(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023060896
(43)【公開日】2023-04-28
(54)【発明の名称】ニコチンデリバリー装置
(51)【国際特許分類】
A24F 40/40 20200101AFI20230421BHJP
A24F 40/05 20200101ALI20230421BHJP
A24F 40/10 20200101ALI20230421BHJP
A24B 15/167 20200101ALI20230421BHJP
【FI】
A24F40/40
A24F40/05
A24F40/10
A24B15/167
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023037456
(22)【出願日】2023-03-10
(62)【分割の表示】P 2022543536の分割
【原出願日】2021-12-15
(31)【優先権主張番号】17/122,025
(32)【優先日】2020-12-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/220,189
(32)【優先日】2021-04-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】522238642
【氏名又は名称】シャヒーン イノベーションズ ホールディング リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】イマド ラフード
(72)【発明者】
【氏名】モハンメド アルシャイバ サレハ ガナム アルマズルーイ
(72)【発明者】
【氏名】サジド バッティ
(72)【発明者】
【氏名】ジェフ マコヴェック
(72)【発明者】
【氏名】クレメント ラムール
(57)【要約】
【課題】使用者による吸入のためにニコチンを含むミストを生成するためのニコチンデリバリー装置(200)を提供する。
【解決手段】この装置は、ミスト発生装置(201)と、ドライバ装置(202)とを備えている。ドライバ装置(202)は、ミスト発生装置(201)によるミスト発生の効率を最大化するために最適な周波数でミスト発生装置(201)を駆動するように構成されている。
【選択図】
図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドライバ装置と共に使用するミスト発生装置であって、
細長く、空気入口ポート及びミスト出口ポートを備えるミスト発生ハウジングと、
前記ミスト発生ハウジング内に設けられた液体チャンバであって、霧化される液体を含み、前記液体がニコチンを含む組成で構成されるもの、
前記ミスト発生ハウジング内に設けられた超音波チャンバ、
前記液体チャンバと前記超音波チャンバとの間に延びる毛細管要素であって、前記毛細管要素の第1の部分が前記液体チャンバ内にあり、前記毛細管要素の第2の部分が前記超音波チャンバ内にあるようにすることを特徴とするもの、
前記超音波チャンバ内に設けられた概して平面状の霧化表面を有する超音波トランスデューサであり、前記超音波トランスデューサは前記ミスト発生ハウジング内に取り付けられており、前記毛細管要素の第2の部分の一部が前記霧化面の一部に重なっており、前記超音波トランスデューサが、前記霧化面を振動させて、前記毛細管要素の第2の部分によって運ばれる前記液体を霧化して、前記超音波チャンバ内に霧化した前記液体及び空気からなるミストを生成するように構成されていることを特徴とするもの、及び、
前記空気入口ポート、前記超音波チャンバ、及び前記ミスト出口ポートの間に空気流路を提供する、前記ミスト発生ハウジングに設けられた空気流配置であって、前記空気流配置が、空気流が前記超音波チャンバを通過するときに、前記空気流が前記超音波トランスデューサの霧化表面に対して実質的に垂直になるように、前記空気流路に沿って前記空気流の方向を調整するように構成されていることを特徴とするもの
を備えるミスト発生装置。
【請求項2】
請求項1に記載のミスト発生装置であって、前記空気流配置が、前記空気入口ポートからの前記空気流が前記超音波チャンバを通過する前に、前記ミスト発生ハウジングの前記縦軸に対して実質的に平行になるように、前記空気流路に沿って前記空気流の方向を調整するように構成されていることを特徴とするミスト発生装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のミスト発生装置であって、空気流配置が、前記超音波チャンバからの前記空気流が、前記超音波チャンバから前記空気出口ポートへ移動するとき、前記ミスト発生ハウジングの前記縦軸に対して実質的に平行になるように空気流路に沿って空気の流れの方向を調整するように構成されていることを特徴とするミスト発生装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載のミスト発生装置であって、前記超音波チャンバが、前記空気流が前記超音波チャンバを通過するとき、前記超音波トランスデューサの霧化表面に直接流れるように、障害がないように配置されていることを特徴とするミスト発生装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載のミスト発生装置であって、前記液体がニコチンレブリン酸塩を含むことを特徴とするミスト発生装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載のミスト発生装置であって、前記液体が、1:1のモル比(レブリン酸:ニコチン)のニコチンレブリン酸塩を含むことを特徴とするミスト発生装置。
【請求項7】
請求項1から5のいずれか1項に記載のミスト発生装置であって、前記液体の組成物が以下を含むことを特徴とするミスト発生装置。
【表1】
【請求項8】
請求項1から5のいずれか1項に記載のミスト発生装置であって、前記液体の組成物が以下を含むことを特徴とするミスト発生装置。
【表2】
【請求項9】
請求項1から5のいずれか1項に記載のミスト発生装置であって、前記液体の組成物が以下を含むことを特徴とするミスト発生装置。
【表3】
【請求項10】
請求項1から5のいずれか1項に記載のミスト発生装置であって、前記液体の組成物が以下を含むことを特徴とするミスト発生装置。
【表4】
【請求項11】
請求項1から6のいずれか1項に記載のミスト発生装置であって、前記液体中のニコチン濃度(%)が約17 mg/mlであることを特徴とするミスト発生装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願へのクロスリファレンス
本願は、それぞれの優先権の利益を主張し、参照によりその全体を本願に組み入れる。2020年12月15日に出願された米国特許出願第17/122025号、及び2021年4月1日に出願された米国特許出願第17/220189号。
【0002】
本発明は、ニコチンデリバリー装置に関するものである。本発明は、より詳細には、超音波振動により液体を霧化するニコチンデリバリー装置に関するものである。
【背景技術】
【0003】
ミスト吸入器または電子気化式吸入器は、従来のタバコに伴うタールやその他のきつい化学物質を避け、ニコチンへの渇望を満たしたい喫煙者の間で人気が出てきている。電子気化吸入器には、通常、ニコチンオイル、溶剤、水、および多くの場合香料の混合物である液体ニコチンが含まれている場合がある。使用者が電子気化吸入器を吸引すると、液体ニコチンが気化器に吸い込まれ、そこで加熱されて蒸気になる。電子気化式吸入器を吸引すると、ニコチンを含む蒸気が吸引される。
【0004】
電子式気化吸入器と他の気化吸入器は、通常、類似したデザインを持っている。ほとんどの電子気化式吸入器は、液体ニコチンリザーバと、リザーバから漏れないように液体ニコチンを保持する毛細管要素などの内膜、典型的には綿を備えている。それにもかかわらず、これらのタバコは、液体が膜からマウスピースに流れ出るのを防止する障害物がないため、依然として漏れが発生しやすい。電子式気化吸入器の液漏れは、いくつかの理由で問題がある。第1の欠点として、液体が電子部品に漏れ、装置に重大な損傷を与える可能性がある。第2の欠点として、液体が電子気化吸入器のマウスピースに漏れ、ユーザが未気化の液体を吸入する可能性があることである。
【0005】
電子気化式吸入器は、吸引の間に一貫性のない用量を提供することでも知られている。前述の漏れは、膜がヴェポライザーの近くで過飽和または過少になることがあるため、投与量が一定しない原因の1つである。膜が過飽和である場合、ユーザは所望の用量よりも強い蒸気を経験する可能性があり、膜が過少である場合、ユーザは所望の用量よりも弱い蒸気を経験する可能性がある。使用者が吸う強さを少し変えるだけで、強くなったり弱くなったりすることがある。一貫性のない投与は、漏れとともに、ベーパリング液体のより早い消費につながる可能性がある。
【0006】
さらに、従来の電子気化式吸入器は、電子タバコ内の液体を加熱するように構成された金属加熱部品を高温にすることで、吸い込むことができる液体を気化させることに依存する傾向がある。従来の電子式気化吸入器の問題点として、金属が燃える可能性があり、その後、燃えた液体と一緒に金属を吸い込む可能性がある。また、加熱された液体による焦げた臭いを好まない人もいる。
【0007】
現在、電子気化吸入器は、使用者が従来のタバコよりも安全だと考えられる方法でニコチン量を受け取ることを可能にすることによって、禁煙プログラムにおいて重要な役割を果たすことができると認識されている。一般的に、ニコチンパッチやチューイと比較して、気化式吸入器を使用した禁煙プログラムを遵守する可能性が高くなる。しかし、従来の気化式吸入器は、使用者が吸うたびに一貫してニコチン量を供給することができません。このため、使用者は、毎日消費したニコチンの実際の量を知ることができず、したがって、ニコチン消費を減少させる禁煙プログラムの有効性を追跡できないので、禁煙プログラムの有効性が損なわれている。そのため、使用者は禁煙プログラムに幻滅し、従来のタバコの喫煙に逆戻りする可能性がある。
【0008】
したがって、本明細書に記載された問題の少なくともいくつかに対処しようとする改良されたニコチンデリバリー装置に対する必要性が当技術分野において存在する。
【発明の概要】
【0009】
本発明は、請求項1に記載のニコチンデリバリー装置を提供する。本発明はまた、従属請求項に記載されるような好ましい実施形態を提供する。
【0010】
以下に説明する本開示の様々な例は、従来のミスト吸入器と比較して複数の利点および利益を有する。これらの利点及び利点は、以下の説明に記載されている。
【0011】
本開示の例のニコチンデリバリー装置は、従来のニコチンデリバリー装置よりも高効率な動作が可能であるため、本開示の例のニコチンデリバリー装置は、必要電力が低減することによる環境面でのメリットを有している。
【0012】
一態様によれば、使用者による吸入のためのミストを生成するためのミスト吸入器が提供され、この装置は以下を備える:
ミスト発生装置であって、以下を含むもの:
細長く、空気入口ポートおよびミスト出口ポートを備えるミスト発生ハウジング
ミスト発生ハウジング内に設けられた液体チャンバであって、霧化される液体を収容するための液体チャンバ
ミスト発生ハウジング内に設けられた超音波処理チャンバ
液体チャンバと超音波チャンバとの間に延びる毛細管要素であって、毛細管要素の第1の部分が液体チャンバ内にあり、毛細管要素の第2の部分が超音波チャンバ内にあるようにする毛細管要素
超音波処理チャンバ内に設けられた概して平面状の霧化表面を有する超音波変換器であり、霧化表面の平面がミスト発生ハウジングの長手方向の長さと実質的に平行であるように、超音波変換器がミスト発生ハウジング内に取り付けられる、超音波変換器。毛細管要素の第2の部分の一部が、霧化面の一部に重なっており、超音波変換器が、霧化面を振動させて、毛細管要素の第2の部分によって運ばれる液体を霧化して、超音波処理チャンバ内に霧化した液体および空気からなるミストを生成するように構成されていることを特徴とする、請求項1に記載の超音波処理装置
空気入口ポート、超音波処理チャンバと前空気出口ポートとの間に空気流路を提供する気流配置であって、ミスト出口ポートから使用者が入口ポートを通って空気を引き出し、超音波処理チャンバを通ってミスト出口ポートを通って出て行き、超音波処理チャンバ内で生成されたミストが使用者による吸入のためにミスト出口ポートを通って空気によって運ばれるミスト吸入装置であり、さらに次のものを含むもの:
【0013】
次のものを内蔵するドライバ装置:
バッテリー
バッテリからの電圧を所定の周波数の交流駆動信号に変換して超音波変換器を駆動する交流ドライバ。
超音波変換器が交流駆動信号によって駆動されるときに、超音波変換器によって使用される有効電力を監視するための有効電力監視配置であって、超音波変換器によって使用される有効電力を示す監視信号を提供する有効電力監視配置
交流駆動を制御し、アクティブ電力監視配置から監視信号駆動を受信するためのプロセッサ
プロセッサによって実行されたとき、プロセッサに以下を行わせる命令を格納するメモリ:
A. 交流駆動を制御して、所定のスイープ周波数で超音波変換器に交流駆動信号を出力させる
B. 監視信号に基づいて、超音波変換器によって使用されている有効電力を計算する
C. 交流ドライバを制御して交流駆動信号を変調し、超音波変換器が使用する有効電力を最大化する
D. 超音波変換器によって使用される最大有効電力と交流駆動信号のスイープ周波数の記録をメモリに保存する
E. 所定の反復回数の後、スイープ周波数がスイープ開始周波数からスイープ終了周波数まで増加または減少するように、各反復でスイープ周波数が増加または減少しながら、ステップA-Dを所定の回数だけ繰り返す
F. メモリに格納された記録から、超音波変換器によって最大の有効電力が使用される交流駆動信号のスイープ周波数である交流駆動信号の最適周波数を特定する
G. 交流駆動を制御して、最適な周波数で超音波変換器に交流駆動信号を出力し、超音波変換器を駆動して液体を霧化させる。
【0014】
いくつかの例では、ドライバ装置は、ドライバ装置がミスト発生装置から分離可能であるように、ミスト発生装置に解放可能に取り付けられる。
【0015】
別の態様によれば、以下を組み込んだミスト発生装置が提供される:
細長く、空気入口ポートおよびミスト出口ポートを備えるミスト発生ハウジング
ミスト発生ハウジング内に設けられた液体チャンバであって、霧化される液体を収容するための液体チャンバ
ミスト発生ハウジング内に設けられた超音波処理チャンバ
液体チャンバと超音波チャンバとの間に延びる毛細管要素であって、毛細管要素の第1の部分が液体チャンバ内にあり、毛細管要素の第2の部分が超音波チャンバ内にあるようにする毛細管要素
超音波処理チャンバ内に設けられた概して平面状の霧化表面を有する超音波変換器であり、霧化表面の平面がミスト発生ハウジングの長手方向の長さと実質的に平行であるように、超音波変換器がミスト発生ハウジング内に取り付けられる、超音波変換器。毛細管要素の第2の部分の一部が、霧化面の一部に重なっており、超音波変換器が、霧化面を振動させて、毛細管要素の第2の部分によって運ばれる液体を霧化して、超音波処理チャンバ内に霧化した液体および空気からなるミストを生成するように構成されていることを特徴とする、請求項1に記載の超音波処理装置
ミスト出口ポートで吸引する使用者が、入口ポートを通して、超音波処理チャンバを通り、ミスト出口ポートを通して外に出るように、空気入口ポートと超音波処理チャンバと空気出口ポートとの間に空気流路を提供する空気流配置と、超音波処理チャンバで発生したミストが空気によって、使用者によって吸入するためにミスト出口ポートを介して外に運ばれる、ミスト吸入器
【0016】
いくつかの例では、ミスト発生装置は、ミスト発生ハウジング内に保持される変換器ホルダーであって、変換器要素は、超音波変換器を保持し、霧化表面の一部に重ねられた毛細管要素の第2の部分を保持する変換器ホルダーと、液体チャンバと超音波照射チャンバの間にバリアを提供する仕切り部であって、仕切り部は毛細管要素の第1の部分の一部が延びる毛細管開口を構成している仕切り部をさらに備える。
【0017】
いくつかの例では、変換器ホルダは、液体シリコーンゴムである。
【0018】
いくつかの例では、液状シリコーンゴムは、ショアA60の硬度を有する。
【0019】
いくつかの例では、毛細管開口部は、0.2mm~0.4mmの幅を有する細長いスロットである。
【0020】
いくつかの例では、毛管要素は、概して長方形の形状を有する第1の部分と、部分的に円形の形状を有する第2の部分とを有する概して平面的である。
【0021】
いくつかの例では、毛細管要素は、実質的に0.28 mmの厚さを有する。
【0022】
いくつかの例では、毛細管要素は、毛細管要素が2つの層を有するように互いに重ね合わされる第1の部分と第2の部分とから構成されている。
【0023】
いくつかの例では、毛細管要素は、少なくとも75%の竹繊維である。
【0024】
いくつかの例では、毛細管要素は100%竹繊維である。
【0025】
いくつかの例では、空気流配置は、空気の流れが超音波処理チャンバに通過するときに、空気の流れが超音波変換器の霧化表面に対して実質的に垂直になるように、空気流路に沿った空気の流れの方向を変えるように構成される。
【0026】
いくつかの例では、空気の流れの方向転換は、実質的に90゜である。
【0027】
いくつかの例では、空気流配置は、実質的に11.5mm2の平均断面積を有する空気流路を提供する。
【0028】
いくつかの例では、ミスト発生装置には次のものが備えられている:ミスト出口ポートに隣接して設けられ、ミスト出口ポートで液体を吸収する少なくとも1つの吸収性要素。
【0029】
いくつかの例では、各吸収性要素は竹繊維である。
【0030】
いくつかの例では、ミスト発生ハウジングは、少なくとも一部が異相性コポリマーである。
【0031】
いくつかの例では、異相性コポリマーはポリプロピレンである。
【0032】
いくつかの例では、超音波変換器は円形であり、実質的に16mmの直径を有する。
【0033】
いくつかの例では、液体チャンバは、1.05パスカル秒から1.412パスカル秒の間の動粘度と1.1 g/mlから1.3 g/mlの間の液体密度を有する液体を含む。
【0034】
いくつかの例では、液体チャンバは、1:1のモル比でニコチンレブリネート塩を含む。
【0035】
いくつかの例では、ミスト発生装置は、ミスト発生ハウジングに設けられる識別配置をさらに備え、識別配置は、ミスト発生装置の一意の識別子を格納するメモリを有する集積回路と、集積回路と通信するための電子インターフェースを提供する電気接続を備える。
【0036】
いくつかの例では、集積回路のメモリは、ミスト発生装置の歴史的使用または液体チャンバ内の液体の体積の少なくとも1つを示す、ミスト発生装置の状態の記録を格納する。
【0037】
一態様によれば、ミスト吸入器のためのドライバ装置が提供され、該装置は以下を備える:
バッテリー
バッテリからの電圧を所定の周波数の交流駆動信号に変換して超音波変換器を駆動する交流ドライバ
超音波変換器が交流駆動信号によって駆動されるときに、超音波変換器によって使用される有効電力を監視するための有効電力監視配置であって、超音波変換器によって使用される有効電力を示す監視信号を提供する有効電力監視配置
交流駆動を制御し、アクティブ電力監視配置から監視信号駆動を受信するためのプロセッサ
プロセッサによって実行されたとき、プロセッサに以下を行わせる命令を格納するメモリ:
A. 交流駆動を制御して、所定のスイープ周波数で超音波変換器に交流駆動信号を出力させる
B. 監視信号に基づいて、超音波変換器によって使用されている有効電力を計算する
C. 交流ドライバを制御して交流駆動信号を変調し、超音波変換器が使用する有効電力を最大化する
D. 超音波変換器によって使用される最大有効電力と交流駆動信号のスイープ周波数の記録をメモリに保存する
E. 所定の反復回数の後、スイープ周波数がスイープ開始周波数からスイープ終了周波数まで増加または減少するように、各反復でスイープ周波数が増加または減少しながら、ステップA-Dを所定の回数だけ繰り返す
F. メモリに格納された記録から、超音波変換器によって最大の有効電力が使用される交流駆動信号のスイープ周波数である交流駆動信号の最適周波数を特定する
G. 交流駆動を制御して、最適な周波数で超音波変換器に交流駆動信号を出力し、超音波変換器を駆動して液体を霧化させる。
【0038】
いくつかの例では、アクティブ電力監視配置は、超音波変換器を駆動する交流駆動信号の駆動電流を感知するための電流感知配置を備え、アクティブ電力監視配置は、感知された駆動電流を示す監視信号を提供する。
【0039】
いくつかの例では、電流感知配置は、感知された駆動電流をプロセッサによって処理するためのデジタル信号に変換するアナログ-デジタル変換器を備える。
【0040】
いくつかの例では、メモリは、プロセッサによって実行されると、プロセッサに、スイープ周波数が2900kHzのスイープ開始周波数から2960kHzのスイープ終了周波数まで増加するステップA~Dを繰り返すように命令することを記憶している。
【0041】
いくつかの例では、メモリは、プロセッサによって実行されると、プロセッサに、スイープ周波数が2900kHzのスイープ開始周波数から3100kHzのスイープ終了周波数まで増加するステップA~Dを繰り返すように命令することを記憶している。
【0042】
いくつかの例では、メモリは、プロセッサによって実行されると、プロセッサに:ステップGにおいて、最適周波数から所定のシフト量だけシフトされた周波数で超音波変換器に交流駆動信号を出力するように交流駆動を制御させる命令を格納する。
【0043】
いくつかの例では、所定のシフト量は、最適な周波数の1~10%の間である。
【0044】
いくつかの例では、バッテリは、3.7V DC Li-Poバッテリである。
【0045】
いくつかの例では、ドライバ装置は、ドライバ装置を通って延びるドライバ装置流路に沿った空気の流れを感知するための圧力センサをさらに備える。
【0046】
いくつかの例では、ドライバ装置は、プロセッサと通信する無線通信システムをさらに備え、無線通信システムは、ドライバ装置とコンピューティング装置との間でデータを送信および受信するように構成される。
【0047】
いくつかの例では、ドライバー装置は、少なくとも一部が金属であるドライバー装置筐体をさらに備え、ドライバー装置筐体は、バッテリー、プロセッサ、メモリ、アクティブ電力監視配置および交流駆動を収容し、ドライバー装置筐体は、ミスト発生装置の一部を受け入れて保持するための凹部を含む。
【0048】
いくつかの例では、交流駆動は、超音波変換器によって使用されているアクティブパワーを最大化するために、パルス幅変調によって交流駆動信号を変調する。
【0049】
以下の開示で使用される「ミスト」という表現は、先行技術から知られる従来の吸入器において通常行われるように液体が加熱されないことを意味することに留意されたい。実際、従来の吸入器は、液体をその沸騰温度以上に加熱して蒸気を発生させるために加熱素子を使用するが、これはミストとは異なるものである。
【0050】
実際、液体を高強度で超音波処理する場合、液体媒体中に伝播する音波は、周波数に依存して異なる速度で、高圧(圧縮)および低圧(希釈)サイクルを交互に生じる。低圧サイクルでは、高強度の超音波が液体中に小さな真空の気泡や空隙を作る。この気泡がエネルギーを吸収できない体積になると、高圧サイクルで激しく崩壊する。この現象をキャビテーションという。このとき、局所的に非常に高い圧力が発生する。キャビテーションでは、壊れた毛細管波が発生し、液体の表面張力を破った微小な液滴が霧状になって素早く空中に放出される。
【0051】
以下、キャビテーション現象について、より具体的に説明する。
【0052】
超音波振動により液体を霧化すると、液体中に微細な水泡が発生する。
【0053】
この気泡の生成は、超音波振動の手段によって発生する強い超音波による負圧によって生じる空洞の形成過程である。
【0054】
正圧サイクルの間、空洞の大きさが比較的小さく無視できるほど小さくなり、空洞の急速な成長につながる高強度の超音波。
【0055】
超音波は、他の音波と同様に、圧縮と膨張のサイクルで構成されている。液体と接触すると、圧縮サイクルは液体に正の圧力をかけ、分子同士を押し付ける。膨張のサイクルでは、負の圧力がかかり、分子が互いに引き離される。
【0056】
強い超音波は、正圧と負圧の領域を作り出す。負圧の時に空洞ができ、大きくなることがある。空洞が臨界サイズに達すると、空洞は崩壊する。
【0057】
必要な負圧の大きさは、液体の種類と純度によって異なる。純度の高い液体の場合、引張強度が非常に大きいため、市販の超音波発生器では空洞を形成するのに十分な負圧を発生させることができない。例えば、純水では1,000気圧以上の陰圧が必要だが、最も強力な超音波発生器でも50気圧程度の陰圧しか発生しない。液体の引張強さは、液体粒子の隙間に閉じ込められた気体によって低下する。この効果は、固体材料に発生する亀裂による強度低下と類似している。気体で満たされた隙間に音波による負圧サイクルをかけると、圧力低下により隙間の気体が膨張し、小さな気泡が溶液中に放出される。
【0058】
しかし、超音波を照射された気泡は、音波の圧縮と膨張のサイクルを交互に繰り返すことでエネルギーを吸収し続ける。これにより、気泡は成長・収縮を繰り返し、気泡内部の空隙と外部の液体との間でダイナミックなバランスを保っている。また、超音波によって、気泡の大きさが変化することもある。また、気泡の平均的な大きさが大きくなる場合もある。
【0059】
空洞の成長は、音の強さに依存する。高強度の超音波は、負圧サイクルの間に空洞を急速に拡大し、正圧サイクルの間に空洞が収縮する機会がないようにすることができる。このように、空洞は1回の音波の周期で急速に成長することができる。
【0060】
低強度の超音波の場合、空洞の大きさは膨張と圧縮のサイクルと同位相で振動する。低強度の超音波によって生成された空洞の表面は、膨張サイクルの方が圧縮サイクルよりもわずかに大きくなる。空洞に出入りする気体の量は表面積に依存するので、膨張サイクルでは空洞への拡散が圧縮サイクルでの拡散よりわずかに大きくなる。つまり、音の周期ごとに、空洞は収縮より膨張の方が少し大きくなる。何度も繰り返しているうちに、空洞はゆっくりと大きくなっていく。
【0061】
成長した空洞は、最終的に超音波のエネルギーを最も効率的に吸収する臨界サイズに到達することが分かっている。この臨界サイズは、超音波の周波数に依存する。高強度の超音波によって空洞が非常に急速に成長すると、もはや超音波からエネルギーを効率的に吸収することができなくなる。このエネルギー入力がなければ、空洞はもはやそれ自体を維持することができない。液体が押し寄せ、空洞は非線形応答により崩壊する。
【0062】
爆縮によって放出されたエネルギーによって、液体は微細な粒子に分解され、ミストとして空気中に飛散する。
【0063】
上記の非線形応答現象を記述する方程式は、「レイリー-プレセット」方程式で記述することができる。この式は、流体力学で用いられる「ナビエ・ストークス」方程式から導き出すことができる。
【0064】
本発明者らのアプローチは、気泡体積Vを動的パラメータとし、散逸を記述する物理学が、半径を動的パラメータとする、より古典的な形式で用いられるものと同一である「レイリー-プレセット」方程式を書き換えることであった。
【0065】
この方程式は次のように導かれる:
【0066】
【0067】
超音ミスト化吸入器では、液体は動粘度が1.05パスカル秒から1.412パスカル秒の間である。
【0068】
粘度、密度、空気中への液体噴霧の所望の目標気泡体積を適切なパラメータとして上記の式を解くことにより、液体の粘度範囲1.05パスカル秒と1.412パスカル秒で2.8MHzから3.2MHzの周波数囲が約0.25ミクロンから0.5ミクロンの気泡体積を作り出すことが判明している。
【0069】
超音波キャビテーションのプロセスは、生成されたミスト中のニコチン濃度に大きな影響を与える。
【0070】
発熱体を使用しないため、発熱体の焦げ付きがなく、副流煙の影響を低減することができる。
【0071】
いくつかの例では、前記の液体は、57~70%(w/w)の植物性グリセリンと30~43%(w/w)のプロピレングリコールを含み、前記のプロピレングリコールは、ニコチン及び任意に香料を含む。
【0072】
超音波ミスト吸入器において、毛細管要素は、超音波処理チャンバと液体チャンバの間に延びてもよい。
【0073】
超音波ミスト吸入器において、毛細管要素は、少なくとも一部が竹繊維である材料である。
【0074】
毛細管要素により、高い吸収容量、高い吸収速度だけでなく、高い液保持率も実現できる。
【0075】
毛細管に使用される提案材料の固有の特性は、超音波ミスト吸入器の効率的な機能に大きな影響を与えることが判明した。
【0076】
さらに、本材料の固有の特性として、良好な透湿性を維持しつつ、良好な吸湿性を有している。これにより、吸引した液体を効率よく毛細管に浸透させることができるとともに、高い吸水性により大量の液体を保持することができ、市販されている他の製品と比較して超音波ミスト吸入器をより長く使用することができるようになった。
【0077】
竹繊維を使用するもう一つの大きな利点は、竹繊維の中にもともと存在する天然由来の抗菌性生物製剤である「クン」によって、抗菌性、抗真菌性、防臭性があることである。
【0078】
この竹繊維固有の特性は、超音波処理における竹繊維の利点に関して、数値解析により検証されている。
【0079】
以下の式は、毛細管要素として使用するための竹繊維材料および綿、紙、または他の繊維ストランドなどの他の材料でテストされており、竹繊維が超音波処理での使用のためにはるかに優れた特性を有することを実証している:
【0080】
【0081】
【0082】
超音波ミスト吸入器において、毛細管要素は、少なくとも一部が竹繊維である材料とすることができる。
【0083】
超音波ミスト吸入器において、毛細管要素の材料は、竹繊維100%とすることができる。
【0084】
広範な試験により、100%純粋な竹繊維が超音波処理に最も最適な選択であると結論付けられている。
【0085】
超音波ミスト吸入器では、毛細管要素の材料は、少なくとも75%が竹繊維で、オプションとして25%が綿であってもよい。
【0086】
100%純粋な竹繊維または竹繊維の高い割合からの毛管要素は、高い吸収能力を示すだけでなく、超音波ミスト吸入器のアプリケーションのための最適な選択となる改善された流体透過性を有する。
【0087】
超音波ミスト吸入器において、毛細管要素は、平坦な形状を有していてもよい。
【0088】
超音波ミスト吸入器において、毛細管要素は、中央部分と周辺部分とから構成されてもよい。
【0089】
超音波ミスト吸入器において、周辺部は、液体チャンバに向かって延びるL字型の断面を有していてもよい。
【0090】
超音波ミスト吸入器において、中央部は、超音波照射チャンバまで延びるU字形状の断面を有していてもよい。
【0091】
一例に係る超音波ミスト吸入器において、液体チャンバに受容される前記の液体は、57~70%(w/w)の植物性グリセリンと30~43%(w/w)のプロピレングリコールとを含み、前記のプロピレングリコールはニコチン及び香料を含む、ことを特徴とする超音波ミスト吸入器。
【0092】
超音波ミスト吸入器または個人用超音ミスト化装置は次を含む:
霧化される液体を受け取るように適合された液体チャンバまたはカートリッジを含む液体リザーバー構造体
液体チャンバまたはカートリッジと流体連通している超音波照射チャンバ
前記の液体チャンバに受容される前記の液体は、57~70%(w/w)の植物性グリセリンおよび30~43%(w/w)のプロピレングリコールを含み、前記のプロピレングリコールはニコチンおよび香料を含む。
【図面の簡単な説明】
【0093】
本発明をより容易に理解するために、本発明の実施形態は、次に、添付の図面を参照しながら、例として説明する:
【
図1】
図1は、超音波ミスト吸入器の構成要素の分解斜視図である。
【
図2】
図2は、吸入器液体リザーバ構造の構成要素の分解斜視図である。
【
図3】
図3は、吸入器液体リザーバ構造の構成要素の断面図である。
【
図5】
図5は、RLC回路としてモデル化された圧電変換器を示す模式図である。
【
図6】
図6は、RLC回路の周波数対対数インピーダンスのグラフである。
【
図7】
図7は、圧電変換器の動作の誘導性領域と容量性領域を示す周波数対対数インピーダンスのグラフである。
【
図8】
図8は、周波数コントローラの動作を示すフロー図である。
【
図9】
図9は、本開示のニコチンデリバリー装置の図解的透視図である。
【
図10】
図10は、本開示のニコチンデリバリー装置の図解的透視図である。
【
図11】
図11は、本開示のミスト発生装置の斜視透視図である。
【
図12】
図12は、本開示のミスト発生装置の斜視透視図である。
【
図13】
図13は、本開示のミスト発生装置の図解的な分解透視図である。
【
図14】
図14は、本開示の変換器ホルダーの斜視透視図である。
【
図15】
図15は、本開示の変換器ホルダーの斜視透視図である。
【
図16】
図16は、本開示のキャピラリー要素の斜視透視図である。
【
図17】
図17は、本開示のキャピラリー要素の斜視透視図である。
【
図18】
図18は、本開示の変換器ホルダーの斜視透視図である。
【
図19】
図19は、本開示の変換器ホルダーの斜視透視図である。
【
図20】
図20は、本開示のハウジングの一部の図解的な透視図である。
【
図22】
図22は、本開示のハウジングの一部の図解的な透視図である。
【
図23】
図23は、本開示のハウジングの一部の図解的な透視図である。
【
図25】
図25は、本開示のハウジングの一部の図解的な透視図である。
【
図26】
図26は、本開示のハウジングの一部の図解的な透視図である。
【
図27】
図27は、本開示のハウジングの一部の図解的な透視図である。
【
図28】
図28は、本開示の回路基板の図解的な透視図である。
【
図29】
図29は、本開示の回路基板の図解的な透視図である。
【
図30】
図30は、本開示のミスト発生装置の図解的な分解透視図である。
【
図31】
図31は、本開示のミスト発生装置の図解的な分解透視図である。
【
図32】
図32は、本開示のミスト発生装置を示す断面図である。
【
図33】
図33は、本開示のミスト発生装置を示す断面図である。
【
図34】
図34は、本開示のミスト発生装置を示す断面図である。
【
図35】
図35は、本開示のドライバ装置の斜視分解透視図である。
【
図36】
図36は、本開示のドライバ装置の一部を示す斜視透視図である。
【
図37】
図37は、本開示のドライバ装置の一部を示す斜視透視図である。
【
図38】
図38は、本開示のドライバ装置の一部を示す斜視透視図である。
【
図39】
図39は、本開示のドライバ装置の一部を示す斜視透視図である。
【
図40】
図40は、本開示のドライバ装置の一部を示す斜視透視図である。
【
図41】
図41は、本開示のドライバ装置の一部を示す斜視透視図である。
【
図42】
図42は、本開示のドライバ装置の一部を示す斜視透視図である。
【
図45】
図45は、本開示のパルス幅変調発生器の概略図である。
【
図48】
図48は、本開示の一例のポート機能を示す表である。
【
図50】
図50は、本開示の一例のHブリッジの回路図である。
【
図51】
図51は、本開示の一例の電流センス配置の回路図である。
【
図52】
図52は、本開示の一例のHブリッジの回路図である。
【
図55】
図55は、超音波変換器が
図50のHブリッジによって駆動されている間の、超音波変換器の端子における電圧および電流を示すグラフである。
【
図56】
図56は、本開示の集積回路間の接続を示す模式図である。
【
図58】
図58は、本開示の一例の認証方法のステップを説明するための図である。
【
図59】
図59は、本開示のドライバ装置のエンドキャップの斜視透視図である。
【
図60】
図60は、本開示のドライバ装置の筐体の斜視透視図である。
【
図61】
図61は、本開示のミスト吸入器に対するEMC試験の結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0094】
詳細な説明
本開示の態様は、添付の図と共に読まれた場合、以下の詳細な説明から最もよく理解される。当業界の標準的な慣行にしたがって、様々な特徴は縮尺通りに描かれていないことに留意されたい。実際、様々な特徴の寸法は、議論を明確にするために任意に増やしたり減らしたりすることができる。
【0095】
以下の開示は、提供される主題の異なる特徴を実施するための多くの異なる実施形態、又は例を提供する。構成要素、濃度、用途、及び配置の具体例は、本開示を簡略化するために以下に説明される。もちろん、これらは単なる例であり、限定することを意図していない。例えば、以下の説明における第1の特徴及び第2の特徴の取り付けは、第1の特徴及び第2の特徴が直接接触して取り付けられる実施形態を含んでもよく、また、第1の特徴及び第2の特徴が直接接触していなくてもよいように、第1の特徴と第2の特徴との間に追加の特徴が配置され得る実施形態を含んでもよい。加えて、本開示は、様々な例において参照数字及び/又は文字を繰り返すことがある。この繰り返しは、単純化及び明確化のためであり、それ自体は、議論された様々な実施形態及び/又は構成間の関係を指示するものではない。
【0096】
以下の開示は、代表的な例について説明するものである。各例は、実施形態とみなされてもよく、本開示において、「例」への言及は、「実施形態」に変更されてもよい。
【0097】
本開示のいくつかの部分は、電子式気化吸入器に向けられている。しかし、水タバコや香料液体のための吸入器など、他の例も想定される。さらに、この装置は、タバコというよりオブジェクトのように見えるようにパッケージ化することができる。例えば、パイプ、水パイプ、スライドなどの他の喫煙具に似せた装置や、喫煙に関係ない他の物体に似せた装置も考えられる。
【0098】
超音波ミスト吸入器は、使い捨てまたは再利用可能のいずれかである。本書で使用される「再利用可能」という用語は、エネルギー貯蔵装置が再充電可能または交換可能であること、または液体が再充填または液体貯蔵器構造の交換のいずれかによって補充可能であることを意味する。あるいは、いくつかの例では、再利用可能な電子装置は、再充電可能であり、液体を補充することができる両方である。
【0099】
従来の電子気化吸入器は、吸入器内の液体を加熱するように構成された金属部品の高温を誘発し、したがって、吸い込むことができる液体を気化させることに依存する傾向がある。液体は、通常、プロピレングリコール(PG)および植物性グリセリン(VG)の溶液にブレンドされたニコチンおよび香料を含み、これらは、高温で加熱部品を介して気化される。従来の吸入器の問題点として、金属が燃える可能性があり、その後、燃えた液体と一緒に金属を吸い込む可能性がある。また、加熱された液体による焦げた臭いや味を好まない人もいる。
【0100】
図1~
図4は、超音波処理チャンバを構成する超音波吸入器の一例を示す図である。
【0101】
図1には、使い捨ての超音波ミスト吸入器100が描かれている。
図1から分かるように、超音波ミスト吸入器100は、直径に比して長さが比較的長い円筒形の本体を有している。形状および外観の点で、超音波ミスト吸入器100は、典型的なタバコの外観を模倣するように設計されている。例えば、吸入器は、主にタバコのタバコ棒部分を模擬する第1の部分101と、主にフィルタを模擬する第2の部分102とを備えることができる。使い捨ての例では、第1部分と第2部分とは、単一の、しかし分離可能な装置の領域である。第1部分101及び第2部分102という呼称は、各部分に主に含まれる構成要素を便宜的に区別するために用いられる。
【0102】
図1から分かるように、超音波ミスト吸入器は、マウスピース1、液溜め構造体2、およびケーシング3から構成されている。第1部分101はケーシング3を構成し、第2部分102はマウスピース1およびリザーバ構造体2を構成する。
【0103】
第1の部分101には、電源エネルギーが含まれている。
【0104】
蓄電装置30は、超音波ミスト吸入器100に電力を供給する。蓄電装置30は、リチウムイオンバッテリ、アルカリバッテリ、亜鉛-炭素バッテリ、ニッケル水素バッテリ、ニッケル-カドミウムバッテリなどのバッテリ、スーパーキャパシタ、またはこれらの組み合わせとすることができるが、これらに限定されるわけではない。使い捨ての例では、電気貯蔵装置30は再充電可能ではないが、再使用可能な例では、電気貯蔵装置30は再充電可能であるように選択されるであろう。使い捨ての例では、電気貯蔵装置30は、主に、吸入器100の寿命にわたって一定の電圧を供給するように選択される。そうでなければ、吸入器の性能は時間とともに劣化することになる。装置の寿命にわたって一定の電圧出力を提供することができる好ましい電気貯蔵装置には、リチウムイオンバッテリおよびリチウムポリマーバッテリが含まれる。
【0105】
電気貯蔵装置30は、一般に正端子に対応する第1の端部30aと、一般に負端子に対応する第2の端部30bとを有する。負極端子は、第1端部30aまで延びている。
【0106】
蓄電装置30は第1部分101に位置し、液溜め構造2は第2部分102に位置するので、接合部は、それらの構成要素の間に電気的な通信を提供することが必要である。本発明では、第1の部分101が第2の部分102に締め付けられるときに一緒に圧縮される少なくとも電極またはプローブを用いて電気通信が確立される。
【0107】
この例では、再利用可能とするために、蓄電装置30は充電可能である。ケーシング3には、充電口32が設けられている。
【0108】
集積回路4は、近位端4aおよび遠位端4bを有する。電気貯蔵装置30の第1端30aの正端子は、フレキシブル集積回路4の正リードと電気的に連通している。電気貯蔵装置30の第2の端部30bの負端子は、集積回路4の負リードと電気的に通信している。集積回路4の遠位端4bは、マイクロプロセッサを含んで構成されている。マイクロプロセッサは、センサからのデータを処理し、ライトを制御し、第2の部分102における超音波振動5に電流の流れを指示し、予めプログラムされた時間の後に電流の流れを終了させるように構成されている。
【0109】
センサは、超音波ミスト吸入器100が使用されているとき(使用者が吸入器を吸引したとき)を検出し、マイクロプロセッサを作動させる。センサは、圧力、空気流、または振動の変化を検出するように選択することができる。一例では、センサは圧力センサである。デジタル装置では、センサは連続的な読み取りを行い、その結果、デジタルセンサは連続的に電流を引き込む必要があるが、その量は小さく、全体のバッテリ寿命は無視できるほど影響されるだろう。
【0110】
いくつかの例では、集積回路4は、高周波で直流を交流に変換するために4つのMOSFETによって形成されてもよいHブリッジを構成している。
【0111】
図2及び
図3を参照すると、一例による液溜め構造2の図解が示されている。液体リザーバ構造2は、霧化される液体を受け取るように適合された液体チャンバ21と、液体チャンバ21と流体連通している超音波処理チャンバ22とからなる。
【0112】
示されている例では、液体リザーバ構造2は、超音波処理チャンバ22から周囲に向かう空気通路を提供する吸入チャネル20を備える。
【0113】
センサ位置の一例として、超音波照射チャンバ22にセンサを配置してもよい。
【0114】
吸入チャンネル20は、錐体部20aと内部容器20bを有する。
【0115】
図4A及び
図4Bに描かれているように、さらに吸入チャネル20は、周囲から超音波処理チャンバ22に空気流を供給するための空気流部材27を有する。
【0116】
気流部材27は、一体に作られた気流ブリッジ27a及び気流ダクト27bを有し、気流ブリッジ27aは吸入チャネル20の一部を形成する2つの気道開口27a’を有し、気流ダクト27bは気流ブリッジ27aから超音波処理チャンバ22内に延びて周囲から超音波処理チャンバへの空気流を提供するためにある。
【0117】
気流ブリッジ27aは、第2の直径20a2において錐体要素20aと協働する。
【0118】
気流ブリッジ27aは、気流を気流ダクト27bに供給する2つの対向する周辺開口部27a’’を有する。
【0119】
気流ブリッジ27aとフラストコニカル要素20aとの協働は、2つの対向する周辺開口部27a’’がフラストコニカル要素20aの相補的開口部20a’’と協働するように配置される。
【0120】
口金1と錐体部20aは半径方向に間隔をあけて配置され、その間に気流チャンバ28が配置されている。
【0121】
図1および
図2に描かれているように、マウスピース1は、2つの対向する周辺開口部1’’を有する。
【0122】
気流ブリッジ27aの周辺開口部27a’’、20a’’、1’’、フラストコニカル要素20a及びマウスピース1は、超音波処理チャンバ22に最大限の空気流を直接供給する。
【0123】
錐体要素20aは、吸入チャネル20と同様の方向に整列された内部通路を含み、第1の直径20a1が第2の直径20a2のそれよりも小さく、内部通路が錐体要素20aにわたって直径を減少させるように、内部通路を有している。
【0124】
錐体要素20aは、超音波振動の手段5及び毛管要素7と整列して配置され、第1の直径20a1はマウスピース1の内部ダクト11に連通し、第2の直径20a2は内部容器20bに連通している。
【0125】
内部容器20bは、超音波照射チャンバ22と液体チャンバ21とを区画する内壁を有する。
【0126】
液溜め構造2は、液チャンバ21の外壁を区画する外容器20cを有している。
【0127】
内側容器20b及び外側容器20cは、それぞれ、液体チャンバ21の内壁及び外壁である。
【0128】
液溜め構造体2は、口金1とケーシング3との間に配置され、口金1およびケーシング3に対して着脱可能である。
【0129】
液体リザーバ構造体2およびマウスピース1またはケーシング3は、互いに係合するための相補的な配置を含んでもよく;さらにそのような相補的配置は、バヨネット型配置;ねじ係合型配置;磁気配置;または摩擦嵌合配置のいずれかを含んでもよく、液体リザーバ構造体2は配置の一部分を含み、マウスピース1またはケーシング3は、配置の相補的部分を含んでいる。
【0130】
再使用可能な例では、構成要素は実質的に同じである。使い捨ての例に対する再使用可能な例の違いは、液体リザーバ構造2を交換するためになされる収容である。
【0131】
図3に示すように、液体チャンバ21は、液体チャンバ21の内側容器20bと外側容器20cを閉じる上壁23と底壁25を有する。
【0132】
毛細管要素7は、内側容器20bの第1部分20b1と第2部分20b2との間に配置されている。
【0133】
毛細管要素7は、超音波照射チャンバから液チャンバまで延びる平坦な形状を有する。
【0134】
図2または
図3に描かれているように、毛細管要素7は、U字形の中央部7aとL字形の周辺部7bとから構成されている。
【0135】
L字形状の部分7bは、内側容器20b上の液体チャンバ21内に、底壁25に沿って延びている。
【0136】
U字状部分7aは、超音波照射チャンバ21内に収容されている。U字状部分7aは、内側容器20b上で、底壁25に沿うように設けられている。
【0137】
超音ミスト化吸入器において、U字部7aは、内側部分7a1と外側部分7a2とを有し、内側部分7a1は超音波振動手段5の霧化面50と面接触しており、外側部分7a2は超音波振動手段5と面接触していない。
【0138】
液チャンバ21の底壁25は、液チャンバ21と超音波照射チャンバ22とを閉鎖する底板25である。底板25は密閉されているため、超音波照射チャンバ22からケーシング3への液体の漏れは防止されている。
【0139】
底板25は、弾性部材8が挿入される凹部25bを有する上面25aを有している。超音波振動手段5は、弾性部材8によって支持されている。弾性部材8は、超音波振動手段5を維持するための溝が設計された内孔8’を有する環状板状のゴムから形成されている。
【0140】
液チャンバ21の上壁23は、液チャンバ23を閉じるキャップ23である。
【0141】
天壁23は、液体チャンバ21が収容し得る液体の最大レベルを表す上面23と、液体チャンバ21内の液体の最小レベルを表す下面25とを有する。
【0142】
天壁23は密閉されているため、液体チャンバ21から口金1への液体の漏れは防止される。
【0143】
天壁23と底壁25は、ネジ、接着剤、摩擦などの固定手段により、液体貯留構造体2に固定されている。
【0144】
図3に描かれているように、弾性部材は超音波振動の手段5と線接触しており、超音波振動の手段5と吸入器の壁との接触を防ぐことで、液溜め構造体の振動の抑制がより効果的に防止される。したがって、霧化部材によって霧化された液体の微粒子をより遠くまで噴霧することができる。
【0145】
図3に描かれているように、内側容器20bは、第1部分20b1と第2部分20b2との間に、毛細管要素7が超音波処理チャンバ21から延びている開口部20b’を有している。毛細管要素7は、開口部20b’を介して液チャンバ21から液体を吸収する。毛細管要素7は、ウィックである。毛細管要素7は、毛細管現象によって液体を超音波照射チャンバ22に輸送する。いくつかの例では、毛細管要素7は、竹繊維で作られている。いくつかの例では、毛管要素7は、0.27mmと0.32mmの間の厚さであり、38g/m
2 と48g/m
2 の間の密度を有していてもよい。
【0146】
図3から分かるように、超音波振動の手段5は、毛細管要素7の直下に配置されている。
【0147】
超音波振動の手段5は、変換器であってもよい。例えば、超音波振動の手段5は、圧電変換器であってもよく、円形の板状に設計されていてもよい。圧電変換器の材質は、セラミックであってもよい。
【0148】
また、超音波振動手段5には、様々な変換器材料を使用することができる。
【0149】
送風ダクト27b1の端部は、超音波振動手段5と向き合っている。超音波振動の手段5は、電気接触器101a、101bと電気的に連絡している。注目すべきは、集積回路4の遠位端4bは、内側電極と外側電極を有することである。内側電極は、スプリングコンタクトプローブである第1の電気接触子101aに接触し、外側電極は、サイドピンである第2の電気接触子101bに接触する。集積回路4を介して、第1の電気接点101aは、マイクロプロセッサにより蓄電装置30の正極端子と電気的に通信し、第2の電気接点101bは、蓄電装置30の負極端子と電気的に通信している。
【0150】
電気接点101a、101bは、底板25を横断している。底板25は、液体貯留構造体2の周壁26の内側に受けられるようになっている。底板25は、相補的な隆起の上に載っており、それによって、液体チャンバ21と超音波照射チャンバ22を形成している。
【0151】
内側容器20bは、機械的なバネが適用される円形の内側スロット20dから構成される。
【0152】
中央部分7a1を超音波振動手段5に押し付けることによって、機械的なバネ9は、それらの間の接触面を確保する。
【0153】
液溜め構造体2及び底板25は、様々な熱可塑性材料を用いて作ることができる。
【0154】
使用者が超音波ミスト吸入器100を吸引すると、空気流が周辺開口部1’’から吸引されて気流チャンバ28を貫通し、気流ブリッジ27aの周辺開口部27a’’とフラストコニカル要素20aを通り、気流ダクト27bを介して超音波処理チャンバ22に流れ落ち、直接毛管要素7にかかる。同時に、液体は毛細管現象によりリザーバチャンバ21から複数の開口部20b’を通り、毛細管要素7に吸い込まれる。毛細管要素7は、液体を吸入器100の超音波振動手段5と接触させる。また、使用者の吸引により、圧力センサが集積回路4を作動させ、集積回路4が超音波振動の手段5に電流を導く。このように、使用者が吸入器100のマウスピース1に描画すると、2つの動作が同時に起こる。まず、センサーが集積回路4を作動させ、これが超音波振動の手段5が振動を開始するきっかけとなる。第2に、引き金は、開口部20b’を通る液体の流れが始まるように、リザーバチャンバ21の外の圧力を低下させ、これが毛管要素7を飽和させる。毛細管要素7は、液体を超音波振動手段5に搬送し、超音波振動手段5によって毛細管路内に気泡を形成させ、液体をミスト化させる。そして、ミスト化された液体を使用者が吸引する。
【0155】
いくつかの例では、集積回路4は、超音波振動手段5が動作する周波数を制御するように構成されている周波数コントローラを含んでいる。周波数コントローラは、プロセッサとメモリとを備え、メモリは、プロセッサによって実行されると、プロセッサに周波数コントローラの少なくとも1つの機能を実行させる実行可能命令を記憶している。
【0156】
上述したように、いくつかの例では、超音波ミスト吸入器100は、約0.25~0.5ミクロンの気泡体積を生成するために、1.05パスカル秒~1.412パスカル秒の液体粘度を有する液体を気化するために2.8MHz~3.2MHzの周波数を持つ信号で超音波振動手段5を駆動させる。しかし、異なる粘度を有する液体または他の用途のために、それは超音波振動の手段5が異なる周波数で駆動される可能性がある。
【0157】
ミスト発生装置の異なる用途ごとに、ミストの発生を最適化するために超音波振動手段5を駆動するための最適な周波数または周波数範囲が存在する。超音波振動の手段5が圧電変換器である例では、最適な周波数または周波数範囲は、少なくとも以下の4つのパラメータに依存することになる。
【0158】
1.変換器の製造工程
いくつかの例では、超音波振動の手段5は、圧電セラミックからなる。圧電セラミックは、化合物を混合してセラミック生地を作ることによって製造されるが、この混合工程は、製造全体を通じて一貫していない場合がある。この不均一性により、硬化した圧電セラミックの共振周波数にばらつきが生じることがある。
【0159】
圧電セラミックの共振周波数が装置の必要動作周波数に対応していない場合、装置の動作中にミストが発生しない。ニコチンミスト吸入器の場合、圧電セラミックの共振周波数がわずかにずれただけでもミストの生成に影響を与え、その装置が使用者に適切なニコチンレベルを提供できないことを意味する。
【0160】
2.変換器への負荷
動作中、圧電変換器への負荷が変化すると、圧電変換器全体の振動の変位が抑制される。圧電変換器の振動を最適に変位させるには、回路が最大変位に十分な電力を供給できるように駆動周波数 を調整する必要がある。
【0161】
発振器の効率に影響を与える負荷の種類としては、変換器上の液体の量(ウィッキング材料の湿度)、変換器との永久的な接触を保つためにウィッキング材料に加えられるバネの力などを挙げることができる。また、電気的な接続手段も含まれる場合がある。
【0162】
3.温度
圧電変換器の超音波振動は、装置に組み込んで部分的に減衰させる。これには、変換器をシリコン/ゴムのリングに入れ、スプリングで変換器の上にあるウィッキング材に圧力をかけることが考えられる。この振動の減衰により、変換器の上とその周辺の局所的な温度は上昇する。
【0163】
温度の上昇は、変換器の分子挙動の変化により、振動に影響を与える。温度の上昇は、セラミックの分子により多くのエネルギーを与え、その結晶構造に一時的な影響を及ぼす。温度が下がるとこの影響は逆転するが、最適な発振を維持するためには供給する周波数の変調が必要である。この周波数変調は、従来の固定周波数装置では実現できなかった。
【0164】
また、温度上昇により気化される溶液(e 液体)の粘度が低下するため、キャビテーションを誘起して連続的なミスト生成を維持するために駆動周波数の変更が必要となる場合がある。従来の固定周波数装置の場合、駆動周波数を変更せずに液体の粘度を下げると、ミスト生成が減少または完全に停止し、装置が動作不能になる。
【0165】
4.電源までの距離
電子回路の発振周波数は、変換器と発振器-ドライバ間の配線長によって変化することがある。電子回路の周波数は、変換器と残りの回路との距離に反比例する。
【0166】
距離パラメータは主に装置に固定されているが、装置の製造過程で変化し、装置の全体的な効率を低下させる可能性がある。そのため、装置の駆動周波数を変更して変動を補償し、装置の効率を最適化することが望まれる。
【0167】
圧電変換器は、
図5に示すように、電子回路中のRLC回路としてモデル化することができる。上述した4つのパラメータは、RLC回路全体のインダクタンス、キャパシタンス、抵抗の変化としてモデル化することができ、変換器に供給される共振周波数範囲を変化させることができる。回路の周波数が変換器の共振点付近まで上昇すると、回路全体の対数インピーダンスは最小に落ち込み、次に最大に上昇してから中央の範囲に落ち着く。
【0168】
図6は、RLC回路における周波数上昇に伴う全体インピーダンスの変化を説明する一般的なグラフである。
図7は、圧電変換器が、第1の所定周波数f
s 以下の周波数では第1の容量性領域で、第2の所定周波数f
p以上の周波数では第2の容量性領域でコンデンサとして作用する様子を示す図である。圧電変換器は、第1および第2の所定周波数f
s、f
pの間の周波数において、誘導性領域でインダクタとして作用する。変換器の最適な発振を維持し、したがって最大効率を得るためには、変換器を流れる電流を誘導領域内の周波数に維持する必要がある。
【0169】
いくつかの例の装置の周波数コントローラは、装置の効率を最大化するために、圧電変換器(超音波振動手段5)の発振周波数を誘導領域内に維持するように構成される。
【0170】
周波数コントローラは、所定のスイープ周波数範囲にわたって漸次追跡する周波数で変換器を駆動するスイープ動作を実行するように構成されている。周波数コントローラがスイープを実行するとき、周波数コントローラは、変換器に結合されたアナログ-デジタル変換器のアナログ-デジタル変換(ADC)値を監視する。いくつかの例では、ADC値は、変換器を横切る電圧に比例するADCのパラメータである。他の例では、ADC値は、変換器を流れる電流に比例するADCのパラメータである。
【0171】
以下により詳細に説明するように、いくつかの例の周波数コントローラは、変換器を流れる電流を監視することによって、超音波変換器によって使用されている有効電力を決定する。
【0172】
スイープ動作の間、周波数コントローラは、変換器のための周波数の誘導領域を探し出す。周波数コントローラが誘導領域を特定すると、周波数コントローラは、ADC値を記録し、変換器による超音波キャビテーションを最適化するために、変換器の駆動周波数を誘導領域内の周波数(すなわち、第1及び第2の所定の周波数fs、fpの間)でロックする。駆動周波数が誘導領域内にロックされると、変換器の電気機械結合係数が最大化され、それによって、装置の効率が最大化される。
【0173】
いくつかの例では、周波数コントローラは、発振が開始または再始動されるたびに誘導領域の位置を特定するためにスイープ動作を行うように構成される。例では、周波数コントローラは、発振が開始されるたびに誘導領域内の新しい周波数で駆動周波数をロックし、それによって、装置の動作効率に影響を与えるパラメータの変化を補償するように構成されている。
【0174】
いくつかの例では、周波数コントローラは、最適なミスト生成を保証し、使用者へのニコチンデリバリーの効率を最大化する。いくつかの例では、周波数コントローラは、装置を最適化し、効率を向上させ、使用者へのニコチンデリバリーを最大化する。
【0175】
いくつかの例では、上記のような最適なミスト生成及び化合物の最適な送達を保証するために、周波数コントローラは、再帰モードで動作するように構成される。周波数コントローラが再帰モードで動作する場合、周波数コントローラは、装置の動作中に周波数のスイープを周期的に実行し、ADC値を監視して、ADC値が変換器の最適発振を示す所定の閾値以上であるか否かを判断する。
【0176】
いくつかの例では、周波数コントローラは、周波数コントローラが変換器のための可能なより良い周波数を特定できる場合に備えて、装置が液体をエアロゾル化する過程にある間にスイープ動作を実行する。周波数コントローラがより良い周波数を特定した場合、周波数コントローラは、装置の最適な動作を維持するために、駆動周波数を新たに特定されたより良い周波数でロックする。
【0177】
いくつかの例では、周波数コントローラは、装置の動作中に周期的に所定の持続時間の間、周波数のスイープを実行する。上述した例の装置の場合、スイープの所定の持続時間及びスイープ間の時間期間は、装置の機能を最適化するように選択される。超音波ミスト吸入器に実装される場合、これは、使用者の吸入全体を通じて使用者への最適な送達を保証する。
【0178】
図8は、いくつかの例の周波数コントローラの動作のフロー図である。
【0179】
以下の開示は、上述した例と同じ要素の多くからなるミスト吸入器のさらなる例を開示する。 上述した例の要素は、本開示の残りの部分で説明した例の要素のいずれかと入れ替えることができる。
【0180】
十分なエアロゾル生成を保証するために、この例では、ミスト吸入器は、正確に又は実質的に16mmの直径の超音波/圧電変換器からなる。この変換器は、所望のエアロゾル量生成に必要な周波数及び電力を制御するために、特定の静電容量及びインピーダンス値に合わせて製造される。
【0181】
直径16mmの円盤状の超音波変換器を水平に配置すると、装置が大きくなり、手持ち式としては人間工学的に不利になる可能性がある。この懸念を軽減するために、この例の超音波変換器は、超音波処理チャンバ内で垂直に保持される(超音波変換器の平面が、マウスピースへのエアロゾルミストの流れに概ね平行であり、及び/又はミスト吸入器の長手方向の長さに概ね平行である)。別の言い方をすれば、超音波変換器は、ミスト吸入器の基部に対して一般に垂直である。
【0182】
ここで添付図面の
図9及び
図10を参照すると、本明細書では、ニコチンデリバリー装置と称するいくつかの例のミスト吸入器200は、ミスト発生装置201及びドライバ装置202から構成されている。ドライバ装置202は、この例では、ミスト発生装置201の一部を受け入れて保持する凹部203を備えている。したがって、ミスト発生装置201は、
図9に示すように、ドライバ装置202と結合して、コンパクトで携帯可能なミスト吸入器200を形成することができる。
【0183】
ここで添付図面の
図11から
図13を参照すると、ミスト発生装置201は、細長く、任意に互いに取り付けられる2つのハウジング部分205、206から形成されるミスト発生ハウジング204から構成される。ミスト発生ハウジング204は、空気入口ポート207とミスト出口ポート208とから構成される。
【0184】
この例では、ミスト発生ハウジング204は、射出成形プラスチック、具体的には、医療用途に典型的に使用されるポリプロピレンである。この例では、ミスト発生装置筐体204は、異相共重合体である。より詳細には、非常に高い剛性と高い衝撃強度の最適な組み合わせを有するBF970MOヘテロフェーズコポリマーである。この材料で成形されたミスト発生ハウジング部品は、良好な帯電防止性能を示す。
【0185】
ポリプロピレンなどの異相コポリマーは、この材料が超音波処理チャンバ219からマウスピースを通って使用者に流れる際にエアロゾルの凝縮を引き起こさないので、ミスト発生ハウジング204に特に好適である。このプラスチック材料はまた、工業的な破砕および洗浄プロセスを用いて容易に直接リサイクルすることができる。
【0186】
図9、10及び12において、ミスト出口ポート208は、閉鎖要素209によって閉鎖されている。しかしながら、ミスト吸入器200の使用時には、
図11に示すように、閉鎖要素209がミスト出口ポート208から取り外されることが理解されよう。
【0187】
ここで
図14及び
図15を参照すると、ミスト発生装置200は、ミスト発生ハウジング204内に保持される変換器ホルダ210を備える。変換器ホルダ210は、この例では、円柱状または概ね円筒状の本体部211と、円形の上下の開口部212、213から構成されている。変換器ホルダ210には、
図15に示すように、超音波変換器215の端部を受け入れるための内部チャネル214が設けられている。
【0188】
変換器ホルダ210は、電極217がドライバ装置の交流駆動に電気的に接続され得るように、超音波変換器215から電極217が延びる切断部216を内蔵し、以下により詳細に説明されるように、電極217は、超音波変換器215から延びる。
【0189】
再び
図13を参照すると、ミスト発生装置201は、ミスト発生ハウジング204内に設けられる液体チャンバ218を備える。液体チャンバ218は、霧化される液体を収容するためのものである。いくつかの例では、液体が液体チャンバ218に収容される。他の例では、液体チャンバ218は、最初は空であり、その後液体チャンバに液体が充填される。
【0190】
レブリン酸ニコチンからなるニコチン塩からなる、3.7Vリチウムポリマー(LiPo)バッテリによって3.0MHz(±0.2MHz)の周波数で駆動する超音波装置での使用に適した液体(ここでは電子液体とも呼ばれる)組成物であって、以下のものである:
組成物中の植物性グリセリンの相対量は:55から80%(w/w)、または60から80%(w/w)、または65から75%(w/w)、または70%(w/w)、および/または
組成物中のプロピレングリコールの相対量は:5~30%(w/w)、又は10~30%(w/w)、又は15~25%(w/w)、又は20%(w/w)、および/または
組成物中の水の相対量は:5~15%(w/w)、又は7~12%(w/w)、又は10%(w/w)、および/または
組成物中のニコチンおよび/またはニコチン塩の量は:0.1~80mg/ml、または0.1~50mg/ml、または1~25mg/ml、または10~20mg/ml、または17mg/ml。
【0191】
いくつかの例では、ミスト発生装置201は、1.05パスカル●秒から1.412パスカル●秒の間の動粘度を有する電子液体を収容する。
【0192】
いくつかの例では、液体チャンバ218は、1:1のモル比でニコチンレブリン酸塩を含む液体を含有する。
【0193】
いくつかの例では、液体チャンバは、1.05 Pa-sから1.412 Pa-sの間の動粘度と1.1 g/mlから1.3 g/mlの間の液体密度を有する液体を含む。
【0194】
粘度、密度の正しいパラメータを持つ電子液体を使用し、空気中に液体スプレーの所望の目標バブルボリュームを持つことによって、1.05パスカル●秒と1.412パスカル●秒の液体粘度範囲と約1.1~1.3 g/mL の密度(Hertzから密度範囲を取得)に対する2.8MHz~3.2MHzの周波数は、液滴の90%は1ミクロン以下とその50%は0.5ミクロン以下の液滴ボリュームを生み出すことがわかっている。
【0195】
ミスト発生装置201は、ミスト発生装置筐体204内に設けられる超音波照射チャンバ219を含んで構成される。
【0196】
図14及び
図15に戻り、変換器ホルダー210は、液体チャンバ218と超音波照射チャンバ219との間に障壁を提供する仕切り部220を含んで構成される。仕切り部分220によって提供される障壁は、超音波処理チャンバ219が液体チャンバ218から液体で溢れるリスク、または超音波変換器215上の毛管要素が過飽和になるリスクを最小限にし、そのいずれもが超音波変換器215の過負荷と効率を低下させる。さらに、超音波照射チャンバ219を溢れさせたり、毛細管要素を過飽和にすることは、吸入の際に使用者が液体を吸い込むという不快な体験も引き起こしかねない。このリスクを軽減するために、変換器ホルダー210の仕切り部分220は、超音波照射チャンバ219と液体チャンバ218との間の壁として着座する。
【0197】
仕切り部220は、毛細管要素を介して、液チャンバ218から超音波照射チャンバ219へ液体が流れることができる唯一の手段である毛細管開口部221を構成している。この例では、毛細管開口部221は、0.2mm~0.4mmの幅を有する細長いスロットである。毛管開口221の寸法は、毛管開口221の縁が、超音波処理チャンバ219への液体流の制御を加えるために毛管開口221を通って延びる毛管要素に作用するバイアス力を提供するようなものである。
【0198】
この例では、変換器ホルダ210は、液体シリコーンゴム(LSR)である。この例では、液体シリコーンゴムは、ショアA 60の硬度を有する。のLSR材料は、変換器ホルダー210が振動を減衰させることなく、超音波変換器215が振動することを保証する。この例では、超音波変換器215の振動変位は2~5ナノメートルであり、何らかの減衰効果があると、超音波変換器215の効率が低下する可能性がある。したがって、このLSRの材料と硬度は、最小限の妥協で最適な性能を得るために選択される。
【0199】
次に
図16及び
図17を参照すると、ミスト発生装置201は、液体チャンバ218から超音波処理チャンバ219に(ニコチンを含む)液体を移送するための毛細管又は毛細管要素222を含んでいる。管要素222は、第1部分223と第2部分224とを有する平面状又は概ね平面状である。この例では、第1部分223は、長方形または概ね長方形の形状を有し、第2部分224は、部分的に円形の形状を有する。
【0200】
この例では、毛管要素222は、第1及び第2の部分223、224とそれぞれ同じ形状の第3の部分225及び第4の部分226から構成される。この例の毛細管要素222は、
図17に示すように、第1及び第2の部分223、224と第3及び第4の部分225、226とが互いに重ね合わされるように折り線227を中心に折り畳まれる。
【0201】
この例では、毛細管要素は、約0.28mmの厚さを有する。
図17に示すように、毛細管要素222を折り曲げて2つの層を有するようにすると、毛細管要素の全体の厚さは約0.56mmとなる。この二重層はまた、最適なエアロゾル生成のために超音波変換器215上に常に十分な液体が存在することを保証する。
【0202】
この例では、毛管要素222が折り畳まれると、第1及び第3部分223、225の下端は、毛管要素222が液体を吸収する速度を最大化するために液体チャンバ218内の液体中に位置する毛管要素222の部分の表面積を増大させる拡大下端228を画定する。
【0203】
この例では、毛細管要素222は100%竹繊維である。他の例では、毛管要素は少なくとも75%の竹繊維のものである。毛管要素として竹繊維を使用する利点は、上述したとおりである。
【0204】
ここで
図18及び
図19を参照すると、毛管要素222は、超音波変換器215の霧化表面の一部に重畳した毛管要素222の第2部分224を変換器ホルダ210が保持するように、変換器ホルダ210によって保持される。この例では、円形の第2部分224は、変換器ホルダ210の内側凹部214内に収まっている。
【0205】
毛管要素222の第1部分223は、変換器ホルダ210の毛管開口221を通って延びている。
【0206】
次に
図20から
図22を参照すると、ミスト発生ハウジング204の第2部分206は、変換器ホルダ222を受け、超音波処理チャンバ219の壁の一部を形成する概ね円形の壁229からなる。
【0207】
接触開口部230及び231は、超音波変換器215の電極との電気的接続を形成する電気接触部232及び233を受け入れるために、第2部分206の側壁に設けられている。
【0208】
この例では、ミスト出口ポート208で液体を吸収するために、吸収性チップ又は吸収性要素234が、ミスト出口ポート208に隣接して設けられている。この例では、吸収性要素234は竹繊維のものである。
【0209】
次に
図23から
図25を参照すると、ミスト発生ハウジング204の第1部分205は、第2部分206と同様の形状であり、超音波照射チャンバ219の壁のさらなる部分を形成し、変換器ホルダ210を保持する概して円形の壁部235をさらに備える。
【0210】
この例では、ミスト出口ポート208に隣接して、ミスト出口ポート208で液体を吸収するための吸収要素236がさらに設けられる。
【0211】
この例では、ミスト発生ハウジング204の第1部分205は、
図26に示すように、リテーナばね238の下端を支持するばね支持配置237を構成している。
【0212】
リテーナばね238の上端は、リテーナばね238が毛管要素222を超音波変換器215の霧化表面に対してバイアスするバイアス力を与えるように、毛管要素222の第2の部分224に接触する。
【0213】
図27を参照すると、ミスト発生ハウジング204の2つの部分205、206が互いに取り付けられる前に、変換器ホルダ210が所定の位置にあり、ミスト発生ハウジング204の第2の部分206によって保持されていることが示されている。
【0214】
図28~
図31を参照して、この例では、ミスト発生装置201は、識別配列239を含んで構成されている。識別配置239は、一面に設けられた電気接点241を有するプリント基板240と、他面に設けられた集積回路242および別のオプション部品243とから構成される。
【0215】
集積回路242は、ミスト発生装置201に固有の識別子を記憶するメモリを有する。電気接点241は、集積回路242と通信するための電子的なインタフェースを提供する。
【0216】
プリント回路基板240は、この例では、ミスト発生ハウジング204の一側面の凹部244内に取り付けられている。集積回路242及び任意の他の電子部品243は、プリント回路基板240がミスト発生ハウジング204の側面と概ね面一となるように、さらなる凹部245内に収まっている。
【0217】
この例では、集積回路242は、製造業者からの純正ミスト発生装置のみを装置と共に使用することを可能にする偽造防止機能であるワンタイム・プログラマブル(OTP)装置である。この偽造防止機能は、ミスト発生装置201に(プリント基板240と)接着される特定のカスタム集積回路(IC)として、ミスト発生装置201に実装される。ICとしてのOTPは、ミスト発生装置201(およびその内容物)のその寿命にわたる完全なトレーサビリティ、ならびに使用者による消費の正確な監視を可能にする真にユニークな情報を含んでいる。OTP ICにより、ミスト発生装置201は、許可された場合にのみミストを発生させるように機能することができる。
【0218】
本開示の一例のOTP ICの実装について、以下に詳細に説明する。
【0219】
OTPは、特徴として、特定のミスト発生装置201のオーソライズドステータスを規定する。実際、カルボニルの排出を防止し、エアロゾルを安全な水準に保つために、実験により、約1000秒間のエアロゾル化後にミスト発生装置201は液体チャンバ218内の液体が空になったと見なされることが示されている。そのようにして、純正品でない、または空のミスト発生装置201は、この所定の使用時間の後、作動させることができなくなる。
【0220】
特徴としてのOTPは、デジタル・セール・ポイント、モバイル・コンパニオン・アプリケーション、およびミスト発生装置201の連携による完全な連鎖の一部であってもよい。信頼できる当事者によって製造され、デジタルセールポイントで販売された純正のミスト発生装置201のみを使用することができる。モバイルコンパニオンデジタルアプリは、製造者のデジタルプラットフォーム上の使用者アカウントとミスト発生装置201との間のリンクであり、既知の安全なコンテンツを安全な量のパフ持続時間で安全に使用することを保証するものである。
【0221】
また、OTPを搭載することで、禁煙プログラムに必要な高いアクセス制御と監視を実現した。OTP ICは、挿入されたミスト発生装置201とそれに関連する禁煙プログラムおよび/または使用者を認識できるドライバ装置202によって読み取られる。ドライバ装置202は、このミスト発生装置201を処方箋で指定された期間以上にも期間外にも使用することができない。さらに、モバイルコンパニオンアプリのリマインダーを提供することで、使用者が服用し損ねることを最小限に抑えることができる。
【0222】
いくつかの例では、OTP ICは、ミスト発生装置201と同じように使い捨てである。ミスト発生装置201が空であるとみなされるときはいつでも、ドライバ装置202に挿入された場合、それは活性化されない。同様に、偽造されたジェネレータ装置201は、ドライバ装置202において機能しないであろう。
【0223】
図32~
図34は、動作中のミスト発生装置201内を空気が流れる様子を示す図である。
【0224】
ニコチンを含む液体を超音波処理することで、霧状に変化させる(エアロゾル化)。しかし、このミストは、上昇するエアロゾルを置換するのに十分な周囲空気が利用可能でなければ、超音波変換器215の上に沈降してしまう。超音波照射チャンバ219では、ミスト(エアロゾル)が発生し、マウスピースを介して使用者に引き出されるため、空気を継続的に供給することが要求される。この要件に応えるために、空気流路が設けられる。この例では、気流チャネルは11.5mm2の平均断面積を有し、これは平均的な使用者からの負圧に基づいて計算されて超音波照射チャンバ219に設計されている。これはまた、吸入されたエアロゾルのミスト対空気比を制御し、使用者に送達されるニコチンの量を制御する。
【0225】
設計要件に基づき、空気流路は、超音波処理チャンバ219の底部から開始するように経路設定される。エアロゾルチャンバの底部の開口部は、装置内の気流ブリッジへの開口部と整列し、かつこれに緊密に隣接している。空気流路は、リザーバに沿って垂直に上方に走り、超音波処理チャンバの中心(超音波変換器215と同心)まで続く。ここで、90°内側に曲がる。その後、流路は超音波変換器215から約1.5mmのところまで続いている。この経路により、超音波変換器215の霧化面の方向に直接供給される周囲空気が最大化される。空気は、チャネルを通って変換器に向かって流れ、生成されたミストを集めながら、マウスピースを通って使用者へと出て行く。
【0226】
次に、ドライバ装置202について、最初に
図35および
図36を参照して説明する。空気は、後述するように、ドライバ装置202内の気流ブリッジと流体連通している空気入口ポート207を介してミスト発生装置201内に流入する。空気は、空気の流れを超音波変換器215に向けるために、空気の流れの方向を約90°変える流路に沿って流れる。
【0227】
いくつかの例では、空気流配置は、空気の流れが超音波処理チャンバに通過するときに、空気の流れが超音波変換器の霧化表面に対して実質的に垂直になるように、空気流路に沿った空気の流れの方向を変えるように構成される。
【0228】
ドライバ装置202は、少なくとも一部が金属製のドライバ装置筐体246で構成されている。いくつかの例では、ドライバ装置ハウジング246は、全体がアルミニウム(AL6063 T6)であり、内部コンポーネントを環境(埃、水しぶきなど)から保護し、また衝撃(不意の落下など)による損傷から保護する。
【0229】
いくつかの例では、ドライバ装置ハウジング246は、2つの目的のために周囲の空気が装置に入ることを可能にする通気口をその側面に備え、1つは電子部品の周りに換気を有し、それらを動作温度内に維持し、これらの通気口は、空気がこれらの通気口から装置内に入り、次に気流ブリッジを通ってミスト発生装置201に入る空気入口としても作用する。
【0230】
ドライバ装置ハウジング246は、ドライバ装置202の構成要素を収容する内部チャンバ247を有する細長い形状である。ドライバ装置ハウジング246の一端は、エンドキャップ248によって閉じられている。ドライバ装置ハウジング247の他端は、ドライバ装置202の凹部203のための開口部を提供する開口部249を有する。
【0231】
ドライバ装置202は、プリント基板251に接続されるバッテリ250から構成される。いくつかの例では、バッテリ250は、容量1140mAh、放電速度10Cの3.7V DC Li-Poバッテリである。高い放電率は、望ましい動作のために超音波変換器215が必要とする最大15Vの電圧増幅のために必要とされる。バッテリの形状およびサイズは、物理的制約の範囲内で、装置の形状およびサイズ、ならびに電源のために割り当てられたスペースにしたがって設計される。
【0232】
プリント基板251には、プロセッサやメモリなど、ドライバ装置202の電気的機能を実現するための電子部品が組み込まれている。充電ピン258は、プリント回路基板251の一端に設けられ、エンドキャップ248を通って延び、バッテリ250を充電するための充電接続を提供するものである。
【0233】
プリント回路基板251は、スケルトン252によってドライバ装置ハウジング246内に保持されている。スケルトン252は、プリント回路基板251を受容するチャネル253を有する。スケルトン252は、バッテリ250を支持する隆起した側部254、255を組み込んでいる。
【0234】
いくつかの例では、スケルトン252は、工業用射出成形プロセスを用いて製造される。成形されたプラスチックのスケルトンは、すべての部品が固定され、ケース内に緩く嵌らないことを保証する。また、ミスト発生装置201がドライバ装置202に挿入されたときに、それを受けたPCB(Printed Circuit Board)の前部分を覆うカバーを形成する。
【0235】
ドライバ装置202は、超音波発生やエアロゾル生成のための変換器を作動させ電力を供給するためのスイッチとして機能する気流センサから構成されている。気流センサは、装置内のPCBに取り付けられており、ドライバ装置202を作動させるために、その周囲に一定の大気圧の降下が必要である。このために、
図39から
図41に示すような気流ブリッジ259が、周囲からの空気をブリッジ259を通してエアロゾルチャンバ262に導く内部チャネル260、261を備えて設計されている。骨格252は、
図42に示すように、気流ブリッジ259の一部を受け入れるための対向するチャネル256、257から構成される。
【0236】
気流ブリッジ259の内部チャンネルには、気流センサを完全に覆うチャンバ264に向かって伸びるマイクロチャンネル263(直径0.5mm)がある。空気が側面の入口から流入してエアロゾルチャンバ262に上向きになると、マイクロチャネル263に負圧が生じ、気流センサーが装置を作動させるトリガーとなる。
【0237】
本装置は、正確で安全なエアロゾル化をモニターすることができる、コンパクトで携帯可能な高度な装置である。これは、IPCクラス3(医療グレード)を考慮して設計された高品質の電子部品を組み込むことによって行われる。
【0238】
ドライバ装置202の電子部品は、次のように分割されている:
1. 超音波処理部
携帯機器での吸入のために、1um以下の粒子径で、これまでで最も効率的なエアロゾル化を得るために、超音波処理部は、高い適応周波数(約3MHz)で超音波変換器215(圧電セラミックディスク(PZT))を受けるコンタクトパッドを提供しなければならない。
【0239】
このセクションは、高周波を提供するだけでなく、超音波変換器215を故障から保護しながら、常に最適化されたキャビテーションを提供する必要がある。
【0240】
PZTの機械的変形は、それに印加される交流電圧振幅と連動しており、超音波照射のたびにシステムの最適な機能および送達を保証するためには、最大変形が常にPZTに供給される必要がある。
【0241】
しかし、PZTの故障を防ぐためには、PZTに伝達される有効電力を正確に制御する必要がある。
【0242】
これは、市場に存在しないカスタム、電力管理集積回路(PMIC)チップを設計することによってのみ達成され、このチップは、ドライバ装置202のプリント回路基板上に設けられる。このPMICは、PZTの機械的な振動振幅を損なうことなく、PZTに与えられるアクティブパワーを瞬間的に変調することを可能にする。
【0243】
PZTに印加する交流電圧をPWM(Pulse Width Modulation)することで、振動の機械的な振幅を一定に保つことができる。
【0244】
このため、デジタル・アナログ・コンバータ(DAC)を使って出力するAC電圧を変更することが唯一の「既製の」選択肢であった。PZTに伝わるエネルギーは減少するが、機械的な変形も起こり、その結果、適切なエアロゾル化を完全に阻害してしまう。実際、電圧変調の場合と同様に、実効デューティサイクル変調でも印加される実効電圧は同じになるが、PZTに伝達される有効電力は劣化する実際、以下の式で表される:
【0245】
【0246】
第一高調波を考える場合、Irmsは変換器に印加される実電圧の振幅の関数であり、パルス幅変調は変換器に供給される電圧の持続時間を変化させるため、Irmsを制御する。
【0247】
PMICの具体的な設計は、最先端の設計を採用し、制御部が使用するフィードバックループと監視経路の完全なセットを含む、PZTに適用する周波数範囲とステップの超精密制御を可能にする。
【0248】
エアロゾル化セクションの残りの部分は、3.7VバッテリーからPZTコンタクトパッドに必要な電力を供給するDC/DCブーストコンバータと変圧器で構成されている。
【0249】
ここで添付図面の
図43を参照すると、ドライバ装置202は、本書では電力管理集積回路またはPMIC300と呼ばれる超音波変換器ドライバマイクロチップから構成されている。PMIC300は、共振回路を駆動するためのマイクロチップである。共振回路は、LCタンク、アンテナ、または、この場合、圧電変換器(超音波変換器215)である。
【0250】
本開示において、チップ、マイクロチップ、集積回路という用語は、互換性がある。マイクロチップ又は集積回路は、相互に接続された複数の組み込みコンポーネント及びサブシステムから構成される単一ユニットである。マイクロチップは、例えば、少なくとも一部がシリコンなどの半導体であり、半導体製造技術を使用して製造される。
【0251】
ドライバ装置202はまた、PMIC300に電気的に接続される、本書においてブリッジ集積回路又はブリッジIC301と称される第2のマイクロチップを備える。ブリッジIC301は、LCタンク、アンテナまたは圧電変換器などの共振回路を駆動するためのマイクロチップである。ブリッジIC301は、相互に接続された複数の組み込み部品やサブシステムから構成される1つのユニットである。
【0252】
この例では、PMIC300とブリッジIC301は、ドライバ装置202の同一基板に実装されている。この例では、PMIC300の物理的な寸法は幅1~3mm、長さ1~3mmであり、ブリッジIC301の物理的な寸法は幅1~3mm、長さ1~3mmである。
【0253】
ミスト発生装置201は、プログラマブル集積回路またはワンタイムプログラマブル集積回路またはOTP IC242を含んで構成される。ミスト発生装置201がドライバ装置202に結合されるとき、OTP ICは、PMIC300に電気的に接続されて、PMIC300がOTP IC 242に供給される電圧を管理できるように、PMIC300から電力を受けるようになっている。また、OTP IC 242は、ドライバ装置202内の通信バス302に接続されている。この例では、通信バス302はI2Cバスであるが、他の例では、通信バス302は他のタイプのデジタルシリアル通信バスである。
【0254】
ミスト発生装置201内の超音波変換器215は、ブリッジIC301に電気的に接続されており、装置200の使用時にブリッジIC301が生成する交流駆動信号により超音波変換器215を駆動することができる。
【0255】
ドライバ装置202は、通信バス302と通信可能に電気的に結合されたマイクロコントローラー303の形態のプロセッサで構成されている。この例では、マイクロコントローラ303は、BluetoothTM low energy(BLE)マイクロコントローラである。マイクロコントローラ303は、バッテリ250によって駆動される低ドロップアウトレギュレータ(LDO)304から電力を受け取る。LDO304は、バッテリ250の電圧に変動があっても、マイクロコントローラー303が安定して動作できるように、マイクロコントローラー303に安定したレギュレートされた電圧を供給する。
【0256】
ドライバ装置202は、バッテリ250から給電されるDC-DC昇圧コンバータ305の形態で電圧レギュレータを構成している。昇圧コンバータ305は、バッテリ250の電圧をプログラム可能な電圧VBOOSTまで上昇させる。プログラム可能な電圧VBOOSTは、PMIC300からの電圧制御信号VCTLに応答して、ブーストコンバータ305によって設定される。詳細は後述するが、昇圧コンバータ305は、電圧VBOOSTをブリッジIC301に出力する。他の例では、電圧レギュレータは、選択可能な電圧を出力する降圧コンバータまたは他のタイプの電圧レギュレータである。
【0257】
電圧制御信号VCTLは、この例では、PMIC300内に実装されるデジタル-アナログ変換器(DAC)により生成される。DACはPMIC300内に統合されているため、
図43では見えない。DAC及びPMIC300内にDACを統合する技術的利点は、以下に詳細に説明される。
【0258】
この例では、PMIC300は、USBコネクタ306がUSB充電器に結合されたときにPMIC300が充電電圧VCHRGを受け取ることができるように、ユニバーサルシリアルバス(USB)コネクタ306の形態の電源コネクタに接続される。
【0259】
ドライバ装置202は、この例では、静圧センサである第1圧力センサ307からなる。また、ドライバ装置202は、この例では、動的圧力センサである第2の圧力センサ308を含んで構成される。しかしながら、他の例では、ドライバ装置202は、2つの圧力センサ307、308のうちの1つのみから構成される。上述したように、圧力センサ307、308は、エアロゾルチャンバ262内の圧力の変化を感知して、使用者がミスト吸入器200を吸引しているときを感知する。
【0260】
この例では、ドライバ装置202は、PMIC300によって制御される複数のLED308で構成されている。
【0261】
マイクロコントローラ303は、通信バス302上のマスター装置として機能し、PMIC300は第1のスレーブ装置、OTP IC 242は第2のスレーブ装置、第2の圧力センサ308は第3のスレーブ装置、第1の圧力センサ307は第1のスレーブ装置となる。通信バス302により、マイクロコントローラ303は、ドライバ装置202内の以下の機能を制御することができる。
【0262】
1. PMICの全ての機能は、マイクロコントローラー303によって高度に設定可能である。
【0263】
2. 超音波変換器215を流れる電流は、高帯域幅のセンス・整流回路によって、高いコモンモード電圧(ブリッジのハイサイド)でセンシングされる。感知された電流は、実効電流に比例した電圧に変換され、ブリッジIC301の電流感知出力端子309にバッファリングされた電圧として提供される。この電圧はPMIC300に供給されてサンプリングされ、I2C要求を通じてデジタル表現として利用できるようになる。超音波変換器215を流れる電流を感知することは、共振周波数追跡機能の一部を形成する。本書で説明するように、ブリッジIC301内でこの機能性を有効にする装置の能力は、重要な技術的利点を提供する。
【0264】
3. PMIC300内に集積されたDAC(
図43には示されていない)により、DC-DC昇圧コンバータ電圧VBOOSTを10Vから20Vの間になるようにプログラムすることが可能である。
【0265】
4. マイクロコントローラ303は、装置202の充電器サブシステムが、この例では単一セルバッテリであるバッテリ250の充電を管理することを可能にする。
【0266】
5. 発光ダイオード(LED)ドライバモジュール(図示せず)は、リニアモードまたはガンマ補正モードのいずれかでLED308を駆動し、デジタル的に調光するためにPMIC300によって給電される。
【0267】
6. マイクロコントローラ303は、圧力センサ307、308からPressure#1及びPressure#2センサ値を読み取ることができる。
【0268】
ここで添付図面の
図44を参照すると、PMIC300は、この例では、統合されたサブシステムと、PMIC300に電気入出力を提供する複数のピンとからなる自己完結型のチップ又は集積回路である。本開示における集積回路またはチップへの言及は交換可能であり、いずれの用語も、例えばシリコンであってもよい半導体装置を包含する。
【0269】
PMIC300は、リファレンスブロック(BG)311、LDO312、電流センサ313、温度センサ314および発振器315を含むアナログ部品から構成されるアナログコア310を備えている。
【0270】
以下により詳細に説明するように、発振器315は、パルス幅変調(PWM)A段階およびB段階を出力する遅延ロックループ(DLL)に結合されており、発振器315およびDLLは、ブリッジIC301内のHブリッジを駆動する2相中心整合PWM出力を生成する。
【0271】
DLLは、端と端が接続された複数の遅延線からなり、遅延線の合計遅延時間は、メインクロック信号clk_mの周期に等しくなっている。この例では、DLLは、発振器315からのクロック信号とLDO312からの安定化電源電圧とを受け取るPMIC300の、本書ではデジタルコア316と呼ばれるデジタルプロセッサ・サブシステムに実装されている。DLLは、デジタルコア316において端から端まで接続される多数の(例えば、数百万のオーダーの)遅延ゲートで実装される。
【0272】
現在のところ、集積回路市場における信号発生器部品でこの実装を構成するものはないので、二相中心整列PWM信号を生成するためにPMIC300の同じ集積回路に発振器315とDLLを実装することはユニークなことである。
【0273】
本書で説明したように、PWMは、ミストの発生を最適化するために電気エネルギーから運動エネルギーへの効率的な伝達を維持するために、ドライバ装置202が超音波変換器215の共振周波数を正確に追跡することを可能にする機能の一部分である。
【0274】
この例では、PMIC300は、例えばUSB電源からの電力によるバッテリ250の充電を制御する充電器回路317を含んで構成される。
【0275】
PMIC300は、バッテリ250からの電力によって、またはバッテリ250が充電中である場合には外部電源からの電力によってアナログコア310に電力を供給するようにPMIC300を構成する統合電力スイッチVSYSを含んで構成される。
【0276】
PMIC300は、組み込み型アナログ・デジタル・コンバータ(ADC)サブシステム318を構成する。発振器315と共にADC318を同じ集積回路内に実装することは、それ自体、集積回路市場において、集積回路内にサブブロックとして実装された発振器とADCからなる他の集積回路が存在しないので、ユニークである。来の装置では、ADCは発振器とは別のディスクリート部品として提供され、ADCと発振器は同じPCBに実装されるのが一般的である。この従来の配置の問題点は、ADCと発振器の2つの独立したコンポーネントがPCB上で不必要にスペースを取ることである。さらに、従来のADCと発振器は、通常、I2Cバスなどのシリアルデータ通信バスで互いに接続されており、その通信速度は最大でも400kHzと限られているという問題がある。従来の装置とは対照的に、PMIC300は、ADC318と発振器315とが同一の集積回路内に集積されて構成されているため、ADC318と発振器315との間の通信にラグがなく、ADC318と発振器315とは互いに高速通信、例えば発振器315の速度(例えば3MHzから5MHz)で通信できることを意味する。
【0277】
この例のPMIC300では、発振器315は5MHzで動作しており、5MHzのクロック信号SYS CLOCKを生成している。しかしながら、他の例では、発振器315は、最大105MHzのはるかに高い周波数でクロック信号を生成する。本書で説明する集積回路は、全て発振器315の高い周波数で動作するように構成されている。
【0278】
ADC318は、複数のGPIO入力(IF_GPIO1~3)を構成する複数のフィードバック入力端子又はアナログ入力319からなる。フィードバック入力端子またはアナログ入力319の少なくとも1つは、ブリッジIC301内のHブリッジ回路からのフィードバック信号を受け、そのフィードバック信号は、Hブリッジ回路の動作のパラメータまたはHブリッジ回路が交流駆動信号で超音波変換器215などの共振回路を駆動しているときの交流駆動信号のパラメータを示すものである。後述するように、GPIO入力は、ブリッジIC301から、ブリッジIC301が報告するルート平均二乗(rms)電流を示す電流センス信号を受信するために使用される。この例では、GPIO入力の1つは、ブリッジIC301内のHブリッジからのフィードバック信号を受信するフィードバック入力端子である。
【0279】
ADCサブシステム318は、複数のADC入力端子319で受信したアナログ信号を、メインクロック信号の周波数に比例するサンプリング周波数でサンプリングする。そして、ADCサブシステム318は、サンプリングされたアナログ信号を用いて、ADCデジタル信号を生成する。
【0280】
この例では、PMIC300に内蔵されるADC318は、Hブリッジ334及び超音波変換器215を流れるRMS電流だけでなく、システムで利用できる電圧(例えば、VBAT、VCHRG、VBOOST)、PMIC300の温度、バッテリ250の温度及び将来の拡張を可能にするGPIO入力(IF_GPIO1~3)などもサンプリングする。
【0281】
デジタルコア316は、ADCサブシステムからADC生成デジタル信号を受信し、ADCデジタル信号を処理して、ドライバ制御信号を生成する。デジタルコア316は、ドライバ制御信号をPWM信号発生器サブシステム(DLL332)に伝達し、PWM信号発生器サブシステムを制御する。
【0282】
現在市場に存在する整流回路は、非常に限られた帯域幅(典型的には1MHz未満)である。PMIC300の発振器315は最大5MHz、あるいは最大105Mhzで動作しているため、高帯域幅の整流回路がPMIC300に実装される。後述するように、ブリッジIC301のHブリッジ内のRMS電流を感知することは、ドライバ装置202が超音波変換器215を高精度で駆動することを可能にするフィードバックループの一部を形成している。フィードバックループは、圧電変換器の製造におけるあらゆるプロセス変動(共振周波数の変動)に対応し、共振周波数の温度効果を補償するので、超音波変換器の駆動という産業におけるゲームチェンジャーである。これは、ADC318、発振器315およびDLLをPMIC300の同一の集積回路内に統合するという発明的実現によって、部分的に達成される。この統合により、これらのサブシステムは、高速(例えば、5MHzまたは最大105MHzのクロック周波数で)で互いに通信することが可能になる。これらのサブシステム間のラグを低減することは、超音波産業、特にミスト発生装置の分野において、ゲームチェンジャーとなる。
【0283】
ADC318は、バッテリ電圧監視入力VBATと充電器入力電圧監視入力VCHGの他、電圧監視入力VMON、VRTH、温度監視入力TEMPから構成される。
【0284】
温度監視入力TEMPは、PMIC300内に内蔵される温度センサ314から温度信号を受信する。これにより、PMIC300は、PMIC300内の実際の温度を正確に感知し、PMIC300内の誤動作、ならびにPMIC300の温度に影響を与えるプリント回路基板上の他のコンポーネントへの誤動作を検出することができる。そして、PMIC300は、ミスト吸入器200の安全性を維持するために、誤動作があれば超音波変換器215の励振を行わないようにブリッジIC301を制御することができる。
【0285】
追加温度センサ入力VRTHは、バッテリ250の温度を監視するドライバ装置202内の外部温度センサから温度感知信号を受信する。したがって、PMIC300は、過度に高いバッテリ温度によって引き起こされる損傷のリスクを低減するために、高いバッテリ温度の場合にバッテリ250の充電を停止するように反応するか、さもなければドライバ装置202をシャットダウンすることが可能である。
【0286】
PMIC300は、この例では、デジタルコア316からデジタル駆動信号を受信し、PMIC300の出力ピンに結合されるように構成された6つのLED321~326にLED駆動出力信号を提供するLEDドライバ320から構成される。したがって、LEDドライバ320は、最大6つの独立したチャネルでLED321~326を駆動し、調光することができる。
【0287】
PMIC300は、PMIC300内のデジタル信号をアナログの電圧制御信号に変換し、出力端子VDAC0を介してPMIC300から出力する第1デジタル・アナログ変換器(DAC)327を含んで構成される。第1DAC327は、デジタルコア316が生成したデジタル制御信号をアナログ電圧制御信号に変換し、出力端子VDAC0を介して出力して昇圧コンバータ305などの電圧レギュレータ回路を制御する。このようにして電圧制御信号は、共振回路(超音波変換器215)の動作を示すフィードバック信号に応答して、超音波変換器215などの共振回路を駆動するためのHブリッジ回路による変調用の所定の電圧を生成するように電圧レギュレータ回路を制御する。
【0288】
この例では、PMIC300は、PMIC300内のデジタル信号を、PMIC300から第2のアナログ出力端子VDAC1を介して出力されるアナログ信号に変換する第2のDAC328を含んで構成されている。
【0289】
DAC327、328をPMIC300の他のサブシステムと同じマイクロチップ内に埋め込むことにより、DAC327、328は、PMIC300内のデジタルコア316および他のコンポーネントと、通信ラグがない、または最小で高速に通信することができる。DAC327、328は、外部フィードバックループを制御するアナログ出力を提供する。例えば、第1DAC327は、昇圧コンバータ305に制御信号VCTLを供給し、昇圧コンバータ305の動作を制御する。他の例では、DAC327、328は、ブーストコンバータ305の代わりに、またはそれに加えて、DC-DC降圧コンバータに駆動信号を供給するように構成される。PMIC300に2つの独立したDACチャネルを統合することにより、PMIC300は、ドライバ装置202で使用される任意のレギュレータのフィードバックループを操作することができ、ドライバ装置202が超音波変換器215の超音波照射パワーを調節したり、超音波変換器215の絶対最大電流および温度設定に対するアナログ閾値を設定することができるようにすることができる。
【0290】
PMIC300は、シリアル通信インターフェースを構成し、この例では、ピンを通して設定された外部I2Cアドレスを内蔵するI2Cインターフェースである。
【0291】
PMIC300はまた、マイクロチップの機能を実装するためのデジタルマシン(FSM)を含む様々な機能ブロックから構成される。これらのブロックは、以下でより詳細に説明される。
【0292】
ここで添付図面の
図45を参照すると、パルス幅変調(PWM)信号発生器サブシステム329がPMIC300内に組み込まれている。PWM発生器システム329は、発振器315と、分周器330と、マルチプレクサ331と、遅延ロックループ(DLL)332とから構成される。後述するように、PWM発生系329は、2相センターアライメント型PWM発生器である。
【0293】
分周器330、マルチプレクサ331及びDLL332は、デジタルコア316内のデジタル論理部品(例えば、トランジスタ、論理ゲート等)で実装される。
【0294】
本開示の例では、発振器315及びそれぞれPWM生成システム329によってカバーされる周波数範囲は、50kHz~5MHz又は最大105MHzである。PWM生成システム329の周波数精度は±1%であり、温度に対する広がりは±1%である。現在のIC市場において、50kHz~5MHzまたは105MHzまでの周波数範囲を提供できる発振器および2相中心整合型PWM発生器を内蔵したICはない。
【0295】
発振器315は、50kHz~5MHz、または105MHzまでの周波数のメインクロック信号(clk_m)を生成する。メインクロックclk_mは、分周器330に入力され、メインクロックclk_mの周波数を1つ以上の所定の除数量で分周する。この例では、分周器330は、メインクロックclk_mの周波数を2、4、8、16で分周し、分周された周波数のクロックを出力としてマルチプレクサ331に供給する。マルチプレクサ331は、分周された周波数のクロックを多重化し、分周された周波数の出力をDLL332に供給する。このDLL332に渡される信号は、DLL332が所望の周波数で信号を出力するように制御する周波数基準信号である。なお、他の例では、分周器330およびマルチプレクサ331は省略される。
【0296】
また、発振器315は、第1位相クロック信号Phase1と第2位相クロック信号Phase2の2つの位相を生成する。第1位相クロック信号と第2位相クロック信号の位相は、センターアライメントされている。
図46に示されるように:
【0297】
第1相クロック信号Phase1は、clk_mの正の半周期の可変時間だけHighになり、clk_mの負の半周期にはLowになる。
【0298】
第2相クロック信号Phase2は、clk_mの負の半周期の可変時間だけHighになり、clk_mの正の半周期の間Lowになる。
【0299】
そして、第1相クロック信号Phase1と第2相クロック信号Phase2を用いて、2倍周波数のクロック信号を生成するDLL332に送られる。この2倍周波数クロック信号は、メインクロック信号clk_mの2倍の周波数である。この例では、DLL332内の「OR」ゲートが、第1位相クロック信号Phase1と第2位相クロック信号Phase2とを用いて、2倍周波数のクロック信号を生成する。この2倍周波数クロックまたは分周器330から来る分周された周波数は、選択された目標周波数に基づいて選択され、その後、DLL332の基準として使用される。
【0300】
DLL332内では、以下「クロック」と称する信号がメインクロックclk_mを2倍したものを表し、以下「クロック_del」と称する信号がクロックを1周期分遅らせたレプリカを表している。クロックとclock_delは位相周波数検出器を通過させる。そして、位相誤差の極性に基づき、ノードVcをチャージポンプで充放電する。DLL332の総遅延が正確に1周期になるまで、DLL332内の一つ一つの遅延ユニットの遅延を制御するために、制御電圧が直接供給される。
【0301】
DLL332は、第1相クロック信号Phase1および第2相クロック信号Phase2の立ち上がりエッジを、2倍周波数クロック信号の立ち上がりエッジに同期するように制御する。DLL332は、それぞれの周波数基準信号及びデューティサイクル制御信号に応じて、第1位相クロック信号Phase1及び第2位相クロック信号Phase2の周波数及びデューティサイクルを調整し、第1位相出力信号PhaseA及び第2位相出力信号PhaseBを生成してHブリッジ又はインバータを駆動して超音波変換器を駆動する交流駆動信号を発生させる。
【0302】
PMIC300は、第1相出力信号A段階をHブリッジ回路に出力する第1相出力信号端子PHASE_Aと、第2相出力信号B段階をHブリッジ回路に出力する第2相出力信号端子PHASE_Bとから構成されている。
【0303】
この例では、DLL332は、デューティサイクル制御信号に応答してDLL332の各遅延線の遅延時間を変化させることにより、第1相クロック信号Phase1および第2相クロック信号Phase2のデューティサイクルを調節する。
【0304】
クロックは、より良い精度を保証するため、その周波数の2倍の周波数で使用される。
図47に示すように、説明のためにメインクロックclk_mの周波数が使用される場合(本開示の例では使用されない)、フェーズAはクロックの立ち上がりエッジRに同期し、フェーズBはクロックの立ち下がりエッジFに同期する。DLL332の遅延線は立ち上がりエッジRを制御し、したがって、立ち下がりエッジFについては、PWM発生システム329は不完全となりうるDLL332の遅延ユニットの完全一致を頼る必要が生じるであろう。しかし、この誤差を取り除くために、PWM生成システム329は、A段階とB段階の両方が2倍周波数クロックの立ち上がりエッジRと同期するように、2倍周波数クロックを使用する。
【0305】
20%から50%までのデューティサイクルを2%のステップサイズで実行するために、DLL332の遅延線は25個の遅延ユニットからなり、それぞれの遅延ユニットの出力はPhase nthを表している。最終的には、最後の遅延ユニットの出力の位相が入力クロックに対応することになる。すべての遅延がほぼ同じになることを考慮すると、デジタルコア316の単純な論理で特定の遅延ユニットの出力で特定のデューティサイクルが得られる。
【0306】
DLL332が遅延の期間をロックすることができないかもしれないが、2つ以上の期間があり、DLL332を非収束ゾーンに持っていくので、DLL332の起動に注意することが重要である。この問題を回避するために、PWM発生システム329に起動回路が実装され、これによりDLL332は既知の確定的な状態から起動することができる。起動回路はさらに、DLL332が最小の遅延で起動することを可能にする。
【0307】
本開示の例では、PWM発生器システム329によってカバーされる周波数範囲が拡張されるので、DLL332内の遅延ユニットは、4ns(発振器周波数5MHzの場合)~400ns(発振器周波数50kHzの場合)の遅延を提供することが可能である。これらの異なる遅延に対応するために、コンデンサCbがPWM発生システム329に含まれ、コンデンサ値は必要な遅延を提供するように選択される。
【0308】
A段階とB段階はDLL332から出力され、デジタルIOを介してブリッジIC301に渡され、A段階とB段階をブリッジIC301の動作制御に使用できるようにする。
【0309】
次に、ドライバ装置202のバッテリ充電機能について、より詳細に説明する。バッテリ充電サブシステムは、PMIC300に内蔵され、PMIC300にホストされたデジタル充電コントローラによって制御される充電器回路317から構成される。充電器回路317は、通信バス302を介してマイクロコントローラー303により制御される。バッテリ充電サブシステムは、上述したバッテリ250のような単セルリチウムポリマー(LiPo)またはリチウムイオン(Li-ion)バッテリを充電することが可能である。
【0310】
この例では、バッテリ充電サブシステムは、5V電源(例えば、USB電源)から最大1Aの充電電流でバッテリ又はバッテリを充電することができる。通信バス302(I2Cインターフェース)を介して、以下のパラメータのうちの1つ以上をプログラムして、バッテリの充電パラメータを適応させることができる。
【0311】
充電電圧は、3.9Vから4.3Vの間で100mVステップで設定することができる。
【0312】
充電電流は150mAから1000mAまで50mA単位で設定可能である。
【0313】
プリチャージ電流は、充電電流の1/10である。
【0314】
プリチャージ、急速充電のタイムアウトはそれぞれ5~85分、20~340分の間で設定可能である。
【0315】
オプションとして、外部負温度係数(NTC)サーミスタを使用してバッテリ温度を監視することができる。
【0316】
いくつかの例では、バッテリ充電サブシステムは、ホストマイクロコントローラ303への割り込みを発生させることによって、以下のイベントのうちの1つ以上を報告する。
バッテリ検出
バッテリー充電中
バッテリーが完全に充電されている
バッテリーがない
充電タイムアウト
充電用電源が不足電圧限界以下である
【0317】
充電器回路317をPMIC300に埋め込むことの主な利点は、バッテリ充電サブシステムの安全な動作を保証するPMIC300内に、記載された全てのプログラミングオプションおよびイベント表示を実装することができることである。さらに、PCB上に別々に実装された充電システムの離散的な構成要素からなる従来のミスト吸入器と比較して、著しい製造コストおよびPCBスペースの節約を達成することが可能である。また、充電器回路317は、充電電流と電圧の汎用性の高い設定、異なる故障タイムアウト、詳細な状態解析のための多数のイベントフラグを可能にする。
【0318】
次に、アナログ-デジタル変換器(ADC)318について、より詳細に説明する。本発明者らは、高速発振器315を有するPMIC300内にADC318を統合するために、重要な技術的課題を克服しなければならなかった。さらに、PMIC300内にADC318を統合することは、IC市場で入手可能な多くのディスクリートADC装置のうちの1つを使用することに依存する当技術分野の従来のアプローチに反するものである。
【0319】
この例では、ADC318は、メインクロック信号clk_mの周波数に等しいサンプリングレートで超音波変換器ドライバチップ(PMIC300)内の少なくとも1つのパラメータをサンプリングする。この例では、ADC318は、マイクロプロセッサ303のリソースを節約するためにマイクロプロセッサ303からデジタルサンプリングをアンロードすることができる10ビットアナログ-デジタル変換器である。PMIC300内にADC318を統合することはまた、そうでなければADCのサンプリング能力を遅くするI2Cバスを使用する必要性を回避する(従来の装置は、専用のディスクリートADCとマイクロコントローラの間で、典型的には最大400kHzの限られたクロック速度でデータを伝達するためにI2Cバスに依存する)。
【0320】
本開示の例では、以下のパラメータのうちの1つまたは複数が、ADC318によって順次サンプリングされ得る。
【0321】
i. 超音波変換器を駆動している外部インバータ回路から超音波変換器ドライバチップ(PMIC300)で受信されるrms電流信号。この例では、このパラメータは、ブリッジIC301によって報告される二乗平均平方根(rms)電流である。実効電流を感知することは、超音波変換器215を駆動するために使用されるフィードバックループを実装するのに重要である。ADC318は、この情報がI2Cバスを介して伝送されることに依存しないので、最小限の遅れ又は全くない信号を介して、ブリッジIC301から直接、実効電流を感知することが可能である。これは、I2Cバスの比較的低い速度によって制約される従来の装置と比較して、重要な速度および精度の利点を提供する。
【0322】
ii. PMIC300に接続されたバッテリの電圧。
【0323】
iii. PMIC300に接続された充電器の電圧。
【0324】
iv. PMIC300のチップ温度を示す温度信号など。上述したように、温度センサ314が発振器315と同じICに内蔵されているため、この温度は非常に正確に測定することができる。例えば、PMIC300の温度が上がれば、PMIC300によって電流、周波数、PWMが制御され、変換器の発振が制御され、それが温度を制御する。
【0325】
v. 二つの外部端子。
【0326】
vi. バッテリーパックの温度を監視するための外部NTC温度センサ。
【0327】
いくつかの例では、ADC318は、例えばラウンドロビン方式で、1つまたは複数の上記ソースを順次サンプリングする。ADC318は、最大5MHzまたは最大105MHzであってよい発振器315の速度のような高速でソースをサンプリングする。
【0328】
いくつかの例では、装置202は、使用者又は装置の製造者が、平均化のために各ソースから何個のサンプルを取るかを指定できるように構成される。例えば、使用者は、rms電流入力から512サンプル、バッテリ電圧から64サンプル、充電器入力電圧から64サンプル、外部ピンから32サンプル、NTCピンから8サンプルを取るようにシステムを設定することができる。さらに、使用者は上記のソースのうち1つをスキップするかどうかを指定することもできる。
【0329】
いくつかの例では、使用者は各ソースに対して、全範囲を複数のゾーン(例えば3ゾーン)に分割する2つのデジタル閾値を指定することができる。その後、サンプリングされた値がゾーン 2 からゾーン 3 へと変化したときに、割り込みを発生させるように設定することができる。
【0330】
現在市場で入手可能な従来のICでは、PMIC300の上記の機能を実行することはできない。このような柔軟性と粒度を有するサンプリングは、超音波変換器のような共振回路またはコンポーネントを駆動する場合に最も重要である。
【0331】
この例では、PMIC300は、8ビット汎用デジタル入力出力ポート(GPIO)で構成される。各ポートは、デジタル入力およびデジタル出力として構成することができる。また、
図48の表に示すように、一部のポートにはアナログ入力機能がある。
【0332】
PMIC300のGPIO7~GPIO5ポートは、通信(I2C)バス302上の装置のアドレス設定に使用することができる。その後、8個の同一装置を同一のI2Cバスで使用することができる。 これは、アドレスが競合することなく、8つの同一の装置を同一のI2Cバス上で使用することができるため、IC業界ではユニークな機能である。これは、各装置がPMIC300の起動後の最初の100μsの間にGPIO7-GPIO5の状態を読み取り、その部分のアドレスをPMIC300に内部記憶させることで実現されている。PMIC300が起動した後、GPIOは他の目的に使用することができる。
【0333】
以上のように、PMIC300は、6チャンネルのLEDドライバ320を含んで構成される。この例では、LEDドライバ320は、5V耐圧のN-Channel Metal-Oxide Semiconductor(NMOS)電流源で構成されている。LEDドライバ320は、LED電流を5mA、10mA、15mA、20mAの4つの離散レベルで設定できるように構成されている。LEDドライバ320は、ガンマ補正の有無にかかわらず、12ビットPWM信号で各LEDチャネルを調光するように構成されている。LEDドライバ320は、PWM周波数を300Hzから1.5KHzの間で変化させるように構成されている。この機能は、PMIC300のサブシステムとして組み込まれているため、超音波ミスト吸入器の分野ではユニークである。
【0334】
この例では、PMIC300は、PMIC300に組み込まれた2つの独立した6ビットデジタル・アナログ変換器(DAC)327、328で構成されている。DAC327、328の目的は、外部レギュレータ(例えば、DC-DC Boostコンバータ305 a BuckコンバータまたはLDO)のフィードバック経路を操作するためにアナログ電圧を出力することである。さらに、いくつかの例では、DAC327、328は、後述するように、ブリッジIC301の過電流シャットダウンレベルを動的に調整するために使用することも可能である。
【0335】
各DAC327、328の出力電圧は、0Vと1.5Vの間、または0VとV_battery(Vbat)の間でプログラム可能である。この例では、DACの出力電圧の制御は、I2Cコマンドを介して行われる。PMIC300に2つのDACを組み込んだことはユニークであり、電流の動的な監視制御が可能になる。もし、DAC327、328のいずれかが外部チップであった場合、I2Cプロトコルによる速度制限と同じ制約を受けることになる。これら全ての組み込み機能がPMIC内にある場合、装置202のアクティブ電力監視配置は最適な効率で機能する。これらが外付け部品であったならば、アクティブ電力監視配置は全く非効率的であったろう。
【0336】
ここで添付図面の
図49を参照すると、ブリッジIC301は、埋め込まれた電力スイッチング回路333を構成するマイクロチップである。この例では、電力スイッチング回路333は、
図50に示すHブリッジ334であり、これは以下に詳細に説明される。しかしながら、他の例のブリッジIC301は、超音波変換器215を駆動するための交流駆動信号を生成するための同等の機能を果たす電力スイッチング回路であれば、Hブリッジ334に代わる電力スイッチング回路を組み込んでもよいことは理解されるであろう。
【0337】
ブリッジIC301は、PMIC300のPWM信号生成サブシステムから第1位相出力信号A段階を受信する第1位相端子A段階を構成している。また、ブリッジIC301は、PMIC300のPWM信号発生器サブシステムから第2相出力信号B段階を受信する第2相端子B段階を構成する。
【0338】
ブリッジIC301は、Hブリッジ334の電流の流れを直接感知し、ブリッジIC301のRMS_CURR端子を介してRMS電流出力信号を提供する電流感知回路335から構成される。電流検出回路335は、Hブリッジ334に流れる電流が所定の閾値以上であることを検出する過電流監視用に構成されている。Hブリッジ334を構成する電力スイッチング回路333と電流検出回路335の全てをブリッジIC301の同じ組み込み回路内に統合したことは、IC市場においてユニークな組み合わせである。現時点では、IC市場において、Hブリッジを流れる実効値電流を検知するための回路が埋め込まれたHブリッジを構成する集積回路は他にない。
【0339】
ブリッジIC301は、過温度監視を含む温度センサ336から構成される。温度センサ336は、温度センサ336がブリッジIC301が所定の閾値を超える温度で動作していることを検出した場合に、ブリッジIC301をシャットダウンするか、またはブリッジIC336の少なくとも一部を無効にするように構成される。したがって、温度センサ336は、ブリッジIC301が過度に高い温度で動作する場合に、ブリッジIC301またはドライバ装置202内の他のコンポーネントの損傷を防止する統合された安全機能を提供する。
【0340】
ブリッジIC301は、電源スイッチング回路333に一体的に接続されたデジタルステートマシン337を含んで構成される。デジタルステートマシン337は、PMIC300からのA段階信号およびB段階信号と、マイクロコントローラー303からの例えばENABLE信号とを受信する。デジタルステートマシン337は、第1相出力信号A段階と第2相出力信号B段階とに基づいてタイミング信号を生成する。
【0341】
デジタルステートマシン337は、電力切替回路333を制御するために、A段階信号およびB段階信号に対応するタイミング信号、ならびにBRIDGE PR信号およびBRIDGE EN信号を電力切替回路333へ出力する。これにより、デジタルステートマシン337は、Hブリッジ回路334のスイッチT1-T4にタイミング信号を出力して、Hブリッジ回路が超音波変換器215などの共振回路を駆動するための交流駆動信号を出力するように、スイッチT1-T4が順番にオン/オフするように制御する。
【0342】
詳細は後述するが、スイッチングシーケンスは、共振回路(超音波変換器215)が蓄えたエネルギーを放散するために、第1スイッチT1及び第2スイッチT2 をオフし、第3スイッチT3 及び第4スイッチT4 をオンするフリーフロート期間から構成されている。
【0343】
ブリッジIC301は、ブリッジIC301内の組み込み部品が正常に動作しているかどうかを判定するために、ブリッジIC301を試験することができる試験コントローラ338を含んで構成される。テストコントローラ338は、TEST DATA、TEST CLK、TEST LOAD端子に結合されており、ブリッジIC301にデータを送り込み、ブリッジIC301の動作をテストする外部制御装置に接続することができるようになっている。また、ブリッジIC301は、TST PAD端子を介してブリッジIC301内のデジタル通信バスをテストすることができるTEST BUSを構成している。
【0344】
ブリッジIC301は、ブリッジIC301の起動動作を制御するパワーオンリセット回路(POR)339を含んで構成される。POR339は、電源電圧が所定範囲内にある場合にのみ、ブリッジIC301が正常に起動するようにする。電源電圧が所定の範囲外である場合、例えば電源電圧が高すぎる場合、POR339は、電源電圧が所定の範囲内に入るまでブリッジIC301の起動を遅延させる。
【0345】
ブリッジIC301は、ブリッジIC301の他のサブシステムが使用するための正確な基準電圧を提供する基準ブロック(BG)340を含んで構成される。
【0346】
ブリッジIC301は、電流センサ335などのブリッジIC301内の電力スイッチング回路333及び/又は他のサブシステムに正確な電流を提供する電流基準341を構成する。
【0347】
温度センサ336は、ブリッジIC301のシリコンの温度を連続的に監視する。温度が所定の温度閾値を超えた場合、パワースイッチング回路333は自動的にスイッチオフされる。さらに、過熱を外部ホストに報告して、過熱事象が発生したことを外部ホストに知らせるようにしてもよい。
【0348】
デジタルステートマシン(FSM)337は、電力スイッチング回路333のためのタイミング信号を生成し、この例では、Hブリッジ334を制御するためのタイミング信号である。
【0349】
ブリッジIC301は、ブリッジIC301の様々なサブシステムからの信号を電圧および電流基準340、341と比較し、ブリッジIC301のピンを介して基準出力信号を提供する比較器342、343から構成される。
【0350】
添付図面の
図50を再び参照すると、この例のHブリッジ334は、Hブリッジ334の両側のNMOS電界効果トランジスタ(FET)スイッチの形態の4つのスイッチから構成される。Hブリッジ334は、Hブリッジ構成で接続される4つのスイッチ又はトランジスタT
1-T
4からなり、各トランジスタT
1-T
4は、それぞれの論理入力A~Dによって駆動される。 トランジスタT
1-T
4は、
図50に図示されるように接続される2つの外部コンデンサCbを用いて内部で生成されるブートストラップ電圧によって駆動されるように構成される。
【0351】
Hブリッジ334は、ブリッジIC301の各ピンに接続される各種電源の入出力を構成している。Hブリッジ334は、
図50においてVBOOSTと表示された第1の電源端子を介して、昇圧コンバータ305から出力されるプログラマブル電圧VBOOSTを受け取る。Hブリッジ334は、
図50においてVSS_Pと表示された第2の電源端子を構成する。
【0352】
Hブリッジ334は、Hブリッジ334から出力される交流駆動信号が超音波変換器215を駆動できるように、超音波変換器215のそれぞれの端子に接続するように構成された出力OUTP、OUTNを構成する。
【0353】
4つのスイッチまたはトランジスタT
1-T
4の切り替えは、論理入力A~Dを介したデジタル状態マシン337からの切り替え信号により制御される。
図50は4つのトランジスタT
1-T
4を示しているが、他の例では、Hブリッジ334は、Hブリッジの機能を実現するために、より多くのトランジスタ又は他のスイッチング部品を組み込んでいることを理解されたい。
【0354】
この例では、Hブリッジ334は、超音波変換器215を駆動してミストを最適に発生させるのに十分な電力を有する交流駆動信号を供給するために、22W~50Wのスイッチング電力で動作する。この例のHブリッジ334がスイッチングする電圧は±15Vであるが、他の例では±20Vである。
【0355】
この例では、Hブリッジ334は、3MHzから5MHz、または最大105MHzの周波数でスイッチングする。これは、IC市場で入手可能な従来の集積回路Hブリッジと比較して、高いスイッチング速度である。例えば、現在IC市場で入手可能な従来の集積回路Hブリッジは、最大周波数がわずか2MHzで動作するように構成されている。本書で説明するブリッジIC301は別として、IC市場で入手可能な従来の集積回路Hブリッジは、最大105MHzどころか、最大5MHzの周波数で22V~50Vの電力で動作可能なものは存在しない。
【0356】
次に添付図面の
図51を参照して、電流センサ335は、
図50に示すように、Hブリッジ334のそれぞれのハイサイドおよびローサイドと直列に接続される正および負の電流検出抵抗RshuntP、RshuntNから構成される。電流センス抵抗RshuntP、RshuntNは、この例では、0.1 Ω.の低値抵抗である。電流センサ335は、第1の電流センサ抵抗RshuntPを横切る電圧降下を測定する第1のオペアンプ344の形態の第1の電圧センサと、第2の電流センサ抵抗RshuntNを横切る電圧降下を測定する第2のオペアンプ345の形態の第2の電圧センサから構成されている。この例では、各オペアンプ344、345の利得は2V/Vである。各オペアンプ344、345の出力は、この例では、1mA/Vである。電流センサ335は、プルダウン抵抗R
csからなり、この例では、2kΩである。オペアンプ344、345の出力は、信号CSoutの過渡現象を除去するローパスフィルタ346を通過した出力CSoutを提供する。ローパスフィルタ346の出力Voutは、電流センサ335の出力信号である。
【0357】
このようにして、電流センサ335は、Hブリッジ334を通り、それぞれ超音波変換器215を通って流れる交流電流を測定する。電流センサ335は、AC電流を、接地に対する等価なRMS出力電圧(Vout)に変換する。Hブリッジ334は、最大5MHzまたはいくつかの例では最大105MHzの周波数で動作させることができるので、電流センサ335は、高帯域幅能力を有する。電流センサ335の出力Voutは、超音波変換器215を流れる測定されたAC実効電流に相当する正の電圧を報告する。電流センサ335の出力電圧Voutは、この例では、ブリッジIC301内の制御回路にフィードバックされ、Hブリッジ334を流れる電流、ひいては変換器215を流れる電流が所定の閾値を超えた場合に、ブリッジIC301がHブリッジ334を停止することを可能にする。さらに、過電流閾値イベントは、ブリッジIC301がブリッジIC301のOVC TRIGGピンを介して過電流イベントを報告できるように、ブリッジIC301の第1のコンパレータ342に報告される。
【0358】
次に添付図面の
図52を参照して、Hブリッジ334の制御について、超音波変換器215の等価圧電モデルを参照しながらも説明する。
【0359】
図52のV_outで示されるように、Hブリッジ334の出力OUTP、OUTNにわたって正の電圧を発生させるために(矢印の方向に注意)、入力A~Dを介したトランジスタT
1-T
4のスイッチングシーケンスは次のとおりである:
1. 超音波変換器215を横切る正の出力電圧:A-オン、B-オフ、C-オフ、D-オン
2. 正の出力電圧からゼロへの移行: A-オフ、B-オフ、C-オフ、D-オン。この遷移の間、Aのスイッチングエラーまたは遅延がある場合、AおよびCに流れる電流を最小化または回避することにより、電力損失を最小化または回避するために、Cが最初にスイッチオフされる。
【0360】
3. 出力電圧ゼロ:A-OFF、B-OFF、C-ON、D-ON。この出力電圧ゼロの段階では、Hブリッジ334の出力OUTP、OUTNの端子は、オンのままのC、Dスイッチにより接地される。これにより、超音波変換器の等価回路のコンデンサが蓄えたエネルギーが散逸し、超音波変換器に印加されるスイッチング波形電圧の電圧オーバーシュートが最小化される。
4. 出力電圧ゼロからマイナスへの遷移A-OFF、B-OFF、C-ON、D-OFF。
5. 超音波変換器215を横切る負の出力電圧:A-OFF、B-ON、C-ON、D-OFF。
【0361】
最大5MHz、あるいは最大105MHzの高周波数では、スイッチングシーケンスの各部分の時間が非常に短く、ナノ秒またはピコ秒のオーダーであることが理解されるであろう。例えば、スイッチング周波数が6MHzの場合、スイッチングシーケンスの各部分は約80ナノ秒で発生する。
【0362】
上記スイッチングシーケンスによるHブリッジ334の出力電圧OUTP、OUTNを示すグラフが添付図面の
図53に示されている。スイッチングシーケンスのゼロ出力電圧部分は、超音波変換器215によって蓄積されたエネルギー(例えば、超音波変換器の等価回路のコンデンサによって蓄積されたエネルギー)に対応するために含まれている。これにより、上述したように、超音波変換器に印加されるスイッチング波形電圧の電圧オーバーシュートを最小限に抑えることができるので、超音波変換器における不要な電力散逸や加熱を最小限に抑えることができる。
【0363】
また、電圧のオーバーシュートを最小化または除去することにより、ブリッジIC301内のトランジスタが定格電圧を超える電圧を受けることを防止し、トランジスタが損傷するリスクを低減することができる。さらに、電圧オーバーシュートの最小化または除去は、ブリッジIC301が、本書に記載の電流センスフィードバックループの破壊を最小化する方法で、超音波変換器を正確に駆動することを可能にする。その結果、ブリッジIC301は、最大5MHz、あるいは最大105MHzの高い周波数で、22W~50W、あるいは70Wという高い電力で超音波変換器を駆動することができる。
【0364】
この例のブリッジIC301は、PMIC300によって制御され、本書において強制モードとネイティブ周波数モードと呼ばれる2つの異なるモードで動作するように構成されている。これら2つの動作モードは、既存のブリッジICよりも新規なものである。特に、ネイティブ周波数モードは、従来の装置と比較して、超音波変換器の駆動の精度及び効率において実質的な利点を提供する主要な革新である。
【0365】
強制周波数モード(FFM)
強制周波数モードでは、Hブリッジ334は上記の順序で制御されるが、使用者が選択可能な周波数で制御される。結果として、HブリッジトランジスタT1-T4は、超音波変換器215の固有の共振周波数とは無関係に強制的に制御され、超音波変換器215にわたる出力電圧を切り換える。したがって、強制周波数モードでは、Hブリッジ334は、共振周波数f1を有する超音波変換器215を異なる周波数f2で駆動することができる。
【0366】
超音波変換器をその共振周波数とは異なる周波数で駆動することは、異なる用途に動作を適合させるために適切である場合がある。例えば、共振周波数からわずかにずれた周波数で超音波変換器を駆動することが適切である場合がある(変換器の機械的損傷を防止するための機械的理由による)。あるいは、超音波変換器を低い周波数で駆動することが適切であるかもしれないが、超音波変換器は、そのサイズのために、異なる固有の共振周波数を有する。
【0367】
ドライバ装置202は、特定のアプリケーションまたは特定の超音波変換器に対するドライバ装置202の構成に対応して、超音波変換器215を強制周波数モードで駆動するようにブリッジIC301を制御する。例えば、ドライバ装置202は、ミスト吸入器200が、使用者に送達するためのニコチンを含む特定の粘度の液体からミストを生成するような特定の用途に使用されている場合、強制周波数モードで動作するように構成されてもよい。
【0368】
ネイティブ周波数モード(NFM)
以下のネイティブ周波数モードの動作は重要な開発であり、現在IC市場で入手可能な従来の超音波ドライバと比較して、精度と効率の改善における利点を提供するものである。
【0369】
ネイティブ周波数モードの動作は、上述と同じスイッチングシーケンスに従うが、シーケンスのゼロ出力部分のタイミングは、強制周波数モード動作における電流スパイクに起因して発生し得る問題を最小化または回避するように調整される。これらの電流スパイクは、超音波変換器215にかかる電圧がその反対側の電圧極性に切り替わるときに発生する。圧電結晶からなる超音波変換器は、並列接続されたコンデンサを組み込んだ電気的等価回路を有する(例えば、
図52のピエゾモデルを参照のこと)。超音波変換器を横切る電圧が正の電圧から負の電圧にハードスイッチされる場合、高いdV/dtのために、コンデンサに蓄えられたエネルギーが消散する際に大きな電流の流れがあり得る。
【0370】
ネイティブ周波数モードは、超音波変換器215にかかる電圧を正電圧から負電圧にハードスイッチすることを回避する(逆もまた然りである)。その代わりに、反転電圧を印加する前に、超音波変換器215(圧電結晶)は、フリーフロート期間の間、その端子にわたってゼロ電圧を印加した状態でフリーフロート状態にされる。PMIC300は、ブリッジ334が、フリーフロート期間中に超音波変換器215の内部に流れる電流(圧電結晶内に蓄積されたエネルギーによる)が超音波変換器215の端子間の電圧を反転させるように、ブリッジIC301の駆動周波数を設定する。
【0371】
その結果、Hブリッジ334が超音波変換器215の端子に負の電圧を印加するとき、超音波変換器215(等価回路のコンデンサ)は既に逆充電されており、高いdV/dtが存在しないため電流スパイクは生じない。
【0372】
しかしながら、超音波変換器215が最初に作動したときに、超音波変換器215(圧電結晶)内の電荷が蓄積されるのに時間がかかることは理解されたい。 したがって、超音波変換器215内のエネルギーがフリーフロート期間中に電圧を反転させるという理想的な状況は、超音波変換器215内の発振が電荷を蓄積した後にのみ発生する。これに対応するために、ブリッジIC301が超音波変換器215を初めて起動するとき、PMIC300は、Hブリッジ334を介して超音波変換器215に供給される電力を低い値である第1の値(例えば、5V)に制御する。次いで、PMIC300は、超音波変換器215内に蓄積されたエネルギーを構築するために、超音波変換器215にHブリッジ334を介して供給される電力を、ある期間にわたって第1の値よりも高い第2の値(例えば15V)まで増加させるように制御する。超音波変換器215内部の電流が十分に発達するまで、この発振のランプの間にも電流スパイクが発生する。しかしながら、起動時に低い第1の電圧を使用することによって、それらの電流スパイクは十分に低く保たれ、超音波変換器215の動作への影響を最小限に抑えることができる。
【0373】
ネイティブ周波数モードを実現するために、ドライバ装置202は、発振器315の周波数と、Hブリッジ334から出力される交流駆動信号のデューティサイクル(ターンオン時間とフリーフロート時間の比)を高精度に制御する。この例では、ドライバ装置202は、超音波変換器215の端子における電圧反転を可能な限り正確にし、電流スパイクを最小化または回避するように、発振器周波数およびデューティサイクルを調節するための3つの制御ループを実行する。制御ループを用いた発振器及びデューティサイクルの正確な制御は、IC超音波ドライバの分野において重要な進歩である。
【0374】
ネイティブ周波数モードの動作中、電流センサ335は、フリーフロート期間中に超音波変換器215(共振回路)を流れる電流を感知する。デジタル状態マシン337は、電流センサー335がフリーフロート期間中に超音波変換器215(共振回路)を流れる電流がゼロであることを感知すると、第1スイッチT1又は第2スイッチT2 のいずれかをオンにするようにタイミング信号を適合させる。
【0375】
添付図面の
図54は、発振器電圧波形347(V(osc))と、Hブリッジ334の左側ハイスイッチT
1のターンオン及びターンオフによるスイッチング波形348と、Hブリッジ334の右側ハイスイッチT
2のターンオン及びターンオフによるスイッチング波形349とを示している。フリーフロート期間350の間、Hブリッジ334のハイスイッチ、T
1、T
2は共にオフされる(フリーフロート相)。フリーフロート期間350の期間は、フリーフロート制御電圧351(Vphioff)の大きさによって制御される。
【0376】
添付図面の
図55は、超音波変換器215の第1の端子における電圧波形352(超音波変換器215の第2の端子では電圧波形が反転している)と、超音波変換器215を流れるピエゾ電流353とを示している。ピエゾ電流353は、(ほぼ)理想的な正弦波波形を表している(強制周波数モードやIC市場のどのブリッジでも、これは決して不可能である)。
【0377】
ピエゾ電流353の正弦波がゼロになる前に、Hブリッジ334の左側のハイスイッチT1はオフされる(ここでは、ピエゾ電流353が約6AのときにスイッチT1がオフされる)。超音波変換器215(ピエゾ等価回路のコンデンサ)に蓄えられたエネルギーにより超音波変換器215内を流れる残りのピエゾ電流353は、フリーフロート期間350の電圧反転の役割を果たす。ピエゾ電流353は、フリーフロート期間350の間にゼロに減衰し、それ以降は負の電流の流れ領域へ移行する。超音波変換器215の端子電圧は、電源電圧(この場合19V)から2V以下に低下し、ピエゾ電流353がゼロになると低下が停止する。これは、電流スパイクを最小化または回避するために、Hブリッジ334のローサイドスイッチT3をオンにするのに最適なタイミングである。
【0378】
上述の強制周波数モードと比較して、ネイティブ周波数モードは少なくとも3つの利点を有する。
1. パッケージキャパシタのハードスイッチングに関連する電流スパイクが大幅に減少するか、または完全に回避される。
2. ハードスイッチングによる電力損失がほとんどない。
3. 周波数制御は制御ループで行い、圧電変換器の共振周波数(圧電変換器の固有共振周波数)に近づけることができる。
【0379】
制御ループによる周波数調節の場合(上記の利点3)、PMIC300は、ブリッジIC301を制御して、圧電変換器の共振以上の周波数で超音波変換器215を駆動することから開始する。その後、PMIC300は、起動中に交流駆動信号の周波数が減衰/減少するようにブリッジIC301を制御する。周波数が圧電変換器の共振周波数に近づくと、圧電電流は急速に発達/増加する。ピエゾ電流が所望の電圧反転を引き起こすのに十分な高さになると、PMIC300によって周波数の減衰/減少が停止される。その後、PMIC300の制御ループは、交流駆動信号の周波数およびデューティサイクルの調節を引き継ぐ。
【0380】
強制周波数モードでは、超音波変換器215に供給される電力は、デューティサイクル及び/又は周波数シフトを通じて、及び/又は供給電圧を変化させることによって制御される。しかしながら、この例では、ネイティブ周波数モードにおいて、超音波変換器215に供給される電力は、供給電圧を通じてのみ制御される。
【0381】
この例では、ドライバ装置の動作の設定段階において、ブリッジIC301は、第1のスイッチT1 及び第2のスイッチT2 がオフにされ、第3のスイッチT3 及び第4のスイッチT4 がオンにされたときに、超音波変換器215(共振回路)を流れる電流がゼロになるまでの時間の長さを測定するよう構成される。そして、ブリッジIC301は、フリーフロート期間の時間の長さを、測定した時間の長さと等しくなるように設定する。
【0382】
ここで添付図面の
図56を参照すると、この例のPMIC300とブリッジIC301は、コンパニオンチップセットとして一緒に動作するように設計されている。PMIC300とブリッジIC301は、互いに通信するために電気的に接続されている。PMIC300とブリッジIC301は、互いに通信するために電気的に接続されている。
【0383】
この例では、PMIC300とブリッジIC301との間には、以下の2つのカテゴリーの通信を可能にする相互接続が存在する。
【0384】
1. 制御信号
2. フィードバック信号
PMIC300のPHASE_A端子とPHASE_B端子とブリッジIC301との接続は、Hブリッジ334を駆動するPWM変調された制御信号を伝送するものである。PMIC300のEN_BR端子とブリッジIC301との接続は、Hブリッジ334の起動のトリガーとなるEN_BR制御信号を伝達する。PHASE_A、PHASE_B、EN_BR制御信号の間のタイミングは重要であり、PMIC300のデジタルブリッジ制御によって処理される。
【0385】
PMIC300のCS、OC、OT端子とブリッジIC301の接続は、CS(電流センス)、OC(過電流)、OT(過熱)フィードバック信号をブリッジIC301からPMIC300に戻す。最も注目すべきは、CS(電流センス)フィードバック信号が、ブリッジIC301の電流センサ335によって測定される超音波変換器215を流れるrms電流に相当する電圧からなることである。
【0386】
OC(過電流)及びOT(過温)フィードバック信号は、過電流又は過電圧のいずれかの事象がブリッジIC301によって検出されたことを示すデジタル信号である。この例では、過電流および過温度の閾値は、外部抵抗で設定される。あるいは、PMIC300からの2つのDACチャネルVDAC0、VDAC1のうちの1つからブリッジIC301のOC_REF端子に渡される信号に応答して、閾値を動的に設定することも可能である。
【0387】
この例では、PMIC300とブリッジIC301の設計により、これら2つの集積回路のピンを互いに直接接続することができるので(例えばPCB上の銅トラックを介して)、PMIC300とブリッジIC301の間の信号の通信に最小限の遅れしか生じないようにすることが可能である。これにより、一般的にデジタル通信バスを介した信号によって制御されるIC市場における従来のブリッジと比較して、大幅な速度上の利点が得られる。 例えば、標準的なI2Cバスは、わずか400kHzでクロックされ、これは、本開示の例の最大5MHzの高クロック速度でサンプリングされたデータを通信するには遅すぎる。
【0388】
以上、本開示の例をマイクロチップのハードウェアに関連して説明したが、本開示の他の例は、各マイクロチップのコンポーネント及びサブシステムを操作して本書に記載の機能を実行する方法からなることが理解されよう。例えば、強制周波数モード又はネイティブ周波数モードのいずれかでPMIC300及びブリッジIC301を動作させる方法である。
【0389】
次に添付図面の
図57を参照すると、OTP IC 242は、パワーオンリセット回路(POR)354、バンドギャップリファレンス(BG)355、キャップレスロードロップアウトレギュレータ(LDO)356、通信(例えばI2C )インターフェース357、ワンタイムプログラマブルメモリバンク(eFuse)358、発振器359および汎用入出力インターフェース360から構成される。また、OTP IC 242は、暗号認証器を含むデジタルコア361から構成される。この例では、暗号認証器は、ECDSA(Elliptic Curve Digital Signature Algorithm)を用いて、OTP IC 242内に格納されたデータおよびOTP IC 242と送受信されるデータの暗号化/復号化を行っている。
【0390】
POR354は、電源電圧が所定の範囲内である場合にのみ、OTP IC242が正常に起動するようにするものである。電源電圧が所定範囲外の場合、POR354は、OTP IC242をリセットし、電源電圧が所定範囲内に入るまで待機する。
【0391】
BG355は、LDO356と発振器359に正確な基準電圧と電流を供給する。LDO356は、デジタルコア361、通信インタフェース357、eFuseメモリバンク358に供給する。
【0392】
OTP IC 242は、少なくとも以下のモードで動作するように構成されている:
ヒューズプログラミング(Fusing):ヒューズプログラミング(ワンタイムプログラマブルメモリのプログラミング)中、eFuseメモリバンク358内の関連ヒューズを焼くために高電流が必要とされる。このモードでは、調節ループの利得と帯域幅を維持するために、より高いバイアス電流が供給される。
【0393】
ヒューズの読み取り:このモードでは、eFuseメモリバンク358内のヒューズ読み取りを維持するために、中程度の電流が必要とされる。このモードは、OTP IC 242の起動時に実行され、ヒューズの内容をシャドウレジスタに転送する。このモードでは、レギュレーションループのゲインと帯域幅は、ヒューズモードよりも低い値に設定される。
【0394】
通常動作:このモードでは、LDO356は非常に低いバイアス電流の状態で駆動され、OTP IC242を低電力で動作させるため、OTP IC242の消費電力をできるだけ少なくすることができる。
【0395】
発振器359は、テスト(SCAN Test)時、定着時、および通常動作時に、デジタルコア/エンジン361に必要なクロックを供給する。発振器359は、定着モード中の厳しいタイミング要件に対処するためにトリミングされる。
【0396】
この例では、通信インタフェース357は、I2C規格のFM+仕様に準拠しているが、スローモードとファストモードにも準拠している。OTP IC 242は、通信インタフェース357を使用して、ドライバ装置202(ホスト)とデータおよび鍵の交換のための通信を行う。
【0397】
デジタルコア361は、OTP IC 242の制御機能および通信機能を実装している。デジタルコア361の暗号認証器は、OTP IC 242がドライバ装置202との間で(例えばECDSA暗号化メッセージを用いて)自己認証を行い、OTP IC 242が本物であること、OTP IC 242がドライバ装置202(または他の製品)との接続を許可されたことを保証することを可能にするものである。
【0398】
添付図面の
図58を参照して、OTP IC 242は、ホスト(例えばドライバ装置202)で使用するために、OTP IC 242を認証するために、以下のPKI手順を実行する:
1. 署名者公開鍵の検証:ホスト は製造者公開鍵と証明書を要求する。ホスト は証明書を認証局公開鍵で検証する。
【0399】
2. 装置公開鍵の検証:検証が成功した場合、ホストは装置公開鍵と証明書を要求する。ホストは、製造業公開鍵を用いて証明書を検証する。
【0400】
3. チャレンジ-レスポンス:検証が成功した場合、ホストは乱数チャレンジを作成し、それを装置に送信する。最終製品は、装置の秘密鍵で乱数チャレンジに署名する。
【0401】
4. 署名は装置の公開鍵を用いて検証するためにホストに送り返される。
【0402】
認証手順のすべてのステップが成功裏に完了した場合、信頼の連鎖は信頼の根まで検証され、OTP IC 242 はホストで使用するために正しく認証されたことになる。しかし、認証手順のいずれかのステップが失敗した場合、OTP IC 242 はホストとの使用のために認証されず、OTP IC 242 を組み込んだ装置の使用は制限または阻止される。
【0403】
ドライバ装置は、バッテリからの電圧を所定の周波数の交流駆動信号に変換して超音波変換器を駆動する交流ドライバで構成される。
【0404】
ドライバ装置は、超音波変換器が交流駆動信号によって駆動されるときに超音波変換器(上述)によって使用される有効電力を監視するための有効電力監視配置を構成する。アクティブパワーモニタリング配置は、超音波変換器によって使用されるアクティブパワーを示すモニタリング信号を提供する。
【0405】
ドライバ装置内のプロセッサは、交流駆動を制御し、アクティブ電力監視配置から監視信号driveを受信する。
【0406】
ドライバ装置のメモリは、プロセッサによって実行されたとき、プロセッサに以下を行わせる命令を格納する:
A. 交流駆動を制御して、所定のスイープ周波数で超音波変換器に交流駆動信号を出力させる
B. 監視信号に基づいて、超音波変換器によって使用されている有効電力を計算する
C. 交流ドライバを制御して交流駆動信号を変調し、超音波変換器が使用する有効電力を最大化する
D. 超音波変換器によって使用される最大有効電力と交流駆動信号のスイープ周波数の記録をメモリに保存する
E. 所定の反復回数の後、スイープ周波数がスイープ開始周波数からスイープ終了周波数まで増加または減少するように、各反復でスイープ周波数が増加または減少しながら、ステップA-Dを所定の回数だけ繰り返す
F. メモリに格納された記録から、超音波変換器によって最大の有効電力が使用される交流駆動信号のスイープ周波数である交流駆動信号の最適周波数を特定する
G. 交流駆動を制御して、最適な周波数で超音波変換器に交流駆動信号を出力し、超音波変換器を駆動して液体を霧化させる。
【0407】
いくつかの例では、アクティブ電力監視配置は、超音波変換器を駆動する交流駆動信号の駆動電流を感知するための電流感知配置を備え、アクティブ電力監視配置は、感知された駆動電流を示す監視信号を提供する。
【0408】
いくつかの例では、電流感知配置は、感知された駆動電流をプロセッサによって処理するためのデジタル信号に変換するアナログ-デジタル変換器を備える。
【0409】
いくつかの例では、メモリは、プロセッサによって実行されると、プロセッサに、スイープ周波数が2900kHzのスイープ開始周波数から2960kHzのスイープ終了周波数まで増加する上記のステップA~Dを繰り返すように命令することを記憶している。
【0410】
いくつかの例では、メモリは、プロセッサによって実行されると、プロセッサに、スイープ周波数が2900kHzのスイープ開始周波数から3100kHzのスイープ終了周波数まで増加する上記のステップA~Dを繰り返すように命令することを記憶している。
【0411】
いくつかの例では、メモリは、プロセッサによって実行されると、プロセッサに:ステップGにおいて、最適周波数から所定のシフト量だけシフトされた周波数で超音波変換器に交流駆動信号を出力するように交流駆動を制御させる命令を格納する。
【0412】
いくつかの例では、所定のシフト量は、最適な周波数の1~10%の間である。
【0413】
2. コントロール&インフォメーション(CI)部
制御・情報部は、データ保存用の外部EEPROM、使用者表示用のLED、気流検出用の圧力センサー、エアロゾル化部の常時監視・管理用のBluetooth Low Energy(BLE)対応マイクロコントローラーで構成されている。
【0414】
本装置に使用されている圧力センサーは、2つの目的を兼ねている。1つ目の目的は、音波エンジンの不要な偶発的な始動(超音波変換器の駆動)を防止することである。この機能は装置の処理配置に実装されているが、低消費電力に最適化されており、真の吸入と呼ばれるものを正確に検出し分類するために、温度や周囲の圧力などの環境パラメータを内部補正と基準設定により常に測定している。
【0415】
市場にある他のすべての電子タバコ装置とは異なり、このソリューションはマイクロコントローラの強みを生かし、1つのセンサーのみを使用することを可能にしている。
【0416】
圧力センサの第二の目的は、正確な吸入量測定のために使用者の吸入時間を正確に監視できるだけでなく、禁煙プログラムの一環として機器が使用されている場合には、医療現場で重要な情報である使用者の吸入の強さを判断できるようにすることである。全体として、我々はすべての吸入の圧力プロファイルを完全に吸入することができ、エアロゾル化の最適化とニコチン依存の動作理解の両方のために吸入の終わりを予測することができる。
【0417】
これは、BluetoothTM Low Energy(BLE)マイクロコントローラを使用することで可能となった。これにより、極めて正確な吸入時間、最適化されたエアロゾル化、安全なミストを保証する多数のパラメータの監視、非純正の電子液体やエアロゾルチャンバの使用防止、過熱のリスクに対する装置とオーバーミストに対する使用者の保護の両方を、市場の他の製品とは異なり一度に実現することが可能になった。
【0418】
BLEマイクロコントローラを使用することで、無線アップデートが可能になり、匿名化されたデータ収集とPZTモデリング用のトレーニング済みAIに基づいて、改善されたソフトウェアを使用者に継続的に提供できる。
【0419】
3. パワーマネージメント(PM)部
パワーマネージメント部は、3.7V LiPoバッテリーから制御・情報部に電力を供給するLDO(Low Dropout Regulator)、内蔵LiPoバッテリーに高い保護と充電を行うBMS(Battery Management System)のパスで構成されている。
【0420】
このように一体化したコンパクトな装置でありながら、超音波照射部への高い電力供給と制御・情報部への安定した電力供給を実現するために、このセクションの部品は慎重かつ徹底的に選定されている。
【0421】
実際、3.7Vのリポバッテリーからエアロゾル化部に高電力を供給する場合、動作中の電源電圧の変動が大きい。低ドロップアウトレギュレーターがなければ、バッテリー電圧がこのセクションのコンポーネントの最小定格より0.3Vも低い電圧まで低下したときに、制御・情報セクションに必須の安定した電源を供給することができず、そのためLDOはここで重要な役割を果たす。このため、LDOは重要な役割を担っている。CI部の損失は、機器全体の機能を停止させる。
【0422】
このため、部品を慎重に選択することで、装置の高い信頼性を確保するだけでなく、厳しい条件下での動作や充電間隔の延長を可能にしているのである。
【0423】
制御されたエアロゾル化
この装置は、禁煙プログラムと日常的な顧客使用のための正確で信頼できる安全なエアロゾル化ソリューションであるため、制御された信頼できるエアロゾル化を提供しなければならない。
【0424】
これは、次のようにいくつかのセクションに分けることができる内部メソッドによって実行される。
【0425】
1.ソニケーション
最適なエアロゾル化を実現するために、超音波変換器(PZT)は最も効率的な方法で振動させる必要がある。
【0426】
周波数
圧電セラミックスの電気機械的特性から、部品は共振周波数で最も効率が高くなる。しかし、PZTを長時間共振させ続けると、部品が破損し、エアロゾルチャンバが使用できなくなることが避けられない。
【0427】
また、圧電材料を使用する際の重要なポイントとして、製造時のばらつきと、温度や寿命によるばらつきがある。
【0428】
1um以下の液滴を生成するためにPZTを3MHzで共振させるには、吸入のたびに、装置で使用するすべてのエアロゾルチャンバ内で特定のPZTの「スイートスポット」を探し、ターゲットするための適応的な方法が必要である。
【0429】
スイープ
吸入のたびに「スイートスポット」を特定する必要があるため、また使いすぎのため、PZTの温度は社内のダブルスイープ方式で変化している。
【0430】
最初のスイープは、装置が特定のエアロゾル・チャンバで、すべての熱放散が起こり、PZTが「デフォルト温度」まで冷却するのに十分と考えられる時間使用されていないときに使用される。この手順は、コールドスタートとも呼ばれる。この手順の間、PZTは必要なエアロゾルを生成するためにブーストが必要である。これは、広範な研究と実験を考慮し、共振点をカバーする2900kHzから2960kHzの間の周波数の小さなサブセットのみを通過することで達成される。
【0431】
この範囲内の各周波数は、音波エンジンが作動し、PZTを通過する電流が積極的に監視され、アナログ・デジタル・コンバータ(ADC)を介してマイクロコントローラによって保存され、PZTが使用する電力を正確に差し引くことができるように電流に変換される。
【0432】
これにより、周波数に関するPZTのコールドプロファイルが得られ、吸入中に使用される周波数は、最も電流を使用するもの、つまり最も低いインピーダンスの周波数となる。
【0433】
2回目のスイープは、その後の吸入中に行われ、温度と変形に関するPZTプロファイルの修正により、2900kHzから3100kHzの間の全周波数範囲をカバーする。このホットプロファイルは、適用するシフトを決定するために使用される。
【0434】
シフト
エアロゾル化が最適でなければならないため、低温吸入時にはシフトは使用されず、PZTは共振周波数で振動することになる。これは、短時間で繰り返さない限り起こりえず、そうでなければPZTは必然的に壊れる。
【0435】
しかし、シフトは、低インピーダンス周波数をターゲットとする方法として、ほとんどの吸入時に使用され、故障から保護しながらPZTの準最適な動作を実現する。
【0436】
吸入中にホットプロファイルとコールドプロファイルが保存されるので、マイクロコントローラは、スイープ中にPZTを流れる電流の測定値にしたがって適切なシフト周波数を選択し、安全な機械的動作を保証することができる。
【0437】
圧電部品は、二重共鳴/反共鳴周波数の外側と内側とでは挙動が異なるため、シフトする方向の選択が重要である。PZTは誘導性であり、容量性ではないので、選択するシフトは常に共振周波数と反共振周波数で定義されるこの範囲であるべきである。
【0438】
最後に、最低インピーダンスに近いが共振から十分離れるように、シフトの割合は10%以下に維持される。
【0439】
調整
PZTの本質的な性質により、吸入は毎回異なる。ピエゾ素子以外にも、エアロゾルチャンバ内に残っている電子液体の量、ガーゼのウィッキング状態、装置のバッテリーレベルなど、数多くのパラメータが吸入の結果に影響を及ぼす。
【0440】
このため、エアロゾルチャンバ内のPZTが使用する電流を常時モニターし、マイクロコントローラーが周波数やデューティーサイクルなどのパラメータを常に調整することで、エアロゾルチャンバにあらかじめ定義された範囲内で最も安定した電力を供給し、最も最適な安全エアロゾル化に関する研究および実験結果に基づいている。
【0441】
バッテリー監視
15Vの交流電圧を供給し、PZT内部の電流を2.5A程度に維持するために、バッテリーからの電流は7~8A程度に達し、バッテリー電圧の低下を招く。一般的なリポバッテリーでは、6秒を超える吸入の間、この過酷なリソースを維持することはできない。
【0442】
そこで、PZTの最大許容電流の50%以上である約11Aを処理できるカスタムリポバッテリーを開発し、コンパクトで一体型のポータブル装置としてシンプルに使えるようにした。
【0443】
超音波発生部を作動させるとバッテリの電圧が低下し、大きく変動するため、マイクロコントローラーはエアロゾルチャンバ内のPZTが使用する電力を常に監視し、適切かつ安全なエアロゾル発生を保証している。
【0444】
また、エアロゾル化の鍵は制御であるため、この装置はまず、装置の制御・情報部が常に機能し、超音波処理部の不利益となるような停止をしないことを保証している。
【0445】
このため、調整方法はリアルタイムのバッテリー残量を大きく考慮し、必要であれば、バッテリーを安全なレベルに維持するためにデューティーサイクルなどのパラメーターを変更し、ソニックエンジン始動前にバッテリー残量が少なくなった場合、制御・情報セクションが始動を阻止するようになっている。
【0446】
パワーコントロール
エアロゾル化の鍵は制御であると言われるように、この装置で使われている方法は、PZTのプロファイル、PZT内部の電流、装置のバッテリーレベルを常に考慮したリアルタイムの多次元関数である。
【0447】
これらはすべて、最適な吸入を実現するために装置のあらゆる要素を監視・制御できるマイクロコントローラーの使用によってのみ達成可能である。
【0448】
1. 吸入制御
この装置はBNS(Broughton Nicotine Services)の報告書でも確認されている安全な装置だが、ミストの安全性とエアロゾルチャンバと装置両方の完全性を保証するために、各吸入を制御する必要がある。
【0449】
吸入時間
e-liquidの加熱により発生する可能性のあるカルボニルなどの有害成分への曝露を低減するため、最大吸入時間を6秒に設定し、これらの成分への曝露を完全に抑えている。
【0450】
インターバル
ピエゾ電気部品に依存しているため、吸入が停止すると超音波照射部が作動しないようになっている。2回の吸入の間の安全ディレイは、前の吸入の持続時間によって適応される。これにより、次の作動の前にガーゼが適切に吸引されるようになる。
【0451】
この機能により、装置は安全に動作し、PZT素子を破損したり、使用者を有毒成分にさらすことなく、エアロゾル化をより最適な状態にすることができる。
【0452】
コネクティビティ(BLE)
装置の制御・情報部は、Bluetooth Low Energy対応マイクロコントローラーによる無線通信システムで構成されている。無線通信システムは、装置のプロセッサと通信し、ドライバー装置とスマートフォンなどのコンピューティング装置との間でデータを送受信するように構成されている。
【0453】
Bluetooth Low Energyによるコンパニオン・モバイル・アプリケーションとの接続は、この通信に必要な電力が小さいため、Wi-Fi、従来のBluetooth、GSM、さらにはLTE-MやNB-IOTなどの従来の無線接続ソリューションと比較して、まったく使用しない場合でも装置を長期間にわたって機能させ続けることが可能である。
【0454】
最も重要なのは、この接続性によって、機能としてのOTPと、吸入の完全な制御と安全性が実現されることである。吸入の共振周波数から使用したもの、または使用者によって作られた陰圧と持続時間に至るまで、あらゆるデータが保存され、さらなる分析と組み込みソフトウェアの改良のためにBLEを介して転送される。
【0455】
さらに、これらの情報はすべて、禁煙プログラムにおいて装置が使用される際に、医師や使用者に吸入のプロセスに関するすべての情報を提供し、処方や使用状況をリアルタイムで追跡することができるため、極めて重要である。
【0456】
最後に、この接続性により、機器内部および無線(OTA)で組み込みファームウェアの更新が可能になり、常に最新バージョンを迅速に展開できることが保証される。これにより、装置の拡張性が高まり、装置がメンテナンスされることが保証される。
【0457】
臨床禁煙目的でのデータ収集
パフ回数やパフ時間などの使用者データを収集し、使用者が1回のセッションで消費したニコチン量の総量を把握することができる。
【0458】
このデータは、医師の勧告に基づいて時間帯ごとの消費制限を設定するアルゴリズムによって解釈することができる。
【0459】
これにより、医師や薬剤師によって管理され、エンド使用者が乱用できないニコチン量を使用者に投与することができるようになる。
【0460】
医師は、使用者にとって安全な管理された方法で、時間をかけて徐々に投与量を減らしていくことおよび治療的な禁煙用量を提供するのに安全かつ有効である。
【0461】
パフの限界
超音波キャビテーションのプロセスは、生成されたミスト中のニコチン濃度に大きな影響を与える。
【0462】
7秒以下のパフ時間という装置の制限は、電子ニコチンデリバリーシステムによって一般的に生成されるカルボニルの暴露を使用者に制限することになる。
【0463】
Broughton Nicotine Servicesの実験結果によると、使用者が7秒未満のパフを10回連続して行った後、カルボニルの総量は、2.67μg/10パフ未満(平均:1.43μg/10パフ)がホルムアルデヒド、0.87μg/10パフ未満(平均:1.50μg/10パフ)がアセトアルデヒド、0.40μg/10パフ未満(平均:0.28μg/10パフ)がプロピオンアルデヒド、0.16μg/10パフ未満(平均:0.16μg/10パフ)がクロトンアルデヒド、0.19μg/10パフ未満(平均:0.17μg/10パフ)がブチルアルデヒド、0.42μg/10パフ未満(平均:0.25μg/10パフ)がダイアセチル、アセチルプロピオニルは連続10回7秒未満のパフの排出では全く検出されなかった。
【0464】
電子タバコのエアロゾル化は、液体を直接加熱するのではなく、圧電ディスクの機械的作用によって達成されるため、電子タバコの個々の成分(プロピレングリコール、植物性グリセリン、香料成分など)はほとんどそのままで、従来の電子タバコで見られた高い割合でアクロレイン、アセトアルデヒド、ホルムアルデヒドなどの小さな有害成分に分解されない。
【0465】
超音波装置を使用している間の使用者のカルボニルへの曝露を制限するために、上記の結果が曝露の点で絶対的に最悪のシナリオとなるように、パフの長さが最大6秒に制限される。
【0466】
次に
図59及び60を参照すると、エンドキャップ248がドライバ装置ハウジング246に取り付けられると、アルミニウムであるドライバ装置ハウジング246はファラデーケージとして機能し、装置がいかなる電磁波も放射するのを防止する。ドライバ装置ハウジング246を備えた装置は、電磁適合性(EMC)のテストを受けており、テストの結果、エミッションは装置の許容限界の半分以下であることが明らかになっている。EMC試験結果は、
図61のグラフに示されている。
【0467】
本開示の他の例のミスト吸入器は、上述したミスト発生装置200の要素のほとんど又は好ましくは全てからなるが、ドライバ装置202のメモリが、プロセッサによって実行されるとミスト吸入器に追加の機能を提供する命令を記憶することを備える。
【0468】
一例では、ミスト吸入器200は、超音波変換器215を駆動する交流駆動信号のrms駆動電流を感知するための、上述の電流センサ335などの電流センサを組み込んだアクティブ電力モニタを具備している。アクティブパワーモニタは、上述したように、感知された駆動電流を示す監視信号を提供する。
【0469】
この例の追加機能により、ミスト吸入器200は、超音波変換器が作動している間、超音波変換器の作動を監視することができる。ミスト吸入器200は、超音波変換器が装置内の液体を霧化するためにどれだけ効果的に動作しているかを示す有効性値または品質指数を計算する。装置は、有効性値を使用して、超音波変換器の活性化の持続時間にわたって発生したミストの実際の量を計算する。
【0470】
ミストの実際の量が計算されると、装置は、液体中のニコチンの濃度に基づいて、ミスト中に存在したニコチンの実際の量、したがって、使用者によって吸入されたニコチンの実際の量を計算するように構成される。使用者に供給されるニコチンの正確な量を知ることは、一定期間にわたって使用者に供給されるニコチンの量を徐々に制限する禁煙プログラムの一部としてミスト吸入装置を使用する場合に特に重要である。各吸入又はパフの間に使用者に送達されるニコチンの正確な量を知ることは、各吸入又はパフが使用者に同じ量のニコチンを送達すると仮定して、単に吸入又はパフの数を数える従来の装置を使用する場合と比較して、禁煙プログラムをより正確かつ効果的に作動させることを可能にする。
【0471】
実際には、上記のように、超音波変換器の動作に影響を与え、超音波変換器によって生成されるミストの量、ひいては使用者に提供されるニコチンの実際の量に影響を与える様々な要因が存在する。
【0472】
例えば、バッテリの低充電が超音波変換器を流れる電流を減少させるために、ミスト吸入器内の超音波変換器が最適な方法で動作しない場合、装置が最適に動作する場合と比較して、より少ない量のミストが生成され、より少ない量のニコチンが使用者に提供されることになる。したがって、装置は、超音波変換器が最適に動作している場合に許容されるパフの数と比較して、ある期間にわたって設定量のニコチンを使用者に送達するために、使用者に対してより多くのパフ数を許容することができる。これにより、使用者が吸うパフの数を単に数えて制限する装置の使用に依存する従来のプログラムと比較して、禁煙プログラムをより効果的かつ正確に作動させることができる。
【0473】
次に、幾つかの例のミスト吸入器の構成及びそのミスト吸入器を用いたミスト生成方法について以下に詳細に説明する。
【0474】
この例では、ミスト吸入器は、上述したミスト吸入器200の構成要素を組み込んでいるが、ドライバ装置202のメモリは、プロセッサによって実行されると、プロセッサにミスト発生装置200を第1の所定時間だけ起動させる命令をさらに記憶している。上述したように、ミスト発生装置は、ミスト発生装置200内の超音波変換器215を交流駆動信号で駆動して、超音波変換器215が毛細管要素222によって運ばれる液体を霧化することによって起動される。
【0475】
実行された命令は、プロセッサに、電流センサを用いて、第1の所定時間の間、定期的に超音波変換器215を流れる交流駆動信号の電流を感知し、定期的に測定された電流値をメモリに格納するようにさせる。
【0476】
実行された命令は、プロセッサに、メモリに格納された電流値を使用して効果値を計算させる。有効性値は、液体を霧化する際の超音波変換器の動作の有効性を示すものである。
【0477】
一例では、実行された命令は、プロセッサに、この方程式を使用して有効性値を計算させる:
【0478】
【0479】
一例では、メモリは、プロセッサによって実行されると、プロセッサに、超音波変換器を駆動する交流駆動信号のデューティサイクルを第1の所定時間の間に周期的に測定させ、周期的に測定されたデューティサイクル値をメモリに記憶させる命令を格納する。 そして、ミスト吸入器は、メモリに記憶された現在の値に基づいて、アナログ-デジタル変換器副効果値QAを修正する。その結果、この例のミスト吸入器は、装置が効果値を計算する際に、超音波変換器215の活性化を通して発生し得るデューティサイクルの変動を考慮に入れる。したがって、ミスト吸入器は、超音波変換器が作動している間に生じ得る交流駆動信号のデューティサイクルの変動を考慮することによって、実際に発生するミストの量を正確に計算することができる。
【0480】
一例では、メモリは、プロセッサによって実行されると、プロセッサに、第1の所定時間の間、ミスト発生装置に電力を供給しているバッテリの電圧を周期的に測定させ、周期的に測定されたバッテリ電圧値をメモリに記憶させる命令を格納する。そして、ミスト吸入器は、メモリに記憶されたバッテリの電圧値に基づいて、アナログ-デジタル変換器の副効果値QAを修正する。その結果、この例のミスト吸入器は、装置が効果値を計算する際に、超音波変換器215の作動の間中発生する可能性のあるバッテリ電圧の変動を考慮に入れる。したがって、ミスト吸入器は、超音波変換器が作動している間に発生する可能性のあるバッテリ電圧の変動を考慮して、実際に発生するミストの量を正確に計算することができる。
【0481】
有効性値は、ミスト吸入器によって、装置が最適に動作している場合に発生するであろうミストの最大量の値を比例的に減少させることによって、ミスト吸入器によって発生するミストの実際の量を計算するための重み付けとして使用される。
【0482】
一例では、メモリは、プロセッサによって実行されると、プロセッサに、超音波変換器215を駆動する交流駆動信号の周波数を第1の所定時間の間に周期的に測定させ、周期的に測定された周波数値をメモリに記憶させる命令を格納する。そして、装置は、上述したように、電流値に加えて、メモリに格納された周波数値を用いて効果値を計算する。
【0483】
一例では、メモリは、プロセッサによって実行されると、プロセッサに、超音波変換器215が第1の所定の長さの継続時間にわたって最適に動作していた場合に発生するであろうミストの最大量の値を計算させる命令を格納する。一例では、ミストの最大量の値は、超音波変換器が最適に動作していたときに発生するであろうミストの最大量を決定するモデリングに基づいて計算される。
【0484】
ミストの最大量の値が計算されると、ミスト吸入器は、ミストの最大量の値を有効性値に基づいて比例的に減少させて、第1の所定の長さの時間の継続期間にわたって発生した実際のミスト量を決定することにより、実際のミスト量値を計算することができる。
【0485】
実際のミスト量が算出されると、ミスト吸入器は、第1の所定長さの継続時間にわたって発生した実際のミスト量におけるニコチンの量を示すニコチン量値を算出することができる。そして、ミスト吸入器は、ニコチン量値の記録をメモリに格納する。このようにして、ミスト吸入器は、各吸入又はパフにおいて使用者に供給されたニコチンの実際の量を正確に記録することができる。
【0486】
一例では、メモリは、プロセッサによって実行されると、プロセッサに、有効性値に応答して第2の所定時間の長さを選択させる命令を格納する。この場合、第2の所定の長さは、超音波変換器215が使用者による第2の吸入又はパフの間に活性化される時間の長さである。一例では、第2の所定の長さの時間は、第1の所定の長さの時間と等しいが、有効性値にしたがって比例的に減少または増加された時間である。例えば、有効性値が超音波変換器215が有効に動作していないことを示す場合、第2の所定の長さの時間の間に所望の量のミストが生成されるように、有効性値によって第2の所定の長さの時間が長くなるようにされる。
【0487】
次の吸入になると、ミスト吸入器は、ミスト発生装置が第2の所定時間の間に所定量のミストを発生させるように、第2の所定時間の間、ミスト発生装置を作動させる。このようにして、ミスト吸入器は、ミスト吸入器の動作に影響を与える有効性値によって反映される様々なパラメータを考慮して、第2の所定時間の間に発生するミストの量を正確に制御する。
【0488】
一例では、メモリは、プロセッサによって実行されると、プロセッサにミスト発生装置を複数の所定の長さの時間の間作動させる命令を格納する。例えば、ミスト発生装置は、使用者による複数の連続した吸入又はパフの間に作動される。
【0489】
ミスト吸入器は、複数のニコチン量値をメモリに記憶し、各ニコチン量値は、所定の長さの時間のそれぞれの1つの継続時間にわたって生成されたミスト中のニコチン量の指標となる。一例では、ミスト吸入器は、所定の長さの時間の持続期間にわたって生成されたミスト中のニコチンの総量が所定の閾値以上である場合、所定の持続期間にわたってミスト発生装置のさらなる起動を阻止する。一例では、所定の持続時間は、1時間から24時間の範囲内の持続時間である。他の例では、所定の持続時間は、24時間又は12時間である。
【0490】
本開示のいくつかの例のミスト吸入器は、ニコチン量値を示すデータをミスト発生装置からコンピューティング装置へ(例えば、BluetoothTMLow Energy通信を介して)送信し、コンピューティング装置(例えば、スマートフォン)のメモリに格納するように構成される。コンピューティング装置上で実行される実行可能なアプリケーションは、使用者に提供されたニコチンの量を記録することができる。実行可能なアプリケーションは、ミスト吸入器の作動を制限して、例えば禁煙プログラムだったり、ある期間にわたって使用者に送達されるニコチンの量を制限するために、ミスト吸入器の作動を制御することも可能である。
【0491】
したがって、本開示のいくつかの例のミスト吸入器は、1日の間に消費されるニコチンの量など、設定された時間枠の間に使用者がニコチンの設定量を消費したら、さらなる作動を防ぐように構成される。
【0492】
超音波技術を含む上記の全ての用途は、最適な性能のために超音波処理の周波数を最適化する周波数コントローラによって達成される最適化から利益を得ることができる。
【0493】
いくつかの実施例の超音波ミスト吸入器100は、現在の携帯用ネブライザーをより強力にしたもので、現在の電子タバコの形と大きさで、効果的に気化するための特定の構造を有している。タバコや現行の電子タバコ製品に代わる、より健康的な製品である。
【0494】
いくつかの実施例の超音波ミスト吸入器100は、禁煙およびニコチン依存症を軽減する手段として電子吸入器を使用する人に特に適用可能である。超音波ミスト吸入器100は、ニコチンの投与量を徐々に漸減させる方法を提供する。
【0495】
前述は、当業者が本開示の様々な側面をより良く理解できるように、いくつかの例または実施形態の特徴を概説したものである。当業者は、本書に導入された様々な例又は実施形態の同じ目的を遂行し及び/又は同じ利点を達成するための他のプロセス及び構造を設計又は修正するための基礎として本開示を容易に使用し得ることを理解するべきである。また、当業者は、そのような同等の構造が本開示の精神及び範囲から逸脱しないこと、並びに、本開示の精神及び範囲から逸脱することなく、本書に様々な変更、置換、及び改変を行うことができることを認識すべきである。
【0496】
構造的特徴または方法論的行為に特有の言語で主題を説明してきたが、添付の請求項の主題は、必ずしも上記の特定の特徴または行為に限定されないことが理解される。むしろ、上述した特定の特徴や行為は、請求項の少なくとも一部を実施するための例示的な形態として開示されている。
【0497】
本書では、例または実施形態の様々な動作が提供される。動作の一部又は全部が説明される順序は、これらの動作が必ずしも順序に依存することを意味するように解釈されるべきではない。代替的な順序は、本書の利益を有することが理解されるであろう。さらに、すべての操作が、本書で提供される各実施形態に必ずしも存在するわけではないことが理解されよう。また、いくつかの例または実施形態において、すべての操作が必要であるとは限らないことも理解されよう。
【0498】
さらに、「例示的な」は、本書では、例、インスタンス、イラストレーションなどとして役立つことを意味し、必ずしも有利であるとは限らない。本願で使用される「又は」は、排他的な「又は」ではなく、包括的な「又は」を意味することが意図される。さらに、本願および添付の特許請求の範囲で使用される「a」および「an」は、他に指定されない限り、または文脈から単数形に向けられることが明らかでない限り、一般に「1つまたは複数」を意味するものと解釈される。さらに、「含む」、「有している」、「有する」、「共に」、またはそれらの変形が使用される限り、かかる用語は、用語「含む」と同様の方法で包括的であることを意図している。また、特に断らない限り、「第1」、「第2」などは、時間的側面、空間的側面、順序などを示唆することを意図していない。 むしろ、このような用語は、特徴、要素、アイテムなどの識別子、名称などとして使用されるに過ぎない。 例えば、第1の要素および第2の要素は、一般に、要素Aおよび要素B、または2つの異なる要素もしくは2つの同一の要素または同一の要素に対応する。
【0499】
また、本開示は、1つ以上の実施態様に関して示され、説明されてきたが、本書および付属図面の読解および理解に基づき、当業者の他の者には、同等の変更および修正が生じるであろう。本開示は、すべてのそのような変更および修正を含み、以下の請求項の範囲によってのみ制限される。特に、上述した特徴(例えば、要素、資源など)によって実行される様々な機能に関して、そのような特徴を説明するために使用される用語は、特に示されない限り、開示された構造と構造的に同等ではないとしても、説明された特徴の所定の機能を実行する任意の特徴(例えば、機能的に同等である)に対応すると意図されている。加えて、本開示の特定の特徴は、いくつかの実施態様のうちの1つに関してのみ開示されたかもしれないが、かかる特徴は、任意の所与の又は特定の用途に対して所望され有利であるように、他の実施態様の1つ又は複数の他の特徴と組み合わされるかもしれない。
【0500】
本書に記載された主題および機能的動作の例または実施形態は、本書に開示された構造およびそれらの構造的等価物を含むデジタル電子回路、またはコンピュータソフトウェア、ファームウェア、またはハードウェアで、またはそれらの1つ以上の組み合わせで実装され得る。
【0501】
いくつかの例または実施形態は、データ処理装置による実行、またはデータ処理装置の動作を制御するためにコンピュータ可読媒体上に符号化されたコンピュータプログラム命令の1つまたは複数のモジュールを使用して実装される。コンピュータ可読媒体は、コンピュータシステム又は組込みシステムにおけるハードドライブなどの製造品とすることができる。コンピュータ可読媒体は、有線または無線ネットワークを介したコンピュータプログラム命令の1つまたは複数のモジュールの配信などによって、別々に取得し、後にコンピュータプログラム命令の1つまたは複数のモジュールで符号化することができる。コンピュータ可読媒体は、機械可読記憶装置、機械可読記憶基板、記憶装置、又はそれらの1つ以上の組合せとすることができる。
【0502】
「計算装置」および「データ処理装置」という用語は、データを処理するためのすべての装置、装置、および機械を包含し、例としてプログラマブルプロセッサ、コンピュータ、または複数のプロセッサやコンピュータが含まれる。装置は、ハードウェアに加えて、当該コンピュータプログラムの実行環境を構築するコード、例えば、プロセッサファームウェア、プロトコルスタック、データベース管理システム、オペレーティングシステム、ランタイム環境、またはそれらの1つ以上の組合せを構成するコードを含むことが可能である。さらに、本装置は、ウェブサービス、分散コンピューティング、グリッドコンピューティング基盤など、様々な異なるコンピューティングモデル基盤を採用することができる。
【0503】
本書に記載されたプロセスおよび論理フローは、1つ以上のコンピュータプログラムを実行する1つ以上のプログラマブルプロセッサによって実行され、入力データに対して動作し、出力を生成することによって機能を実行することが可能である。
【0504】
コンピュータ・プログラムの実行に適したプロセッサには、一例として、汎用および特殊目的のマイクロプロセッサ、およびあらゆる種類のデジタル・コンピュータの任意の1つまたは複数のプロセッサが含まれる。一般に、プロセッサは、読み取り専用メモリ、ランダムアクセスメモリ、またはその両方から命令とデータを受け取ることになる。コンピュータの本質的な要素は、命令を実行するためのプロセッサと、命令とデータを格納するための1つ以上のメモリ装置である。一般に、コンピュータは、データを格納するための1つ以上の大容量記憶装置、例えば、磁気ディスク、光磁気ディスク、または光ディスクからデータを受信するか、またはその両方にデータを転送するように動作可能に結合されるか、またはその両方を含むことになる。しかしながら、コンピュータはそのような装置を有する必要はない。コンピュータプログラム命令およびデータを格納するのに適した装置には、あらゆる形態の不揮発性メモリ、媒体、およびメモリ装置が含まれる。
【0505】
本書において、「備える」は「含む、構成する」を意味し、「備える」は「含む、構成する」を意味する。
【0506】
前述の説明、または以下の請求項、または添付図面に開示された特徴は、それらの具体的な形態で、または開示された機能を実行するための手段、または開示された結果を達成するための方法またはプロセスの観点から適宜表現され、別々に、またはそれらの特徴の任意の組み合わせで、その多様な形態で発明を実現するために利用されることができる。
【0507】
代表的な特徴
代表的な特徴は、以下の項に記載されており、これらは単独で、または本書の本文および/または図面に開示された1つ以上の特徴と、任意の組み合わせで組み合わせることができる。
【0508】
1.使用者による吸入のためにニコチンを含むミストを生成するためのニコチンデリバリー装置であって、該装置は、以下を備える:
【0509】
ミスト発生装置であって、以下を含むもの:
細長く、空気入口ポートおよびミスト出口ポートを備えるミスト発生ハウジング
ミスト発生ハウジング内に設けられた液体チャンバであって、霧化される液体を含み、該液体がニコチン塩を含む液体チャンバ
ミスト発生ハウジング内に設けられた超音波処理チャンバ
液体チャンバと超音波チャンバとの間に延びる毛細管要素であって、毛細管要素の第1の部分が液体チャンバ内にあり、毛細管要素の第2の部分が超音波チャンバ内にあるようにする毛細管要素
霧化表面を有する超音波変換器であって、毛管要素の第2の部分の一部が霧化表面の一部に重なっており、超音波変換器が交流駆動信号によって駆動されると、霧化表面が振動して毛管要素の第2の部分によって運ばれる液体を霧化して、霧化液体と空気を含むミストを超音波照射チャンバ内に発生させる超音波変換器
ミスト出口ポートを引く使用者が空気を入口ポートから引き込み、ソニケーションチャンバを通り、ミスト出口ポートから出るように、空気入口ポート、ソニケーションチャンバおよび空気出口ポートの間に空気流路を提供する空気流配置で、ソニケーションチャンバで発生したミストが空気によってミスト出口ポートから運ばれて使用者によって吸入されるもので、次の装置が含まれる:
【0510】
次のものを内蔵するドライバ装置:
バッテリー
超音波変換器に接続されるHブリッジ回路であって、該Hブリッジ回路は、該超音波変換器を駆動するための交流駆動信号を生成するように構成される、Hブリッジ回路
Hブリッジ回路に接続され、Hブリッジ回路を制御して交流駆動信号を生成するマイクロチップであって、マイクロチップは、相互に接続された複数の組み込みコンポーネントとサブシステムとからなる単一ユニットである、マイクロチップであり、次を含むもの:
発振器であって、以下のものを生成するように構成されているもの:
【0511】
主クロック信号
主クロック信号の正の半周期の間、第1の時間だけハイになり、負の半周期の間、ローになる第1の位相クロック信号
主クロック信号の負の半周期の間に第2の時間だけハイになり、主クロック信号の正の半周期の間にローになる第2の位相クロック信号であって、第1の位相クロック信号と第2の位相クロック信号の位相はセンターアラインメントされている、第2の位相クロック信号
【0512】
パルス幅変調(PWM)信号発生器サブシステムで、次を含むもの:
第1位相クロック信号と第2位相クロック信号とを用いて2倍周波数クロック信号を生成するように構成され、2倍周波数クロック信号はメインクロック信号の2倍の周波数であり、遅延ロックループは、第1位相クロック信号と第2位相クロック信号との立ち上がり縁を2倍周波数クロック信号の立ち上がり縁と同期するよう制御するように構成されている遅延ロックループと 遅延ロックループが、ドライバ制御信号に応答して、第1位相クロック信号および第2位相クロック信号の周波数およびデューティサイクルを調整して、第1位相出力信号および第2位相出力信号を生成するように構成され、第1位相出力信号および第2位相出力信号が、Hブリッジ回路を駆動して超音波変換器を駆動する交流駆動信号を生成するように構成される、請求項1に記載の超音波変換器システム
第1相出力信号をHブリッジ回路に出力するように構成された第1相出力信号端子
Hブリッジ回路に第2相出力信号を出力するように構成された第2相出力信号端子
Hブリッジ回路からフィードバック信号を受信するように構成されたフィードバック入力端子であって、Hブリッジ回路が液体を霧化するために超音波変換器を交流駆動信号で駆動しているときに、フィードバック信号はHブリッジ回路または交流駆動信号の動作のパラメータを示す、フィードバック入力端子。
【0513】
アナログ/デジタル変換器(ADC)サブシステムであり、次を含むもの:
複数のそれぞれのアナログ信号を受信するように構成される複数のADC入力端子であって、複数のADC入力端子のうちの1つのADC入力端子が、ADCサブシステムがHブリッジ回路からフィードバック信号を受信するようにフィードバック入力端子に接続され、ADCサブシステムが、メインクロック信号の周波数に比例するサンプリング周波数で複数のADC入力端子で受信したアナログ信号をサンプルするように構成され、ADCサブシステムがサンプルしたアナログ信号を使用してADCデジタル信号を生成するように構成される、複数のアナログ信号のアナログ化装置。
【0514】
ADCサブシステムからADCデジタル信号を受信し、ADCデジタル信号を処理してドライバ制御信号を生成するように構成され、デジタルプロセッササブシステムは、ドライバ制御信号をPWM信号生成サブシステムに伝達してPWM信号生成サブシステムを制御するように構成されるデジタル処理装置。
【0515】
デジタル・アナログ・コンバータ(DAC)サブシステムであり、次を含むもの:
デジタル・プロセッサ・サブシステムによって生成されたデジタル制御信号をアナログ電圧制御信号に変換して、Hブリッジ回路による変調のための電圧を生成する電圧レギュレータ回路を制御するように構成されたデジタル・アナログ・コンバータ(DAC)
超音波変換器の動作を示すフィードバック信号に応答して、超音波変換器を駆動するためのHブリッジ回路による変調のための所定の電圧を生成するように電圧調整回路を制御するためのアナログ電圧制御信号を出力するように構成されたDAC出力端子。
【0516】
2.第1項に記載の装置であり、マイクロチップが以下を備えるもの:
発振器に接続され、発振器からメインクロック信号を受信する分周器であって、メインクロック信号を所定の除数で分周して周波数基準信号を遅延ロックループに出力するように構成された分周器。
【0517】
3.第1項または第2項に記載の装置であり、遅延ロックループが端から端まで接続された複数の遅延線からなり、遅延線の合計遅延時間がメインクロック信号の周期に等しいもの。
【0518】
4.第3項に記載の装置であり、ディレイロックループは、ディレイロックループ内の各遅延線の遅延を変化させることにより、ドライバ制御信号に応答して第1位相クロック信号および第2位相クロック信号のデューティサイクルを調整するように構成されるもの。
【0519】
5.フィードバック入力端子は、共振回路を駆動している交流駆動信号の実効電流を示す電圧の形態でHブリッジ回路からフィードバック信号を受信するように構成されている、前項のいずれか1項に記載の装置。
【0520】
6.ADCサブシステムが、バッテリーの電圧または装置に接続されたバッテリー充電器の電圧の少なくとも1つを示すフィードバック信号を受信するように構成された複数のさらなるADC入力端子を備える、前記の項のいずれか1項に記載の装置。
【0521】
7.前項のいずれか1項に記載の装置であり、マイクロチップがさらに以下を備えるもの:
マイクロチップ内に埋め込まれた温度センサであって、温度センサは、マイクロチップの温度を示す温度信号を生成するように構成され、温度信号は、ADCサブシステムのさらなるADC入力端子によって受信され、温度信号は、ADCによってサンプリングされる。
【0522】
8.ADCサブシステムは、ADCサブシステムによってサンプリングされる各信号とともに複数のADC入力端子で受信された信号をそれぞれ所定回数順次サンプリングするように構成されている前項のいずれか1項の装置。
【0523】
9.前項のいずれか1項に記載の装置であり、マイクロチップがさらに以下を備えるもの:
バッテリの充電を制御するように構成されたバッテリ充電サブシステム。
【0524】
10.前項のいずれか1項に記載の装置であり、DACサブシステムがさらに以下を備えるもの:
デジタルプロセッササブシステムによって生成されたさらなるデジタル制御信号を、電圧レギュレータ回路を制御するためのさらなるアナログ電圧制御信号に変換するように構成されたさらなるデジタル-アナログコンバータ(DAC)。
【0525】
11.前項のいずれか1項に記載の装置であり、装置がさらに以下を備えるもの:
さらなるマイクロチップであって、ここで、さらなるマイクロチップは、相互接続された複数の組み込みコンポーネントおよびサブシステムを含む単一のユニットである:
第1の電源端子
第2の電源端子
第1のスイッチ、第2のスイッチ、第3のスイッチ、および第4のスイッチを内蔵するHブリッジ回路であって、ここで:
第1のスイッチと第3のスイッチが、第1の電源端子と第2の電源端子との間に直列に接続される
第1の出力端子が、第1のスイッチと第3のスイッチとの間に電気的に接続され、第1の出力端子は、超音波変換器の第1の端子に接続される、請求項1に記載の方法
第1の電源端子と第2の電源端子との間に、第2のスイッチと第4のスイッチとが直列に接続される
第2のスイッチと第4のスイッチとの間に第2の出力端子が電気的に接続され、第2の出力端子は超音波変換器の第2の端子に接続されている、請求項1に記載の超音波変換器
パルス幅変調(PWM)信号発生器サブシステムから第1位相出力信号を受信するように構成された第1位相端子
PWM信号発生器サブシステムから第2位相出力信号を受信するように構成された第2位相端子
第1位相出力信号及び第2位相出力信号に基づいてタイミング信号を生成し、タイミング信号を前記Hブリッジ回路のスイッチに出力して、Hブリッジ回路が超音波変換器を駆動するための交流駆動信号を出力するようにスイッチをシーケンスでオン及びオフに制御するように構成されたデジタル状態機械であって、シーケンスが、第1スイッチ及び第2スイッチがオフされ第3スイッチ及び第4スイッチがオンされるフリーフロート期間からなり、超音波変換器によって蓄えられたエネルギーを放散させるためにスイッチをターンさせるもの
【0526】
次のものを内蔵する電流センサ:
第1のスイッチと第1の電源端子との間に直列に接続された第1の電流検出抵抗器
第1の電流検出抵抗の電圧降下を測定し、第1の電流検出抵抗に流れる電流を示す第1の電圧出力を提供するように構成された第1の電圧センサー
第2のスイッチと第1の電源端子との間に直列に接続される第2の電流検出抵抗器
第2の電圧センサーであって、第2の電流センサー抵抗の電圧降下を測定し、第2の電流センサー抵抗に流れる電流を示す第2の電圧出力を提供するように構成された第2の電圧センサー
第1の電圧出力と第2の電圧出力に等しい対地実効電圧を出力するように構成された電流センサ出力端子
実効出力電圧は、第1のスイッチまたは第2のスイッチを流れる実効電流と、第1の出力端子と第2の出力端子との間に接続される超音波変換器を流れる電流とを示す、請求項1に記載の超音波変換器
【0527】
12.Hブリッジ回路は、第1の出力端子と第2の出力端子との間に接続される超音波変換器に22W~50Wの電力を出力するように構成される、第11項に記載の装置。
【0528】
13.第11項または第12項に記載の装置であり、さらにマイクロチップが以下を備えるもの:
さらなるマイクロチップ内に埋め込まれる温度センサであって、温度センサは、さらなるマイクロチップの温度を測定し、温度センサがさらなるマイクロチップが所定の閾値を超える温度であると感知する場合に、さらなるマイクロチップの少なくとも一部を無効にするように構成される、温度センサ
【0529】
14.第11項から第13項のいずれか1項に記載の装置であり、装置がさらに以下を備えるもの:
DAC出力端子からのアナログ電圧出力信号に応答して、バッテリの電圧をブースト電圧に上昇させるように構成されたブーストコンバータ回路であって、ブースト電圧がHブリッジ回路のスイッチの切り替えによって変調されるように、第1の電力供給端子においてブースト電圧を提供するように構成されたブーストコンバータ回路と、を備える。
【0530】
15.電流センサは、フリーフロート期間中に共振回路を流れる電流を感知するように構成され、デジタル状態機械は、フリーフロート期間中に共振回路を流れる電流がゼロであると電流センサが感知したときに第1のスイッチまたは第2のスイッチのいずれかにスイッチを入れるためにタイミング信号を適応するように構成されている、第11項から第1項のいずれかに記載の装置。
【0531】
16.第11項から第15項のいずれか1項に記載の装置で、装置の動作のセットアップ段階の間、さらなるマイクロチップが以下のように構成されるもの:
第1のスイッチおよび第2のスイッチがオフにされ、第3のスイッチおよび第4のスイッチがオンにされたときに、共振回路を流れる電流がゼロになるのにかかる時間の長さを測定し、
フリーフロート期間の時間の長さを、測定された時間の長さと等しくなるように設定する。
【0532】
17.前項のいずれか1項に記載の装置であり、装置がさらに以下を備えるもの:
ドライバ装置を制御するためのプロセッサ
プロセッサによって実行されたとき、ドライバ装置に以下を行わせる命令を格納するメモリ:
A. 超音波変換器にスイープ周波数で交流駆動信号を出力するようにドライバ装置を制御する
B. フィードバック信号に基づいて、超音波変換器によって使用されている有効電力を計算する
C. 超音波変換器によって使用されている有効電力を最大化するために交流駆動信号を変調するようにドライバ装置を制御する
D. 超音波変換器によって使用される最大有効電力と交流駆動信号のスイープ周波数の記録をメモリに保存する
E. 所定の反復回数の後、スイープ周波数がスイープ開始周波数からスイープ終了周波数まで増加または減少するように、各反復でスイープ周波数が増加または減少しながら、ステップA-Dを所定の回数だけ繰り返す
F. メモリに格納された記録から、超音波変換器によって最大の有効電力が使用される交流駆動信号のスイープ周波数である交流駆動信号の最適周波数を特定する
G. ドライバ装置を制御して、最適な周波数で超音波変換器に交流駆動信号を出力し、超音波変換器を駆動して液体を霧化させる。
【0533】
18.第17項に記載の装置であり、前記開始スイープ周波数は2900kHzであり、終了スイープ周波数は3100kHzであるもの。
【0534】
19.前記の項のうちのいずれか1項に記載の装置であり、ドライバ装置がミスト発生装置から分離可能であるように、ドライバ装置がミスト発生装置に解放可能に取り付けられているもの。
【0535】
20.液体が、1:1のモル比(レブリン酸:ニコチン)のレブリン酸ニコチン塩を含む、前項のいずれか1項に記載の装置。
【0536】
21.使用者による吸入のためのミストを生成するためのニコチンデリバリー装置であって、該装置は、以下を備える:
【0537】
以下のものを備える、ミスト発生装置:
超音波処理チャンバ
霧化される液体を含む液体チャンバ
液体チャンバと前記超音波処理チャンバとの間に延在する毛細管要素
超音波変換器であって、毛管要素によって液体チャンバから超音波処理チャンバに運ばれる液体を霧化するために振動するように構成され、霧化された液体と空気から成るミストを超音波処理チャンバ内に生成するもの
ミスト出口ポートを描画する使用者が超音波処理チャンバからミストを吸入するように、超音波処理チャンバと流体連通しているミスト出口ポートと、ここで、ミスト吸入器は、さらに以下のものを含んでいるもの:
次のものを内蔵するドライバ装置:
バッテリー
バッテリからの電圧を交流駆動信号に変換して超音波変換器を駆動する交流ドライバ。
超音波変換器が交流駆動信号によって駆動されるときに、超音波変換器によって使用される有効電力を監視するための有効電力モニタであって、有効電力モニタが、超音波変換器を駆動する交流駆動信号の駆動電流を感知するための電流センサを含み、有効電力モニタ配置が、感知された駆動電流を示す監視信号を提供する、有効電力モニタ配置
交流駆動を制御し、アクティブパワーモニタから監視信号を受信するためのプロセッサ
プロセッサによって実行されたとき、プロセッサに以下を行わせる命令を格納するメモリ:
ミスト発生装置を第1の所定の時間だけ作動させることであって、ミスト発生装置を作動させることは、超音波変換器が毛細管要素によって運ばれる液体を霧化するように、交流駆動信号でミスト発生装置内の超音波変換器を駆動することを含む、ステップ
電流センサを使用して、超音波変換器を流れる交流駆動信号の電流を第1の所定時間の間に周期的に感知し、周期的に測定された電流値をメモリに保存する
メモリに格納された電流値を使用して有効性値を計算し、有効性値は液体を霧化する際の超音波変換器の動作の有効性を
示す
有効性値に応答して、第2の所定の時間の長さを選択するステップ
ミスト発生装置が第2の所定時間の間に所定量のミストを発生させるように、第2の所定時間の間、ミスト発生装置を作動させる、請求項1に記載の方法。
【0538】
22.メモリが、プロセッサによって実行されたときに、プロセッサに以下を行わせる命令を格納する、第21項に記載の装置:
超音波変換器を駆動する交流駆動信号の周波数を第1の所定の長さの時間の間に周期的に測定し、周期的に測定された周波数値をメモリに記憶するステップ
メモリに格納された周波数値を用いて、有効性値を算出する
23.メモリが、プロセッサによって実行されたときに、プロセッサにこの式を使用して有効性値を計算させる命令を格納する、第22項に記載の装置:
【0539】
【0540】
24.メモリが、プロセッサによって実行されたときに、プロセッサに以下を行わせる命令を格納する、第23項に記載の装置:
超音波変換器を駆動する交流駆動信号のデューティサイクルを第1の所定の長さの時間の間に周期的に測定し、周期的に測定されたデューティサイクル値をメモリに記憶する
メモリに格納された現在の値に基づいて、アナログ・デジタル変換器副効果値QAを修正する。
【0541】
25.メモリが、プロセッサによって実行されたときに、プロセッサに以下を行わせる命令を記憶する、第23項または第24項に記載の装置:
ミスト発生装置に電力を供給しているバッテリの電圧を第1の所定の時間の間に周期的に測定し、周期的に測定されたバッテリ電圧値をメモリに記憶させるステップ
メモリに格納されたバッテリ電圧値に基づいて、アナログからデジタルへのコンバータのサブ有効性値QAを修正する。
【0542】
26.前項のいずれか1項の装置であって、メモリはがプロセッサによって実行されると、プロセッサに以下のことをさせる命令を記憶する:
第1の所定の長さの時間の間、超音波変換器が最適に動作していた場合に発生するであろうミストの最大量の値を計算するステップ
効果値に基づいてミストの最大量の値を比例的に減少させて第1の所定時間の間に発生した実際のミスト量を求める実ミスト量値を算出する。
【0543】
27.メモリが、プロセッサによって実行されたときに、プロセッサに以下を行わせる命令を格納する、第26項に記載の装置:
第1の所定時間の間に発生した実際のミスト量に含まれるニコチン量を示すニコチン量値を算出する
ニコチン量の値をメモリに保存する。
【0544】
28.メモリが、プロセッサによって実行されたときに、プロセッサに以下を行わせる命令を格納する、第27項に記載の装置:
複数の所定の時間の長さの間、ミスト発生装置を作動させる
複数のニコチン量値をメモリに記憶し、各ニコチン量値は、予め定められた時間のそれぞれの長さの期間にわたって生成されたミスト中のニコチン量を示す
所定の長さの時間の持続期間にわたって生成されたミスト中のニコチンの総量が所定の閾値以上である場合、所定の持続期間にわたってミスト発生装置のさらなる起動を阻止する
【0545】
29.第28項の装置であり、所定の持続時間が1時間から24時間の範囲内である。
【0546】
30.メモリが、プロセッサによって実行されたときに、プロセッサに以下を行わせる命令を記憶する、第28項または第29項に記載の装置:
ニコチン量値を示すデータをミスト発生装置からコンピューティング装置に送信し、コンピューティング装置のメモリに記憶させる
【0547】
31.使用者による吸入のためのミストを生成する方法であり、以下を備える:
ミスト発生装置を第1の所定時間の間作動させることであって、ミスト発生装置を作動させることは、超音波変換器が振動して液体を霧化し、霧化した液体と空気とを含むミストを生成するように、交流駆動信号でミスト発生装置内の超音波変換器を駆動することを含む
超音波変換器を流れる交流駆動信号の電流を第1の所定時間の間に定期的に測定し、定期的に測定した電流値をメモリに記憶する
メモリに記憶された電流値を用いて効果値を計算し、効果値は、液体を霧化する際の超音波変換器の動作の有効性を示す
有効性値に応答して、第2の所定の時間の長さを選択するステップ
ミスト発生装置が第2の所定時間の間に所定量のミストを発生させるように、ミスト発生装置を第2の所定時間の間作動させる
【0548】
32.第31項に記載の方法であり、以下を備えるもの:
超音波変換器を駆動する交流駆動信号の周波数を第1の所定の長さの時間の間に周期的に測定し、周期的に測定された周波数値をメモリに記憶する
メモリに格納された周波数値を用いて、有効性値を算出する
【0549】
33.第32項に記載の方法であり、この式を用いて有効性値を計算することを含むもの:
【0550】
【0551】
34.第33項に記載の方法であり、以下を備えるもの:
超音波変換器を駆動する交流駆動信号のデューティサイクルを第1の所定の長さの時間の間に周期的に測定し、周期的に測定されたデューティサイクル値をメモリに記憶する
メモリに格納された現在の値に基づいて、アナログからデジタルへの変換器(「ADC」)の副効果値QAを修正する。
【0552】
35.第33項もしくは第34項に記載の方法であり、以下を備えるもの:
ミスト発生装置に電力を供給しているバッテリの電圧を第1の所定の時間の間に周期的に測定し、周期的に測定されたバッテリ電圧値をメモリに記憶させる
メモリに格納されたバッテリ電圧値に基づいて、アナログからデジタルへの変換器(「ADC」)のサブ有効性値QAを修正する。
【0553】
36.第31項から第35項のいずれか1項に記載の方法であり、さらに以下を備えるもの:
第1の所定の長さの時間の間、超音波変換器が最適に動作していた場合に発生するであろうミストの最大量の値を計算する
効果値に基づいてミストの最大量の値を比例的に減少させて、第1の所定時間の間に発生した実際のミスト量を求める実ミスト量値を算出する。
【0554】
37.第36項に記載の方法であり、以下を備えるもの:
第1の所定時間の間に発生した実際のミスト量に含まれるニコチン量を示すニコチン量値を算出する
ニコチン量の値をメモリに保存する。
【0555】
38.第37項に記載の方法であり、以下を備えるもの:
複数の所定の時間の長さの間、ミスト発生装置を作動させる
複数のニコチン量値をメモリに記憶し、各ニコチン量値は、予め定められた時間のそれぞれの長さの期間にわたって生成されたミスト中のニコチン量を示す
所定の長さの時間の持続期間にわたって生成されたミスト中のニコチンの総量が所定の閾値以上である場合、所定の持続期間にわたってミスト発生装置のさらなる起動を阻止する
【0556】
39.第38項の方法であり、所定の持続時間が1時間から24時間の範囲内であるもの。
【0557】
40.第38項もしくは第39項に記載の方法であり、以下を備えるもの:
ニコチン量値を示すデータをミスト発生装置からコンピューティング装置に送信し、コンピューティング装置のメモリに記憶させる