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特開2023-61070情報処理装置、プログラムおよび情報処理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023061070
(43)【公開日】2023-05-01
(54)【発明の名称】情報処理装置、プログラムおよび情報処理方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/16 20120101AFI20230424BHJP
【FI】
G06Q50/16
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021170832
(22)【出願日】2021-10-19
(71)【出願人】
【識別番号】516115108
【氏名又は名称】株式会社GA technologies
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】古澤 賢太郎クリストフ
(72)【発明者】
【氏名】石川 佳宏
(72)【発明者】
【氏名】鍋谷 恵
(72)【発明者】
【氏名】堀川 佳夢偉
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC27
(57)【要約】
【課題】賃貸物件のオーナーの収支を安定させ、さらに、入居者が支払う賃料の変動をオーナーが得られる収益に柔軟に反映させることができる情報処理装置、プログラムおよび情報処理方法を提供する。
【解決手段】情報処理装置は、ユーザから、将来発生する予定の賃貸物件の将来賃料債権を賃貸人から譲受人に譲渡する契約に関する譲渡契約情報を受け付ける第1受付部と、過去の第1年度の算定期間に支払われた賃貸物件の賃料を示す賃料情報を記憶する賃料記憶部を参照して、賃料情報と譲渡契約情報とに基づいて、将来の第2年度における将来賃料債権を譲渡することに対する譲渡対価を算定する第1算定部と、譲渡対価を、賃貸人に通知する通知部と、を備える。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザから、将来発生する予定の賃貸物件の将来賃料債権を賃貸人から譲受人に譲渡する契約に関する譲渡契約情報を受け付ける第1受付部と、
過去の第1年度の算定期間に支払われた前記賃貸物件の賃料を示す賃料情報を記憶する賃料記憶部を参照して、前記賃料情報と前記譲渡契約情報とに基づいて、将来の第2年度における前記将来賃料債権を譲渡することに対する譲渡対価を算定する第1算定部と、
前記譲渡対価を、前記賃貸人に通知する通知部と、を備える、
情報処理装置。
【請求項2】
前記賃料情報に基づいて、前記算定期間において前記賃貸物件の賃借人が存在しなかった場合、前記算定期間から過去にさかのぼって賃借人が存在した期間を特定する特定部を備え、
前記第1算定部は、前記特定された期間に支払われた前記賃貸物件の賃料に基づいて、前記譲渡対価を算定する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記将来賃料債権は、前記賃貸物件の各月の賃料債権を、年度ごとにまとめた集合債権であり、
前記譲渡契約情報は、所定期間において年度ごとに発生する前記賃料債権を前記賃貸人から前記譲受人に譲渡することを予約する予約権を設定する基本契約情報を含み、
前記基本契約情報と前記譲渡対価とに基づいて、年度ごとの前記将来賃料債権を譲渡する契約に関する個別契約情報を生成する生成部と、
前記個別契約情報を、前記賃貸人が使用する賃貸人装置に送信する送信部と、備える
請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記通知部は、前記個別契約情報に基づいて、前記賃料債権が発生した際に、前記予約権の行使により前記賃料債権が譲渡された旨を、前記賃貸人と前記賃貸物件の賃借人とに通知する、
請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記通知部は、前記個別契約情報に基づいて、前記賃貸物件の賃借人が年度の途中で変更される場合、変更後の賃借人に、前記賃料債権が前記譲受人に譲渡されている旨を通知する、
請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記譲渡契約情報は、前記賃貸人と前記譲受人との間で前記将来賃料債権を譲渡する電子契約の契約書データを含み、
前記賃貸人と前記譲受人との間で前記将来賃料債権を譲渡する電子契約を締結させる締結部と、
前記締結された電子契約に基づいて、前記譲渡契約情報に含まれる契約書データを、合意済みの前記契約書データに更新する更新部と、を備え、
前記通知部は、前記電子契約が締結される前から前記賃貸物件の賃借人が既に存在する場合、前記更新された譲渡契約情報に基づいて、前記将来賃料債権を譲渡された旨を、前記賃借人に通知する、
請求項1から5のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記締結部は、
前記契約書データを、前記電子契約を行う電子契約システムであって前記賃貸人および前記譲受人が利用可能な電子契約システムに連携する連携部と、
前記連携した電子契約システムから、前記賃貸人および前記譲受人を含む当事者が合意済みの前記契約書データを受け付ける第2受付部と、を有する、
請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記賃貸物件の周辺物件における賃料の相場を示す周辺物件情報を記憶する物件記憶部を参照して、前記相場と前記算定期間に支払われた前記賃貸物件の賃料との乖離の度合いを示す乖離度を算定する第2算定部と、を備え、
前記通知部は、前記乖離度を前記ユーザに通知する、
請求項1から7のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項9】
コンピュータに
ユーザから、将来発生する予定の賃貸物件の将来賃料債権を賃貸人から譲受人に譲渡する契約に関する譲渡契約情報を受け付ける第1受付機能と、
過去の第1年度の算定期間に支払われた前記賃貸物件の賃料を示す賃料情報を記憶する賃料記憶部を参照して、前記賃料情報と前記譲渡契約情報とに基づいて、将来の第2年度における前記将来賃料債権を譲渡することに対する譲渡対価を算定する第1算定機能と、
前記譲渡対価を、前記賃貸人に通知する通知機能と、を実現させる、
プログラム。
【請求項10】
コンピュータが、
ユーザから、将来発生する予定の賃貸物件の将来賃料債権を賃貸人から譲受人に譲渡する契約に関する譲渡契約情報を受け付け、
過去の第1年度の算定期間に支払われた前記賃貸物件の賃料を示す賃料情報を記憶する賃料記憶部を参照して、前記賃料情報と前記譲渡契約情報とに基づいて、将来の第2年度における前記将来賃料債権を譲渡することに対する譲渡対価を算定し、
前記譲渡対価を、前記賃貸人に通知する、
情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、プログラムおよび情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、不動産業務に関するテクノロジー、いわゆる不動産テック(PropTech)の技術が知られている。例えば、特許文献1には、賃貸しようする不動産物件(以下、「賃貸物件」ともいう)について、オーナーからリノベーションをしたいフロア(区分)を借上げてリノベーション後にサブリースするにあたって、この賃貸物件が有する各フロアにおける各賃料、メンテナンス費用、リノベーションを行うフロアに対応した相場賃料、リノベーションを行わないフロアにおける管理手数料等を算出し、さらにこれらの金額からオーナーが得られる収入額を算出するシミュレーション装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-140777号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術のように仲介業者が仲介して賃貸物件をサブリースすることは、一定額の賃料がオーナーに対して保証されるメリットがある。しかしながら、オーナーに支払われる金額が一定であるがゆえに、仲介業者に入居者が支払う賃料が仮に変動しても、オーナーに支払われる金額には柔軟に反映されない。すなわち、入居者が支払う賃料が大幅に値上がりすることがあっても、オーナーが得られる収益には柔軟に反映されない。
【0005】
そこで、本発明のいくつかの態様は、賃貸物件のオーナーの収支を安定させ、さらに、入居者が支払う賃料の変動をオーナーが得られる収益に柔軟に反映させることができる情報処理装置、プログラムおよび情報処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る情報処理装置は、ユーザから、将来発生する予定の賃貸物件の将来賃料債権を賃貸人から譲受人に譲渡する契約に関する譲渡契約情報を受け付ける第1受付部と、過去の第1年度の算定期間に支払われた賃貸物件の賃料を示す賃料情報を記憶する賃料記憶部を参照して、賃料情報と譲渡契約情報とに基づいて、将来の第2年度における将来賃料債権を譲渡することに対する譲渡対価を算定する第1算定部と、譲渡対価を、賃貸人に通知する通知部と、を備える。
【0007】
本発明の一態様に係るプログラムは、コンピュータに、ユーザから、将来発生する予定の賃貸物件の将来賃料債権を賃貸人から譲受人に譲渡する契約に関する譲渡契約情報を受け付ける第1受付機能と、過去の第1年度の算定期間に支払われた賃貸物件の賃料を示す賃料情報を記憶する賃料記憶部を参照して、賃料情報と譲渡契約情報とに基づいて、将来の第2年度における将来賃料債権を譲渡することに対する譲渡対価を算定する第1算定機能と、譲渡対価を、賃貸人に通知する通知機能と、を実現させる。
【0008】
本発明の一態様に係る情報処理方法は、コンピュータが、ユーザから、将来発生する予定の賃貸物件の将来賃料債権を賃貸人から譲受人に譲渡する契約に関する譲渡契約情報を受け付け、過去の第1年度の算定期間に支払われた賃貸物件の賃料を示す賃料情報を記憶する賃料記憶部を参照して、賃料情報と譲渡契約情報とに基づいて、将来の第2年度における将来賃料債権を譲渡することに対する譲渡対価を算定し、譲渡対価を、賃貸人に通知する。
【発明の効果】
【0009】
本発明のいくつかの態様によれば、賃貸物件のオーナーの収支を安定させ、さらに、入居者が支払う賃料の変動をオーナーが得られる収益に柔軟に反映させることができる情報処理装置、プログラムおよび情報処理方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施形態に係る賃貸契約支援システムのシステム構成例を説明するための図である。
図2】本実施形態に係る賃貸契約支援システムの概要の一例を説明するための図である。
図3】本実施形態に係る賃貸契約支援システムの概要の一例を説明するための図である。
図4】本実施形態に係るサーバ装置の機能構成の一例を示す図である。
図5】本実施形態に係る賃貸契約支援システムの動作例を示す図である。
図6】本実施形態に係る賃貸契約支援システムの動作例を示す図である。
図7】本実施形態に係るサーバ装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態(以下、「本実施形態」という)について説明する。なお、各図において、同一の符号を付したものは、同一又は同様の構成を有する。
【0012】
本実施形態に係る賃貸契約支援システム1は、賃貸する不動産物件(以下、「賃貸物件」ともいう)の賃貸借契約を支援するシステムである。本実施形態では、不動産業者が、賃貸契約支援システム1を用いて、賃貸物件を貸したいオーナーとこの賃貸物件を借りたい人との間の賃貸物件の賃貸借契約における仲介サービス(以下、「賃貸仲介サービス」ともいう)を提供する例を説明する。さらに、本実施形態では、この不動産業者が、賃貸物件の賃貸管理サービスも行うものとする。すなわち、本実施形態では、不動産業者が、不動産売買を仲介する仲介業者でもあり賃貸住宅管理業者でもある例を説明する。
【0013】
<1.システム構成>
図1を参照して、本実施形態に係る賃貸契約支援システム1のシステム構成例を説明する。
【0014】
図1に示すように、賃貸契約支援システム1は、不動産業者が使用するサーバ装置100と、不動産業者の担当者(以下、単に「担当者」ともいう)が使用する担当者端末200と、賃貸物件のオーナーが使用するオーナー端末300と、賃貸物件の入居者が使用する入居者端末400とを含む。サーバ装置100と担当者端末200とオーナー端末300と入居者端末400とは、ネットワークNを介して互いに通信可能に接続されている。
【0015】
賃貸契約支援システム1のユーザ(以下、単に「ユーザ」)には、例えば、賃貸物件の賃貸人であるオーナー、賃貸物件の賃借人である入居者、不動産業者の担当者等が含まれる。
【0016】
ネットワークNは、無線ネットワークや有線ネットワークにより構成される。ネットワークNの一例としては、携帯電話網や、PHS(Personal Handy-phone System)網、無線LAN(Local Area Network)、3G(3rd Generation)、LTE(Long Term Evolution)、4G(4th Generation)、5G(5th Generation)、WiMax(登録商標)、赤外線通信、Bluetooth(登録商標)、有線LAN、電話線、電灯線ネットワーク、IEEE1394等に準拠したネットワークがある。
【0017】
[サーバ装置]
サーバ装置100は、賃貸仲介サービスを提供するための情報処理装置である。サーバ装置100は、所定のプログラム(以下、「サーバプログラム」ともいう)を実行することにより、担当者からの各種要求に応じて、賃貸物件の契約に関する情報(以下、「賃貸契約情報」ともいう)を生成・取得したり、他の装置にこの情報を提供したりするサーバ機能を実現する。
【0018】
サーバ装置100は、フロントエンドサーバやバックエンドサーバとして、賃貸契約支援システム1のWebサイト(以下、「賃貸契約支援サイト」ともいう)や賃貸契約支援システム1専用のアプリケーションプログラム(以下、「賃貸契約支援アプリ」ともいう)を介して、賃貸仲介サービスや賃貸管理サービスを利用するためのユーザインタフェースを提供してもよい。また、サーバ装置100は、賃貸契約支援サイトを生成し、生成した賃貸契約支援サイトのWebページを各端末に配信し、各端末のWebブラウザを介して各種情報を出力させるWebサーバの機能を備えてもよい。また、賃貸契約支援アプリは、例えば、一つのアプリに統合してアカウントごとに提供する機能を分けてもよいし、担当者用やオーナー用等の用途別にアプリを分けてそれぞれに提供する機能を実装させてもよい。
【0019】
担当者端末200とオーナー端末300と入居者端末400とは、特に区別の必要がない場合、総称して、「ユーザ端末」ともいう。
【0020】
[ユーザ端末]
ユーザ端末は、ユーザが使用する情報処理装置であり、例えば、スマートフォンやタブレット、ラップトップ等の端末である。ユーザ端末は、所定のプログラムを実行することにより、サーバ装置100と連携して、賃貸契約情報を入力するための画面または賃貸物件や賃貸契約に関する画面を表示したり、これらの画面の表示に関する情報(以下、「表示情報」ともいう)を送受信したり、ユーザからの情報入力を受け付けたりする。所定のプログラムは、例えば、賃貸契約支援アプリやWebブラウザ等の汎用的なソフトウェア等であってもよい。
【0021】
<2.概要>
図2~3を参照して、賃貸契約支援システム1の概要を説明する。本例では、将来発生する予定の各月の賃料債権を年度ごとにまとめた集合債権を譲渡とする例を説明する。この将来発生する予定の賃料債権を「将来賃料債権」ともいい、複数の将来賃料債権をまとめた集合債権を「将来集合債権」ともいう。
【0022】
図2は、賃貸契約支援システム1で利用される賃貸物件の賃料の請求・回収に関する仕組みの一例を示す図である。前提として、オーナーは、賃貸人としての地位をもつと同時に、賃料債権の債権者としての地位をもっている。賃貸契約支援システム1では、オーナーがもつこれらの地位のうち、賃料債権の債権者としての地位を不動産業者に移すことができる。図2(a)に示すように、将来発生する賃料(家賃)を入居者に請求する権利、すなわち将来発生する予定の賃料債権を、一定期間分(本例では、X1年日分と記載(X1:自然数))オーナーから不動産業者がまとめて買い取る。この買い取りのために、不動産業者とオーナーとの間で、一定期間分の将来集合債権譲渡の基本契約と、基本契約で設定した譲渡予約権の行使による年度ごとの個別契約とを締結する。
【0023】
将来集合債権譲渡の基本契約(以下、「基本契約」ともいう)では、例えば、将来集合債権の譲渡全体に共通する内容が規定されている。基本契約は、例えば、X1年間の間、年度ごとに将来賃料債権の譲渡予約権を設定するよう規定されていてもよい。この「譲渡予約権」は、所定期間において年度ごとに発生する将来賃料債権を賃貸人から譲受人に譲渡することを予約する権利である。この「所定期間」は、将来集合債権譲渡の基本契約の対象とする期間(上記のX1年間)であり、例えば、5年、10年等の期間が考えられる。例えば、毎年の年度末(例えば、11~12月頃)にこの譲渡予約権が行使され、これにより、次年度の将来賃料債権をまとめて譲渡することができる。
【0024】
将来集合債権譲渡の個別契約(以下、「個別契約」ともいう)は、年度ごとに締結される。個別契約は、基本契約に基づいて、賃貸物件について、各年度における将来集合債権、例えば各年度の1月1日~12月31日までの将来賃料債権をまとめて、賃貸人であるオーナーから不動産業者が譲り受ける旨が規定されている。なお、初回の個別契約については、締結日からその年度の12月31日までの将来賃料債権としてもよい。
【0025】
(1)上記で締結された基本契約および個別契約に基づいて、不動産業者は、X1年分の将来集合債権をオーナーから買い取る。言い換えれば、X1年分の将来集合債権がオーナーから不動産業者に譲渡される。
【0026】
(2)X年分の将来集合債権の譲渡の対価(以下、「譲渡対価」ともいう)を、不動産業者からオーナーに支払う。なお、譲渡対価の支払い方法は、典型的には賃料と同様に月々の分割払いにしてオーナーに支払う方法が考えられるが、これに限らず一括払いでもよい。なお、この譲渡対価の支払い方法について、基本契約で規定されていてもよい。
【0027】
(3)不動産業者は、譲渡された将来集合債権により、オーナーに代わって、賃貸物件の賃料を請求し、回収する。
【0028】
図2(b)に示すように、賃貸契約支援システム1では、将来集合債権譲渡の契約は、X1年分の基本契約に基づいて、年度ごとの個別契約が構成される。また、前年度における譲渡対価を算定するための期間(以下、「算定期間」ともいう)の賃料で、次年度の譲渡対価が決定される。この算定期間は、例えば、典型的には空室が少ない傾向にある4~9月の間であるが、これに限定されない。他の例として、算定期間は、各年度の最後の3か月(例えば、10~12月の間)であってもよい。
【0029】
賃貸契約支援システム1では、譲渡対価を、例えば、一定の率(以下、「掛け率」ともいう)を賃料に掛けて算定してもよい。例えば、譲渡対価を賃料のX2%(X2:正数)としてもよい。
【0030】
図3は、賃貸契約支援システム1における処理の流れの一例を示す図である。本例では、将来集合債権の譲渡の契約と併せて、オーナーが賃貸物件を購入するための賃貸物件の売買契約、および購入した賃貸物件の管理を不動産業者に委託する管理委託契約の3つの契約を締結する例を説明する。
【0031】
(1)図3に示すように、担当者は、担当者端末200から、次の3つの契約に関する賃貸契約情報を、契約支援サイトまたは契約支援アプリの画面から入力する。サーバ装置100は、入力されたこれらの情報を受け付ける。
・売買契約情報:賃貸物件の売買契約に関する情報
・管理委託契約情報:不動産業者に賃貸物件の管理を委託する契約に関する情報
・将来集合債権譲渡基本契約情報(以下、単に「基本契約情報」ともいう):将来集合債権譲渡の基本契約に関する情報
【0032】
(2)サーバ装置100は、電子契約システムに対して、上記3つの契約の電子契約を行うため、売買契約書、管理委託契約書、および将来集合債権譲渡基本契約書の電子データ(以下、総称して「契約書データ」ともいう)と電子契約用のフォーマットデータとを出力する。
【0033】
電子契約システムにより上記の3つの契約の電子契約が締結されると、サーバ装置100は、合意済みの契約書の情報を電子契約システムから受け付ける。
【0034】
(3)サーバ装置100は、将来集合債権譲渡の基本契約と初年度の個別契約が締結された場合、将来集合債権が譲渡された旨を賃借人である入居者に通知する通知書(以下、「債権譲渡通知書」ともいう)を発行する。サーバ装置100は、例えば、発行した債権譲渡通知書を入居者端末400に送信することで、将来集合債権が譲渡された旨を入居者に通知する。なお、サーバ装置100は、電子通知システムを利用して、将来集合債権が譲渡された旨を入居者に通知してもよい。具体的には、サーバ装置100は、電子通知システムのAPIを呼び出して、将来集合債権が譲渡された旨を通知するための情報をこのAPIに引き渡して、入居者に対する譲渡の通知をこのAPIに指示してもよい。
【0035】
(4)毎年の所定のタイミング(本例では、12月とする)になると、サーバ装置100は、賃貸物件の周辺物件における賃料の相場(以下、「周辺相場」ともいう)と、賃貸物件の現行の賃料とを、自装置の記憶部140を参照して取得する。現行の賃料とは、現在の年度の算定期間(本例では、4~9月)の賃貸物件の賃料である。なお、算定期間において賃貸物件が空室だった場合、すなわち賃貸物件の賃借人が存在しなかった場合、前月など過去にさかのぼって賃借人が存在した期間の賃料を現行の賃料の代わりに用いてもよい。
【0036】
(5)サーバ装置100は、賃料の周辺相場と現行の賃料とが大きく乖離していないか担当者が比較するため、周辺相場と現行の賃料との乖離度を算定し、契約支援サイトや契約支援アプリを介して、担当者端末200の画面に出力させる。この乖離度は、周辺相場と、現在の年度における算定期間に支払われた賃貸物件の賃料と、の乖離の度合いを示すものである。
【0037】
(6)賃料の周辺相場と現行の賃料とが大きく乖離していないなど現行の賃料に問題がない場合、サーバ装置100は、現行の賃料に基づいて、次年度の譲渡対価を算定する。他方、現行の賃料に問題がある場合、担当者は、次年度の譲渡対価を調整するため、担当者端末200の画面に表示させた譲渡対価を変更してもよい。サーバ装置100は、担当者から、担当者端末200を介して、変更された譲渡対価を受け付ける。
【0038】
(7)基本契約に規定したタイミングにおいて次年度の将来集合債権の譲渡予約権が行使される。また、譲渡予約権が行使された場合、次年度の将来賃料債権を譲渡する個別契約が締結され、将来集合債権が譲渡される。サーバ装置100は、この個別契約を締結するにあたって、譲渡予約権の行使を当事者に通知し、また、この個別契約に関する情報(以下、「個別契約情報」ともいう)を生成し、当事者の端末または電子契約システムに送信する。
【0039】
(8)サーバ装置100は、将来集合債権の譲渡の次年度の個別契約が締結された場合、将来集合債権が譲渡された旨を入居者に通知する債権譲渡通知書を発行する。サーバ装置100は、発行した債権譲渡通知書を入居者端末400に送信することで、将来集合債権が譲渡された旨を入居者に通知する。なお、サーバ装置100は、電子通知システムを利用して、将来集合債権が譲渡された旨を入居者に通知してもよい。
【0040】
上記構成のもと、賃貸契約支援システム1は、現在の年度の賃料に基づいて次年度の譲渡対価を算定することができる。例えば賃料に一定の掛け率を掛けて譲渡対価を算定する場合、賃料が上がれば、それに連動させて次年度の譲渡対価を上げることができる。逆に賃料が下がれば、それに連動させて次年度の譲渡対価を下げることができる。このため、賃貸契約支援システム1は、賃貸物件のオーナーの収支を安定させ、さらに、入居者が支払う賃料の変動をオーナーが得られる収益に柔軟に反映させることができる
【0041】
<3.機能構成>
図3を参照して、本実施形態に係るサーバ装置100の機能構成を説明する。図3に示すように、サーバ装置100は、制御部110と、通信部130と、記憶部140と、を備える。
【0042】
[制御部]
制御部110は、第1受付部111と、算定部112と、通知部116と、を備える。また、制御部110は、例えば、生成部113、締結部114、および/または更新部115を備えてもよい。
【0043】
第1受付部111は、ユーザから、ユーザ端末を介して各種情報を受け付ける。第1受付部111は、ユーザから、譲渡契約情報を受け付ける。第1受付部111がユーザから各種情報を受け付ける態様は、どのような態様でもよい。具体的には、第1受付部111は、賃貸支援アプリや賃貸支援サイトの画面にユーザが入力した各種情報を、ユーザ端末から受信してもよい。
【0044】
「譲渡契約情報」は、将来賃料債権を賃貸人(例えば、オーナー)から譲受人(例えば、不動産業者)に譲渡する契約に関する情報である。また、この将来賃料債権は、将来発生する予定の賃貸物件の賃料債権である。譲渡契約情報は、例えば、将来集合債権の譲渡の基本契約の基本契約情報と、年度ごとの個別契約に関する個別契約情報とであってもよい。また、譲渡契約情報は、賃貸人と譲受人との間で将来賃料債権を譲渡する電子契約の契約書データを含んでもよい。
【0045】
算定部112は、第1算定部112aと、特定部112bと、第2算定部112cとを備える。
【0046】
第1算定部112aは、賃料情報を記憶する賃料記憶部141を参照して、賃料情報と譲渡契約情報とに基づいて、将来の第2年度における将来賃料債権を譲渡することに対する譲渡対価を算定する。「賃料情報」は、過去の第1年度の算定期間に支払われた賃貸物件の賃料を示す情報である。賃料情報は、例えば、算定期間が1ヶ月であればこの1ヶ月分の賃貸物件の賃料を示し、算定期間が3か月であればこの3か月分の賃貸物件の賃料を示す。第1算定部112aは、例えば、第1年度の算定期間の賃料の統計値(例えば、平均値または中央値等)に一定の掛け率を掛けたものを第2年度の譲渡対価として算定してもよい。また、賃料債権の譲受人が賃貸物件の管理や賃貸物件を行う不動産業者の場合、第1算定部112aは、以下の式に従って第2年度の譲渡対価を算定してもよい。
【0047】
第2年度の譲渡対価=第1年度の賃料の統計値×一定の掛け率(%)-管理委託手数料
【0048】
上記構成によれば、第1算定部112aは、現在の年度の賃料に基づいて次年度の譲渡対価を算定することができる。このため、第1算定部112aは、賃貸物件のオーナーの収支を安定させ、さらに、入居者が支払う賃料の変動をオーナーが得られる収益に柔軟に反映させることができる。
【0049】
第1算定部112aは、例えば、後述する特定部112bにより特定された期間に支払われた賃貸物件の賃料に基づいて、譲渡対価を算定してもよい。このような構成によれば、第1算定部112aは、設定した算定期間において賃貸物件が空室等で賃借人が存在しなかった場合でも、過去に支払われた賃料に基づいて譲渡対価を算定することができる。
【0050】
特定部112bは、賃料情報に基づいて、第1年度の算定期間において賃貸物件の賃借人が存在しなかった場合、算定期間から過去にさかのぼって賃借人が存在した期間を特定する。
【0051】
第2算定部112cは、周辺物件情報を記憶する物件記憶部142を参照して、周辺相場と算定期間に支払われた賃貸物件の賃料との乖離の度合いを示す乖離度を算定する。「周辺物件情報」は、賃貸物件の周辺物件における賃料の相場(周辺相場)を示す情報である。乖離度は、例えば、周辺相場に対する賃貸物件の賃料の割合であってもよい。周辺相場が100万円で賃貸物件の賃料が150万円の場合、第2算定部112cは、乖離度を150万円÷100万円=150(%)と算定してもよい。他の例として、乖離度は、周辺相場と賃貸物件の賃料の差分であってもよい。周辺相場が100万円で賃貸物件の賃料が150万円の場合、第2算定部112cは、乖離度を150万円-100万円=+50万円と算定してもよい。
【0052】
生成部113は、基本契約情報と第1算定部112aによりされた譲渡対価とに基づいて、年度ごとの将来賃料債権(将来集合債権を含む)を譲渡する契約に関する個別契約情報を生成する。この個別契約情報は、第1算定部により算定された譲渡対価を含む。
【0053】
締結部114は、賃貸人と譲受人との間で将来賃料債権を譲渡する電子契約を締結させる。締結部114は、連携部114aと第2受付部114bとを有する。
【0054】
連携部114aは、契約書データを、将来賃料債権の譲渡の電子契約を行う電子契約システム510であって賃貸人および譲受人が利用可能な電子契約システム510に連携する。
【0055】
第2受付部114bは、連携部114aが契約書データを連携した電子契約システム510から、賃貸人および譲受人を含む当事者が合意済みの契約書データを受け付ける。この合意済みの契約書データは、例えば、当事者全員の電子署名が付与された契約書データであってもよい。
【0056】
更新部115は、締結部114により締結された電子契約に基づいて、譲渡契約情報に含まれる契約書データを、合意済みの契約書データに更新する。
【0057】
通知部116は、ユーザに対して、賃貸契約支援システム1で処理される各種情報を通知する。通知部116がユーザから各種情報を通知する態様は、どのような態様でもよい。具体的には、ユーザ端末に表示された賃貸支援アプリや賃貸支援サイトの画面に通知する各種情報を表示させてもよい。通知部116は、第1算定部により算定された譲渡対価を、賃貸人に通知する。このような構成によれば、通知部116は、賃借人が支払う賃料の変動を柔軟に反映させた譲渡対価を賃貸人に通知することができる。
【0058】
通知部116は、例えば、生成部により生成された個別契約情報に基づいて、賃料債権が発生した際に、予約権の行使によりこの賃料債権が譲渡された旨を、賃貸人(オーナー)と賃借人(入居者)とに通知してもよい。このような構成によれば、賃貸人や賃借人に賃貸物件の賃料債権が譲渡されたことを知らせることができる。
【0059】
通知部116は、例えば、個別契約情報に基づいて、賃貸物件の賃借人(入居者)が年度の途中で変更される場合、変更後の賃借人に、賃料債権が譲受人に譲渡されている旨を通知してもよい。このような構成によれば、年度の途中で賃借人が変更されても、通知部116は、変更後の賃借人に、賃料債権が賃貸人から譲受人に譲渡されていることを知らせることができる。
【0060】
通知部116は、例えば、締結部114により電子契約が締結される前から賃貸物件の賃借人(入居者)が既に存在する場合、更新部115により更新された譲渡契約情報に基づいて、将来賃料債権を譲渡された旨を、この賃借人に通知してもよい。このような構成によれば、通知部116は、譲渡契約が締結される前から賃貸物件に入居している賃借人に、この賃貸物件の賃料債権が賃貸人から譲受人に譲渡されたことを知らせることができる。
【0061】
通知部116は、例えば、第2算定部112cにより算定された乖離度を、担当者等のユーザに通知する。また、通知部116は、例えば、乖離度が所定の閾値を超える場合、通知の態様を変更してもよい。具体的には、通知部116は、乖離度が所定の閾値を超える場合のみユーザにこの乖離度を通知してもよい。言い換えれば、通知部116は、乖離度が所定の閾値を超えない場合は、乖離度を通知しなくてもよい。他の例として、通知部116は、乖離度が所定の閾値を超える場合、アラート通知として、乖離度の表示を、所定値の閾値を超えない場合と比較して文字や背景色を強調する表示にさせてもよい。
【0062】
上記構成によれば、通知部116は、現行の賃料が周辺相場とどの程度乖離しているかを知らせることができる。例えば、現行の賃料が周辺相場から大きく乖離している場合、この現行の賃料に基づいて譲渡対価を算定してしまうと、周辺相場からかけ離れた譲渡対価となってしまう。このため、通知部116は、周辺相場からかけ離れた譲渡対価とならないよう、担当者等のユーザに譲渡対価を確定させる前に知らせることで、大きく乖離している場合には譲渡対価を変更する等の対処をさせることができる。
【0063】
[通信部]
通信部130は、ネットワークNを介して、賃貸契約情報を含む各種情報をユーザ端末や外部システム500と送受信する。通信部130は、送信部131と、受信部132とを備える。
【0064】
送信部131は、生成部により生成された個別契約情報を、賃貸人(オーナー)が使用する賃貸人装置(オーナー端末300)に送信する。このような構成によれば、送信部131は、基本契約に基づいて譲渡の予約権が行使され賃料債権が譲渡された際に、賃貸人に個別契約情報を自動で提供することができる。
【0065】
[記憶部]
記憶部140は、賃貸契約情報等を記憶する。また、記憶部140は、例えば、ユーザ情報と賃貸契約情報とを関連付けて記憶してもよい。記憶部140は、データベースマネジメントシステム(DBMS)を利用して各情報を記憶してもよいし、ファイルシステムを利用して各情報を記憶してもよい。DBMSを利用する場合は、上記情報ごとにテーブルを設けて、当該テーブル間を関連付けて各情報を管理してもよい。記憶部140は、サーバプログラムSPを記憶する。記憶部140は、賃料記憶部141と、物件記憶部142とを有する。賃料記憶部141は、賃料情報を記憶する。物件記憶部142は、周辺物件情報を記憶する。
【0066】
「ユーザ情報」とは、ユーザに関する情報である。ユーザ情報は、例えば、各ユーザを識別するための識別情報(例えば、ユーザのID等)、ユーザの氏名、住所、および/または連絡先(例えば、電話番号またはメールアドレス等)を含んでもよい。
【0067】
<4.動作例>
図5~6を参照して、本実施形態に係る賃貸契約支援システム1の動作例を説明する。なお、以下に示すシーケンス図の処理の順番は一例であって、適宜、変更されてもよい。
【0068】
図5は、将来集合債権の契約を締結するフェーズにおける処理の流れや相互作用を示すシーケンスである。図5に示すように、担当者端末200は、賃貸契約情報の入力を担当者から受け付ける(st11)。担当者端末200は、入力された賃貸契約情報をサーバ装置100に送信する(st12)。サーバ装置100は、担当者端末200を介して、担当者から、入力された賃貸契約情報を受け付ける(st13)。
【0069】
サーバ装置100は、賃貸契約情報に含まれる基本契約情報の契約書データを、電子契約を行う電子契約システム510であってオーナーおよび不動産業者が利用可能な電子契約システム510に連携(送信)する(st14)。電子契約システム510は、連携された契約書データを受信した場合、契約書データに対する、オーナーおよび不動産業者を含む当事者の合意を取得、言い換えれば、当事者の電子署名を取得する(st15)。電子契約システム510は当事者からの合意済みの契約書データをサーバ装置100に送信する(st16)。
【0070】
サーバ装置100は、電子契約システム510から、当事者が合意済みの契約書データを受け付ける(st17)。サーバ装置100は、基本契約情報に含まれる契約書データを、合意済みの契約書データに更新する(st18)。
【0071】
サーバ装置100は、オーナー端末300に更新された賃貸契約情報を送信し、初年度(第1年度)の将来集合債権が譲渡予約権の行使により譲渡された旨をオーナーに通知する(st19)。また、サーバ装置100は、入居者に、入居者端末400を介して、初年度の将来集合債権が譲渡された旨を通知する(st20)。
【0072】
図6は、譲渡対価が確定し、将来集合債権の譲渡の予約権が行使されるフェーズの処理の流れや相互作用を示すシーケンスである。図6に示すように、サーバ装置100は、賃料情報を記憶する賃料記憶部141を参照して、賃料情報と賃貸契約情報に含まれる譲渡契約情報とに基づいて、第2年度における将来賃料債権を譲渡することに対する譲渡対価を算定する(st31)。サーバ装置100は、周辺物件情報を記憶する物件記憶部142を参照して、周辺相場と算定期間に支払われた賃貸物件の賃料との乖離度を算定する(st32)。
【0073】
サーバ装置100は、担当者端末200を介して上記算定された譲渡対価と乖離度を担当者に通知する(st33)。担当者端末200は、通知された譲渡対価と乖離度を契約支援アプリ等の画面に表示する(st34)。担当者端末200は、担当者から、この画面を介して譲渡対価の変更の入力を受け付ける(st35)。担当者端末200は、変更された譲渡対価を示す情報をサーバ装置100に送信する(st36)。
【0074】
サーバ装置100は、譲渡契約情報に含まれる第2年度の譲渡対価を、担当者端末200から受信した変更された譲渡対価に更新する(st37)。サーバ装置100は、譲渡契約情報に含まれる基本契約情報と変更された譲渡対価とに基づいて、第2年度の将来賃料債権を譲渡する契約に関する個別契約情報を生成する(st38)。
【0075】
サーバ装置100は、個別契約情報の契約書データを、電子契約システム510に連携する(st39)。電子契約システム510は、連携された契約書データを受信した場合、契約書データに対する、オーナーおよび不動産業者を含む当事者の合意を取得する(st40)。電子契約システム510は当事者からの合意済みの契約書データをサーバ装置100に送信する(st41)。
【0076】
サーバ装置100は、電子契約システム510から、当事者が合意済みの契約書データを受け付ける(st42)。サーバ装置100は、個別契約情報に含まれる契約書データを、合意済みの契約書データに更新する(st43)。
【0077】
サーバ装置100は、オーナー端末200に更新された個別契約情報を送信し、次年度(第2年度)の将来集合債権が譲渡予約権の行使により譲渡された旨をオーナーに通知する(st44)。また、サーバ装置100は、入居者に、入居者端末400を介して、次年度の将来集合債権が譲渡された旨を通知する(st45)。
【0078】
<5.ハードウェア構成>
図7を参照して、上述してきたサーバ装置100をコンピュータ800により実現する場合のハードウェア構成の一例を説明する。なお、それぞれの装置の機能は、複数台の装置に分けて実現することもできる。
【0079】
図7に示すように、コンピュータ800は、プロセッサ801と、メモリ803と、記憶装置805と、入力I/F部807と、データI/F部809と、通信I/F部811と、表示装置813とを含む。
【0080】
プロセッサ801は、メモリ803に記憶されているプログラムを実行することによりコンピュータ800における様々な処理を制御する。例えば、サーバ装置100の制御部110やユーザ端末が備える各機能部等は、メモリ803に一時記憶されたプログラム(例えば、サーバ装置100であればサーバプログラム、ユーザ端末であれば賃貸契約支援アプリ)をプロセッサ801が実行することにより実現可能である。
【0081】
メモリ803は、例えばRAM(Random Access Memory)等の記憶媒体である。メモリ803は、プロセッサ801によって実行されるプログラムのプログラムコードや、プログラムの実行時に必要となるデータを一時的に記憶する。
【0082】
記憶装置805は、例えばハードディスクドライブ(HDD)やフラッシュメモリ等の不揮発性の記憶媒体である。記憶装置805は、オペレーティングシステムや、上記各構成を実現するための各種プログラム(サーバプログラムや賃貸契約支援アプリ等)を記憶する。この他、記憶装置805は、賃貸契約情報等を登録するテーブルと、当該テーブルを管理するDBを記憶することも可能である。このようなプログラムやデータは、必要に応じてメモリ803にロードされることにより、プロセッサ801から参照される。
【0083】
入力I/F部807は、ユーザからの入力を受け付けるためのデバイスである。入力I/F部807の具体例としては、キーボードやマウス、タッチパネル、各種センサ、ウェアラブル・デバイス等が挙げられる。入力I/F部807は、例えばUSB(Universal Serial Bus)等のインタフェースを介してコンピュータ800に接続されても良い。
【0084】
データI/F部809は、コンピュータ800の外部からデータを入力するためのデバイスである。データI/F部809の具体例としては、各種記憶媒体に記憶されているデータを読み取るためのドライブ装置等がある。データI/F部809は、コンピュータ800の外部に設けられることも考えられる。その場合、データI/F部809は、例えばUSB等のインタフェースを介してコンピュータ800へと接続される。
【0085】
通信I/F部811は、コンピュータ800の外部の装置と有線又は無線により、インターネットNを介したデータ通信を行うためのデバイスである。通信I/F部811は、コンピュータ800の外部に設けられることも考えられる。その場合、通信I/F部811は、例えばUSB等のインタフェースを介してコンピュータ800に接続される。
【0086】
なお、上記実施の形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明をその実施の形態のみに限定する趣旨ではない。また、本発明は、その要旨を逸脱しない限り、さまざまな変形が可能である。さらに、当業者であれば、上記に述べる各要素を均等なものに置換した実施の形態を採用することが可能であり、かかる実施の形態も本発明の範囲に含まれる。
【0087】
[変形例]
なお、本発明を上記実施の形態に基づいて説明してきたが、以下のような場合も本発明に含まれる。
【0088】
上記実施形態に係るサーバ装置100における各構成の少なくとも一部は、ユーザ端末のいずれかが備えていてもよい。
【0089】
上記実施形態では、賃料情報を記憶する賃料記憶部や周辺物件情報を記憶する物件記憶部をサーバ装置100の記憶部140が備える例を説明したが、賃料情報や周辺物件情報が記憶される場所はこれに限定されない。賃料情報や周辺物件情報は、例えば、外部システム500の外部装置の記憶部に記憶されていてもよい。
【符号の説明】
【0090】
1…賃貸契約支援システム、100…サーバ装置、110…制御部、111…第1受付部、112a…第1算定部、116…通知部、130…通信部、140…記憶部、200…担当者端末、300…オーナー端末、400…入居者端末、500…外部システム、800…コンピュータ、801…プロセッサ、803…メモリ、805…記憶装置、807…入力I/F部、809…データI/F部、811…通信I/F部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2023-03-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザから、将来の所定期間において年度ごとに発生する予定の賃貸物件の将来賃料債権を賃貸人から譲受人に譲渡する契約に関する譲渡契約情報を受け付ける第1受付部と、
前記譲渡契約情報が示す前記所定期間における年度ごとに、過去の第1年度の算定期間に支払われた前記賃貸物件の賃料を示す賃料情報を記憶する賃料記憶部を参照して、前記賃料情報に基づいて、次年度に発生する前記将来賃料債権を譲渡することに対する譲渡対価を算定する第1算定部と、
前記所定期間における年度ごとに、前記譲渡対価を、前記賃貸人に通知する通知部と、を備える、
情報処理装置。
【請求項2】
前記賃料情報に基づいて、前記算定期間において前記賃貸物件の賃借人が存在しなかった場合、前記算定期間から過去にさかのぼって賃借人が存在した期間を特定する特定部を備え、
前記第1算定部は、前記特定された期間に支払われた前記賃貸物件の賃料に基づいて、前記譲渡対価を算定する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記将来賃料債権は、前記賃貸物件の各月の賃料債権を、年度ごとにまとめた集合債権であり、
前記譲渡契約情報は、所定期間において年度ごとに発生する前記賃料債権を前記賃貸人から前記譲受人に譲渡することを予約する予約権を設定する基本契約情報を含み、
前記基本契約情報と前記譲渡対価とに基づいて、年度ごとの前記将来賃料債権を譲渡する契約に関する個別契約情報を生成する生成部と、
前記個別契約情報を、前記賃貸人が使用する賃貸人装置に送信する送信部と、備える、
請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記通知部は、前記個別契約情報に基づいて、前記賃料債権が発生した際に、前記予約権の行使により前記賃料債権が譲渡された旨を、前記賃貸人と前記賃貸物件の賃借人とに通知する、
請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記通知部は、前記個別契約情報に基づいて、前記賃貸物件の賃借人が年度の途中で変更される場合、変更後の賃借人に、前記賃料債権が前記譲受人に譲渡されている旨を通知する、
請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記譲渡契約情報は、前記賃貸人と前記譲受人との間で前記将来賃料債権を譲渡する電子契約の契約書データを含み、
前記賃貸人と前記譲受人との間で前記将来賃料債権を譲渡する電子契約を締結させる締結部と、
前記締結された電子契約に基づいて、前記譲渡契約情報に含まれる契約書データを、合意済みの前記契約書データに更新する更新部と、を備え、
前記通知部は、前記電子契約が締結される前から前記賃貸物件の賃借人が既に存在する場合、前記更新された譲渡契約情報に基づいて、前記将来賃料債権を譲渡された旨を、前記賃借人に通知する、
請求項1から5のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記締結部は、
前記契約書データを、前記電子契約を行う電子契約システムであって前記賃貸人および前記譲受人が利用可能な電子契約システムに連携する連携部と、
前記連携した電子契約システムから、前記賃貸人および前記譲受人を含む当事者が合意済みの前記契約書データを受け付ける第2受付部と、を有する、
請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記賃貸物件の周辺物件における賃料の相場を示す周辺物件情報を記憶する物件記憶部を参照して、前記相場と前記算定期間に支払われた前記賃貸物件の賃料との乖離の度合いを示す乖離度を算定する第2算定部と、を備え、
前記通知部は、前記乖離度を前記ユーザに通知する、
請求項1から7のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項9】
コンピュータに
ユーザから、将来の所定期間において年度ごとに発生する予定の賃貸物件の将来賃料債権を賃貸人から譲受人に譲渡する契約に関する譲渡契約情報を受け付ける第1受付機能と、
前記譲渡契約情報が示す前記所定期間における年度ごとに、過去の第1年度の算定期間に支払われた前記賃貸物件の賃料を示す賃料情報を記憶する賃料記憶部を参照して、前記賃料情報に基づいて、次年度に発生する前記将来賃料債権を譲渡することに対する譲渡対価を算定する第1算定機能と、
前記所定期間における年度ごとに、前記譲渡対価を、前記賃貸人に通知する通知機能と、を実現させる、
プログラム。
【請求項10】
コンピュータが、
ユーザから、将来の所定期間において年度ごとに発生する予定の賃貸物件の将来賃料債権を賃貸人から譲受人に譲渡する契約に関する譲渡契約情報を受け付け、
前記譲渡契約情報が示す前記所定期間における年度ごとに、過去の第1年度の算定期間に支払われた前記賃貸物件の賃料を示す賃料情報を記憶する賃料記憶部を参照して、前記賃料情報に基づいて、次年度に発生する前記将来賃料債権を譲渡することに対する譲渡対価を算定し、
前記所定期間における年度ごとに、前記譲渡対価を、前記賃貸人に通知する、
情報処理方法。