IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社大林組の特許一覧

<>
  • 特開-施工管理システム 図1
  • 特開-施工管理システム 図2
  • 特開-施工管理システム 図3
  • 特開-施工管理システム 図4
  • 特開-施工管理システム 図5
  • 特開-施工管理システム 図6
  • 特開-施工管理システム 図7
  • 特開-施工管理システム 図8
  • 特開-施工管理システム 図9
  • 特開-施工管理システム 図10
  • 特開-施工管理システム 図11
  • 特開-施工管理システム 図12
  • 特開-施工管理システム 図13
  • 特開-施工管理システム 図14
  • 特開-施工管理システム 図15
  • 特開-施工管理システム 図16
  • 特開-施工管理システム 図17
  • 特開-施工管理システム 図18
  • 特開-施工管理システム 図19
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023061093
(43)【公開日】2023-05-01
(54)【発明の名称】施工管理システム
(51)【国際特許分類】
   G05D 1/02 20200101AFI20230424BHJP
【FI】
G05D1/02 P
G05D1/02 H
G05D1/02 S
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021170875
(22)【出願日】2021-10-19
(71)【出願人】
【識別番号】000000549
【氏名又は名称】株式会社大林組
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】羽立 征治
(72)【発明者】
【氏名】岡本 邦宏
【テーマコード(参考)】
5H301
【Fターム(参考)】
5H301AA03
5H301AA10
5H301BB03
5H301CC03
5H301CC06
5H301CC10
5H301DD07
5H301DD15
5H301KK03
5H301KK08
5H301KK09
5H301KK10
5H301KK19
5H301KK20
5H301LL03
5H301LL08
5H301LL12
5H301LL14
(57)【要約】
【課題】自律運転による建機の作業を安全に、かつ、効率よく行うことのできる施工管理システムを提供する。
【解決手段】施工管理システム10は、施工現場において自律運転により作業を行う複数の建機11と、オペレータが操作可能な管理装置12と、複数の建機11と管理装置12とが通信可能に接続されたプラットフォーム13と、を備える。各建機11は、自己位置を取得し、取得した自己位置をプラットフォーム13に送信可能に構成される。管理装置12は、複数の建機11についての安全優先順位をプラットフォーム13に送信可能に構成される。プラットフォーム13は、各建機11の作業中、各建機11の自己位置と安全優先順位とに基づいて各建機11について緊急停止の要否を判断し、緊急停止が必要な建機11を緊急停止させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
施工現場において自律運転により作業を行う複数の建機と、
オペレータが操作可能な管理装置と、
前記複数の建機と前記管理装置とが通信可能に接続されたプラットフォームと、を備えた施工管理システムであって、
各建機は、自己位置を取得し、前記取得した自己位置を前記プラットフォームに送信可能に構成され、
前記管理装置は、前記複数の建機についての安全優先順位を前記プラットフォームに送信可能に構成され、
前記プラットフォームは、前記各建機の作業中、前記各建機の自己位置と前記安全優先順位とに基づいて前記各建機について緊急停止の要否を判断し、緊急停止が必要な建機を緊急停止させる
施工管理システム。
【請求項2】
前記複数の建機の各々は、前記緊急停止として自機を一時停止可能に構成されており、
前記プラットフォームは、前記安全優先順位の高い建機の作業範囲内に前記安全優先順位の低い建機が進入した場合に、前記安全優先順位の低い建機を一時停止させる
請求項1に記載の施工管理システム。
【請求項3】
前記複数の建機の各々は、前記緊急停止として自機を非常停止可能に構成されているとともに自機の非常停止を前記プラットフォームに送信可能に構成され、
前記プラットフォームは、前記複数の建機のいずれかが非常停止した場合に、前記各建機の自己位置と前記安全優先順位とに基づいて他の建機について緊急停止の要否を判断し、緊急停止が必要な建機を緊急停止させる
請求項1または2に記載の施工管理システム。
【請求項4】
前記複数の建機の各々は、前記緊急停止として自機を動作停止可能に構成されており、
前記プラットフォームは、前記複数の建機のいずれかが非常停止した場合に、前記緊急停止が必要な建機を動作停止させる
請求項3に記載の施工管理システム。
【請求項5】
前記複数の建機の各々は、前記緊急停止として自機を非常停止可能に構成され、
前記管理装置は、前記施工現場において前記各建機が移動可能な移動可能エリアを前記プラットフォームに送信可能に構成され、
前記プラットフォームは、前記移動可能エリア外に進入した建機を非常停止させる
請求項1~4のいずれか一項に記載の施工管理システム。
【請求項6】
前記管理装置は、前記移動可能エリアにおける進入禁止エリアを前記プラットフォームに送信可能に構成され、
前記プラットフォームは、前記進入禁止エリアに進入した建機を非常停止させる
請求項5に記載の施工管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の建機の自律運転によって施工を行う施工管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1のように、自動車においては、車載カメラやレーダなどを用いて自車両周辺の物体などを認識し、その認識に基づいて自車両を走行させる自律運転が実用化されつつある。こうした自律運転は、施工現場において作業を行う建機にも適用されつつある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-24286号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、自律運転する建機が作業を行う施工現場においては、施工効率を考慮すると、複数の建機の作業を同時期に行う必要がある。そのため、作業中の建機同士の接触防止など、安全面についての対策が必要であった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する施工管理システムは、施工現場において自律運転により作業を行う複数の建機と、オペレータが操作可能な管理装置と、前記複数の建機と前記管理装置とが通信可能に接続されたプラットフォームと、を備えた施工管理システムであって、各建機は、自己位置を取得し、前記取得した自己位置を前記プラットフォームに送信可能に構成され、前記管理装置は、前記複数の建機についての安全優先順位を前記プラットフォームに送信可能に構成され、前記プラットフォームは、前記各建機の作業中、前記各建機の自己位置と前記安全優先順位とに基づいて前記各建機について緊急停止の要否を判断し、緊急停止が必要な建機を緊急停止させる。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、自律運転による建機の作業を安全に、かつ、効率よく行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】施工管理システムの一実施形態の概略構成を示すブロック図。
図2】施工現場の空撮画像の一例を模式的に示す図。
図3】キャリアダンプに対するセンサの搭載例を模式的に示す図。
図4】建機および管理装置の一例を示す機能ブロック図。
図5】施工方法の一例を示すフローチャート。
図6】システム操作画面の一例を模式的に示す図。
図7】積込作業設定時におけるシステム操作画面の一例を模式的に示す図。
図8】運搬作業設定時におけるシステム操作画面の一例を模式的に示す図。
図9】運搬作業設定時におけるシステム操作画面の一例を模式的に示す図。
図10】敷均し作業設定時におけるシステム操作画面の一例を模式的に示す図。
図11】敷均し作業設定時におけるシステム操作画面の一例を模式的に示す図。
図12】締固め作業設定時におけるシステム操作画面の一例を模式的に示す図。
図13】締固め作業設定時におけるシステム操作画面の一例を模式的に示す図。
図14】バックホウの非常停止時における処理の一例を模式的に示す図。
図15】ブルドーザーの非常停止時における処理の一例を模式的に示す図。
図16】キャリアダンプの非常停止時における処理の一例を模式的に示す図。
図17】バックホウの作業中に他の建機を緊急停止させる処理の一例を模式的に示す図。
図18】ブルドーザーの作業中に他の建機を緊急停止させる処理の一例を模式的に示す図。
図19】作業中のキャリアダンプを緊急停止させる処理の一例を模式的に示す図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1図19を参照して、施工管理システムの一実施形態について説明する。施工管理システムは、複数の建機の作業などを管理するシステムである。
図1に示すように、施工管理システム10は、複数の建機11、管理装置12、および、プラットフォーム13を含んで構成されている。
【0009】
建機11は、自機を走行させる走行装置や特定の作業を行う作業装置などを有している。建機11は、搭乗オペレータによって操作可能に構成されている。また、建機11は、自律運転装置14を有している。プラットフォーム13と自律運転装置14は、無線接続により、ネットワークを介した相互通信が可能に構成されている。自律運転装置14は、プラットフォーム13が送信した作業情報や施工現場における外界情報などに基づいて、自機の走行装置や作業装置を駆動制御することにより、自機を自動自律運転する。
【0010】
管理装置12は、有線接続あるいは無線接続により、プラットフォーム13との間でネットワークを介した相互通信が可能に構成されている。管理装置12は、各建機11の作業情報などの各種情報をプラットフォーム13に入力するための入力部やプラットフォーム13から提供されるシステム操作画面などが表示される表示部などを有している。
【0011】
プラットフォーム13は、IoT(Internet of Things)に必要な機能や情報を、他の装置などからネットワーク経由で取得したり、他の装置などにネットワーク経由で提供したりする標準基盤である。
【0012】
建機11の自律運転装置14、管理装置12、および、プラットフォーム13の各々は、情報処理装置を中心に構成されている。情報処理装置は、例えばcircuitry、すなわち、ASICのような1つ以上の専用のハードウェア回路、コンピュータプログラム(ソフトウェア)に従って動作する1つ以上の処理回路、或いは両者の組み合わせによって実現することができる。処理回路は、CPUと、CPUによって実行されるプログラムを記憶したメモリ(ROM及びRAM等)と、を有する。メモリ、すなわちコンピュータ可読媒体は、汎用または専用のコンピュータでアクセスできるあらゆる利用可能な媒体を含む。
【0013】
また、施工管理システム10は、出来形計測器15、監視カメラ16、および、遠隔操作装置17などを含んで構成されてもよい。出来形計測器15、監視カメラ16、および、遠隔操作装置17は、有線接続あるいは無線接続によりプラットフォーム13に接続される。
【0014】
出来形計測器15は、施工現場20の所定位置に設置されている。出来形計測器15は、施工管理システム10を用いた施工の出来形(出来高であってもよい)を把握するための機器である。例えば、施工管理システム10を用いて所定の場所に盛り土を形成する施工を行う場合、出来形計測器15は、その盛り土を撮像する3Dスキャナなどの撮像装置である。出来形計測器15は、無人航空機に搭載されてもよい。出来形計測器15は、計測結果を示す出来形情報をプラットフォーム13に送信する。
【0015】
監視カメラ16は、施工現場20の各所に設置されている。各監視カメラ16は、建機11の動作を監視するためのカメラである。監視カメラ16は、撮像した監視画像を示す監視画像情報をプラットフォーム13に送信する。
【0016】
遠隔操作装置17は、遠隔オペレータが建機11を遠隔操作運転するための装置である。遠隔操作装置17は、建機11ごとに設けられてもよいし、操作対象となる建機11を切替可能であってもよい。遠隔操作装置17は、例えば、何らかのトラブルによって緊急停止した建機11を遠隔操作運転する際に用いられる。また、遠隔操作装置17は、操作対象の建機11を手動で緊急停止可能に構成されている。遠隔操作装置17は、遠隔オペレータの操作に基づく遠隔操作情報をプラットフォーム13に送信する。
【0017】
また、施工管理システム10は、インターネットを介して、気象情報18がプラットフォーム13に入力される構成であってもよい。気象情報18は、例えば、施工日の時刻毎の天気予報である。また、気象情報18は、降雨や降雪、霧、靄、霜などによって空気中や路面の現況や予測状況を示すように構成されてもよい。施工管理システム10は、各建機11の動作状況やその動作状況における各種計測値の計測情報などの各種情報がプラットフォーム13からロギングモニタリング装置19に送信される構成であってもよい。ロギングモニタリング装置19は、送信された各種情報を保存したり、関係者が閲覧可能となるようには配信したりする装置である。ロギングモニタリング装置19に保存された各種情報は、将来的なシステムの修正や開発などに利用される。
【0018】
図2に示すように、本実施形態の施工管理システム10は、施工現場20において、建機11としてバックホウBH、ブルドーザーBD、および、キャリアダンプCDの作業などを管理する。バックホウBHは、運搬車によってエリア21に運び込まれた土砂をキャリアダンプCDに積み込む積込作業を行う。キャリアダンプCDは、エリア21とエリア22との間を往復して、エリア21からエリア22へと土砂を運搬する運搬作業を行う。ブルドーザーBDは、エリア22において、キャリアダンプCDが運搬してきた土砂の均し作業や締固め作業を行って盛土を形成する。なお、図2は、バックホウBH、ブルドーザーBD、および、キャリアダンプCDをアイコンで表示しているとともに各々が駐機場に配置された状態を模式的に示している。また、施工現場20には、管理装置12や遠隔操作装置17などが設置される監視室23が設けられているとともに、後述する空撮画像における各位置を特定するためのランドマークが各所に設けられている。
【0019】
(建機に搭載されるセンサについて)
各建機11には、自機の周辺環境を検出する周辺環境センサや自機の駆動状況(走行装置の駆動状況や作業装置の駆動状況)を検出する駆動状況センサなど、自機の運転状況に関する情報を検出・取得するための各種センサが搭載されている。各種センサの検出結果は、自律運転装置14を介してプラットフォーム13に送信される。
【0020】
各種センサの搭載例についてキャリアダンプCDを用いて説明する。
図3に示すように、各建機11は、走行装置25と走行装置25に支持された作業装置26とを備える。キャリアダンプCDの場合、走行装置25はクローラ式であり、作業装置26は走行装置25に対して旋回可能な本体部27と本体部27に対して傾斜可能な荷台28とを備えている。
【0021】
キャリアダンプCDには、周辺環境センサとして、3D-LiDAR(Light Detection and Ranging)30、2D-LiDAR31、カメラ32などが搭載されている。
【0022】
3D-LiDAR30は、自機の周辺を計測範囲として、照射位置から計測範囲に存在する物体表面までの距離を計測する。3D-LiDAR30の計測結果に基づいて、自律運転装置14は、自機を中心とした自機周辺の点群情報を取得する。
【0023】
2D-LiDAR31は、自機の前方及び側方などの自機の周辺を計測範囲として、その計測範囲に存在する物体表面までの距離を計測する。2D-LiDAR26の計測結果に基づいて、自律運転装置14は、自機の前方、すなわち進行方向における点群情報を取得する。
【0024】
カメラ32は、自機の前方を撮像する。カメラ32は、例えば自機に搭乗した作業員の視点から自機の前方を撮像する。
キャリアダンプCDには、駆動状況センサとして、ロータリエンコーダ33、リニアエンコーダ34、傾斜センサ35などが搭載されている。ロータリエンコーダ33は、走行装置25を構成する左右両側の履帯の回転数を各別に検出する。リニアエンコーダ34は、走行装置25に対する本体部27の旋回角度を検出する。傾斜センサ35は、本体部27の傾斜角を検出するセンサや荷台28の傾斜角を検出するセンサなどを含んでいる。そのほか、キャリアダンプCDには、加速度(角速度)を計測するジャイロセンサ36なども搭載されている。自律運転装置14は、これらの各種センサの計測結果に基づく自機の運転状況をステータス情報としてプラットフォーム13に送信する。
【0025】
また、各建機11には、非常停止ボタン37が設けられている。この非常停止ボタン37は、始業前点検や日常点検における非常停止時の動作確認や搭乗オペレータによる自機の非常停止などに利用される。
【0026】
(自律運転装置)
図4に示すように、本実施形態の自律運転装置14は、作業情報記憶部42、自己位置推定部43、障害物検知部44、および、車両制御部45を備えている。自律運転装置14には、各種の周辺環境センサ46の検出結果と各種の駆動状況センサ47の検出結果とが入力される。
【0027】
作業情報記憶部42は、プラットフォーム13から送信された作業情報を記憶する。作業情報は、走行ルートや作業地点における作業内容などを含む情報である。
自己位置推定部43は、全地球測位システム(GPS)などの衛星測位システム(GNSS)を用いて推定した自己位置を位置情報としてプラットフォーム13に送信する。
【0028】
障害物検知部44は、周辺環境センサ46に基づいて取得した点群情報に基づいて障害物を検知する。
車両制御部45は、自機の走行装置25を駆動制御する。自律運転において、車両制御部45は、作業情報と自己位置とに基づいて、障害物検知部44が検知した障害物を迂回しながら、作業情報に応じて走行するように走行装置25を駆動制御する。また、遠隔操作運転において、車両制御部45は、遠隔操作装置17からの遠隔操作情報にしたがって走行するように走行装置25を制御する。
【0029】
車両制御部45は、自機の作業装置26を制御する。自律運転において、車両制御部45は、作業情報に応じた作業が行われるように作業装置26を駆動制御する。また、遠隔操作運転において、車両制御部45は、遠隔操作装置17からの遠隔操作情報に基づく作業が行われるように作業装置26を駆動制御する。
【0030】
車両制御部45は、非常停止ボタン37が操作されたときに走行装置25および作業装置26を非常停止させる。走行装置25および作業装置26が非常停止すると、自律運転装置14は、自機が非常停止の状態にあることをプラットフォーム13に送信する。
【0031】
また、自律運転装置14は、ステータス情報やプラットフォーム13からの指示などに基づいて自機を緊急停止させる。本実施形態における緊急停止は、非常停止、動作停止、一時停止の3種である。自律運転装置14は、ステータス情報に基づいて自機を緊急停止させた場合には、その緊急停止の種別を示す緊急停止情報をプラットフォーム13に送信する。
【0032】
非常停止は、自機や他の建機、システムに重い障害が発生した場合や自機が想定外の動作を検知した場合の緊急停止である。非常停止時、自律運転装置14は、自機の走行装置25および作業装置26を停止する。自律運転を非常停止した建機については、搭乗オペレータの操作による運転が必要とされる。
【0033】
動作停止は、自機や他の建機、システムに軽い障害が発生した場合や他の建機の緊急停止により建機同士による接触事故の可能性がある場合の緊急停止である。動作停止時、自律運転装置14は、自機の走行装置25および作業装置26を駆動状態に維持したまま、自律運転を停止・中断する。自律運転を中断した建機については、搭乗オペレータの操作による運転が必要とされる。
【0034】
一時停止は、自機を中心とした所定範囲内に作業員や他の建機などの障害物を検出した場合や建機同士の接触事故の可能性がある場合の緊急停止である。この場合、自律運転装置14は、一時停止の原因が除去されると自律運転を再開する。
【0035】
(管理装置)
図4に示すように、管理装置12は、入力部51、表示部52、情報処理部53、および、非常停止ボタン54を有する。
【0036】
入力部51は、各種デバイスが接続可能なインターフェースを有している。入力部51は、そのインターフェースに接続された各種デバイスから入力される情報を情報処理部53へ入力する。入力部51は、システムを操作する操作オペレータが操作可能なキーボードやマウスなどを接続可能なインターフェースを備えている。入力部51は、操作オペレータによるキーボードやマウスなどの操作情報を情報処理部53に入力する。また、入力部51は、外部記憶媒体などを接続可能なインターフェースを備えている。入力部51は、外部記憶媒体などに記憶されている情報を情報処理部53に入力する。
【0037】
表示部52は、各種情報を表示可能なディスプレイである。表示部52は、プラットフォーム13から提供されるシステム操作画面が表示されるディスプレイを含んでいる。また、表示部52は、建機11の動作状況を監視オペレータが監視するためのディスプレイ、すなわちプラットフォーム13から提供される監視カメラ16の監視画像を表示するディスプレイを含んでいる。
【0038】
情報処理部53は、各種処理を実行する。情報処理部53は、例えば、システム操作画面を表示部52に表示する処理や入力部51を通じて入力された情報をプラットフォーム13に送信する処理などを実行する。
【0039】
例えば、情報処理部53は、施工現場20の全体マップを示す全体マップ情報が入力部51から入力されると、その全体マップ情報をプラットフォーム13に送信する。
また例えば、情報処理部53は、施工現場20を空撮した空撮画像情報が入力部51から入力されると、その空撮画像情報をプラットフォーム13に送信する。施工現場20の空撮は、例えば毎朝など、定期的に行われる。
【0040】
非常停止ボタン54は、建機やシステムに重い障害が発生した場合など、操作オペレータや監視オペレータが安全確保のために必要と判断した場合に操作される。非常停止ボタン54は、操作オペレータ用に設けられているとともに監視オペレータ用に建機11ごとに設けられている。非常停止ボタン54が操作されると、情報処理部53は、非常停止情報をプラットフォーム13に送信する。
【0041】
(プラットフォーム)
プラットフォーム13は、接続された装置との間で各種情報を送受信する処理を実行する。例えば、プラットフォーム13は、各建機11の自律運転装置14からのステータス情報や位置情報、緊急停止情報などを管理装置12や遠隔操作装置17に送信する。プラットフォーム13は、出来形計測器15からの出来形情報や監視カメラ16からの監視画像情報、気象情報などを管理装置12に送信する。プラットフォーム13は、遠隔操作装置17からの遠隔操作情報を、操作対象となる建機11の自律運転装置14に送信する。
【0042】
プラットフォーム13は、管理装置12において入力された情報を各建機11の自律運転装置14に送信する。管理装置12での情報入力に関連して、プラットフォーム13は、管理装置12にシステム操作画面を提供する。プラットフォーム13は、システム操作画面を通じて入力された情報を、その情報に対応する建機11の自律運転装置14に送信する。
【0043】
(施工方法の一例)
本実施形態における施工管理システム10について、システム操作画面を用いた具体的な施工方法の一例について説明する。
【0044】
図5に示すように、施工方法の一例は、事前準備工程(ステップS101)、積込工程(ステップS102)、運搬工程(ステップS103)、敷均し工程(ステップS104)、敷均し計測工程(ステップS105)、締固め工程(ステップS107)、締固め計測工程(ステップS108)などを備えている。
【0045】
事前準備工程(ステップS101)においては、各建機11に対する事前準備とシステムに対する事前準備とを行う。
建機11に対する事前準備は、駐機場に駐機している各建機11に対して作業員が行う。作業員は、各建機11の自律運転装置14を起動するとともに非常停止ボタン37の操作による非常停止時の動作確認を行う。
【0046】
システムに対する事前準備は、システム操作画面を操作する操作オペレータによって行われる。
図6は、システム操作画面の表示例を示している。図6に示すように、システム操作画面60には、施工現場20の空撮画像を背景として、現在日時表示部61、気象情報表示部62、現況表示部63が表示される。プラットフォーム13は、管理装置12から最新の空撮画像情報が送信されると、その空撮画像情報に基づく空撮画像にシステム操作画面60の背景を更新する。気象情報表示部62は、インターネットを介して、プラットフォーム13に入力された気象情報を表示する部分である。気象情報表示部62に気象情報が表示されることにより、その気象情報に基づいて施工日の施工計画を操作オペレータが検討することができる。現況表示部63は、施工管理システム10における現在の状況を示す部分である。
【0047】
システム操作画面60には、建機ボタン66、ホームボタン67、施工管理ボタン68など、操作オペレータによって選択可能な選択ボタンが表示される。操作オペレータは、管理装置12の入力部51を操作して各種の選択ボタンを選択することにより、その選択ボタンに応じた作業情報を入力する。システム操作画面60の背景には、自律運転装置14からプラットフォーム13に入力された位置情報に基づく各建機11の位置がアイコン表示される。なお、図6図13においては、各種別の建機を図2に示したアイコンと同じアイコンで表示している。
【0048】
システムに対する事前準備として、操作オペレータは、最新の空撮画像を管理装置12からプラットフォーム13に送信することにより、システム操作画面60の背景を更新する。背景が更新されると、操作オペレータは、施工計画に基づいてシステム操作画面60の背景においてエリア選択を行うことにより、移動可能エリア71、進入禁止エリア72、積込エリア73、施工エリア74などを設定する。
【0049】
移動可能エリア71は、各建機11が移動可能なエリアである。進入禁止エリア72は、移動可能エリア71において建機11の進入が禁止されたエリアである。進入禁止エリア72は、例えば、監視室23に設置された管理装置12において設定されてもよいし、管理装置12として機能可能な携帯端末を用い、施工現場20における既設物や地形の状況を操作オペレータが実際に確認しながら設定されてもよい。なお、プラットフォーム13は、移動可能エリア71外へ進入した建機11や進入禁止エリア72へ進入した建機11を非常停止させる。
【0050】
積込エリア73は、運搬車によって土砂が運び込まれるエリア21を示すエリアである。施工エリア74は、盛土が形成されるエリア22を示すエリアである。また、操作オペレータは、現場にいる作業員との協働により、非常停止ボタン54の動作確認を行う。
【0051】
これらの事前準備が完了すると、各建機11が作業開始地点へと配置される。各建機11は、作業員による運転によって作業開始地点に配置されてもよいし、システム操作画面60における操作オペレータの指示に基づく自律運転によって作業開始地点に配置されてもよい。バックホウBHおよびキャリアダンプCDの作業開始地点は積込エリア73であり、ブルドーザーBDの作業開始位置は施工エリア74の近辺である。
【0052】
積込工程(ステップS102)において、操作オペレータは積込作業の設定を行う。
具体的には、図7に示すように、操作オペレータは、建機ボタン66を操作したのち、バックホウボタン81、運転ボタン82、積込ボタン83を順に操作する。積込ボタン83を操作すると、積込量確認ボックス84が表示される。積込量確認ボックス84には、事前に設定された積込量が表示される。積込量確認ボックス84の決定ボタンが選択すると、プラットフォーム13は、積込量などに関する情報を積込作業情報としてバックホウBHの自律運転装置14に送信する。
【0053】
バックホウBHの自律運転装置14は、積込作業情報に基づいて、自律運転による積込作業を行う。積込作業が完了すると、自律運転装置14は、積込作業が完了したことをプラットフォーム13に送信する。プラットフォーム13は、システム操作画面60に積込作業が完了したことを表示する。なお、プラットフォーム13は、積込作業中、キャリアダンプCDの自律運転および遠隔操作運転を禁止する。
【0054】
運搬工程(ステップS103)において、操作オペレータは運搬作業の設定を行う。
具体的には、図8に示すように、操作オペレータは、建機ボタン66を操作したのち、キャリアダンプボタン86、運転ボタン87、自律ボタン88を順に操作する。そして、図9に示すように、操作オペレータは、システム操作画面60において経由地点89と荷下ろし地点90を選択することによりキャリアダンプCDのルート設定を行う。ルート設定を行った操作オペレータは、ルート設定確認ボックス91の決定ボタンを操作する。決定ボタンが操作されると、プラットフォーム13は、操作オペレータが設定したルートに関する情報を運搬作業情報としてキャリアダンプCDの自律運転装置14に送信する。
【0055】
キャリアダンプCDの自律運転装置14は、運搬作業情報に基づいて、自律運転による運搬作業を行う。具体的には、自律運転装置14は、荷下ろし地点90を目標位置として自機を自律運転する。荷下ろし地点90に到達すると、自律運転装置14は、荷下ろし作業を行ったのち、同じルートを用いてキャリアダンプCDを作業開始地点まで自律運転する。そして、自律運転装置14は、プラットフォーム13に対して運搬作業が完了したことを送信する。プラットフォーム13は、システム操作画面60に運搬作業が完了したことを表示する。
【0056】
敷均し工程(ステップS104)においては、まず、操作オペレータは、システム操作画面60を操作することにより、ブルドーザーBDによる敷均し作業の設定を行う。
具体的には、図10に示すように、操作オペレータは、建機ボタン66を操作したのち、ブルドーザーボタン93、運転ボタン94、敷均しボタン95を順に操作する。このとき、プラットフォーム13は、システム操作画面60に荷下ろし地点90を表示する。
【0057】
図11に示すように、敷均しボタン95を操作すると、システム操作画面60には、敷均し確認ボックス96が表示される。この状態において、操作オペレータは、荷下ろし地点90を目印として、システム操作画面60においてブルドーザーBDによる施工開始地点および施工方向を帯状マーク97を用いて指定する。施工開始地点および施工方向を指定した操作オペレータは、敷均し確認ボックス96の決定ボタンを操作する。決定ボタンが操作されると、プラットフォーム13は、操作オペレータが設定した帯状マーク97に関する情報を敷均し作業情報としてブルドーザーBDの自律運転装置14に送信する。
【0058】
ブルドーザーBDの自律運転装置14は、敷均し作業情報に基づいて、自律運転による敷均し作業を行う。具体的には、自律運転装置14は、施工開始地点を目標位置として自機を自律運転する。施工開始地点に到着すると、自律運転装置14は、施工エリア74の地面を施工方向側へ敷均しを行う。
【0059】
敷均し作業が完了すると、自律運転装置14は、ブルドーザーBDを作業開始地点まで自律運転したのち、プラットフォーム13に対して敷均し作業の完了を示す情報を送信する。プラットフォーム13は、システム操作画面60に敷均し作業が完了したことを表示する。
【0060】
図12に示すように、操作オペレータは、施工エリア74が帯状マーク97で埋め尽くされるように、上述した積込工程(ステップS101)、運搬工程(ステップS102)、および、敷均し工程(ステップS103)の設定を行う。これにより、バックホウBH、ブルドーザーBD、および、キャリアダンプCDによる並行作業が行われる。
【0061】
敷均し計測工程(ステップS105)において、操作オペレータは、例えば、施工管理ボタン68を操作したのちに敷均し出来形ボタンを選択する。敷均し出来形ボタンが選択されると、プラットフォーム13は、出来形計測器15を用いて敷均し作業の出来形を取得し、その取得した出来形をシステム操作画面60に表示する。
【0062】
システム操作画面60に表示された出来形が不十分である場合(ステップS106:NO)、操作オペレータは、不足部分を対象として、積込工程(ステップS102)、運搬工程(ステップS103)、および、敷均し工程(ステップS104)を再び行う。システム操作画面60に表示された出来形が十分である場合(ステップS106:YES)、操作オペレータは、締固め工程(ステップS107)を行う。
【0063】
締固め工程(ステップS107)において、操作オペレータは、システム操作画面60を操作することにより、ブルドーザーBDによる締固め作業の設定を行う。
具体的には、図12に示すように、操作オペレータは、建機ボタン66を操作したのち、ブルドーザーボタン93、運転ボタン94、締固めボタン98を順に操作する。
【0064】
図13に示すように、締固めボタン98を操作すると、システム操作画面60には、締固め確認ボックス99が表示される。この状態において、操作オペレータは、帯状マーク97を締固めエリアに設定したのち、締固め確認ボックス99の決定ボタンを操作する。決定ボタンが操作されると、プラットフォーム13は、操作オペレータが設定した締固めエリアに関する情報を締固め作業情報としてブルドーザーBDの自律運転装置14に送信する。
【0065】
ブルドーザーBDの自律運転装置14は、締固め作業情報に基づいて、自律運転による締固め作業を行う。具体的には、自律運転装置14は、締固めエリアまで自機を自律運転する。締固めエリアに到着すると、自律運転装置14は、地面を締固めする。
【0066】
締固め作業が完了すると、自律運転装置14は、ブルドーザーBDを作業開始地点まで自律運転したのち、プラットフォーム13に対して締固め作業の完了を示す情報を送信する。プラットフォーム13は、システム操作画面60に締固め作業が完了したことを表示する。
【0067】
締固め計測工程(ステップS108)において、操作オペレータは、例えば施工管理ボタン68を操作したのちに締固め出来形ボタンを選択する。締固め出来形ボタンが選択されると、プラットフォーム13は、出来形計測器15を用いて締固め作業の出来形を取得し、その取得した出来形をシステム操作画面60に表示する。
【0068】
システム操作画面60に表示された出来形が不十分である場合(ステップS108:NO)、操作オペレータは、不足部分を締固めエリアとして、締固め工程(ステップS107)を再び行う。システム操作画面60に表示された出来形が十分である場合(ステップS107:YES)、操作オペレータは、一連の作業を終了する。
【0069】
(安全管理方法)
プラットフォーム13による施工管理システム10の安全管理方法について説明する。
プラットフォーム13は、予め設定された安全優先順位に基づいて建機11を緊急停止させることにより安全管理を行う。安全優先順位は、管理装置12を通じて操作オペレータによって設定される。プラットフォーム13は、安全優先順位として、オペレータや自律運転装置14についての第1安全優先順位と建機11の種別に基づく第2安全優先順位とが設定される。
【0070】
第1安全優先順位は、高い方から順に、操作オペレータ、監視オペレータ、搭乗オペレータ、遠隔オペレータ、自律運転装置14に設定されている。第1安全優先順位は、例えば、自律運転装置14や監視オペレータによって緊急停止がなされていなくとも操作オペレータによって緊急停止がなされた場合には、安全優先順位の高い操作オペレータの操作を優先させて緊急停止させるものである。
【0071】
第2案件優先度は、施工効率を考慮して、各建機11の作業内容などに基づいて設定される。第2安全優先順位は、いずれかの建機11が緊急停止した場合に他の建機11についての緊急停止の要否判断に用いられる。また、第2安全優先順位は、作業中に建機11同士が近づいた場合における緊急停止の要否判断に用いられる。本実施形態の第2安全優先順位は、高い方から順に、バックホウBH、ブルドーザーBD、キャリアダンプCDに設定されている。
【0072】
本実施形態における第2安全優先順位を用いた安全管理の一例について説明する。
まず、いずれかの建機11が非常停止した場合における安全管理について説明する。
図14に示すように、バックホウBHが非常停止すると、プラットフォーム13は、バックホウBHについての非常停止発報を管理装置12に行わせる。
【0073】
プラットフォーム13は、ブルドーザーBDおよびキャリアダンプCDの各々について、自己位置がバックホウBHの動作範囲内に含まれているか否かを判断する。動作範囲は、作業を行っている建機11について、その移動範囲を考慮した作業装置26の可動範囲に基づいて設定される範囲である。プラットフォーム13は、自己位置がバックホウBHの動作範囲内であるブルドーザーBDおよびキャリアダンプCDについては動作停止により緊急停止する。プラットフォーム13は、それらのブルドーザーBDおよびキャリアダンプCDについての運転停止発報を管理装置12に行わせる。また、プラットフォーム13は、運転停止させたブルドーザーBDおよびキャリアダンプCDについてはプラットフォーム13を介した操作を禁止する。
【0074】
図15に示すように、ブルドーザーBDが非常停止すると、プラットフォーム13は、ブルドーザーBDについての非常停止発報を管理装置12に行わせる。
プラットフォーム13は、バックホウBHについて、非常停止したブルドーザーBDがバックホウBHの動作範囲内にいるか否かを判断する。プラットフォーム13は、動作範囲内にブルドーザーBDがいるバックホウBHについては運転停止により緊急停止する。
【0075】
プラットフォーム13は、キャリアダンプCDの各々について、非常停止したブルドーザーBDの動作範囲内に自己位置が含まれているか否かを判断する。プラットフォーム13は、自己位置がブルドーザーBDの動作範囲内であるキャリアダンプCDについては運転停止により緊急停止する。
【0076】
プラットフォーム13は、それらのバックホウBHおよびキャリアダンプCDについての運転停止発報を管理装置12に行わせる。また、プラットフォーム13は、運転停止させたバックホウBHおよびキャリアダンプCDについてはプラットフォーム13を介した操作を禁止する。
【0077】
図16に示すように、キャリアダンプCDが非常停止すると、プラットフォーム13は、キャリアダンプCDについての非常停止発報を管理装置12に行わせる。
プラットフォーム13は、バックホウBHについて、緊急停止したキャリアダンプCDがバックホウBHの動作範囲内にいるか否かを判断する。プラットフォーム13は、動作範囲内にキャリアダンプCDがいるバックホウBHについては運転停止により緊急停止する。
【0078】
プラットフォーム13は、ブルドーザーBDについて、緊急停止したキャリアダンプCDがブルドーザーBDの動作範囲内にいるか否かを判断する。プラットフォーム13は、動作範囲内にキャリアダンプCDがいるブルドーザーBDについては運転停止により緊急停止する。
【0079】
プラットフォーム13は、それらのバックホウBHおよびブルドーザーBDについての運転停止発報を管理装置12に行わせる。また、プラットフォーム13は、運転停止させたバックホウBHおよびブルドーザーBDについてはプラットフォーム13を介した操作を禁止する。
【0080】
次に、各建機11の作業中における安全管理(インターロック)について説明する。
図17に示すように、バックホウBHの積込作業中、プラットフォーム13は、ブルドーザーBDおよびキャリアダンプCDの各々について、バックホウBHの作業範囲内に進入したか否かを判断する。作業範囲は、現在位置におけるバックホウBHの作業装置26の可動範囲に基づいて設定される範囲である。プラットフォーム13は、バックホウBHの作業範囲に進入したブルドーザーBDやキャリアダンプCDについては一時停止により緊急停止する。プラットフォーム13は、それらのブルドーザーBDやキャリアダンプCDについての一時停止発報を管理装置12に行わせる。
【0081】
図18に示すように、ブルドーザーBDの作業中、プラットフォーム13は、バックホウBHおよびキャリアダンプCDの各々について、ブルドーザーBDの作業範囲に進入したか否かを判断する。プラットフォーム13は、ブルドーザーBDの作業範囲内にバックホウBHが進入した場合、ブルドーザーBDを一時停止により緊急停止する。また、プラットフォーム13は、ブルドーザーBDの作業範囲内にキャリアダンプCDが進入した場合、そのキャリアダンプCDを一時停止により緊急停止する。プラットフォーム13は、それらのブルドーザーBDやキャリアダンプCDについての一時停止発報を管理装置12に行わせる。
【0082】
図19に示すように、キャリアダンプCDの運搬作業中、プラットフォーム13は、キャリアダンプCDの各々について、バックホウBHの作業範囲、あるいは、ブルドーザーBDの作業範囲内に進入したか否かを判断する。プラットフォーム13は、それらの作業範囲内に進入したキャリアダンプCDについては一時停止により緊急停止する。プラットフォーム13は、そのキャリアダンプCDについての一時停止発報を管理装置12に行わせる。
【0083】
本実施形態の作用および効果について説明する。
(1)施工管理システム10は、施工現場20において自律運転により作業を行う複数の建機11と、オペレータが操作可能な管理装置12と、複数の建機11と管理装置12とが通信可能に接続されたプラットフォーム13と、を備える。各建機11は、自己位置を取得し、取得した自己位置をプラットフォーム13に送信可能に構成される。管理装置12は、複数の建機11についての安全優先順位をプラットフォーム13に送信可能に構成される。プラットフォーム13は、各建機11の作業中、各建機11の自己位置と安全優先順位とに基づいて各建機11について緊急停止の要否を判断し、緊急停止が必要な建機11を緊急停止させる。
【0084】
これにより、例えば、各建機11の作業中に建機11同士の接触の可能性がある場合などに、安全優先順位に応じて、緊急停止が不要な建機11については作業を継続させつつ、緊急停止が必要な建機11については緊急停止させることができる。その結果、自律運転による建機11の作業を安全に、かつ、効率よく行うことができる。
【0085】
(2)複数の建機11の各々は、緊急停止として自機を一時停止可能に構成されている。プラットフォーム13は、安全優先順位の高い建機11の作業範囲内に安全優先順位の低い建機11が進入した場合に、安全優先順位の低い建機11を一時停止させる。
【0086】
これにより、安全優先順位の高い建機11の作業を継続させた状態で安全優先順位の低い建機11を緊急停止させることができる。また、緊急停止が一時停止であることにより、安全優先順位の低い建機11の運転再開を自動で行うことができる。
【0087】
(3)複数の建機11の各々は、緊急停止として自機を非常停止可能に構成されているとともに自機の非常停止をプラットフォーム13に送信可能に構成される。プラットフォーム13は、複数の建機11のいずれかが非常停止した場合に、各建機11の自己位置と安全優先順位とに基づいて他の建機11について緊急停止の要否を判断し、緊急停止が必要な建機11を緊急停止させる。
【0088】
これにより、緊急停止が不要な建機11の作業を継続させつつ、非常停止した建機11のメンテナンスなどを行うことができる。また、自律運転を非常停止した建機11については、搭乗オペレータの操作による運転が必要とされる。そのため、非常停止した建機11の運転を、周辺の安全性を確保したうえで行うことができる。
【0089】
(4)複数の建機11の各々は、緊急停止として自機を動作停止可能に構成されている。プラットフォーム13は、複数の建機11のいずれかが非常停止した場合に、緊急停止が必要な建機11を動作停止させる。
【0090】
このように、緊急停止が必要な建機11を動作停止とすることにより、該建機11の運転再開に搭乗オペレータによる直接的な操作が必要となる。その結果、非常停止した建機11周辺の安全性を確実に確保したうえで、動作停止した建機11の運転を行うことができる。
【0091】
(5)複数の建機11の各々は、緊急停止として自機を非常停止可能に構成されている。管理装置12は、施工現場20において各建機11が移動可能な移動可能エリア71をプラットフォーム13に送信可能に構成されている。プラットフォーム13は、移動可能エリア71外に進入した建機11を非常停止させる。
【0092】
これにより、何らかのトラブルによって移動可能エリア71外へと向かってしまう建機11を、監視オペレータの監視なしに非常停止させることができる。その結果、施工現場20付近における安全性を高めることができる。
【0093】
(6)管理装置12は、移動可能エリア71における進入禁止エリア72をプラットフォーム13に送信可能に構成されている。プラットフォーム13は、進入禁止エリア72に進入した建機11を非常停止させる。
【0094】
これにより、例えば、移動可能エリア71において、建機11の走行が困難なエリアなどを予め設定することができる。その結果、進入禁止エリア72内の走行にともなう事故やトラブルなどを防止することができる。
【0095】
(7)また、進入禁止エリア72の設定を施工日ごとに行うことで、日々変化する施工現場20の状況に応じて進入禁止エリア72を設定することができる。
【0096】
以上、施工管理システムの一実施形態について説明したが、本発明は上記の一実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。例えば、本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0097】
・建機11は、緊急停止として非常停止可能に構成されていればよい。これにより、緊急停止後に自律運転が再開されなくなることから、より安全性を高めることができる。
・進入禁止エリア72は、必要に応じて設定されればよい。そのため、進入禁止エリア72は、例えば、既設物や地形の状況に基づき、移動可能エリア71の全域において建機11の安全な走行が確保される場合には設定されなくともよい。
【0098】
・例えば、各建機11の動作状況を監視オペレータが常に監視している場合などには、移動可能エリア71が設定されなくともよい。このとき、移動可能エリア71外へと向かってしまう建機11については、監視オペレータによって非常停止される。
【0099】
・建機11の非常停止にともなう他の建機11の緊急停止は、非常停止であってもよいし、一時停止であってもよい。
・安全優先順位の高い建機11の作業範囲内に安全優先順位の低い建機11が進入した場合に、安全優先順位の低い建機11の緊急停止は、非常停止であってもよいし、動作停止であってもよい。
【0100】
・上記実施形態においては、建機11の種別ごとに安全優先順位を設定した。これに限らず、安全優先順位は、種別にかかわらず、施工効率を考慮して、建機11ごとに設定されてもよい。
【0101】
・また、非常停止時などを含め、施工が好適に行われない不測の事態が発生した際には、適宜タイミングで建機11を自動・自律的に駐機場に戻す制御を行うように構成してもよい。
【符号の説明】
【0102】
BD…ブルドーザー、BH…バックホウ、CD…キャリアダンプ、10…施工管理システム、11…建機、12…管理装置、13…プラットフォーム、14…自律運転装置、15…出来形計測器、16…監視カメラ、17…遠隔操作装置、18…気象情報、19…ロギングモニタリング装置、20…施工現場、42…作業情報記憶部、43…自己位置推定部、44…障害物検知部、45…車両制御部、46…周辺環境センサ、47…駆動状況センサ、51…入力部、52…表示部、53…情報処理部、54…非常停止ボタン、60…システム操作画面、61…現在日時表示部、62…気象情報表示部、63…現況表示部、66…建機ボタン、67…ホームボタン、68…施工管理ボタン、71…移動可能エリア、72…進入禁止エリア、73…積込エリア、74…施工エリア、81…バックホウボタン、82…運転ボタン、83…積込ボタン、84…積込量確認ボックス、86…キャリアダンプボタン、87…運転ボタン、88…自律ボタン、89…経由地点、90…荷下ろし地点、91…ルート設定確認ボックス、93…ブルドーザーボタン、94…運転ボタン、95…敷均しボタン、96…確認ボックス、97…帯状マーク、98…締固めボタン、99…確認ボックス。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19