%、71モル%、72モル%、73モル%、74モル%、75モル%、76モル%、77モル%、78モル%、79モル%、若しくは80モル%、又はこれら記載された2つの値の間の範囲内に入ることができる。
【0033】
本発明のいくつかの実施態様において、第1の層及び第2の層の中に含まれるポリビニルアセタールは、ポリビニルアセタールの水酸基、アセタール基及びアセチル基の総モル数に対して、独立して0.1モル%~10モル%の範囲であるアセチル基の含有量(すなわち、アセチル化度)を有することができる。例えば、第1の層及び第2の層の中に含まれるポリビニルアセタールのアセチル化度は、ポリビニルアセタールの水酸基、アセタール基及びアセチル基の総モル数に対して、独立して0.1モル%、0.15モル%、0.2モル%、0.25モル%、0.3モル%、0.35モル%、0.4モル%、0.45モル%、0.5モル%、0.55モル%、0.6モル%、0.65モル%、0.7モル%、0.75モル%、0.8モル%、0.85モル%、0.9モル%、0.95モル%、1モル%、1.5モル%、2モル%、2.5モル%、3モル%、3.5モル%、4モル%、4.5モル%、5モル%、5.5モル%、6モル%、6.5モル%、7モル%、7.5モル%、8モル%、8.5モル%、9モル%、9.5モル%、若しくは10モル%、又はこれら記載された2つの値の間の範囲内に入ることができる。本発明の好ましい実施態様において、第1の層及び第2の層の中に含まれるポリビニルアセタールは、独立して0.1モル%~5モル%の範囲であるアセチル化度を有することができる。第1の層及び第2の層の中に含まれるポリビニルアセタールのアセチル化度が指定された範囲より低い場合、ポリマーフィルムは比較的硬く、テクスチャの形成が比較的困難になる。第1の層及び第2の層の中に含まれるポリビニルアセタールのアセチル化度が指定された範囲より高い場合、ポリマーフィルムは比較的柔らかく、テクスチャが深くなり過ぎる。
【0034】
本発明のいくつかの実施態様において、第3の層の中に含まれるポリビニルアセタールは、ポリビニルアセタールの水酸基、アセタール基及びアセチル基の総モル数に対して、0.1モル%~20モル%の範囲であるアセチル化度を有することができる。例えば、第3の層の中に含まれるポリビニルアセタールのアセチル化度は、ポリビニルアセタールの水酸基、アセタール基及びアセチル基の総モル数に対して、0.1モル%、0.2モル%、0.3モル%、0.4モル%、0.5モル%、0.6モル%、0.7モル%、0.8モル%、0.9モル%、1モル%、2モル%、3モル%、4モル%、5モル%、6モル%、7モル%、8モル%、9モル%、10モル%、11モル%、12モル%、13モル%、14モル%、15モル%、16モル%、17モル%、18モル%、19モル%、若しくは20モル%、又はこれら記載された2つの値の間の範囲内に入ることができる。
【0035】
本発明のいくつかの実施態様において、第1の層及び第2の層の中に含まれるポリビニルアセタールは、ポリビニルアセタールの水酸基、アセタール基及びアセチル基の総モル数に対して、独立して20モル%~32モル%の範囲である水酸基含有量を有することができる。例えば、第1の層及び第2の層の中に含まれるポリビニルアセタールの水酸基含有量は、ポリビニルアセタールの水酸基、アセタール基及びアセチル基の総モル数に対して、独立して20モル%、20.5モル%、21モル%、21.5モル%、22モル%、22.5モル%、23モル%、23.5モル%、24モル%、24.5モル%、25モル%、25.5モル%、26モル%、26.5モル%、27モル%、27.5モル%、28モル%、28.5モル%、29モル%、29.5モル%、30モル%、30.5モル%、31モル%、31.5モル%、若しくは32モル%、又はこれら記載された2つの値の間の範囲内に入ることができる。本発明の好ましい実施態様において、第1の層及び第2の層の中に含まれるポリビニルアセタールは、独立して25モル%~29モル%の範囲である水酸基含有量を有することができる。第1の層及び第2の層の中に含まれるポリビニルアセタールの水酸基含有量が指定された範囲より高い場合、ポリマーフィルムは比較的硬く、テクスチャの形成が比較的困難になる。第1の層及び第2の層の中に含まれるポリビニルアセタールの水酸基含有量が指定された範囲より低い場合、ポリマーフィルムは比較的柔らかく、テクスチャが深くなり過ぎる。
【0036】
本発明のいくつかの実施態様において、第3の層の中に含まれるポリビニルアセタールは、ポリビニルアセタールの水酸基、アセタール基及びアセチル基の総モル数に対して、20モル%~28モル%の範囲である水酸基含有量を有することができる。例えば、第3の層の中に含まれるポリビニルアセタールの水酸基含有量は、ポリビニルアセタールの水酸基、アセタール基及びアセチル基の総モル数に対して、20モル%、20.5モル%、21モル%、21.5モル%、22モル%、22.5モル%、23モル%、23.5モル%、24モル%、24.5モル%、25モル%、25.5モル%、26モル%、26.5モル%、27モル%、27.5モル%、若しくは28モル%、又はこれら記載された2つの値の間の範囲内に入ることができる。
【0037】
1.1.2.可塑剤
本明細書で用いられるように、可塑化剤とも呼ばれる可塑剤は、熱可塑性樹脂の可塑性を変更することができる化学物質である。可塑剤の例としては、多塩基酸又は多価アルコールのエステル、例えば、トリエチレングリコールビス(2-エチルヘキサノエート)、テトラエチレングリコールビス(2-エチルヘキサノエート)、トリエチレングリコールビス(2-エチルブチレート)、テトラエチレングリコールビス(2-エチルブチレート)、トリエチレングリコールジヘプタノエート、テトラエチレングリコールジヘプタノエート、ジヘキシルアジペート、ジオクチルアジペート、ヘキシルシクロヘキシルアジペート、ジイソノニルアジペート、ヘプチルノニルアジペート、ジブチルセバケート、ビス[2-(2-ブトキシエトキシ)エチル]アジペート、ポリマーアジペート、ジプロピレングリコールジベンゾエート、トリプロピレングリコールジベンゾエート、ポリプロピレングリコールジベンゾエート、イソデシルベンゾエート、2-エチルヘキシルベンゾエート、プロピレングリコールジベンゾエート、ジイソノニルフタレート、ジブトキシエチルテレフタレート、ヒマシ油、メチルリシノレート、大豆油、エポキシ化大豆油、及びこれらの組合せ等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0038】
可塑剤の量は、可塑剤が所望の可塑効果を提供することができる限り、特に限定されない。一般に、ポリマーフィルムの第1の層及び第2の層の中の可塑剤の量は、ポリビニルアセタールの100重量部に対して、独立して30重量部~60重量部の範囲であることができる。例えば、ポリマーフィルムの第1の層及び第2の層の中の可塑剤の量は、ポリビニルアセタールの100重量部に対して、独立して30重量部、31重量部、32重量部、33重量部、34重量部、35重量部、36重量部、37重量部、38重量部、39重量部、40重量部、41重量部、42重量部、43重量部、44重量部、45重量部、46重量部、47重量部、48重量部、49重量部、50重量部、51重量部、52重量部、53重量部、54重量部、55重量部、56重量部、57重量部、58重量部、59重量部、若しくは60重量部、又はこれら記載された2つの値の間の範囲内に入ることができる。本発明の好ましい実施態様において、ポリマーフィルムの第1の層及び第2の層の中の可塑剤の量は、ポリビニルアセタールの100重量部に対して、独立して30重量部~50重量部の範囲であることができる。ポリマーフィルムの第3の層の中の可塑剤の量は、ポリビニルアセタールの100重量部に対して、独立して50重量部~80重量部の範囲であることができる。例えば、ポリマーフィルムの第3の層の中の可塑剤の量は、ポリビニルアセタールの100重量部に対して、独立して50重量部、51重量部、52重量部、53重量部、54重量部、55重量部、56重量部、57重量部、58重量部、59重量部、60重量部、61重量部、62重量部、63重量部、64重量部、65重量部、66重量部、67重量部、68重量部、69重量部、70重量部、71重量部、72重量部、73重量部、74重量部、75重量部、76重量部、77重量部、78重量部、79重量部、若しくは80重量部、又はこれら記載された2つの値の間の範囲内に入ることができる。
【0039】
1.1.3.他の標準的な添加剤
ポリマーフィルムは更に、製造中にポリマーフィルムの加工性を適応的に改善することができ、又はポリマーフィルムに特定の機能を付与することができる標準的な添加剤を含んでも良い。標準的な添加剤の例には、染料、顔料、安定剤、酸化防止剤、難燃剤、赤外線吸収剤、赤外線遮断剤、紫外線吸収剤、紫外線安定剤、潤滑剤、分散剤、界面活性剤、キレート剤、カップリング剤、接着剤、及び接着制御剤が含まれるが、これらに限定されない。前記の添加剤は、単独で、又は2つ以上の組合せで使用することができる。例えば、ポリマーフィルムの第1の層、第2の層及び第3の層は、独立して更に、着色ポリマーフィルムを形成するために染料又は顔料を含むことができる。ポリマーフィルムの第1の層、第2の層及び第3の層はまた、独立して抗紫外線機能又は抗赤外線機能を有するように紫外線吸収剤又は赤外線吸収剤を含むことができる。
【0040】
1.2.ポリマーフィルムの特性
1.2.1.空隙体積(Vv)に関連する特性
ポリマーフィルムの表面の凹凸構造は、表面形態(surface morphology)の三次元画像によって特定することができる。ISO25178-2:2012は、表面形態を評価するための測定基準であり、表面形態に関連するいくつかのパラメータ、例えば空隙体積(Vv)、デール空隙体積(Vvv)、コア空隙体積(Vvc)及び最大谷高さ(Sv)等を開示する。Vvは、特定の負荷面積率における単位面積当たりの空隙の体積として定義され、負荷面積率曲線グラフから計算することができる。負荷面積率曲線グラフにおいて、Y軸は表面高さを示し、X軸は負荷面積率を示す。X軸の負荷面積率が0%の場合、Y軸の表面高さは最大であり、X軸の負荷面積率が100%の場合、Y軸の表面高さは0である。例えば、10%の負荷面積率におけるVv値は、X軸の10%の負荷面積率に対応するY軸の表面高さに設定された水平切断面(horizontal cutting plane)の下方に囲まれた空隙の体積を表す。従って、負荷面積率が0%の場合には、Vv値が最大となる。負荷面積率が100%の場合、Vv値は0である。Vvvは、特定の負荷面積率におけるデール空間(dale space)の体積として定義され、負荷面積率曲線グラフから計算することができる。例えば、80%の負荷面積率におけるVvv値は、X軸の80%~100%の負荷面積率における負荷面積率曲線の上方に囲まれたデール空間の体積を表す。Vvcは、特定の負荷面積率におけるコア空間(core space)の体積として定義され、負荷面積率曲線グラフから計算することができる。例えば、10%~80%の負荷面積率におけるVvc値は、X軸の10%~80%の負荷面積率における負荷面積率曲線の上方に囲まれたコア空間の体積を表す。Vvv値及びVvc値の合計はVv値である。Svは、区切られた面積内の最も大きなピットの高さ、すなわち、最も深い谷の深さの値の絶対値である。Vv、Vvv、Vvc及びSvのパラメータについての関連説明は、ISO25178-2:2012を参照することができ、その主題は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0041】
合わせガラスの製造方法の間、ポリマーフィルムとガラスシートの間に空気が残るよりも寧ろ空気が順調に除去されることを確かにするために、ポリマーフィルムの表面は、通常、脱気を促進するためのテクスチャ(すなわち、特定の凹凸構造)と共に形成される。しかし、本発明者は、ポリマーフィルムの表面のVv値が低すぎる場合、ホットプレス工程を施した合わせガラスは気泡の欠陥を有することを見出した。他方、ポリマーフィルムの表面のVv値が高すぎる場合、ポリマーフィルム及びガラスシートを完全に互いに付着させることができず、その結果、端部の離層の欠陥に帰着する。更に、テクスチャを完全に平らにして、空気を完全に取り除くことはできず、その結果、気泡の欠陥に帰着する。この点を考慮して、気泡の欠陥及び端部の離層の欠陥が無い合わせガラスを製造するために、本発明のポリマーフィルムの第1の表面は、3μm3/μm2~30μm3/μm2の範囲である10%の負荷面積率におけるVv値を有する。例えば、本発明のポリマーフィルムの第1の表面の10%の負荷面積率におけるVv値は、3μm3/μm2、3.5μm3/μm2、4μm3/μm2、4.5μm3/μm2、5μm3/μm2、5.5μm3/μm2、6μm3/μm2、6.5μm3/μm2、7μm3/μm2、7.5μm3/μm2、8μm3/μm2、8.5μm3/μm2、9μm3/μm2、9.5μm3/μm2、10μm3/μm2、10.5μm3/μm2、11μm3/μm2、11.5μm3/μm2、12μm3/μm2、12.5μm3/μm2、13μm3/μm2、13.5μm3/μm2、14μm3/μm2、14.5μm3/μm2、15μm3/μm2、15.5μm3/μm2、16μm3/μm2、16.5μm3/μm2、17μm3/μm2、17.5μm3/μm2、18μm3/μm2、18.5μm3/μm2、19μm3/μm2、19.5μm3/μm2、20μm3/μm2、20.5μm3/μm2、21μm3/μm2、21.5μm3/μm2、22μm3/μm2、22.5μm3/μm2、23μm3/μm2、23.5μm3/μm2、24μm3/μm2、24.5μm3/μm2、25μm3/μm2、25.5μm3/μm2、26μm3/μm2、26.5μm3/μm2、27μm3/μm2、27.5μm3/μm2、28μm3/μm2、28.5μm3/μm2、29μm3/μm2、29.5μm3/μm2、若しくは30μm3/μm2、又はこれら記載された2つの値の間の範囲内に入ることができる。
【0042】
本発明者は、Vvv値及び第1の層の厚さに対するSv値の比率を制御して、第1の表面上のみに形成されるべきテクスチャが、機械エンボスの間にポリマーフィルムの中間層(すなわち、第3の層)の表面上に転写プリントされることを回避することができることを見出した。上記の転写プリントは、結果として合わせガラス中の目に見える細かい線となり、それによって、光学的歪の目に見える欠陥の原因となり、合わせガラスの可視性に影響する。従って、本発明のポリマーフィルムの第1の表面の80%の負荷面積率におけるVvv値は、2μm3/μm2未満であり、例えば、1.95μm3/μm2、1.9μm3/μm2、1.85μm3/μm2、1.8μm3/μm2、1.75μm3/μm2、1.7μm3/μm2、1.65μm3/μm2、1.6μm3/μm2、1.55μm3/μm2、1.5μm3/μm2、1.45μm3/μm2、1.4μm3/μm2、1.35μm3/μm2、1.3μm3/μm2、1.25μm3/μm2、1.2μm3/μm2、1.15μm3/μm2、1.1μm3/μm2、1.05μm3/μm2、1.0μm3/μm2、0.95μm3/μm2、0.9μm3/μm2、0.85μm3/μm2、0.8μm3/μm2、0.75μm3/μm2、0.7μm3/μm2、0.65μm3/μm2、0.6μm3/μm2、0.55μm3/μm2、0.5μm3/μm2、0.45μm3/μm2、0.4μm3/μm2、0.35μm3/μm2、0.3μm3/μm2、0.25μm3/μm2、0.2μm3/μm2、0.15μm3/μm2、0.1μm3/μm2、若しくは0.05μm3/μm2、又はこれら記載された2つの値の間の範囲内に入ることができる。本発明のポリマーフィルムの第1の層の厚さに対する本発明のポリマーフィルムの第1の表面のSv値の比率は、0.2以下であり、例えば、0.2、0.19、0.18、0.17、0.16、0.15、0.14、0.13、0.12、0.1、0.09、0.08、0.07、0.06、0.05、0.04、0.03、0.02、若しくは0.01、又はこれら記載された2つの値の間の範囲内に入ることができる。本発明のいくつかの実施態様において、本発明のポリマーフィルムの第1の表面の80%の負荷面積率におけるVvv値は、0.2μm3/μm2~1.9μm3/μm2であり、本発明のポリマーフィルムの第1の層の厚さに対する本発明のポリマーフィルムの第1の表面のSv値の比率は、0.05~0.18である。本発明のいくつかの実施態様において、本発明のポリマーフィルムの第1の表面の80%の負荷面積率におけるVvv値は、0.5μm3/μm2~1.9μm3/μm2であり、本発明のポリマーフィルムの第1の層の厚さに対する本発明のポリマーフィルムの第1の表面のSv値の比率は、0.07~0.18である。
【0043】
本発明のポリマーフィルムにおいて、第1の層の厚さに対するSv値の比率が指定された範囲内である限り、必要に応じて、ポリマーフィルムの第1の表面のSv値を調整することができる。本発明のいくつかの実施態様において、ポリマーフィルムの第1の表面は70μm以下のSv値を有する。本発明のいくつかの実施態様において、ポリマーフィルムの第1の表面は、10μm~70μmの範囲であるSv値を有する。
【0044】
本発明の好ましい実施態様において、ポリマーフィルムの第2の表面は、第1の表面の上記の空隙体積(Vv)に関連する特性も有する。本特性は、第2の表面は、3μm3/μm2~30μm3/μm2の範囲である10%の負荷面積率における空隙体積(Vv)値、及び2μm3/μm2未満である80%の負荷面積率におけるデール空隙体積(Vvv)値を有し、並びに第2の層の厚さに対する第2の表面の最大谷高さ(Sv)の比率が0.2以下であることを含む。第2の表面の上記の特性に関する特定の値の説明例は、第1の表面の関係する記載を参照することができる。
【0045】
1.2.2.厚さ
Vv値及びVvv値並びに第1の層の厚さに対するSv値の比率の要件が満足される限り、本発明のポリマーフィルムの全体の厚さ、並びに本発明のポリマーフィルムの第1の層、第2の層及び第3の層の各々の厚さを必要に応じて調整することができる。
【0046】
一般に、本発明のポリマーフィルムの全体の厚さは、0.1mm~2.5mmの範囲、例えば0.1mm、0.15mm、0.2mm、0.25mm、0.3mm、0.35mm、0.4mm、0.45mm、0.5mm、0.55mm、0.6mm、0.65mm、0.7mm、0.75mm、0.8mm、0.85mm、0.9mm、0.95mm、1.0mm、1.05mm、1.1mm、1.15mm、1.2mm、1.25mm、1.3mm、1.35mm、1.4mm、1.45mm、1.5mm、1.55mm、1.6mm、1.65mm、1.7mm、1.75mm、1.8mm、1.85mm、1.9mm、1.95mm、2.0mm、2.05mm、2.1mm、2.15mm、2.2mm、2.25mm、2.3mm、2.35mm、2.4mm、2.45mm、若しくは2.5mm、又はこれら記載された2つの値の間の範囲内に入ることができる。本発明のいくつかの実施態様において、ポリマーフィルムの全体の厚さは、0.5mm~1.5mmである。
【0047】
第1の層及び第2の層の厚さは、独立して250μm~450μm、例えば250μm、255μm、260μm、265μm、270μm、275μm、280μm、285μm、290μm、295μm、300μm、305μm、310μm、315μm、320μm、325μm、330μm、335μm、340μm、345μm、350μm、355μm、360μm、365μm、370μm、375μm、380μm、385μm、390μm、395μm、400μm、405μm、410μm、415μm、420μm、425μm、430μm、435μm、440μm、445μm、若しくは450μm、又はこれら記載された2つの値の間の範囲内に入ることができる。第1の層の厚さは、好ましくは第2の層の厚さと同一である。本発明のいくつかの実施態様において、第1の層及び第2の層は、独立して300μm~420μmの範囲である厚さを有する。
【0048】
第3の層の厚さは、50μm~250μm、例えば50μm、55μm、60μm、65μm、70μm、75μm、80μm、85μm、90μm、95μm、100μm、105μm、110μm、115μm、120μm、125μm、130μm、135μm、140μm、145μm、150μm、155μm、160μm、165μm、170μm、175μm、180μm、185μm、190μm、195μm、200μm、205μm、210μm、215μm、220μm、225μm、230μm、235μm、240μm、245μm、若しくは250μm、又はこれら記載された2つの値の間の範囲内に入ることができる。第3の層は、100μm~200μmの範囲である厚さを有する。
【0049】
1.2.3.ガラス転移温度(Tg)
指定されたVv値、指定されたVvv値、及び第1の層の厚さに対するSv値の指定された比率の要件が満足される場合、必要に応じて、第1の層、第2の層及び第3の層のガラス転移温度(Tg)を独立して調整することができる。一般に、ポリマーフィルムのTgが高い場合、ポリマーフィルムは比較的固く、機械エンボス加工によるテクスチャの形成が比較的難しい。他方、ポリマーフィルムのTgが低い場合、ポリマーフィルムは比較的柔らかく、機械エンボス加工によって形成されるテクスチャが深くなり過ぎる。この点を考慮して、本発明のいくつかの実施態様において、第1の層のTg及び第2の層のTgは、独立して5℃~25℃の範囲である。例えば、第1の層のTg及び第2の層のTgは、独立して5℃、6℃、7℃、8℃、9℃、10℃、10.5℃、11℃、11.5℃、12℃、12.5℃、13℃、13.5℃、14℃、14.5℃、15℃、15.5℃、16℃、16.5℃、17℃、17.5℃、18℃、18.5℃、19℃、19.5℃、20℃、20.5℃、21℃、21.5℃、22℃、23℃、24℃、若しくは25℃、又はこれら記載された2つの値の間の範囲内に入ることができる。第3の層のTgは、-30℃~10℃の範囲である。例えば、第3の層のTgは、-30℃、-29℃、-28℃、-27℃、-26℃、-25℃、-24℃、-23℃、-22℃、-21℃、-20℃、-19℃、-18℃、-17℃、-16℃、-15℃、-14℃、-13℃、-12℃、-11℃、-10℃、-9℃、-8℃、-7℃、-6℃、-5℃、-4℃、-3℃、-2℃、-1℃、0℃、1℃、2℃、3℃、4℃、5℃、6℃、7℃、8℃、9℃、若しくは10℃、又はこれら記載された2つの値の間の範囲内に入ることができる。
【0050】
1.3.ポリマーフィルムの製造
本発明のポリマーフィルムの製造方法は、特に限定されない。例えば、ポリビニルアセタールと任意の成分(例えば、可塑剤)とを混合し混練してポリマー組成物を得、ポリマー組成物を用いて標準的なフィルム形成方法でポリマーフィルムを提供し、機械エンボス加工工程を行うことで、ポリマーフィルムの表面上の所望のVv値、Vvv値及びSv値を提供することで、本発明のポリマーフィルムを製造することができる。ポリマーフィルムを提供する標準的な方法の例としては、カレンダー法、キャスティング法、押出延伸法、直接押出法、及び押出ブロー法が挙げられるが、これらに限定されない。
【0051】
本発明のいくつかの実施態様において、ポリマーフィルムは以下のように製造されるが、本発明はこれらに限定されない。5分~30分間、100rpm~250rpmの範囲の回転速度で、150℃~250℃の範囲の温度で、二軸式押出ミキサーを用いて、ポリビニルアセタール樹脂と可塑剤とを混合し混練して、第1の層及び第2の層を製造するための第1のポリマー組成物、並びに第3の層を製造するための第2のポリマー組成物をそれぞれ得る。次に、第1のポリマー組成物及び第2のポリマー組成物を室温に冷却し、共押出機に入れて、本発明のポリマーフィルムを提供するフィルムを共押出する。
【0052】
その後、所望のVv値、Vvv値及びSv値が提供されるように、ポリマーフィルムに予熱及び機械エンボス加工を行う。本明細書で記載されるように、機械エンボス加工は、調製されたポリマーフィルムの表面にローラを用いてテクスチャを形成する方法に関する。機械エンボス加工方法としては、エンボスローラ法又はカレンダーローラ法が挙げられるが、これらに限定されない。エンボスローラ法が好ましい。機械エンボス加工方法を用いて提供されるテクスチャの種類は、ひし形テクスチャ、線形テクスチャ、鋸歯形テクスチャ、正方形テクスチャ、テーパ形テクスチャ、円形テクスチャ、半円形(sub-circular shape)テクスチャ、及び不規則形テクスチャを含むが、これらに限定されない。前記のテクスチャの種類は、単独で、又は2つ以上の組合せで用いることができる。
【0053】
予熱及び機械エンボス加工の条件は、ポリマーフィルムの構成に応じて、適応的に調整される。一般に、予熱ローラの温度は、40℃~90℃の範囲、特に45℃~85℃の範囲とすることができる。エンボス加工ローラの温度は、80℃~145℃の範囲、特に85℃~135℃の範囲とすることができる。エンボス加工ローラのねじり力(トーション)は、0.32N・m~1.42N・mの範囲、特に0.32N・m~1.3N・mの範囲とすることができる。エンボス加工ローラの圧力は、5kg/cm2~50kg/cm2の範囲、特に10kg/cm2~40kg/cm2の範囲とすることができる。本発明のいくつかの実施態様において、予熱ローラの温度は、60℃~85℃であり、エンボス加工ローラの温度は、105℃~135℃のであり、エンボス加工ローラのねじり力は、0.7N・m~1.2N・mであり、エンボス加工ローラの圧力は、15kg/cm2~38kg/cm2である。
【0054】
ポリマーフィルムのVv関連特性に関して、予熱ローラの温度、エンボス加工ローラの温度、エンボス加工ローラのねじり力及びエンボス加工ローラの圧力を制御することで、これらの特性を調整することができることが、研究から示された。一般に、予熱ローラの温度、エンボス加工ローラの温度又はエンボス加工ローラの圧力が高いほど、ポリマーフィルムのVvc値及びSv値が大きくなる。エンボス加工ローラのねじり力が大きいほど、ポリマーフィルムのVvv値が大きくなる。
【0055】
2.合わせガラス
本発明のポリマーフィルムを用いて合わせガラスを製造することができる。従って、本発明は、第1のガラスシートと、第2のガラスシートと、第1のガラスシート及び第2のガラスシートの間に配置された中間フィルムとを含む合わせガラスであって、前記中間フィルムが前記ポリマーフィルムで提供される合わせガラスも提供する。
【0056】
第1のガラスシート及び第2のガラスシートは、互いに同一でも異なっていてもよい。第1のガラスシート及び第2のガラスシートはそれぞれ、合わせガラスを製造するための任意の標準的なガラスシートであることができる。合わせガラスを製造するための標準的なガラスシートとしては、例えば、フロートガラス(float glass)シート、強化ガラスシート、ワイヤードガラスシート、又は平板ガラスシートが挙げられるが、本発明はこれらに限定されない。添付された実施例では、フロートガラスシートが第1のガラスシート及び第2のガラスシートとして用いられた。
【0057】
本発明の合わせガラスは、本技術分野で公知の任意の合わせガラス製造方法で製造することができる。例えば、合わせガラスは、以下のようにして製造することができる。まず、2枚のガラスシートの間にポリマーフィルムを介在させて積層体を得る。この積層体を気密バッグに入れ、20℃~30℃の温度で少なくとも10分間、気密バッグ中の空気を気密バッグから排出する(真空度>500mmHg)。次に、積層体を内部に収容した気密バッグを加熱炉に入れ、加熱炉の温度を60℃から130℃まで徐々に上昇させる。少なくとも30分後、加熱炉から気密バッグを取り出し、予備プレスを完了する。次に、予備プレスされた積層体をオートクレーブに入れ、高圧高温条件下で100分~150分間ホットプレスし、合わせガラスを得る。一般に、前記高圧高温条件は、10バール~15バールの範囲の圧力及び100℃~150℃の範囲の温度を指す。
【実施例0058】
3.実施例
3.1.試験方法
本発明を以下に示す実施態様で更に説明する。試験装置及び試験方法は以下の通りである。
【0059】
[ポリビニルアセタールのアセタール化度の測定]
ポリビニルアセタールのアセタール化度は、JIS K6728に準拠して測定される。
【0060】
[ポリビニルアセタールのアセチル化度の測定]
ポリビニルアセタールのアセチル化度は、JIS K6728に準拠して測定される。
【0061】
[ポリビニルアセタールの水酸基含有量の測定]
ポリビニルアセタールの水酸基含有量は、JIS K6728に準拠して測定される。
【0062】
[ガラス転移温度(Tg)の測定]
ポリマーフィルムのTgは、示差走査熱量計(型番:TA DSC 25,TA Instrumentsから購入)を用いて、窒素雰囲気下、測定される。まず、サンプルとしてのポリマーフィルム7mgを示差走査熱量計のサンプル台に載せ、10℃/分の加熱速度で150℃に加熱し、その温度で5分間保持する。次いで、サンプルを-50℃でバランスさせ、その温度で5分間保持する。その後、加熱速度10℃/分でサンプルを100℃に加熱し、熱流(heat flow)に対する温度の曲線グラフ(X軸は温度、Y軸は熱流)を得る。ガラス転移の中点(midpoint)に対応する温度をTgとして記録する。
【0063】
[空隙体積(Vv)、デール空隙体積(Vvv)及び最大谷高さ(Sv)の測定]
まず、合わせガラスから、3cm×3cmの大きさの試験サンプルを切断する。ポリマーフィルムの表面の10%の負荷面積率における空隙体積(Vv)値、80%の負荷面積率におけるデール空隙体積(Vvv)値、及び最大谷高さ(Sv)は、ISO25178-2:2012に準拠して、24±3℃の温度及び63±3%の相対湿度で、試験サンプルとレーザー共焦点顕微鏡(型番:LEXT OLS5000-SAF,オリンパス株式会社から購入)を用いて測定される。測定条件は、以下の通りである。光源は405nmの波長を有し、対物レンズは100倍(MPLAPON-100xLEXT)であり、光学ズーム(optical zoom)は50倍であり、観察面積は1500μm×1500μmであり、解像度は1024画素×1024画素であり、動作条件はオートチルト除去(auto tilt removal)に設定され、フィルタは用いない。得られた負荷面積率曲線グラフで、10%~80%の負荷面積率におけるコア空隙体積(Vvc)値、及び80%の負荷面積率におけるデール空隙体積(Vvv)値を求めることができる。空隙体積(Vv)値は、コア空隙体積(Vvc)値及びデール空隙体積(Vvv)値の合計である。Vv値、Vvv値及びVvc値の単位はμm3/μm2である。加えて、Sv値は装置から直接得ることができる。
【0064】
[気泡試験]
ポリマーフィルムから、30cm×30cmの大きさの試験サンプルを切断する。試験サンプルを、2時間、120℃のオーブンに垂直に設置する。次に、試験サンプルを目視で観察し、気泡が見られるかを確認する。ここで、気泡とは、外気に触れておらず、ガラスシート及びポリマーフィルムの間に存在しない気泡を意味する。合わせガラスを、端部(端から端から15mmまでの領域)と中央部(端から15mm離れた領域)に分ける。気泡試験の基準は、以下の通りである。試験サンプルの端部及び中央部の中に気泡がない場合、気泡試験の結果は優であり、「◎」と記録される。試験サンプルの端部の中に気泡があるが、試験サンプルの中央部の中に気泡がない場合、気泡試験の結果は良であり、「○」と記録される。試験サンプルの端部及び中央部の中に気泡がある場合、気泡試験の結果は不良であり、「×」と記録される。
【0065】
[端部の離層試験(edge-delamination test)]
合わせガラスから、30cm×30cmの大きさの試験サンプルを切断する。試験サンプルを50℃及び95%の相対湿度のオーブンに14日間垂直に設置する。次に、試験サンプルを目視で観察して、端部の離層が見られるかを確認する。端部の離層試験の基準は、次の通りである。試験サンプルが端部の離層を有さない(すなわち、ポリマーフィルムがガラスシートと強固に接合されている)場合、端部の離層試験の結果は合格であり、「◎」として記録される。一方、試験サンプルが端部の離層を有する(すなわち、ポリマーフィルムがガラスシートと強固に接合されていない)場合、端部の離層試験の結果は不合格であり、「×」として記録される。
【0066】
[光学的歪の評価]
試験サンプルとしての30cm×30cmの合わせガラス、並びにプロジェクター、サンプルホルダー及びホワイトスクリーンを準備する。プロジェクター、サンプルホルダー及びホワイトスクリーンを、暗室に設置する。プロジェクター及びホワイトスクリーンの間にサンプルホルダーを設置し、プロジェクター及びサンプルホルダーの間の距離とサンプルホルダー及びホワイトスクリーンの間の距離が共に1.5mである。試験サンプルをサンプルホルダーに配置し、試験サンプルがプロジェクターに向かって地面に垂直な軸に対して15度傾くように、試験サンプルの角度を調整する。プロジェクターの光源を点灯し、照射した光を試験サンプルを透過させ、ホワイトスクリーンに照射した。ホワイトスクリーンを目視で観察し、明るさ又は暗さの顕著な差異があるかを確認する。合わせガラスが細かい線を有しなければ、明るさ又は暗さの顕著な差異は観察されず、光学的歪の結果が「無」として記録される。合わせガラスが細かい線を有していれば、明るさ又は暗さの顕著な差異が観察され、光学的歪の結果が「有」として記録される。
【0067】
3.2.ポリマーフィルムの製造及び特性
まず、100重量部のポリ(ビニルブチラール)(PVB,チャン チュン ペトロケミカル カンパニー リミテッドから購入)、及び40重量部の可塑剤(トリエチレングリコール ビス(2-エチルヘキサノエート))を混合して混合物を得た。この混合物を、二軸式押出ミキサーを用いて200℃、回転速度150rpmで15分間混練し、混合物を室温まで冷却して、第1の層及び第2の層の製造に用いる第1のポリマーフィルム組成物を得た。次に、100重量部のポリ(ビニルブチラール)(PVB,チャン チュン ペトロケミカル カンパニー リミテッドから購入)、及び60重量部の可塑剤(トリエチレングリコール ビス(2-エチルヘキサノエート))を混合して混合物を得た。この混合物を、二軸式押出ミキサーを用いて200℃、回転速度150rpmで15分間混練し、混合物を室温まで冷却して、第3の層の製造に用いる第2のポリマーフィルム組成物を得た。第1のポリマーフィルム組成物及び第2のポリマーフィルム組成物を共押出機に入れて、第1の層/第3の層/第2の層で構成される3層構造を有するポリマーフィルムを共押出した。
【0068】
表1-1及び表1-2に示したパラメーター条件に従って、ポリマーフィルムの2つの表面に、予熱及び機械エンボス加工を施して、実施例1~6及び比較例1~7のポリマーフィルムを得た。表1-1及び表1-2に示したパラメーター条件に加えて、一対のエンボスローラを通過するポリマーフィルムの線速度は、12m/分の範囲であった。実施例1~6及び比較例1~7のポリマーフィルムに用いたPVBの、アセタール化度、アセチル化度及び水酸基含有量を、前記の試験方法に従って測定した。それらの結果を表2-1及び表2-2に示す。加えて、実施例1~6及び比較例1~7のポリマーフィルムの、厚さ、Tg、Vv、Vvv、Vvc及びSvを、前記の試験方法に従って測定した。それらの結果を表2-3及び表2-4に示す。
【0069】
【0070】
【0071】
【0072】
【0073】
【0074】
【0075】
3.3.合わせガラスの製造及び特性
実施例1~6及び比較例1~7のポリマーフィルムをそれぞれ用いて、合わせガラスを製造した。まず、2枚のクリーンな透明フロートガラスシート(長さ300mm、幅300mm、厚さ2mm~2.2mm)を準備した。実施例1~6及び比較例1~7のポリマーフィルムを、2枚の透明フロートガラスシートの間にそれぞれ介在させて、積層体を得た。この積層体を、気密バッグを用いて排出によって予備プレスした。予備プレスは以下のように行った。積層体を気密バッグに入れ、少なくとも10分間、20℃~30℃の温度で、気密バッグから空気を排出した(真空度>500mmHg)。次に、積層体を収容した気密バッグを加熱炉に入れ、20℃~30℃の温度で10分~20分間保持し、60℃~130℃に加熱し、15分~45分間保持した。その後、加熱炉から気密バッグを取り出し、室温まで冷却した。次に、予備プレスした積層体を気密バッグから取り出し、オートクレーブに入れ、13バールの圧力及び135℃の温度で120分間ホットプレスを施し、室温まで冷却して合わせガラスを得た。
【0076】
実施例1~6及び比較例1~7の合わせガラスの特性、例えば光学的歪の評価、気泡試験及び端部の離層試験を、前記の試験方法に従って評価した。それらの結果を表3に示す。
【0077】
【0078】
表3に示すように、本発明のポリマーフィルムから製造された合わせガラスは、光学的歪の評価、気泡試験及び端部の離層試験で満足な結果を達成した。特に、実施例1~6は、ポリマーフィルムの第1の表面のVv値及びVvv値、並びにポリマーフィルムの第1の層の厚さに対する第1の表面のSv値の比率が指定された範囲内である場合、製造された合わせガラスが気泡、光学的歪及び端部の離層が同時にないようにできることを示す。
【0079】
それに対して、表3に示すように、本発明に属さないポリマーフィルムから製造された合わせガラスは、光学的歪、気泡及び端部の離層がないとの有利な効果を同時に有することはできない。特に、比較例1と7は、ポリマーフィルムの第1の表面のVv値とVvv値、並びにポリマーフィルムの第1の層の厚さに対する第1の表面のSv値の比率が指定された範囲外である場合、製造された合わせガラスは、光学的歪、気泡及び端部の離層の欠陥を有することを示す。比較例2は、ポリマーフィルムの第1の層の厚さに対する第1の表面のSv値の比率、並びにVv値が指定された範囲外である場合、たとえVvv値が指定された範囲内であったとしても、製造された合わせガラスは、光学的歪及び端部の離層の欠陥を有することを示す。比較例3は、ポリマーフィルムの第1の表面のVvv値が指定された範囲外である場合、たとえVv値、及び第1の層の厚さに対するSv値の比率が指定された範囲内であったとしても、製造された合わせガラスは、光学的歪の欠陥を有することを示す。比較例4と5は、ポリマーフィルムの第1の表面のVv値が指定された範囲外である場合、たとえ第1の層の厚さに対するSv値の比率が指定された範囲内であったとしても、製造された合わせガラスは、気泡の欠陥を有し、更に端部の離層の欠陥を有することを示す。比較例6は、ポリマーフィルムの第1の層の厚さに対するポリマーフィルムの第1の表面のSv値の比率が指定された範囲外である場合、たとえポリマーフィルムの第1の表面のVv値及びVvv値が指定された範囲内であったとしても、製造された合わせガラスは、光学的歪の欠陥を有することを示す。
【0080】
前記の実施例は、本発明の原理及び効果を説明し、その発明的特徴を示すために用いられており、本発明の範囲を限定するために用いられない。当業者は、記載された発明の開示及び提案に基づいて、様々な変更及び交換を行うことができる。従って、本発明の保護範囲は、添付する特許請求の範囲で定義されたものである。