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特開2023-61034板金加工設備制御装置および板金加工設備制御装置の再起動時の運転再開方法
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  • 特開-板金加工設備制御装置および板金加工設備制御装置の再起動時の運転再開方法 図1A
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  • 特開-板金加工設備制御装置および板金加工設備制御装置の再起動時の運転再開方法 図11A
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023061034
(43)【公開日】2023-05-01
(54)【発明の名称】板金加工設備制御装置および板金加工設備制御装置の再起動時の運転再開方法
(51)【国際特許分類】
   B21D 28/00 20060101AFI20230424BHJP
   B23Q 15/00 20060101ALI20230424BHJP
   B23Q 41/08 20060101ALI20230424BHJP
【FI】
B21D28/00 Z
B23Q15/00 D
B23Q41/08 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021170781
(22)【出願日】2021-10-19
(71)【出願人】
【識別番号】390014672
【氏名又は名称】株式会社アマダ
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】石坂 知広
(72)【発明者】
【氏名】片岡 雅生
(72)【発明者】
【氏名】寺田 恵美
【テーマコード(参考)】
3C042
4E048
【Fターム(参考)】
3C042RJ13
3C042RL13
4E048AD02
(57)【要約】
【課題】板金加工機およびその周辺装置の運転中に自装置が再起動したときに、当該板金加工機およびその周辺装置の運転を自動で迅速に再開させることが可能な板金加工設備制御装置を提供する。
【解決手段】ライン制御端末30は記憶部31と動作制御部333とアプリケーション起動制御部332とを備える。動作制御部333は加工制御用アプリケーションを起動して板金加工機11およびその周辺装置を所定の運転スケジュールで運転させ、実行中の処理に関する進捗情報を内部進捗情報として保持する。アプリケーション起動制御部332は板金加工機11および周辺装置の運転中に自ライン制御端末30が再起動すると再起動前に保持された内部進捗情報を記憶部31に記憶させた後、加工制御用アプリケーションを起動させ、記憶した内部進捗情報と、板金加工機および周辺装置から取得した実行中進捗情報とに基づいて板金加工機および周辺装置の運転を再開させる。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
板金加工機および前記板金加工機の周辺装置に通信可能に接続された板金加工設備制御装置であって、
記憶部と、
加工制御用アプリケーションを起動して前記板金加工機および前記周辺装置を予め設定された運転スケジュールで運転させることで板金加工に係る処理を実行させ、前記加工制御用アプリケーションで実行中の前記処理に関する進捗情報を内部進捗情報として保持する動作制御部と、
前記板金加工機および前記周辺装置の運転中に自板金加工設備制御装置が再起動して前記板金加工機および前記周辺装置の運転が停止すると、再起動前に前記動作制御部に保持された内部進捗情報を前記記憶部に記憶させた後、前記動作制御部内の内部進捗情報を初期化して前記加工制御用アプリケーションを起動させ、前記板金加工機および前記周辺装置で現在実行中の処理に関する進捗情報を実行中進捗情報として取得し、前記記憶部に記憶した内部進捗情報と、取得した実行中進捗情報とに基づいて前記処理に関する前記板金加工機および前記周辺装置の運転を再開させるアプリケーション起動制御部と、を備えた板金加工設備制御装置。
【請求項2】
前記アプリケーション起動制御部は、前記板金加工機および前記周辺装置の運転中に自装置が再起動したときに取得した前記実行中進捗情報に基づいて前記運転スケジュール内における現在実行中の処理ステータスを特定し、特定した処理ステータスに応じた所定の再開前処理を実行後、前記板金加工機および前記周辺装置の運転を再開させる、請求項1に記載の板金加工設備制御装置。
【請求項3】
前記アプリケーション起動制御部は、前記板金加工機および前記周辺装置の運転中に自装置が再起動したときに取得した前記実行中進捗情報と、前記記憶部に記憶した前記内部進捗情報とが異なる場合には、前記内部進捗情報を前記実行中進捗情報で差し替え、差し替え後の内部進捗情報を用いて前記板金加工機および前記周辺装置の運転を再開させる、請求項1または2に記載の板金加工設備制御装置。
【請求項4】
前記板金加工に係る処理は、1枚の板金の中の複数箇所に対して実行する処理を含み、前記内部進捗情報は、加工処理中の板金内で加工済みの箇所数の情報を含む、請求項1~3いずれか1項に記載の板金加工設備制御装置。
【請求項5】
板金加工機および前記板金加工機の周辺装置に通信可能に接続され、記憶部を備えた板金加工設備制御装置が、
加工制御用アプリケーションを起動して前記板金加工機および前記周辺装置を予め設定された運転スケジュールで運転させることで板金加工に係る処理を実行させ、前記加工制御用アプリケーションで実行中の前記処理に関する進捗情報を内部進捗情報として保持し、
前記板金加工機および前記周辺装置の運転中に再起動して前記板金加工機および前記周辺装置の運転が停止すると、再起動前に保持した内部進捗情報を前記記憶部に記憶させた後、保持した内部進捗情報を初期化して前記加工制御用アプリケーションを起動させ、前記板金加工機および前記周辺装置で現在実行中の処理に関する進捗情報を実行中進捗情報として取得し、前記記憶部に記憶した内部進捗情報と、取得した実行中進捗情報とに基づいて前記処理に関する前記板金加工機および前記周辺装置の運転を再開させる、板金加工設備制御装置の再起動時の運転再開方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、板金加工設備制御装置および板金加工設備制御装置の再起動時の運転再開方法に関する。
【背景技術】
【0002】
板金加工設備では、板金加工機およびその周辺機器の動作を、これらの機器に通信可能に接続された板金加工設備制御装置であるライン制御端末で加工制御用のアプリケーションを利用して制御している。ライン制御端末は例えばPC(パーソナルコンピュータ)等で構成され、当該ライン制御端末の不調、OS(Operating System)の自動アップデート、または商用電源の停電等、予期せぬ理由により自動で再起動することがある。
【0003】
ライン制御端末は、再起動すると、当該ライン制御端末内に保持されている再起動前のアプリケーション動作に関する内部情報を初期化してから当該アプリケーションを起動させる。
【0004】
このようにライン制御端末内のアプリケーション動作に関する内部情報が初期化されると、ライン制御端末と、板金加工機および周辺装置との間で加工処理に関するステータス情報が不整合となる場合がある。この場合、ライン制御端末内のアプリケーション、板金加工機、および周辺装置のいずれも不具合が生じていないにも関わらず、板金加工機および周辺装置の動作が停止してしまう。
【0005】
停止した板金加工機および周辺装置の動作を再開させるには、これらの装置へのリセット操作が必要である。例えば、ブランク加工を行う板金加工機と、周辺装置として切断加工されたパーツを板金加工機から取り出すテイクアウト装置とを用いる板金加工設備において、中断した板金加工機およびテイクアウト装置の動作を再開させる方法としては、以下の2つがある。
【0006】
方法1) 板金加工機で加工中の板金(ワーク)を不良シートとして板金加工機から手動で取り外すとともに、テイクアウト装置で取り出し中のパーツを手動で集積位置に配置させた後、板金加工機およびテイクアウト装置をリセットして加工動作を再開させる操作を行う。
【0007】
方法2) 板金加工機にワークを設置したままの状態で板金加工機およびテイクアウト装置をリセットして、加工に用いる原点位置の復帰操作を手動で行い、加工動作の再開位置を指定して運転を再開させる操作を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2015-53016号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記の方法1)により各装置の動作を再開させる場合には、ワークを取り外す処理、およびテイクアウト装置で取り出し中のパーツを移動させる処理に手間および時間がかかるという問題があった。また、方法1)で各装置の動作を再開させると、加工中のワークが不良シートとなり、材料に無駄が生じるという問題があった。
【0010】
また方法2)により各装置の動作を再開させる場合には、材料に無駄が生じることは回避できるが、加工動作の再開位置の判断が困難であり、判断を誤ると操作ミスによりワークの加工不良に繋がる場合があるという問題があった。
【0011】
本発明の一態様は、制御対象である板金加工機およびその周辺装置の運転中に自装置が再起動したときに、当該板金加工機およびその周辺装置の運転を自動で迅速に再開させることが可能な板金加工設備制御装置および板金加工設備制御装置の再起動時の運転再開方法にある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一態様の板金加工設備制御装置は、板金加工機および前記板金加工機の周辺装置に通信可能に接続された板金加工設備制御装置であって、記憶部と、加工制御用アプリケーションを起動して前記板金加工機および前記周辺装置を予め設定された運転スケジュールで運転させることで板金加工に係る処理を実行させ、前記加工制御用アプリケーションで実行中の前記処理に関する進捗情報を内部進捗情報として保持する動作制御部と、前記板金加工機および前記周辺装置の運転中に自板金加工設備制御装置が再起動して前記板金加工機および前記周辺装置の運転が停止すると、再起動前に前記動作制御部に保持された内部進捗情報を前記記憶部に記憶させた後、前記動作制御部内の内部進捗情報を初期化して前記加工制御用アプリケーションを起動させ、前記板金加工機および前記周辺装置で現在実行中の処理に関する進捗情報を実行中進捗情報として取得し、前記記憶部に記憶した内部進捗情報と、取得した実行中進捗情報とに基づいて前記処理に関する前記板金加工機および前記周辺装置の運転を再開させるアプリケーション起動制御部と、を備える。
【0013】
また、本発明の一態様の板金加工設備制御装置の再起動時の運転再開方法は、板金加工機および前記板金加工機の周辺装置に通信可能に接続され、記憶部を備えた板金加工設備制御装置が、加工制御用アプリケーションを起動して前記板金加工機および前記周辺装置を予め設定された運転スケジュールで運転させることで板金加工に係る処理を実行させ、前記加工制御用アプリケーションで実行中の前記処理に関する進捗情報を内部進捗情報として保持し、前記板金加工機および前記周辺装置の運転中に再起動して前記板金加工機および前記周辺装置の運転が停止すると、再起動前に保持した内部進捗情報を前記記憶部に記憶させた後、保持した内部進捗情報を初期化して前記加工制御用アプリケーションを起動させ、前記板金加工機および前記周辺装置で現在実行中の処理に関する進捗情報を実行中進捗情報として取得し、前記記憶部に記憶した内部進捗情報と、取得した実行中進捗情報とに基づいて前記処理に関する前記板金加工機および前記周辺装置の運転を再開させる。
【0014】
上述した板金加工設備制御装置および板金加工設備制御装置の再起動時の運転再開方法は、制御対象である板金加工機およびその周辺装置の運転中に自装置が再起動したときに、再起動前に自装置内に保持した内部進捗情報と、板金加工機およびその周辺装置から取得した現在実行中の処理に関する実行中進捗情報を用いることで、当該板金加工機およびその周辺装置の運転を自動で迅速に再開させることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の一態様の板金加工設備制御装置および板金加工設備制御装置の再起動時の運転再開方法によれば、制御対象である板金加工機およびその周辺装置の運転中に自装置が再起動したときに、当該板金加工機およびその周辺装置の運転を自動で迅速に再開させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1A図1Aは、一実施形態の板金加工設備制御装置としてのライン制御端末を用いた板金加工システム内のライン制御端末、PLC、およびNC装置の構成を示すブロック図である。
図1B図1Bは、一実施形態の板金加工設備制御装置としてのライン制御端末を用いた板金加工システム内のブランクセルの構成を示すブロック図である。
図2図2は、一実施形態の板金加工設備制御装置としてのライン制御端末が記憶する、板金加工のための運転スケジュール情報に関する説明図である。
図3A図3Aは、一実施形態の板金加工設備制御装置としてのライン制御端末と、板金加工機の周辺装置を制御するPLCとが、板金加工時に実行する処理内容を示すシーケンス図である。
図3B図3Bは、一実施形態の板金加工設備制御装置としてのライン制御端末と、板金加工機の周辺装置を制御するPLCとが、板金加工時に実行する処理内容を示すシーケンス図である。
図4図4は、一実施形態による板金加工設備制御装置としてのライン制御端末で再起動が行われた後に実行される処理を示すフローチャートである。
図5図5は、一実施形態による板金加工設備制御装置としてのライン制御端末の再起動後、PLCの処理ステータスが加工スケジュール情報要求中である場合に、アプリケーション起動制御部が実行する加工処理再開のための前処理を示すフローチャートである。
図6図6は、一実施形態による板金加工設備制御装置としてのライン制御端末の再起動後、PLCの処理ステータスが加工前シート数更新待ち状態である場合に、アプリケーション起動制御部が実行する加工処理再開のための前処理を示すフローチャートである。
図7図7は、一実施形態による板金加工設備制御装置としてのライン制御端末の再起動後、PLCの処理ステータスが印字データセット要求中である場合に、アプリケーション起動制御部が実行する加工処理再開のための前処理を示すフローチャートである。
図8図8は、一実施形態による板金加工設備制御装置としてのライン制御端末の再起動後、PLCの処理ステータスが切断加工データセット要求中である場合に、アプリケーション起動制御部が実行する加工処理再開のための前処理を示すフローチャートである。
図9図9は、一実施形態による板金加工設備制御装置としてのライン制御端末の再起動後、PLCの処理ステータスがTKデータセット要求中である場合に、アプリケーション起動制御部が実行する加工処理再開のための前処理を示すフローチャートである。
図10図10は、一実施形態による板金加工設備制御装置としてのライン制御端末の再起動後、PLCの処理ステータスが加工済みシート数更新待ち状態である場合に、アプリケーション起動制御部が実行する加工処理再開のための前処理を示すフローチャートである。
図11A図11Aは、他の実施形態の板金加工設備制御装置としてのライン制御端末を用いた板金加工システム内のライン制御端末、PLC、およびNC装置の構成を示すブロック図である。
図11B図11Bは、他の実施形態の板金加工設備制御装置としてのライン制御端末を用いた板金加工システム内のブランクセルの構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、一実施形態の板金加工設備制御装置としてのライン制御端末を利用した板金加工システム1Aの構成について、添付図面を参照して説明する。図1Aは、一実施形態の板金加工設備制御装置としてのライン制御端末を用いた板金加工システム内のライン制御端末、PLC、およびNC装置の構成を示すブロック図である。図1Bは、一実施形態の板金加工設備制御装置としてのライン制御端末を用いた板金加工システム内のブランクセルの構成を示すブロック図である。
【0018】
〈一実施形態による板金加工システムの構成〉
板金加工システム1Aは、ブランクセル10Aと、NC装置21と、PLC(Programmable Logic Controller)22と、ライン制御端末30とを備える。
【0019】
ブランクセル10Aは、板金(シート)から所定形状のパーツを切り出す切断加工を行う板金加工機11と、板金加工機11の周辺装置群12Aとを含む。周辺装置群12Aは、棚装置121と、ローディング装置122と、印字装置123と、テイクアウト装置(TK装置)124と、集積装置125とを有する。
【0020】
棚装置121は、加工対象のシートを積載して保管する。ローディング装置122は複数のパレットPL1~PLn(図示せず)を有し、棚装置121から加工対象のシートを1枚取り出して所定のパレットに積載し、板金加工機11に設置する。印字装置123は、加工対象のシートの所定位置に印字処理を施す。TK装置124は、板金加工機11によりシートから切り出されたパーツを取り出して集積装置125に搬送するテイクアウト処理(TK処理)を実行する。集積装置125は、TK装置124により搬送されたパーツを集積して保管する。
【0021】
NC装置21は、板金加工機11を制御する。PLC22は、棚装置121、ローディング装置122、印字装置123、TK装置124、および集積装置125を制御する。
【0022】
ライン制御端末30は、記憶部31と、操作部32と、CPU33と、表示部34とを有する。記憶部31は、アプリケーション情報記憶部311と、加工処理情報記憶部312と、内部進捗情報記憶部313とを有する。
【0023】
アプリケーション情報記憶部311は、板金加工機11および周辺装置群12Aの装置による板金加工処理を制御するための加工制御用アプリケーション情報を記憶する。加工処理情報記憶部312は、予め設定された、板金加工機11による切断加工内容を示す切断加工データ、TK装置124によるTK処理内容を示すテイクアウトデータ(TKデータ)、印字装置123による印字処理内容を示す印字データ、およびこれらのデータを用いた加工処理の実行順序を示す運転スケジュール情報等を記憶する。内部進捗情報記憶部313は、後述するようにCPU33の処理により切断加工処理の内部進捗情報を記憶する。
【0024】
操作部32は、板金加工システム1Aの操作者による操作情報を入力する。CPU33は、ライン制御端末30の起動処理を制御する端末起動制御部331と、加工制御用アプリケーションを起動して板金加工機11および前記周辺装置を予め設定された運転スケジュールで運転させることで板金加工に係る処理を実行させ、加工制御用アプリケーションで実行中の処理に関する進捗情報を内部進捗情報として保持する動作制御部333と、板金加工機11およびその周辺装置の運転中にライン制御端末30が再起動して板金加工機11およびその周辺装置の運転が停止すると、再起動前に動作制御部333に保持された内部進捗情報を記憶部31の内部進捗情報記憶部313に記憶させた後、動作制御部333内の内部進捗情報を初期化して加工制御用アプリケーションを起動させ、板金加工機11および周辺装置で現在実行中の処理に関する進捗情報を実行中進捗情報として取得し、内部進捗情報記憶部313に記憶した内部進捗情報と、取得した実行中進捗情報とに基づいて前記処理に関する板金加工機11およびその周辺装置の運転を再開させるアプリケーション起動制御部332とを備える。
【0025】
またアプリケーション起動制御部332は、板金加工機11およびその周辺装置の運転中にライン制御端末30が再起動したときに、取得した実行中進捗情報に基づいて板金加工システム1Aの運転スケジュール内における現在実行中の処理ステータスを特定し、特定した処理ステータスに応じた所定の再開前処理を実行後、板金加工機11およびその周辺装置の運転を再開させる。
【0026】
またアプリケーション起動制御部332は、板金加工機11およびその周辺装置の運転中にライン制御端末30が再起動したときに取得した実行中進捗情報と、内部進捗情報記憶部313に記憶した内部進捗情報とが異なる場合には、当該内部進捗情報を当該実行中進捗情報で差し替え、差し替え後の内部進捗情報を用いて板金加工機11およびその周辺装置の運転を再開させる。
【0027】
また板金加工システム1Aが実行する板金加工処理は、1枚のシートの中の複数箇所(パーツ)に対して実行する処理を含み、内部進捗情報は、加工処理中のシート内で加工済みのパーツ数の情報を含む。
【0028】
〈一実施形態による板金加工システムの動作〉
本実施形態による板金加工システム1Aの動作例について説明する。図2は、一実施形態の板金加工設備制御装置としてのライン制御端末が記憶する、板金加工のための運転スケジュール情報に関する説明図である。この切断加工データは、第1ジョブ(JOB)、第2ジョブ、および第3ジョブの3つの処理ジョブの切断加工処理内容を含む。
【0029】
第1ジョブは、加工対象のシート数が1枚であり、シートを板金加工機11に設置し、シート内の所定箇所に印字処理を施して5つのパーツ(パーツP1~P5)を切り出し、切り出した各パーツを取り出す処理を含む。第2ジョブは、加工対象のシート数が2枚であり、シートを板金加工機11に設置し、シート内の所定箇所に印字処理を施して3つのパーツ(パーツP6~P8)を切り出し、切り出した各パーツを取り出す処理を含む。第3ジョブは、加工対象のシート数が2枚であり、シートを板金加工機11に設置し、シート内の所定箇所に印字処理を施して3つのパーツ(パーツP9~P12)を切り出し、切り出した各パーツを取り出す処理を含む。
【0030】
また加工処理情報記憶部312は、第1ジョブ~第3ジョブそれぞれに関するパーツごとの印字データおよびTKデータを記憶する。各印字データには、シート内の印字位置情報および印字内容情報が含まれる。また各TKデータには、シート内のパーツ取り出し位置情報および搬送先である集積装置125の集積位置情報が含まれる。
【0031】
また加工処理情報記憶部312は、板金加工システム1Aの運転スケジュール情報として、第1ジョブ→第2ジョブ→第3ジョブの順に実行し、各ジョブにおいて、シートへの印字処理→各パーツの切断処理→各パーツの取り出し処理(TK処理)の順に実行することを示す情報を記憶する。
【0032】
また、板金加工システム1Aの稼動中、動作制御部333は、処理中のジョブの識別情報、処理中のシートの識別情報、処理中のパーツの識別情報、処理中のジョブによる加工処理予定シート数、棚装置121に積載されている加工前のシート数、集積装置125に集積された加工済みパーツ数、加工中のシートを積載しているパレットの識別情報、加工中のシート内の印字処理実行パーツ数、加工中のシート内のTK処理実行パーツ数、加工実績を示す加工済みシート数等の情報を、実行中の処理に関する内部進捗情報として保持している。
【0033】
本実施形態において板金加工システム1Aの稼動開始時は、図1Bに示すように棚装置121に100枚の加工前のシートW1~W100が保管されている。そして、動作制御部333は、内部進捗情報の加工前シート数として「100枚」の情報を保持し、加工済みパーツ数として「0個」の情報を保持し、加工済みシート数として「0枚」の情報を保持している。
【0034】
図3Aおよび図3Bは、一実施形態の板金加工設備制御装置としてのライン制御端末と、板金加工機の周辺装置を制御するPLCとが、板金加工時に実行する処理内容を示すシーケンス図である。
【0035】
板金加工システム1A内の各装置が起動している状態でループ(1)が開始され、PLC22がライン制御端末30に実行ジョブ情報を要求する(S1)。ライン制御端末30の動作制御部333は、実行ジョブ情報要求を取得すると運転スケジュール情報に基づいて実行対象として第1ジョブを特定して、特定した第1ジョブで実行する処理内容の情報をPLC22に通知する(S2)。PLC22に通知する第1ジョブの処理内容の情報には、第1ジョブにおける処理順序の情報「シートへの印字処理→各パーツの切断処理→各パーツのTK処理」と、加工対象のシート数「1枚」の情報とが含まれる。
【0036】
PLC22に処理対象として第1ジョブに関する情報が通知されると、ループ(2)により第1ジョブの処理が開始される。そして、PLC22の制御により、ローディング装置122が棚装置121から1枚目のシートW1を取り出してパレットPL1に積載し、板金加工機11に設置する。シートW1の設置が完了すると、PLC22がシートW1の設置完了をライン制御端末30に通知する(S3)。
【0037】
ライン制御端末30の動作制御部333は、シートの設置完了通知を取得すると、保持している現在の加工前シート数情報を1枚減算して「99枚」に更新する。また動作制御部333は、加工前シート数情報の更新が完了したことをPLC22に通知する(S4)。
【0038】
PLC22にシート設置完了が通知されると、ループ(3)が開始され、PLC22がライン制御端末30に、印字装置123への印字データセットを要求する(S5)。ライン制御端末30の動作制御部333は、印字データセット要求を取得すると、加工処理情報記憶部312に記憶された第1ジョブのパーツP1に関する印字データを取得して印字装置123に送信する(S6)。
【0039】
印字装置123は、パーツP1の印字データを取得すると、取得した印字データを印字処理対象としてセットし、セット完了をライン制御端末30に通知する。ライン制御端末30の動作制御部333は、印字データのセット完了通知を取得すると(S7)、保持している印字処理実行パーツ数を「1」に更新し(S8)、印字データのセット完了をPLC22に通知する(S9)。
【0040】
PLC22は、印字データのセット完了通知を取得すると、印字装置123にシートW1に対するパーツP1の印字処理を実行させる(S10)。このステップS5~S10の処理は、ループ(3)により、第1ジョブの処理対象である各パーツ(パーツP1~P5)に関して実行される。
【0041】
第1ジョブのシートW1内の5個のパーツすべてに関する印字処理が完了したことにより動作制御部333でカウントしている印字処理実行パーツ数が、第1ジョブで1枚のシートに対して加工するパーツ数「5」に達すると、ループ(3)の処理が完了する。
【0042】
ループ(3)の処理が完了すると、PLC22はライン制御端末30に、NC装置21への切断加工データセットを要求する(S11)。ライン制御端末30の動作制御部333は、PLC22から取得した要求に基づいて、加工処理情報記憶部312に記憶された第1ジョブの切断加工データを取得して、NC装置21に送信する(S12)。
【0043】
NC装置21は、切断加工データを取得すると、取得した切断加工データを加工処理対象としてセットし、セット完了をライン制御端末30に通知する。ライン制御端末30の動作制御部333は、切断加工データのセット完了通知を取得すると、切断加工データのセット完了をPLC22に通知する(S13)。
【0044】
NC装置21は、セットした切断加工データに基づいて、板金加工機11にシートW1からパーツP1~P5を切り出す切断加工を実行させる。当該切断加工処理が完了すると、NC装置21はライン制御端末30に切断加工完了を通知する。ライン制御端末30の動作制御部333はNC装置21から切断加工完了通知を取得すると、第1ジョブの加工済みシート数を「1枚」に更新し、PLC22に切断加工完了を通知する(S14)。
【0045】
PLC22に切断加工完了が通知されると、ループ(4)が開始され、PLC22がライン制御端末30に、TK装置124へのTKデータを要求する(S15)、ライン制御端末30の動作制御部333は、TKデータ要求を取得すると、加工処理情報記憶部312に記憶された第1ジョブのパーツP1に関するTKデータを取得してTK装置124に送信する(S16)。
【0046】
TK装置124は、パーツP1のTKデータを取得すると、取得したTKデータをTK処理対象としてセットし、セット完了をライン制御端末30に通知する。ライン制御端末30の動作制御部333は、TKデータのセット完了通知を取得すると(S17)、保持しているTK処理実行パーツ数を「1」に更新し(S18)、TKデータのセット完了をPLC22に通知する(S19)。
【0047】
PLC22は、TKデータのセット完了通知を取得すると、TK装置124にシートW1に対するパーツP1のTK処理を実行させる(S20)。TK装置124は、PLC22からの指示に基づいて、切断加工されたパーツP1をシートW1から取り出して集積装置125に搬送することで、TK処理を実行する。このステップS16~S20の処理は、第1ジョブの処理対象である各パーツ(パーツP1~P5)に関して順次実行され、ループ(4)が完了する。
【0048】
第1ジョブのシートW1内の5個のパーツすべてに関するTK処理が完了したことにより動作制御部333でカウントしているTK処理済みパーツ数が「5」に達すると、ループ(4)の処理が完了する。ループ(4)の処理が完了すると、PLC22は、ローディング装置122にシートW1を板金加工機11から取り外させ、シートW1の取り外し完了をライン制御端末30に通知する(S21)。
【0049】
ライン制御端末30の動作制御部333は、シートW1の取り外し完了通知を取得すると、保持している加工済みシート数情報を「1枚」に更新する。また動作制御部333は、加工済みシート数情報の更新が完了したことをPLC22に通知する(S22)。ステップS3~S22の処理は、第1ジョブの処理対象であるシートW1に関して実行されると、ループ(2)が完了する。その後、当該加工処理の処理対象である第2ジョブおよび第3ジョブに関してもステップS1~S22の処理が実行され、ループ(1)が完了する。
【0050】
ステップS1~S22の実行中、動作制御部333は、PLC22およびNC装置21から取得する加工処理の進捗状況に応じて、保持している内部進捗情報を適宜更新する。
【0051】
上述したように板金加工システム1Aが稼動しているときに、ライン制御端末30の不調、OS(Operating System)の自動アップデート、または商用電源の停電等が発生すると、端末起動制御部331の制御によりライン制御端末30が自動で再起動する。ライン制御端末30が再起動すると加工制御用アプリケーションが停止状態になる。そしてPLC22は、次に実行する処理に関するデータ要求に対する応答等、加工処理を継続するためにライン制御端末30から取得すべき情報が取得できなくなり、加工処理が中断する。
【0052】
図4は、一実施形態による板金加工設備制御装置としてのライン制御端末で再起動が行われた後に実行される処理を示すフローチャートである。ライン制御端末30が再起動すると(S31の「YES」)、アプリケーション起動制御部332がPLC22と通信し、現在PLC22が運転中であるか否かを判定する(S32)。
【0053】
PLC22が運転中であると判定すると(S32の「YES」)、アプリケーション起動制御部332は、動作制御部333が保持している再起動前の内部進捗情報を記憶部31の内部進捗情報記憶部313に記憶させる(S33)。その後、アプリケーション起動制御部332は、動作制御部333内の内部進捗情報を初期化して、アプリケーション情報記憶部311に記憶されている情報を用いて加工制御用アプリケーションを起動する(S34)。
【0054】
アプリケーション起動制御部332は、加工制御用アプリケーションを起動すると、加工処理情報記憶部312に記憶した内部進捗情報を読み出すとともに、PLC22から現在実行中の加工処理に関する進捗情報(以下、「実行中進捗情報」とする)を取得する(S35)。そしてアプリケーション起動制御部332は、PLC22から取得した実行中進捗情報に基づいて、現在実行中のジョブの運転スケジュール内における現在のPLC22の処理ステータスを判定する(S36)。
【0055】
具体的には、アプリケーション起動制御部332は、現在のPLC22の処理ステータスが、加工スケジュール情報要求中、加工前シート数更新待ち、印字データセット要求中、切断加工データセット要求中、TKデータセット要求中、加工済みシート数更新待ちのいずれに該当するかを判定する。
【0056】
アプリケーション起動制御部332は、現在のPLC22の処理ステータスを判定すると、加工処理情報記憶部312から読み出した内部進捗情報と、PLC22から取得した実行中進捗情報とに基づいて、加工処理再開のための前処理を実行する(S37)。
【0057】
ライン制御端末30の再起動後に、アプリケーション起動制御部332が実行する加工処理再開のための前処理について、図5図10を参照して説明する。図5は、一実施形態による板金加工設備制御装置としてのライン制御端末の再起動後、PLCの処理ステータスが加工スケジュール情報要求中である場合に、アプリケーション起動制御部が実行する加工処理再開のための前処理を示すフローチャートである。まずアプリケーション起動制御部332が、PLC22の処理ステータスが加工スケジュール情報要求中、つまり図3AのステップS1処理後、ステップS2の処理前であるか否かを判定する。
【0058】
ここで処理ステータスが加工スケジュール情報要求中であると判定すると(S41の「YES」)、アプリケーション起動制御部332は、加工処理情報記憶部312から読み出した内部進捗情報に含まれるジョブの識別情報と、PLC22から取得した実行中進捗情報に含まれるジョブの識別情報とを比較する。比較の結果、再起動中に処理が進行したことにより2つのジョブの識別情報が異なっていれば、アプリケーション起動制御部332は、内部進捗情報内のジョブの識別情報を実行中進捗情報内のジョブの識別情報に差し替える(S42)。
【0059】
そして、内部進捗情報内の加工済みシート数が、該当ジョブの加工処理予定シート数に達しているかを判定する(S43)。この「該当ジョブによる加工処理予定シート数」は、ステップS42でジョブの識別情報の差し替えを行った場合には、差し替え前の識別情報に対応するジョブの加工処理予定シート数である。
【0060】
判定の結果、内部進捗情報内の加工済みシート数が該当ジョブの加工処理予定シート数に達していない場合には(S43の「NO」)、現在のジョブの識別情報(差し替えていれば差し替え後の識別情報)を処理対象として特定して、特定したジョブで実行する処理内容の情報をPLC22に通知する(S44)。
【0061】
また、ステップS43の判定の結果、内部進捗情報内の加工済みシート数が該当ジョブの加工処理予定シート数に達している場合には(S43の「YES」)、次に実行するジョブの識別情報(差し替えていれば差し替え後の識別情報)を処理対象として特定して、特定したジョブで実行する処理内容の情報をPLC22に通知する(S45)。
【0062】
その後、図4のフローチャートのステップS38に移行し、ライン制御端末30は板金加工処理を再開する(S38)。ここではライン制御端末30は、ループ(2)から処理を再開する。
【0063】
ステップS41において、アプリケーション起動制御部332が、PLC22の処理ステータスが加工スケジュール情報要求中ではないと判定すると(S41の「NO」→A)、図6のフローチャートに移行する。図6は、一実施形態による板金加工設備制御装置としてのライン制御端末の再起動後、PLCの処理ステータスが加工前シート数更新待ち状態である場合に、アプリケーション起動制御部が実行する加工処理再開のための前処理を示すフローチャートである。アプリケーション起動制御部332は、加工前シート数更新待ち状態、つまり図3AのステップS3の処理後、ステップS4の処理前であるか否かを判定する。
【0064】
判定の結果、加工前シート数更新待ち状態であると判定すると(S46の「YES」)、アプリケーション起動制御部332は、内部進捗情報に含まれるジョブの識別情報およびシートの識別情報と、実行中進捗情報に含まれるジョブの識別情報およびシートの識別情報とを比較する。
【0065】
比較の結果、ジョブの識別情報およびシートの識別情報が一致していれば(S47の「YES」)、アプリケーション起動制御部332は、加工前シート数更新完了をPLC22に通知する(S48)。またステップS47において、再起動中に処理が進行したことによりジョブの識別情報またはシートの識別情報が一致していなければ(S47の「NO」)、内部進捗情報内のジョブの識別情報およびシートの識別情報を、実行中進捗情報内のジョブの識別情報およびシートの識別情報に差し替えるとともに、内部進捗情報内の加工前シート数を減算して更新する(S49)。そして、アプリケーション起動制御部332は、加工前シート数更新完了をPLC22に通知する(S48)。
【0066】
その後、図4のフローチャートのステップS38に移行し、ライン制御端末30は板金加工処理を再開する(S38)。ここではライン制御端末30は、ループ(3)から処理を再開する。
【0067】
ステップS46において、アプリケーション起動制御部332が、PLC22の処理ステータスが加工前シート数更新待ち状態ではないと判定すると(S46の「NO」→B)、図7のフローチャートに移行する。図7は、一実施形態による板金加工設備制御装置としてのライン制御端末の再起動後、PLCの処理ステータスが印字データセット要求中である場合に、アプリケーション起動制御部が実行する加工処理再開のための前処理を示すフローチャートである。アプリケーション起動制御部332は、印字データセット要求中、つまり図3AのステップS5の処理後、ステップS9の処理前であるか否かを判定する(S50)。
【0068】
判定の結果、印字データセット要求中であると判定すると(S50の「YES」)、アプリケーション起動制御部332は、内部進捗情報に含まれるジョブの識別情報、シートの識別情報、およびパーツの識別情報と、実行中進捗情報に含まれるジョブの識別情報、シートの識別情報、およびパーツの識別情報とを比較する。
【0069】
比較の結果、再起動中に処理が進行したことによりジョブの識別情報、シートの識別情報、またはパーツの識別情報が異なっていれば、アプリケーション起動制御部332は、内部進捗情報内の情報を実行中進捗情報内の情報に差し替える(S51)。
【0070】
次にアプリケーション起動制御部332は、該当するパーツに関する印字データを印字装置123に送信済みであるか否かを判定し、送信済みでなければ(S52の「NO」)、該当する印字データを印字装置123に送信する。そして、印字データの送信に応答して印字装置123から印字データセット完了通知を取得すると、アプリケーション起動制御部332は、内部進捗情報内の印字処理実行パーツ数を更新する(S53)。そして、アプリケーション起動制御部332は、印字データセット完了をPLC22に通知する(S54)。
【0071】
またステップS52において該当するパーツに関する印字データを印字装置123に送信済みであると判定し(S52の「YES」)、これに応答して印字装置123から印字データセット完了通知を取得している場合には(S55の「YES」)、アプリケーション起動制御部332は、内部進捗情報内の印字処理実行パーツ数を更新する(S56)。そして、アプリケーション起動制御部332は、印字データセット完了をPLC22に通知する(S54)。
【0072】
またステップS55において、印字データの送信に対して印字装置123から印字データセット完了通知を取得していない場合には(S55の「NO」)、印字装置123に送信済みの印字データをリセットすることを通知する(S57)。その後、新たに該当する印字データを印字装置123に送信し、これに対する印字データセット完了通知を取得すると内部進捗情報内の印字処理実行パーツ数を更新する(S58)。そして、アプリケーション起動制御部332は、印字データセット完了をPLC22に通知する(S54)。
【0073】
その後、図4のフローチャートのステップS38に移行し、ライン制御端末30は板金加工処理を再開する(S38)。ここではライン制御端末30は、ステップS10における該当するパーツの印字処理から再開する。
【0074】
ステップS50において、アプリケーション起動制御部332が、PLC22の処理ステータスが印字データセット要求中ではないと判定すると(S50の「NO」→C)、図8のフローチャートに移行する。図8は、一実施形態による板金加工設備制御装置としてのライン制御端末の再起動後、PLCの処理ステータスが切断加工データセット要求中である場合に、アプリケーション起動制御部が実行する加工処理再開のための前処理を示すフローチャートである。アプリケーション起動制御部332は、切断加工データセット要求中、つまり図3BのステップS11の処理後、ステップS13の処理前であるか否かを判定する(S59)。
【0075】
判定の結果、切断加工データセット要求中であると判定すると(S59の「YES」)、アプリケーション起動制御部332は、内部進捗情報に含まれるジョブの識別情報と、実行中進捗情報に含まれるジョブの識別情報とを比較する。比較の結果、再起動中に処理が進行したことによりジョブの識別情報が異なっていれば、アプリケーション起動制御部332は、内部進捗情報内の情報を実行中進捗情報内の情報に差し替える(S60)。
【0076】
次にアプリケーション起動制御部332は、板金加工機11へ該当するジョブの切断加工データを送信済みであるか否かを判定し、送信済みであれば(S61の「YES」)、切断加工データの送信に応答して板金加工機11から切断加工データセット完了通知を取得したか否かを判定する(S62)。
【0077】
アプリケーション起動制御部332は、板金加工機11から切断加工データセット完了通知を取得していれば(S62の「YES」)、切断加工データセット完了をPLC22に通知する(S63)。
【0078】
またステップS61において板金加工機11へ該当するジョブの切断加工データを送信済みでないと判定した場合(S61の「NO」)、またはステップS62において切断加工データの送信に応答して板金加工機11から切断加工データセット完了通知を取得していないと判定した場合(S62の「NO」)には、アプリケーション起動制御部332は、該当するジョブの切断加工データを板金加工機11に送信する(S64)。その後、アプリケーション起動制御部332は、板金加工機11から切断加工データセット完了通知を取得すると、切断加工データセット完了をPLC22に通知する(S63)。
【0079】
その後、図4のフローチャートのステップS38に移行し、ライン制御端末30は板金加工処理を再開する(S38)。ここではライン制御端末30は、ステップS14における、NC装置21からの該当する切断加工完了通知を待機する処理から再開する。
【0080】
ステップS59において、アプリケーション起動制御部332が、PLC22の処理ステータスが切断加工データセット要求中ではないと判定すると(S59の「NO」→D)、図9のフローチャートに移行する。図9は、一実施形態による板金加工設備制御装置としてのライン制御端末の再起動後、PLCの処理ステータスがTKデータセット要求中である場合に、アプリケーション起動制御部が実行する加工処理再開のための前処理を示すフローチャートである。アプリケーション起動制御部332は、TKデータセット要求中、つまり図3BのS15の処理後、ステップS19の処理前であるか否かを判定する(S65)。
【0081】
判定の結果、TKデータセット要求中であると判定すると(S65の「YES」)、アプリケーション起動制御部332は、内部進捗情報に含まれるジョブの識別情報、シートの識別情報、およびパーツの識別情報と、実行中進捗情報に含まれるジョブの識別情報、シートの識別情報、およびパーツの識別情報とを比較する。
【0082】
比較の結果、再起動中に処理が進行したことによりジョブの識別情報、シートの識別情報、またはパーツの識別情報が異なっていれば、アプリケーション起動制御部332は、内部進捗情報内の情報を実行中進捗情報内の情報に差し替える(S66)。
【0083】
次にアプリケーション起動制御部332は、該当するパーツに関するTKデータをTK装置124に送信済みであるか否かを判定し、送信済みでなければ(S67の「NO」)、該当するTKデータをTK装置124に送信して、内部進捗情報内のTK処理実行パーツ数を更新する(S68)。そして、アプリケーション起動制御部332は、TKデータセット完了をPLC22に通知する(S69)。
【0084】
またステップS67において該当するパーツに関するTKデータをTK装置124に送信済みであると判定した場合には(S67の「YES」)、アプリケーション起動制御部332は、内部進捗情報内のTK処理実行パーツ数を更新する(S70)。そして、アプリケーション起動制御部332は、TKデータセット完了をPLC22に通知する(S69)。
【0085】
その後、図4のフローチャートのステップS38に移行し、ライン制御端末30は板金加工処理を再開する(S38)。ここではライン制御端末30は、ステップS20における該当するパーツのTK処理から再開する。
【0086】
ステップS65において、アプリケーション起動制御部332が、PLC22の処理ステータスがTKデータセット要求中ではないと判定すると(S65の「NO」→E)、図10のフローチャートに移行する。図10は、一実施形態による板金加工設備制御装置としてのライン制御端末の再起動後、PLCの処理ステータスが加工済みシート数更新待ち状態である場合に、アプリケーション起動制御部が実行する加工処理再開のための前処理を示すフローチャートである。アプリケーション起動制御部332は、加工前シート数更新待ち状態、つまり図3BのステップS21の処理後、ステップS22の処理前であるか否かを判定する。
【0087】
判定の結果、加工済みシート数更新待ち状態であると判定すると(S71の「YES」→E)、アプリケーション起動制御部332は、内部進捗情報に含まれるジョブの識別情報およびシートの識別情報と、実行中進捗情報に含まれるジョブの識別情報およびシートの識別情報とを比較する。
【0088】
比較の結果、再起動中に処理が進行したことによりジョブの識別情報およびシートの識別情報が一致していれば(S72の「YES」)、アプリケーション起動制御部332は、加工前済みート数更新完了をPLC22に通知する(S73)。またステップS72において、再起動中に処理が進行したことによりジョブの識別情報またはシートの識別情報が一致していなければ(S72の「NO」)、内部進捗情報内のジョブの識別情報およびシートの識別情報を、実行中進捗情報内のジョブの識別情報およびシートの識別情報に差し替えるとともに、内部進捗情報内の加工済みシート数を加算して更新する(S74)。そして、アプリケーション起動制御部332は、加工済みシート数更新完了をPLC22に通知する(S73)。
【0089】
その後、図4のフローチャートのステップS38に移行し、ライン制御端末30は板金加工処理を再開する(S38)。ここではライン制御端末30は、当該シートに関するループ(2)完了時点から処理を再開する。
【0090】
図4のステップS32において、アプリケーション起動制御部332が、PLC22が運転中ではないと判定すると(S32の「NO」)、動作制御部333が保持している再起動前の内部進捗情報を初期化して(S39)、加工制御用アプリケーションを起動する(S40)。そして、加工制御処理が開始してPLC22が運転を開始すると、動作制御部333が加工制御用アプリケーションを用いて板金加工機11およびその周辺装置の制御を開始する。
【0091】
以上の実施形態によれば、板金加工システム1A内のライン制御端末30のアプリケーション起動制御部332は、板金加工機11およびその周辺装置の運転中にライン制御端末30が再起動して前記板金加工機および前記周辺装置の運転が停止すると、再起動前に動作制御部333に保持された内部進捗情報を内部進捗情報記憶部313に記憶させた後、動作制御部333内の内部進捗情報を初期化して加工制御用アプリケーションを起動させ、板金加工機11およびその周辺装置で現在実行中の処理に関する進捗情報を実行中進捗情報として取得し、内部進捗情報記憶部313に記憶した内部進捗情報と、取得した実行中進捗情報とに基づいて板金加工処理に関する板金加工機11およびその周辺装置の運転を再開させる。このように構成することにより、ライン制御端末30は、制御対象である板金加工機11およびその周辺装置が再起動したときに、板金加工機11およびその周辺装置の運転を、手動による介入操作を必要とせずに自動で迅速に再開させることができる。
【0092】
また、上述した実施形態においてアプリケーション起動制御部332は、板金加工機11およびその周辺装置の運転中に自ライン制御端末30が再起動したときに、取得した実行中進捗情報に基づいて板金加工システム1Aの運転スケジュール内における現在実行中の処理ステータスを特定し、特定した処理ステータスに応じた所定の再開前処理を実行後、板金加工機11およびその周辺装置の運転を再開させる。このように構成することにより、ライン制御端末30は、再起動時における板金加工処理のステータスに応じて適切に運転を再開させることができる。
【0093】
また、上述した実施形態においてアプリケーション起動制御部332は、板金加工機11およびその周辺装置の運転中に自ライン制御端末30が再起動したときに取得した実行中進捗情報と、記憶部31に記憶した内部進捗情報とが異なる場合には、当該内部進捗情報を当該実行中進捗情報で差し替え、差し替え後の内部進捗情報を用いて板金加工機11およびその周辺装置の運転を再開させる。このように構成することにより、ライン制御端末30の再起動処理中に板金加工機11およびその周辺装置の運転が進行してライン制御端末30が保持する内部進捗情報と実際に板金加工機11およびその周辺装置の運転状況とが異なった場合にも、実際の運転状況に合わせてライン制御端末30が板金加工機11およびその周辺装置に対する制御処理を再開することができる。
【0094】
また、上述した実施形態において板金加工システム1Aが実行する板金加工に係る処理は、1枚のシートの中の複数箇所(パーツ)に対して実行する処理を含み、内部進捗情報は、加工処理中のシート内で加工済みのパーツ数の情報を含む。このように構成することで、板金加工処理中に板金加工機11およびその周辺装置が保持していない、加工処理中のシート内の加工済みのパーツ数の情報をライン制御端末30が保持することができ、この情報を用いることで、自ライン制御端末30の再起動時にさらに高い精度で板金加工機11およびその周辺装置に対する制御処理を再開することができる。
【0095】
上述した実施形態においては、板金加工システム1Aが実行する各ジョブにおいて、シートへの印字処理→各パーツの切断処理→各パーツを取り出すTK処理の順に実行する場合について説明したがこれには限定されない。例えば印字処理は、各パーツの切断処理後、TK処理前に実行してもよいし、TK処理時に実行してもよい。
【0096】
また、上述した実施形態においては、ライン制御端末30を用いた板金加工システム1Aが、ブランクセル10A内に板金加工機11の周辺装置として棚装置121および集積装置125を設置し、棚装置121に加工前のシートを保管し、集積装置125に加工済みのパーツを保管する場合について説明したが、これには限定されない。他の形態の板金加工システム1Bを、図11Aおよび図11Bに示す。図11Aは、他の実施形態の板金加工設備制御装置としてのライン制御端末を用いた板金加工システム内のライン制御端末、PLC、およびNC装置の構成を示すブロック図である。図11Bは、他の実施形態の板金加工設備制御装置としてのライン制御端末を用いた板金加工システム内のブランクセルの構成を示すブロック図である。図11A図11Bに示すように、ライン制御端末30を用いた板金加工システム1Bが、ブランクセル10Bとは別に自動倉庫システム40を有し、自動倉庫システム40が加工前のシートおよび加工後のパーツを保管してもよい。
【0097】
自動倉庫システム40は、自動倉庫装置41と、自動倉庫装置41を制御するPLC42と、自動倉庫制御端末43とを備える。自動倉庫装置41は、第1実施形態の棚装置121に対応する機能を有して加工前のシートW1~W100を保管するシート保管部411と、集積装置125に対応する機能を有して加工済みのパーツを保管する集積部412とを有する。自動倉庫制御端末43は、ライン制御端末30と、ブランクセル10Bの周辺装置12B内のローディング装置122およびTK装置124との間で通信を行う。この場合、ライン制御端末30のCPU33は、自動倉庫制御端末43と通信を行うことで、自動倉庫装置41を板金加工機11の周辺装置の1つとして認識して、第1実施形態で説明した板金加工システム1Aと同様に板金加工処理を実行させることができる。
【0098】
本発明は以上説明した本実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能である。
【符号の説明】
【0099】
1A、1B 板金加工システム
10A、10B ブランクセル
11 板金加工機
12A、12B 周辺装置群
21 NC装置
22 PLC
30 ライン制御端末
31 記憶部
32 操作部
33 CPU
34 表示部
40 自動倉庫システム
41 自動倉庫装置
42 PLC
43 自動倉庫制御端末
121 棚装置
122 ローディング装置
123 印字装置
124 テイクアウト装置(TK装置)
125 集積装置
311 アプリケーション情報記憶部
312 加工処理情報記憶部
313 内部進捗情報記憶部
331 端末起動制御部
332 アプリケーション起動制御部
333 動作制御部
図1A
図1B
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11A
図11B