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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023060960
(43)【公開日】2023-05-01
(54)【発明の名称】モータおよび軸流ファン
(51)【国際特許分類】
   H02K 5/04 20060101AFI20230424BHJP
   F04D 29/52 20060101ALI20230424BHJP
   F04D 29/00 20060101ALI20230424BHJP
【FI】
H02K5/04
F04D29/52 C
F04D29/52 E
F04D29/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021170664
(22)【出願日】2021-10-19
(71)【出願人】
【識別番号】000232302
【氏名又は名称】ニデック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】道下 淳
(72)【発明者】
【氏名】山▲崎▼ 雄太
【テーマコード(参考)】
3H130
5H605
【Fターム(参考)】
3H130AA13
3H130AB26
3H130AB52
3H130AC30
3H130BA22A
3H130BA22G
3H130CA21
3H130CA27
3H130DD02Z
3H130DF00Z
3H130EA01A
3H130EA01G
3H130EA06A
3H130EA07A
3H130EA07G
3H130EB01A
3H130EB02A
3H130EB02G
5H605AA08
5H605BB05
5H605BB16
5H605BB19
5H605CC01
5H605GG06
(57)【要約】      (修正有)
【課題】モータのハウジングが変形することを抑制できるモータを提供する。
【解決手段】モータは、上下に延びる中心軸を中心に回転可能なロータと、ロータを回転させるステータと、ロータおよびステータを径方向外方から覆うハウジングと、を備える。ハウジングは、軸方向の一方側に位置する第1ハウジング4と、軸方向の他方側に位置する第2ハウジング5と、を備え、ハウジングは、軸方向に貫通する貫通孔31を有し、貫通孔は、第1ハウジングに配置される第1貫通孔430と、第2ハウジングに配置される第2貫通孔530と、を有し、第1貫通孔および第2貫通孔の少なくとも一方は、小径部311と、小径部よりも孔径が大きい大径部312と、を有する。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下に延びる中心軸を中心に回転可能なロータと、
前記ロータを回転させるステータと、
前記ロータおよび前記ステータを径方向外方から覆うハウジングと、を備え、
前記ハウジングは、
軸方向の一方側に位置する第1ハウジングと、
前記軸方向の他方側に位置する第2ハウジングと、を備え、
前記ハウジングは、前記軸方向に貫通する貫通孔を有し、
前記貫通孔は、
前記第1ハウジングに配置される第1貫通孔と、
前記第2ハウジングに配置される第2貫通孔と、を有し、
前記第1貫通孔および前記第2貫通孔の少なくとも一方は、
小径部と、
前記小径部よりも孔径が大きい大径部と、を有する、モータ。
【請求項2】
前記小径部および前記大径部は、前記第1貫通孔に設けられ、
前記第1貫通孔の前記小径部は、前記軸方向の一方側に配置され、
前記第1貫通孔の前記大径部は、前記軸方向の他方側に配置される、請求項1に記載のモータ。
【請求項3】
前記小径部および前記大径部は、前記第2貫通孔に設けられ、
前記第2貫通孔の前記小径部は、前記軸方向の他方側に配置され、
前記第2貫通孔の前記大径部は、前記軸方向の一方側に配置される、請求項1または2に記載のモータ。
【請求項4】
前記第1ハウジングおよび前記第2ハウジングの一方は、径方向内側面から径方向内方に突出する凸部を有し、
前記第1ハウジングおよび前記第2ハウジングの他方は、前記軸方向に凹み、かつ、前記凸部が配置される凹部を有し、
前記凸部は、前記貫通孔の外縁部に設けられる、請求項1~3のいずれか1項に記載のモータ。
【請求項5】
前記貫通孔の前記小径部は、ネジ部を有する締結部材がねじ込まれる孔であり、
前記大径部の孔径は、前記ネジ部の外径よりも大きい、請求項1~4のいずれか1項に記載のモータ。
【請求項6】
前記小径部の前記軸方向の長さは、前記大径部の前記軸方向の長さよりも短い、請求項1~5のいずれか1項に記載のモータ。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載のモータと、
前記ロータに取り付けられる動翼と、を備える、軸流ファン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータおよび軸流ファンに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のモータは、ハウジングを備える。ハウジングは、第1ハウジングと第2ハウジングとで構成される。第1ハウジングおよび第2ハウジングは、軸方向に互いに重ね合わされる(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-105974号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
第1ハウジングおよび第2ハウジングは、それぞれ、軸方向に互いに連結される貫通孔を有する。そして、貫通孔に挿入される締結部材により、ハウジングが他の部材に固定される。この構成では、ハウジングを締結部材で固定するとき、貫通孔の内周面に締結部材が接触し、ハウジングが変形する可能性がある。
【0005】
本発明は、モータのハウジングが変形することを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の例示的なモータは、上下に延びる中心軸を中心に回転可能なロータと、ロータを回転させるステータと、ロータおよびステータを径方向外方から覆うハウジングと、を備える。ハウジングは、軸方向の一方側に位置する第1ハウジングと、軸方向の他方側に位置する第2ハウジングと、を備える。ハウジングは、軸方向に貫通する貫通孔を有する。貫通孔は、第1ハウジングに配置される第1貫通孔と、第2ハウジングに配置される第2貫通孔と、を有する。第1貫通孔および第2貫通孔の少なくとも一方は、小径部と、小径部よりも孔径が大きい大径部と、を有する。
【0007】
本発明の例示的な軸流ファンは、上記モータと、ロータに取り付けられる動翼と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明の例示的なモータおよび軸流ファンによれば、モータのハウジングが変形することを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施形態に係る軸流ファンの斜視図である。
図2図2は、実施形態に係る軸流ファンの分解斜視図である。
図3図3は、実施形態に係るハウジングを軸方向から見た平面図である。
図4図4は、実施形態に係る第1ハウジングの斜視図である。
図5図5は、実施形態に係る第2ハウジングの斜視図である。
図6図6は、実施形態に係るハウジングによるリード線の保持構造を示す模式図である。
図7図7は、実施形態に係るハウジングの締結部材による固定構造を示す模式図である。
図8図8は、実施形態に係る貫通孔の断面構造を模式的に示す断面図である。
図9図9は、変形例に係る貫通孔の断面構造を模式的に示す断面図である。
図10図10は、実施形態に係るハウジングの角部の拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の例示的な実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0011】
本明細書では、モータ100の中心軸CAが延びる方向を「軸方向」と呼び、軸方向を上下方向とする。ただし、この上下方向の定義がモータ100の使用時の向きおよび位置関係を限定するものではない。
【0012】
また、本明細書では、軸方向の一方の向きを「上方」と呼び、軸方向の他方の向きを「下方」と呼ぶ。また、各々の構成要素において、上方側の端部のうち上方を向く端面を「上端面」と呼び、下方側の端部のうち下方を向く端面を「下端面」と呼ぶ。
【0013】
また、本明細書では、中心軸CAと直交する方向を「径方向」と呼ぶ。また、径方向において、中心軸CAに接近する向きを「径方向内方」と呼び、中心軸CAから離間する向きを「径方向外方」と呼ぶ。また、各々の構成要素において、径方向内方を向く側面を「径方向内側面」と呼び、径方向外方を向く側面を「径方向外側面」と呼ぶ。
【0014】
<1.軸流ファン>
図1は、実施形態に係る軸流ファン200の斜視図である。図2は、実施形態に係る軸流ファン200の分解斜視図である。
【0015】
軸流ファン200は、気流を発生させる。軸流ファン200は、モータ100と、動翼210と、を備える。モータ100は、アウターロータ型である。動翼210は、モータ100に取り付けられる。具体的には、動翼210は、後述するロータ1に取り付けられる。モータ100は、動翼210を回転させる。動翼210が回転することにより、気流が発生する。
【0016】
<2.モータ>
モータ100は、ロータ1と、ステータ2と、ハウジング3と、を備える。また、モータ100は、シャフト10を備える。
【0017】
シャフト10は、上下に延びる中心軸CAに沿って配置される。シャフト10は、シャフトホルダ110によって支持される。シャフトホルダ110は、中心軸CAに沿って軸方向に筒状に延びる。シャフトホルダ110の径方向内側面には、シャフト10を回転可能に支持するベアリング(図示せず)が取り付けられる。
【0018】
ロータ1は、上下に延びる中心軸CAを中心に回転可能である。ロータ1は、有蓋筒状のヨーク11を有する。ヨーク11の蓋部であるヨーク蓋部111は、中心軸CAを中心とする円盤状である。ヨーク蓋部111は、径方向の中央に開口を有する。シャフト10は、ヨーク蓋部111の開口の径方向内側面に固定される。ヨーク11の筒部であるヨーク筒部112は、ヨーク蓋部111の径方向外縁から下方に延びる。ヨーク筒部112の径方向内側面には、マグネット(図示せず)が固定される。
【0019】
ステータ2は、ロータ1を回転させる。ステータ2は、上下に延びる中心軸CAを中心とする環状であり、ロータ1の径方向内方に配置される。ステータ2の径方向外側面は、ロータ1の径方向内側面と対向する。具体的には、ステータ2の径方向外側面は、ヨーク11の径方向内側面に固定されるマグネットと対向する。ステータ2の径方向内側面は、シャフトホルダ110の径方向外側面に固定される。
【0020】
ステータ2は、ステータコア21と、インシュレータ22と、コイル23と、回路基板24と、を有する。ステータコア21は、中心軸CAを中心とする環状の磁性体であり、板状の電磁鋼板が軸方向に複数積層された積層体である。ステータコア21の径方向外側面は、マグネットと径方向に対向する。ステータコア21の径方向内側面は、シャフトホルダ110の径方向外側面に固定される。
【0021】
インシュレータ22は、ステータコア21の少なくとも一部を覆う。インシュレータ22は、樹脂などを用いた絶縁部材である。コイル23は、インシュレータ22を介してステータコア21に導線が巻かれることによって形成される。回路基板24は、コイル23に電気的に接続される。回路基板24には、様々な電子部品が搭載される。
【0022】
ハウジング3は、ロータ1およびステータ2を径方向外方から覆う。また、ハウジング3は、ロータ1に取り付けられる動翼210を径方向外方から覆う。
【0023】
なお、モータ100は、リード線20(図6参照)を備える。リード線20は、ステータ2に電気的に接続される。具体的には、複数本のリード線20が回路基板24に接続される。リード線20は、モータ100の内部から外部に引き出される。すなわち、リード線20は、ハウジング3の径方向内方から径方向外方に引き出される。
【0024】
<3.ハウジング>
図3は、実施形態に係るハウジング3を軸方向から見た平面図である。図3では、筒部300の径方向内方に配置される各部分を不図示とする。また、図3では、ハウジング3の平面視における頂点を結ぶ対角線を二点鎖線で示す。以下、この対角線を単にハウジング3の対角線と呼ぶ。ハウジング3の対角線は、中心軸CAを挟んで対向配置される一対の角部30の頂点を結ぶ線である。図4は、実施形態に係る第1ハウジング4の斜視図である。図5は、実施形態に係る第2ハウジング5の斜視図である。図6は、実施形態に係るハウジング3によるリード線20の保持構造を示す模式図である。図6では、リード線20を断面で示す。図7は、実施形態に係るハウジング3の締結部材600による固定構造を示す模式図である。以下の説明では、ハウジング3が固定される部材に符号700を付し、固定部材700と呼ぶ。
【0025】
<3-1.ハウジングの構成>
ハウジング3の外形は、軸方向から見て、4つの角部30を有する四角形状である。なお、各角部30は、丸みを帯びていてもよい。たとえば、各角部30は、R面取りされた形状を有する。ただし、各角部30は、直角形状であってもよい。また、各角部30は、C面取りされた形状であってもよい。
【0026】
ここで、ハウジング3は、第1ハウジング4と、第2ハウジング5と、を備える。第1ハウジング4は、軸方向の一方側に位置する。第2ハウジング5は、軸方向の他方側に位置する。すなわち、第1ハウジング4は、上方側に位置する。第2ハウジング5は、下方側に位置する。そして、第1ハウジング4および第2ハウジング5は、軸方向に互いに接合される。
【0027】
ハウジング3は、中心軸CAを中心とする筒部300を有する。すなわち、第1ハウジング4および第2ハウジング5は、それぞれ、中心軸CAを中心とする筒部300を有する。第1ハウジング4および第2ハウジング5のそれぞれの筒部300は、軸方向に互いに接合される。以下の説明において、第1ハウジング4および第2ハウジング5の各筒部300を区別する必要がある場合、第1ハウジング4の筒部300に符号400を付して第1筒部400と呼び、第2ハウジング5の筒部300に符号500を付して第2筒部500と呼ぶ。
【0028】
筒部300は、ロータ1およびステータ2を径方向外方から覆う。ロータ1には、動翼210が取り付けられる。このため、動翼210は、筒部300によって径方向外方から覆われる。筒部300は、動翼210の回転により発生する気流を軸方向に導く。
【0029】
第2ハウジング5は、シャフトホルダ110を保持する。言い換えると、第2ハウジング5は、ステータ2を保持する。具体的には、第2ハウジング5は、ステータ2を保持するベース部510を有する。たとえば、ベース部510は、第2ハウジング5と同一部材であり、第2ハウジング5に一体的に形成される。
【0030】
ベース部510は、中心軸CAを中心とする円盤状である。シャフトホルダ110は、ベース部510の径方向の中心に固定される。また、ベース部510は、径方向外側面から径方向外方に延びる連結部510aを複数有する。連結部510aは、第2筒部500の径方向内側面に接続される。言い換えると、連結部510aは、ベース部510と第2筒部500とを連結する。
【0031】
また、筒部300は、リード線20が配置される配線部301を有する。具体的には、第1ハウジング4は、第1筒部400に配線用凸部401を有し、第2ハウジング5は、第2筒部500に配線用凹部501を有する。
【0032】
配線用凸部401は、第1筒部400の下端面から下方に延びる。一方で、配線用凹部501は、第2筒部500の上端面から下方に凹み、かつ、第2筒部500を径方向に貫通する。配線用凸部401は、配線用凹部501に配置される。
【0033】
配線部301は、配線用凸部401と配線用凹部501とで構成される(図6参照)。具体的には、配線部301は、配線用凸部401の先端部と配線用凹部501の底部との軸方向間の隙間によって構成される。リード線20は、配線用凸部401の先端部と配線用凹部501の底部との軸方向間の隙間に配置される。言い換えると、配線用凸部401の先端部と配線用凹部501の底部との軸方向間の隙間によって配線用の通し孔が構成される。リード線20は、通し孔を介して、ハウジング3の径方向内方から径方向外方に引き出される。
【0034】
ここで、ハウジング3は、軸方向に貫通する貫通孔31を有する。たとえば、貫通孔31は、4つの角部30に1つずつ設けられる。貫通孔31は、ハウジング3の対角線上に配置される。貫通孔31には、締結部材600(図7参照)が配置される。
【0035】
締結部材600は、ネジ部610を有する。たとえば、締結部材600は、タッピングビスである。締結部材600としてのタッピングビスは、貫通孔31の小径部311(図8参照)にねじ込まれる。すなわち、貫通孔31の小径部311は、ネジ部610を有する締結部材600がねじ込まれる孔である。
【0036】
たとえば、固定部材700は、送風口700Aを有する。また、固定部材700は、4つの貫通孔31の配置パターンと同一のパターンで配置される4つの取付孔710を有する。取付孔710は、固定部材700を軸方向に貫通する孔であり、締結部材600としてのタッピングビスのおねじ外径(呼び径)よりも孔径(内径)が大きい孔である。
【0037】
固定部材700は、ハウジング3の上端面に接触する。すなわち、固定部材700は、第1ハウジング4の上端面に接触する。そして、締結部材600は、固定部材700の上方から取付孔710に挿入され、貫通孔31にねじ込まれる。締結部材600を貫通孔31にねじ込むことにより、貫通孔31にねじが切られ、締結部材600が貫通孔31に固定される。これにより、ハウジング3が固定部材700に固定される。
【0038】
なお、図示しないが、固定部材700をハウジング3の下端面に接触させてもよい。すなわち、固定部材700を第2ハウジング5の下端面に接触させてもよい。そして、ハウジング3の下方から貫通孔31に対して締結部材600をねじ込んでもよい。
【0039】
<3-2.第1および第2ハウジングの各貫通孔>
<3-2-1.実施形態>
図8は、実施形態に係る貫通孔31の断面構造を模式的に示す断面図である。図8は、軸方向に平行な平面でハウジング3を切断した場合の断面図である。
【0040】
貫通孔31は、第1貫通孔430と、第2貫通孔530と、を有する。第1貫通孔430は、第1ハウジング4に配置される。第2貫通孔530は、第2ハウジング5に配置される。言い換えると、貫通孔31は、第1貫通孔430と第2貫通孔530とを軸方向に連結した孔である。さらに言い換えると、第1貫通孔430および第2貫通孔530は、軸方向から見て、互いに重なる。
【0041】
ここで、第1貫通孔430および第2貫通孔530の少なくとも一方は、小径部311と、小径部311よりも孔径が大きい大径部312と、を有する。この構成では、貫通孔31に締結部材600をねじ込むとき、大径部312の内周面への締結部材600の接触を抑制できる。すなわち、貫通孔31に対する締結部材600の固定は、小径部311の内周面にねじが切られることによって行われる。これにより、ハウジング3のうち大径部312の周辺に生じる応力を緩和できる。その結果、ハウジング3の変形を抑制できる。
【0042】
なお、大径部312の孔径は、締結部材600のネジ部610の外径よりも大きい。たとえば、大径部312の孔径は、締結部材600のネジ部610の外径よりも5%~20%大きい。これにより、大径部312の内周面への締結部材600の接触を抑制できる。
【0043】
さらに、小径部311の軸方向の長さは、大径部312の軸方向の長さよりも短い。たとえば、小径部311の軸方向の長さは、締結部材600のネジ部610の軸方向の長さよりも短い。これにより、貫通孔31のうち締結部材600によりねじが切られる領域、すなわち、貫通孔31のうち締結部材600に接触する領域が少なくなる。このため、確実に、貫通孔31に締結部材600をねじ込むことにより生じる応力を緩和できる。
【0044】
実施形態では、小径部311および大径部312は、第1貫通孔430に設けられる。第1貫通孔430の小径部311は、軸方向の一方側に配置され、第1貫通孔430の大径部312は、軸方向の他方側に配置される。言い換えると、第1貫通孔430の小径部311は、第1ハウジング4の上端面側に配置される。さらに言い換えると、第1ハウジング4は、第1貫通孔430の小径部311により形成される開口を上端面に有する。
【0045】
第1貫通孔430のうち、第1ハウジング4の上端面から下方に向かって第1距離L1までの部分が小径部311であり、小径部311よりも下方の全部分が大径部312である。また、第1貫通孔430の小径部311は、第1貫通孔430の大径部312よりも軸方向の長さが短い。
【0046】
たとえば、ハウジング3の上方に固定部材700を配置する場合には、第1ハウジング4の上端面側から下方に向かって締結部材600がねじ込まれる。すなわち、第1貫通孔430のうち上方側の部分から下方に向かって締結部材600がねじ込まれる。この場合には、小径部311および大径部312を第1貫通孔430に設けることにより、第1ハウジング4のうち第1貫通孔430の周辺に生じる応力を緩和できる。これにより、第1ハウジング4の変形を抑制できる。
【0047】
また、第1貫通孔430のうち、小径部311は大径部312よりも肉厚が大きい。すなわち、第1ハウジング4の上端面側に小径部311を配置することにより、第1ハウジング4の上端面側の強度を確保できる。これにより、第1ハウジング4の上端面に対して固定部材700が大きな圧力で接触しても、第1ハウジング4が変形することを抑制できる。
【0048】
実施形態では、さらに、小径部311および大径部312は、第2貫通孔530に設けられる。第2貫通孔530の小径部311は、軸方向の他方側に配置され、第2貫通孔530の大径部312は、軸方向の一方側に配置される。言い換えると、第2貫通孔530の小径部311は、第2ハウジング5の下端面側に配置される。さらに言い換えると、第2ハウジング5は、第2貫通孔530の小径部311により形成される開口を下端面に有する。
【0049】
第2貫通孔530のうち、第2ハウジング5の下端面から上方に向かって第2距離L2までの部分が小径部311であり、小径部311よりも上方の全部分が大径部312である。また、第2貫通孔530の小径部311は、第2貫通孔530の大径部312よりも軸方向の長さが短い。なお、第1距離L1と第2距離L2とが同じであってもよい。
【0050】
たとえば、ハウジング3の下方に固定部材700を配置する場合には、第2ハウジング5の下端面側から上方に向かって締結部材600がねじ込まれる。すなわち、第2貫通孔530のうち下方側の部分から上方に向かって締結部材600がねじ込まれる。この場合には、小径部311および大径部312を第2貫通孔530に設けることにより、第2ハウジング5のうち第2貫通孔530の周辺に生じる応力を緩和できる。これにより、第2ハウジング5の変形を抑制できる。
【0051】
また、第2貫通孔530のうち、小径部311は大径部312よりも肉厚が大きい。すなわち、第2ハウジング5の下端面側に小径部311を配置することにより、第2ハウジング5の下端面側の強度を確保できる。これにより、第2ハウジング5の下端面に対して固定部材700が大きな圧力で接触しても、第2ハウジング5が変形することを抑制できる。
【0052】
なお、実施形態では、第1貫通孔430および第2貫通孔530の両方がそれぞれ、小径部311と大径部312とを有する。これにより、ハウジング3の上方に固定部材700を配置する場合およびハウジング3の下方に固定部材700を配置する場合のいずれであっても、ハウジング3の設計変更などを行うことなく、ハウジング3の変形を抑制できる。
【0053】
<3-2-2.変形例>
図9は、変形例に係る貫通孔31の断面構造を模式的に示す断面図である。図9は、軸方向に平行な平面でハウジング3を切断した場合の断面図である。
【0054】
変形例では、第1貫通孔430および第2貫通孔530の一方のみ、小径部311と大径部312とを有する。たとえば、第1貫通孔430は、小径部311と大径部312とを有する。一方で、第2貫通孔530は、小径部311のみを有する。
【0055】
なお、変形例では、上記実施形態よりも、第1貫通孔430の軸方向の長さが長い。たとえば、変形例では、第1貫通孔430および第2貫通孔530の各小径部311の軸方向の長さが上記実施形態と同じであり、第1貫通孔430の大径部312の軸方向の長さが上記実施形態よりも長い。そして、第1貫通孔430の大径部312は、第2貫通孔530の小径部311に接続される。
【0056】
変形例では、貫通孔31を全体的に見ると、上記実施形態と同様、第1ハウジング4の上端面側および第2ハウジング5の下端面側にそれぞれ小径部311が配置され、それら2つの小径部311の軸方向間に大径部312が配置される。このため、ハウジング3の上方に固定部材700を配置する場合およびハウジング3の下方に固定部材700を配置する場合のいずれであっても、締結部材600を用いてハウジング3を固定部材700に固定するとき、ハウジング3に生じる応力を緩和することができる。これにより、ハウジング3の変形を抑制できる。
【0057】
<3-3.貫通孔の外縁部>
図10は、実施形態に係るハウジング3の角部30の拡大断面図である。なお、図10は、第2ハウジング5に固定された第1ハウジング4を径方向に平行な平面で切断した場合の断面図である。
【0058】
第1ハウジング4および第2ハウジング5の一方は、径方向内側面から径方向内方に突出する凸部331を有する。第1ハウジング4および第2ハウジング5の他方は、軸方向に凹み、かつ、凸部331が配置される凹部332を有する。そして、凸部331は、貫通孔31の外縁部に設けられる。すなわち、凸部331は、第1貫通孔430および第2貫通孔530のうち、一方の外縁部の径方向内方側に設けられる。凹部332は、第1貫通孔430および第2貫通孔530のうち、他方の外縁部の径方向内方側に設けられる。
【0059】
この構成では、第1貫通孔430および第2貫通孔530のうち、凸部331が設けられた一方の外縁部の強度を高くできる。また、第1貫通孔430および第2貫通孔530のうち、他方の外縁部に凹部332を設けることにより、一方の外縁部に凸部331を設けたとしても、その凸部331を凹部332に配置することができる。
【0060】
凸部331は、第1ハウジング4に設けられ。すなわち、凸部331は、第1貫通孔430の外縁部の径方向内方側に設けられる。これにより、第1貫通孔430の外縁部の強度を高くできる。たとえば、第1貫通孔430に締結部材600をねじ込むとき、第1貫通孔430の外縁部が変形することを抑制できる。すなわち、第1ハウジング4が変形することを抑制できる。
【0061】
ここで、第2ハウジング5は、ベース部510を有するので、比較的強度が高い。一方で、第1ハウジング4は、ベース部510に相当する部分を有しない。このため、第1貫通孔430の外縁部に凸部331を配置することにより強度を高めることが好ましい。
【0062】
なお、凸部331が第1ハウジング4に設けられる構成では、凹部332は、第2ハウジング5に設けられる。すなわち、凹部332は、第2貫通孔530の径方向内方側に設けられる。この場合、凹部332は、下方に凹む。
【0063】
<4.その他>
以上、本発明の実施形態について説明した。なお、本発明の範囲は上述の実施形態に限定されない。本発明は、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実施することができる。また、上述の実施形態は適宜任意に組み合わせることができる。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明は、たとえば、軸流ファン用のモータなどとして利用可能である。
【符号の説明】
【0065】
1 ロータ
2 ステータ
3 ハウジング
4 第1ハウジング
5 第2ハウジング
31 貫通孔
100 モータ
200 軸流ファン
210 動翼
311 小径部
312 大径部
331 凸部
332 凹部
430 第1貫通孔
530 第2貫通孔
600 締結部材
610 ネジ部
CA 中心軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10