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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023060864
(43)【公開日】2023-04-28
(54)【発明の名称】フード及び被服
(51)【国際特許分類】
   A41D 3/00 20060101AFI20230421BHJP
   A41D 15/04 20060101ALI20230421BHJP
   A42B 1/04 20210101ALI20230421BHJP
【FI】
A41D3/00 K
A41D15/04 Z
A42B1/04 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023026807
(22)【出願日】2023-02-23
(62)【分割の表示】P 2021033338の分割
【原出願日】2021-03-03
(71)【出願人】
【識別番号】521091365
【氏名又は名称】臼澤 雄太
(74)【代理人】
【識別番号】100093148
【弁理士】
【氏名又は名称】丸岡 裕作
(72)【発明者】
【氏名】臼澤 雄太
(57)【要約】
【課題】 物を入れる空間を大きくして収納容量の拡張を図る。
【解決手段】 頭部を覆う凹所2を形成するとともに前開放口3及びこれに連続する肩側の肩側開放口4を有した本体1を備え、この本体1を物を入れるバッグとしても使用可能に形成したものにおいて、本体1を、互いに離間可能に重畳させられて凹所2を形成する一方覆部10Aと一方覆部10Aに連設される他方覆部10Bとを有して構成し、一方覆部10A及び他方覆部10Bの離間時に一方覆部10A及び他方覆部10Bの内面側で物を収容する本体収容空間Eaを形成可能にし、本体1の本体開口11に、内側に折曲されて離間可能に重畳し、外側に折曲したとき本体収容空間Eaと共同して物を収容可能な延設体収容空間Ebを形成可能にする延設体20を設けた。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
頭部を覆う凹所を形成するとともに前開放口及び該前開放口に連続する肩側の肩側開放口を有した本体を備え、該本体を物を入れるバッグとしても使用可能に形成したフードにおいて、
上記本体を、内面同士が互いに離間可能に重畳させられて上記凹所を形成するとともに頭部に面するインナー及び該インナーの外側に設けられるアウターの何れか一方を構成する一方覆部と該一方覆部に連設され上記インナー及びアウターの何れか他方を構成する他方覆部とを有して構成し、上記一方覆部及び他方覆部の離間時に該一方覆部及び他方覆部の内面側で物を収容し上記凹所で形成される容積の略2倍の容積になる本体収容空間を形成可能にし、上記本体の肩側開放口を形成する開放口縁に沿って上記本体収容空間に物を収容するための本体開口を形成し、
上記本体に、一方の開口及び他方の開口を有して筒状に形成され且つ上記他方の開口を閉じたとき袋状に形成され、上記一方の開口を上記本体開口の開口縁部に沿って連設される周縁部とするとともに該周縁部から内側に折曲されて上記一方覆部及び他方覆部の内面に離間可能に重畳する延設体を設け、
該延設体を上記周縁部を境にして内側に折曲したとき該延設体の外面を介して上記本体収容空間を形成可能にするとともに、上記延設体を上記一方覆部及び他方覆部から離間させて上記周縁部を境にして外側に折曲したとき該延設体の内面側で上記本体収容空間に連続し該本体収容空間と共同して物を収容可能な延設体収容空間を形成可能にし、
上記延設体の他方の開口を、上記本体収容空間及び延設体収容空間で形成される合体収容空間に物を入れるための合体開口として構成し、
上記本体の一方覆部及び他方覆部を略同じ形状及び略同じ大きさに形成し、
上記延設体を、上記本体開口の開口縁部に沿って連設される周縁部から所定範囲に亘って延び上記一方覆部に接合する一方延設部と、上記本体開口の開口縁部に沿って連設される周縁部から所定範囲に亘って延び上記他方覆部に接合する他方延設部とを備えて構成し、上記一方延設部及び他方延設部を略同じ形状及び略同じ大きさに形成したことを特徴とするフード。
【請求項2】
頭部を覆う凹所を形成するとともに前開放口及び該前開放口に連続する肩側の肩側開放口を有した本体を備え、該本体を物を入れるバッグとしても使用可能に形成したフードにおいて、
上記本体を、内面同士が互いに離間可能に重畳させられて上記凹所を形成するとともに頭部に面するインナー及び該インナーの外側に設けられるアウターの何れか一方を構成する一方覆部と該一方覆部に連設され上記インナー及びアウターの何れか他方を構成する他方覆部とを有して構成し、上記一方覆部及び他方覆部の離間時に該一方覆部及び他方覆部の内面側で物を収容し上記凹所で形成される容積の略2倍の容積になる本体収容空間を形成可能にし、上記本体の肩側開放口を形成する開放口縁に沿って上記本体収容空間に物を収容するための本体開口を形成し、
上記本体に、開口を有して袋状の形態をとりうるものであって、該開口を上記本体開口の開口縁部に沿って連設される周縁部とするとともに該周縁部から内側に折曲されて上記一方覆部及び他方覆部の内面に離間可能に重畳する延設体を設け、
該延設体を上記周縁部を境にして内側に折曲したとき該延設体の外面を介して上記本体収容空間を形成可能にするとともに、上記延設体を上記一方覆部及び他方覆部から離間させて上記周縁部を境にして外側に折曲したとき該延設体の内面側で上記本体収容空間に連続し該本体収容空間と共同して物を収容可能な延設体収容空間を形成可能にし、
上記本体に単独に、または、上記延設体に単独に、あるいは、上記本体及び延設体に、若しくは、上記本体及び延設体に跨って、若しくはまた、上記本体及び延設体が連設される境界に沿って、上記本体収容空間及び延設体収容空間で形成される合体収容空間に物を入れるための合体開口であって閉じたときに上記本体及び延設体を袋状にする合体開口を設け、
上記本体の一方覆部及び他方覆部を略同じ形状及び略同じ大きさに形成し、
上記延設体を、上記本体開口の開口縁部に沿って連設される周縁部から所定範囲に亘って延び上記一方覆部に接合する一方延設部と、上記本体開口の開口縁部に沿って連設される周縁部から所定範囲に亘って延び上記他方覆部に接合する他方延設部とを備えて構成し、上記一方延設部及び他方延設部を略同じ形状及び略同じ大きさに形成し、
上記本体及び延設体を略同じ形状及び略同じ大きさに形成するとともに、上記一方延設部を一方覆部と略同じ形状及び略同じ大きさに形成し、上記他方延設部を他方覆部と略同じ形状及び略同じ大きさに形成したことを特徴とするフード。
【請求項3】
上記本体及び延設体に跨って上記合体開口を形成するとともに、該本体側の合体開口の大きさと上記延設体側の合体開口の大きさを同じにしたことを特徴とする請求項2記載のフード。
【請求項4】
上記本体開口の開口縁部に、該本体開口を挟んで互いに対峙する一対のストラップの持ち手を設けたことを特徴とする請求項1乃至3何れかに記載のフード。
【請求項5】
上記合体開口の開口縁部に、該合体開口を挟んで互いに対峙する一対のストラップの持ち手を設けたことを特徴とする請求項1乃至4何れかに記載のフード。
【請求項6】
上記合体収容空間を、オートバイに設けた係止部に係止可能なロックリングを備えたヘルメットを収納する大きさに形成し、
上記合体開口を、穴の開いた引手を有したスライダにより務歯を噛合及び噛合解除するスライドファスナにより開閉可能にし、
上記本体若しくは延設体に、上記合体収容空間に収容されたヘルメットのロックリングを引出し可能な貫通孔を形成し、
上記スライドファスナの引手の穴とロックリングとを一緒にして上記オートバイの係止部に係止可能にしたことを特徴とする請求項1乃至5何れかに記載のフード。
【請求項7】
上記引手の穴に上記ロックリングに引き通し可能な可撓性のループリングを連結したことを特徴とする請求項6記載のフード。
【請求項8】
上記延設体であって、上記スライドファスナの閉位置におけるスライダの近傍に、上記ループリングを引き通し可能且つ引き通した際スライドファスナの引手の移動を規制する規制リングを設けたことを特徴とする請求項7記載のフード。
【請求項9】
上記一方覆部の外面の視認形態と他方覆部の外面の視認形態を異ならせたことを特徴とする請求項1乃至8何れかに記載のフード。
【請求項10】
上記本体内であって、該本体の前開放口の開放口縁に沿って両端に出口が形成された貫通路を形成し、該貫通路に上記前開放口の開度を調整可能な調整紐を各出口から端部を突出させて引き通したことを特徴とする請求項1乃至9何れかに記載のフード。
【請求項11】
上記本体の前開放口の開放口縁の肩側開放口側の端部部分に、左右互いに接続及び接続解除可能にする接続部材を設けたことを特徴とする請求項1乃至10何れかに記載のフード。
【請求項12】
上記本体を衣服に取付けるための取着手段を備えたことを特徴とする請求項1乃至11何れかに記載のフード。
【請求項13】
上記取着手段は、上記本体の肩側開放口の開口縁部を、衣服の首が通る首回り開口の開口縁部に着脱可能に取付けることを特徴とする請求項12記載のフード。
【請求項14】
上記取着手段を、上記衣服の首回り開口の開口縁部に沿うとともに該開口縁部の内側に沿って配置可能な可撓性帯状の第1部材と、上記本体の肩側開放口の開放口縁部に沿うとともに該開放口縁部の内側に沿って付設され上記第1部材に対応した長さの可撓性帯状の第2部材と、上記第1部材を上記衣服に配置した状態で上記本体に付設した第2部材を上記衣服の外側から該衣服を介して上記第1部材に接合した際、該第1部材と第2部材とを互いに着接保持する着接手段とを備えて構成したことを特徴とする請求項13記載のフード。
【請求項15】
上記着接手段を、上記第1部材に設けられマグネット及び/またはマグネットに磁着する磁着体からなる第1磁着部材と、上記第2部材に設けられマグネット及び/またはマグネットに磁着する磁着体からなり上記第1磁着部材に磁着する第2磁着部材とで構成したことを特徴とする請求項14記載のフード。
【請求項16】
上記第2部材を上記本体の肩側開放口の開放口縁部の内側に着脱可能にする着脱手段を設けたことを特徴とする請求項15記載のフード。
【請求項17】
首回り開口を備えた衣服と、該衣服の首回り開口の開口縁部に着脱可能に設けられ頭部を覆うフードとを備えた被服において、
上記請求項12乃至16何れかに記載のフードを備えたことを特徴とする被服。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、頭部を覆うフード及びフードを備えた被服に係り、特に、物を入れるバッグとしても使用可能なフード及びこれを備えた被服に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のフードとしては、例えば、特許第2846264号公報(特許文献1)に掲載されたものが知られている。図16に示すように、このフードHaは、衣服Cの首が通る首回り開口Caの開口縁部Cbに着脱可能になっており、取外し時に、バッグとしての肩掛けポーチとして使用できるようにしている。フードHaは、頭部を覆う凹所101を形成するとともに前開放口102及び前開放口102に連続する肩側の肩側開放口103を有した本体100を備えている。この本体の肩側開放口103の内側には、衣服Cの開口縁部Cbに設けた雄型ホック104に着脱可能な雌型ホック105が取付けられている。また、本体100の前開放口102の外側にも衣服と同様の雄型ホック104が設けられている。そして、このフードHaを衣服Cに取付けて使用するときは、本体100の雌型ホック105を衣服Cの首回り開口Caの開口縁部Cbに設けた雄型ホック104に嵌着する。一方、フードHaをバッグとしての肩掛けポーチとして使用するときは、フードHaを衣服Cから外し、フードHaの肩側開放口103の両端に設けた連結具106間に肩掛けベルト107を架設し、本体100の雌型ホック105を本体100に設けた雄型ホック104に嵌着するようにし、この本体100の凹所101に物を入れるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第2846264号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、この従来のフードHaにおいては、本体100の凹所101を物を入れる空間にしているが、凹所101は頭部を覆う程度の大きさなので、例えばバイク用のヘルメット等、頭部より大きなものを入れることができないことから、収納容量が比較的小さいという問題があった。
本発明は上記の問題点に鑑みて為されたもので、物を入れる空間を大きくして収納容量の拡張を図ったフード及びこれを用いた被服を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するための本発明(請求項1記載の発明と請求項2記載の発明)のフードの基本的構成は、頭部を覆う凹所を形成するとともに前開放口及び該前開放口に連続する肩側の肩側開放口を有した本体を備え、該本体を物を入れるバッグとしても使用可能に形成したフードにおいて、
上記本体を、内面同士が互いに離間可能に重畳させられて上記凹所を形成するとともに頭部に面するインナー及び該インナーの外側に設けられるアウターの何れか一方を構成する一方覆部と該一方覆部に連設され上記インナー及びアウターの何れか他方を構成する他方覆部とを有して構成し、上記一方覆部及び他方覆部の離間時に該一方覆部及び他方覆部の内面側で物を収容し上記凹所で形成される容積の略2倍の容積になる本体収容空間を形成可能にし、上記本体の肩側開放口を形成する開放口縁に沿って上記本体収容空間に物を収容するための本体開口を形成した構成としている。一方覆部と他方覆部とは前開放口及び肩側開放口の開放口縁を境にして連設されている。
【0006】
一方覆部及び他方覆部の形状,大きさや材質は互いに同じであっても良く、異なっていても良い。また、一方覆部及び他方覆部の材質は、特に限定されないが、両者を布等の可撓性シート状の材質で構成することができる。あるいは、外側に位置する何れか一方の覆部(アウター)をヘルメット様の硬質のプラスチック等の材料で構成し、内側に位置し頭部に面する何れか他方の覆部(インナー)を布等の可撓性シート状の材質で構成することができる。
【0007】
可撓性シート状の材料としては、例えば、綿,麻,毛織,革等の天然素材、ナイロン,ポリエステル等の合成素材、天然素材と合成素材を複合した複合素材等どのようなものでも良い。また、一方覆部と他方覆部との連設は、縫合や接着等どのような手段で行っても良い。更に、本体開口は、一方覆部及び/または他方覆部に設けることができる。その場合、一方覆部及び他方覆部に跨って設け、あるいはまた、一方覆部及び他方覆部が連設される境界に設けることができる。本体開口を複数設けてよい。また、本体開口は、開いたままでも良く、線ファスナ(スライドファスナ),面ファスナ(工業用ファスナ),ホック,マグネット,クリップ,ボタン等適宜の手段で開閉可能にすることができる。また、従来のように肩掛けベルトを取付ける連結部を設けたり、予め、持ち手を適所に設けておくことができる。バッグとして使用する際、持ち易くなり好ましい。
【0008】
これにより、本体で頭部を覆うフード本来の通常使用するときは、一方覆部及び他方覆部の内面同士を接合して重畳して凹所を形成する。この場合、一方覆部及び他方覆部の両者を布等の可撓性シート状の材質で構成した場合には、一方覆部を内側に位置させ他方覆部を外側に位置させて一方覆部の外面で凹所を形成しても良く、あるいは、他方覆部を内側に位置させ一方覆部を外側に位置させて他方覆部の外面で凹所を形成しても良い。この状態で、前開放口に顔が露出し肩側開放口が肩側に位置するように本体の凹所内に頭部を入れて覆う。
【0009】
一方、バッグとして使用するときは、一方覆部と他方覆部とを離間させて膨らませる。これにより、一方覆部及び他方覆部の内面側で物を収容する本体収容空間が形成される。そして、本体開口から物を入れて本体収容空間に収納する。この場合、従来においては、収容空間が凹所の容量しかなかったが、本体収容空間は、一方覆部の内面側で形成される空間と他方覆部の内面側で形成される空間との和で構成されるので、その容積が従来の略2倍になる。このため、従来に比較して収納容量が拡張し、例えば、頭部より大きなものを入れることができるようになり、また、小物であってもその収納量を増加させることができるようになる。
【0010】
この場合、上記本体の肩側開放口を形成する開放口縁に沿って上記本体開口を形成したことから、一方覆部及び他方覆部が連設される境界に設けることになるので、本体開口を中央に位置させることができ、バランスを良くすることができる。また、一方覆部及び他方覆部を生地から裁断して形成する際等、製造を容易にすることができる。
【0011】
また、必要に応じ、上記本体開口の開口縁部に、該本体開口を挟んで互いに対峙する一対のストラップの持ち手を設けた構成としている。これにより、持ち手を本体開口を挟んで一対設けたので、バランスが良く、持ち易くすることができる。
【0012】
そして、請求項1記載の発明は、上記本体に、一方の開口及び他方の開口を有して筒状に形成され且つ上記他方の開口を閉じたとき袋状に形成され、上記一方の開口を上記本体開口の開口縁部に沿って連設される周縁部とするとともに該周縁部から内側に折曲されて上記一方覆部及び他方覆部の内面に離間可能に重畳する延設体を設け、
該延設体を上記周縁部を境にして内側に折曲したとき該延設体の外面を介して上記本体収容空間を形成可能にするとともに、上記延設体を上記一方覆部及び他方覆部から離間させて上記周縁部を境にして外側に折曲したとき該延設体の内面側で上記本体収容空間に連続し該本体収容空間と共同して物を収容可能な延設体収容空間を形成可能にし、
上記延設体の他方の開口を、上記本体収容空間及び延設体収容空間で形成される合体収容空間に物を入れるための合体開口として構成している。
また、請求項2記載の発明は、上記本体に、開口を有して袋状の形態をとりうるものであって、該開口を上記本体開口の開口縁部に沿って連設される周縁部とするとともに該周縁部から内側に折曲されて上記一方覆部及び他方覆部の内面に離間可能に重畳する延設体を設け、
該延設体を上記周縁部を境にして内側に折曲したとき該延設体の外面を介して上記本体収容空間を形成可能にするとともに、上記延設体を上記一方覆部及び他方覆部から離間させて上記周縁部を境にして外側に折曲したとき該延設体の内面側で上記本体収容空間に連続し該本体収容空間と共同して物を収容可能な延設体収容空間を形成可能にし、
上記本体に単独に、または、上記延設体に単独に、あるいは、上記本体及び延設体に、若しくは、上記本体及び延設体に跨って、若しくはまた、上記本体及び延設体が連設される境界に沿って、上記本体収容空間及び延設体収容空間で形成される合体収容空間に物を入れるための合体開口であって閉じたときに上記本体及び延設体を袋状にする合体開口を設けた構成としている。
【0013】
延設体の材質は、布等の可撓性シート状のものであれば特に限定されず、例えば、綿,麻,毛織,革等の天然素材、ナイロン,ポリエステル等の合成素材、天然素材と合成素材を複合した複合素材等どのようなものでも良い。本体と延設体の材質を同じにしても良く、異ならせても良い。また、本体と延設体の連設は、縫合や接着等どのような手段で行っても良い。更に、合体開口を複数設けてよい。また、合体開口は、開いたままでも良く、線ファスナ(スライドファスナ),面ファスナ(工業用ファスナ),ホック,マグネット,クリップ,ボタン等適宜の手段で開閉可能にすることができる。また、従来のように肩掛けベルトを取付ける連結部を設けたり、予め、持ち手を適所に設けておくことができる。バッグとして使用する際、持ち易くなり好ましい。
【0014】
これにより、本体で頭部を覆うフード本来の通常使用するときは、延設体を周縁部を境にして本体の内側に折曲し、延設体の内面を一方覆部及び他方覆部の内面に接合して重畳するとともに、この状態で、一方覆部及び他方覆部の内面同士をこの延設体を介して接合して重畳して凹所を形成する。この場合、一方覆部及び他方覆部の両者を布等の可撓性シート状の材質で構成した場合には、一方覆部を内側に位置させ他方覆部を外側に位置させて一方覆部の外面で凹所を形成しても良く、あるいは、他方覆部を内側に位置させ一方覆部を外側に位置させて他方覆部の外面で凹所を形成しても良い。この状態で、前開放口に顔が露出し肩側開放口が肩側に位置するように本体の凹所内に頭部を入れて覆う。
【0015】
一方、バッグとして使用するときは、2通りの態様がある。1つの態様は、延設体を周縁部を境にして本体の内側に折曲し、延設体の内面を一方覆部及び他方覆部の内面に接合して重畳させた状態で、一方覆部と他方覆部とを離間させて膨らませる。これにより、一方覆部及び他方覆部の内面側であって、延設体の外面を介して本体収容空間が形成される。そして、本体開口から物を入れて本体収容空間に収納する。この場合、上述したと同様に、従来においては、収容空間が凹所の容量しかなかったが、本体収容空間は、一方覆部の内側で形成される空間と他方覆部の内側で形成される空間との和になるので、その容積が従来の略2倍になる。このため、従来に比較して収納容量が拡張し、例えば、頭部より大きなものを入れることができるようになり、また、小物であってもその収納量を増加させることができるようになる。
【0016】
もう1つの態様は、延設体を一方覆部及び他方覆部から離間させて周縁部を境にして外側に折曲して引出し、膨らませる。これにより、一方覆部及び他方覆部の内面側で本体収容空間が形成されるとともに、延設体の内面側で本体収容空間に連続し本体収容空間と共同して物を収容可能な延設体収容空間が形成される。即ち、本体収容空間及び延設体収容空間により、合体収容空間が形成される。そして、合体開口から物を入れて合体収容空間に収納する。この場合、本体収容空間に加えて、延設体収容空間が更に加わるので、より一層、収納容量を拡張することができる。延設体の大きさにもよるが、延設体を本体以上の大きさにすれば、その収納容積が従来の略4倍以上にすることができる。このため、従来に比較して収納容量が大幅に拡張し、例えば、頭部より大きなものを入れることができるようになり、また、小物であってもその収納量を大幅に増加させることができるようになる。
【0017】
そしてまた、この請求項1及び請求項2記載の本発明において、その特徴的事項は、上記本体の一方覆部及び他方覆部を略同じ形状及び略同じ大きさに形成し、
上記延設体を、上記本体開口の開口縁部に沿って連設される周縁部から所定範囲に亘って延び上記一方覆部に接合する一方延設部と、上記本体開口の開口縁部に沿って連設される周縁部から所定範囲に亘って延び上記他方覆部に接合する他方延設部とを備えて構成し、上記一方延設部及び他方延設部を略同じ形状及び略同じ大きさに形成している。これにより、一方覆部,他方覆部,一方延設部及び他方延設部を生地から裁断して形成する際等、製造を容易にすることができる。
【0018】
【0019】
また、請求項2記載の発明においては、袋状の形態をとりうる延設体の場合であって、上記本体及び延設体を略同じ形状及び略同じ大きさに形成するとともに、上記一方延設部を一方覆部と略同じ形状及び略同じ大きさに形成し、上記他方延設部を他方覆部と略同じ形状及び略同じ大きさに形成している。本体及び延設体が略同一形状なので、本体及び延設体を膨らませて合体収容空間を形成したとき、延設体の周縁部を境にして左右対称形になるので、バランスが良くなるとともに、その収納容積を従来の略4倍にすることができる。また、一方覆部,他方覆部,一方延設部及び他方延設部を生地から裁断して形成する際等、製造を容易にすることができる。
【0020】
この請求項2記載の発明においては、上記本体の肩側開放口を形成する開放口縁に沿って上記本体開口を形成し、上記本体及び延設体に跨って上記合体開口を形成するとともに、該本体側の合体開口の大きさと上記延設体側の合体開口の大きさを同じにしたことが有効である。これにより、合体開口を本体及び延設体の中央に位置させることができ、しかも、本体側と延設体側の開口が同じ大きさなので、バランスを良くすることができる。
【0021】
また、延設体においても、上記合体開口の開口縁部に、該合体開口を挟んで互いに対峙する一対のストラップの持ち手を設けたことが有効である。これにより、持ち手を合体開口を挟んで一対設けたので、バランスが良く、持ち易くすることができる。
【0022】
【0023】
更に、必要に応じ、上記合体収容空間を、オートバイに設けた係止部に係止可能なロックリングを備えたヘルメットを収納する大きさに形成し、
上記合体開口を、穴の開いた引手を有したスライダにより務歯を噛合及び噛合解除するスライドファスナにより開閉可能にし、
上記本体若しくは延設体に、上記合体収容空間に収容されたヘルメットのロックリングを引出し可能な貫通孔を形成し、
上記スライドファスナの引手の穴とロックリングとを一緒にして上記オートバイの係止部に係止可能にした構成としている。
【0024】
一般に、オートバイ用のヘルメットには、オートバイに設けた係止部に係止可能なロックリングを備えたものがあり、オートバイから運転者が離れるときなどにこのロックリングをオートバイの係止部に係止してヘルメットを付帯し、施錠するなどして盗難防止ができるようにしたものがある。この構成によれば、ヘルメットを本体内に収納してロックリングを貫通孔から突出させ、スライドファスナを閉じてから、スライドファスナの引手の穴とロックリングを一緒にして係止部に係止する。この状態では、ヘルメットを本体内に収納して付帯できるので、ヘルメットを覆って保護することができる。また、スライドファスナの引手の穴とロックリングを一緒にして係止部に係止できるので、より一層、防盗性を向上させることができる。
【0025】
そして、必要に応じ、上記引手の穴に上記ロックリングに引き通し可能な可撓性のループリングを連結したことが有効である。これにより、ループリングを貫通孔から突出させたヘルメットのロックリングに引き通し、このループリングをオートバイの係止部に係止する。そのため、係止部への係止が容易になり、操作性を向上させることができる。
【0026】
また、この場合、上記引手の穴に上記ロックリングに引き通し可能な可撓性のループリングを連結し、上記延設体であって、上記スライドファスナの閉位置におけるスライダの近傍に、上記ループリングを引き通し可能且つ引き通した際スライドファスナの引手の移動を規制する規制リングを設けたことが有効である。
【0027】
これにより、規制リングにループリングを引き通してこれを係止部に係止するので、規制リングがないときは、スライドファスナのスライダをスライドさせて合体開口を開けることができることがあるが、スライダをスライドさせようとしたとき規制リングにループリングが当たってスライダの移動が規制されるので、合体開口をほとんど開けることができず、そのため、防盗性をより一層向上させることができる。
【0028】
そしてまた、必要に応じ、上記一方覆部の外面の視認形態と他方覆部の外面の視認形態を異ならせた構成としている。ここで、視認形態とは、外面の模様,色彩、これらの結合,文字や記号等の表示からなるデザインのことを言う。デザインを多様化することができる。特に、一方覆部及び他方覆部の両者を布等の可撓性シート状の材質で構成した場合には、一方覆部を内側に位置させ他方覆部を外側に位置させて一方覆部の外面で凹所を形成しても良く、あるいは、他方覆部を内側に位置させ一方覆部を外側に位置させて他方覆部の外面で凹所を形成しても良いので、一方覆部と他方覆部の何れか一方を選択して外側に位置させることで、フードのデザインを異ならせることができ、即ち、リバーシブルにすることができ、デザイン性を向上させることができる。
【0029】
また、必要に応じ、上記本体内であって、該本体の前開放口の開放口縁に沿って両端に出口が形成された貫通路を形成し、該貫通路に上記前開放口の開度を調整可能な調整紐を各出口から端部を突出させて引き通した構成としている。一方覆部及び他方覆部の両者を布等の可撓性シート状の材質で構成した場合には、調整紐の引出具合を調整することにより、前開放口の開度を調整できるので、防寒性を向上させることができる。
【0030】
更に、必要に応じ、上記本体の前開放口の開放口縁の肩側開放口側の端部部分に、左右互いに接続及び接続解除可能にする接続部材を設けた構成としている。接続部材によって肩側開放口側の端部部分の左右を接続すれば、顔の鼻や口を覆うことができるので、防寒性を向上させることができる。
【0031】
更にまた、必要に応じ、上記本体を衣服に取付けるための取着手段を備えた構成としている。取着手段は、例えば、線ファスナ(スライドファスナ),面ファスナ(工業用ファスナ),ホック,マグネット,クリップ,ボタン,粘着シート等適宜の手段を用いることができ、予め、本体及び衣服に固定して設けることができる。また、衣服には何も固定せずに、どんな衣服にも取付け可能に構成することもできる。例えば、衣服の襟につけるようにすることができる。また、所謂パーカーと言われる既存のフードを備えた衣服の場合には、この既存のフードの凹所内に本発明のフードを取付けるように構成することができる。この場合、粘着作用のある例えばシリコーンシートを介装すれば、保持が確実になる。これにより、本体を衣服に対して着脱可能になるので、衣服に取付けて衣服と一体にしたフードとして使用し、衣服から取り外してフードのみとして使用し、あるいは、バッグとして使用することができる。
衣服の襟につけるようにする場合は、上記取着手段は、上記本体の肩側開放口の開口縁部を、衣服の首が通る首回り開口の開口縁部に着脱可能に取付ける構成にする。
【0032】
そして、必要に応じ、上記取着手段を、上記衣服の首回り開口の開口縁部に沿うとともに該開口縁部の内側に沿って配置可能な可撓性帯状の第1部材と、上記本体の肩側開放口の開放口縁部に沿うとともに該開口縁部の内側に沿って付設され上記第1部材に対応した長さの可撓性帯状の第2部材と、上記第1部材を上記衣服に配置した状態で上記本体に付設した第2部材を上記衣服の外側から該衣服を介して上記第1部材に接合した際、該第1部材と第2部材とを互いに着接保持する着接手段とを備えて構成している。着接手段としては、例えば、第1部材と第2部材とを挾持するクリップやマグネット等の適宜の手段を用いることができる。
【0033】
これによれば、衣服に本体を取付けるときは、第1部材を衣服の首回り開口においてその開口縁部の内側に沿って配置し、この状態で本体に付設した第2部材を衣服の外側から衣服を介して第1部材に接合する。これにより、着接手段により、第1部材と第2部材とが衣服を介して着接保持されるので、衣服に取付けて衣服と一体にしたフードとして使用することができる。この場合、取着手段は、衣服に予め設ける部材を備えていないので、どんな衣服にも取付けて使用することができ、汎用性を増すことができ、極めて便利になる。
【0034】
この場合、上記着接手段を、上記第1部材に設けられマグネット及び/またはマグネットに磁着する磁着体からなる第1磁着部材と、上記第2部材に設けられマグネット及び/またはマグネットに磁着する磁着体からなり上記第1磁着部材に磁着する第2磁着部材とで構成することができる。第1磁着部材及び第2磁着部材をマグネットで構成してよい。本体を磁着により装着するので、本体の衣服への装着を容易に行うことができる。
【0035】
また、必要に応じ、上記第2部材を上記本体の肩側開放口の開放口縁部の内側に着脱可能にする着脱手段を設けた構成とすることができる。着脱手段としては、例えば、線ファスナ(スライドファスナ),面ファスナ(工業用ファスナ),ホック,マグネット,クリップ,ボタン等適宜の手段を用いることができる。これにより、本体を、衣服から取り外してフードのみとして使用し、あるいは、バッグとして使用する際に、第2磁着部材がある第2部材を取外しておくことができるので、その分、軽量にして本体を使用することができる。また、第1部材及び第2部材をセットにして持ち運ぶことができ、必要に応じて、これらを用いて本体を衣服に取付けることができるので、汎用性が増し、便利になる。
【0036】
また、上記課題を解決するための本発明の被服は、首回り開口を備えた衣服と、該衣服の首回り開口の開口縁部に着脱可能に設けられ頭部を覆うフードとを備えた被服において、
上記取着手段を備えた何れかのフードを備えた構成としている。上記と同様の作用,効果を奏する。
【発明の効果】
【0037】
本発明によれば、本体の一方覆部及び他方覆部同士を重畳して凹所を形成し、この本体で頭部を覆うフード本来の通常の使用することができる。一方、バッグとして使用するときは、一方覆部と他方覆部とを離間させ、一方覆部及び他方覆部の内面側で物を収容する本体収容空間を形成する。そして、本体開口から物を入れて本体収容空間に収納する。この場合、従来においては、収容空間が凹所の容量しかなかったが、本体収容空間は、一方覆部の内面側で形成される空間と他方覆部の内面側で形成される空間との和で構成されるので、その容積が従来の略2倍になり、従来に比較して収納容量を拡張することができる。そのため、例えば、頭部より大きなものを入れることができるようになり、また、小物であってもその収納量を増加させることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】本発明の第1の実施の形態に係るフードを衣服とともに示す分解斜視図である。
図2】本発明の第1の実施の形態に係るフードを衣服に装着して使用した状態を示す断面図である。
図3】本発明の第1の実施の形態に係るフードにおいて、本体をフードとしての本来の使用をする場合の形態で示す斜視図である。
図4】本発明の第1の実施の形態に係るフードにおいて、本体をフードとしての本来の使用をする場合の形態で示す図3中A-A線断面図である。
図5】本発明の第1の実施の形態に係るフードにおいて、本体をこれに延設体を収納してバッグとして使用する場合の形態で示す斜視図である。
図6】本発明の第1の実施の形態に係るフードにおいて、本体をこれに延設体を収納してバッグとして使用する場合の形態で示す図5中B-B線断面図である。
図7】本発明の第1の実施の形態に係るフードにおいて、本体をこれから延設体を引出してバッグとして使用する場合の形態で示す斜視図である。
図8】本発明の第1の実施の形態に係るフードにおいて、本体をこれから延設体を引出してバッグとして使用する場合の形態で示す図7中C-C線断面図である。
図9】本発明の第1の実施の形態に係るフードにおいて、取着手段の構成を示し、(a)は分解断面図、(b)は組付けた状態の断面図である。
図10】本発明の第1の実施の形態に係るフードにおいて、本体をこれに延設体を収納してバッグとして使用する場合の形態で示す斜視図であり、(a)は物品としてオートバイ用のヘルメットを収納する前の状態を示す図、(b)はオートバイ用のヘルメットを収納した状態の斜視図である。
図11】本発明の第1の実施の形態に係るフードにおいて、本体をこれから延設体を引出してバッグとして使用する場合の形態で示す斜視図であり、(a)は物品としてオートバイ用のヘルメットを収納する前の状態を示す図、(b)はオートバイ用のヘルメットを収納した状態の斜視図である。
図12】本発明の第1の実施の形態に係るフードにおいて、本体をこれから延設体を引出して物品としてのオートバイ用のヘルメットを収納した際、ヘルメットのロックリングをオートバイの係止部に係止するときの工程(a)(b)(c)を示す斜視図である。
図13】本発明の第2の実施の形態に係るフードを示し、その本体をこれから延設体を引出してバッグとして使用する場合の形態で示す斜視図である。
図14】本発明の第3の実施の形態に係るフードを示し、その本体をバッグとして使用する場合の形態で示す斜視図である。
図15】本発明の実施の形態に係る被覆を示す分解斜視図である。
図16】従来のフードの一例を示し、フードとしての本来の使用をする場合及びバッグとして使用する場合の形態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、添付図面に基づいて本発明の実施の形態に係るフードについて詳細に説明する。図1乃至図12には、本発明の第1の実施の形態に係るフードを示す。
この実施の形態に係るフードHは、頭部を覆う凹所2を形成するとともに前開放口3及び前開放口3に連続する肩側の肩側開放口4を有した本体1を備え、本体1を物を入れるバッグとしても使用可能に形成されている。
【0040】
本体1は、内面同士が互いに離間可能に重畳させられて凹所2を形成するとともに頭部に面するインナー及びこのインナーの外側に設けられるアウターの何れか一方を構成する一方覆部10Aと一方覆部10Aに連設されインナー及びアウターの何れか他方を構成する他方覆部10Bとを有して構成され、図5図6及び図10に示すように、一方覆部10A及び他方覆部10Bの離間時に一方覆部10A及び他方覆部10Bの内面側で物を収容し凹所2で形成される容積より大きな容積になる本体収容空間Eaを形成可能に構成されている。本体1の一方覆部10A及び他方覆部10Bは、布等の可撓性シート状の同じ材質で形成されるとともに、略同じ形状(同一形状も含む)で略同じ大きさ(同一の大きさも含む)に形成され、前開放口3及び肩側開放口4の開放口縁5を境にして連設されている。一方覆部10Aの内面と他方覆部10Bの内面とを接合して重畳することにより凹所2を形成する。この場合、一方覆部10Aを内側に位置させ他方覆部10Bを外側に位置させて一方覆部10Aの外面で凹所2を形成しても良く、あるいは、他方覆部10Bを内側に位置させ一方覆部10Aを外側に位置させて他方覆部10Bの外面で凹所2を形成しても良い。実施の形態では、後述する衣服Cに取付けて使用する際には、一方覆部10Aを内側に位置させ他方覆部10Bを外側に位置させて一方覆部10Aの外面で凹所2を形成する。
【0041】
この本体1には、本体収容空間Eaに物を収容するための本体開口11が形成されている。実施の形態では、本体1の肩側開放口4を形成する開放口縁5に沿って本体開口11が形成されている。一方覆部10A及び他方覆部10Bが連設される境界に設けることになるので、本体開口11を中央に位置させることができ、バランスが良く、持ち易くすることができる。また、一方覆部10A及び他方覆部10Bを生地から裁断して形成する際等、製造を容易にすることができる。
【0042】
詳しくは、一方覆部10A及び他方覆部10Bは、略矩形状の中央片12と、中央片12の左右に縫合により連設される略船形状の一対の側片13とで構成されており、一方覆部10Aの右側の側片13と他方覆部10Bの左側の側片13を縫合により連設し、一方覆部10Aの左側の側片13と他方覆部10Bの右側の側片13を縫合により連設することにより、上側に開口を有したカップ状に形成されている。上側の開口が、本体開口11を構成する。実施の形態では、一方覆部10A及び他方覆部10Bは、外側に突出する耳部16が形成されるように縫合されている。
【0043】
また、本体開口11の開口縁部15には、本体開口11を挟んで互いに対峙する一対のストラップの持ち手14が設けられている。これにより、持ち手14を本体開口11を挟んで一対設けたので、バランスが良く、持ち易くすることができる。
【0044】
また、図2図4乃至図8図10乃至図12に示すように、本体1には、一方の開口及び他方の開口を有して筒状に形成され且つ他方の開口を閉じたとき袋状に形成され、一方の開口を本体開口11の開口縁部15に沿って縫合により連設される周縁部25とするとともに、この周縁部25から内側に折曲されて一方覆部10A及び他方覆部10Bの内面に離間可能に重畳する延設体20が設けられている。この延設体20は、周縁部25を境にして内側に折曲したとき延設体20の外面を介して本体収容空間Eaを形成可能にするとともに、延設体20を一方覆部10A及び他方覆部10Bから離間させて周縁部25を境にして外側に折曲したときこの延設体20の内面側で本体収容空間Eaに連続し本体収容空間Eaと共同して物を収容可能な延設体収容空間Ebを形成可能にしている。本体収容空間Ea及び延設体収容空間Ebにより合体収容空間Eを形成する。
【0045】
延設体20は、本体開口11の開口縁部15に沿って連設される周縁部25から所定範囲に亘って延び一方覆部10Aに接合する一方延設部20Aと、本体開口11の開口縁部15に沿って連設される周縁部25から所定範囲に亘って延び他方覆部10Bに接合する他方延設部20Bとを備えて構成されている。一方延設部20A及び他方延設部20Bは略同じ形状及び同じ大きさに形成されている。これにより、一方延設部20A及び他方延設部20Bを生地から裁断して形成する際等、製造を容易にすることができる。本体開口11の開口縁部15と延設体20の周縁部25とは所定の幅を有して縫合されて帯状になっており、持ち手14は、この帯状の帯状部26に設けられている。
【0046】
延設体20の他方の開口は、本体収容空間Ea及び延設体収容空間Ebで形成される合体収容空間Eに物を入れるための合体開口21として構成されている。合体開口21を延設体20の中央に位置させることができ、バランスを良くすることができる。
【0047】
詳しくは、一方延設部20A及び他方延設部20Bは、上記の本体1の中央片12に対応して設けられる略矩形状の中央部片22と、上記の本体1の側片13に対応して設けられ中央部片22の左右に縫合により連設される略矩形状の一対の側部片23とで構成されており、一方延設部20Aの右側の側部片23と他方延設部20Bの左側の側部片23を縫合により連設し、一方延設部20Aの左側の側部片23と他方延設部20Bの右側の側部片23を縫合により連設することにより、上下に開口を有した筒状に形成されている。下側の開口側が本体1に連設される周縁部25を構成し、上側の開口が合体開口21を構成する。ここで、中央片12と中央部片22とは、互いに縫合される別々の部材になっていても良く、あるいは、一体に連続する1枚のもので夫々を構成して良い。また、左右にある側片13と側部片23とは、互いに縫合される別々の部材になっていても良く、あるいは、一体に連続する1枚のもので夫々を構成して良い。いずれにしろ、実施の形態では、図6等に示すように、本体開口11の開口縁部15と延設体20の周縁部25とは縫合されて帯状の帯状部26を形成している。
【0048】
また、合体開口21の開口縁部に、合体開口21を挟んで互いに対峙する一対のストラップの持ち手24が設けられている。これにより、持ち手24を合体開口21を挟んで一対設けたので、バランスが良く、持ち易くすることができる。
【0049】
また、本体1内であって、本体1の前開放口3の開放口縁5に沿って両端に出口が形成された貫通路31が形成されており、この貫通路31には、前開放口3の開度を調整可能な調整紐30が、各出口から端部を突出させて引き通されている。実施の形態では、貫通路31は、一方延設部20A及び他方延設部20Bが連設されて形成された耳部16に形成されている。調整紐30の引出具合を調整することにより、前開放口3の開度を調整できるので、防寒性を向上させることができる。
【0050】
更に、本体1の前開放口3の開放口縁5の肩側開放口4側の端部部分には、左右互いに接続及び接続解除可能にする接続部材32が設けられている。実施の形態では、接続部材32は、面ファスナで構成され、一方延設部20A及び他方延設部20Bが連設されて形成された耳部16に付設されている。接続時には、顔の鼻や口を覆うことができるので、防寒性を向上させることができる。
【0051】
また、合体開口21には、穴の開いた引手41を有した一対のスライダにより務歯を噛合及び噛合解除する両開き型のスライドファスナ40が設けられ、合体開口21はこのスライドファスナ40により開閉可能になっている。実施の形態では、スライドファスナ40は、一対のスライダを互いに離間する方向に移動させたとき務歯を閉じ、互いに近づく方向に移動させたとき務歯を開くように構成されている。一方の務歯側が一方延設部20A側に設けられ、他方の務歯側が他方延設部20B側に設けられている。
【0052】
更に、合体収容空間Eを構成する本体収容空間Eaは、図10乃至図12に示すように、オートバイ(図示せず)に設けた係止部(図示せず)に係止可能なロックリングRを備えたヘルメットMを収納する大きさに形成されている。そして、本体1の本体開口11の近傍であって一方覆部10Aと他方覆部10Bとの連設される近傍には、合体収容空間Eに収容されたヘルメットMのロックリングRを引出し可能な貫通孔50が形成されている。また、引手41の穴には、ロックリングRに引き通し可能な可撓性のループリング51が連結されている。更に、延設体20のスライドファスナ40の両端側には、夫々、ループリング51を引き通し可能且つ引き通した際スライドファスナ40の引手41の移動を規制する規制リング52が設けられている。これにより、スライドファスナ40の引手41の穴とロックリングRとを一緒にしてオートバイの係止部に係止可能にしている。
【0053】
また、本フードHには、図1図2及び図9に示すように、本体1の肩側開放口4の開放口縁部6を、衣服Cの首が通る首回り開口Caの開口縁部Cbに着脱可能に取付けるための取着手段60が備えられている。この取着手段60は、衣服Cの首回り開口Caの開口縁部Cbに沿うとともに開口縁部Cbの内側に沿って配置可能な可撓性帯状の第1部材61と、本体1の肩側開放口4の開放口縁部6に沿うとともに開放口縁部の内側に沿って付設され第1部材61に対応した長さの可撓性帯状の第2部材62と、第1部材61を衣服Cに配置した状態で本体1に付設した第2部材62を衣服Cの外側から衣服Cを介してこの第1部材61に接合した際、第1部材61と第2部材62とを互いに着接保持する着接手段63とを備えて構成されている。第1部材61及び第2部材62の幅と長さは同じ寸法に設定されている。
【0054】
着接手段63は、第1部材61に設けられマグネット及び/またはマグネットに磁着する磁着体からなる第1磁着部材63Aと、第2部材62に設けられマグネット及び/またはマグネットに磁着する磁着体からなり第1磁着部材63Aに磁着する第2磁着部材63Bとで構成されている。実施の形態では、第1磁着部材63A及び第2磁着部材63Bは、互いに、磁着するマグネット65で構成されている。一方をマグネットで構成し、他方をマグネットに磁着する鉄などの材料で構成しても良く適宜変更することができる。
【0055】
詳しくは、図9に示すように、第1部材61は、円盤状のマグネット65を複数(実施の形態では5つ)用い、各マグネット65をプラスチック製の収納ケース66に収納し、各マグネット65の磁極が一方向に向くようにして各ケースを布などの帯状の可撓性台シート67に所定間隔で列設し、この台シート67を布製のカバー68で被覆して構成されている。一方、第2部材62も、円盤状のマグネット65を複数(実施の形態では5つ)用い、各マグネット65をプラスチック製の収納ケース66に収納し、各マグネット65の磁極が一方向に向くように、且つ、第1部材61のマグネット65の位置に対応させて各ケースを布などの帯状の可撓性台シート67に所定間隔で列設して固定し、この台シート67を布製のカバー68で被覆して構成されている。尚、実施の形態では、第1部材61の各マグネット65及び第2部材62の各マグネット65を、磁極(N-S)が一方向を向くように列設したが、必ずしもこれに限定されるものではなく、第1部材61及び第2部材62の互いに対応するマグネット65の組同士が磁着するのであれば、例えば、対応するマグネット65の組同士においてその磁極の方向を交互に異ならせて列設する等、どのように磁極の方向を定めても良く、適宜変更して差支えない。
【0056】
また、この取着手段60においては、第2部材62を本体1の肩側開放口4の開放口縁部6の内側に着脱可能にする着脱手段としてのホック部材70が設けられている。ホック部材70は、雄型ホック71と、この雄型ホック71が取り外し可能に嵌合する雌型ホック72とからなり、複数(実施の形態では5つ)設けられている。雄型ホック71は、第2部材62の一方面に各マグネット65に対応した位置に取付けられている一方、雌型ホック72は本体1の凹所2を形成し頭部に面する一方覆部10A及び他方覆部10Bの何れか(実施の形態では一方覆部10A)において、その肩側開放口4の開放口縁部6に、雄型ホック71に対応して所定間隔で取付けられている。
【0057】
従って、この第1の実施の形態に係るフードHによれば、衣服Cに取付けて用い、あるいは、衣服Cから取り外して単独で用いることができる。衣服Cに取付けて用いるときは、予め、延設体20を周縁部25を境にして本体1の内側に折曲し、延設体20の内面を一方覆部10A及び他方覆部10Bの内面に接合して重畳するとともに、この状態で、一方覆部10A及び他方覆部10Bの内面同士をこの延設体20を介して接合して重畳して凹所2を形成しておく。そして、図1図2及び図9に示すように、第2部材62を着脱手段としてのホック部材70を介して、衣服Cに取付けて付設しておく。この状態で、第1部材61を、衣服Cの首回り開口Caの開口縁部Cbに沿うとともに開口縁部Cbの内側に沿って配置し、第1部材61を衣服Cに配置した状態で本体1に付設した第2部材62を衣服Cの外側から衣服Cを介してこの第1部材61に接合する。これにより、着接手段63のマグネット65により、第1部材61と第2部材62とが衣服Cを介して互いに着接保持され、本体1が衣服Cに取付けられる。本体1を磁着により装着するので、本体1の衣服Cへの装着を容易に行うことができる。
【0058】
そして、図2に示すように、本体1で頭部を覆うフード本来の通常使用するときは、前開放口3に顔が露出し肩側開放口4が肩側に位置するように本体1の凹所2内に頭部を入れて覆う。この場合、調整紐30を引っ張って、前開放口3の開度を狭くすることができる。また、接続部材32で、本体1の前開放口3の肩側部分において、左右を互いに接続し、顔の鼻や口を覆うことができる。そのため、防寒性を向上させることができる。
【0059】
一方、フードHの本体1を衣服Cから取り外して単独で用いるときは、第2部材62を衣服Cから引きはがす。これにより、第1部材61と第2部材62との間のマグネット65同士の磁着力がなくなるので、本体1が衣服Cから外れるとともに、第1部材61も衣服Cから離脱する。次に、第2部材62を本体1から取外す。これにより、本体1を、衣服Cから取り外してフードHのみとして使用することができるとともに、あるいは、後述のバッグとして使用することができる。この場合、第2部材62を取外しておくことができるので、その分、軽量にして本体1を使用することができる。また、取外した第1部材61及び第2部材62は、互いに磁着して一体にし、セットにして持ち運ぶことができる。そのため、必要に応じて、第1部材61及び第2部材62を用いて本体1を衣服Cに取付けることができる。
【0060】
即ち、マグネット65により、第1部材61と第2部材62とが衣服Cを介して着接保持されるので、衣服Cに取付けて衣服Cと一体にしたフードHとして使用することができる。この場合、取着手段60は、衣服Cに予め設ける部材を備えていないので、どんな衣服Cにも取付けて使用することができ、汎用性を増すことができ、極めて便利になる。本体1をフードHとして用いる作用は、上記と同様である。
【0061】
一方、バッグとして使用するときは、以下のようになる。バッグとして使用するときは、2通りの態様がある。1つの態様は、図5図6及び図10に示すように、延設体20を周縁部25を境にして本体1の内側に折曲し、延設体20の内面を一方覆部10A及び他方覆部10Bの内面に接合して重畳させた状態で使用する。この際、一方覆部10Aと他方覆部10Bとを離間させて膨らませる。これにより、一方覆部10A及び他方覆部10Bの内面側であって、延設体20の外面を介して本体収容空間Eaが形成される。そして、本体開口11から物を入れて本体収容空間Eaに収納する。この場合、従来においては、収容空間が凹所2の容量しかなかったが、本体収容空間Eaは、一方覆部10Aの内側で形成される空間と他方覆部10Bの内側で形成される空間との和になるので、その容積が従来の略2倍になる。このため、従来に比較して収納容量が拡張し、例えば、頭部より大きなオートバイ用のヘルメットMを収納することができるようになり、また、小物であってもその収納量を増加させることができるようになる。持ち運びは、本体1に設けた持ち手14を持って行うことができる。
【0062】
もう1つの態様は、図7図8図11及び図12に示すように、延設体20を一方覆部10A及び他方覆部10Bから離間させて周縁部25を境にして外側に折曲して引出し、膨らませる。これにより、一方覆部10A及び他方覆部10Bの内面側で本体収容空間Eaが形成されるとともに、延設体20の内面側で本体収容空間Eaに連続し本体収容空間Eaと共同して物を収容可能な延設体収容空間Ebが形成される。即ち、本体収容空間Ea及び延設体収容空間Ebにより、合体収容空間Eが形成される。そして、合体開口21から物を入れて合体収容空間Eに収納する。必要に応じて、合体開口21のスライドファスナ40を閉じる。この場合、本体収容空間Eaに加えて、延設体収容空間Ebが更に加わるので、より一層、収納容量を拡張することができる。持ち運びは、延設体20に設けた持ち手24を持って行うことができる。
【0063】
図12に示すように、この延設体20を引出して用いる態様において、オートバイ用のヘルメットMを収納して、オートバイに付帯させる場合について説明する。一般に、オートバイ用のヘルメットMには、オートバイに設けた係止部に係止可能なロックリングRを備えたものがあり、オートバイから運転者が離れるときなどにこのロックリングRをオートバイの係止部に係止してヘルメットMを付帯し、施錠するなどして盗難防止ができるようにしたものがある。
【0064】
この場合、図12(a)に示すように、ヘルメットMを本体1内に収納してロックリングRを貫通孔50から突出させ、スライドファスナ40を閉じる。一方の引手41をスライドファスナ40の一端に位置させ、他方の引手41をスライドファスナ40の他端に位置させる。この状態で、図12(a)(b)に示すように、各ループリング51を対応する規制リング52に引き通す。それから、図12(c)に示すように、各ループリング51を、貫通孔50から突出させたヘルメットMのロックリングRに引き通し、このループリング51をオートバイの係止部に係止する。ループリング51を用いるので、係止部への係止が容易になり、操作性を向上させることができる。
【0065】
これにより、ヘルメットMを本体1内に収納して付帯できるので、ヘルメットMを覆って保護することができる。また、スライドファスナ40の引手41とロックリングRをループリング51で一緒にしてオートバイの係止部に係止できるので、防盗性を向上させることができる。特に、ループリング51は、規制リング52に引き通されているので、規制リング52がないときは、スライドファスナ40のスライダをスライドさせて合体開口21を開けることができることがあるが、スライダをスライドさせようとしたとき規制リング52にループリング51が当たってスライダの移動が規制されるので、本体開口11や合体開口21をほとんど開けることができず、そのため、防盗性をより一層向上させることができる。
【0066】
図13には、第2の実施の形態に係るフードHを示している。これは、上記の第1の実施の形態に係るフードHと略同様に構成されているが、これとは、延設体20の構成が異なっている。第2の実施の形態において、延設体20は、本体1と略同じ形状で略同じ大きさ(僅かに本体1より小さい)の開口を有して袋状の形態をとりうるものであって、この開口を本体開口11の開口縁部に沿って連設される周縁部25としている。即ち、一方延設部20Aは一方覆部10Aと略同じ形状で略同じ大きさ(僅かに本体1より小さい)に形成され、他方延設部20Bは他方覆部10Bと略同じ形状で略同じ大きさ(僅かに本体1より小さい)に形成されている。そして、本体1の肩側開放口4を形成する開放口縁5に沿って本体開口11を形成し、本体1及び延設体20に跨って、閉じたときに本体1及び延設体20を袋状にする合体開口21を形成するとともに、本体1側の合体開口21の大きさと延設体20側の合体開口21の大きさとを同じにしている。実施の形態では、合体開口21は、中央片12と中央部片22の中央に形成されている。
【0067】
そして、本体1側の合体開口21に第1スライドファスナ40(a)を設けて開閉可能にし、延設体20側の合体開口21に第2スライドファスナ40(b)を設けて開閉可能にしている。第1スライドファスナ40(a)及び第2スライドファスナ40(b)は、これらのスライダが互いに衝合する方向にスライドさせたとき合体開口21を閉じるように構成されている。各スライダの引手41の穴には、上記と同様にヘルメットMのロックリングRに引き通し可能な可撓性のループリング51が連結されており、スライドファスナ40(a)(b)の閉位置におけるスライダの近傍には、ループリング51を引き通し可能且つ引き通した際スライドファスナ40の引手41の移動を規制する規制リング52が設けられている。
【0068】
従って、この実施の形態に係るフードHによれば、バッグとして用いる際、合体開口21を本体1及び延設体20の中央に位置させることができ、しかも、本体1側と延設体20側の合体開口21が同じ大きさなので、バランスを良くすることができる。また、本体1及び延設体20が略同じ形状で略同じ大きさに形成されているので、本体1及び延設体20を膨らませて合体収容空間Eを形成したとき、延設体20の周縁部25を境にして左右対称形になることから、バランスが良くなるとともに、その収納容積を従来の略4倍にすることができる。また、一方覆部10A,他方覆部10B,一方延設部20A及び他方延設部20Bを生地から裁断して形成する際等、製造を容易にすることができる。他の作用,効果は上記と同様である。
【0069】
図14には、第3の実施の形態に係るフードHを示している。これは、上記の第1及び第2の実施の形態に係るフードHと異なって、延設体20がなく、本体1のみで構成されているとともに、ヘルメットMのロックリングR用の構造も備えられていない。また、本体1において、一方覆部10A及び他方覆部10Bは、左右に縫合により連設される略船形状の一対の側片13で構成されており、一方覆部10Aの右側の側片13と他方覆部10Bの左側の側片13を縫合により連設し、一方覆部10Aの左側の側片13と他方覆部10Bの右側の側片13を縫合により連設することにより、上側に開口を有したカップ状に形成されている。上側の開口が、本体開口11を構成する。本体開口11の開口縁部15には、本体開口11を挟んで互いに対峙する一対のストラップの持ち手14が設けられている。
【0070】
従って、この実施の形態に係るフードHによれば、本体1で頭部を覆うフードH本来の通常使用するときは、一方覆部10A及び他方覆部10Bの内面同士を接合して重畳して凹所2を形成する。この状態で、前開放口3に顔が露出し肩側開放口4が肩側に位置するように本体1の凹所2内に頭部を入れて覆う。一方、バッグとして使用するときは、一方覆部10Aと他方覆部10Bとを離間させて膨らませる。これにより、一方覆部10A及び他方覆部10Bの内面側で物を収容する本体収容空間Eaが形成される。そして、本体開口11から物を入れて本体収容空間Eaに収納する。この場合、従来においては、収容空間が凹所2の容量しかなかったが、本体収容空間Eaは、一方覆部10Aの内面側で形成される空間と他方覆部10Bの内面側で形成される空間との和で構成されるので、その容積が従来の略2倍になる。このため、従来に比較して収納容量が拡張し、例えば、頭部より大きなものを入れることができるようになり、また、小物であってもその収納量を増加させることができるようになる。他の作用,効果は上記と略同様である。
【0071】
次に、上記第1乃至第3の実施の形態に係るフードHの変形例(図示せず)を示す。これは、一方覆部10Aの外面の視認形態と他方覆部10Bの外面の視認形態とを、異ならせた構成にしたものである。視認形態とは、外面の模様,色彩、これらの結合,文字や記号等の表示からなるデザインのことを言う。また、他方覆部10Bの肩側開放口4の開放口縁部6にも、一方覆部10Aに対応した同じ位置に、取着手段60におけるホック部材70に係る雌型ホック72が所定間隔で取付けられている。これにより、本体1においては、一方覆部10Aを内側に位置させ他方覆部10Bを外側に位置させて一方覆部10Aの外面で凹所2を形成しても良く、あるいは、他方覆部10Bを内側に位置させ一方覆部10Aを外側に位置させて他方覆部10Bの外面で凹所2を形成しても良いので、一方覆部10Aと他方覆部10Bの何れか一方を選択して外側に位置させることで、フードHのデザインを異ならせることができ、即ち、リバーシブルにすることができ、デザイン性を向上させることができる。
【0072】
尚、上記第1乃至第3の実施の形態に係るフードHにおいて、他方覆部10Bの肩側開放口4の開放口縁部6に雌型ホック72を取付けることなく、単に、一方覆部10Aの外面の視認形態と他方覆部10Bの外面の視認形態とを、異ならせた構成にしたものであっても良い。但し、この場合には、他方覆部10Bを内側に位置させ一方覆部10Aを外側に位置させて他方覆部10Bの外面で凹所2を形成して用いる場合には、本体1を衣服Cに装着することなく単独で使用することになる。
【0073】
尚また、一方覆部10Aの外面の視認形態と他方覆部10Bの外面の視認形態とを、異ならせることなく同じにし、他方覆部10Bの肩側開放口4の開放口縁部6にも、一方覆部10Aに対応した同じ位置に、取着手段60におけるホック部材70に係る雌型ホック72を所定間隔で取付け、一方覆部10A及び他方覆部10Bのいずれでも、本体1の内側に位置させて用いるようにしても良いことは勿論である。また、一方延設部20A及び他方延設部20Bの視認形態も適宜に定めて良いことは勿論である。
【0074】
図15には、本発明の実施の形態に係る被覆Sを示している。これは、首回り開口Caを備えた衣服Cと、この衣服Cの首回り開口Caの開口縁部Cbに着脱可能に設けられ頭部を覆うフードHとを備えて構成されている。フードHは、上記のフードHと略同様に構成されている(図15には第1の実施の形態に係るフードHの本体1を図示)が、上記と異なって、取着手段60の構成が異なっている。取着手段60は、上記と同様のホック部材70を複数(実施の形態では5つ)備えて構成されている。ホック部材70は、雄型ホック71と、この雄型ホック71が取り外し可能に嵌合する雌型ホック72とからなる。雄型ホック71は、衣服Cの首回り開口Caの開口縁部Cbに所定間隔で取付けられている一方、雌型ホック72は本体1の凹所2を形成し頭部に面する一方覆部10A及び他方覆部10Bの何れか(実施の形態では一方覆部10A)において、その肩側開放口4の開放口縁部6に雄型ホック71に対応して所定間隔で取付けられている。これによっても、上記と同様の作用,効果を奏する。尚、取着手段60を上記と同様に構成してよいことは勿論である。
【0075】
尚、上記の実施の形態において、ヘルメットMのロックリングRを突出させる貫通孔50の位置は、上述した位置に限定されるものではなく、機能性を確保できるのであれば、どのような位置に形成しても良い。
【0076】
また、上記実施の形態に係るフードHにおいては、取着手段60を備えているが、必ずしもこれに限定されるものではなく、取着手段60がなくても良い。この場合には、フードH単体で機能することになる。本発明は、上述した本発明の実施の形態に限定されず、当業者は、本発明の新規な教示及び効果から実質的に離れることなく、これら例示である実施の形態に多くの変更を加えることが容易であり、これらの多くの変更は本発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0077】
H フード
C 衣服
Ca 開口
Cb 開口縁部
S 被服
1 本体
2 凹所
3 前開放口
4 肩側開放口
5 開放口縁
6 開放口縁部
10A 一方覆部
10B 他方覆部
E 合体収容空間
Ea 本体収容空間
Eb 延設体収容空間
11 本体開口
12 中央片
13 側片
14 持ち手
15 開口縁部
16 耳部
20 延設体
20A 一方延設部
20B 他方延設部
21 合体開口
22 中央部片
23 側部片
24 持ち手
25 周縁部
26 帯状部
30 調整紐
31 貫通路
32 接続部材
40 スライドファスナ
41 引手
M ヘルメット
R ロックリング
50 貫通孔
51 ループリング
52 規制リング
60 取着手段
61 第1部材
62 第2部材
63 着接手段
63A 第1磁着部材
63B 第2磁着部材
65 マグネット
66 収納ケース
67 台シート
68 カバー
70 ホック部材(着脱手段)
71 雄型ホック
72 雌型ホック
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図15
図16