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  • 特開-ポリマーフィルム及びその使用 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023060802
(43)【公開日】2023-04-28
(54)【発明の名称】ポリマーフィルム及びその使用
(51)【国際特許分類】
   C03C 27/12 20060101AFI20230421BHJP
   B32B 17/10 20060101ALI20230421BHJP
   B32B 27/06 20060101ALI20230421BHJP
   C08J 5/18 20060101ALI20230421BHJP
【FI】
C03C27/12 D
B32B17/10
B32B27/06
C08J5/18 CEX
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022069846
(22)【出願日】2022-04-21
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-03-31
(31)【優先権主張番号】110138589
(32)【優先日】2021-10-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(31)【優先権主張番号】202111208116.0
(32)【優先日】2021-10-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】519435854
【氏名又は名称】チャン チュン ペトロケミカル カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】ファン、ズ ジュン
(72)【発明者】
【氏名】ファン、イェン チェン
【テーマコード(参考)】
4F071
4F100
4G061
【Fターム(参考)】
4F071AA30
4F071AC10
4F071AE04
4F071AF14
4F071AF29
4F071AF30
4F071AF53Y
4F071AG25
4F071AH03
4F071AH07
4F071AH19
4F071BA01
4F071BB06
4F071BC01
4F100AG00B
4F100AG00C
4F100AK23A
4F100BA01
4F100BA03
4F100BA06
4F100BA10B
4F100BA10C
4F100DD07A
4F100GB07
4F100GB32
4F100JA05
4F100JK10
4F100JN01
4F100YY00A
4G061AA03
4G061AA11
4G061AA20
4G061BA01
4G061BA02
4G061CB03
4G061CB18
4G061CB19
4G061CD03
4G061CD18
4G061DA23
4G061DA29
4G061DA30
(57)【要約】
【課題】ポリマーフィルム、及び前記ポリマーフィルムを用いて製造された合わせガラスを提供すること。
【解決手段】第1の表面及び第2の表面を有するポリマーフィルムであって、前記第1の表面が0.5μm/μm~2.5μm/μmの範囲である10%の負荷面積率における空隙体積(Vv)値の標準偏差を有し、前記負荷面積率及び前記空隙体積がISO25178-2:2012に準拠して定義される、ポリマーフィルム。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の表面及び第2の表面を有するポリマーフィルムであって、
前記第1の表面が、0.5μm/μm~2.5μm/μmの範囲である10%の負荷面積率における空隙体積(Vv)値の標準偏差を有し、前記負荷面積率及び前記空隙体積がISO25178-2:2012に準拠して定義される、ポリマーフィルム。
【請求項2】
前記第1の表面が、2μm/μm~35μm/μmの範囲である10%の負荷面積率における空隙体積(Vv)値を有する、請求項1に記載のポリマーフィルム。
【請求項3】
前記第1の表面が、15μm~55μmの範囲である表面粗さRz値を有し、Rz値がJIS B 0601(1994)に準拠して測定される、請求項1又は2に記載のポリマーフィルム。
【請求項4】
前記第2の表面が、0.5μm/μm~2.5μm/μmの範囲である10%の負荷面積率における空隙体積(Vv)値の標準偏差を有する、請求項1~3のいずれかに記載のポリマーフィルム。
【請求項5】
前記第2の表面が、2μm/μm~35μm/μmの範囲である10%の負荷面積率における空隙体積(Vv)値を有し、前記負荷面積率及び前記空隙体積がISO25178-2:2012に準拠して定義される、請求項4に記載のポリマーフィルム。
【請求項6】
前記第2の表面が、15μm~55μmの範囲である表面粗さRz値を有し、Rz値がJIS B 0601(1994)に準拠して測定される、請求項4又は5に記載のポリマーフィルム。
【請求項7】
前記ポリマーフィルムがポリビニルアセタールを含む、請求項1~6のいずれかに記載のポリマーフィルム。
【請求項8】
前記ポリビニルアセタールがポリ(ビニルブチラール)である、請求項7に記載のポリマーフィルム。
【請求項9】
0.1mm~2.5mmの範囲の厚さを有する、請求項1~8のいずれかに記載のポリマーフィルム。
【請求項10】
第1のガラスシートと、第2のガラスシートと、前記第1のガラスシート及び前記第2のガラスシートの間に配置された中間フィルムとを含む、合わせガラスであって、
前記中間フィルムが請求項1~9のいずれかに記載のポリマーフィルムで提供される、合わせガラス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリマーフィルム、特に、特定の負荷面積率(material ratio)における空隙体積(void volume,Vv)値の特定の標準偏差を有するポリマーフィルムに関する。本発明はまた、本ポリマーフィルムを用いて製造された合わせガラス(laminated glass)に関する。
【背景技術】
【0002】
合わせガラスは、2枚のガラスシートの間にポリマーフィルムを介在させ、ホットプレスを行ってガラスシートとポリマーフィルムとを互いに密接に結合させることによって形成された複合構造を有するガラス材料である。合わせガラスは、優れた耐衝撃性と防音性を有する。そのため、自動車業界及び建築業界で広く用いられている。
【0003】
合わせガラスの製造方法は、合わせガラスのガラスシートとポリマーフィルムの間に空気が残ることを回避するために、ガラスシートとポリマーフィルムをホットプレスする工程を含む。そこで、通常、前もってポリマーフィルムの表面をエンボス加工をして、テクスチャ(すなわち、設計された凹凸構造)を形成させ、予熱の間に脱気を促進し、それによって合わせガラス中の気泡の生成を回避する。しかし、そのようなテクスチャによって、通常、照明下で目に見える細かい線、又は合わせガラス中の屈折がもたらされる。合わせガラス中の細かい線は、光学的歪の目に見える欠点の原因となり、合わせガラスの可視性及び透過率に影響する。合わせガラス中の屈折は、眩輝(まぶしさ,glare)の原因となり、従って使用者の目の不快感を引き起こす。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
驚くべきことに、本発明者らは、前記の課題がポリマーフィルムの表面上に形成されたテクスチャの均一性に関係することを見出した。ポリマーフィルムの表面上に形成されたテクスチャの均一性が低すぎる場合、照明下で目に見える細かい線が、ポリマーフィルムを用いて調製された合わせガラス中に観察され、光学的歪の目に見える欠点の原因となり、合わせガラスの可視性及び透過率に影響する。他方、ポリマーフィルムの表面上に形成されたテクスチャの均一性が高すぎる場合、ポリマーフィルムを用いて調製された合わせガラス中に屈折が観察され、眩輝の原因となり、従って使用者の目の不快感を引き起こす。
【0005】
前記の課題を考慮すると、本発明は、ポリマーフィルム、特に、特定の負荷面積率で空隙体積(Vv)値の特定の標準偏差を有するポリマーフィルムに関する。本発明のポリマーフィルムとガラスシートをホットプレスする工程で製造された合わせガラスは、光学的歪と眩輝の問題を有さず、改善された光透過率を有する。ポリマーフィルムの空隙体積値は更に好ましい範囲内で制御され、合わせガラスの打撃粘着力値試験(pummel adhesion test)と気泡残留試験(bubble residue test)の結果を更に改善することができる。従って、本発明のポリマーフィルムは、自動車用合わせガラスの製造に特に適している。
【0006】
具体的には、本発明の目的は、第1の表面及び第2の表面を有するポリマーフィルムであって、前記第1の表面が、0.5μm/μm~2.5μm/μmの範囲である10%の負荷面積率における空隙体積(Vv)値の標準偏差を有し、前記負荷面積率及び前記空隙体積がISO25178-2:2012に準拠して定義される、ポリマーフィルムを提供することである。
【0007】
本発明のいくつかの実施態様において、前記第1の表面が、2μm/μm~35μm/μmの範囲である10%の負荷面積率における空隙体積(Vv)値を有する。
【0008】
本発明のいくつかの実施態様において、前記第1の表面が、15μm~55μmの範囲である表面粗さRz値を有し、Rz値がJIS B 0601(1994)に準拠して測定される。
【0009】
本発明のいくつかの実施態様において、前記第2の表面が、0.5μm/μm~2.5μm/μmの範囲である10%の負荷面積率における空隙体積(Vv)値の標準偏差を有する。
【0010】
本発明のいくつかの実施態様において、前記第2の表面が、2μm/μm~35μm/μmの範囲である10%の負荷面積率における空隙体積(Vv)値を有する。
【0011】
本発明のいくつかの実施態様において、前記第2の表面が、15μm~55μmの範囲である表面粗さRz値を有し、Rz値がJIS B 0601(1994)に準拠して測定される。
【0012】
本発明のいくつかの実施態様において、前記ポリマーフィルムがポリビニルアセタールを含む。前記ポリビニルアセタールは、ポリ(ビニルホルマール)、ポリ(ビニルアセタール)、ポリ(ビニルブチラール)、ポリ(ビニルペンタナール)、ポリ(ビニルヘキサナール)及びこれらの組合せからなる群から選択される。本発明の好ましい実施態様において、前記ポリビニルアセタールがポリ(ビニルブチラール)である。
【0013】
本発明のいくつかの実施態様において、ポリマーフィルムは0.1mm~2.5mmの範囲の厚さを有する。
【0014】
本発明の他の目的は、第1のガラスシートと、第2のガラスシートと、前記第1のガラスシート及び前記第2のガラスシートの間に配置された中間フィルムとを含む、合わせガラスであって、前記中間フィルムが前記ポリマーフィルムで提供される、合わせガラスを提供することである。
【0015】
本発明の前記の課題、技術的特徴及び利点をより明らかにするために、以下にいくつかの実施態様を参照して本発明を詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明における「空隙体積(Vv)値の標準偏差」のサンプリングを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明のいくつかの実施態様を、詳細に説明する。しかし、本発明は、様々な実施態様で具現化されてよく、保護を求める発明の範囲は、本明細書に記載された実施態様に限定されるべきではない。
【0018】
追加的に説明されていなければ、本明細書及び特許請求の範囲に記載された表現「1つの(a)」、「その(the)」等は単数及び複数の形態の両方を含むべきである。
【0019】
追加的に説明されていなければ、本明細書及び特許請求の範囲に記載された表現「第1」、「第2」等は、特別な意味を有さず、説明された要素又は成分を区別するためにのみ使用される。これらの表現は、優先度を表すためには使用されない。
【0020】
追加的に説明されていなければ、本明細書及び特許請求の範囲に記載された用語「負荷面積率」は、ISO25178-2:2012に準拠して定義される。負荷面積率曲線は、それによって囲まれた局所面積に対する表面高さを表す機能曲線グラフを意味する。負荷面積率は、指定された高さより上の囲まれた局所面積を意味する。
【0021】
追加的に説明されていなければ、本明細書及び特許請求の範囲に記載された用語「空隙体積(Vv)」は、ISO25178-2:2012に準拠して定義される。空隙体積は、特定の負荷面積率における単位面積当たりの空隙(void)の体積(volume)を意味する。
【0022】
追加的に説明されていなければ、本明細書及び特許請求の範囲に記載された用語「空隙体積(Vv)の標準偏差」は、以下の方法で得られる。図1に示すように、30cm×30cmのポリマーフィルムから、端から1cmの間隔で離れた4つの隅の試験サンプルと中央部の試験サンプルをそれぞれ切断することで、5つの3cm×3cmの試験サンプルを得る。次に、5つの試験サンプルにVv値の測定を行って5つのVv値を得て、その5つのVv値に基づいてVv値の標準偏差を計算する。
【0023】
追加的に説明されていなければ、本明細書及び特許請求の範囲に記載された用語「表面粗さRz」は、表面の十点平均粗さを意味し、JIS B 0601(1994)に準拠して測定される。
【0024】
本発明は、特定の負荷面積率における空隙体積の特定の標準偏差を有するポリマーフィルム、及び良好な光透過率を有し、光学的歪と眩輝を有しないポリマーフィルムを用いて製造された合わせガラスを提供する。合わせガラスは、特に自動車産業に適している。以下、本発明のポリマーフィルム及びその用途を、以下に詳細に説明する。
【0025】
1.ポリマーフィルム
1.1.ポリマーフィルムの構成
本発明のポリマーフィルムは必須成分としてポリビニルアセタールを含み、必要に応じて、可塑剤又は他の標準的な添加剤等の他の任意の成分を更に含んでもよい。本発明のいくつかの実施態様において、ポリマーフィルムはポリビニルアセタール及び可塑剤を含む。又は、ポリマーフィルムは実質的にポリビニルアセタール及び可塑剤からなる。又は、ポリマーフィルムはポリビニルアセタール及び可塑剤からなる。
【0026】
本発明のポリマーフィルムは、ポリマーフィルムが全体としてVv値の指定された標準偏差を有している限り、1つの単一層で構成される単層フィルム、又は多層で構成される多層フィルムであることができる。ポリマーフィルムが多層フィルムである場合、多層フィルムの層は、同一又は異なる材料でできていてよく、従って、同一又は異なる機能層であることができる。前記の機能層は、例えば、防音機能、断熱機能、反射機能、反射防止機能、屈折機能、屈折防止機能、光分割機能及び調光機能のうちの1つ以上の機能を有する層であってよい。
【0027】
1.1.1.ポリビニルアセタール
ポリビニルアセタールの例としては、ポリ(ビニルホルマール)、ポリ(ビニルアセタール)、ポリ(ビニルブチラール)、ポリ(ビニルペンタナール)、及びポリ(ビニルヘキサナール)が挙げられるが、これらに限定されない。前記ポリビニルアセタールは、単独で、又は2種以上の混合物として用いることができる。本発明の好ましい実施態様において、ポリビニルアセタールはポリ(ビニルブチラール)である。添付された実施例では、ポリマーフィルムは、ポリ(ビニルブチラール)及び可塑剤からなる。
【0028】
ポリビニルアセタールの分子量は、特に限定されない。本発明のいくつかの実施態様において、ポリビニルアセタールの数平均分子量は、90,000~125,000の範囲、より特に105,000~120,000の範囲であることができる。例えば、ポリビニルアセタールの数平均分子量は、90,000、90,500、91,000、91,500、92,000、92,500、93,000、93,500、94,000、94,500、95,000、95,500、96,000、96,500、97,000、97,500、98,000、98,500、99,000、99,500、100,000、100,500、101,000、101,500、102,000、102,500、103,000、103,500、104,000、104,500、105,000、105,500、106,000、106,500、107,000、107,500、108,000、108,500、109,000、109,500、110,000、110,500、111,000、111,500、112,000、112,500、113,000、113,500、114,000、114,500、115,000、115,500、116,000、116,500、117,000、117,500、118,000、118,500、119,000、119,500、120,000、120,500、121,000、121,500、122,000、122,500、123,000、123,500、124,000、124,500、若しくは125,000、又はこれら記載された2つの値の間の範囲内に入ることができる。しかし、本発明はこれらに限定されない。
【0029】
本発明のいくつかの実施態様において、ポリビニルアセタールは、ポリビニルアセタールの水酸基、アセタール基及びアセチル基の総重量に対して、74重量%~84重量%の範囲のアセタール基の含有量(すなわち、アセタール化度)を有することができる。例えば、ポリビニルアセタールのアセタール化度は、ポリビニルアセタールの水酸基、アセタール基及びアセチル基の総重量に対して、74重量%、74.5重量%、75重量%、75.5重量%、76重量%、76.5重量%、77重量%、77.5重量%、78重量%、78.5重量%、79重量%、79.5重量%、80重量%、80.5重量%、81重量%、81.5重量%、82重量%、82.5重量%、83重量%、83.5重量%、若しくは84重量%、又はこれら記載された2つの値の間の範囲内に入ることができる。ポリビニルアセタールは、ポリビニルアセタールの水酸基、アセタール基及びアセチル基の総重量に対して、0.1重量%~3.0重量%の範囲のアセチル基の含有量(すなわち、アセチル化度)を有することができる。例えば、ポリビニルアセタールのアセチル化度は、ポリビニルアセタールの水酸基、アセタール基及びアセチル基の総重量に対して、0.1重量%、0.2重量%、0.3重量%、0.4重量%、0.5重量%、0.6重量%、0.7重量%、0.8重量%、0.9重量%、1.0重量%、1.1重量%、1.2重量%、1.3重量%、1.4重量%、1.5重量%、1.6重量%、1.7重量%、1.8重量%、1.9重量%、2.0重量%、2.1重量%、2.2重量%、2.3重量%、2.4重量%、2.5重量%、2.6重量%、2.7重量%、2.8重量%、2.9重量%、若しくは3.0重量%、又はこれら記載された2つの値の間の範囲内に入ることができる。
【0030】
本発明の好ましい実施態様において、ポリビニルアセタールの水酸基含有量は、ポリビニルアセタールの水酸基、アセタール基及びアセチル基の総重量に対して、好ましくは16重量%~23重量%の範囲、より好ましくは18重量%~21重量%の範囲である。例えば、ポリビニルアセタールの水酸基含有量は、ポリビニルアセタールの水酸基、アセタール基及びアセチル基の総重量に対して、16重量%、16.5重量%、17重量%、17.5重量%、18重量%、18.5重量%、19重量%、19.5重量%、20重量%、20.5重量%、21重量%、21.5重量%、22重量%、22.5重量%、若しくは23重量%、又はこれら記載された2つの値の間の範囲内に入ることができる。ポリビニルアセタールの水酸基含有量が指摘された範囲内にある場合、ポリビニルアセタールは可塑剤とより良好な相溶性を有する。ポリビニルアセタールの水酸基含有量が指摘された範囲より高い場合、可塑剤の漏出が観察される。ポリビニルアセタールの水酸基含有量が指摘された範囲より低い場合、それから製造された合わせガラスは打撃粘着力値が低く、従って品質要件を満足しない。
【0031】
1.1.2.可塑剤
本明細書で用いられるように、可塑化剤とも呼ばれる可塑剤は、熱可塑性樹脂の可塑性を変更することができる化学物質である。可塑剤の例としては、多塩基酸又は多価アルコールのエステル、例えば、トリエチレングリコールビス(2-エチルヘキサノエート)、テトラエチレングリコールビス(2-エチルヘキサノエート)、トリエチレングリコールビス(2-エチルブチレート)、テトラエチレングリコールビス(2-エチルブチレート)、トリエチレングリコールジヘプタノエート、テトラエチレングリコールジヘプタノエート、ジヘキシルアジペート、ジオクチルアジペート、ヘキシルシクロヘキシルアジペート、ジイソノニルアジペート、ヘプチルノニルアジペート、ジブチルセバケート、ビス[2-(2-ブトキシエトキシ)エチル]アジペート、ポリマーアジペート、ジプロピレングリコールジベンゾエート、トリプロピレングリコールジベンゾエート、ポリプロピレングリコールジベンゾエート、イソデシルベンゾエート、2-エチルヘキシルベンゾエート、プロピレングリコールジベンゾエート、ジイソノニルフタレート、ジブトキシエチルテレフタレート、ヒマシ油、メチルリシノレート、大豆油、エポキシ化大豆油、及びこれらの組合せ等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0032】
可塑剤の量は、可塑剤が所望の可塑効果を提供することができる限り、特に限定されない。一般に、可塑剤の量は、ポリビニルアセタールの100重量部に対して、30重量部~60重量部であることができる。例えば、可塑剤の量は、ポリビニルアセタールの100重量部に対して、30重量部、31重量部、32重量部、33重量部、34重量部、35重量部、36重量部、37重量部、38重量部、39重量部、40重量部、41重量部、42重量部、43重量部、44重量部、45重量部、46重量部、47重量部、48重量部、49重量部、50重量部、51重量部、52重量部、53重量部、54重量部、55重量部、56重量部、57重量部、58重量部、59重量部、若しくは60重量部、又はこれら記載された2つの値の間の範囲内に入ることができる。
【0033】
1.1.3.他の標準的な添加剤
ポリマーフィルムは更に、製造中にポリマーフィルムの加工性を適応的に改善することができ、又はポリマーフィルムに特定の機能を付与することができる標準的な添加剤を含んでも良い。標準的な添加剤の例には、染料、顔料、安定剤、酸化防止剤、難燃剤、赤外線吸収剤、赤外線遮断剤、紫外線吸収剤、紫外線安定剤、潤滑剤、分散剤、界面活性剤、キレート剤、カップリング剤、接着剤、及び接着制御剤が含まれるが、これらに限定されない。前記の添加剤は、単独で、又は2つ以上の組合せで使用することができる。例えば、ポリマーフィルムは更に、着色ポリマーフィルムを形成するために染料又は顔料を含むことができる。ポリマーフィルムはまた、抗紫外線機能又は抗赤外線機能を有するように紫外線吸収剤又は赤外線吸収剤を含むことができる。
【0034】
1.2.ポリマーフィルムの特性
1.2.1.空隙体積(Vv)
ポリマーフィルムの表面の凹凸構造は、表面形態(surface morphology)の三次元画像によって特定することができる。ISO25178-2:2012は、表面形態を評価するための測定基準であり、表面形態に関連するパラメータとして空隙体積(Vv)を開示する。空隙体積(Vv)は、特定の負荷面積率における単位面積当たりの空隙の体積として定義され、負荷面積率曲線グラフから計算することができる。負荷面積率曲線グラフにおいて、Y軸は表面高さを示し、X軸は負荷面積率を示す。X軸の負荷面積率が0%の場合、Y軸の表面高さは最大であり、X軸の負荷面積率が100%の場合、Y軸の表面高さは0である。例えば、10%の負荷面積率における空隙体積(Vv)は、X軸の10%の負荷面積率に対応するY軸の表面高さに設定された水平切断面(horizontal cutting plane)の下方に囲まれた空隙の体積を表す。従って、負荷面積率が0%の場合には、空隙体積(Vv)値が最大となる。負荷面積率が100%の場合、空隙体積(Vv)値は0である。空隙体積(Vv)のパラメータについての関連説明は、ISO25178-2:2012を参照することができ、その主題は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0035】
合わせガラスの製造方法の間、ポリマーフィルムとガラスシートの間に空気が残るよりも寧ろ空気が順調に除去されることを確かにするために、ポリマーフィルムの表面は、通常、脱気を促進するためのテクスチャ(すなわち、設計された凹凸構造)と共に形成される。しかし、本発明者は、ポリマーフィルムの表面のVv値の標準偏差が高すぎる場合、照明下で観察すると、ポリマーフィルムを用いて調製された合わせガラス中に細かい線が見られ、光学的歪の目に見える欠点の原因となり、合わせガラスの可視性及び透過率に影響することを見出した。他方、ポリマーフィルムの表面のVv値の標準偏差が低すぎる場合、ポリマーフィルムを用いて調製された合わせガラス中に屈折が観察され、眩輝の原因となり、従って使用者の目の不快感を引き起こす。
【0036】
この点を考慮して、本発明の1つの特徴は、合わせガラスの光学的歪と眩輝の問題を回避するように、ポリマーフィルムのVv値の標準偏差が特定の範囲に制御されていることにある。具体的には、本発明のポリマーフィルムの第1の表面は、0.5μm/μm~2.5μm/μmの範囲である10%の負荷面積率におけるVv値の標準偏差を有する。例えば、ポリマーフィルムのVv値の標準偏差は、0.5μm/μm、0.6μm/μm、0.7μm/μm、0.8μm/μm、0.9μm/μm、1.0μm/μm、1.1μm/μm、1.2μm/μm、1.3μm/μm、1.4μm/μm、1.5μm/μm、1.6μm/μm、1.7μm/μm、1.8μm/μm、1.9μm/μm、2.0μm/μm、2.1μm/μm、2.2μm/μm、2.3μm/μm、2.4μm/μm、若しくは2.5μm/μm、又はこれら記載された2つの値の間の範囲内に入ることができる。
【0037】
加えて、より低いVv値は、ポリマーフィルムの表面の凹所が比較的浅いことを意味し、ポリマーフィルムとガラスシートの間の完全な脱気と完全な密着性の観点で望ましくない。この点を考慮して、気泡試験に合格することができ、端部の離層(edge-delamination)の欠陥を有しない合わせガラスを提供するために、本発明のポリマーフィルムの第1の表面は、好ましくは特定の範囲内のVv値を有する。本発明のいくつかの実施態様において、ポリマーフィルムの第1の表面は、2μm/μm~35μm/μmの範囲である10%の負荷面積率における空隙体積(Vv)値を有する。例えば、ポリマーフィルムの第1の表面の10%の負荷面積率における空隙体積(Vv)値は、2μm/μm、2.5μm/μm、3μm/μm、3.5μm/μm、4μm/μm、4.5μm/μm、5μm/μm、5.5μm/μm、6μm/μm、6.5μm/μm、7μm/μm、7.5μm/μm、8μm/μm、8.5μm/μm、9μm/μm、9.5μm/μm、10μm/μm、10.5μm/μm、11μm/μm、11.5μm/μm、12μm/μm、12.5μm/μm、13μm/μm、13.5μm/μm、14μm/μm、14.5μm/μm、15μm/μm、15.5μm/μm、16μm/μm、16.5μm/μm、17μm/μm、17.5μm/μm、18μm/μm、18.5μm/μm、19μm/μm、19.5μm/μm、20μm/μm、20.5μm/μm、21μm/μm、21.5μm/μm、22μm/μm、22.5μm/μm、23μm/μm、23.5μm/μm、24μm/μm、24.5μm/μm、25μm/μm、25.5μm/μm、26μm/μm、26.5μm/μm、27μm/μm、27.5μm/μm、28μm/μm、28.5μm/μm、29μm/μm、29.5μm/μm、30μm/μm、30.5μm/μm、31μm/μm、31.5μm/μm、32μm/μm、32.5μm/μm、33μm/μm、33.5μm/μm、34μm/μm、34.5μm/μm、若しくは35μm/μm、又はこれら記載された2つの値の間の範囲内に入ることができる。
【0038】
本発明のいくつかの実施態様において、ポリマーフィルムの第2の表面は、0.5μm/μm~2.5μm/μmの範囲である10%の負荷面積率における空隙体積(Vv)値の標準偏差を有する。加えて、ポリマーフィルムの第2の表面は、2μm/μm~35μm/μmの範囲である10%の負荷面積率における空隙体積(Vv)値を有する。第2の表面のVv値の標準偏差又はVv値に関する特定の値の例は、第1の表面の関係する記載を参照することができる。
【0039】
1.2.2.Rz値
本発明のいくつかの実施態様において、ポリマーフィルムの第1の表面は、15μm~55μmの範囲であるRz値を有する。例えば、ポリマーフィルムの第1の表面のRz値は、15μm、16μm、17μm、18μm、19μm、20μm、21μm、22μm、23μm、24μm、25μm、26μm、27μm、28μm、29μm、30μm、31μm、32μm、33μm、34μm、35μm、36μm、37μm、38μm、39μm、40μm、41μm、42μm、43μm、44μm、45μm、46μm、47μm、48μm、49μm、50μm、51μm、52μm、53μm、54μm、若しくは55μm、又はこれら記載された2つの値の間の範囲内に入ることができる。前記Rz値は、JIS B 0601(1994)に準拠して測定される。
【0040】
本発明のいくつかの実施態様において、ポリマーフィルムの第2の表面は、15μm~55μmの範囲であるRz値を有する。第2の表面のRz値に関する特定の値の例は、第1の表面の関係する記載を参照することができる。従って、詳細な記載は本明細書で省略する。
【0041】
1.2.3.ガラス転移温度(Tg)
本発明のいくつかの実施態様において、ポリマーフィルムのガラス転移温度(Tg)は、10℃~22℃の範囲とすることができる。例えば、ポリマーフィルムのガラス転移温度は、10℃、10.5℃、11℃、11.5℃、12℃、12.5℃、13℃、13.5℃、14℃、14.5℃、15℃、15.5℃、16℃、16.5℃、17℃、17.5℃、18℃、18.5℃、19℃、19.5℃、20℃、20.5℃、21℃、21.5℃、若しくは22℃、又はこれら記載された2つの値の間の範囲内に入ることができる。ポリマーフィルムのTgが指定された範囲より高い場合、ポリマーフィルムは比較的固く、機械エンボス加工によるテクスチャの形成が比較的難しい。ポリマーフィルムのTgが指定された範囲より低い場合、ポリマーフィルムは比較的柔らかく、機械エンボス加工の間にポリマフィルムが割れやすくなる。本発明のいくつかの実施態様において、ポリマーフィルムのTgは、12℃~15℃である。
【0042】
1.2.4.厚さ
本発明のポリマーフィルムの厚さは、ポリマーフィルムがVv値の指定された標準偏差を有する限り、必要に応じて調整することができる。一般に、ポリマーフィルムの厚さは、0.1mm~2.5mmの範囲とすることができる。例えば、ポリマーフィルムの厚さは、0.1mm、0.15mm、0.2mm、0.25mm、0.3mm、0.35mm、0.4mm、0.45mm、0.5mm、0.55mm、0.6mm、0.65mm、0.7mm、0.75mm、0.8mm、0.85mm、0.9mm、0.95mm、1.0mm、1.05mm、1.1mm、1.15mm、1.2mm、1.25mm、1.3mm、1.35mm、1.4mm、1.45mm、1.5mm、1.55mm、1.6mm、1.65mm、1.7mm、1.75mm、1.8mm、1.85mm、1.9mm、1.95mm、2.0mm、2.05mm、2.1mm、2.15mm、2.2mm、2.25mm、2.3mm、2.35mm、2.4mm、2.45mm、若しくは2.5mm、又はこれら記載された2つの値の間の範囲内に入ることができる。添付する実施例では、ポリマーフィルムの厚さは、0.38mm、0.76mm、又は1.52mmである。
【0043】
本発明のポリマーフィルムは、均一な厚さを有する前記のフィルムに限定されない。本発明のポリマーフィルムは、2つの端で異なる厚さを有し、自動車用ヘッドアップディスプレイ(HUD)に通常、用いられる楔形フィルムであることができる。従って、本明細書で用いられるように、2つの端で異なる厚さを有する楔形フィルムは「HUDフィルム」とも呼ばれる。本発明のいくつかの実施態様において、HUDフィルムの最も薄い厚さは、0.5mm~1mmの範囲とすることができる。例えば、HUDフィルムの最も薄い厚さは、0.5mm、0.55mm、0.6mm、0.65mm、0.7mm、0.75mm、0.8mm、0.85mm、0.9mm、0.95mm、若しくは1mm、又はこれら記載された2つの値の間の範囲内に入ることができる。本発明のいくつかの実施態様において、HUDフィルムの最も厚い厚さは、1.2mm~1.7mmの範囲であることができる。例えば、HUDフィルムの最も厚い厚さは、1.2mm、1.25mm、1.3mm、1.35mm、1.4mm、1.45mm、1.5mm、1.55mm、1.6mm、1.65mm、若しくは1.7mm、又はこれら記載された2つの値の間の範囲内に入ることができる。添付する実施例では、HUDフィルムは、0.76mmの最も薄い厚さと1.45mmの最も厚い厚さを有し、HUDフィルムの幅は1210mmである。
【0044】
1.3.ポリマーフィルムの製造
本発明のポリマーフィルムの製造方法は、特に限定されない。例えば、ポリビニルアセタールと任意の成分(例えば、可塑剤)とを混合し混練してポリマー組成物を得、ポリマー組成物を用いて標準的なフィルム形成方法でポリマーフィルムを提供し、機械エンボス加工工程を行うことで、ポリマーフィルムの表面上の所望のVv値の標準偏差、Vv値及びRz値を提供することで、本発明のポリマーフィルムを製造することができる。ポリマーフィルムを提供する標準的な方法の例としては、カレンダー法、キャスティング法、押出延伸法、直接押出法、および押出ブロー法が挙げられるが、これらに限定されない。
【0045】
本発明のいくつかの実施態様において、ポリマーフィルムは以下のように製造されるが、本発明はこれらに限定されない。5分~30分間、10rpm~50rpmの範囲の回転速度で、100℃~150℃の範囲の温度で、ミキサーを用いて、ポリビニルアセタール樹脂と可塑剤とを混合し混練して、ポリマー組成物を得る。ポリマー組成物を室温に冷却し、押出機に入れて、フィルムを形成する。任意に、前記のフィルム形成工程を繰り返し、ポリマー組成物の構成を、任意に調整して異なる機能を有する複数のフィルムを提供することができる。これらのフィルムを積層して、多層構造を有するポリマーフィルムを形成することができる。
【0046】
その後、所望のVv値の標準偏差、Vv値及びRz値が提供されるように、ポリマーフィルムに予熱及び機械エンボス加工を行い、上部エンボス加工ローラと下部エンボス加工ローラの角度を調整して、HUDフィルムを製造するためのエンボスされた楔形フィルムを提供することができる。本明細書で記載されるように、機械エンボス加工は、調製されたポリマーフィルムの表面にローラを用いてテクスチャを形成する方法に関する。機械エンボス加工方法としては、エンボスローラ法又はカレンダーローラ法が挙げられるが、これらに限定されない。エンボスローラ法が好ましい。機械エンボス加工方法を用いて提供されるテクスチャの種類は、ひし形テクスチャ、線形テクスチャ、鋸歯形テクスチャ、正方形テクスチャ、テーパ形テクスチャ、円形テクスチャ、半円形(sub-circular shape)テクスチャ、及び不規則形テクスチャを含むが、これらに限定されない。前記のテクスチャの種類は、単独で、又は2つ以上の組合せで用いることができる。
【0047】
予熱及び機械エンボス加工の条件は、ポリマーフィルムの構成に応じて、適応的に調整される。一般に、予熱ローラの温度は、45℃~82℃の範囲、特に58℃~75℃の範囲、より特に60℃~75℃の範囲とすることができる。エンボス加工ローラの温度は、80℃~150℃の範囲、特に90℃~140℃の範囲、より特に110℃~130℃の範囲とすることができる。エンボス加工ローラのねじり力(トーション)は、0.3N・m~1.8N・mの範囲、特に0.75N・m~1.55N・mの範囲、より特に0.8N・m~1.5N・mの範囲とすることができる。エンボス加工ローラの圧力は、2kg/cm~50kg/cmの範囲、特に10kg/cm~40kg/cmの範囲、より特に15kg/cm~25kg/cmの範囲とすることができる。
【0048】
ポリマーフィルムのVv特性に関して、エンボス加工ローラのねじり力及び予熱ローラの温度を制御することで、Vv値及びVv値の標準偏差を調節することができることが、研究から示された。エンボス加工ローラのねじり力が大きいほど、ポリマーフィルムのVv値の標準偏差及びポリマーフィルムのVv値が大きくなる。予熱ローラの温度が高いほど、ポリマーフィルムのVv値の標準偏差が小さくなる。
【0049】
2.合わせガラス
本発明のポリマーフィルムを用いて合わせガラスを製造することができる。従って、本発明は、第1のガラスシートと、第2のガラスシートと、第1のガラスシート及び第2のガラスシートの間に配置された中間フィルムとを含む合わせガラスであって、前記中間フィルムが前記ポリマーフィルムで提供される合わせガラスも提供する。
【0050】
第1のガラスシート及び第2のガラスシートは、互いに同一でも異なっていてもよい。第1のガラスシート及び第2のガラスシートはそれぞれ、合わせガラスを製造するための任意の標準的なガラスシートであることができる。合わせガラスを製造するための標準的なガラスシートとしては、例えば、フロートガラス(float glass)シート、強化ガラスシート、ワイヤードガラスシート、又は平板ガラスシートが挙げられるが、本発明はこれらに限定されない。添付された実施例では、フロートガラスシートが第1のガラスシート及び第2のガラスシートとして用いられた。
【0051】
本発明の合わせガラスは、本技術分野で公知の任意の合わせガラス製造方法で製造することができる。例えば、合わせガラスは、以下のようにして製造することができる。まず、2枚のガラスシートの間にポリマーフィルムを介在させて積層体を得る。この積層体を気密バッグに入れ、20℃~30℃の温度で少なくとも10分間、気密バッグ中の空気を気密バッグから排出する(真空度>500mmHg)。次に、積層体を内部に収容した気密バッグを加熱炉に入れ、加熱炉の温度を60℃から130℃まで徐々に上昇させる。少なくとも30分後、加熱炉から気密バッグを取り出し、予備プレスを完了する。次に、予備プレスされた積層体をオートクレーブに入れ、高圧高温条件下で100分~150分間ホットプレスし、合わせガラスを得る。一般に、前記高圧高温条件は、10バール~15バールの範囲の圧力及び100℃~150℃の範囲の温度を指す。
【実施例0052】
3.実施例
3.1.試験方法
本発明を以下に示す実施態様で更に説明する。試験装置及び試験方法は以下の通りである。
【0053】
[ポリビニルアセタールの分子量分布の測定]
ポリビニルアセタールの分子量分布は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を用いて、ポリビニルアセタールをテトラヒドロフラン(THF)に溶解し、以下の条件下でGPC分析を行うことで、測定される。ポリビニルアセタールの分子量は、標準ポリスチレン(Water PS STD)の面積に対応する比に基づいて計算される。
装置 :Waters 1515 PUMP system
検出器 :Waters 2414 RI
溶出条件:1.0mL/分、THF
カラム :Waters Styragel HR5 THF,Waters Styragel HR4 THF,Waters Styragel HR3 THF,Waters Styragel HR1 THF
【0054】
[ポリビニルアセタールのアセタール化度の測定]
ポリビニルアセタールのアセタール化度は、JIS K6728に準拠して測定される。
【0055】
[ポリビニルアセタールのアセチル化度の測定]
ポリビニルアセタールのアセチル化度は、JIS K6728に準拠して測定される。
【0056】
[ポリビニルアセタールの水酸基含有量の測定]
ポリビニルアセタールの水酸基含有量は、JIS K6728に準拠して測定される。
【0057】
[ガラス転移温度(Tg)の測定]
ポリマーフィルムのTgは、示差走査熱量計(型番:TA DSC 25,TA Instrumentsから購入)を用いて、窒素雰囲気下、測定される。まず、サンプルとしてのポリマーフィルム7mgを示差走査熱量計のサンプル台に載せ、10℃/分の加熱速度で150℃に加熱し、その温度で5分間保持する。次いで、サンプルを-50℃でバランスさせ、その温度で5分間保持する。その後、加熱速度10℃/分でサンプルを100℃に加熱し、熱流(heat flow)に対する温度の曲線グラフ(X軸は温度、Y軸は熱流)を得る。ガラス転移の中点(midpoint)に対応する温度をTgとして記録する。
【0058】
[気泡試験]
合わせガラスから、30cm×30cmの大きさの試験サンプルを切断する。試験サンプルを、14日間、120℃のオーブンに垂直に設置する。次に、試験サンプルを目視で観察し、気泡が見られるかを確認する。ここで、気泡とは、外気に触れておらず、合わせガラスの端部分でガラスシート及びポリマーフィルムの間に存在しない気泡を意味する。気泡試験の基準は、以下の通りである。試験サンプル中に気泡がない場合、気泡試験の結果は優であり、「◎」と記録される。試験サンプル中に気泡が1個しかなく、気泡の直径が0.5mm未満である場合、気泡試験の結果は良であり、「○」と記録される。試験サンプル中に、直径が0.5mm未満の気泡が2個以上ある、又は直径が0.5mmより大きい気泡が1個ある場合、気泡試験の結果は不良であり、「×」と記録される。
【0059】
[空隙体積(Vv)の測定、及びVv値の標準偏差の計算]
まず、ポリマーフィルムから、3cm×3cmの大きさの試験サンプルを切断する。ポリマーフィルムの表面の10%の負荷面積率における空隙体積(Vv)値は、ISO25178-2:2012に準拠して、24±3℃の温度及び63±3%の相対湿度で、試験サンプルとレーザー共焦点顕微鏡(型番:LEXT OLS5000-SAF,オリンパス株式会社から購入)を用いて測定される。測定条件は、以下の通りである。光源は405nmの波長を有し、対物レンズは100倍(MPLAPON-100xLEXT)であり、光学ズーム(optical zoom)は50倍であり、観察面積は1500μm×1500μmであり、解像度は1024画素×1024画素であり、動作条件はオートチルト除去(auto tilt removal)に設定され、フィルタは用いない。得られた負荷面積率曲線グラフで、10%~80%の負荷面積率におけるコア空隙体積(core void volume,Vvc)値、及び80%の負荷面積率におけるデール空隙体積(dale void volume,Vvv)値を求めることができる。空隙体積(Vv)値は、コア空隙体積(Vvc)値及びデール空隙体積(Vvv)値の合計である。空隙体積(Vv)の単位はμm/μmである。添付された実施例では、Vv値は5つの試験サンプルのVv値の平均値である。サンプリング方法は、図1に示すように、30cm×30cmのポリマーフィルムから、端から1cmの間隔で離れた4つの隅の試験サンプルと中央部の試験サンプルをそれぞれ切断することで、5つの3cm×3cmの試験サンプルを得ることである。
【0060】
加えて、その5つのVv値に基づいて標準偏差の計算を行うことで、Vv値の標準偏差を得る。
【0061】
[表面粗さRzの測定]
表面粗さRzは、JIS B 0601(1994)に準拠して、表面粗さ測定機(型名:SE300,株式会社小坂研究所から購入)を用いて測定される。まず、ポリマーフィルムから、8cm×30cmの大きさの試験サンプルを切断する。測定条件は以下の通りである。垂直倍率(vertical magnification)は自動に設定され、水平倍率(horizontal magnification)は25mm/λcに設定され、カットオフ(cut off)距離は2.5mm(すなわち、2.5mmごとに1回計算する)に設定され、評価の長さはカットオフ距離の7倍であり、ベースライン長さは17.5mmに設定され、測定方向は流れ方向(machine direction)である。
【0062】
[光学的歪の評価]
試験サンプルとしての30cm×30cmの合わせガラス、並びにプロジェクター、サンプルホルダー及びホワイトスクリーンを準備する。プロジェクター、サンプルホルダー及びホワイトスクリーンを、暗い部屋に設置する。プロジェクター及びホワイトスクリーンの間にサンプルホルダーを設置し、プロジェクター及びサンプルホルダーの間の距離とサンプルホルダー及びホワイトスクリーンの間の距離が共に1.5mである。試験サンプルをサンプルホルダーに配置し、試験サンプルがプロジェクターに向かって地面に垂直な軸に対して15度傾くように、試験サンプルの角度を調整する。プロジェクターの光源を点灯し、照射した光を試験サンプルを透過させ、ホワイトスクリーンに照射した。ホワイトスクリーンを目視で観察し、明るさ又は暗さの顕著な差異(すなわち、連続的な明るい線と暗い線)があるかを確認する。合わせガラスが細かい線を有しなければ、明るさ又は暗さの顕著な差異は観察されず、光学的歪の結果が「無」として記録される。合わせガラスが細かい線を有していれば、明るさ又は暗さの顕著な差異が観察され、光学的歪の結果が「有」として記録される。
【0063】
[光透過率の測定]
合わせガラスの光透過率は、ASTM D1003に準拠して分析される。まず、長さ6cm、幅6cm、厚さ3mmの2枚のガラスシートを水で洗浄し、ブロー乾燥した。2枚のガラスシートは整列され、重ねられる。ヘーズメーター(モデル:NDH2000ヘーズメーター,日本電色工業株式会社より購入)を用いて、2枚のガラスシートの光透過率を測定する。次に、2枚のガラスシートの間にポリマーフィルムを配置し、ホットプレッサーを用いて150℃及び2kg/cm~3kg/cmの圧力下、2分~3分間ホットプレスを施して、合わせガラスを得た。合わせガラスの表面をアルコールで清潔にする。その後、清潔にされた合わせガラスの光透過率を、ヘーズメーターを用いて測定する。
【0064】
[眩輝の評価]
ポリマーフィルムから、50cm×50cmの大きさの試験サンプルを切断し、60cm×60cm及び厚さ2mmの厚いガラスシート上に設置する。ガラスシートの下に30cmの距離で白熱電灯を設置した。試験サンプルの上方に100cmの距離でポリマーフィルムを目視で観察し、目の不快感を持つかを見るには、10人の人が必要である。眩輝の評価は、以下のように行う。0~3人の試験者が目の不快感を持った場合、ポリマーフィルムの眩輝の評価は良であり、「A」として記録される。4~6人の試験者が目の不快感を持った場合、ポリマーフィルムの眩輝の評価は可であり、「B」として記録される。7~10人の試験者が目の不快感を持った場合、ポリマーフィルムの眩輝の評価は不良であり、「C」として記録される。
【0065】
[打撃粘着力値試験]
3枚の30cm×15cmの大きさの合わせガラスを-20℃で2時間、静置した。次に、20℃~25℃の温度で打撃粘着力値試験のための自動打撃試験機の上に、合わせガラスを設置する。横断する方向に沿って端から中央部まで12.7mmの間隔で、1ポンドのハンマーを用いて、合わせガラスを打撃する。打撃された合わせガラスを室温で30分間、静置し、標準サンプルと比較する。打撃された合わせガラスのポリマーフィルムの暴露レベルに従って、合わせガラスを評価する。評価は、0~9の打撃スコアで示される。0の打撃スコアは、ポリマーフィルムの暴露が90%より高いことを示す。1の打撃スコアは、ポリマーフィルムの暴露が80%より高く90%以下であることを示す。2の打撃スコアは、ポリマーフィルムの暴露が70%より高く80%以下であることを示す。3の打撃スコアは、ポリマーフィルムの暴露が60%より高く70%以下であることを示す。4の打撃スコアは、ポリマーフィルムの暴露が50%より高く60%以下であることを示す。5の打撃スコアは、ポリマーフィルムの暴露が40%より高く50%以下であることを示す。6の打撃スコアは、ポリマーフィルムの暴露が30%より高く40%以下であることを示す。7の打撃スコアは、ポリマーフィルムの暴露が20%より高く30%以下であることを示す。8の打撃スコアは、ポリマーフィルムの暴露が10%より高く20%以下であることを示す。9の打撃スコアは、ポリマーフィルムの暴露が10%以下であることを示す。6より高い打撃スコアは、ポリマーフィルムとガラスシートの粘着性が強すぎることを示し、そのような合わせガラスは、割れにくく、自動車事故の際、乗客がガラスにぶつかってケガをするかもしれないことを考慮すると、自動車用合わせガラスには適していない。4より低い打撃スコアは、ポリマーフィルムとガラスシートの粘着性が弱すぎることを示し、そのような合わせガラスは、破裂しやすいことを考慮すると、自動車用合わせガラスには適していない。4~6の打撃スコアは、ポリマーフィルムとガラスシートの粘着性が適度であることを示し、そのような合わせガラスは、自動車用合わせガラスに適する。
【0066】
3.2.ポリマーフィルムの製造及び特性
まず、100重量部のポリ(ビニルブチラール)(PVB,チャン チュン ペトロケミカル カンパニー リミテッドから購入)、及び40重量部の可塑剤(トリエチレングリコール ビス(2-エチルヘキサノエート))を混合して混合物を得た。この混合物を、ミキサーを用いて120℃、回転速度35rpmで15分間混練し、混合物を室温まで冷却してポリマーフィルム組成物を得た。次に、ポリマーフィルム組成物を押出機に入れて、ポリマーフィルムを得た。
【0067】
表1-1及び表1-2に示したパラメーター条件に従って、ポリマーフィルムの2つの表面に、予熱及び機械エンボス加工を施して、実施例1~11及び比較例1~9のポリマーフィルムを得た。表1-1及び表1-2に示したパラメーター条件に加えて、一対のエンボスローラを通過するポリマーフィルムの線速度は、18m/分の範囲であった。実施例1~11及び比較例1~9のポリマーフィルムに用いたPVBの、分子量、アセタール化度、アセチル化度及び水酸基含有量を含む特性を、前記の試験方法に従って測定した。それらの結果を表2-1及び表2-2に示す。加えて、実施例1~11及び比較例1~9のポリマーフィルムの、厚さ、Tg、Vv、Vvの標準偏差及びRzを含む特性を、前記の試験方法に従って測定した。それらの結果を表2-3及び表2-4に示す。
【0068】
【表1-1】
【0069】
【表1-2】
【0070】
【表2-1】
【0071】
【表2-2】
【0072】
【表2-3】
【0073】
【表2-4】
【0074】
3.3.合わせガラスの製造及び特性
実施例1~11及び比較例1~9のポリマーフィルムをそれぞれ用いて、合わせガラスを製造した。まず、2枚のクリーンな透明フロートガラスシート(長さ300mm、幅300mm、厚さ2mm~2.2mm)を準備した。実施例1~11及び比較例1~9のポリマーフィルムを、2枚の透明フロートガラスシートの間にそれぞれ介在させて、積層体を得た。この積層体を、気密バッグを用いて排出によって予備プレスした。予備プレスは以下のように行った。積層体を気密バッグに入れ、少なくとも10分間20℃~30℃の温度で、気密バッグから空気を排出した(真空度>500mmHg)。次に、積層体を収容した気密バッグを加熱炉に入れ、20℃~30℃の温度で10分~20分間保持し、60℃~130℃に加熱し、15分~45分間保持した。その後、加熱炉から気密バッグを取り出し、室温まで冷却した。次に、予備プレスした積層体を気密バッグから取り出し、オートクレーブに入れ、13バールの圧力及び135℃の温度で120分間ホットプレスを施し、室温まで冷却して合わせガラスを得た。
【0075】
実施例1~11及び比較例1~9の合わせガラスの特性、例えば光学的歪の評価、光透過率、眩輝の評価、打撃粘着力値及び気泡残留を、前記の試験方法に従って評価した。それらの結果を表3-1および表3-2に示す。
【0076】
【表3-1】
【0077】
【表3-2】
【0078】
表3-1に示すように、本発明のポリマーフィルムから製造された合わせガラスは、光学的歪の評価、眩輝の評価、打撃粘着力値試験及び気泡残留試験で満足な結果を達成した。実施例1~11は、ポリマーフィルムのVv値の標準偏差が指定された範囲内である場合、製造された合わせガラスは光学的歪と眩輝が無く、良好な光透過率を有することを示す。特に、実施例1~10は更に、ポリマーフィルムのVv値の標準偏差が指定された範囲内であり、ポリマーフィルムのVv値及びRz値が指定された範囲内である場合、製造された合わせガラスは光学的歪と眩輝を有しないだけではなく、適度な打撃粘着力値をも有し、気泡試験で優れた結果を示す。
【0079】
それに対して、表3-2に示すように、本発明に属さないポリマーフィルムから製造された合わせガラスは、光学的歪と眩輝を有さないこと、及び良好な光透過率を有することの効果を同時に有することはできない。特に、比較例1~9は、ポリマーフィルムのVv値の標準偏差が指定された範囲外である場合、ポリマーフィルムのVv値及びRz値が記載された好ましい範囲内であったとしても、製造された合わせガラスは、光学的歪と眩輝を有さないこと、及び良好な光透過率を有することの効果を同時に有することはできないことを示す。
【0080】
前記の実施例は、本発明の原理及び効果を説明し、その発明的特徴を示すために用いられており、本発明の範囲を限定するために用いられない。当業者は、記載された発明の開示及び提案に基づいて、様々な変更及び交換を行うことができる。従って、本発明の保護範囲は、添付する特許請求の範囲で定義されたものである。
図1
【手続補正書】
【提出日】2022-04-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の表面及び第2の表面を有するポリマーフィルムであって、
前記第1の表面が、0.5μm/μm~2.5μm/μmの範囲である10%の負荷面積率における空隙体積(Vv)値の標準偏差を有し、前記負荷面積率及び前記空隙体積がISO25178-2:2012に準拠して定義される、ポリマーフィルム。
【請求項2】
前記第1の表面が、2μm/μm~35μm/μmの範囲である10%の負荷面積率における空隙体積(Vv)値を有する、請求項1に記載のポリマーフィルム。
【請求項3】
前記第1の表面が、15μm~55μmの範囲である表面粗さRz値を有し、Rz値がJIS B 0601(1994)に準拠して測定される、請求項1又は2に記載のポリマーフィルム。
【請求項4】
前記第2の表面が、0.5μm/μm~2.5μm/μmの範囲である10%の負荷面積率における空隙体積(Vv)値の標準偏差を有する、請求項1又は2に記載のポリマーフィルム。
【請求項5】
前記第2の表面が、2μm/μm~35μm/μmの範囲である10%の負荷面積率における空隙体積(Vv)値を有し、前記負荷面積率及び前記空隙体積がISO25178-2:2012に準拠して定義される、請求項4に記載のポリマーフィルム。
【請求項6】
前記第2の表面が、15μm~55μmの範囲である表面粗さRz値を有し、Rz値がJIS B 0601(1994)に準拠して測定される、請求項4記載のポリマーフィルム。
【請求項7】
前記ポリマーフィルムがポリビニルアセタールを含む、請求項1又は2に記載のポリマーフィルム。
【請求項8】
前記ポリビニルアセタールがポリ(ビニルブチラール)である、請求項7に記載のポリマーフィルム。
【請求項9】
0.1mm~2.5mmの範囲の厚さを有する、請求項1又は2に記載のポリマーフィルム。
【請求項10】
第1のガラスシートと、第2のガラスシートと、前記第1のガラスシート及び前記第2のガラスシートの間に配置された中間フィルムとを含む、合わせガラスであって、
前記中間フィルムが請求項1又は2に記載のポリマーフィルムで提供される、合わせガラス。
【手続補正書】
【提出日】2022-09-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の表面及び第2の表面を有するポリマーフィルムであって、
前記第1の表面が、0.5μm/μm~2.5μm/μmの範囲である10%の負荷面積率における空隙体積(Vv)値の標準偏差を有し、前記負荷面積率及び前記空隙体積がISO25178-2:2012に準拠して定義され、
前記ポリマーフィルムがポリビニルアセタールを含む、ポリマーフィルム。
【請求項2】
前記第1の表面が、2μm/μm~35μm/μmの範囲である10%の負荷面積率における空隙体積(Vv)値を有する、請求項1に記載のポリマーフィルム。
【請求項3】
前記第1の表面が、15μm~55μmの範囲である表面粗さRz値を有し、Rz値がJIS B 0601(1994)に準拠して測定される、請求項1又は2に記載のポリマーフィルム。
【請求項4】
前記第2の表面が、0.5μm/μm~2.5μm/μmの範囲である10%の負荷面積率における空隙体積(Vv)値の標準偏差を有する、請求項1又は2に記載のポリマーフィルム。
【請求項5】
前記第2の表面が、2μm/μm~35μm/μmの範囲である10%の負荷面積率における空隙体積(Vv)値を有し、前記負荷面積率及び前記空隙体積がISO25178-2:2012に準拠して定義される、請求項4に記載のポリマーフィルム。
【請求項6】
前記第2の表面が、15μm~55μmの範囲である表面粗さRz値を有し、Rz値がJIS B 0601(1994)に準拠して測定される、請求項4に記載のポリマーフィルム。
【請求項7】
前記ポリビニルアセタールがポリ(ビニルブチラール)である、請求項1又は2に記載のポリマーフィルム。
【請求項8】
0.1mm~2.5mmの範囲の厚さを有する、請求項1又は2に記載のポリマーフィルム。
【請求項9】
第1のガラスシートと、第2のガラスシートと、前記第1のガラスシート及び前記第2のガラスシートの間に配置された中間フィルムとを含む、合わせガラスであって、
前記中間フィルムが請求項1又は2に記載のポリマーフィルムで提供される、合わせガラス。
【手続補正書】
【提出日】2023-01-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の表面及び第2の表面を有するポリマーフィルムであって、
前記第1の表面が、0.5μm/μm~2.5μm/μmの範囲である10%の負荷面積率における空隙体積(Vv)値の標準偏差を有し、前記負荷面積率及び前記空隙体積がISO25178-2:2012に準拠して定義され、
前記ポリマーフィルムがポリビニルアセタール及び可塑剤を含
前記ポリマーフィルムが0.1mm~2.5mmの範囲の厚さを有し、
前記ポリビニルアセタールがポリ(ビニルブチラール)であり、
前記ポリビニルアセタールの数平均分子量が90,000~125,000の範囲であり、
前記可塑剤の量が、ポリビニルアセタールの100重量部に対して30重量部~60重量部の範囲である、ポリマーフィルム。
【請求項2】
前記第1の表面が、2μm/μm~35μm/μmの範囲である10%の負荷面積率における空隙体積(Vv)値を有する、請求項1に記載のポリマーフィルム。
【請求項3】
前記第1の表面が、15μm~55μmの範囲である表面粗さRz値を有し、Rz値がJIS B 0601(1994)に準拠して測定される、請求項1又は2に記載のポリマーフィルム。
【請求項4】
前記第2の表面が、0.5μm/μm~2.5μm/μmの範囲である10%の負荷面積率における空隙体積(Vv)値の標準偏差を有する、請求項1又は2に記載のポリマーフィルム。
【請求項5】
前記第2の表面が、2μm/μm~35μm/μmの範囲である10%の負荷面積率における空隙体積(Vv)値を有し、前記負荷面積率及び前記空隙体積がISO25178-2:2012に準拠して定義される、請求項4に記載のポリマーフィルム。
【請求項6】
前記第2の表面が、15μm~55μmの範囲である表面粗さRz値を有し、Rz値がJIS B 0601(1994)に準拠して測定される、請求項4に記載のポリマーフィルム。
【請求項7】
第1のガラスシートと、第2のガラスシートと、前記第1のガラスシート及び前記第2のガラスシートの間に配置された中間フィルムとを含む、合わせガラスであって、
前記中間フィルムが請求項1又は2に記載のポリマーフィルムで提供される、合わせガラス。