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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023060937
(43)【公開日】2023-05-01
(54)【発明の名称】レールガス圧接機
(51)【国際特許分類】
   B23K 20/00 20060101AFI20230424BHJP
   E01B 11/48 20060101ALI20230424BHJP
   B23K 101/26 20060101ALN20230424BHJP
【FI】
B23K20/00 330C
E01B11/48
B23K20/00 330A
B23K101:26
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021170627
(22)【出願日】2021-10-19
(71)【出願人】
【識別番号】000153720
【氏名又は名称】株式会社白山
(74)【代理人】
【識別番号】100081271
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 芳春
(72)【発明者】
【氏名】稲川 康二
(72)【発明者】
【氏名】本間 真司
(72)【発明者】
【氏名】山下 英樹
【テーマコード(参考)】
4E167
【Fターム(参考)】
4E167BB07
4E167BB08
4E167BB10
4E167DB03
(57)【要約】      (修正有)
【課題】小型の圧接機であっても、追従移動機構が横方向にはみ出すことのない、作業性の良好なレールガス圧接機を提供する。
【解決手段】レールガス圧接機は、圧接すべき1対のレール10にそれぞれ取付け固定される固定フレーム11及び移動フレーム12と、加熱バーナー13と、レール10の長手方向における固定フレーム11の外側に設けられており、レール10の圧縮移動量に追従して加熱バーナー13を移動させる圧縮移動量追従機構15とを備えている。圧縮移動量追従機構15は、固定位置に設けられた軸の回りを水平方向に回動可能な回動アーム18を備えており、この回動アーム18は移動フレーム12に連結された連結位置と上述した軸の位置の中央位置で加熱バーナー13に連結されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧接すべき1対のレールにそれぞれ取付け固定される固定フレーム及び移動フレームと、加熱バーナーと、前記レールの長手方向における前記固定フレームの外側に設けられており、該レールの圧縮移動量に追従して前記加熱バーナーを移動させる圧縮移動量追従機構とを備え、前記圧縮移動量追従機構は、固定位置に設けられた軸の回りを水平方向に回動可能な回動アームを備えており、該回動アームは前記移動フレームに連結された連結位置と前記軸の位置との中央位置で前記加熱バーナーに連結されていることを特徴とするレールガス圧接機。
【請求項2】
前記回動アームの一端部の位置に前記軸が設けられており、前記回動アームの他端部の位置に前記連結部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のレールガス圧接機。
【請求項3】
前記連結部は、前記移動フレームに連結され該移動フレームの移動に連動する第1の突起と、前記回動アームに設けられ前記第1の突起が挿入される第1の長孔とを備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載のレールガス圧接機。
【請求項4】
前記加熱バーナーに連結されており、該加熱バーナーを手動で揺動可能とする操作ロッドをさらに備えていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のレールガス圧接機。
【請求項5】
前記圧縮移動量追従機構は、前記加熱バーナーの揺動幅を規定する揺動幅規定機構と、前記加熱バーナーの揺動を禁止する揺動禁止機構とを備えていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のレールガス圧接機。
【請求項6】
前記揺動幅規定機構と前記揺動禁止機構とは、一方のみが動作するように切替え可能に構成されていることを特徴とする請求項5に記載のレールガス圧接機。
【請求項7】
前記揺動幅規定機構は、前記加熱バーナーの移動に連動する第2の突起と、前記回動アームに設けられ前記第2の突起が挿入される第2の長孔とを備えており、該第2の長孔内における前記第2の突起の横方向の移動可能幅によって前記揺動幅を規定するように構成されていることを特徴とする請求項5又は6に記載のレールガス圧接機。
【請求項8】
前記揺動禁止機構は、前記加熱バーナーの移動に連動する第2の突起と、前記回動アームに設けられ前記第2の突起が挿入されるスリットとを備えており、該スリットにより前記第2の突起が移動できないように構成されていることを特徴とする請求項5から7のいずれか1項に記載のレールガス圧接機。
【請求項9】
前記圧縮移動量追従機構は、前記移動フレームを圧縮進行方向と逆方向に押圧するばね部材を備えており、該ばね部材により、前記移動フレームの前記圧縮進行方向への移動の遊びを抑制するように構成されていることを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載のレールガス圧接機。
【請求項10】
前記移動フレームと前記圧縮移動量追従機構とを必要時のみ連結可能であり、不要時には連結解除可能なストッパ機構をさらに備えていることを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載のレールガス圧接機。
【請求項11】
前記圧縮移動量追従機構の前記回動アームは、当該レールガス圧接機に対して着脱可能に構成されていることを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載のレールガス圧接機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄道用レールをガス圧接するためのレールガス圧接機、特にレールベースクランプ式レールガス圧接機に好適なレールガス圧接機に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄道用レールを溶接する主要な方法として、ガス圧接法が用いられる。ガス圧接法は、突き合せたレール端部を酸素-アセチレン炎により加熱を行いながら加圧して溶接する方法である。このガス圧接法においては、加熱工程で、レール表面の溶融及び溶融滴下によるバーナーの逆火が生じるため、これらを回避すべくバーナー揺動操作が行われる。
【0003】
また、レールの圧縮進行に伴って圧接界面が移動するので、バーナーを圧縮移動量に追従させ、常に圧接界面を中心として加熱することにより、良好な継手品質の確保が図られる。
【0004】
従来のガス圧接作業には、特に定まった作業手順は存在せず、作業者が経験と勘に基づく独自の判断で、手動により、バーナーの揺動操作及びバーナーの移動圧縮量への追従操作を行っていた。このため、揺動操作及び追従操作のやり方によっては継手品質にばらつきが発生し、場合によっては溶接欠陥の発生に至るおそれがあった。
【0005】
特許文献1に記載された加熱バーナー揺動装置は、加熱バーナーを自動的に揺動させる揺動機能を設けると共に、加熱バーナーをレールの圧縮変形量の1/2の量で移動させる追従移動機能を備えることにより、圧接界面に対する十分な熱投入、及び所定圧縮量の確保を図っている。具体的には、この加熱バーナー揺動装置における加熱バーナーの揺動及び追従移動機能は、支持フレームと、この支持フレームに固定され移動しない固定部と、移動フレームと、移動フレームに連結される移動アームと、固定部と移動アームの先端部との間に掛けられる押し当て用バネと、加熱バーナーの揺動機構と、この揺動機構により移動する揺動部品と、揺動機構を移動フレームの移動距離の1/2移動させるための第1のリンク及び第2のリンクを有する移動量半減装置とを備え、加熱バーナーの揺動及び追従移動を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第6343826号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載された加熱バーナー揺動装置によれば、圧接界面に対する熱投入及び所定圧縮量を自動的に確保することが可能であるが、移動量半減装置が第1のリンク及び第2のリンクの上部に枢着された共通の枢着軸と、固定部に枢着された枢着軸と、移動部に枢着された枢着軸とから構成される構造であることから、寸法がどうしても大きくなってしまうという問題があった。
【0008】
特許文献1に記載のレールガス圧接機は、レール腹部クランプ式であり全体の寸法が比較的大きいため、このような大きな追従移動機構を設けても問題は生じなかったが、レールベースクランプ式の小型のレールガス圧接機において、このような大きな追従移動機構を設けると、追従移動機構全体がレールガス溶接機本体から横方向に大きくはみ出してしまい、圧接作業の作業性を大幅に悪化させていた。
【0009】
従って本発明の目的は、小型の圧接機であっても、追従移動機構が横方向にはみ出すことのない、作業性の良好なレールガス圧接機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によれば、レールガス圧接機は、圧接すべき1対のレールにそれぞれ取付け固定される固定フレーム及び移動フレームと、加熱バーナーと、レールの長手方向における固定フレームの外側に設けられており、レールの圧縮移動量に追従して加熱バーナーを移動させる圧縮移動量追従機構とを備えている。圧縮移動量追従機構は、固定位置に設けられた軸の回りを水平方向に回動可能な回動アームを備えており、この回動アームは移動フレームに連結された連結位置と上述した軸の位置の中央位置で加熱バーナーに連結されている。
【0011】
圧縮移動量追従機構は軸の回りを水平方向に回動可能な回動アームを備えており、この回動アームは移動フレームに連結された連結位置と軸の位置との中央位置で加熱バーナーに連結されている。このため、回動アームの連結位置が移動フレームの圧縮移動量に対応する距離だけ回転移動すると、回動アームの加熱バーナーに連結されている中央位置は連結位置の移動距離の1/2の距離だけ移動し、従って加熱バーナーもその1/2の距離だけ移動する。特に本発明では、回動アームは水平方向に回動するように構成されており、圧縮移動量追従機構はレールの長手方向における固定フレームの外側に設けられているため、この追従移動機構はレールガス圧接機の横方向にはみ出すことがなく、圧接作業の邪魔になることがない。その結果、本発明のレールガス圧接機によれば、圧接の作業性が非常に良好となる。
【0012】
回動アームの一端部の位置に上述した軸が設けられており、回動アームの他端部の位置に連結部が設けられていることが好ましい。
【0013】
連結部は、移動フレームに連結されこの移動フレームの移動に連動する第1の突起と、回動アームに設けられ第1の突起が挿入される第1の長孔とを備えていることも好ましい。
【0014】
加熱バーナーに連結されており、この加熱バーナーを手動で揺動可能とする操作ロッドをさらに備えていることも好ましい。
【0015】
圧縮移動量追従機構は、加熱バーナーの揺動幅を規定する揺動幅規定機構と、加熱バーナーの揺動を禁止する揺動禁止機構とを備えていることも好ましい。
【0016】
揺動幅規定機構と揺動禁止機構とは、一方のみが動作するように切替え可能に構成されていることも好ましい。
【0017】
揺動幅規定機構は、加熱バーナーの移動に連動する第2の突起と、回動アームに設けられ第2の突起が挿入される第2の長孔とを備えており、この第2の長孔内における第2の突起の横方向の移動可能幅によって揺動幅を規定するように構成されていることも好ましい。
【0018】
揺動禁止機構は、加熱バーナーの移動に連動する第2の突起と、回動アームに設けられ第2の突起が挿入されるスリットとを備えており、このスリットにより第2の突起が移動できないように構成されていることも好ましい。
【0019】
圧縮移動量追従機構は、移動フレームを圧縮進行方向と逆方向に押圧するばね部材を備えており、このばね部材により、移動フレームの圧縮進行方向への移動の遊びを抑制するように構成されていることも好ましい。
【0020】
移動フレームと圧縮移動量追従機構とを必要時のみ連結可能であり、不要時には連結解除可能なストッパ機構をさらに備えていることも好ましい。
【0021】
圧縮移動量追従機構の回動アームは、このレールガス圧接機に対して着脱可能に構成されていることも好ましい。
【発明の効果】
【0022】
本発明では、回動アームは水平方向に回動するように構成されており、圧縮移動量追従機構はレールの長手方向における固定フレームの外側に設けられているため、この追従移動機構はレールガス圧接機の横、方向にはみ出すことがなく、圧接作業の邪魔になることがない。その結果、本発明のレールガス圧接機によれば、圧接の作業性が非常に良好となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明のレールガス圧接機の一実施形態における構成を概略的に示す(A)レール長手方向から見た側面図、(B)レール横方向から見た側面図である。
図2図1に示したレールガス圧接機について上方から見た構成を概略的に示す平面図である。
図3図1に示したレールガス圧接機について圧縮移動量追従機構の作用を説明する説明図である。
図4図1に示したレールガス圧接機の固定フレーム部分を除去して表した構成を概略的に示す斜視図である。
図5図1に示したレールガス圧接機についてレール横方向から見た側面図である。
図6図1に示したレールガス圧接機の構成を概略的に示す斜視図である。
図7図6のレールガス圧接機について上方から見た構成を概略的に示す平面図である。
図8図1に示したレールガス圧接機について揺動幅規定機構の作用を説明する平面図である。
図9図1に示したレールガス圧接機について揺動幅規定機構及び揺動禁止機構の切替え機能を説明する(A)側面図、(B)平面図である。
図10図1に示したレールガス圧接機について揺動禁止機構に切替えた場合の構成を概略的に示す斜視図である。
図11図10の状態のレールガス圧接機について上方から見た構成を概略的に示す平面図である。
図12図1に示したレールガス圧接機についてばね部材の部分を拡大して示した部分拡大斜視図である。
図13図1に示したレールガス圧接機についてストッパ機構の構成を詳しく示す一部破断側面図である。
図14図13に示したストッパ機構の作用を説明するレール横方向から見た側面図であり、(A)連結解除状態、(B)連結状態をそれぞれ示している。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1は本発明のレールガス圧接機の一実施形態における構成を概略的に示しており、同図(A)はレール長手方向から見た構成、同図(B)はレール横方向から見た構成をそれぞれ示している。ただし、同図(A)においてはレールのクランプ部分の表示が省略されており、同図(B)においてはレールの表示が省略されている。また、図2は本実施形態のレールガス圧接機について上方から見た構成を概略的に示している。この図2においてもレールの表示が省略されている。本実施形態のレールガス圧接機は、レールのベース部分にクランプして固定する小型軽量のレールベースクランプ式レールガス圧接機である。
【0025】
図1及び図2において、10は1対の圧接すべきレール、11は圧接すべき一方のレール10が取り付け固定される固定フレーム、12は圧接すべき他方のレール10が取り付け固定される移動フレーム、13は固定フレーム11及び移動フレーム12間に配置されるバーナーケース14によって支持される加熱バーナー、15はレール10の長手方向における固定フレーム11の外側に設けられた圧縮移動量追従機構をそれぞれ示している。固定フレーム11はレール10に沿って設けられた支持部材16に位置固定されて取り付けられており、移動フレーム12及びバーナーケース14は支持部材16にその長手方向に摺動可能に取り付けられている。
【0026】
圧縮移動量追従機構15は、レール長手方向における固定フレーム11の外側、即ち、支持部材16の固定フレーム11側の端部の外側に配置されている。この圧縮移動量追従機構15は、固定位置に設けられた軸17によって軸支され、かつこの軸17の回りを水平方向に回動可能な回動アーム18を備えている。この回動アーム18は、レールガス圧接機に対して着脱自在であり、取り外すことによってレールガス圧接機本体の重量を軽減させ、その状態でレールガス圧接機を運搬できるように構成されている。
【0027】
回動アーム18は、その一端部18aが軸17によって軸支されており、他端部18bにこの回動アーム18の長手方向に沿った第1の長孔19が設けられている。第1の長孔19内には第1の突起20が挿通されている。この第1の突起20は、第1のリンク部材21を介して(後述するストッパ機構29が連結状態にある際に)移動フレーム12に連結されており、移動フレーム12のレール長手方向の移動に連動してレール長手方向に移動するように構成されている。この第1の長孔19と第1の突起20とから第1の連結部22が構成されている。回動アーム18の軸17の位置と第1の連結部22の位置との間の距離的に中央の位置には、この回動アーム18の長手方向に沿った第2の長孔23が設けられている。この第2の長孔23には第2の突起24が挿通されている。第2の突起24は、第2のリンク部材25を介してバーナーケース14に連結されている。従って、このバーナーケース14に取り付けられる加熱バーナー13は、(ストッパ機構29が連結状態にある際に)移動フレーム12のレール長手方向の移動に連動してレール長手方向に移動可能に構成されている。この第2の長孔23と第2の突起24とから第2の連結部26が構成されている。図2に示すように、回動アーム18の軸17から第2の連結部26までの長さはLであり、これは第2の連結部26から第1の連結部22までの長さLに等しい。
【0028】
従って、ストッパ機構29が連結状態にある際に、圧接によるレールの圧縮移動で移動フレーム12が移動し、回動アーム18が軸17に軸支されて水平方向に回動すると、第2の連結部26は第1の連結部22の移動距離の1/2の距離だけ移動する。即ち、図3に示すように、回動アーム18の第1の連結部22が移動フレーム12の圧縮移動量に対応する距離だけ移動すると第2の連結部26は第1の連結部22の移動距離の1/2の距離だけ移動し、加熱バーナー13もその1/2の距離だけ移動する。その結果、移動フレーム12が圧縮移動すると、加熱バーナー13はその圧縮移動量の1/2の距離だけレール長手方向に移動する。
【0029】
図4は本実施形態のレールガス圧接機について、固定フレーム11の部分を除去して表した構成を概略的に示している。以下、この図を用い、第2のリンク部材25について説明する。
【0030】
同図に示すように、第2のリンク部材25は、一端がバーナーケース14に連結され、他端が第2の突起24に連結された1対のリンクロッド25aを備えている。これら1対のリンクロッド25a間には、平行に並ぶ2本の横方向ロッド25bが架け渡されている。この2本の横方向ロッド25b間の間隙には、操作ロッド27のL字状の先端突起部27aが挿入されている。操作ロッド27の中間部は軸17によって軸支されている。操作ロッド27は、操作者が水平方向に回動させることによって軸17を支点に回動し、その先端突起部27aはレール長手方向に移動する。これにより、先端突起部27aが挿入された2本の横方向ロッド25b及び1対のリンクロッド25a(第2のリンク部材25)はレール長手方向に移動し、バーナーケース14をレール長手方向に移動させる。その結果、加熱バーナー13が揺動する。即ち、本実施形態において、加熱バーナー13は、操作ロッド27を操作することにより、手動で揺動可能となる。なお、図4において、28は移動フレーム12を固定フレーム11の方向に加圧する加圧用シリンダを示している。
【0031】
図5は本実施形態のレールガス圧接機について、レール横方向から見た状態を概略的に示している。以下、この図を用い、第1のリンク部材21について説明する。
【0032】
同図に示すように、第1のリンク部材21は、一端が部材21c及びストッパ機構29を介して移動フレーム12に連結され、他端が第1の突起20(図2参照)に連結された2つのリンクロッド21a及び21bを備えている。圧縮移動により、移動フレーム12がレール長手方向に移動すると、ストッパ機構29及び部材21cを介してリンクロッド21a及び21b(第1のリンク部材21)がレール長手方向に移動し、第1の突起20と回動アーム18の第1の長孔19とを介して(即ち第1の連結部22を介して)、回動アーム18が軸17を支点に回動する。その結果、加熱バーナー13の前述した追従移動が行われる。
【0033】
図6は本実施形態のレールガス圧接機の構成を概略的に示しており、図7図6のレールガス圧接機について上方から見た構成を概略的に示しており、図8図6のレールガス圧接機について揺動幅規定機構の作用を説明している。以下、これらの図を用い、加熱バーナー13の揺動幅を規定する揺動幅規定機構について説明する。
【0034】
これらの図に示すように、回動アーム18には、その長手方向に沿った第2の長孔23が設けられており、第2の長孔23内に第2の突起24が挿通している。第2の突起24は、加熱バーナー13のバーナーケース14に一端が連結された第2のリンク部材25の他端に設けられている。従って、加熱バーナー13は第2の突起24の移動に連動する。第2の長孔23は、第2の突起24が横方向に移動可能とする所定の幅を有しており、図8に示すように、第2の突起24の(中心の)横方向の移動可能幅Lが加熱バーナー13の揺動幅を規定している。即ち、加熱バーナー13の揺動は、操作者が操作ロッド27を手動で回動操作することにより行われるが、その際、操作ロッド27の先端突起部27aにリンクした横方向ロッド25bを介して第2のリンク部材25がレール長手方向に移動し、その先端部の第2の突起24がレール長手方向に移動しようとするが、その移動幅が第2の長孔23の移動可能幅Lによって制限されるため、加熱バーナー13の揺動幅が規定されるのである。
【0035】
図9は本実施形態のレールガス圧接機について揺動幅規定機構及び揺動禁止機構の切替え機能を説明しており、同図(A)は側面から見た構成、同図(B)は上から見た構成をそれぞれ示している。図10は本実施形態のレールガス圧接機について揺動禁止機構に切替えた場合の構成を概略的に示しており、図11図10のレールガス圧接機について上方から見た構成を概略的に示している。以下、これらの図を用い、揺動幅規定機構及び揺動禁止機構の切替え機能、及び揺動禁止機構の構成について説明する。
【0036】
回動アーム18には、前述したように、第2の長孔23(図8参照)が形成されており、この第2の長孔23内に、加熱バーナー13の移動に連動する第2の突起24が挿通することによって揺動幅規定機構が構成されている。回動アーム18には、さらに、図9図11に示すように、この回動アーム18の長手方向に沿ったスリット30が形成されているスリット板31が設けられており、このスリット板31の一端には、図9(A)に示すように、蝶番32が取り付けられている。スリット板31は、この蝶番32を軸として回動して回動アーム18上に重畳されて、スリット30が第2の長孔23を覆うように配置することが可能となっている。スリット30の幅は、第2の突起24が横方向(レール長手方向)に移動できない幅となっており、第2の突起24がスリット30内に挿通されることにより、第2の突起24はスリット30の横方向(レール長手方向)に移動不可能となり、加熱バーナー13の揺動ができなくなる。即ち、スリット30を有するスリット板31及び第2の突起24によって揺動禁止機構が構成されている。揺動幅規定機構及び揺動禁止機構の切替えは、蝶番32を回動軸としてスリット板31を回動させるだけで良く、ワンタッチで切替えが可能である。
【0037】
レールガス圧接機の通常の操作として、まず、レールの圧縮移動量に追従して加熱バーナー13を移動させることが行われるが、この場合は、揺動禁止機構を作動させる。即ち、スリット板31を図9(B)に示すように回動させて第2の長孔23上に重畳して第2の突起24をスリット30内に挿通させることにより、加熱バーナー13が揺動できない状態で回動アーム18を回動させ、圧縮移動量に追従して加熱バーナー13を移動させる。その後、揺動禁止機構の作動を停止させ、揺動幅規定機構を作動させて手動により加熱バーナー13を揺動させる。即ち、スリット板31を図9(A)に示すように回動させて第2の突起24を第2の長孔23内に挿通させることにより、この第2の長孔23の横幅で揺動幅を規制しつつ、手動により加熱バーナー13を揺動させる。
【0038】
図12は本実施形態のレールガス圧接機についてばね部材の部分を拡大して示している。以下、同図を用い、ばね部材の構成について説明する。
【0039】
図12に示すように、第1のリンク部材21の途中には、リンクロッド21aと同軸にコイル状のばね部材33が設けられている。このばね部材33は一端が部材16aを介して支持部材16に固定されており、他端がストッパ機構29を介して移動フレーム12を押圧するように構成されている。より詳細には、ばね部材33の他端は、第1のリンク部材21の一端部に設けられ、この第1のリンク部材21に連動する部材21cを押圧するように構成されている。従って、ばね部材33は、ストッパ機構29が連結状態にある場合に移動フレーム12をその圧縮進行方向(A方向)と逆方向(B方向)に押圧するように構成されている。このようなばね部材33を設けることにより、移動フレーム12の圧縮進行方向への移動の遊びが抑制される。その結果、加熱バーナー14は、移動フレーム12の移動に確実に追従可能となり、レールの圧縮移動量の1/2の移動量で追従することができる。
【0040】
図13は本実施形態のガス圧接機についてストッパ機構29の構成をより詳しく示しており、図14図13に示したストッパ機構29の作用を説明するため、レール横方向から見た状態を表しており、同図(A)は連結解除状態、同図(B)は連結状態をそれぞれ示している。以下、図12図14を用い、ストッパ機構29の構成及び作用について説明する。
【0041】
図12に示すように、移動フレーム12にはレール横方向に沿って凹溝34が設けられており、この凹溝34内にストッパ用のバー部材35が嵌合されている。このバー部材35は、図13に示すように、ばね36により上方に付勢されており、通常状態では上方に位置している。
【0042】
第1のリンク部材21の部材21cには、レバー部材37を軸支する回動軸38が取り付けられており、レバー部材37のL字状断面を有する上面がバー部材35に嵌合して移動フレーム12をロックできるように構成されている。即ち、レールの圧接が行われない場合は、図14(A)に示すように、バー部材35がばね36により上方に押し上げられている。このため、バー部材35はレバー部材37に嵌合せず、ロック機構29はロックされず、移動フレーム12は圧縮移動量追従機構15と非連結状態(連結解除状態)となっている。一方、レールの圧接が行われている場合、図14(B)に示すように、バー部材35がばね36の反発力に抗して下方に押し下げられる。これにより、バー部材35はレバー部材37に嵌合し、ロック機構29はロックされ、移動フレーム12は圧縮移動量追従機構15と連結状態となる。
【0043】
このように、ロック機構29によって、圧接中のみ移動フレーム12と圧縮移動量追従機構15とが連結されることとなり、非圧接中は連結解除されることとなる。移動フレーム12はレール長手方向に移動自在であるため、圧縮移動量追従機構15と常に連結しておくと、過大な移動により圧縮移動量追従機構15に過剰なストレスがかかり問題が生じる可能性があるが、本実施形態のように、ロック機構29によって、圧接中のみ移動フレーム12と圧縮移動量追従機構15とを連結することによって、このような不都合の発生が抑止されることとなる。
【0044】
以上説明したように、本実施形態によれば、回動アーム18は水平方向に回動するように構成されており、圧縮移動量追従機構15はレールの長手方向における固定フレーム11の外側に設けられているため、この追従移動機構15はレールガス圧接機の横方向にはみ出すことがなく、圧接作業の邪魔になることがない。その結果、本発明のレールガス圧接機によれば、圧接の作業性が非常に良好となる。
【0045】
以上述べた実施形態は全て本発明を例示的に示すものであって限定的に示すものではなく、本発明は他の種々の変形態様及び変更態様で実施することができる。従って本発明の範囲は特許請求の範囲及びその均等範囲によってのみ規定されるものである。
【符号の説明】
【0046】
10 レール
11 固定フレーム
12 移動フレーム
13 加熱バーナー
14 バーナーケース
15 圧縮移動量追従機構
16 支持部材
16a、21c 部材
17 軸
18 回動アーム
18a 一端部
18b 他端部
19 第1の長孔
20 第1の突起
21 第1のリンク部材
21a、21b、25a リンクロッド
22 第1の連結部
23 第2の長孔
24 第2の突起
25 第2のリンク部材
25b 横方向ロッド
26 第2の連結部
27 操作ロッド
27a 先端突起部
28 加圧用シリンダ
29 ストッパ機構
30 スリット
31 スリット板
32 蝶番
33 ばね部材
34 凹溝
35 バー部材
36 ばね
37 レバー部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14