(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023006113
(43)【公開日】2023-01-18
(54)【発明の名称】光コネクタおよび光コネクタ付きモジュール
(51)【国際特許分類】
G02B 6/36 20060101AFI20230111BHJP
G02B 6/12 20060101ALI20230111BHJP
G02B 6/13 20060101ALI20230111BHJP
G02B 6/122 20060101ALI20230111BHJP
G02B 6/42 20060101ALI20230111BHJP
G02B 6/30 20060101ALN20230111BHJP
【FI】
G02B6/36 301
G02B6/12 301
G02B6/13
G02B6/122 311
G02B6/42
G02B6/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021108530
(22)【出願日】2021-06-30
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)2020年度、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業/ポスト5G情報通信システムの開発/高温動作可能なシリコンフォトニクス光モジュール技術の開発」委託研究、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】517177464
【氏名又は名称】アイオーコア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100138759
【弁理士】
【氏名又は名称】大房 直樹
(72)【発明者】
【氏名】栗原 充
【テーマコード(参考)】
2H036
2H137
2H147
【Fターム(参考)】
2H036QA49
2H036QA59
2H137AB12
2H137AC04
2H137BA36
2H137BA37
2H137BA52
2H137BA53
2H137BA55
2H137BB02
2H137BB12
2H137BB25
2H137BC51
2H137BC52
2H137BC73
2H137CA19B
2H137CA19F
2H137CA56
2H137CD33
2H147AB04
2H147AB05
2H147BB02
2H147BB03
2H147BG04
2H147CB08
2H147CC05
2H147CC07
2H147CD13
2H147CD18
2H147DA09
2H147EA10C
2H147EA13A
2H147EA13B
2H147EA13C
2H147EA14C
2H147EA16A
2H147EA16B
2H147EA16C
2H147EA25A
2H147FD02
2H147GA10
(57)【要約】 (修正有)
【課題】小型・薄型で光結合効率が高い光コネクタを光電気混載デバイスに搭載可能とする。
【解決手段】光コネクタは、空洞を有した嵌合部材100と、前記嵌合部材の前記空洞に挿入された光導波路チップ200と、を備え、前記光導波路チップは、ベースプレートと、前記ベースプレート上に形成された1または複数のテーパー形状の光導波路と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空洞を有した嵌合部材と、
前記嵌合部材の前記空洞に挿入された光導波路チップと、
を備えた光コネクタであって、
前記光導波路チップは、
ベースプレートと、
前記ベースプレート上に形成された1または複数のテーパー形状の光導波路と、
を備える、光コネクタ。
【請求項2】
前記光導波路チップは、前記テーパー形状の光導波路のアレイを備える、請求項1に記載の光コネクタ。
【請求項3】
前記テーパー形状の光導波路のアレイは、
前記ベースプレートの一方端から他方端に向かって導波路の断面積が増大する第1群のテーパー光導波路と、
前記ベースプレートの前記一方端から前記他方端に向かって導波路の断面積が減少する第2群のテーパー光導波路と、
を含む、請求項2に記載の光コネクタ。
【請求項4】
前記1または複数のテーパー形状の光導波路は、前記ベースプレートの厚さ方向における導波路の高さが前記光導波路の長手方向に沿って変化するように構成されている、請求項1から3のいずれか1項に記載の光コネクタ。
【請求項5】
前記1または複数のテーパー形状の光導波路は、前記ベースプレートの厚さ方向と垂直な方向における導波路の幅が前記光導波路の長手方向に沿って変化するように構成されている、請求項1から4のいずれか1項に記載の光コネクタ。
【請求項6】
前記1または複数のテーパー形状の光導波路は、前記嵌合部材と反対側の端部に光路を折り曲げるための反射構造を備える、請求項1から5のいずれか1項に記載の光コネクタ。
【請求項7】
前記反射構造は、前記光導波路の傾斜した端面である、請求項6に記載の光コネクタ。
【請求項8】
前記光導波路の前記傾斜した端面は、球面または非球面の集光ミラーである、請求項7に記載の光コネクタ。
【請求項9】
前記1または複数のテーパー形状の光導波路は、前記ベースプレート上に形成された溝を用いて構成される、請求項1から8のいずれか1項に記載の光コネクタ。
【請求項10】
前記1または複数のテーパー形状の光導波路は、前記溝に埋め込まれた樹脂から構成される、請求項9に記載の光コネクタ。
【請求項11】
前記ベースプレート上の前記溝に反射コーティングが形成されている、請求項9または10に記載の光コネクタ。
【請求項12】
前記光導波路チップは、前記嵌合部材に挿入される部分に第1溝部を備え、
前記嵌合部材は、前記空洞に前記第1溝部と対応して第2溝部を備え、
前記光導波路チップが前記嵌合部材に挿入された状態において、前記第1溝部と前記第2溝部が、前記光コネクタを他の光コネクタと接続する際の位置合わせ用の穴を形成する、
請求項1から11のいずれか1項に記載の光コネクタ。
【請求項13】
光送受信機能を備えた光電気混載デバイスと、
前記光電気混載デバイス上に搭載された、請求項1から12のいずれか1項に記載の光コネクタと、
を備える光コネクタ付きモジュール。
【請求項14】
前記光コネクタは、前記光導波路チップ上に、前記光コネクタと前記光電気混載デバイスを位置合わせするためのアライメントマーカーを有する、請求項13に記載の光コネクタ付きモジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光コネクタおよび光コネクタ付きモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
光送受信機能を備えた光電気混載デバイスにおいて、従来、光信号を入出力するための光ファイバがデバイスに直接接続された構成がとられていた(例えば特許文献1の
図8cを参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
光電気混載デバイスの小型化を図るために、小型・薄型で光結合効率が高い光コネクタをデバイスに搭載可能とすることが求められる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決するために、本発明の一態様は、空洞を有した嵌合部材と、前記嵌合部材の前記空洞に挿入された光導波路チップと、を備えた光コネクタであって、前記光導波路チップは、ベースプレートと、前記ベースプレート上に形成された1または複数のテーパー形状の光導波路と、を備える、光コネクタである。
【0006】
また、本発明の他の一態様は、上記一態様において、前記光導波路チップは、前記テーパー形状の光導波路のアレイを備える。
【0007】
また、本発明の他の一態様は、上記一態様において、前記テーパー形状の光導波路のアレイは、前記ベースプレートの一方端から他方端に向かって導波路の断面積が増大する第1群のテーパー光導波路と、前記ベースプレートの前記一方端から前記他方端に向かって導波路の断面積が減少する第2群のテーパー光導波路と、を含む。
【0008】
また、本発明の他の一態様は、上記一態様において、前記1または複数のテーパー形状の光導波路は、前記ベースプレートの厚さ方向における導波路の高さが前記光導波路の長手方向に沿って変化するように構成されている。
【0009】
また、本発明の他の一態様は、上記一態様において、前記1または複数のテーパー形状の光導波路は、前記ベースプレートの厚さ方向と垂直な方向における導波路の幅が前記光導波路の長手方向に沿って変化するように構成されている。
【0010】
また、本発明の他の一態様は、上記一態様において、前記1または複数のテーパー形状の光導波路は、前記嵌合部材と反対側の端部に光路を折り曲げるための反射構造を備える。
【0011】
また、本発明の他の一態様は、上記一態様において、前記反射構造は、前記光導波路の傾斜した端面である。
【0012】
また、本発明の他の一態様は、上記一態様において、前記光導波路の前記傾斜した端面は、球面または非球面の集光ミラーである。
【0013】
また、本発明の他の一態様は、上記一態様において、前記1または複数のテーパー形状の光導波路は、前記ベースプレート上に形成された溝を用いて構成される。また、本発明の他の一態様は、上記一態様において、前記1または複数のテーパー形状の光導波路は、前記溝に埋め込まれた樹脂から構成される。
【0014】
また、本発明の他の一態様は、上記一態様において、前記ベースプレート上の前記溝に反射コーティングが形成されている。
【0015】
また、本発明の他の一態様は、上記一態様において、前記光導波路チップは、前記嵌合部材に挿入される部分に第1溝部を備え、前記嵌合部材は、前記空洞に前記第1溝部と対応して第2溝部を備え、前記光導波路チップが前記嵌合部材に挿入された状態において、前記第1溝部と前記第2溝部が、前記光コネクタを他の光コネクタと接続する際の位置合わせ用の穴を形成する。
【0016】
また、本発明の他の一態様は、光送受信機能を備えた光電気混載デバイスと、前記光電気混載デバイス上に搭載された上記一態様の光コネクタと、を備える光コネクタ付きモジュールである。また、本発明の他の一態様は、上記一態様において、前記光コネクタは、前記光導波路チップ上に、前記光コネクタと前記光電気混載デバイスを位置合わせするためのアライメントマーカーを有する。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、光電気混載デバイスの小型化を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の一実施形態に係る光コネクタの構成を示す斜視図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る光コネクタが適用される光モジュールの分解斜視図である。
【
図3】光電気混載デバイスの一構成例を示す断面図である。
【
図4】光電気混載デバイスの一構成例を示す断面図である。
【
図5】本実施形態に係る光コネクタを構成する光導波路チップの詳細構成を示す図である。
【
図6】光導波路チップに設けられた光導波路と光電気混載デバイスに設けられた第2光導波路の配置を示す斜視図である。
【
図7】光導波路の端部近傍の構成を示す断面図である。
【
図8A】本実施形態に係る光コネクタを構成する光導波路チップの作製工程を示す図である。
【
図8B】本実施形態に係る光コネクタを構成する光導波路チップの作製工程を示す図である。
【
図8C】本実施形態に係る光コネクタを構成する光導波路チップの作製工程を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳しく説明する。
【0020】
図1は、本発明の一実施形態に係る光コネクタの構成を示す斜視図である。光コネクタ10は、嵌合部材100および光導波路チップ200を備える。嵌合部材100は、第1面101と第1面101に対向する面である第2面102との間を貫通する空洞103を有し、この空洞103に光導波路チップ200の一部分が挿入されている。嵌合部材100の第1面101は、光コネクタ10が他の光コネクタ(
図2参照)と接続される際に当該他の光コネクタと接することになる面である。嵌合部材100の空洞103に挿入されている側の光導波路チップ200の端面201は、嵌合部材100の第1面101と揃っている。すなわち、光導波路チップ200は、その端面201と嵌合部材100の第1面101が同一面をなすようにして、嵌合部材100の空洞103に挿入されている。別の例として、光導波路チップ200の端面201は、嵌合部材100の第1面101と同一面をなしていなくてもよく、光コネクタ10が他の光コネクタと接続された時に、端面201が当該他の光コネクタの光導波路と接していればよい。光導波路チップ200の形状は平板であり、空洞103は光導波路チップ200を収容できるように幅広の形状を有している。
【0021】
光導波路チップ200は、その上面202に光導波路203を備える。光導波路203は、ベースプレート210上に形成されている。光導波路203の本数は任意であってよい。
図1の光コネクタ10において、光導波路203は、複数の光導波路が近接して並列に配置された光導波路のアレイとして構成されている。別の例では、光導波路203は、1本の光導波路であってもよい。光導波路203は、光導波路チップ200の端面201(すなわち嵌合部材100の第1面101と同一面をなす面)から反対側の端面204へ向かって延びている。光導波路203の一方の端部(端面)205は、光導波路チップ200の端面201上に位置付けられており、光はこの端部205を通して、すなわち光導波路チップ200の端面201を介して、光コネクタ10と他の光コネクタとの間で伝達される。光導波路203の他方の端部206は、嵌合部材100の外であって光導波路チップ200の端面204の近傍に位置している。光導波路203の端部206には、反射ミラー(後述)が設けられている。反射ミラーは、光導波路203の端部206からの出射光、および光導波路203の端部206への入射光(出射光と入射光をまとめて符号207で示す)が、光導波路チップ200の上面202に対して垂直または垂直に近い角度になるように、光を反射する。
【0022】
光導波路チップ200の上面202であって嵌合部材100に挿入された部分には、端面201に通じる半円筒状の溝208が形成されている。また嵌合部材100の空洞103の天井部分にも、光導波路チップ200の溝208と相対する位置に、同様に第1面101に通じる半円筒状の溝104が形成されている。溝208と溝104は組み合わされて、嵌合部材100の第1面101に開口した円筒状の穴105を形成する。
【0023】
図2は、本発明の一実施形態に係る光コネクタが適用される光モジュールの分解斜視図である。光モジュール20は、光電気混載デバイス300上に、
図1を参照して説明した光コネクタ10を実装して構成される。光電気混載デバイス300は、その詳細構成は
図3および4を参照して後述するが、光送信部300A、光受信部300B、およびドライバIC308を少なくとも備えている。光送信部300Aおよび光受信部300Bは、デバイス300の上面301に光信号の入出射部306a(光導波路の端面)を有するように構成される。光送信部300Aは、光信号を出射部306aからデバイス300の上面301に対して垂直または垂直に近い角度で出射する。光受信部300Bには、デバイス300の上面301に対して垂直または垂直に近い角度の光信号が、入射部306aから入射される。
【0024】
図2に示されるように、光コネクタ10は、光導波路チップ200のインターフェイス面202(
図1における上面202)を光電気混載デバイス300側に向けて、光電気混載デバイス300の上面301に搭載される。デバイス300の上面301において、光コネクタ10における光導波路203の端部206(
図1参照)は、光送信部300Aおよび光受信部300Bの入出射部306aと位置合わせされる。これにより、光送信部300Aの出射部306aから出射される光信号は、光導波路203の端部206に設けられた反射ミラー211(
図6参照)を介して光コネクタ10の光導波路203に光学的に結合され、また光コネクタ10の光導波路203から端部206の反射ミラー211を介して出力される光信号は、光受信部300Bの入射部306aに光学的に結合される。なお、光コネクタ10と入出射部306aとの位置合わせは、例えば、光導波路チップ200上のアライメントマーカー209(
図1参照)を用いたパッシブアライメントにより行うことができる。
【0025】
光コネクタ10は、さらに、嵌合ピン450を用いて他の光コネクタ400と機械的に接続される。他の光コネクタ400は光ファイバ402を備えている。嵌合ピン450は、光コネクタ10側の嵌合部材100の第1面101に設けられた穴105(
図1参照)と、他の光コネクタ400側に同様に設けられた穴に挿入され、これにより、光コネクタ10と他の光コネクタ400の位置合わせが行われる。このように光コネクタ10と他の光コネクタ400が接続されることで、光モジュール20の光送信部300Aおよび光受信部300Bは、光ファイバ402を通じて光信号を送受信することができる。
【0026】
図3は、
図2の光モジュール20における光電気混載デバイス300の一構成例を示す断面図である。
図3は、光送信部300Aを含む断面を示している。光電気混載デバイス300は、基板302、半導体レーザ303、光変調器304、第1光導波路305、第2光導波路306、グレーティングカプラ307、ドライバIC308、および電気配線309を備える。電気配線309は、光電気混載デバイス300の上面301と基板302の表面とを導通するためのビア309aと、基板302の表面上に形成された電気配線309bとを含む。
図3は光電気混載デバイス300をその断面方向から見た図であるため1組の半導体レーザ303、光変調器304、第1光導波路305、第2光導波路306、グレーティングカプラ307、および電気配線309しか描かれていないが、複数組の半導体レーザ303、光変調器304、第1光導波路305、第2光導波路306、グレーティングカプラ307、および電気配線309が、
図3における断面と垂直な方向に配列されていてもよい。また、光電気混載デバイス300は、複数のドライバIC308を備えていてもよい。
【0027】
基板302は、Si(シリコン)基板またはSOI(Silicon on Insulator)基板であり、その表面に光変調器304、第1光導波路305、グレーティングカプラ307、および電気配線309bが形成されている。光変調器304は、第1光導波路305を介してグレーティングカプラ307と光学的に接続される。光変調器304、第1光導波路305(例えばSi導波路)、およびグレーティングカプラ307は、シリコンフォトニクス技術を用いて基板302の表面に形成することができる。
【0028】
基板302の表面には更に、半導体レーザ303およびドライバIC308が実装される。半導体レーザ303は、その出射光が第1光導波路305へ入射するように第1光導波路305の一方の端部に近接して配置される。ドライバIC308は、ドライバIC308側の電気端子(不図示)と基板302側の電気配線309bとを電気的に接続する接続電極315(例えばボールグリッドアレイ(BGA)等)を用いて、基板302上に実装される。ドライバIC308は、電気配線309bを介して半導体レーザ303、光変調器304、およびビア309aに接続されており、ビア309aから入力された電気信号に基づいて半導体レーザ303および光変調器304を駆動するように構成される。
【0029】
また、基板302上には、第2光導波路306が、基板302に対して垂直または斜めに立設して形成されている。第2光導波路306の基板302に対する傾斜角は、例えば0~10°の範囲である。第2光導波路306の基板302側の端部は、グレーティングカプラ307の直上に位置し、第2光導波路306の基板302と反対側の端部306aは、光電気混載デバイス300の上面301に位置している。
【0030】
なお、基板302に立設したこのような第2光導波路306は、例えば、基板302上に所定厚で塗布したUV硬化性樹脂に基板302の上方向から細いUV光ビームを照射して、UV硬化性樹脂を、UV光ビームが通った部分だけ柱状に硬化させることによって、作製することができる。第2光導波路306が基板302に対して斜めに立設して形成される態様においては、UV光ビームが基板302表面で斜め方向に反射することによりUV硬化性樹脂の意図しない部分までもが硬化してしまうことを避けるために、好適には、基板302の表面に、UV光ビームを吸収しその反射を抑えるためのUV吸収膜(不図示)があらかじめ形成される。
【0031】
上記のように構成された光電気混載デバイス300(光送信部300A)において、ドライバIC308を動作させるための電気信号が、ビア309aから光電気混載デバイス300に入力される。ドライバIC308は、この電気信号に基づいて半導体レーザ303および光変調器304を駆動する。半導体レーザ303から出射された光は、光変調器304によって変調された後、グレーティングカプラ307によって回折されその光路を基板302にほぼ垂直な方向に変換されて、第2光導波路306を通って光電気混載デバイス300の上面301における端部306aから出力される。この端部306aからの出力光は、前述したように、光電気混載デバイス300上に搭載された光コネクタ10の光導波路チップ200に入力される。
【0032】
図4は、
図2の光モジュール20における光電気混載デバイス300の一構成例を示す別の断面図である。
図4は、光受信部300Bを含む断面を示している。
図3および
図4は、同一の光電気混載デバイス300の異なる断面を示している。
図4において、前述の
図3における構成要素と同じ構成要素には同じ符号を付す。
図4に示されるように、光電気混載デバイス300は、基板302上の第2光導波路306下部に受光素子(フォトダイオード)310を備える。
【0033】
受光素子310は、例えば、シリコンフォトニクス技術を用いて基板302の表面に直接形成することもできるし、あるいは別途作製したチップ型の受光素子310を基板302上に実装してもよい。受光素子310は、電気配線309bを介してドライバIC308に接続される。ドライバIC308は、受光素子310から出力される光電変換された電流信号をIV(電流電圧)変換するためのトランスインピーダンスアンプ(TIA)であってもよい。
【0034】
図4の構成の光電気混載デバイス300(光受信部300B)において、光電気混載デバイス300上に搭載された光コネクタ10からの光信号が、第2光導波路306にその端部306aを介して入力され、受光素子310へ入射される。受光素子310は、光信号を光電変換して電流信号を発生する。電流信号は電気配線309bを介してドライバIC308へ送られ、ドライバIC308は、この電流信号をIV変換して電圧信号を生成し出力する。ドライバIC308からの電気信号は、ビア309aからデバイス300の外部へ出力される。
【0035】
図5は、本実施形態に係る光コネクタ10を構成する光導波路チップ200の詳細構成を示す図である。また
図6は、光導波路チップ200に設けられた光導波路203と光電気混載デバイス300に設けられた第2光導波路306の配置を示す斜視図である(但し理解を容易にするため光導波路203と第2光導波路306以外の要素は省略している)。光導波路チップ200上に形成された光導波路203は、第1群の光導波路203Aおよび第2群の光導波路203Bからなる。第1群の光導波路203Aは、光コネクタ10が光電気混載デバイス300に実装された際に光送信部300Aと接続される光導波路であり、第2群の光導波路203Bは、光受信部300Bと接続される光導波路である。第1群の光導波路203Aおよび第2群の光導波路203Bは、導波路の長手方向に沿って導波路の断面積が変化するテーパー形状に構成される。
【0036】
より具体的には、第1群の光導波路203Aは、光導波路チップ200の端面201側から端面204側に向かって導波路の断面積が大きくなるようなテーパー形状に構成される。好ましくは、第1群の光導波路203Aの端部206における断面積は、第1群の光導波路203Aに接続される光送信部300Aの出射部(第2光導波路306の端部)306aの断面積よりも大きい断面積とされる。これにより、光送信部300Aの出射部306aから出射される光を第1群の光導波路203Aの端部206に高い結合効率で入射させることができ、光送信部300Aと光コネクタ10との間の光損失を低減することができる。
【0037】
一方、第2群の光導波路203Bは、光導波路チップ200の端面201側から端面204側に向かって導波路の断面積が小さくなるようなテーパー形状に構成される。好ましくは、第2群の光導波路203Bの端部206における断面積は、第2群の光導波路203Bに接続される光受信部300Bの入射部(第2光導波路306の端部)306aの断面積よりも小さい断面積とされる。これにより、第2群の光導波路203Bの端部206から出射される光を光受信部300Bの入射部306aに高い結合効率で入射させることができ、光コネクタ10と光受信部300Bとの間の光損失を低減することができる。
【0038】
なお、
図5に示されるように、光導波路203の断面積の変化は、光導波路203の幅W(すなわち、光導波路チップ200の上面202に平行かつ導波路の長手方向に垂直な方向における寸法)を変化させることによって、および/または光導波路203の高さH(すなわち、光導波路チップ200の厚さ方向の寸法)を変化させることによって実現することが可能である。
【0039】
図7は、光導波路203の端部206近傍の構成を示す断面図である。前述したように、光導波路203の端部206には、光コネクタ10の光導波路203と光電気混載デバイス300の第2光導波路306との間で光を折り曲げるための反射ミラー211(
図6参照)が設けられている。反射ミラー211は、光導波路203の端部206をその光軸に対して斜めに形成することによって作製された全反射ミラーとすることができる。
図7に示されるように、全反射ミラー211の反射面は、平面211aまたは球面もしくは非球面211bのいずれかであってよい。全反射ミラー211の反射面が球面または非球面211bの場合、このミラー211は集光ミラーとして機能し、光コネクタ10の光導波路203と光電気混載デバイス300の第2光導波路306との間で光が集光されて高効率に結合されるので、好適である。
【0040】
図8A~8Cは、本実施形態に係る光コネクタ10を構成する光導波路チップ200の作製工程を示す図である。この図は
図5に示す矢印C方向から光導波路チップ200を見た様子を表す。まずベースプレート210上に樹脂212を均一な厚さに成形する(
図8A)。次に、作製すべき光導波路203および半円筒状の溝208に対応する形状を有したモールド213を樹脂212に型押しし、樹脂212に光導波路203および溝208の形を転写する(
図8B)。次に、光導波路203となる部分に型押しで作られた溝に、所定の屈折率を有する透明樹脂214を流し込み、硬化させる(
図8C)。モールド213の形状を、長手方向に幅および高さが変化する光導波路の形状とすることで、
図5および
図6に示されるようなテーパー形状の光導波路203が完成する。モールド213を用いることで、導波路の高さが長手方向に変化する光導波路203を簡単なプロセスで作製することができる。また、モールド213を用いることで、光導波路203の端部206の反射ミラー211と、位置合わせ用の穴105の一部分をなす溝208も、光導波路203と同時に一括で形成することができる。
【0041】
なお、ベースプレート210は、樹脂、ガラス、金属など、任意の材質のものであってよい。ベースプレート210が透明な樹脂またはガラス製の場合、型押しされる樹脂212も透明なものであってよい。この場合、型押しされた溝に埋め込まれる透明樹脂214の屈折率は、樹脂212の屈折率よりも大きい屈折率に選択される。これにより、溝内の透明樹脂214をコアとし、樹脂212をクラッドとする光導波路が形成される。透明樹脂214が埋め込まれる溝の表面には、あらかじめ、反射コーティング膜(例えば金属膜)を形成してもよい。この場合、樹脂212およびベースプレート210は不透明なものであってよい。また、ベースプレート210が金属(例えばアルミ)製の場合、上述のように樹脂212の型押しではなく(樹脂212を用いることなく)、ベースプレート210自体を精密プレス加工することによって溝を形成し、そこに透明樹脂214を流し込むことによって光導波路を形成してもよい。光導波路203となる部分の溝の表面に反射コーティング膜を形成した場合、またはベースプレート210が金属製の場合には、溝を透明樹脂214で埋めずに空気層のままとしておき、空気層で光導波路203を構成してもよい。
【0042】
上記のようにモールド213を樹脂212に型押しする方法以外の方法で光導波路チップ200を作製することもできる。例えば、透明なベースプレート210と上記のモールド213を間隔をあけて配置し、その間隔に紫外線硬化樹脂を注入し、透明なベースプレート210側から紫外線を照射して樹脂を硬化させることで、前述した
図8Bと同様の形状の溝(溝208および光導波路203部分の溝)を形成することもできる。
【0043】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明はこれに限定されず、その要旨を逸脱しない範囲内において様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0044】
10 光コネクタ
20 光モジュール
100 嵌合部材
101 第1面
102 第2面
103 空洞
104 溝
105 穴
200 光導波路チップ
201 端面
202 上面(インターフェイス面)
203 光導波路
203A 第1群の光導波路
203B 第2群の光導波路
204 端面
205 光導波路の端部
206 光導波路の端部
207 入出射光
208 溝
209 アライメントマーカー
210 ベースプレート
211 反射ミラー
213 モールド
300 光電気混載デバイス
300A 光送信部
300B 光受信部
301 上面
302 基板
303 半導体レーザ
304 光変調器
305 第1光導波路
306 第2光導波路
306a 第2光導波路の端部
307 グレーティングカプラ
308 ドライバIC
309 電気配線
310 受光素子
315 接続電極
400 他の光コネクタ
402 光ファイバ
450 嵌合ピン