(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023006093
(43)【公開日】2023-01-18
(54)【発明の名称】スパチュラ、ケース、及びスパチュラ付きセット
(51)【国際特許分類】
A45D 34/04 20060101AFI20230111BHJP
A45D 40/18 20060101ALI20230111BHJP
A45C 11/00 20060101ALI20230111BHJP
【FI】
A45D34/04 510Z
A45D40/18 Z
A45C11/00 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021108493
(22)【出願日】2021-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】000001959
【氏名又は名称】株式会社 資生堂
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】寺西 亮士
【テーマコード(参考)】
3B045
【Fターム(参考)】
3B045BA11
3B045CE07
(57)【要約】
【課題】1つで2種類の塗布物に対して使い分けることができるスパチュラを提供する。
【解決手段】本発明に係る一態様のスパチュラは、把持部と、前記把持部の一方側に延設された第1の塗布部と、前記把持部の他方側に延設された第2の塗布部とを有し、前記第1の塗布部側に、第1の識別部を設け、前記第2の塗布部側に、第2の識別部を設けている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
把持部と、
前記把持部の一方側に延設された第1の塗布部と、
前記把持部の他方側に延設された第2の塗布部とを有し、
前記第1の塗布部側に、第1の識別部を設け、前記第2の塗布部側に、第2の識別部を設けた、スパチュラ。
【請求項2】
前記第1の識別部及び前記第2の識別部は、突起を有し、
前記第1の識別部と前記第2の識別部とは、前記突起の数及び形状の少なくともいずれかが異なる、請求項1に記載のスパチュラ。
【請求項3】
前記突起は、リング状の形状を有する、請求項2に記載のスパチュラ。
【請求項4】
前記第1の識別部及び前記第2の識別部は、凹部を有し、
前記第1の識別部と前記第2の識別部とは、前記凹部の数及び形状の少なくともいずれかが異なる、請求項1に記載のスパチュラ。
【請求項5】
前記第1の識別部と前記第2の識別部とは、色相、彩度、及び明度の少なくとも1つが異なる、請求項1に記載のスパチュラ。
【請求項6】
前記第1の識別部と前記第2の識別部とは、文字又は記号が異なる、請求項1に記載のスパチュラ。
【請求項7】
前記第1の塗布部及び前記第2の塗布部は、前記把持部に対して湾曲している、請求項1から6のいずれか一項に記載のスパチュラ。
【請求項8】
前記第1の塗布部及び前記第2の塗布部は、前記把持部に対して同じ方向に湾曲している、請求項7に記載のスパチュラ。
【請求項9】
前記把持部の一部に平坦面が形成されている、請求項1から8のずれか一項に記載のスパチュラ。
【請求項10】
化粧料塗布用のスパチュラである、請求項1から9のいずれか一項に記載のスパチュラ。
【請求項11】
塗布物を収容する容器を少なくとも2つ保持可能な凹部と、
請求項1から10のいずれか一項に記載のスパチュラを保持可能な溝部とを有する、ケース。
【請求項12】
請求項1から10のいずれか一項に記載のスパチュラと、
請求項11に記載のケースと、
塗布物を収容する少なくとも2つの容器とを有する、スパチュラ付きセット。
【請求項13】
前記スパチュラが前記溝部に保持された状態で、前記第1の塗布部及び前記第2の塗布部が前記ケースから離隔している、請求項12に記載のスパチュラ付きセット。
【請求項14】
前記塗布物は、化粧料である、請求項12又は13に記載のスパチュラ付きセット。
【請求項15】
前記容器を覆う、前記ケースと同じ形状の他のケースを有する、請求項12から14のいずれか一項に記載のスパチュラ付きセット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スパチュラ、ケース、及びスパチュラ付きセットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、クリーム等の化粧料(塗布物)と共に、化粧料を適量取って塗布するためのスパチュラ等の塗布具が、化粧料容器、又は化粧料容器を収容する箱等の包装容器に収納されて販売されている。従来のスパチュラは、ヘラ状、又はスプーン状の形状を有し、長手方向の一端側に化粧料を掬う面が形成され、他端側に把持部が設けられている。
【0003】
例えば、特許文献1では、化粧料容器の中蓋の上面に設けられた収納凹所に収納される、薄いヘラ状の化粧用具が開示されている。また、容器本体の化粧料収納部は、クリームとファンデーション、異なる色の2色のファンデーション等、2種類の化粧料を収納するように縦断する仕切壁によって2つの化粧料収納部に区画形成された2剤収納容器になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示された構成において、化粧用具の長手方向の一端側を指で把持し、他端側で化粧料を取って塗布する。しかしながら、化粧料収納部に、クリームとファンデーションが収納されている場合、化粧用具でクリームを取った後、クリームが付着した化粧用具でファンデーションを取ることになり、クリームがファンデーションに混入する可能性がある。又は、クリームを取った後、化粧料用具に付着したクリームを拭き取ってから、ファンデーションを取ることになり、利便性に欠ける点がある。
【0006】
本発明の一態様は、1つで2種類の塗布物に対して使い分けることができるスパチュラを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る一態様のスパチュラは、把持部と、前記把持部の一方側に延設された第1の塗布部と、前記把持部の他方側に延設された第2の塗布部とを有し、前記第1の塗布部側に、第1の識別部を設け、前記第2の塗布部側に、第2の識別部を設けている。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る一態様のスパチュラは、1つで2種類の塗布物に対して使い分けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】一実施形態によるスパチュラの正面図である。
【
図2】一実施形態によるスパチュラの平面図である。
【
図3】一実施形態によるスパチュラの底面図である。
【
図4】一実施形態によるスパチュラの右側面図である。
【
図5】一実施形態によるスパチュラの左側面図である。
【
図6】一実施形態によるスパチュラの背面図である。
【
図8】一実施形態によるスパチュラの第1変形例の正面図である。
【
図9】一実施形態によるスパチュラの第2変形例の正面図である。
【
図10】一実施形態によるスパチュラの第3変形例の正面図である。
【
図11】一実施形態によるスパチュラの第4変形例の正面図である。
【
図12】一実施形態によるスパチュラを載置可能なケースの斜視図である。
【
図13】一実施形態によるスパチュラ、スパチュラを載置可能なケース、及び容器のスパチュラ付きセットの使用状態を示す斜視図である。
【
図14】一実施形態によるスパチュラ、スパチュラを載置可能なケース、及び容器のスパチュラ付きセットに蓋を被せた状態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しながら説明する。なお、説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては同一の符号を付して、重複する説明は省略する場合がある。また、図面における各部材の縮尺は実際とは異なる場合がある。
図1~
図11では、3軸方向(X軸方向、Y軸方向、Z軸方向)の3次元直交座標系を用い、スパチュラの長手方向をX軸方向とし、厚さ方向をY軸方向とし、短手方向をZ軸方向とする。なお、この3軸方向は便宜的なものであり、例えば
図1においてはZ軸のプラス方向を上方向としマイナス方向を下方向として、
図2を平面図、
図3を底面図としているが、上下方向を逆にして、
図2を底面図、
図3を平面図として扱ってもよい。
【0011】
本発明の一実施形態によるスパチュラについて説明する。
図1は、一実施形態によるスパチュラの正面図であり、
図2は、一実施形態によるスパチュラの平面図であり、
図3は、一実施形態によるスパチュラの底面図であり、
図4は、一実施形態によるスパチュラの右側面図であり、
図5は、一実施形態によるスパチュラの左側面図であり、
図6は、一実施形態によるスパチュラの背面図である。
図7は、
図2のI-I断面を示す図である。
【0012】
スパチュラ1は、化粧料等の塗布物を塗布するための器具である。以下、塗布物が化粧料であり、スパチュラ1が化粧料塗布用のスパチュラである場合について説明する。スパチュラ1は、具体的には、例えば、化粧料が広口の容器に収容されている場合は、化粧料を掬って肌(被塗布面)に塗布することができ、化粧料がチューブ状の容器に収容されている場合は、化粧料をチューブから絞り出してスパチュラに載せて肌に塗布することができる。スパチュラ1は、
図1~
図6に示すように、把持部11と、把持部11の長手方向(X軸方向)の一方側に延設された第1の塗布部12と、把持部11の長手方向の他方側に延設された第2の塗布部13とを有する。また、第1の塗布部12側に、第1の識別部14を設け、第2の塗布部13側に、第2の識別部15を設けている。
【0013】
把持部11は、使用者が把持する部分であり、細長い棒状の形状を有しており、底面(下側の面)は、X-Y平面に平行な平坦面16を有することが好ましい。把持部11の断面の形状は、
図7に示すように、平坦面16と、厚み方向(Y軸方向)両側において外方に膨出した膨出部18、18とを有する。なお、
図7では、突起17及び第1の塗布部12は省略されている。さらに、膨出部18、18から、短手方向(Z軸方向)における平坦面16と反対側に向かって、徐々に厚みが小さくなり、短手方向における平坦面16と反対側の端部に、丸みを帯びた先端部19を有する。換言すると、把持部11の断面の形状は、角に丸みを有する略五角形である。把持部11は、膨出部18、18を有するため、使用者が膨出部18、18を指で把持しやすい。また、把持部11は、平坦面16を有するため、把持した指の中で把持部11が回転することを抑制し、使用者は膨出部18、18を把持した状態を維持することができ、きめの細かい塗布ができる。特に、例えば、目袋等の顔の狭い領域に対しても、使用者はスパチュラ1により、きめの細かい塗布ができる。なお、平坦面16を下にした状態で化粧台やテーブル面に一時的に載置することも可能である。
【0014】
第1の塗布部12及び第2塗布部13は、化粧料を塗布する機能を有すると共に、例えば、化粧料が広口の容器に収容されている場合は、化粧料を掬う機能を有し、化粧料がチューブ状の容器に収容されている場合は、化粧料を載せて保持する機能を有する。スパチュラ1は、2つの塗布部(第1の塗布部12及び第2塗布部13)を有するため、1つのスパチュラ1で2種類の化粧料(塗布物)に対して使い分けることができる。
【0015】
第1の塗布部12及び第2塗布部13は、
図1に示すように、正面視形状において、長手方向の端縁が円弧状であり、
図2~
図5に示すように、厚みが長手方向両端に向かって小さくなる扁平形状を有する。この構造により、第1の塗布部12及び第2塗布部13で、化粧料を掬いやすく、また、第1の塗布部12及び第2塗布部13上に化粧料を保持することができる。さらに、化粧料を肌に塗布する際、化粧料を肌の上で薄く均一に伸ばすことができ、きめの細かい塗布ができる。化粧料を所望の領域以外に誤って塗布した場合は、化粧料を拭き取った第1の塗布部12又は第2の塗布部13を肌に当てた状態で動かすことで、不要な化粧料を取り除くことができる。なお、
図1~
図6に示す例では、第1の塗布部12と第2の塗布部13は、勝手違いの形状(中心線10に対して対称)であるが、異なる形状であってもよい。
【0016】
第1の識別部14及び第2の識別部15は、第1の塗布部12と第2塗布部13とを識別する機能を有する。第1の識別部14は、スパチュラ1の中心線10に対して第1の塗布部12側(長手方向の一方側)の任意の位置に設けることができ、第2の識別部15は、スパチュラ1の中心線10に対して第2の塗布部13側(長手方向の他方側)の任意の位置に設けることができる。この構成により、使用者は、第1の塗布部12と第2の塗布部13を識別することができ、2種類の化粧料に対して、第1の塗布部12と第2の塗布部13とを混同することなく使い分けることができる。なお、中心線10は中央部分を示す便宜的なものであり、必ずしもスパチュラ1の重心又は図心を通る線を意味するものではない。
【0017】
第1の識別部14及び第2の識別部15は、リング状の形状を有する突起17を有していることが好ましく、例えば、第1の識別部14は、1つの突起17を有し、第2の識別部15は、2つの突起17、17を有している。この構成により、使用者が視覚と触覚の両方で、第1の塗布部12と第2塗布部13とを識別することができ、2種類の化粧料に対して、第1の塗布部12と第2の塗布部13とをより確実に使い分けることができる。突起の形状は、リング状に限らず任意の形状であってよく、突起の数は、第1の識別部14と第2の識別部15とで異なっていれば、任意の数であってよい。例えば、
図8に示すように、正面視形状が円形の突起171を、スパチュラ1を周回するように複数設けてもよい。また、第1の識別部14と第2の識別部15とは、突起17の形状が異なっていてもよく、例えば、第1識別部14は、リング状の形状を有する突起17とし、第2識別部15は、正面視形状が円形の突起171を、スパチュラ1を周回するように複数設けた構成としてもよい。さらに、第1の識別部14と第2の識別部15とは、突起17の形状と数の両方が異なっていてもよい。つまり、第1の識別部14と第2の識別部15とは、突起17の数及び形状の少なくともいずれかが異なっていることが好ましい。
【0018】
第1の識別部14及び前記第2の識別部15は、凹部を有していてもよく、例えば、第1の識別部14は、1つの凹部を有し、第2の識別部15は、2つの凹部を有していてもよい。凹部の形状は、任意の形状であってよく、凹部の数は、第1の識別部14と第2の識別部15とで異なっていれば、任意の数であってよい。また、第1の識別部14と第2の識別部15とは、凹部の形状が異なっていてもよい。第1の識別部14と第2の識別部15とは、凹部の形状と数の両方が異なっていてもよい。つまり、第1の識別部14と第2の識別部15とは、凹部の数及び形状の少なくともいずれかが異なっていてもよい。さらに、第1の識別部14を突起とし、第2の識別部15を凹部としてもよい。
【0019】
第1の識別部14と第2の識別部15とは、色相、彩度、及び明度の少なくとも1つが異なっていてもよい。例えば、
図9に示すように、第1の識別部14を第1の色172、第2の識別部を第2の色173としてもよい。なお、第1識別部14と第2識別部15とを異なる色で形成する場合は、例えば、化粧料容器の色と同じ色とし、化粧料容器の色と同じ色を有する塗布部を使用するようにしてもよい。
【0020】
また、第1の識別部14と第2の識別部15とは、文字又は記号が異なっていてもよく、第1の識別部14と第2の識別部15のいずれか一方に、文字又記号を有していてもよい。例えば、
図10に示すように、第1の識別部14のみが、矢印の記号を有していてもよい。なお、文字又は記号は、スパチュラ1に直接記載してもよく、刻印であってもよく、文字又は記号を記したシール等を貼り付けてもよい。また、第1の識別部14と第2の識別部15とで、異なる種類の識別部を組み合わせて構成してもよく、例えば第1の識別部14として、1つの突起17と第1の色172とを組み合わせた構成とし、第2の識別部15として、2つの突起17、17と第2の色173とを組み合わせた構成としてもよい。
【0021】
スパチュラ1の形状は、第1の塗布部12及び第2の塗布部13が把持部11に対して湾曲していることが好ましい。スパチュラ1の形状は、
図1に示すように、第1の塗布部12及び第2の塗布部13が把持部11に対して、同じ方向に湾曲し、正面視形状が略U字の形状を有していることがより好ましい。この構成により、把持部11を把持した状態で、第1の塗布部12又は第2の塗布部13を上方に向けることができるので、被塗布面に塗布する際に、手首や肘を傾ける必要なく、体に負担の少ない姿勢で容易に塗布することができる。特に、化粧料を例えば目袋等の狭い領域に塗布する際に、手首や肘を傾ける必要なく、体に負担の少ない姿勢で容易に塗布することができる。
【0022】
また、第1の塗布部12及び第2の塗布部13が把持部11に対して、同じ方向に湾曲していることにより、一方の塗布部を使用する際に他方の塗布部が手に触れることを防止できる。さらに、スパチュラ1を後述するケース2に載置する際、安定して載置することができる。なお、スパチュラ1の形状は、
図11に示すように、第1の塗布部12及び第2の塗布部13が把持部11に対して、異なる方向に湾曲し、正面視形状が略S字の形状を有していてもよい。
【0023】
スパチュラ1を構成する材料は、特に限定されないが、樹脂材料、金属材料、木製品等が挙げられる。樹脂材料としては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ塩化ビニル(PVC)、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、又はシリコン樹脂等を用いることができる。これらの樹脂は、1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
【0024】
金属材料としては、鉄、アルミニウム、チタン、スズ、銀、銅、及びそれらの合金(ステンレススチール、青銅、黄銅等)が挙げられる。木製品としては、木材、紙細工等が挙げられる。
【0025】
樹脂材料で構成されたスパチュラ1の製造方法は、特に限定されないが、例えば、射出成形、圧縮成形、切削加工等が挙げられる。このうち、射出成形が好ましく、射出成形の場合は、平坦面16にゲートを設けることで、型内への樹脂の充填が均一かつ速やかに行うことができ、また、ゲート跡も底面になるので見栄えもよくすることができる。
【0026】
金属材料で構成されたスパチュラ1の製造方法は、特に限定されないが、例えば、注型、ダイカスト、インベストメント鋳造、切削加工等が挙げられる。木製品で構成されたスパチュラ1の製造方法は、木材からの切削加工、パルプを用いた成形加工等が挙げられる。
【0027】
スパチュラ1の長手方向の長さは、特に限定されないが、60mm~90mmとすることができ、好ましくは、65mm~85mmである。また、スパチュラ1の短手方向の長さは、特に限定されないが、5mm~35mmとすることができ、好ましくは、10mm~20mmである。把持部11のI-I断面における厚みは、特に限定されないが、1mm~10mmとすることができ、好ましくは、2mm~4mmである。把持部11のI-I断面における高さ(Z軸方向の長さ)は、特に限定されないが、1mm~10mmとすることができ、好ましくは、2mm~4mmである。第1の塗布部12及び第2の塗布部13の正面視形状における幅は、特に限定されないが、2mm~10mmとすることができ、好ましくは、4mm~6mmである。なお、上述の各部の長さは、各部における長さの最大値とする。また、第1の塗布部12及び第2の塗布部13の最も薄い部分の厚みは、特に限定されないが、0.1mm~2.0mmとすることができ、好ましくは、0.5mm~1.5mmである。
【0028】
図12は、一実施形態によるスパチュラを載置可能なケースの斜視図である。
図13は、一実施形態によるスパチュラ、スパチュラを載置可能なケース、及び容器のスパチュラ付きセットの使用状態を示す斜視図であり、スパチュラがケース上に載置されて使用される状態の一例である。
図14は、一実施形態によるスパチュラ(図示なし)、スパチュラを載置可能なケース、及び容器のスパチュラ付きセットに蓋を被せた状態の斜視図である。ただし、
図14に示す例では、スパチュラは、当該セットでスパチュラを収納可能な任意の空間内に保持される。
図12~
図14では、3軸方向(X軸方向、Y軸方向、Z軸方向)の3次元直交座標系を用い、ケースの幅方向をX軸方向とし、奥行き方向をY軸方向とし、高さ方向をZ軸方向とする。
【0029】
スパチュラ1を載置可能なケース2について説明する。
図12に示すように、ケース2は、天面21と、側面22とを有し、天面21は、化粧料を収容する容器を2つ保持可能な2つの凹部(容器用凹部)23、23と、スパチュラ1を保持可能な溝部24とを有する。本実施形態では、容器用凹部23を2つ設けている例を示すが、例えば、容器用凹部23を1つ設け、容器用凹部23の底面に仕切りを設けて、容器を2つ保持できるように構成してもよい。なお、容器用凹部23の数は、2つに限られず、容器を少なくとも2つ収容可能であればよく、容器の数に合わせて任意の数とすることができる。
【0030】
容器用凹部23の形状は、平面視形状が円形に限らず、多角形であってもよく、容器の形状に合わせて任意の形状とすることができる。また、ケース2は、容器用凹部23の他に、例えば、化粧料と共に使用される紙製品等を収納する箱を収容する箱用凹部27を有していてもよい。
【0031】
ケース2は、外方に突出した凸部25と、凸部25よりも奥行き方向(Y軸方向)に窪んだ凹部26とを有し、凸部25の天面21に溝部24が直線状に設けられている。天面21側から見たとき、溝部24の一端は、凸部25と凹部26の間に位置している。この構成により、溝部24にスパチュラ1を載置したとき、第1の塗布部12及び第2の塗布部13がケース2の側面22に触れることがない。換言すると、スパチュラ1は、溝部24に保持された状態で、第1の塗布部12及び第2の塗布部13がケース2から離隔している。よって、スパチュラ1を衛生的に保つことができる。
【0032】
ケース2は、スパチュラ1の置き場所を提供することができるため、第1の塗布部12及び第2の塗布部13が、机等、他の場所に触れることがなく、他の場所が汚れることを防止できる。また、スパチュラ1を専用のケース2に載置することで、スパチュラ1を紛失することを防止できる。さらに、ケース2によって、スパチュラ1と容器3を一緒に移動させることができる。
【0033】
ケース2を構成する材料は、特に限定されないが、樹脂材料、木製品等が挙げられる。樹脂材料としては、スパチュラ1と同様に、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ塩化ビニル(PVC)、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、又はシリコン樹脂等を用いることができる。これらの樹脂は、1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。木製品としては、木材、紙細工等が挙げられる。ケース2を構成する材料として、紙細工を用いることにより、環境に配慮したケース2とすることができる。また、ケース2の製造方法としては、射出成形の他、加熱した樹脂製のシート又は紙製のシートをプレス成形する方法が挙げられる。
【0034】
次に、スパチュラ1、スパチュラ1を載置可能なケース2、及び容器3のスパチュラ付きセット100について説明する。
図13に示すように、スパチュラ付きセット100は、スパチュラ1と、ケース2と、化粧料を収容する2つの容器3を有する。2つの容器3には、異なる化粧料を収容することができる。本実施形態では、容器3が2つである例を示すが、容器3の数は、2つ以上であればよく、任意の数とすることできる。また、容器の形状は、円筒状に限らず、任意の形状とすることができる。
【0035】
例えば、スパチュラ付きセット100が4つの容器3を有する場合は、容器3を収納する容器用凹部23を4つとし、スパチュラ1を2つとすると共に、スパチュラ1を載置する溝部24を2つとすることができる。この場合、識別部は、各スパチュラ1に2種類ずつ、合計4種類(例えば、リング状の突起を1本、2本、3本、4本)とすることができる。
【0036】
化粧料は、特に限定されないが、例えば、乳液、フェイスクリーム、美容液、ファンデーション、化粧下地、コンシーラー等であってよい。
【0037】
スパチュラ付きセット100は、
図14に示すように、容器3を覆う他のケース4を有していてもよい。他のケース4は、スパチュラ付きセット100の蓋である。他のケース4は、容器3を保持するケース2と同じ形状を有している。蓋の役割をする他のケース4を、容器3を保持するケース2と同じ形状とすることにより、ケース2及び蓋(他のケース)4の製造コストの低減を図ることができる。また、ケース2の一部が破損又は汚れが発生した場合は、ケース2と他のケース4とを交換して使用することも可能となる。
【0038】
本実施形態では、塗布物が化粧料の場合について説明したが、塗布物は、被塗布面に塗布可能であれば特に限定されない。塗布物は、液状物、例えば純物質の液体又は液体混合物であってもよい。さらに、塗布物は、例えば、溶液、及びエマルジョン、サスペンション等の分散液等であってもよく、ゲル、スラリー、ペースト、クリーム等と呼ばれる状態のものであってよい。塗布物は、粉体を含んでいてよいし、粉体を主として含む、又は粉体から実質的になる若しくは粉体からなっていてもよい。塗布物は、食品、接着剤等であってもよい。また、本実施形態では、スパチュラ1が、化粧料塗布用のスパチュラである場合について説明したが、スパチュラ1は、任意の塗布物に対して適用可能である。
【0039】
以上の通り、実施形態を説明したが、上記実施形態は、例として提示したものであり、上記実施形態により本発明が限定されるものではない。上記実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の組み合わせ、省略、置き換え、変更などを行うことが可能である。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0040】
1 スパチュラ
10 中心線
11 把持部
12 第1の塗布部
13 第2の塗布部
14 第1の識別部
15 第2の識別部
16 平坦面
17、171 突起
172 第1の色
173 第2の色
174 記号
18 膨出部
19 先端部
2 ケース
21 天面
22 側面
23 容器用凹部
24 溝部
25 凸部
26 凹部
27 箱用凹部
3 容器
4 他のケース(蓋)
100 スパチュラ付きセット