(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023060961
(43)【公開日】2023-05-01
(54)【発明の名称】モータおよび軸流ファン
(51)【国際特許分類】
H02K 5/22 20060101AFI20230424BHJP
F04D 29/00 20060101ALI20230424BHJP
F04D 29/52 20060101ALI20230424BHJP
【FI】
H02K5/22
F04D29/00 B
F04D29/52 C
F04D29/52 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021170665
(22)【出願日】2021-10-19
(71)【出願人】
【識別番号】000232302
【氏名又は名称】ニデック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】道下 淳
(72)【発明者】
【氏名】山▲崎▼ 雄太
(72)【発明者】
【氏名】米田 宗史
【テーマコード(参考)】
3H130
5H605
【Fターム(参考)】
3H130AA13
3H130AB26
3H130AB52
3H130AC30
3H130BA95A
3H130BA95H
3H130CA21
3H130CA27
3H130DA02Z
3H130DD02Z
3H130DF08Z
3H130EA01A
3H130EA01H
3H130EA06A
3H130EA07A
3H130EA07H
3H130EB01A
5H605AA08
5H605BB05
5H605BB16
5H605BB19
5H605CC01
5H605CC06
5H605EC01
5H605GG06
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ハウジングの径方向外側面へのリード線の固定作業を容易にできるモータを提供する。
【解決手段】モータは、ロータと、ステータと、リード線20と、ロータおよびステータを径方向外方から覆うハウジングと、を備え、ハウジングは、軸方向の一方側に位置する第1ハウジングと、軸方向の他方側に位置する第2ハウジングと、備える。第1ハウジングは、軸方向の他方側に向かって突出する凸部410を有し、第2ハウジングは、軸方向の他方側に向かって凹み、かつ、径方向に貫通する凹部510を有し、凸部は、凹部に配置され、凸部は、軸方向の他方側を向く先端面411を有し、凹部は、軸方向の一方側を向く底面511を有し、リード線は、径方向から見て、先端面と底面との間に配置され、先端面の少なくとも一部は、底面と軸方向に対向する位置から径方向にずれた位置に配置される。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下に延びる中心軸を中心とする周方向に回転可能なロータと、
前記ロータを回転させるステータと、
前記ステータに電気的に接続されるリード線と、
前記ロータおよび前記ステータを径方向外方から覆うハウジングと、を備え、
前記ハウジングは、
軸方向の一方側に位置する第1ハウジングと、
前記軸方向の他方側に位置する第2ハウジングと、備え、
前記第1ハウジングは、前記軸方向の他方側に向かって突出する凸部を有し、
前記第2ハウジングは、前記軸方向の他方側に向かって凹み、かつ、径方向に貫通する凹部を有し、
前記凸部は、前記凹部に配置され、
前記凸部は、前記軸方向の他方側を向く先端面を有し、
前記凹部は、前記軸方向の一方側を向く底面を有し、
前記リード線は、前記径方向から見て、前記先端面と前記底面との間に配置され、
前記先端面の少なくとも一部は、前記底面と前記軸方向に対向する位置から前記径方向にずれた位置に配置される、モータ。
【請求項2】
前記凹部は、前記底面に切欠き部を有し、
前記切欠き部は、前記軸方向に貫通し、かつ、前記第2ハウジングの径方向内側面から前記径方向外方に向かって凹み、
前記先端面の少なくとも一部は、前記切欠き部と前記軸方向に対向する位置に配置される、請求項1に記載のモータ。
【請求項3】
前記凸部の径方向内方を向く面は、前記第2ハウジングの径方向内側面に対して面一である、請求項2に記載のモータ。
【請求項4】
前記凸部の径方向内方を向く面は、前記第2ハウジングの径方向内側面よりも前記径方向外方に配置される、請求項2に記載のモータ。
【請求項5】
前記ハウジングは、前記中心軸を中心とする筒部を有し、
前記筒部は、前記ロータおよび前記ステータを前記径方向外方から覆い、
前記第1ハウジングは、前記筒部のうち前記軸方向の一方側の部分である第1筒部を有し、
前記第2ハウジングは、前記筒部のうち前記軸方向の他方側の部分である第2筒部を有し、
前記凹部は、前記第2筒部のうち前記軸方向の一方側の端面から前記軸方向の他方側に向かって凹み、
前記切欠き部は、前記第2筒部の径方向内側面から前記径方向外方に向かって凹み、
前記凸部の前記径方向の厚みは、前記凹部の前記軸方向から見た場合の前記径方向の開口幅の半分以下である、請求項2~4のいずれか1項に記載のモータ。
【請求項6】
前記凸部は、
前記周方向の一方側を向く第1外側面と、
前記周方向の他方側を向く第2外側面と、を有し、
前記第1外側面は、前記軸方向の他方側に向かうにつれて前記周方向の他方側に向かって傾斜する傾斜面を有し、
前記第2外側面は、前記軸方向に平行な面である、請求項1~5のいずれか1項に記載のモータ。
【請求項7】
前記リード線は、前記ハウジングの径方向内方から前記径方向外方に引き出され、
前記ハウジングから引き出される前記リード線は、前記ハウジングの径方向外側面に配置され、
前記ハウジングは、リード線押え部を有し、
前記リード線押え部は、
前記第1ハウジングおよび前記第2ハウジングの少なくとも一方に設けられ、
前記ハウジングから引き出される前記リード線の前記径方向外方に配置される、請求項1~6のいずれか1項に記載のモータ。
【請求項8】
前記リード線押え部のうち、前記周方向の一方側の端部は、前記ハウジングの径方向外側面に対して前記径方向に間隔を隔てて配置される自由端部であり、前記周方向の他方側の端部は、前記ハウジングの径方向外側面に接続される固定端部であり、
前記自由端部の一部は、前記軸方向に対して前記周方向に傾斜する、請求項7に記載のモータ。
【請求項9】
前記ハウジングの径方向外側面は、径方向内方に凹む配線部を有し、
前記リード線押え部は、前記配線部と前記径方向に対向する位置に配置される、請求項7または8に記載のモータ。
【請求項10】
前記配線部は、前記第1ハウジングの径方向外側面に設けられ、
前記配線部は、
第1配線部と、
前記第1配線部よりも前記径方向の厚みが大きい第2配線部と、を有し、
前記第2配線部は、前記第1配線部よりも前記軸方向の一方側に配置される、請求項9に記載のモータ。
【請求項11】
前記凹部は、
前記周方向の一方側を向く第1内側面と、
前記周方向の他方側を向く第2内側面と、を有し、
前記第1内側面および前記第2内側面の少なくとも一方は、前記周方向に突出する規制部を有し、
前記規制部は、前記凸部よりも前記径方向外方に配置され、前記凸部と前記径方向に対向する、請求項1~10のいずれか1項に記載のモータ。
【請求項12】
上下に延びる中心軸を中心とする周方向に回転可能なロータと、
前記ロータを回転させるステータと、
前記ステータに電気的に接続されるリード線と、
前記ロータおよび前記ステータを径方向外方から覆うハウジングと、を備え、
前記ハウジングは、
軸方向の一方側に位置する第1ハウジングと、
前記軸方向の他方側に位置する第2ハウジングと、備え、
前記第1ハウジングは、前記軸方向の他方側に向かって突出する凸部を有し、
前記第2ハウジングは、前記軸方向の他方側に向かって凹み、かつ、径方向に貫通する凹部を有し、
前記凸部は、前記凹部に配置され、
前記凸部は、前記軸方向の他方側を向く先端面を有し、
前記凹部は、前記軸方向の一方側を向く底面を有し、
前記リード線は、前記径方向から見て、前記先端面と前記底面との間に配置され、
前記リード線は、前記ハウジングの径方向内方から前記径方向外方に引き出され、
前記ハウジングから引き出される前記リード線は、前記ハウジングの径方向外側面に配置され、
前記ハウジングは、リード線押え部を有し、
前記リード線押え部は、
前記第1ハウジングおよび前記第2ハウジングの少なくとも一方に設けられ、
前記ハウジングから引き出される前記リード線の前記径方向外方に配置され、
前記リード線押え部のうち、前記周方向の一方側の端部は、前記ハウジングの径方向外側面に対して前記径方向に間隔を隔てて配置される自由端部であり、前記周方向の他方側の端部は、前記ハウジングの径方向外側面に接続される固定端部であり、
前記自由端部の一部は、前記軸方向に対して前記周方向に傾斜する、モータ。
【請求項13】
前記リード線押え部は、
前記第1ハウジングに設けられる第1リード線押え部と、
前記第2ハウジングに設けられる第2リード線押え部と、を有し、
前記第1リード線押え部は、前記径方向から見て、前記軸方向の他方側に向かうにつれて前記固定端部側に向かって傾斜する第1傾斜部を有し、
前記第2リード線押え部は、前記径方向から見て、前記軸方向の一方側に向かうにつれて前記固定端部側に向かって傾斜する第2傾斜部を有し、
前記第1傾斜部は、前記第1リード線押え部のうち前記軸方向の他方側に配置され、
前記第2傾斜部は、前記第2リード線押え部のうち前記軸方向の一方側に配置される、請求項12に記載のモータ。
【請求項14】
前記第1リード線押え部および前記第2リード線押え部は、前記軸方向に連続して配置される、請求項13に記載のモータ。
【請求項15】
前記第1リード線押え部の前記周方向の幅は、前記第2リード線押え部の前記周方向の幅よりも大きい、請求項13または14に記載のモータ。
【請求項16】
請求項1~15のいずれか1項に記載のモータと、
前記ロータに取り付けられる動翼と、を備える、軸流ファン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータおよび軸流ファンに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のモータは、ハウジングを備える。ハウジングは、第1ハウジングと第2ハウジングとで構成される。第1ハウジングおよび第2ハウジングは、軸方向に互いに重ね合わされる。モータのリード線は、第1ハウジングと第2ハウジングとの間からハウジングの径方向外方に引き出される(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来のモータでは、第1ハウジングと第2ハウジングとの間にリード線が挟み込まれる。このため、リード線の位置がずれないようにリード線を保持できる。しかし、第1ハウジングと第2ハウジングとの間においてリード線に負荷がかかるので、ハウジングの径方向外側面にリード線を固定する作業を行うとき、リード線を固定し難くなる可能性がある。
【0005】
本発明は、ハウジングの径方向外側面へのリード線の固定作業を容易にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の例示的なモータは、上下に延びる中心軸を中心とする周方向に回転可能なロータと、ロータを回転させるステータと、ステータに電気的に接続されるリード線と、ロータおよびステータを径方向外方から覆うハウジングと、を備える。ハウジングは、軸方向の一方側に位置する第1ハウジングと、軸方向の他方側に位置する第2ハウジングと、備える。第1ハウジングは、軸方向の他方側に向かって突出する凸部を有し、第2ハウジングは、軸方向の他方側に向かって凹み、かつ、径方向に貫通する凹部を有する。凸部は、凹部に配置される。凸部は、軸方向の他方側を向く先端面を有する。凹部は、軸方向の一方側を向く底面を有する。リード線は、径方向から見て、先端面と底面との間に配置される。先端面の少なくとも一部は、底面と軸方向に対向する位置から径方向にずれた位置に配置される。
【0007】
また、本発明の例示的なモータは、上下に延びる中心軸を中心とする周方向に回転可能なロータと、ロータを回転させるステータと、ステータに電気的に接続されるリード線と、ロータおよびステータを径方向外方から覆うハウジングと、を備える。ハウジングは、軸方向の一方側に位置する第1ハウジングと、軸方向の他方側に位置する第2ハウジングと、備える。第1ハウジングは、軸方向の他方側に向かって突出する凸部を有し、第2ハウジングは、軸方向の他方側に向かって凹み、かつ、径方向に貫通する凹部を有する。凸部は、凹部に配置される。凸部は、軸方向の他方側を向く先端面を有する。凹部は、軸方向の一方側を向く底面を有する。リード線は、径方向から見て、先端面と底面との間に配置される。リード線は、ハウジングの径方向内方から径方向外方に引き出される。ハウジングから引き出されるリード線は、ハウジングの径方向外側面に配置される。ハウジングは、リード線押え部を有する。リード線押え部は、第1ハウジングおよび第2ハウジングの少なくとも一方に設けられ、ハウジングから引き出されるリード線の径方向外方に配置される。リード線押え部のうち、周方向の一方側の端部は、ハウジングの径方向外側面に対して径方向に間隔を隔てて配置される自由端部であり、周方向の他方側の端部は、ハウジングの径方向外側面に接続される固定端部である。自由端部の一部は、径方向から見て、固定端部側に向かって傾斜する。
【0008】
本発明の例示的な軸流ファンは、上記モータと、ロータに取り付けられる動翼と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明の例示的なモータおよび軸流ファンによれば、ハウジングの径方向外側面へのリード線の固定作業を容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、実施形態に係る軸流ファンの斜視図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る軸流ファンの分解斜視図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係るハウジングの分解斜視図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係るリード線通し部の模式図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係る第2ハウジングの径方向内側面と凸部との位置関係を示す模式図である。
【
図6】
図6は、変形例に係る第2ハウジングの径方向内側面と凸部との位置関係を示す模式図である。
【
図7】
図7は、実施形態に係る第2ハウジングを軸方向から見た平面図である。
【
図8】
図8は、実施形態に係る凸部と凹部およびその周辺を軸方向と直交する平面で切断した拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の例示的な実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0012】
本明細書では、モータ100の中心軸CAが延びる方向を「軸方向」と呼び、軸方向を上下方向とする。ただし、この上下方向の定義がモータ100の使用時の向きおよび位置関係を限定するものではない。
【0013】
また、本明細書では、軸方向の一方の向きを「上方」と呼び、軸方向の他方の向きを「下方」と呼ぶ。また、各々の構成要素において、上方側の端部のうち上方を向く端面を「上端面」と呼び、下方側の端部のうち下方を向く端面を「下端面」と呼ぶ。
【0014】
また、本明細書では、中心軸CAと直交する方向を「径方向」と呼ぶ。また、径方向において、中心軸CAに接近する向きを「径方向内方」と呼び、中心軸CAから離間する向きを「径方向外方」と呼ぶ。また、各々の構成要素において、径方向内方を向く側面を「径方向内側面」と呼び、径方向外方を向く側面を「径方向外側面」と呼ぶ。
【0015】
また、本明細書では、中心軸CAを中心とする周方向を「周方向」と呼ぶ。
【0016】
<1.軸流ファン>
図1は、実施形態に係る軸流ファン200の斜視図である。
図2は、実施形態に係る軸流ファン200の分解斜視図である。
【0017】
軸流ファン200は、気流を発生させる。軸流ファン200は、モータ100と、動翼210と、を備える。モータ100は、アウターロータ型である。動翼210は、モータ100に取り付けられる。具体的には、動翼210は、後述するロータ1に取り付けられる。モータ100は、動翼210を回転させる。動翼210が回転することにより、気流が発生する。
【0018】
<2.モータ>
モータ100は、ロータ1と、ステータ2と、ハウジング3と、を備える。また、モータ100は、シャフト10を備える。
【0019】
シャフト10は、上下に延びる中心軸CAに沿って配置される。シャフト10は、シャフトホルダ110によって支持される。シャフトホルダ110は、中心軸CAに沿って軸方向に筒状に延びる。シャフトホルダ110の径方向内側面には、シャフト10を回転可能に支持するベアリング(図示せず)が取り付けられる。
【0020】
ロータ1は、上下に延びる中心軸CAを中心とする周方向に回転可能である。ロータ1は、有蓋筒状のヨーク11を有する。ヨーク11の蓋部であるヨーク蓋部111は、中心軸CAを中心とする円盤状である。ヨーク蓋部111は、径方向の中央に開口を有する。シャフト10は、ヨーク蓋部111の開口の径方向内側面に固定される。ヨーク11の筒部であるヨーク筒部112は、ヨーク蓋部111の径方向外縁から下方に延びる。ヨーク筒部112の径方向内側面には、マグネット(図示せず)が固定される。
【0021】
ステータ2は、ロータ1を回転させる。ステータ2は、上下に延びる中心軸CAを中心とする環状であり、ロータ1の径方向内方に配置される。ステータ2の径方向外側面は、ロータ1の径方向内側面と対向する。具体的には、ステータ2の径方向外側面は、ヨーク11の径方向内側面に固定されるマグネットと対向する。ステータ2の径方向内側面は、シャフトホルダ110の径方向外側面に固定される。
【0022】
ステータ2は、ステータコア21と、インシュレータ22と、コイル23と、回路基板24と、を有する。ステータコア21は、中心軸CAを中心とする環状の磁性体であり、板状の電磁鋼板が軸方向に複数積層された積層体である。ステータコア21の径方向外側面は、マグネットと径方向に対向する。ステータコア21の径方向内側面は、シャフトホルダ110の径方向外側面に固定される。
【0023】
インシュレータ22は、ステータコア21の少なくとも一部を覆う。インシュレータ22は、樹脂などを用いた絶縁部材である。コイル23は、インシュレータ22を介してステータコア21に導線が巻かれることによって形成される。回路基板24は、コイル23に電気的に接続される。回路基板24には、様々な電子部品が搭載される。
【0024】
ハウジング3は、ロータ1およびステータ2を径方向外方から覆う。また、ハウジング3は、ロータ1に取り付けられる動翼210を径方向外方から覆う。
【0025】
なお、モータ100は、リード線20(
図4参照)を備える。リード線20は、ステータ2に電気的に接続される。具体的には、複数本のリード線20が回路基板24に接続される。リード線20は、モータ100の内部から外部に引き出される。すなわち、リード線20は、ハウジング3の径方向内方から径方向外方に引き出される。
【0026】
<3.ハウジングの構成>
図3は、実施形態に係るハウジングの分解斜視図である。
【0027】
ハウジング3は、第1ハウジング4と、第2ハウジング5と、を備える。第1ハウジング4は、軸方向の一方側に位置する。第2ハウジング5は、軸方向の他方側に位置する。すなわち、第1ハウジング4は、上方側に位置する。第2ハウジング5は、下方側に位置する。第1ハウジング4および第2ハウジング5は、軸方向に互いに接合される。
【0028】
ハウジング3は、中心軸CAを中心とする筒部300を有する。筒部300は、ロータ1およびステータ2を径方向外方から覆う。
【0029】
第1ハウジング4は、筒部300のうち軸方向の一方側の部分である第1筒部400を有する。第2ハウジング5は、筒部300のうち軸方向の他方側の部分である第2筒部500を有する。第1筒部400および第2筒部500は、軸方向に互いに接合される。
【0030】
ロータ1には、動翼210が取り付けられる。このため、動翼210は、筒部300によって径方向外方から覆われる。筒部300は、動翼210の回転により発生する気流を軸方向に導く。
【0031】
第2ハウジング5は、シャフトホルダ110を保持する。言い換えると、第2ハウジング5は、ステータ2を保持する。具体的には、第2ハウジング5は、ステータ2を保持するベース部501を有する。たとえば、ベース部501は、第2ハウジング5と同一部材であり、第2ハウジング5に一体的に形成される。
【0032】
<4.ハウジングによるリード線の保持構造>
図4は、実施形態に係るリード線通し部310の模式図である。
図5は、実施形態に係る第2ハウジング5の径方向内側面5aと凸部410との位置関係を示す模式図である。
図6は、変形例に係る第2ハウジング5の径方向内側面5aと凸部410との位置関係を示す模式図である。
図5および
図6は、
図4のA-A´線に沿った断面図である。なお、
図5および
図6において、図面左側が径方向内方であり、図面右側が径方向外方である。
図7は、実施形態に係る第2ハウジング5を軸方向から見た平面図である。
図8は、実施形態に係る凸部410と凹部510およびその周辺を軸方向と直交する平面で切断した拡大断面図である。
【0033】
<4-1.リード線通し部>
ハウジング3は、リード線通し部310を有する。リード線通し部310は、ハウジング3を径方向に貫通する通し孔である。リード線20は、リード線通し部310の通し孔に通される。言い換えると、リード線通し部310には、リード線20が配置される。リード線20は、リード線通し部310を介して、ハウジング3の径方向内方から径方向外方に引き出される。リード線通し部310は、第1ハウジング4と第2ハウジング5とによって構成される。
【0034】
具体的には、第1ハウジング4は、軸方向の他方側に向かって突出する凸部410を有する。凸部410は、第1筒部400の下端面から下方に向かって突出する部分である。凸部410は、軸方向の他方側を向く先端面411を有する。先端面411は、凸部410の下端面である。
【0035】
また、第2ハウジング5は、軸方向の他方側に向かって凹み、かつ、径方向に貫通する凹部510を有する。具体的には、凹部510は、第2筒部500のうち軸方向の一方側の端面から軸方向の他方側に向かって凹む。すなわち、凹部510は、第2筒部500の上端面から下方に向かって凹む部分である。凹部510は、軸方向の一方側を向く底面511を有する。凸部410は、凹部510に配置される。
【0036】
そして、リード線通し部310は、凸部410と凹部510とによって構成される。言い換えると、リード線通し部310の通し孔は、径方向から見た場合において、先端面411と底面511との軸方向間に生じる隙間によって構成される。リード線20は、径方向から見て、先端面411と底面511との間に配置される。リード線20は、先端面411と底面511との軸方向間の隙間から、ハウジング3の径方向内方から径方向外方に引き出される。
【0037】
ここで、凸部410は、凹部510に配置される。しかし、先端面411のうち少なくとも一部は、底面511と軸方向に対向しない。すなわち、先端面411の少なくとも一部は、底面511と軸方向に対向する位置から径方向にずれた位置に配置される。この構成では、リード線20のうちリード線通し部310に配置される少なくとも一部については、軸方向の拘束が弱くなる。
【0038】
これにより、ハウジング3の径方向内方から径方向外方に引き出されるリード線20に対して負荷が過大にかかることを抑制できる。その結果、容易に、ハウジング3からリード線20を引き出してハウジング3の径方向外側面に這わすことができる。すなわち、容易に、ハウジング3から引き出されるリード線20をハウジング3の径方向外側面に固定できる。
【0039】
また、凹部510は、底面511に切欠き部511aを有する。凹部510の切欠き部511aは、軸方向に貫通し、かつ、第2ハウジング5の径方向内側面から径方向外方に向かって凹む。具体的には、凹部510の切欠き部511aは、第2筒部500の径方向内側面から径方向外方に向かって凹む。すなわち、凹部510は、軸方向から見て、底面511が存在する領域と、底面511が欠損した領域と、を有する。凹部510のうち底面511が欠損した領域が切欠き部511aである。
【0040】
そして、先端面411の少なくとも一部は、凹部510の切欠き部511aと軸方向に対向する位置に配置される。すなわち、先端面411の少なくとも一部は、底面511と対向しない。これにより、容易に、先端面411の少なくとも一部を底面511と軸方向に対向する位置から径方向にずれた位置に配置できる。
【0041】
たとえば、先端面411の全部分が凹部510の切欠き部511aと軸方向に対向する位置に配置される。すなわち、先端面411は、全面にわたって、底面511と軸方向に対向しない。この構成では、ハウジング3から引き出されるリード線20に対して負荷が過大にかかることをより抑制できる。
【0042】
なお、先端面411の一部が底面511と軸方向に対向配置されてもよい。すなわち、先端面411のうち、一部が底面511と軸方向に対向し、他の部分が凹部510の切欠き部511aと軸方向に対向してもよい。
【0043】
図5に示す実施形態の構成では、凸部410の径方向内方を向く面410aは、第2ハウジング5の径方向内側面5aに対して面一である。これにより、ハウジング3の径方向内側面に段差が生じないので、ハウジング3の径方向内方において気流が不安定になることを抑制できる。その結果、軸流ファン200の送風効率が向上する。また、凸部410が動翼210に接触することを抑制できる。
【0044】
なお、変形例として、
図6に示す構成を採用できる。変形例では、凸部410の径方向内方を向く面410aは、第2ハウジング5の径方向内側面5aよりも径方向外方に配置される。言い換えると、凸部410の径方向内方を向く面410aは、第2ハウジング5の径方向内側面5aに対して面一でなくてもよい。さらに言い換えると、凸部410の径方向内方を向く面410aは、第2ハウジング5の径方向内側面5aよりも径方向内方に突出しなければよい。
【0045】
変形例では、ハウジング3の径方向内側面に段差が生じる。しかし、第2ハウジング5の径方向内側面5aに対して凸部410が径方向内方に突出しないので、凸部410が動翼210に接触することを防ぐことができる。
【0046】
凹部510の切欠き部511aと先端面411とを軸方向に対向させることによって先端面411を底面511に対して径方向にずらす場合、凸部410の径方向の厚みが大きいほど、凹部510の切欠き部511aの径方向の幅を大きくする必要がある。言い換えると、凸部410の径方向の厚みが大きいほど、底面511の径方向の幅を小さくする必要がある。しかし、底面511の径方向の幅が小さければ、第2ハウジング5のうちの凹部510の周辺部分の強度が低下する。
【0047】
このため、凸部410の径方向の厚みTは、凹部510の軸方向から見た場合の径方向の開口幅Wの半分以下である(
図8参照)。これにより、底面511の径方向の幅が小さくなり過ぎることを抑制できる。その結果、第2ハウジング5のうちの凹部510の周辺部分の強度が低下することを抑制できる。
【0048】
また、
図3および
図4に示すように、凸部410は、周方向の一方側を向く第1外側面421と、周方向の他方側を向く第2外側面422と、を有する。凹部510は、周方向の一方側を向く第1内側面521と、周方向の他方側を向く第2内側面522と、を有する。第1外側面421および第2内側面522は、周方向に互いに対向する。第2外側面422および第1内側面521は、周方向に互いに対向する。第1外側面421および第2内側面522は、少なくとも一部で互いに接触してもよい。また、第2外側面422および第1内側面521は、少なくとも一部で互いに接触してもよい。
【0049】
第1ハウジング4の第2ハウジング5に対する取付作業では、凹部510に対し、上方から、凸部410が配置される。たとえば、凸部410は、第1内側面521および第2内側面522にガイドされつつ、凹部510に挿入される。
【0050】
ここで、凸部410は、径方向から見て、軸方向の一方側から他方側に向かって先細り形状を有する。すなわち、凸部410のうち、下方側の部分である先端部は、上方側の部分である根元部よりも、周方向の幅が小さい。
【0051】
具体的には、第1外側面421は、軸方向に平行な面4211を上方側に有し、軸方向に対し傾斜する傾斜面4212を下方側に有する。言い換えると、第1外側面421は、軸方向の他方側に向かうにつれて周方向の他方側に向かって傾斜する傾斜面4212を有する。一方で、第2外側面422は、軸方向に平行な面である。
【0052】
凸部410の第1外側面421に傾斜面4212を設けることにより、凸部410が軸方向の一方側から他方側に向かって先細り形状となるので、第1ハウジング4の第2ハウジング5に対する取付作業において、凸部410を凹部510に挿入し易くなる。
【0053】
また、凸部410の第2外側面422を軸方向に平行な面とすることにより、凹部510に凸部410を挿入するとき、凸部410を軸方向に直線的にガイドできる。これにより、凸部410を凹部510に挿入する作業が容易になる。言い換えると、第1ハウジング4に対する第2ハウジング5の取付作業が容易になる。
【0054】
<4-2.リード線押え部>
ハウジング3から引き出されるリード線20は、ハウジング3の径方向外側面に沿って配置される。具体的には、リード線20は、リード線通し部310の通し孔から軸方向の一方側に延びる。すなわち、リード線20は、ハウジング3の径方向外方において、第2ハウジング5から第1ハウジング4に向かって延びる。
【0055】
また、リード線20は、ハウジング3の径方向外側面に固定される。言い換えると、リード線20は、ハウジング3の径方向外側面から離間しないように保持される。
【0056】
具体的には、
図1に示すように、ハウジング3は、リード線押え部320を有する。リード線押え部320は、第1ハウジング4および第2ハウジング5の少なくとも一方に設けられる。そして、リード線押え部320は、ハウジング3から引き出されるリード線20の径方向外方に配置される(
図8参照)。言い換えると、リード線20の少なくとも一部は、リード線押え部320によって径方向外方から径方向内方に押え付けられる。これにより、容易に、ハウジング3の径方向外側面にリード線20を固定できる。
【0057】
このようにリード線20は、ハウジング3の径方向外方において、リード線押え部320によって押え付けられることにより、ハウジング3の径方向外側面に固定される。この固定方法では、ハウジング3の径方向外側面とリード線押え部320との間にリード線20を挿入する必要がある。
【0058】
このため、リード線押え部320のうち、周方向の一方側の端部は、ハウジング3の径方向外側面に対して径方向に間隔を隔てて配置される自由端部321であり、周方向の他方側の端部は、ハウジング3の径方向外側面に接続される固定端部322である(
図3参照)。そして、自由端部321の一部は、軸方向に対して周方向に傾斜する。
【0059】
たとえば、リード線押え部320は、ハウジング3と同一部材であり、ハウジング3に一体的に形成される。固定端部322は、ハウジング3の角部から延びる。そして、リード線押え部320は、固定端部322を支点とし、ハウジング3の径方向外側面に対して離間する方向および接近する方向に弾性変形する。
【0060】
この構成では、ハウジング3の径方向外側面にリード線20を固定するとき、自由端部321側から、ハウジング3の径方向外側面とリード線押え部320との間にリード線20を挿入できる。また、このとき、自由端部321の一部が固定端部322側に向かって傾斜しているので、ハウジング3の径方向外側面とリード線押え部320との間へのリード線20の挿入作業が容易になる。
【0061】
また、ハウジング3の径方向外側面は、径方向内方に凹む配線部30を有する。配線部30を構成する凹みは、軸方向に延びる。すなわち、ハウジング3は、軸方向に延びる溝を配線部30として有する。そして、リード線押え部320は、配線部30と径方向に対向する位置に配置される。これにより、ハウジング3の径方向外側面とリード線押え部320との間隔を広くとることができる。その結果、容易に、ハウジング3の径方向外側面とリード線押え部320との間にリード線20を配置できる。
【0062】
配線部30としての溝は、リード線通し部310の通し孔から上方に延びる。言い換えると、配線部30としての溝の底面は、第1ハウジング4の径方向外側面の一部と凸部410の径方向外側面とによって構成される。さらに言い換えると、配線部30は、第1ハウジング4の径方向外側面に設けられる。
【0063】
そして、配線部30は、第1配線部31と、第1配線部31よりも径方向の厚みが大きい第2配線部32と、を有する(
図3参照)。また、第2配線部32は、第1配線部31よりも軸方向の一方側に配置される。すなわち、第1ハウジング4のうち、配線部30の上方側は、配線部30の下方側よりも、径方向の厚みが大きい。
【0064】
この構成では、第1ハウジング4に配線部30を設けたとしても、第1ハウジング4の上端部に肉厚の薄い部分が生じることを抑制できる。すなわち、吸排気口の外縁部の肉厚の一部が薄くなることを抑制できる。これにより、動翼210の回転中に振動が発生することを抑制できる。
【0065】
ここで、リード線押え部320は、第1リード線押え部420と、第2リード線押え部520と、を有する(
図3参照)。第1リード線押え部420は、第1ハウジング4に設けられる。第2リード線押え部520は、第2ハウジング5に設けられる。これにより、第1ハウジング4側および第2ハウジング5側の両方において、リード線20を押え付けることができる。これにより、リード線20を固定できる。
【0066】
また、第1リード線押え部420は、径方向から見て、軸方向の他方側に向かうにつれて固定端部322側に向かって傾斜する第1傾斜部4201を有し、第2リード線押え部520は、径方向から見て、軸方向の一方側に向かうにつれて固定端部322側に向かって傾斜する第2傾斜部5201を有する。すなわち、第1リード線押え部420および第2リード線押え部520の両方の自由端部321が共に、径方向から見て、固定端部322側に向かって傾斜する。これにより、第1ハウジング4および第2ハウジング5にそれぞれ第1リード線押え部420および第2リード線押え部520を設けたとしても、ハウジング3の径方向外側面とリード線押え部320との間へのリード線20の挿入作業が容易になる。
【0067】
さらに、第1傾斜部4201は、第1リード線押え部420のうち軸方向の他方側に配置され、第2傾斜部5201は、第2リード線押え部520のうち軸方向の一方側に配置される(
図1参照)。この構成では、リード線押え部320は、径方向から見て、軸方向の略中央部分が周方向に凹んだ形状となる。これにより、リード線押え部320のうち軸方向の略中央部分からリード線20を挿入し易くなる。また、リード線押え部320のうち、上側部分および下側部分では、リード線20を押え付けることができる。
【0068】
また、第1リード線押え部420および第2リード線押え部520は、軸方向に連続して配置される(
図1参照)。たとえば、第1リード線押え部420の下端面と第2リード線押え部520の上端面とが接触してもよい。これにより、リード線20を確実に固定できる。また、第1リード線押え部420と第2リード線押え部520とを軸方向に連続させることにより、リード線20の露出部分を少なくできる。このため、リード線押え部320よりも径方向外方に配置される他の部材(図示せず)とリード線20とが接触することを抑制できる。言い換えると、リード線押え部320によってリード線20を保護できる。
【0069】
また、第1リード線押え部420の周方向の幅は、第2リード線押え部520の周方向の幅よりも大きい。すなわち、第2リード線押え部520の周方向の幅は、第1リード線押え部420の周方向の幅よりも小さい。なお、第2リード線押え部520の周方向の幅は、第1リード線押え部の周方向の最大幅であり、第2リード線押え部520の周方向の幅は、第2リード線押え部520の周方向の最大幅である。
【0070】
ハウジング3の径方向外側面に対するリード線20の固定作業では、第2ハウジング5側からリード線20が引き出される。この場合、第2リード線押え部520の周方向の幅が小さければ、ハウジング3の径方向外側面にリード線20を這わせ易くなる。また、第1リード線押え部420の周方向の幅は大きいので、第2リード線押え部520の周方向の幅を小さくしたとしても、第1リード線押え部420によって確実に、リード線20を固定できる。
【0071】
<4-3.規制部>
凹部510は、規制部530を有する(
図7および
図8参照)。規制部530は、周方向に突出する。規制部530は、第1内側面521および第2内側面522の少なくとも一方に設けれる。すなわち、第1内側面521および第2内側面522の少なくとも一方は、周方向に突出する規制部530を有する。たとえば、規制部530は、第1内側面521および第2内側面522の両方に設けられる。第1内側面521の規制部530は、第2内側面522に向かって突出する。第2内側面522の規制部530は、第1内側面521に向かって突出する。すなわち、規制部530は、第1内側面521および第2内側面522のそれぞれから周方向に突出する突出部である。
【0072】
そして、規制部530は、凸部410よりも径方向外方に配置され、凸部410と径方向に対向する。これにより、凸部410が径方向外方に変形したとしても、凸部410の径方向外方への変形が規制部530によって規制される。その結果、第1ハウジング4の変形を抑制できる。なお、規制部530は、凸部410と接触してもよい。
【0073】
<5.その他>
以上、本発明の実施形態について説明した。なお、本発明の範囲は上述の実施形態に限定されない。本発明は、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実施することができる。また、上述の実施形態は適宜任意に組み合わせることができる。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明は、たとえば、軸流ファン用のモータなどとして利用可能である。
【符号の説明】
【0075】
1 ロータ
2 ステータ
3 ハウジング
4 第1ハウジング
5 第2ハウジング
20 リード線
30 配線部
31 第1配線部
32 第2配線部
100 モータ
200 軸流ファン
210 動翼
300 筒部
320 リード線押え部
321 自由端部
322 固定端部
400 第1筒部
410 凸部
411 先端面
420 第1リード線押え部
421 第1外側面
422 第2外側面
500 第2筒部
510 凹部
511 底面
511a 切欠き部
520 第2リード線押え部
521 第1内側面
522 第2内側面
530 規制部
4201 第1傾斜部
5201 第2傾斜部
CA 中心軸