(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023061073
(43)【公開日】2023-05-01
(54)【発明の名称】流体殺菌装置
(51)【国際特許分類】
A61L 2/10 20060101AFI20230424BHJP
C02F 1/32 20230101ALI20230424BHJP
A23L 5/30 20160101ALN20230424BHJP
A23L 3/28 20060101ALN20230424BHJP
【FI】
A61L2/10
C02F1/32
A23L5/30
A23L3/28
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021170841
(22)【出願日】2021-10-19
(71)【出願人】
【識別番号】000002303
【氏名又は名称】スタンレー電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100186060
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】100145458
【弁理士】
【氏名又は名称】秋元 正哉
(72)【発明者】
【氏名】田中 英明
(72)【発明者】
【氏名】加藤 裕幸
(72)【発明者】
【氏名】新野 和久
【テーマコード(参考)】
4B021
4B035
4C058
4D037
【Fターム(参考)】
4B021LA42
4B021LP10
4B021LT01
4B021LW06
4B021LW10
4B035LC05
4B035LE03
4B035LP44
4B035LT20
4C058AA20
4C058BB06
4C058CC04
4C058KK02
4C058KK22
4C058KK28
4C058KK32
4C058KK46
4D037AA01
4D037AA08
4D037AB03
4D037BA18
(57)【要約】 (修正有)
【課題】本発明は、光源ユニットから照射される紫外光の広角光を有効に利用可能であると共に、極めてシンプルな構造でありながら、紫外光照射範囲に流体を滞留させる流体殺菌装置の提供を目的とする。
【解決手段】流体殺菌装置は、軸方向に延在し、一端から他端に流体を通す第1流路部10の他端に連結されると共に、流体に紫外光を照射する光源ユニット20を挟んで、前記第1流路部10と相対する第2流路部30と、前記光源ユニット20に対して径方向外側に配設され、前記第1流路部10に流れる流体を前記第2流路部30に流すための第3流路部40とを備え、前記第1流路部10又は前記光源ユニット20は、前記第3流路部40と連通する第1連通部121を備え、前記第2流路部30又は前記光源ユニット20は、前記第3流路部40と連通する第2連通部311を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向に延在し、一端から他端に流体を通す第1流路部と、
前記第1流路部の前記他端に連結されると共に、流体に紫外光を照射する光源ユニットと、
前記光源ユニットを挟んで、前記第1流路部と相対する第2流路部と、
前記光源ユニットに対して径方向外側に配設され、前記第1流路部に流れる流体を前記第2流路部に流すための第3流路部と、
を備え、
前記第1流路部又は前記光源ユニットは、前記第3流路部と連通する第1連通部を備え、
前記第2流路部又は前記光源ユニットは、前記第3流路部と連通する第2連通部を備え、
前記第3流路部は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、パーフルオロエチレンプロペンコポリマー(FEP)、パーフルオロアルコキシアルカン(PFA)、又はポリプロピレン(PP)のいずれかである
ことを特徴とする流体殺菌装置。
【請求項2】
軸方向に延在し、一端から他端に流体を通す第1流路部と、
前記第1流路部の前記他端に連結されると共に、流体に紫外光を照射する光源ユニットと、
前記光源ユニットを挟んで、前記第1流路部と相対する第2流路部と、
前記光源ユニットに対して径方向外側に配設され、前記第1流路部に流れる流体を前記第2流路部に流すための第3流路部と、
を備え、
前記第1流路部又は前記光源ユニットは、前記第3流路部と連通する第1連通部を備え、
前記第2流路部又は前記光源ユニットは、前記第3流路部と連通する第2連通部を備え、
前記第1連通部は、前記第1流路部と前記光源ユニットとの連結部から切り欠かれる切欠状の連通域を備える
ことを特徴とする流体殺菌装置。
【請求項3】
前記第1連通部が、前記切欠状の連通域を複数備え、
更に、前記第2連通部が、前記第2流路部と前記光源ユニットとの連結部から切り欠かれる切欠状の連通域を複数備え、
前記第1連通部における前記切欠状の連通域と、前記第2連通部における前記切欠状の連通域とが、周方向に交互に配設される
請求項2に記載の流体殺菌装置。
【請求項4】
前記光源ユニットは、前記第1流路部の前記他端に向き合う紫外光透過窓部を更に備え、
前記紫外光透過窓部の幅が、前記第1流路部の内径より大きい
請求項1から3のいずれか1項に記載の流体殺菌装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体殺菌装置に関する。
【背景技術】
【0002】
紫外光を照射して流体(例えば、飲料用の液体若しくは食品原料水、又は工場用の各種冷却水・洗浄水など)を殺菌する種々の製品が提供されている。これに関連する発明として、流体の流路に設けられる流体殺菌装置が、例えば、下記特許文献1,2に開示されている。
【0003】
ここで、特許文献1に開示の流体殺菌装置は、第1端面から第2端面に延びる直管状の処理室と、処理室の側壁に連結する流入口及び流出口と、第1端面及び第2端面の近傍(外側)にそれぞれ配設される光源とを備える。光源から照射された紫外光は、第1端面及び第2端面に嵌め込まれた紫外光透過窓を通過する。これにより、流入口の近くを流れる流体に流出口の近くを流れる流体よりも高強度の紫外光を照射することができる。
【0004】
また、特許文献2に開示の流体殺菌装置は、長手方向に延びる第1流路と、第1流路に略対向し、第1流路に流れる流体に紫外光を照射する光源ユニットと、第1流路と接続されると共に、光源ユニットの周囲に形成される第2流路とを備える。第2流路を流れる流体は、光源ユニットの表面(発光面)側から裏面(発光面との対向面)側へ流れる。
【0005】
更に、特許文献2に、第1流路と光源ユニットとの連結部の流路内径を第1流路の内径より短径とすると共に、光源ユニットの第1流路との対向域に、光源ユニットの内側に凹むオフセット部を設ける態様が開示されている。これにより、第1流路から流れる流体をオフセット部に集め、且つ、オフセット部に集まる流体に対流(渦流)を発生させることで、流体に長時間紫外光を照射することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第6571460号公報
【特許文献2】特開2018-8213号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、光源から発せられる紫外光の照射範囲は、光源に対向する領域だけでなく、光源の側方域を含む(光源の側方域に至る紫外光を、以下「広角光」という場合がある)。そのため、前記広角光を流体に有効に照射できれば、より効果的に流体を殺菌することができる。しかしながら、紫外光の広角光を利用し、流体殺菌能を高めるための手段は、特許文献1に開示も示唆もされていない。
【0008】
また、特許文献1の流体殺菌装置において、広角光を含めて紫外光を流体に照射させようとすると、処理室の径を広げる必要がある。しかしながら、この場合、処理室(流体殺菌装置)のサイズが大きくなる。
【0009】
また、特許文献2の流体殺菌装置において、光源ユニット近傍を流れる流体に対流を生じさせるに際し、連結部内側の流路内径を第1流路の内径より短径とし、且つ、光源ユニットにオフセット部を設ける複雑な構造を設けなければならない。そのため、流体殺菌装置の製造コスト高騰を招くおそれがある。
【0010】
前記課題に鑑み、本発明は、光源ユニットから照射される紫外光の広角光を有効に利用可能であると共に、極めてシンプルな構造でありながら、紫外光照射範囲に流体を滞留させる流体殺菌装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前述した課題を解決するため、本発明に係る流体殺菌装置は、
軸方向に延在し、一端から他端に流体を通す第1流路部と、
前記第1流路部の前記他端に連結されると共に、流体に紫外光を照射する光源ユニットと、
前記光源ユニットを挟んで、前記第1流路部と相対する第2流路部と、
前記光源ユニットに対して径方向外側に配設され、前記第1流路部に流れる流体を前記第2流路部に流すための第3流路部と、
を備え、
前記第1流路部又は前記光源ユニットは、前記第3流路部と連通する第1連通部を備え、
前記第2流路部又は前記光源ユニットは、前記第3流路部と連通する第2連通部を備え、
前記第3流路部は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、パーフルオロエチレンプロペンコポリマー(FEP)、パーフルオロアルコキシアルカン(PFA)、又はポリプロピレン(PP)のいずれかである
ことを特徴とする。
【0012】
本発明のこの態様によれば、第1流路部及び第2流路部の双方に連通し、光源ユニットの径方向外側に配設される第3流路部を備えることで、第1流路部を流れる流体が光源ユニット近傍に至った後、光源ユニットの紫外光出射面に沿って流れ、第3流路部に向かう。これにより、光源ユニットから出射される紫外光の広角光を第1流路部から第3流路部に流れる流体に照射できる。また、第3流路部が、紫外光に対する高反射特性を有するPTFE製であることから、第3流路部内で広角光が繰り返し反射する。そのため、第3流路部に流れる流体に広角光を長時間照射することができる。これにより、流体の殺菌能を高めることができる。
【0013】
また、本発明に係る流体殺菌装置において、
軸方向に延在し、一端から他端に流体を通す第1流路部と、
前記第1流路部の前記他端に連結されると共に、流体に紫外光を照射する光源ユニットと、
前記光源ユニットを挟んで、前記第1流路部と相対する第2流路部と、
前記光源ユニットに対して径方向外側に配設され、前記第1流路部に流れる流体を前記第2流路部に流すための第3流路部と、
を備え、
前記第1流路部又は前記光源ユニットは、前記第3流路部と連通する第1連通部を備え、
前記第2流路部又は前記光源ユニットは、前記第3流路部と連通する第2連通部を備え、
前記第1連通部は、前記第1流路部と前記光源ユニットとの連結部から切り欠かれる切欠状の連通域を備える
ことを特徴とする。
【0014】
本発明のこの態様において、第1流路部及び第2流路部の双方に連通し、光源ユニットの径方向外側に配設される第3流路部を備えることで、第1流路部を流れる流体が光源ユニットに至った後、光源ユニットの紫外光出射面に沿って流れ、第3流路部に向かう。これにより、光源ユニットから出射される紫外光の広角光を第1流路部から第3流路部に流れる流体に照射できる。また、第1流路部から第3流路部に流れる流体は、切欠状の連通域を備える第1連通部を通過する。その際、切欠状の連通域に流体が集中的に流れ込む。その結果、切欠状の連通域近傍に乱流が生じ、流体を滞留させることができる。そのため、第1流路部から第3流路部に流れる流体に紫外光を長時間照射することができる。これにより、流体の殺菌能を高めることができる。
【0015】
更に、本発明に係る流体殺菌装置は、
前記第1連通部が、前記切欠状の連通域を複数備え、
更に、前記第2連通部が、前記第2流路部と前記光源ユニットとの連結部から切り欠かれる切欠状の連通域を複数備え、
前記第1連通部における前記切欠状の連通域と、前記第2連通部における前記切欠状の連通域とが、周方向に交互に配設される
ことが好ましい。
【0016】
本発明のこの態様によれば、第1連通部における切欠状の連通域と、第2連通部における切欠状の連通域とが、周方向に交互に配設されるため、第3流路部を介して第1流路部から第2流路部に至る流体のショートパスを効果的に防ぐことができる。これにより、第1連通部における切欠状の連通域近傍に流体を滞留させることができ、当該流体に紫外光を長時間照射することができる。その結果、流体の殺菌能を更に高めることができる。
【0017】
更に、本発明に係る流体殺菌装置は、
前記光源ユニットは、前記第1流路部の前記他端に向き合う紫外光透過窓部を更に備え、
前記紫外光透過窓部の幅が、前記第1流路部の内径より大きい
ことが好ましい。
【0018】
本発明のこの態様によれば、第1流路部の他端に向き合う紫外光透過窓部の幅が、第1流路部の内径より大きいことから、紫外光透過窓部の近傍に達した後、第1連通部を通過する間も紫外光透過窓部から照射される紫外光を受けることができる。その分、流体に紫外光を長く照射することができる結果、流体の殺菌能を更に高めることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、光源ユニットから照射される紫外光の広角光を有効に利用可能であると共に、極めてシンプルな構造でありながら、紫外光照射範囲に流体を滞留させる流体殺菌装置を提供できる。その結果、本発明によれば、流体の殺菌効率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本実施形態に係る流体殺菌装置の垂直断面図。
【
図2】本実施形態に係る流体殺菌装置の垂直断面図。
【
図3】(a)
図1のA-A断面図(第1流路部の横断面図)、(b)
図1のB-B断面図(第3流路部の横断面図)、(c)
図1のC-C断面図(第2流路部の横断面図)、(d)A-A断面図とC-C断面図とを合成した合成断面図。
【
図6】(a)
図5のD-D断面図(第1流路部の横断面図)、(b)
図5のE-E断面図(第2流路部の横断面図)。
【発明を実施するための形態】
【0021】
[基本例]
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態に係る流体殺菌装置を詳細に説明する。初めに、
図1から
図3を参照して、本実施形態に係る流体殺菌装置1を説明する。ここで、
図1は、流体殺菌装置1の垂直断面図である。また、
図2は、流体殺菌装置1の垂直断面図(流体殺菌装置1における流体の流れを示す図)である。更に、
図3(a)は、
図1のA-A断面図(後述する第1連通部(切欠状の連通域の全て)を含む第1流路部の横断面図)、
図3(b)は、
図1のB-B断面図(後述の第3流路部の横断面図)、
図3(c)は、
図1のC-C断面図(後述の第2連通部(切欠状の連通域の全て)を含む第2流路部の横断面図)、
図3(d)は、A-A断面図とC-C断面図とを合成した合成断面図である。
【0022】
図1に示されるように、本実施形態に係る流体殺菌装置1は、第1流路部10、第1流路部10の他端12に連結される光源ユニット20、光源ユニット20を挟んで第1流路部10と相対する第2流路部30、光源ユニット20に対して径方向外側に配設される第3流路部40を備える。
【0023】
第1流路部10は、一端11、他端12、管状の側壁13を備え、軸方向(長手方向)に延在する。また、第1流路部10の他端12に、第3流路部40と連通する第1連通部121が設けられる。第1流路部10を流れる流体は、他端12の近傍に至ると、第1連通部121を通過し、第3流路部40(流路41)を流れる(
図2参照)。ここで、本実施形態の第1連通部121は、他端12(光源ユニット20との連結部)から一端11側に向けて切り欠かれる複数の連通域(切欠状の連通域)に対応する。複数の連通域の形状(大きさ)は、全て同じであってもよいし、それぞれ異なってもよい。ただし、第1連通部121の形態は、これに限られない。
【0024】
更に、本実施形態の第1流路部10は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)製であるが、これに限られない。第1流路部10の素材として、PTFE以外の樹脂(例えば、パーフルオロエチレンプロペンコポリマー(FEP)、パーフルオロアルコキシアルカン(PFA)等)であってもよいし、ステンレス等の金属であってもよい。
【0025】
次に、光源ユニット20は、
図1に示されるように、紫外光(例えば、100nm~400nmにピーク波長を有する光)を発光する光源21、光源21を収容する筐体22、第1流路部10の他端12に向き合うよう、筐体22に取り付けられる紫外光透過窓部23(例えば、石英等)を備える。
【0026】
光源21の種類は、特に限定されるものではないが、例えば、LED(Light emitting diode)、レーザーダイオードなどの半導体発光素子が挙げられる。また、本実施形態の光源21の数は1つであるが、2つ以上であってもよい。更に、光源21は、第1流路部10に向き合うよう筐体22内の所定箇所に基板を介して実装される。
【0027】
図2に示されるように、光源21から発光された紫外光は、紫外光透過窓部23を通過し、第1流路部10側に出射する。それに伴い、光源ユニット20から、例えば、第1流路10の一端11に向けて進む直進光211の他に、第1流路10の側壁13や第3流路30に向けて斜めに進む広角光212が照射される。なお、光源ユニット20において、紫外光透過窓部23を含む第1流路10との対向面を、以下「紫外光出射面」という場合がある。
【0028】
紫外光透過窓部23の幅Wと第1流路部10の内径R1との関係は、W>R1(紫外光透過窓部23の幅Wが、第1流路部10の内径R1より大きい)であることが好ましい。紫外光透過窓部23の幅Wと第1流路部10の内径R1との関係を前記のようにすることで、第1流路部10を流れる流体が、紫外光透過窓部23の近傍に達した後、第1連通部121を通過する間も紫外光透過窓部23から照射される紫外光を受けることができる。その分、流体に紫外光を長く照射することができる結果、流体の殺菌能をより高めることができる。ただし、紫外光透過窓部23の幅Wと第1流路部10の内径R1との関係は、これに限定されない。
【0029】
次に、
図1に示されるように、第2流路部30は、一端31、他端32、管状の側壁33を備え、軸方向(長手方向)に延在する。また、第2流路部30の一端31に、第3流路部40と連通する第2連通部311が設けられる。第3流路部40を流れる流体は、一端31の近傍に至ると、第2連通部311を通過し、第2流路部30に流入する(
図2参照)。ここで、本実施形態の第2連通部311は、一端31(光源ユニット20との連結部)から他端32側に向けて切り欠かれる複数の連通域(切欠状の連通域)に対応する。複数の連通域の形状(大きさ)は、全て同じであってもよいし、それぞれ異なってもよい。ただし、第2連通部311の形態は、これに限られない。
【0030】
更に、本実施形態の第2流路部20は、PTFE製であるが、これに限られない。第2流路部30の素材として、PTFE以外の樹脂(例えば、FEP、PFA等)であってもよいし、ステンレス等の金属であってもよい。
【0031】
次に、第3流路部40は、
図1に示されるように、光源ユニット20に対して径方向外側に配設される管状部材である。また、本実施形態の第3流路部40は、CリングやOリング等を介して、第1流路部10及び第2流路部30と連結する。これにより、第1流路部10と第2流路部30とを繋ぎ、且つ、光源ユニット20の外周域を覆う流路41が形成される。
【0032】
すなわち、第1流路部10を流れる流体が光源ユニット20の近傍に達した後、光源ユニット20の紫外光出射面に沿って流れ、第3流路部40に流入する。その結果、光源ユニット20から出射される紫外光の広角光212を第1流路部10から第3流路部40に流れる流体に照射できる(
図2参照)。
【0033】
また、第1流路部10から第3流路部40に流れる流体は、第1連通部121(切欠状の連通域)を通過する。その際、第1連通部121に流体が集中的に流れ込む。そのため、第1連通部121の近傍に乱流が生じ、流体を滞留させることができる。これにより、第1流路部10から第3流路部40に流れる流体に紫外光を長時間照射することができる。前記作用によって、流体の殺菌能を高めることができる。
【0034】
更に、第3流路部40から第2流路部30に流れる流体は、第2連通部311(切欠状の連通域)を通過する。その際、第2連通部311に流体が集中的に流れ込む。そのため、第2連通部311の近傍に乱流が生じ、流体を滞留させることができる。これにより、第3流路部40内における流体が滞留し、流路41と接する筐体22を介して、光源21で生じた熱を光源ユニット20の外側に効率的に排熱させることができる。
【0035】
更に、本実施形態の第3流路部40は、紫外光の高反射特性を有するPTFE製であることが好ましい。第3流路部40をPTFE製とすることで、第3流路部40に至った広角光212を繰り返し反射させることができる(
図2参照)。これにより、第3流路部40に流れる流体に広角光212を複数回照射することができるため、流体の殺菌能をより高めることができる。
【0036】
ただし、第3流路部40の素材は、これに限られない。他の素材として、PTFE以外の樹脂(例えば、FEP、PFA、ポリプロピレン(PP)等)であってもよいし、ステンレス等の金属であってもよい。
【0037】
ところで、
図3(d)に示されるように、第1連通部121における切欠状の連通域と、第2連通部311における切欠状の連通域とが、周方向に交互に配設される。より詳しくは、第1連通部121(切欠状の連通域の全て)を含む第1流路部10の横断面と、第2連通部311(切欠状の連通域の全て)を含む第2流路部40の横断面とを合成する(
図3(d)の合成断面図)と、周方向(例えば、時計回り)に、第1連通部121a、第2連通部311a、第1連通部121b、第2連通部311b、・・・、第1連通部121h、第2連通部311hの順に、第1連通部121と第2連通部311とが並ぶ。
【0038】
ここで、第3流路部40の流路41は、第3流路部40の横断面視において環状である(
図3(b)参照)。そのため、第1連通部121を通過した流体(例えば、第1連通部121aを通過した流体)は、任意の第2連通部311(第2連通部311aから311hのいずれか)に流入し得る。このとき、第1連通部121aに対して、全ての第2連通部311aから311hは、第1連通部121aに比べて周方向に所定距離だけ離れている(他の第1連通部121bから121hに関しても同様である)。これにより、第3流路部40を介して第1流路部10から第2流路部30に至る流体のショートパスを効果的に防ぐことができる。その結果、第1連通部121における切欠状の連通域近傍に流体を滞留させることができる。よって、当該流体に紫外光を長時間照射することができるため、流体の殺菌能を更に高めることができる。
【0039】
[変形例1]
次に、
図4を参照し、本実施形態に係る流体殺菌装置の変形例1(流体殺菌装置2)を説明する。ここで、
図4は、流体殺菌装置2の垂直断面図である。
図4に示されるように、流体殺菌装置2において、第2連通部312(切欠状の連通域)は、光源ユニット20と第2流路部30(一端31)との連結部から、光源ユニット20側に切り欠かれる。すなわち、光源ユニット20側に、第2連通部312が設けられる。その点で、第2連通部311が第2流路部30に設けられていた基本例(流体殺菌装置1)と異なる。
【0040】
[変形例2]
次に、
図5及び
図6を参照し、本実施形態に係る流体殺菌装置の変形例2(流体殺菌装置3)を説明する。ここで、
図5は、流体殺菌装置3の垂直断面図である。また、
図6(a)は、
図5のD-D断面図(第1流路部10の横断面図)であり、
図6(b)は、
図5のE-E断面図(第2流路部30の横断面図)である。
【0041】
図5及び
図6に示されるように、第1流路部10の他端12に設けられる第1連通部122は、半円弧状の連通域に対応する(円弧の長さ(角度)は、図示のものに限られない)。また、第2流路部30の一端31に設けられる第2連通部313は、半円弧状の連通域に対応する(円弧の長さ(角度)は、図示のものに限られない)。その点で、第1連通部121及び第2連通部311が、複数の切欠状の連通域に対応する基本例(流体殺菌装置1)と異なる。
【0042】
[変形例3]
次に、
図7を参照し、本実施形態に係る流体殺菌装置の変形例3(流体殺菌装置4)を説明する。ここで、
図7は、流体殺菌装置4の垂直断面図である。
図7に示されるように、紫外光透過窓部23の幅Wと第1流路部10の内径R2との関係が、W≦R2(紫外光透過窓部23の幅Wが、第1流路部10の内径R2以下)である。その点で、紫外光透過窓部23の幅Wと第1流路部10の内径R1との関係がW>R1である基本例(流体殺菌装置1)と異なる。
【0043】
以上、本発明の実施形態を詳細に説明した。ただし、前述の説明は本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定する趣旨で記載されたものではない。本発明には、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るものを含み得る。また、本発明にはその等価物が含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明に係る流体殺菌装置は、例えば、紫外光殺菌装置、浄水器、給湯器、送水管、冷却水循環装置、ウォーターサーバ、ドリンクサーバ等に用いられる。ただし、その用途は、これに限られない。
【符号の説明】
【0045】
1,2,3,4… 流体殺菌装置
10…第1流路部
121,122…第1連通部
20…光源ユニット
21…光源
22…筐体
23…紫外光透過窓部
30…第2流路部
311,312,313…第2連通部
40…第3流路部
41…第3流路部の流路