(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023061004
(43)【公開日】2023-05-01
(54)【発明の名称】貯留排出装置
(51)【国際特許分類】
B65F 5/00 20060101AFI20230424BHJP
【FI】
B65F5/00
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021170736
(22)【出願日】2021-10-19
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-02-17
(71)【出願人】
【識別番号】501370370
【氏名又は名称】三菱重工環境・化学エンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092978
【弁理士】
【氏名又は名称】真田 有
(72)【発明者】
【氏名】松村 俊彦
(72)【発明者】
【氏名】山口 勝則
【テーマコード(参考)】
3E025
【Fターム(参考)】
3E025AA04
3E025AA07
3E025BA03
3E025CA05
3E025DC03
3E025DD05
(57)【要約】
【課題】貯留排出装置に関し、被処理物の圧縮率を高めて貯留容量を増大させる。
【解決手段】開示の貯留排出装置10は、貯留部1と投入側支持部5と邪魔板部20とを備える。貯留部1は、一端に開口を有する投入部2を備え、他端に排出口8を有する排出部3を備えた筒状であり、その内周面9に螺旋状の送り羽根4を備える。投入側支持部5は、投入口6を備え、貯留部1を投入部2において回転可能にシールして支持する。邪魔板部20は、投入口6の周囲から他端側に向け突出する部位であり、貯留部1に連通する連通口21と突出部22とを形成されてなる。突出部22は、回転中心軸Cを通る鉛直面Vを挟んだ左右両側のうち、被処理物Gが貯留部1内の一端側から他端側に送られる回転方向において被処理物Gが掻き上げられる側の側面に、貯留部1の内周面9との間隔が回転方向に向かって漸次的に狭くなった後、漸次的に広くなるように突設される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
略水平方向に延伸した回転中心軸の周りに回転可能に形成され、一端に開口を有する投入部を備え、他端に被処理物が排出される開閉可能な排出口を有する排出部を備えた筒状であって、前記一端側から前記他端側に向かい内周面に螺旋状に設置される送り羽根を備えた貯留部と、
前記被処理物が投入される投入口を備え、前記貯留部を前記投入部において回転可能にシールして支持する投入側支持部と、
前記投入口の周囲から前記他端側に向け突出する邪魔板部と、を備え、
前記邪魔板部は、前記貯留部に連通して前記投入口から前記被処理物を供給する連通口と、前記回転中心軸を通る鉛直面を挟んだ左右両側のうち、前記貯留部内の前記被処理物が前記一端側から前記他端側に送られる回転方向において前記被処理物が前記貯留部の回転により掻き上げられる側の前記邪魔板部の側面に、前記側面と向かい合う前記貯留部の内周面との間隔が回転方向に向かって漸次的に狭くなった後、漸次的に広くなるように突設された突出部と、を形成されてなる貯留排出装置。
【請求項2】
前記突出部は、前記他端側から見た外周形状が角部を含まず周全体として漸次的に変化する曲線を描くように形成される請求項1に記載の貯留排出装置。
【請求項3】
前記邪魔板部は、前記他端側の先端から前記一端側に向かって上方に傾斜する上部傾斜面と、前記他端側の先端から前記一端側に向かって下方に傾斜する下部傾斜面と、を備える請求項1に記載の貯留排出装置。
【請求項4】
前記邪魔板部の前記先端は、前記貯留部の径方向から見て前記下部傾斜面が前記送り羽根と交差する位置まで突出して形成される請求項3に記載の貯留排出装置。
【請求項5】
前記連通口が、前記突出部の下部に延伸して開口する請求項1から3のいずれか1項に記載の貯留排出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転ドラム型の貯留部を備える貯留排出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、集合住宅や商業施設において収集されるごみ等の被処理物を一時的に圧縮して貯留し、貯留された被処理物を適宜ごみ収集車等へと排出する貯留部を備えた貯留排出装置が知られている。貯留部の内部には、内周面に沿って螺旋状に配置された羽根板が設けられる。貯留部を回転させることで、被処理物が羽根板(送り羽根)によって貯留部の奥へと押し込まれ、圧縮される。
【0003】
この種の貯留排出装置において、貯留部の内部における被処理物の流れや動きを制御するための構造物が投入口の近傍に設置されることがある。例えば特許文献1には、塵芥を貯留する回転ドラムの投入口近傍に、半円筒状の挿入部を固定した塵芥貯留装置が記載されている。
この挿入部は、中心軸が回転ドラムの中心に対して塵芥の進み方向に偏心するように配置されている。また、挿入部の周面と回転ドラムの内周面との径方向の隙間について、回転の前側(投入口よりも回転の下流側)の隙間が、回転方向の後側(投入口よりも回転の上流側)の隙間よりも狭くなるように設定されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、回転方向の前側の隙間を狭く設定した場合、被処理物が満杯近くまで投入されたときに、隙間の狭い前側に送られた被処理物が隙間に詰まりやすく堆積しやすい。これにより、前側に送りきれない被処理物が投入口の近傍に戻って堆積し、十分な貯留容量が得られないという課題がある。また、被処理物の噛み込みによって回転ドラムを駆動する駆動装置の負荷が増大することもある。したがって、過負荷による機器の破損や故障が生じるおそれがある。
【0006】
本発明は、上記のような課題に鑑み案出されたものであり、被処理物を効率よくスムーズに圧縮して貯留容量を増加させることができるようにした貯留排出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
開示の貯留排出装置は、略水平方向に延伸した回転中心軸の周りに回転可能に形成され、一端に開口を有する投入部を備え、他端に被処理物が排出される開閉可能な排出口を有する排出部を備えた筒状であって、前記一端側から前記他端側に向かい内周面に螺旋状に設置される送り羽根を備えた貯留部と、前記被処理物が投入される投入口を備え、前記貯留部を前記投入部において回転可能にシールして支持する投入側支持部と、前記投入口の周囲から前記他端側に向け突出する邪魔板部と、を備える。
前記邪魔板部は、前記貯留部に連通して前記投入口から前記被処理物を供給する連通口と、前記回転中心軸を通る鉛直面を挟んだ左右両側のうち、前記貯留部内の前記被処理物が前記一端側から前記他端側に送られる回転方向において前記被処理物が前記貯留部の回転により掻き上げられる側の前記邪魔板部の側面に、前記側面と向かい合う前記貯留部の内周面との間隔が回転方向に向かって漸次的に狭くなった後、漸次的に広くなるように突設された突出部と、を形成されてなる。
【発明の効果】
【0008】
開示の貯留排出装置によれば、被処理物を効率よくスムーズに圧縮して貯留容量を増加させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施例に係る貯留排出装置の構成を説明するための斜視図である。
【
図3】(A)は
図2に示す邪魔板部の正面図、(B)は邪魔板部の断面図、(C)は邪魔板部の斜視図である。
【
図4】(A)~(D)は貯留部内での被処理物の動きを示す図(邪魔板部の正面図)である。
【
図5】貯留部内での被処理物の動きを示す図(邪魔板部の断面図)である。
【
図6】(A)~(E)は変形例に係る貯留排出装置の構成を説明するための図であり、(A)及び(B)は邪魔板部の正面図、(C)は邪魔板部の斜視図、(D)は貯留部の側面図、(E)は邪魔板部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、
図1~
図6を用いて実施例及び変形例に係る貯留排出装置10を説明する。以下に示す実施例及び変形例は、あくまでも例示に過ぎず、明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。以下の各構成は、それらの趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施できる。また、以下の各構成は、本発明に必須の構成を除いて必要に応じて取捨選択でき、あるいは公知の構成と組み合わせ可能である。
【0011】
[1.構成]
図1は、実施例に係る貯留排出装置10の構成を説明するための斜視図である。この貯留排出装置10は、被処理物G(ごみ)を一時的に貯留するための中空筒状の部材である貯留部1(回転ドラム)を備える。貯留部1は、架台14の上に回転可能に設けられる。架台14は、例えば鋼材やパイプを組み合わせて構築される枠体であり、複数の支持脚によって地面の上方に支持される。貯留部1と架台14との間には、貯留部1をその筒軸C(回転中心軸)のまわりに回転可能に支持する支持ローラ15が挟装される。
【0012】
図1に示す貯留部1は筒軸Cの周りに回転可能な筒状に形成される。貯留部1の軸方向(筒軸Cに沿った方向)の一端には、被処理物Gの入口側となる開口を有する投入部2が設けられる。投入部2は筒軸Cを中心として、貯留部1の最大直径以下の直径を有する略筒状に構成される。投入部2は、後述する投入側支持部5によって閉塞される。投入部2は筒軸Cを中心として開口に向かって拡大するテーパ部を有してもよい。
一方、貯留部1の軸方向の他端には、被処理物Gの出口側となる排出口8を有する排出部3が設けられる。排出部3は筒軸Cを中心として、貯留部1の最大直径以下の直径を有する略筒状に構成される。排出部3は、後述する排出口蓋11によって閉塞される。排出部3は筒軸Cを中心として排出口8に向かって拡大するテーパ部を有してもよい。
以下の説明では、貯留部1の筒軸C方向において、被処理物Gを排出する側を単に排出側、被処理物Gが投入される側を単に投入側と称する。
【0013】
貯留部1の内部には、その内周面9から内側に向かって立設された送り羽根4が設けられる。送り羽根4は、貯留部1の軸方向の一端から他端に向かって、貯留部1の内周面9に螺旋状に設置される。貯留部1を筒軸Cまわりに回転させることで、内周面9に対する送り羽根4の見かけの位置が筒軸Cに沿った方向へと移動する。これにより、貯留部1の内部に貯留される被処理物Gが筒軸Cに沿って送り羽根4に押圧され、貯留部1の一端側(投入側)から他端側(排出側)へと搬送される。
【0014】
貯留部1は、図示しないモータやアクチュエータ等の駆動装置によって回転駆動される。駆動装置の作動状態は、手動で制御してもよいし、電子制御装置によって自動的に制御されるようにしてもよい。また、貯留部1の回転駆動に際し、貯留部1の外周にギヤやプーリを取り付けて駆動しやすくしてもよいし、駆動装置と貯留部1との間に変速機や各種動力伝達装置(ギヤやチェーンやタイミングベルト等)を介装させてもよい。
【0015】
実施例の貯留部1は排出側から見て反時計回りに回転するように構成され、必要に応じて時計回りにも回転可能となるように構成される。
図1に示す例では、螺旋状の送り羽根4が筒軸Cまわりに回転しながら搬送方向に延伸する方向が、左手回りに設定されている。これに対し、被処理物Gの搬送方向を基準とした貯留部1の回転方向は、右手回り(左手回りの逆回転方向)に設定されている。筒軸Cの延設方向は、水平であってもよいし、投入側から排出側に向かって下り勾配で傾斜させてもよく、あるいは上り勾配で傾斜させてもよい。また、架台14の排出側にはスラスト軸受部32が設置されうる。スラスト軸受部32は、排出部3の外周に配設されたスラスト支持部33を介して貯留部1を筒軸C方向に支持し、被処理物Gが押圧されて貯留されることに伴って筒軸Cの延設方向に作用する荷重を負担させてもよい。
【0016】
投入側支持部5は、投入部2において貯留部1を回転可能にシールした状態で支持する機能を持つ。投入側支持部5は、例えば貯留部1の一端の外径より大きい板状の部材で、投入部2に対応する径の図示しない軸受(ベアリング)等の摺動部材を介して貯留部1を回転可能に支持する。言いかえれば、貯留部1は、筒軸C方向の一端面を投入側支持部5によって閉塞された姿勢で、筒軸Cまわりに回転可能に支持される。投入側支持部5は、架台14に固定され、貯留部1の回転に際し、投入側支持部5は回転しない。
【0017】
図2に示すように、投入側支持部5には、被処理物Gを貯留部1の内部へ投入するための開口部である投入口6が設けられる。投入口6には投入口6を開閉自在に閉塞する投入口扉7が設けられる。あるいは、図示しない投入用シュートが投入口6に連結されてもよく、この場合に壁等で仕切られる別の空間に設置された投入口扉7から投入用シュートを用いて被処理物Gが供給されてもよい。投入口扉7を開けて人力による投入がなされる場合、投入時以外は投入口6が投入口扉7によって閉止され、機械式鍵や電子鍵などで施錠されるようになっている。あるいは、被処理物Gは機械式投入装置によって投入口6に投入されてもよい。
【0018】
図3(B)中に細実線で示すように、投入口扉7の内側には、投入口扉7の開閉に連動して開口の向きが変更され、被処理物Gを一時的に保持しうる器状に形成されたバケット13が固定されうる。投入口扉7を開放した状態で投入口6の外部に開口を向けたバケット13に投入された被処理物Gは、投入口扉7を閉じたときにバケット13の開口が貯留部1の内部に向けられて、貯留部1の内部へと流れ落ちるようになっている。また、バケット13の代わりに、あるいはバケット13の下方に、排出側に向かって下方に傾斜するシュートを設置してもよい。シュートを設けることで、被処理物Gが投入口6の近傍に残留することなく貯留部1の内部に投入される。
【0019】
排出口蓋11は開閉装置12により開閉駆動され、排出口8を開閉自在に閉塞する。排出口8が閉状態のとき、排出口蓋11は排出口8を回転可能にシールした状態で閉塞する。
【0020】
貯留部1の内部における一端側となる投入側支持部5の投入口6の周囲には、貯留部1の他端側に向かって突出する形状に形成された邪魔板部20が取り付けられる。邪魔板部20には、少なくとも連通口21と突出部22とが設けられる。実施例の邪魔板部20は、筒軸Cを通る鉛直面について左右非対称(非鏡面対称)の形状に形成される。
図3(A)~(C)に例示する邪魔板部20には、これらに加えて、先端面23、上部傾斜面24、下部傾斜面25、上部側面26、下部側面27が設けられる。
【0021】
連通口21は、投入口6から投入される被処理物Gを貯留部1の内部に導入するための通路となる開口部であり、貯留部1に連通するように形成される。連通口21は、
図3(A)~(C)に示すように、邪魔板部20の下部(下面)に配置される。なお、
図3(B)中に細実線で示すように、バケット13やシュート等が投入口扉7の内側に設けられる場合には、それらに干渉しない大きさの連通口21が形成される。
【0022】
突出部22は、邪魔板部20において、筒軸Cを通る鉛直面V〔
図3(A)中に破線で示す〕を挟んだ左右両側のうち、貯留部1内の被処理物Gが一端側から他端側に搬送される貯留部1の回転方向において、被処理物Gが掻き上げられる側〔
図3(A)中の右側〕の側面に設けられる。突出部22は、貯留部1の内周面9との間隔が回転方向に向かって漸次的に狭くなった後、漸次的に広くなるように突設される。
図3(A)に示す突出部22は、邪魔板部20の側面の下部に設けられている。この突出部22は、投入側支持部5の板面から排出側に向かって延出する略三角柱状に形成され、突出上面部28と突出下面部29と突出先端面30とを備える。突出上面部28及び突出下面部29は、略三角柱の側面に対応する部位をなし、突出先端面30は略三角柱の頂面に対応する部位をなす。
【0023】
突出上面部28は、突出部22の上部に配置されて上向きの法線を有する平面状の部位であり、突出下面部29は、突出部22の下部に配置されて下向きの法線を有する平面状の部位である。筒軸Cに垂直な断面における突出部22と貯留部1の内周面9との距離(隙間寸法)は、突出上面部28と突出下面部29との境界で最小となる。
図3(A)に示す例では、突出上面部28と突出下面部29との稜線のうち、最も排出側の端部で隙間寸法が最小となっている。突出先端面30は、突出部22における排出側の端面をなす部位であり、後述する下部傾斜面25と突出上面部28との間を平面状に接続している。
【0024】
先端面23(先端)は、邪魔板部20において排出側の端面をなす部位である。また、上部傾斜面24は、邪魔板部20の上部に配置されて上向きの法線を有する平面状の部位であり、先端面23から投入側に向かって上方に傾斜するように形成される。上部傾斜面24は、
図3(A)中の右側と左側とに一枚ずつ設けられる。また、下部傾斜面25は、邪魔板部20の下部に配置されて下向きの法線を有する平面状の部位であり、先端面23から投入側に向かって下方に傾斜するように形成される。下部傾斜面25の下端は投入口6の下端よりも下方になるように配置されうる。このように下部傾斜面25を形成することで、投入された被処理物Gの投入側への戻りを抑制する効果を上げることができる。
【0025】
先端面23は、邪魔板部20を貯留部1の径方向外側から径方向内側に向かって眺めたときに、下部傾斜面25が少なくとも送り羽根4と交差する位置まで突出して形成される。言い換えれば、送り羽根4のうち最も投入部2に近い部位と投入部2との距離が、投入部2から先端面23までの距離よりも短くなるように、邪魔板部20の突出長さが設定される。
【0026】
上部側面26は、先端面23の側方に配置される平面状の部位であり、先端面23と上部傾斜面24との間を平面状に接続するように設けられる。上部側面26は、先端面23を基準として
図3(A)中の右側と左側とに一枚ずつ設けられる。また、下部側面27は、下部傾斜面25の側方に配置される平面状の部位であり、下部傾斜面25と上部側面26との間を平面状に接続するように設けられる。下部側面27は、下部傾斜面25を基準として
図3(A)中の左側のみに設けられる。下部傾斜面25の右側には、前述した突出部22が突設される。なお下部側面27を、下部傾斜面25を基準として
図3(A)中の右側にも設け、下部側面27に突出部22を突設してもよい。
【0027】
投入口6から投入された被処理物Gは、邪魔板部20の連通口21を介して貯留部1の内部に供給される。被処理物Gは、貯留部1の回転によって掻き上げられた後に落下し、再び掻き上げられる。このような掻き上げと落下とを繰り返しながら、送り羽根4によって排出側へと送給されて貯留される。貯留部1の作動状態は、手動で制御してもよいし、電子制御装置による自動制御が実施されるようにしてもよい。後者の場合、被処理物検知センサの検出信号に基づく制御を実施してもよいし、投入口6の開閉状態に基づく制御を実施してもよい。また、貯留部1の回転駆動時間をタイマーで制御してもよい。貯留された被処理物Gは、排出口蓋11を開いたまま貯留部1を回転させることにより排出口8から貯留部1の外部に排出され、図示しない排出用シュートや排出用コンベヤ等で配送して収集車等により回収される。
【0028】
邪魔板部20内部には、連通口21よりも先端面23側の上部傾斜面24と下部傾斜面25との間を遮蔽する遮蔽面31を配置してもよい。遮蔽面31が配置されることで邪魔板部20の強度が増す補強がされると共に、邪魔板内部の空間が制限され、被処理物Gが連通口21よりも先端面23側に入り込んで邪魔板部20内部に滞留することがなく、連通口21からスムーズに貯留部1内に供給される。
【0029】
[2.作用及び効果]
図4(A)~(D)は、貯留部1内での被処理物Gの動きを説明するための図であって、邪魔板部20の正面図(排出側から投入側に向かって眺めたときの正面図)である。貯留部1の回転方向は、
図4(A)~(D)において反時計回りである。
【0030】
貯留部1内に投入された被処理物Gは、送り羽根4によって掻き上げられ、貯留部1の内周面9に押し付けられて圧縮されながら、反時計回りに移動する。突出部22は、掻き上げられた被処理物Gが連通口21の近傍に戻らないようにするためのストッパーとして機能する。これにより、
図4(B)に示すように、連通口21の周辺に被処理物Gを掻き上げて送り込む空間Sが確保され、新しく投入される被処理物Gの送給がスムーズになる。
【0031】
突出部22は、貯留部1の内周面9との間隔が回転方向に向かって漸次的に狭くなった後、漸次的に広くなる形状となっている。これにより、被処理物Gは、突出部22と内周面9との間で徐々に圧縮されるため、貯留部1の駆動装置に余分な負荷がかかることがない。また、
図4(C)に示すように、突出部22の上方にも適度な空間Sが確保される。これにより、最も狭い部分を通過した被処理物Gは、抵抗なく突出部22の上方側へと移動する。
【0032】
このように、被処理物Gの噛み込みによって貯留部1の駆動装置に余分な負荷がかかることがなく、過負荷による機器の破損や故障が防止される。また、突出部22を邪魔板部20の側面の下部に形成することで、被処理物Gを早めに圧縮させることができる。これにより、被処理物Gを送りこみ易くして掻き上げ時に装置に余分な負荷がかかることを軽減することができる。その後、送り羽根4によって掻き上げられた被処理物Gは、
図4(D)に示すように邪魔板部20の上方まで移動し、自重により上部傾斜面24の上に落下する。この被処理物Gは、邪魔板部20の先端面23よりも奥の排出側へと移送される。
【0033】
実施例に係る貯留排出装置10は、以下の効果を奏する。
(1)被処理物Gが満杯近くになっても、排出側にさらに被処理物Gを送り込むことができる。したがって、例えば突出部22が形成されていない邪魔板部20を備えた従来の貯留排出装置と比較して、圧縮率をおよそ二倍まで向上させることができ、貯留量を増加させることができる。したがって、開示の貯留排出装置10によれば、被処理物Gを効率よくスムーズに圧縮して貯留容量を増加させることができる。また、圧縮率が上昇することから、貯留部1を小型化することができる。さらに、小型化しても十分な貯留量を得ることができるので、製造及び設置のコストを下げることができ、置き場のスペースを有効に活用できる。
【0034】
(2)上記の実施例では、邪魔板部20に上部傾斜面24と下部傾斜面25とが設けられる。上部傾斜面24により、内周面9から落下した被処理物Gを排出側に送り込むことができる。また、下部傾斜面25により、被処理物Gが詰まりやすい送り羽根4の間に被処理物Gを送るための空間Sを確保しつつ、回転により果汁を絞るように被処理物Gを内周面9側に押し込む力を与えることができる。これにより、貯留部1が満杯近くになっても、被処理物Gを効率よく排出側に送り込むことができる。
【0035】
(3)上記の実施例では、邪魔板部20の先端面23が、貯留部1の径方向から見て下部傾斜面25が送り羽根4と交差する位置まで突出して形成されている。これにより、上部傾斜面24の上を流れ落ちる被処理物Gを排出側の奥の方まで送り込むことができ、被処理物Gの貯留容量を増加させることができる。また、
図5に示すように、下部傾斜面25の下方に確保される空間Sを大きくすることができる。
【0036】
[3.変形例]
図6(A)~(E)は、変形例に係る貯留排出装置10の構成を説明する図である。
上記の実施例では、突出上面部28と突出下面部29とを備えた突出部22を例示したが、突出部22の具体的な形状はこれに限定されない。例えば、突出部22を排出側から見て外周が湾曲する形状、すなわち外周が角部を含まない形状に形成してもよい。
図6(A)に示す突出部22′は、排出側から見た外周形状が角部を含まず周全体として漸次的に変化する曲線(例えば円弧)を描くように形成される。このような構成により、被処理物Gをよりスムーズに送ることができる。なお、被処理物Gをよりスムーズに送るため、
図6(E)のように、突出部22だけでなく先端面23、上部傾斜面24、下部傾斜面25、上部側面26、並びに下部側面27といった邪魔板部20’’’の全体を滑らかな曲面状に形成してもよい。
【0037】
上記の実施例では、筒軸Cを通る鉛直面について左右非対称(非鏡面対称)の形状に形成された邪魔板部20を例示したが、筒軸Cを通る鉛直面と平行な平面について左右対称(鏡面対称)の形状に形成してもよい。この場合、筒軸Cを通る鉛直面から対称面をずらして配置することで、邪魔板部20の側面側の隙間寸法を小さくすることができ、邪魔板部20の一部を突出部22として機能させることができる。
【0038】
上記の実施例では、突出部22を除く邪魔板部20の全体形状がほぼ左右対称(鏡面対称)の形状であり、突出部22を付加することで左右非対称(非鏡面対称)の形状となっている。このような構造は、例えば突出部22を持たない既設の邪魔板部20に突出部22を追加するような場合に有益であり、コスト面でも有利である。一方、
図6(B)に示すように、あらかじめ邪魔板部20′の全体形状を左右非対称(非鏡面対称)の形状に形成しておくことも可能である。
【0039】
また、
図6(C)に示すように、邪魔板部20″の突出下面部29を省略し、連通口21を突出部22の下部に延伸させてもよい。このように連通口21を拡張することで、被処理物Gを掻き上げる側(送り側)に多くの被処理物Gを供給することができ、被処理物Gを素早く掻き上げて送り出すことができる。
【0040】
上記の実施例では、一条の送り羽根4を有する貯留部1を例示したが、送り羽根4の数を複数にすることも可能である。例えば
図6(D)に示すように、送り羽根4とは位相の異なる第二送り羽根4′を設けてもよい。このように複数の送り羽根4、4′を設けることで、より効率よく被処理物Gを送りこむことができる。第二送り羽根4′は、第一送り羽根4より設置される長さを短くし、邪魔板部20の先端面23までの間に配置されてもよい。例えば
図6(D)のように貯留部1の投入側から邪魔板部20の先端面23までの間に配置すると、被処理物Gが排出側で圧縮されすぎることを防止できる。なお、送り羽根4、4′が多い方が被処理物Gを送る能力が上がるが、上記の実施例では邪魔板部20の形状により被処理物Gを送る能力が上がっているので、少ない羽根数でも十分な送り能力を維持できる。
【符号の説明】
【0041】
1 貯留部
2 投入部(開口)
3 排出部
4 送り羽根
5 投入側支持部
6 投入口
7 投入口扉
8 排出口
9 内周面
10 貯留排出装置
11 排出口蓋
12 開閉装置
13 バケット
14 架台
15 支持ローラ
20 邪魔板部
21 連通口
22 突出部
23 先端面(先端)
24 上部傾斜面
25 下部傾斜面
26 上部側面
27 下部側面
28 突出上面部
29 突出下面部
30 突出先端面
31 遮蔽面
32 スラスト軸受部
33 スラスト支持部
C 筒軸(回転中心軸)
G 被処理物
S 空間
V 鉛直面