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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023061101
(43)【公開日】2023-05-01
(54)【発明の名称】シャワー装置
(51)【国際特許分類】
   A47K 3/28 20060101AFI20230424BHJP
【FI】
A47K3/28
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021170890
(22)【出願日】2021-10-19
(71)【出願人】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森 健史
(72)【発明者】
【氏名】草川 研二
(72)【発明者】
【氏名】浅野 靖司
【テーマコード(参考)】
2D132
【Fターム(参考)】
2D132FA02
2D132FA03
2D132FA06
2D132FB02
2D132FC02
2D132FD01
2D132FE01
2D132FJ07
2D132FJ10
2D132FK01
(57)【要約】
【課題】快適なシャワー浴を実現できるシャワー装置を提供する。
【解決手段】シャワー装置1は、シャワーフック10及びシャワーヘッド20を備えている。シャワーフック10は、浴室Rの壁面WSに磁力によって着脱自在に取り付けられる。シャワーヘッド20は、シャワーフック10に着脱自在に装着される。シャワーヘッド20は、通水路P及びこの通水路Pを流通する湯水を下方に向けて吐出する複数の散水孔Sが形成されている。シャワーヘッド20は、装着部21、延長部22、及び散水部23を有している。装着部21は、シャワーフック10に回転自在に保持される。延長部22は、壁面WSから離れる方向に延びる。散水部23は、延長部22に対して回転自在である。散水部23は一対の延伸部40を具備している。一対の延伸部40は、二股に分岐し、中間部から先端にかけて互いの間隔が狭まるように延び、先端同士が間隔をあけて対向して設けられている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁性を有する浴室の壁面に磁力によって着脱自在に取り付けられるシャワーフックと、
通水路、及び前記通水路を流通する湯水を下方に向けて吐出する複数の散水孔とが形成されており、前記シャワーフックに着脱自在に装着されるシャワーヘッドと、を備え、
前記シャワーヘッドは、
前記シャワーフックに装着された状態において前記シャワーフックに回転自在に保持される装着部と、
前記装着部に連なって設けられ、前記シャワーフックに装着された状態において前記壁面から離れる方向に延びる延長部と、
前記複数の散水孔が形成され、前記延長部に連なり、前記延長部に対して回転自在に設けられた散水部と、
を有しており、
前記散水部は、二股に分岐し、中間部から先端にかけて互いの間隔が狭まるように延び、先端同士が間隔をあけて対向して設けられた一対の延伸部を具備する、シャワー装置。
【請求項2】
前記装着部、前記延長部、及び前記散水部は分離可能に接続されている請求項1に記載のシャワー装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、シャワー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は従来のシャワー装置を開示している。このシャワー装置はシャワー本体を備えている。シャワー本体はリング状をなしている。シャワー装置は、使用者の頭上に配置され、使用者の頭部を回避してリング状に湯水を噴出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003-79526号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の場合、シャワー本体は、壁面に対して固定的に配置される。このようにシャワー本体が壁面に固定されている場合、使用者の身長差や体格差によっては、シャワー本体から噴出する湯水の当たり方に差が生じ得る。この場合、湯水が頭部等の意図しない身体部位に当たったり、身体に当たることなく落下したりすることが懸念される。
【0005】
本開示は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、快適なシャワー浴を実現できるシャワー装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一実施形態に係るシャワー装置は、磁性を有する浴室の壁面に磁力によって着脱自在に取り付けられるシャワーフックと、通水路、及び前記通水路を流通する湯水を下方に向けて吐出する複数の散水孔が形成されており、前記シャワーフックに着脱自在に装着されるシャワーヘッドと、を備え、前記シャワーヘッドは、前記シャワーフックに装着された状態において前記シャワーフックに回転自在に保持される装着部と、前記装着部に連なって設けられ、前記シャワーフックに装着された状態において前記壁面から離れる方向に延びる延長部と、前記複数の散水孔が形成され、前記延長部に連なり、前記延長部に対して回転自在に設けられた散水部と、を有しており、前記散水部は、二股に分岐し、中間部から先端にかけて互いの間隔が狭まるように延び、先端同士が間隔をあけて対向して設けられた一対の延伸部を具備する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態に係るシャワー装置が設置された浴室を概略的に示す図である。
図2】実施形態に係るシャワー装置の使用例を模式的に示す図である。
図3】実施形態に係るシャワー装置の分解斜視図である。
図4】実施形態に係る散水部を示す平面図である。
図5】実施形態に係る散水部を示す断面図である。
図6】実施形態に係る散水部の要部を拡大して示す底面図である。
図7】実施形態に係るシャワー装置の非使用状態における配置例を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
<実施形態>
本実施形態に係るシャワー装置1は、図1に示すように、浴室Rに設けられる。浴室Rはいわゆるユニットバスである。浴室Rの壁Wは、磁性を有する鋼板の裏面に断熱材として機能する石膏ボードを貼り付けて構成されている。シャワー装置1は、壁Wにおける浴室R内の空間に露出する面である壁面WSに取り付けられる。
【0009】
浴室Rは、既存の湯水混合水栓100と、この湯水混合水栓100に接続されている既存のハンドシャワー101とを有している。湯水混合水栓100とハンドシャワー101とは、シャワーホース102を介して接続されている。シャワー装置1は、分岐金具2を湯水混合水栓100とシャワーホース102との間に取り付け、この分岐金具2にシャワー装置1用のシャワーホース3を接続することによって後付けで取り付けられる。分岐金具2は、ハンドシャワー101側のシャワーホース102と、シャワー装置1側のシャワーホース3と、のいずれか一方へ湯水の供給を選択的に切り替える機能を有している。本実施形態では、「湯水」の表記は、温度、混合割合等に関わらず、湯水混合水栓100を経由した水を表すものである。
【0010】
以下の説明において、シャワー装置1における各構成部材の方向は、通常の使用状態における方向を基準とする(図1参照)。シャワー装置1における前後の方向は、壁面WSの正面方向を前方、その反対方向を後方として定義する。シャワー装置1における左右の方向及び上下の方向については、壁面WSに正対した使用者から見た方向をそのまま左右方向及び上下方向とする。各図に示すX軸、Y軸、及びZ軸は、それぞれ前後方向、左右方向、及び上下方向を表す。X軸、Y軸、及びZ軸において、各軸の正方向はそれぞれ前方、左方、及び上方である。
【0011】
図1から図3に示すように、シャワー装置1は、シャワーフック10と、シャワーヘッド20と、を備えている。シャワーフック10は、壁面WSに対し、磁力によって着脱自在に取り付けられる。シャワーフック10は、固定部11と、フック部12とを有している。固定部11は、壁面WSに対して磁力によって固定される。具体的には、固定部11の後面11Aには、例えばマグネットシート等、磁力発生源となる図示しない磁性部材が配置されている。フック部12は、シャワーヘッド20を着脱自在である。フック部12は、固定部11と一体に形成されている。フック部12は、固定部11の前面から前方に突出している。フック部12には、前端部が開放された断面C字状の孔12Aが形成されている。孔12Aは、一方の方向に向けて縮径するテーパ状に形成されている。シャワーフック10は、通常、孔12Aにおける小径側端部が下側に位置するように、孔12Aの軸を上下方向に向けて配置される。
【0012】
シャワーヘッド20は、シャワーフック10に着脱自在に装着される。図3に示すように、シャワーヘッド20は、装着部21と、延長部22と、散水部23とを有している。装着部21、延長部22、及び散水部23は、それぞれ筒状をなしている。装着部21、延長部22、及び散水部23におけるそれぞれの内部空間は、一連の通水路P(図5参照)とされている。シャワーヘッド20は、シャワーホース3からの湯水を、装着部21、延長部22、散水部23、の順に内部を流通させ、散水部23に形成された後述する複数の散水孔Sから吐出する。
【0013】
装着部21はシャワーホース3の一端に接続されている。装着部21は、シャワーヘッド20がシャワーフック10に装着された状態において、シャワーフック10に回転自在に保持される(図1及び図7参照)。詳細には、装着部21は、シャワーフック10におけるフック部12の孔12Aに上方から挿入される。図3に示すように、装着部21は、下方に向けて縮径するテーパ状の外形形状を有する筒状をなしている。装着部21の内部の空間は通水路Pを構成する。装着部21の上端の外径は、フック部12の孔12Aの上端の内径よりも大きい。装着部21の下端の外径は、フック部12の孔12Aの上端の内径よりも小さい。このため、装着部21は、フック部12の孔12Aに上方から挿入された状態において、装着部21の外周面が孔12Aの内周面に接触して引っ掛かり、フック部12から抜け落ちることなくフック部12に保持される。この状態において、装着部21は、その外周面を孔12Aの内周面に対して摺動させるようにして、孔12Aの上下に延びる軸周りに回転可能である。装着部21の上端の内周面には図示しないめねじが形成されている。
【0014】
図3に示すように、延長部22はL字状に屈曲する管である。延長部22の内部空間は通水路Pを構成する。延長部22は、基端部22Aにおいて装着部21に接続され、先端部22Bにおいて散水部23に接続される。基端部22Aの下端にはおねじ22Cが形成されている。延長部22は、このおねじ22Cを装着部21のめねじにねじ込むことによって、装着部21に分離可能に接続される。基端部22Aは、装着部21に接続された状態において、装着部21に連なって上下方向に延びる。先端部22Bは、基端部22Aの上端から屈曲して延びている。具体的には、先端部22Bは、基端部22Aの中心軸を軸C1とした場合に、この軸C1に対して交差する方向に延びる軸C2を中心軸として、基端部22Aから屈曲して延びている。軸C1は、シャワーヘッド20がシャワーフック10に対して回転する際の回転軸でもある。軸C2は、散水部23が延長部22に対して回転する際の回転軸でもある。延長部22において、先端部22Bの基端部22Aからの延伸長さは、基端部22Aにおける上下方向の長さよりも長い。先端部22Bの先端の内周面には図示しないめねじが形成されている。
【0015】
散水部23は、延長部22の先端に接続されている。図3に示すように、散水部23は、基部30と、延伸部40とを具備している。基部30は、後端部におねじ31が形成された筒状をなしている。基部30の内部空間は通水路Pを構成する。散水部23は、この基部30におけるおねじ31を延長部22の先端のめねじにねじ込むことによって、延長部22に分離可能に接続される。基部30の前端部には図示しない回転機構が内蔵されている。これによって、散水部23は、基部30の前端部分よりも先端側の部分において、延長部22に対して回転自在である。散水部23は、延長部22における先端部22Bの軸C2周りに回転自在に、延長部22に接続されている。
【0016】
延伸部40は、基部30の前端に接続されている。図3及び図4に示すように、延伸部40は一対設けられている。一対の延伸部40は、基部30から二股に分岐して延びている。一対の延伸部40は、延伸方向における中間部から先端部にかけて互いの間隔が狭まるように延びている。一対の延伸部40における先端40Aは、200mm程度の間隔をあけて対向している。本実施形態の場合、一対の延伸部40は、図4に示すように、左右に対称な形状をなしている。散水部23は、一対の延伸部40によって囲まれた内側の領域Aを形成する。領域Aは、一対の延伸部40の先端40A同士の間の開口Bにおいて外側の領域と連通している。
【0017】
一対の延伸部40は、第1部分41と、第2部分42とをそれぞれ有している。第1部分41は、互いの間隔が広がるように延びる部分である。本実施形態の場合、第1部分41は、基部30の前端から左右方向に直線状に延伸して形成されている。左右の第1部分41は一直線状に連なっている。左右の第1部分41全体の長さは320mm程度としている。第2部分42は、第1部分41よりも先端側において互いの間隔が狭まるように延びる部分である。本実施形態の場合、第2部分42は、図4に示すように、先端40Aに向けて、領域Aの内側方向に緩やかに湾曲しつつ延伸している。各第2部分42は、各第1部分41の左右両端から前方に、210mm程度突出している。第2部分42の先端側の部分は、下方になだらかに垂れ下がっている(図3参照)。第2部分42の先端は、第2部分42の基端側を水平に配置した状態において、この基端側に対して30mmから40mm程度下方に位置する。
【0018】
延伸部40における断面形状は多角形状である。詳細には、図5に示すように、延伸部40は、長方形状における下側の2つの角部に対してC面取りを施したような、六角形状の断面形状をなしている。これによって、延伸部40の下部には、内側方向を向いた内側傾斜面部40Bと、下方を向いた下面部40Cと、外側方向を向いた外側傾斜面部40Dと、が形成される。延伸部40の内側空間であって通水路Pを形成する内周面の断面形状も、同様の六角形状である。延伸部40における通水路Pの断面積、すなわち流路断面の面積は、54mm2程度である。したがって、散水部23における一対の延伸部40の流路断面の総面積は、108mm2程度である。
【0019】
図5及び図6に示すように、シャワーヘッド20は、複数の散水孔Sを形成している。本実施形態の場合、複数の散水孔Sは延伸部40に形成されている。複数の散水孔Sは、延伸部40の延伸方向に沿って2列、千鳥配列状に形成されている。複数の散水孔Sは、一対の延伸部40における流路断面の面積の半分程度の流路断面となるように、その内径、数等が設定されている。具体的には、具体的には、複数の散水孔Sは、内径8mm程度、総数100個程度、総断面積が55mm2以下に設定されている。散水孔Sは、第1部分41においては、内側傾斜面部40Bに形成されている。各散水孔Sは、内側傾斜面部40Bの表面に対して直交する方向に貫通している。このため、第1部分41からは、散水部23における領域Aの内側方向、すなわち前方斜め下方に向けて湯水が吐出される。第2部分42における散水孔Sは下面部40Cに形成されている。第2部分42における散水孔Sは、下面部40Cの表面に対して直交する方向に貫通している。このため、第2部分42からは湯水が下方に向けて吐出される。
【0020】
本実施形態に係るシャワー装置1の作用について、シャワー装置1の設置例、及び使用例と合わせて説明する。始めに、シャワー装置1の設置例について説明する。シャワー装置1は、シャワーフック10及びシャワーヘッド20に加えて、分岐金具2、シャワーホース3、スパナ等の組み付け用の簡易工具、止水テープ等を合わせて一式として入手される。シャワー装置1は、これらの取り付け、組み立て等を行うことによって、既存の浴室Rに設置することができる。
【0021】
具体的には、シャワー装置1は、シャワーフック10の壁面WSへの取り付け、シャワーヘッド20における装着部21、延長部22、及び散水部23の組み立て、分岐金具2の湯水混合水栓100への組み付け、シャワーホース3の分岐金具2への接続等を行うことによって浴室Rに設置される。シャワーフック10は、壁面WSに対し、磁力によって極めて容易に取り付けられる。分岐金具2は、湯水混合水栓100とシャワーホース102との間に組み付けられる。分岐金具2は、湯水混合水栓100から既設のシャワーホース102を取り外して組み付ける。シャワーホース3は、分岐金具2に接続される。
【0022】
シャワーヘッド20は、組み立て前の状態では、装着部21、延長部22、及び散水部23がそれぞれ分離されており、梱包時等における嵩張りが抑制されている。装着部21は、シャワーホース3における分岐金具2と接続された端部の反対側の端部に予め取り付けられている。シャワーヘッド20の組み立てでは、この装着部21に対して延長部22における基端部22Aのおねじ22Cをねじ込み、延長部22における先端部22Bに散水部23におけるおねじ31をねじ込んで組み立てられる。シャワー装置1は、このようにして組み立てられたシャワーヘッド20をシャワーフック10に装着することによって設置完了する。シャワーヘッド20は、ねじ込みによる組み立てであるため、極めて容易に組み立て可能であり、再度分解するのも容易である。
【0023】
シャワー装置1の使用例について説明する。シャワー装置1を使用する際、使用者は、シャワーフック10の壁面WSにおける位置調整を必要に応じて行う。シャワーフック10は、座位、立位等、シャワー浴時の使用者の姿勢や、使用者の身長等に応じた高さに調整して位置決めされる。シャワーフック10の取り付け高さは、シャワーフック10に装着された状態におけるシャワーヘッド20の散水部23の高さが、シャワー浴時の使用者の首の高さと同等程度に合わせた位置とすることが好ましい。シャワーフック10は、壁面WSに対して磁力によって着脱自在に取り付けられるため、位置調整も容易である。
【0024】
シャワーヘッド20は、延長部22及び散水部23が壁面WSから離れる方向に延伸するようにシャワーフック10に装着される。シャワーヘッド20の装着部21は、シャワーフック10に対して回転自在に設けられている。このため、使用者は、シャワーヘッド20をシャワーフック10に装着したままで、シャワーヘッド20を所望の向きに自在に調整可能である。
【0025】
シャワー装置1から湯水を吐出する場合、使用者は、分岐金具2を操作する。分岐金具2は、湯水混合水栓100から供給される湯水を、ハンドシャワー101側のシャワーホース102、及びシャワー装置1側のシャワーホース3のいずれか一方に選択的に切り替えて流通させることができる。シャワー装置1を使用する場合には、使用者は、分岐金具2を操作してシャワー装置1からの吐水に切り替える。
【0026】
使用者は、湯水混合水栓100を操作し、水温及び流量を調節して吐水を開始する。適温、適量の湯水が散水孔Sから吐出されるようになったら、使用者は、延伸部40に囲まれた領域A内に首のあたりから進入する。使用者は、背中を壁面WS側に向け、両肩のラインを延伸部40における第1部分41の前方斜め下方に位置させるとともに、左右の第2部分42の中央辺りに体心を置く(図1及び図2参照)。
【0027】
シャワー装置1において、延伸部40における第1部分41は、左右一直線状に連なっている。左右の第1部分41の全長は320mm程度に設定されている。このため、シャワー装置1は、第1部分41を使用者の両肩のラインに沿わせた位置に好適に配置できる。第2部分42は、左右の第1部分41のそれぞれの端部から前方に延びるとともに、先端に向けて左右の間隔が狭まるように延びている。このため、シャワー装置1は、第2部分42を使用者の両肩から胸にかけた位置に好適に配置できる。
【0028】
第1部分41における散水孔Sは、内側傾斜面部40Bに形成されている。このため、シャワー装置1は、第1部分41における散水孔Sからの湯水を使用者の両肩に良好に当てることができる。第2部分42における散水孔Sは、下面部40Cに形成されている。このため、シャワー装置1は、第2部分42における散水孔Sからの湯水を、使用者の両肩から胸にかけて、良好に当てることができる。シャワー装置1の使用者は、これら第1部分41及び第2部分42の散水孔Sからの湯水を浴びることで、360°湯水に包まれるような浴び心地でシャワー浴を満喫できる。
【0029】
シャワー装置1の使用後は、図7に示すように、シャワーヘッド20における先端部22Bの延伸方向が壁面WSに沿うように、装着部21をシャワーフック10に対して軸C1周りに回転させる。同様に、散水部23における一対の延伸部40を軸C2周りに回転させて壁面WSに沿わせる。このように、シャワー装置1は、シャワーヘッド20がシャワーフック10に対して回転自在であるとともに、散水部23が延長部22に対して回転自在であるため、壁面WSからの突出を抑えた状態にできる。この状態をシャワー装置1の収納状態とすることで、シャワー装置1は、再度使用状態にすることも容易である。
【0030】
以上のように、本実施形態に係るシャワー装置1は、シャワーフック10とシャワーヘッド20とを備えている。シャワーフック10は、磁性を有する浴室Rの壁面WSに磁力によって着脱自在に取り付けられる。シャワーヘッド20は、シャワーフック10に着脱自在に装着される。シャワーヘッド20は、通水路Pと、この通水路Pを流通する湯水を下方に向けて吐出する複数の散水孔Sとが形成されている。シャワーヘッド20は、装着部21と、延長部22と、散水部23とを有している。装着部21は、シャワーヘッド20がシャワーフック10に装着された状態において、シャワーフック10に回転自在に保持される。延長部22は、装着部21に連なって設けられる。延長部22は、シャワーヘッド20がシャワーフック10に装着された状態において、シャワーフック10が取り付けられた壁面WSから離れる方向に延びる。散水部23は、複数の散水孔Sが形成されている。散水部23は、延長部22に連なり、延長部22に対して回転自在に設けられている。散水部23は一対の延伸部40を具備している。一対の延伸部40は、二股に分岐し、中間部から先端にかけて互いの間隔が狭まるように延び、先端同士が間隔をあけて対向して設けられている。
【0031】
シャワー装置1は、シャワーフック10を壁面WSに着脱自在であるため、シャワーヘッド20を所望の位置に設定することができる。このため、シャワー装置1は、シャワーヘッド20の高さを使用者の身長、体格等に合わせた位置に自在に配置でき、シャワーヘッド20から吐出される湯水を使用者の身体の所望の部位に良好に当てることができる。したがって、シャワー装置1は、快適なシャワー浴を実現できる。
【0032】
シャワー装置1において、装着部21、延長部22、及び散水部23は、分離可能に接続されている。このため、シャワー装置1は、装着部21、延長部22、及び散水部23の各部材を分離し、シャワーヘッド20を分解した状態にすることができる。その結果、シャワー装置1は、梱包時等における嵩張を抑制することができるとともに、組み立ても容易である。
【0033】
シャワー装置1において、シャワーヘッド20は、一対の延伸部40を具備する散水部23を有している。一対の延伸部40は、二股に分岐し、中間部から先端にかけて互いの間隔が狭まるように延びている。このため、シャワー装置1は、散水部23からリング状に湯水を吐出でき、一対の延伸部40の延伸する範囲全体に渡って湯水に包まれるような良好な浴び心地のシャワー浴を実現することができる。
【0034】
シャワー装置1において、一対の延伸部40は、先端40A同士が間隔をあけて対向して設けられている。このため、シャワー装置1は、使用者の身体を延伸部40に囲まれた領域Aに容易に進入させることができる。例えば、延伸部が全周に渡って繋がったリング状をなしている場合、その内側領域に使用者の身体を進入させるには、しゃがんで下から潜ったり、一旦シャワーヘッドを取り外して体を通したりしなければならない。これに対し、シャワー装置1は、一対の延伸部40の先端40A同士の間の開口Bから領域A内に容易に進入することができる。
【0035】
シャワー装置1において、シャワーヘッド20は、シャワーフック10に装着された状態においてシャワーフック10に回転自在に保持される装着部21と、この装着部21に連なって設けられ、シャワーフック10に装着された状態において壁面WSから離れる方向に延びる延長部22と、この延長部22に連なり、延長部22に対して回転自在に設けられた散水部23と、を有している。装着部21は、壁面WSに沿った軸C1周りに回転する。散水部23は、軸C1に対して交差する軸C2周りに回転する。このため、シャワー装置1は、シャワーヘッド20を、延長部22が壁面WSに沿うように装着部21を回転させるとともに、この状態において延伸部40が壁面WSに沿うように散水部23を回転させることによって、壁面WSからの突出を抑えた状態にできる。この状態をシャワー装置1の収納状態とすることで、非使用時にはシャワー装置1の壁面WSからの突出量が抑えられ、使用時の状態にも容易に戻すことができる。
【0036】
<他の実施形態>
本開示は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施の形態も本開示の技術的範囲に含まれる。
【0037】
本開示に係るシャワーヘッドにおいて、装着部、延長部、及び散水部が分離可能に接続されていることは必須ではない。装着部と延長部、及び延長部と散水部の少なくとも一方は、分離不能であってもよい。
【0038】
装着部、延長部、及び散水部が分離可能に接続されている場合、その接続方法はねじ込み式に限定されない。装着部、延長部、及び散水部は、差し込み式等、他の方法で接続されていてもよい。
【0039】
本開示に係る延長部の構成は上記実施形態に限定されない。延長部は、例えば、伸縮自在に設けられていることができる。この場合、使用時においては、散水部の壁面からの位置を使用者の所望の位置に自在に調整することができ、非使用時においては、最も短くした状態とすることでシャワー装置の大きさを抑えた収納状態とすることができて好ましい。
【0040】
本開示に係る一対の延伸部の構成は、上記実施形態に限定されない。一対の延伸部は、例えば、全体的に湾曲した形状をなしていてもよい。一対の延伸部は、例えば、直線状の管を繋ぎ合わせて全体として湾曲状をなしていてもよい。
【0041】
延伸部の断面形状は上記実施形態に限定されない。延伸部の断面形状としては、例えば、円形状や、三角形状、四角形状、五角形状等の多角形状であってもよい。
【0042】
複数の散水孔の形成形態は上記実施形態に限定されない。複数の散水孔は、例えば、延伸部の延伸方向に沿って1列のみ形成されていてもよいし、3列以上形成されていてもよい。
【0043】
散水部からの吐水形態としては、いわゆるシャワー状の吐水形態に限らず、例えば、ミスト状、泡沫状等の吐水形態であってもよい。散水部は、例えば、基端側(例えば、延伸部における第1部分)においてシャワー状、先端側(例えば、延伸部における第2部分)においてミスト状等、異なる吐水形態を組み合わせた吐水形態であってもよい。
【0044】
シャワー装置に対して分岐金具を用いて湯水を供給する場合、分岐金具における湯水の供給形態としては、上記実施形態において例示した既存のハンドシャワー側のシャワーホースとシャワー装置側のシャワーホースと、のいずれか一方への湯水の供給に限定されない。分岐金具は、例えば、シャワー装置側及び既存のハンドシャワー側の両方に同時に湯水を供給するものであってもよい。分岐金具は、シャワー装置側及び既存のハンドシャワー側のいずれか一方への湯水の供給と、シャワー装置側及び既存のハンドシャワー側の両方への湯水の供給と、を選択的に切り替える機能を有していてもよい。
【符号の説明】
【0045】
1…シャワー装置、10…シャワーフック、20…シャワーヘッド、21…装着部、22…延長部、23…散水部、40…延伸部、40A…延伸部の先端、P…通水路、R…浴室、S…散水孔、WS…壁面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7