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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023061047
(43)【公開日】2023-05-01
(54)【発明の名称】障子
(51)【国際特許分類】
   E06B 3/46 20060101AFI20230424BHJP
   E05F 7/04 20060101ALI20230424BHJP
【FI】
E06B3/46
E05F7/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021170802
(22)【出願日】2021-10-19
(71)【出願人】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】大東 正樹
【テーマコード(参考)】
2E014
2E050
【Fターム(参考)】
2E014AA03
2E014FA00
2E014FA04
2E050NA01
2E050PB04
2E050PC01
2E050PD01
(57)【要約】
【課題】框の見込幅が異なる複数種類の障子の中から選択される障子であって、製造コストを低減できる障子を提供すること。
【解決手段】框33,63の見込幅が異なる複数種類の障子3,6の中から選択される障子3,6であって、複数種類の障子3,6は、いずれも、框33,63と、框33,63の内側に配置される面材35,65と、を有し、複数種類の障子3,6の框33,63は、いずれも、取付部品8が当接されて取り付けられる当接面33a,63aを有する部品取付部331a,631aを有し、当接面33a,63aは、少なくとも、框33,63の見込面33a,63aを含んで構成され、部品取付部331a,631aの形状は、複数種類の障子3,6の框33,63のいずれにおいても、同じ形状に形成される。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
框の見込幅が異なる複数種類の障子の中から選択される障子であって、
前記複数種類の障子は、いずれも、框と、前記框の内側に配置される面材と、を有し、
前記複数種類の障子の前記框は、いずれも、取付部品が当接されて取り付けられる当接面を有する部品取付部を有し、
前記当接面は、少なくとも、前記框の見込面を含んで構成され、
前記部品取付部の形状は、前記複数種類の障子の前記框のいずれにおいても、同じ形状に形成される、障子。
【請求項2】
前記部品取付部は、見付方向の外側に向けて開放して形成され前記取付部品が飲み込まれて配置される飲み込み部により構成される、
、請求項1に記載の障子。
【請求項3】
前記取付部品は、前記複数種類の障子の中から選択される障子のいずれの前記框に取り付ける場合においても、前記部品取付部に取り付ける部分の形状が同一形状に形成される共通部品である、請求項1又は2に記載の障子。
【請求項4】
前記複数種類の障子の前記框は、いずれも、前記部品取付部を含んで構成される部品取付枠材を有し、
前記部品取付枠材の形状は、前記複数種類の障子の前記框のいずれにおいても、全体の断面形状が同じ形状に形成される、請求項1~3のいずれかに記載の障子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、障子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、枠体と、枠体内に配置される障子と、を備える建具が知られている(例えば、特許文献1参照)。障子は、框を有する框体と、框体内に配置される面材と、を備える。框の外側の見込面に取付部品を取り付けることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-109099号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、複数種類の障子において、面材の厚さなどの違いにより、框の見込方向の幅(見込幅)が異なる場合がある。従来、框の見込方向の幅が異なる場合には、框の外側の見込面において、取付部品を取り付ける部分の形状が異なることになる。この場合には、框の外側の見込面に取り付ける取付部品の形状に合わせて、それぞれ、専用の取付部品を設計していた。そのため、取付部品の種類が多くなり、取付部品に要する製造コストが増大していた。
【0005】
本開示は、框の見込幅が異なる複数種類の障子の中から選択される障子であって、製造コストを低減できる障子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、框の見込幅が異なる複数種類の障子の中から選択される障子であって、前記複数種類の障子は、いずれも、框と、前記框の内側に配置される面材と、を有し、前記複数種類の障子の前記框は、いずれも、取付部品が当接されて取り付けられる当接面を有する部品取付部を有し、前記当接面は、少なくとも、前記框の見込面を含んで構成され、前記部品取付部の形状は、前記複数種類の障子の前記框のいずれにおいても、同じ形状に形成される、障子に関する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】一の引き違い窓を室内側から見た正面図である。
図2図1中のA-A線に沿う縦断面図である。
図3図1中のB-B線に沿う横断面図である。
図4図3において、振れ止め部材が取り付けられる部分を拡大した断面図である。
図5】他の引き違い窓の横断面図である。
図6図5において、振れ止め部材が取り付けられる部分を拡大した断面図である。
図7】別の障子において、振れ止め部材が取り付けられる部分を拡大した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。本実施形態の建具を構成する図1図4に示す一の引き違い窓1においても、本実施形態の建具を構成する図5及び図6に示す他の引き違い窓1Aにおいても、外障子3,6及び内障子4,7の振れを防止する振れ止め部材8を共用できる構造を備える。
【0009】
まず、引き違い窓1、1Aのうち、一の引き違い窓1について説明する。本明細書において、「見付方向」とは、建物の壁に形成された開口部に納められた引き違い窓1における面材35,45の面方向を意味し、「見込方向」とは、上記面材35,45の厚さ方向(即ち、奥行き方向)を意味する。「見込方向」は室内外方向でもある。「見付面」は、引き違い窓1における室外側及び室内側に面するそれぞれの面を意味し、「見込面」は、引き違い窓1において室内外方向に延びる面を意味する。図面において、引き違い窓1の室外側を室外側X1とし、引き違い窓1の室内側を室内側X2とする。
【0010】
一の引き違い窓1は、図1図3に示すように、図示しない建物躯体の開口部に取り付けられる枠体2と、枠体2の内側に、室外側X1に配置される外障子3と、室内側X2に配置される内障子4との2枚の障子、及び外障子3の室外側X1に配置される1枚の網戸5をそれぞれ納めることによって構成される。
【0011】
枠体2は、上枠21、下枠22及び左右一対の縦枠23,24を矩形に枠組みすることによって構成される。図2に示すように、上枠21には、室外側レール211及び室内側レール212が設けられる。上枠21は、室外側レール211の室外側X1に、網戸レール213を有する。下枠22には、室外側レール221及び室内側レール222が設けられる。下枠22は、室外側レール221の室外側X1に、網戸レール223を有する。
【0012】
網戸5は、上枠21及び下枠22の網戸レール213,223に左右方向に移動可能に係合している。
【0013】
枠体2の構成についてさらに詳述する。図2に示すように、上枠21は、枠体本体である金属枠体214の内側表面に、樹脂カバー材215,216を取り付けた複合構造を有する。そのため、断熱性及び防露性に優れる。
【0014】
樹脂カバー材215は、上枠21における室外側レール211と室内側レール212との間に配置される。樹脂カバー材216は、上枠21における室内側レール212の室内側X2の部分を含んで構成され、室内側レール212の室内側面から金属枠体214の内側表面にかけて設けられている。樹脂カバー材216は、金属枠体214の室内側端部214aよりも室内側X2に突出するアングル部2161を有する。樹脂カバー材215,216は、上枠21の延びる方向の全長に亘って設けられている。
【0015】
図2に示すように、下枠22は、枠体本体である金属枠体224の内側表面に、樹脂カバー材226,227を取り付けた複合構造を有する。そのため、断熱性及び防露性に優れる。金属枠体224は、室外側レール221と室内側レール222との間で、室外側金属枠体2241と室内側金属枠体2242とに分割されている。室外側金属枠体2241と室内側金属枠体2242は、樹脂連結材2243によって連結されている。
【0016】
樹脂カバー材226は、下枠22における室外側レール221と室内側レール222との間に配置される。詳しくは、樹脂カバー材226は、樹脂連結材2243よりも室外側X1の室外側金属枠体2241の内側表面に配置される。樹脂カバー材227は、下枠22における室内側レール222よりも室内側X2に配置される。樹脂カバー材226,227は、下枠22の延びる方向の全長に亘って設けられている。
【0017】
図3に示すように、外障子3の戸先側に配置される縦枠23は、枠体本体である金属枠体231の内側表面に、樹脂カバー材232を取り付けた複合構造を有する。そのため、断熱性及び防露性に優れる。樹脂カバー材232は、縦枠23の内側表面において、閉状態の外障子3よりも室内側X2に配置される。樹脂カバー材232は、金属枠体231の室内側端部231aよりも室内側X2に突出するアングル部2321を有する。樹脂カバー材232は、縦枠23の延びる方向の全長に亘って設けられている。
【0018】
図3に示すように、内障子4の戸先側に配置される縦枠24は、枠体本体である金属枠体241の内側表面に、樹脂カバー材242を取り付けた複合構造を有する。そのため、断熱性及び防露性に優れる。樹脂カバー材242は、縦枠24の内側表面において、閉状態の内障子4よりも室内側X2に配置される。樹脂カバー材242は、金属枠体241の室内側端部241aよりも室内側X2に突出するアングル部2421を有する。樹脂カバー材242は、縦枠24の延びる方向の全長に亘って設けられている。
【0019】
図1図3に示すように、外障子3は、上框31、下框32、戸先側に配置される縦框33及び戸尻側に配置される縦框である外召し合わせ框34を矩形に框組した框体30の内側に、3枚のガラスからなる面材35が納められることによって構成される。外障子3は、上枠21及び下枠22の室外側レール211,221に左右方向に移動可能に係合している。外障子3の下框32には、下枠22の室外側レール221上を転動する戸車36が設けられる。
【0020】
内障子4は、上框41、下框42、戸先側に配置される縦框43及び戸尻側に配置される内召し合わせ框44を矩形に框組した框体40の内側に、3枚のガラスからなる面材45が納められることによって構成される。内障子4は、上枠21及び下枠22の室内側レール212,222に左右方向に移動可能に係合している。内障子4の下框42には、下枠22の室内側レール222上を転動する戸車46が設けられる。
【0021】
図2及び図3に示すように、外障子3の上框31、下框32、縦框33及び外召し合わせ框34は、金属框材311,321,331,341の室内側X2に、樹脂框材312、322、332,342を取り付けた複合構造をそれぞれ有する。内障子4の上框41、下框42、縦框43及び内召し合わせ框44は、金属框材411,421,431,441の室内側X2に、樹脂框材412,422,432,442を取り付けた複合構造をそれぞれ有する。これによって、外障子3及び内障子4は、断熱性及び防露性に優れる。
【0022】
次に、振れ止め部材8(取付部品)が外障子3の縦框33に取り付けられる構造について説明する。振れ止め部材8は、図1に示すように、外障子3の戸先側に配置される縦框33の上下方向の所定位置に取り付けられる。ここでは、外障子3の縦框33の金属框材331及び樹脂框材332について、図4を用いてさらに詳述する。
【0023】
縦框33は、図4に示すように、金属框材331と樹脂框材332とが組み合わされることで構成される。
【0024】
金属框材331は、左右方向の外側に向けて開放する取付部品飲み込み枠331a(飲み込み部、部品取付部)と、取付部品飲み込み枠331aの室外側X1の部分から左右方向の内側に延出する室外側内側左右方向延在部331kと、を有する。取付部品飲み込み枠331aは、左右方向の外側に向けて開放するU字状に形成される。取付部品飲み込み枠331aには、振れ止め部材8が飲み込まれて配置される。
【0025】
取付部品飲み込み枠331aは、U字状の閉鎖側に形成される見込方向延在部331bと、室外側左右方向延在部331cと、室内側左右方向延在部331gと、を有する。
【0026】
室外側左右方向延在部331cの左右方向の外側の端部の室内側X2の面には、室内側X2に向けてC字状に開放する気密材取付溝枠331eが設けられる。気密材取付溝枠331eには、気密材331fが取り付けられる。
【0027】
室内側左右方向延在部331gの左右方向の外側の端部には、室外側X1に突出する上方係止突起331hが形成される。室内側左右方向延在部331gの左右方向の外側の端部よりも僅かに内側の位置には、室内側X2に突出する下方係止片331iが形成される。室内側左右方向延在部331gの左右方向の途中には、室内側X2に突出すると共に左右方向の内側に開放するL字係止片331jが形成される。
【0028】
室外側内側左右方向延在部331kの左右方向の内側の端部には、室内側X2に突出する突起331dが設けられる。突起331dは、面材35の左右方向の端部を保持するグレーチングチャネル351の室外側X1の部分に係合する。グレーチングチャネル351は、面材35を保持する断面視略コの字状の樹脂製のパッキンである。
【0029】
樹脂框材332は、金属框材331の室内側X2に取りつけられる。樹脂框材332は、中空部332aと、中空部332aの室内側X2の端部から左右方向の内側に延出する室内側左右方向延出部332bと、中空部332aの室外側X1の左右方向の内側の端部から室外側X1に突出すると共に左右方向の外側に開放するL字係止片332eと、中空部332aの左右方向の外側の端部から室外側X1に突出するフック状部332fと、を有する。フック状部332fの先端は、左右方向の内側に屈曲して室内側X2に開放するC字状に形成される。
【0030】
室内側左右方向延出部332bの左右方向の内側の端部には、室内側左右方向延出部332bの左右方向の内側の端部から室外側X1に突出する突起332cと、室内側左右方向延出部332bの左右方向の内側の端部から室内側X2に屈曲して突出する突出部332dと、が形成される。室内側左右方向延出部332bの突起332cは、面材35の左右方向の端部を保持するグレーチングチャネル351の室内側X2の部分に係合する。突出部332dは、外障子3の開閉時に引手になる部分である。
【0031】
金属框材331と樹脂框材332とは、金属框材331のL字係止片331jと樹脂框材332のL字係止片332eとが係止されると共に、金属框材331の上方係止突起331hと樹脂框材332のフック状部332fとが係止されることで、組み合わされる。
【0032】
金属框材331と樹脂框材332とが組み合わされた縦框33において、縦框33の左右方向の内側には、面材35の左右方向の端部が配置される面材飲み込み部330が形成される。
【0033】
金属框材331と樹脂框材332とが組み合わされた縦框33において、縦框33の左右方向の外側に形成される取付部品飲み込み枠331aには、振れ止め部材8が配置される。
【0034】
振れ止め部材8は、図4に示すように、見込方向に長い直方体状の土台部81と、土台部81の左右方向の外側の面から左右方向の外側に突出する膨出部82と、を有する。土台部81は、左右方向の内側に形成される左右方向内側見込方向延在面811と、左右方向の外側に形成される左右方向外側見込方向延在面812と、室外側X1に形成される室外側左右方向延在面813と、室内側X2に形成される室内側左右方向延在面814と、左右方向の外側に形成される室外側X1の角においてL字状に窪んで形成される段差角部815と、を有する。膨出部82は、土台部81の左右方向外側面における見込方向の室内側X2寄りの位置から、左右方向の外側に膨出する。
【0035】
振れ止め部材8は、例えば、弾性変形可能な樹脂材料により形成される。振れ止め部材8は、外障子3が枠体2に取りつけられた状態で、縦框33が左右方向の外側の枠体2の縦枠23に押し付けられた場合に、弾性変形されて、外障子3の振れを防止する。
【0036】
取付部品飲み込み枠331aに振れ止め部材8が取り付けられた状態においては、振れ止め部材8の土台部81の左右方向内側見込方向延在面811は、縦框33の金属框材331の取付部品飲み込み枠331aの見込方向延在部331bの左右方向の外側の見込面33aに当接して配置されると共に、縦框33の金属框材331の取付部品飲み込み枠331aの室内側左右方向延在部331gの室外側X1の見付面33bに当接して配置される。
【0037】
また、振れ止め部材8の土台部81の左右方向の外側の左右方向外側見込方向延在面812の室内側X2の端部側の面は、樹脂框材332のフック状部332fの左右方向の内側の見込面33cに近接又は当接して対向して配置される。振れ止め部材8の土台部81の室外側左右方向延在面813は、金属框材331の室外側左右方向延在部331cの室内側X2の見付面33dに近接又は当接して対向して配置される。振れ止め部材8の段差角部815は、金属框材331の気密材取付溝枠331eの左右方向の内側の角部33eに近接又は当接して対向して配置される。
【0038】
以上のように、縦框33の金属框材331において、金属框材331の取付部品飲み込み枠331aの見込方向延在部331bの見込面33aを含んだ取付部品飲み込み枠331aには、上下方向の所定の位置に振れ止め部材8(取付部品)が取り付けられる。
【0039】
振れ止め部材8は、取付部品飲み込み枠331aに取り付けられた状態において、取付部品飲み込み枠331aの見込方向延在部331bの左右方向の外側に形成される当接面である見込面33aに当接する。また、振れ止め部材8は、取付部品飲み込み枠331aの室内側左右方向延在部331gの室外側X1の見付面33bに当接する。また、振れ止め部材8は、樹脂框材332のフック状部332fの左右方向の内側の見込面33cに近接又は当接する。また、振れ止め部材8は、金属框材331の取付部品飲み込み枠331aの室内側左右方向延在部331gの室外側X1の見付面33dに当接又は近接する。また、振れ止め部材8は、金属框材331の気密材取付溝枠331eの左右方向の内側の角部33eに当接又は近接して配置される。
【0040】
なお、外障子3の縦框33の形状は、内障子4の縦框43が、外障子3の縦框33の樹脂框材332の突出部332d(図4参照)に相当する部材を有していない点、及び、外障子3の縦框33と内障子4の縦框43とが互いに戸先框であることから向きが反対で左右対称の形状である点以外は、内障子4の縦框43と同一の形状である。そのため、内障子4の縦框43の形状の説明は、外障子3の縦框33の形状の説明を援用できる。例えば、内障子4の戸先側に配置される縦框43の上下方向の所定位置には、振れ止め部材8取り付けられている。
【0041】
ここで、一の引き違い窓1に用いられる振れ止め部材8を、他の引き違い窓1Aに用いられる振れ止め部材8と共通化したい場合がある。従来、框の見込方向の幅が異なる複数の障子において、選択された複数の障子は、振れ止め部材を取り付ける部分の形状が異なっていた。そのため、複数種類の障子それぞれにおいて、框の見込方向の幅が異なる場合には、それぞれ、振れ止め部材を専用設計していた。
【0042】
ここでは、一の引き違い窓1に用いられる振れ止め部材8を、他の引き違い窓1Aに用いられる振れ止め部材8と共通化する場合について説明する。他の引き違い窓1Aは、一の引き違い窓1と比べて、見込方向の幅の大きさが異なる。
【0043】
他の引き違い窓1Aについて説明する。他の引き違い窓1Aの説明において、説明しない箇所については、一の引き違い窓1の説明を援用できる。
【0044】
他の引き違い窓1Aは、図5に示すように、図示しない建物躯体の開口部に取り付けられる枠体2Aと、枠体2Aの内側に、室外側X1に配置される外障子6と、室内側X2に配置される内障子7との2枚の障子、及び外障子6の室外側X1に配置される1枚の網戸5Aをそれぞれ納めることによって構成される。
【0045】
他の引き違い窓1Aの外障子6及び内障子7は、前述の一の引き違い窓1の外障子3及び内障子4と比べて、見込方向の幅の大きさが小さい。
【0046】
図5に示すように、外障子6は、上框(図示せず)、下框(図示せず)、戸先側に配置される縦框63及び戸尻側に配置される縦框である外召し合わせ框64を矩形に框組した框体60の内側に、2枚のガラスからなる面材65が納められることによって構成される。他の引き違い窓1Aの外障子6の框体60と、前述の一の引き違い窓1の外障子3の框体30とは、見込幅が異なる。
【0047】
内障子7は、上框(図示せず)、下框(図示せず)、戸先側に配置される縦框73及び戸尻側に配置される内召し合わせ框74を矩形に框組した框体70の内側に、2枚のガラスからなる面材75が納められることによって構成される。他の引き違い窓1Aの内障子7の框体70と、前述の一の引き違い窓1の内障子4の框体40とは、見込幅が異なる。
【0048】
図5に示すように、外障子6の縦框63及び外召し合わせ框64は、金属框材631、641の室内側X2に、樹脂框材632,642を取り付けた複合構造をそれぞれ有する。内障子7の縦框73及び内召し合わせ框74は、金属框材731、741の室内側X2に、樹脂框材732,742を取り付けた複合構造をそれぞれ有する。これによって、外障子6及び内障子7は、断熱性及び防露性に優れる。
【0049】
次に、他の引き違い窓1Aにおいて、振れ止め部材8(取付部品)が外障子6及び内障子7に取り付けられる構造について説明する。なお、振れ止め部材8は、一の引き違い窓1の縦框33に取り付けられるものも、他の引き違い窓1Aに取り付けられるものも、同一の形状であり、共通化することができる。
【0050】
振れ止め部材8は、外障子6の縦框63の上下方向の所定位置に取り付けられる。ここでは、外障子6の縦框63の金属框材631及び樹脂框材632について、図6を用いてさらに詳述する。
【0051】
縦框63は、図6に示すように、金属框材631と樹脂框材632とが組み合わされることで構成される。
【0052】
金属框材631は、左右方向の外側に向けて開放する飲み込み枠631a(飲み込み部、部品取付部)と、飲み込み枠631aの室外側X1の部分から左右方向の内側に延出する室外側内側左右方向延在部631jと、を有する。飲み込み枠631aは、左右方向の外側に向けて開放するU字状に形成される。飲み込み枠631aには、振れ止め部材8が取り付けられる。
【0053】
飲み込み枠631aは、U字状の閉鎖側に形成される見込方向延在部631bと、室外側左右方向延在部631cと、室内側左右方向延在部631gと、を有する。
【0054】
室外側左右方向延在部631cの左右方向の外側の端部の室内側X2の面には、室内側X2に向けてC字状に開放する気密材取付溝枠631eが設けられる。気密材取付溝枠631eには、気密材631fが取り付けられる。
【0055】
室内側左右方向延在部631gの左右方向の外側の端部には、室外側X1に突出する上方係止突起631hが形成される。室内側左右方向延在部631gの左右方向の内側には、室内側X2に突出すると共に左右方向の内側及び室外側X1に開放するL字係止片631iが形成される。
【0056】
室外側内側左右方向延在部631jの左右方向の内側の端部には、室内側X2に突出する突起631dが設けられる。突起631dは、面材65の左右方向の端部を保持するグレーチングチャネル651の室外側X1の部分に係合する。グレーチングチャネル651は、面材65を保持する断面視略コの字状の樹脂製のパッキンである。
【0057】
樹脂框材632は、金属框材631の室内側X2に取りつけられる。樹脂框材632は、左右方向延在部632aと、左右方向延在部632aの左右方向の途中から室外側X1に屈曲して左右方向の外側に開放するL字係止片632bと、L字係止片632bよりも左右方向の外側において左右方向延在部632aの左右方向の途中から室外側X1に突出する突起632eと、左右方向延在部632aの左右方向の外側の端部から室外側X1に突出するフック状部632fと、フック状部632fの左右方向の外側の室外側X1の面から室外側X1に突出する突起632gと、を有する。フック状部632fの先端は、左右方向の内側に屈曲して室内側X2に開放するC字状に形成される。
【0058】
左右方向延在部632aの左右方向の内側の端部には、左右方向延在部632aの左右方向の内側の端部から室外側X1に突出する突起632cと、左右方向延在部632aの左右方向の内側の端部から室内側X2に屈曲して突出する突出部632dと、が形成される。突起632cは、面材65の左右方向の端部を保持するグレーチングチャネル651の室内側X2の部分に係合する。
【0059】
金属框材631と樹脂框材632とは、金属框材631のL字係止片631iと樹脂框材632のL字係止片632bとが係止されると共に、金属框材631の上方係止突起631hと樹脂框材632のフック状部632fとが係止されることで、組み合わされる。
【0060】
金属框材631と樹脂框材332とが組み合わされた縦框63において、縦框63の左右方向の内側には、面材65の左右方向の端部が配置される面材飲み込み部630が形成される。
【0061】
金属框材631と樹脂框材632とが組み合わされた縦框63において、縦框63の左右方向の外側に形成される取付部品飲み込み枠631aには、振れ止め部材8が配置される。
【0062】
振れ止め部材8は、一の引き違い窓1の振れ止め部材8と同様の形状に形成される。取付部品飲み込み枠631aに振れ止め部材8が取り付けられた状態においては、振れ止め部材8の土台部81の左右方向内側見込方向延在面811は、縦框63の金属框材631の取付部品飲み込み枠631aの見込方向延在部631bの左右方向の外側の見込面63aに当接して配置されると共に、縦框63の金属框材631の取付部品飲み込み枠631aの室内側左右方向延在部631gの室外側X1の見付面63bに当接して配置される。
【0063】
また、振れ止め部材8の土台部81の左右方向外側見込方向延在面812の室内側X2の端部側の面は、樹脂框材632のフック状部632fの左右方向の内側の見込面63cに近接又は当接して対向して配置される。振れ止め部材8の土台部81の室外側左右方向延在面813は、金属框材631の室外側左右方向延在部631cの室内側X2の見付面63dに近接又は当接して対向して配置される。振れ止め部材8の段差角部815は、金属框材631の気密材取付溝枠631eの左右方向の内側の角部63eに近接又は当接して対向して配置される。
【0064】
以上のように、縦框63の金属框材631において、金属框材631の取付部品飲み込み枠631aの見込方向延在部631bの見込面63aを含んだ取付部品飲み込み枠631aには、上下方向の所定の位置に振れ止め部材8(取付部品)が取り付けられる。
【0065】
振れ止め部材8は、取付部品飲み込み枠631aに取り付けられた状態において、取付部品飲み込み枠631aの見込方向延在部631bの左右方向の外側に形成される当接面である見込面63aに当接する。また、振れ止め部材8は、取付部品飲み込み枠631aの室内側左右方向延在部631gの室外側X1の見付面63bに当接する。また、振れ止め部材8は、樹脂框材632のフック状部632fの左右方向の内側の見込面63cに近接又は当接する。また、振れ止め部材8は、金属框材631の取付部品飲み込み枠631aの室内側左右方向延在部631gの室外側X1の見付面63dに当接又は近接する。また、振れ止め部材8は、金属框材631の気密材取付溝枠631eの左右方向の内側の角部63eに当接又は近接して配置される。
【0066】
なお、外障子6の縦框63の形状は、内障子7の縦框73が、外障子6の縦框63の樹脂框材632の突出部632d(図6参照)に相当する部材を有していない点、及び、外障子6の縦框63と内障子7の縦框73とが互いに戸先框であることから向きが反対で左右対称の形状である点以外は、内障子7の縦框73と同一の形状である。そのため、内障子7の縦框73の形状の説明は、外障子6の縦框63の形状の説明を援用できる。例えば、内障子7の縦框73の上下方向の所定位置には、振れ止め部材8が取り付けられる。
【0067】
ここで、一の引き違い窓1の縦框33に取り付けられる振れ止め部材8が取り付けられる取付部品飲み込み枠331a(図4参照)と、他の引き違い窓1Aの縦框63に取り付けられる振れ止め部材8が取り付けられる取付部品飲み込み枠631a(図6参照)とは、互いの縦框33及び縦框63の見込方向の幅が異なるにもかかわらず、同じ形状である。
【0068】
具体的には、一の引き違い窓1における縦框33の取付部品飲み込み枠331aの見込面33a、見付面33b、見込面33c、見付面33d及び角部33e(図4参照)と、他の引き違い窓1Aにおける縦框63の取付部品飲み込み枠631aの見込面63a、見付面63b、見込面63c、見付面63d及び角部63e(図6参照)とは、同一の形状である。
【0069】
詳細には、一の引き違い窓1における縦框33の取付部品飲み込み枠331a(図4参照)の各寸法と、他の引き違い窓1Aにおける縦框63の取付部品飲み込み枠631a(図6参照)の各寸法とは、同一である。例えば、図4図6とを比較すると、一の引き違い窓1における縦框33の取付部品飲み込み枠331aの見込面33aの見込方向(室内外方向)の長さL11と、他の引き違い窓1Aにおける縦框63の取付部品飲み込み枠631aの見込面63aの見込方向の長さL21とは、同じ長さである(L11=L21)。一の引き違い窓1における縦框33の取付部品飲み込み枠331aの見付面33bの左右方向(見付方向)の長さL12と、他の引き違い窓1Aにおける縦框63の取付部品飲み込み枠631aの見付面63bの左右方向(見付方向)の長さL22とは、同じ長さである(L12=L22)。一の引き違い窓1における縦框33の取付部品飲み込み枠331aの見込面33aから見込面33cまでの左右方向(見付方向)の長さL13と、他の引き違い窓1Aにおける縦框63の取付部品飲み込み枠631aの見込面63aから見込面63cまでの左右方向(見付方向)の長さL23とは、同じ長さである(L13=L23)。
【0070】
そのため、取付部品飲み込み枠331a,631aに取り付ける振れ止め部材8について同一形状のものを使用でき、共通化できる。つまり、振れ止め部材8は、複数種類の外障子3,6の中から選択される外障子3,6のいずれの縦框33,63に取り付ける場合においても、取付部品飲み込み枠331a,631aに取り付ける部分の形状が同一形状に形成される共通部品とすることができる。
【0071】
本実施形態によれば、以下の効果が奏される。本実施形態の外障子3,6は、縦框33,63の見込幅が異なる複数種類の外障子3,6の中から選択される障子3,6であって、複数種類の外障子3,6は、いずれも、縦框33,63と、縦框33,63の内側に配置される面材35,65と、を有し、複数種類の障子3,6の縦框33,63は、いずれも、振れ止め部材8が当接されて取り付けられる見込面33a,63aを有する取付部品飲み込み枠331a,631aを有し、取付部品飲み込み枠331a,631aの形状は、複数種類の外障子3,6の縦框33,63のいずれにおいても、同じ形状に形成される。これにより、見込幅が異なる外障子3,6であっても、振れ止め部材8を共通化することができるため、製造コストを低減できる。
【0072】
また、本実施形態においては、取付部品飲み込み枠331a,631aは、見付方向の外側に向けて開放して形成され振れ止め部材8が飲み込まれて配置される飲み込み部により構成される。これにより、振れと止め部材8を取り付ける取付部品飲み込み枠331a,631aの部分の形状を同一形状にすることで、振れ止め部材8を容易に共通化することができる。
【0073】
また、本実施形態においては、振れ止め部材8は、複数種類の外障子3,6の中から選択される外障子3,6のいずれの縦框33,63に取り付ける場合においても、取付部品飲み込み枠331a,631aに取り付ける部分の形状が同一形状に形成される共通部品である。これにより、見込幅が異なる外障子3,6であっても、振れ止め部材8を共通部品とすることができるため、製造コストを低減できる。
【0074】
なお、本実施形態においては、一の引き違い窓1における縦框33の金属框材331の取付部品飲み込み枠331a(図4参照)の断面形状と、他の引き違い窓1Aにおける縦框63の金属框材631の取付部品飲み込み枠631a(図6参照)の断面形状とを同一の形状に形成している。ただし、一の引き違い窓1における縦框33の金属框材331と、他の引き違い窓1Aにおける縦框63の金属框材631とは、全体の断面形状を見ると細部の形状は異なっている。
【0075】
しかし、これに限定されない。図4に示す引き違い窓1の外障子3の縦框33の金属框材331(部品取付枠材)と、図7に示す見込幅が異なる別の障子9の縦框93の金属框材931(部品取付枠材)との断面形状を同じ形状に形成して、共通化してもよい。
【0076】
例えば、一の引き違い窓1の外障子3(図4参照)とは見込幅が異なる別の障子9について説明する。図7に示すように、別の障子9は、面材95の厚さが一の引き違い窓1の外障子3(図4参照)の面材35の厚さよりも薄く形成されており、一の引き違い窓1の外障子3(図4参照)と比べて、見込幅が小さい。
【0077】
別の障子9は、図7に示すように、金属框材931の室内側X2に、樹脂框材932を取り付けた複合構造を有する。ここで、別の障子9の縦框93の金属框材931(図7参照)の断面形状と、一の引き違い窓1の縦框33の金属框材331(図4参照)の断面形状とは、全体の形状が同じである。縦框93の金属框材931は、一の引き違い窓1の外障子3(図4参照)の縦框33の金属框材331(図4参照)と同じ断面形状の取付部品飲み込み枠931a(部品取付部)を有する。これにより、縦框93の金属框材931及び縦框33の金属框材331(図4参照)は、いずれも、同じ断面形状の取付部品飲み込み枠331a,31aを含んだ単体の形材で構成される。
【0078】
また、縦框93の樹脂框材932は、一の引き違い窓1の縦框33の樹脂框材332の突起332cと比べて見込方向の長さが長い突起932cを有する。樹脂框材932の突起932cは、面材95の左右方向の端部を保持するグレーチングチャネル951の室内側X2の部分に係合する。樹脂框材932の突起932cの長さを調整することで、縦框93の金属框材931と縦框33の金属框材331とを共通化した同じ断面形状の部材としても、見込幅が狭い障子9に対応することができる。
【0079】
以上のように構成される別の障子9の縦框93の金属框材931(部品取付枠材)は、一の引き違い窓1の外障子3(図4参照)の縦框33の金属框材331(部品取付枠材)と共通化できる。これにより、更なる製造コストの低減を実現できる。
【0080】
以上、本開示の好ましい一実施形態について説明したが、本開示は、上述した実施形態に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。
【0081】
例えば、前記実施形態においては、複数種類の障子の中から選択される障子において、縦框の部品取付部の形状を同じ形状に形成する構成としたが、これに限定されない。横框の部品取付部の形状を同じ形状に形成してもよい。
【0082】
前記実施形態においては、取付部品を、振れ止め部材8により構成したが、これに限定されない。取付部品を、例えば、戸車により構成してもよい。この場合には、框の見込幅が異なる障子においても、戸車を、取付部の形状を同一形状とした共通部品とすることができる。
【符号の説明】
【0083】
3,6 外障子(障子)、8 振れ止め部材(取付部品)、33,63 縦框(框)、33a,63a 見込面(当接面)、35,65 面材、331a,631a 取付部品飲み込み枠(飲み込み部、部品取付部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7