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特開2023-61135物流ソータ用トレイ、及び、物品区分装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023061135
(43)【公開日】2023-05-01
(54)【発明の名称】物流ソータ用トレイ、及び、物品区分装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 47/46 20060101AFI20230424BHJP
   B65G 17/10 20060101ALI20230424BHJP
【FI】
B65G47/46 A
B65G17/10 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021170943
(22)【出願日】2021-10-19
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】鳥羽山 恭一
【テーマコード(参考)】
3F015
【Fターム(参考)】
3F015AA06
3F015FA02
3F015GA01
(57)【要約】
【課題】 軽量化を図ることが可能な物流ソータ用トレイを提供すること。
【解決手段】 実施形態によれば、物流ソータ用トレイは、フレーム体と、第1及び第2のプーリと、第1及び第2の回動板と、ワイヤとを有する。フレーム体は、物流ソータの軌道上を所定の方向に移動する。第1及び第2のプーリは、それぞれ、フレーム体に対して所定の軸回りに回動可能である。第1の回動板は、第1のプーリの回動に伴って回動する。第2の回動板は、第2のプーリの回動に伴って回動する。ワイヤは、第1のプーリ及び第2のプーリに巻回される。ワイヤは、第2のプーリから繰り出し、第1のプーリで巻き取ると、第1及び第2の回動板を回動させて閉じる。ワイヤは、第1のプーリから繰り出し、第2のプーリで巻き取ると、第1及び第2の回動板を回動させて両開き状に開く。
【選択図】 図8

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物流ソータの軌道上を所定の方向に移動する第1のフレーム体と
前記第1のフレーム体に対して所定の軸回りに回動可能な第1のプーリと、
前記第1のフレーム体に対して所定の軸回りに回動可能な第2のプーリと、
前記第1のプーリの回動に伴って回動する第1の回動板と、
前記第2のプーリの回動に伴って回動する第2の回動板と、
前記第1のプーリ及び前記第2のプーリに巻回され、前記第2のプーリから繰り出し、前記第1のプーリで巻き取ると、前記第1及び第2の回動板を回動させて閉じ、前記第1のプーリから繰り出し、前記第2のプーリで巻き取ると、前記第1及び第2の回動板を回動させて両開き状に開く、第1のワイヤと
を有する、物流ソータ用トレイ。
【請求項2】
前記第1のワイヤは、
前記第1のワイヤを前記第1のプーリで巻き取るとき、前記第1のプーリの回転軸に対して前記第1のプーリの径方向の第1の方向の接線で接して前記第1の方向とは反対側に向かって巻かれ、
前記第1のワイヤを前記第2のプーリで巻き取るとき、前記第2のプーリの回転軸に対して前記第2のプーリの径方向の第2の方向の接線で接して前記第2の方向とは反対側に向かって巻かれる、請求項1に記載のトレイ。
【請求項3】
前記第1のプーリと前記第1のフレーム体との間に設けられ、前記第1の回動板が開くときの衝撃を緩衝する第1の緩衝部と、
前記第2のプーリと前記第1のフレーム体との間に設けられ、前記第2の回動板が開くときの衝撃を緩衝する第2の緩衝部と
を有し、
前記第2の緩衝部は、
前記第2のプーリと前記第1のフレーム体との間に設けられるダンパと、
前記第2のプーリと前記第1のフレーム体との間に設けられ、前記第2のプーリが前記第1のプーリから離間するように付勢する付勢部材と
を有する、請求項1又は請求項2に記載のトレイ。
【請求項4】
前記第1のプーリは、前記第1のフレーム体と前記第1の回動板との間に設けられ、
前記第2のプーリは、前記第1のフレーム体と前記第2の回動板との間に設けられる、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のトレイ。
【請求項5】
前記第1のプーリと前記第2のプーリとの間で前記第1のフレーム体に支持され、前記第1のワイヤの外周を覆うとともに、前記第1のワイヤの軸方向に沿って移動することを許容するワイヤカバーを有する、請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のトレイ。
【請求項6】
前記第1のフレーム体に設けられ、前記第1のフレーム体、前記第1及び第2のプーリ、前記第1のワイヤの少なくとも一部を覆うトレイカバーを有する、請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のトレイ。
【請求項7】
前記トレイカバーは、前記第1及び第2の回動板側を向く板状体を備え、
前記第1の回動板及び前記第2の回動板には、前記第1のワイヤが前記第1のプーリに巻き取られ、前記第1及び第2の回動板が閉じた位置で、前記板状体と協働し、前記第1の回動板及び前記第2の回動板と、前記第1のフレーム体、前記第1及び第2のプーリ、前記第1のワイヤとを隔てる隔壁がそれぞれ設けられる、請求項6に記載のトレイ。
【請求項8】
前記第1の回動板と前記第2の回動板との上に物品を載せることが可能なように前記第1の回動板と前記第2の回動板とをロックするロック位置と、前記物品を前記第1の回動板と前記第2の回動板との間から落下させるロック解除位置とに切り替え可能で、前記第1のフレーム体に設けられるロック部を有する、請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載のトレイ。
【請求項9】
前記第1のフレーム体に対向する第2のフレーム体と、
前記第2のフレーム体に対して所定の軸回りに回動可能な第3のプーリと、
前記第2のフレーム体に対して所定の軸回りに回動可能な第4のプーリと、
前記第1の回動板よりも前記第2のフレーム体側に設けられ、前記第3のプーリの回動に伴って回動する第3の回動板と、
前記第2の回動板よりも前記第2のフレーム体側に設けられ、前記第4のプーリの回動に伴って回動する第4の回動板と、
前記第3のプーリ及び前記第4のプーリに巻回され、前記第4のプーリから繰り出し、前記第3のプーリに巻き取ると、前記第3及び第4の回動板を回動させて閉じ、前記第3のプーリから繰り出し、前記第4のプーリに巻き取ると、前記第3及び第4の回動板を回動させて両開き状に開く、第2のワイヤと
を有する、請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載のトレイ。
【請求項10】
請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載のトレイと、前記トレイが移動する軌道とを有する物流ソータを有する、物品区分装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、物流ソータ用トレイ、及び、物品区分装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばボンベイトレイと称される物流ソータ用トレイが知られている。このトレイは、例えば環状の軌道上に適宜の間隔に並べられ、軌道上を所定の方向に移動する。このトレイは、物品を載せた状態で略平面状の載置面を形成し、物品を区分するときに両開き(観音開き)状に下側に開く、二分割回動板を有する。このトレイは、ロッドを用いたリンク機構により、二分割回動板の開閉動作を連動させる。このトレイでは、二分割回動板に載置された物品は、二分割回動板が両開き状に開くときに、二分割回動板間を通してトレイの下側に配置される所望の区分シュートに区分される。また、このトレイでは、二分割回動板を閉じるとき、トレイの進行方向に沿って上る坂道状のガイドに一方の回動板を当接させながら閉じることに連動して、他方の回動板を閉じるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2005-511447号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、軽量化を図ることが可能な物流ソータ用トレイ、及び、物品区分装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態によれば、物流ソータ用トレイは、フレーム体と、第1及び第2のプーリと、第1及び第2の回動板と、ワイヤとを有する。フレーム体は、物流ソータの軌道上を所定の方向に移動する。第1及び第2のプーリは、それぞれ、フレーム体に対して所定の軸回りに回動可能である。第1の回動板は、第1のプーリの回動に伴って回動する。第2の回動板は、第2のプーリの回動に伴って回動する。ワイヤは、第1のプーリ及び第2のプーリに巻回される。ワイヤは、第2のプーリから繰り出し、第1のプーリで巻き取ると、第1及び第2の回動板を回動させて閉じる。ワイヤは、第1のプーリから繰り出し、第2のプーリで巻き取ると、第1及び第2の回動板を回動させて両開き状に開く。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】実施形態に係る物品区分装置を示す概略図。
図2】実施形態に係る物品区分装置のトレイの正面図。
図3】同トレイの背面図。
図4】同トレイの左側面図。
図5】同トレイの右側面図。
図6】同トレイの平面図。
図7】同トレイの底面図。
図8】同トレイの一部を上側から見た状態を示す概略的な斜視図。
図9】同トレイの一部を下側から見た状態を示す概略的な斜視図。
図10】同トレイの一部を正面(前方)側から見た概略的な斜視図。
図11】同トレイの第1の載置部が閉じた位置にある状態を図5と同じ方向から見た概略図。
図12】同トレイの第1の載置部が開いた位置にある状態を図5と同じ方向から見た概略図。
図13】トレイの第1の載置部が開いた位置から案内路によって閉じた位置に切り替えられる状態を示す概略図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
一実施形態に係る物品区分装置10ついて、図1から図13を用いて説明する。
【0008】
本実施形態に係る物品区分装置10は、物流ソータ12と、物流ソータ12に隣接して配置される集積部14とを有する。
【0009】
本実施形態に係る物流ソータ12は、いわゆるボンベイソータ(bomb-bay sorter)として形成される。物流ソータ12は、軌道22と、制御装置(物品区分制御装置)24と、駆動部26と、物品投入部28と、情報読取部30、複数のアクチュエータ(第1の切替部)32とを備える。物流ソータ12は、集積部14が配置された位置の下流側で、集積部14と物品投入部28との間に、ロック部78をロック位置に切り替える案内路34を有する。物流ソータ12は、さらに、物流ソータ12の軌道22上を走行する物流ソータ用トレイ(搬送台車)36を有する。
【0010】
軌道22は、例えば1対のレール22a,22bを有する。1対のレール22a,22bは、それぞれ例えば所定距離離間して環状に形成される。本実施形態では、一方のレール22aが外側で、他方のレール22bが内側とする。1対のレール22a,22bには、1対のレール22a,22bを跨ぐ状態で複数のトレイ36が載置され、トレイ36が軌道22を循環する。
【0011】
制御装置24は、駆動部26、情報読取部30、及び、アクチュエータ32の動作を制御する。制御装置24は、プロセッサ、ROM(read-only memory)、RAM(random-access memory)、補助記憶デバイス、通信インタフェース、及び入出力部を備える。プロセッサは、物品処理に必要な演算及び制御などの処理を行うコンピュータの中枢部分に相当する。プロセッサは、ROM及び補助記憶デバイスの少なくとも一方に記憶されたシステムソフトウェア、アプリケーションソフトウェア又はファームウェアなどのプログラムに基づいて、各種の機能を実現するべく制御を実行する。プロセッサは、例えば、CPU(central processing unit)、MPU(micro processing unit)、又はDSP(digital signal processor)である。あるいは、プロセッサは、これらのうちの複数を組み合わせたものである。
【0012】
駆動部26は、1対のレール22a,22bに沿って、複数のトレイ36を所定の方向に移動させ、軌道22を循環させる。駆動部26は、制御装置24により、制御され、すなわち、トレイ36の移動速度が制御される。
【0013】
物品投入部28は、1対のレール22a,22bの所定位置に設けられる。物品投入部28にトレイ36が配置されたとき、物品が人を介して、又は、適宜のコンベヤ等を用いて、トレイ36上に載置される。
【0014】
情報読取部30は、物品投入部28の下流側に隣接して設けられる。情報読取部30は、例えばカメラ(スキャナ)を備える。情報読取部30は、例えばカメラにより物品の上面、側面、下面から物品の画像を撮影し、画像情報を制御装置24へ出力する。また、情報読取部30は、搬送される物品のサイズ、形状、及び重量等を測定し、測定により得られる物品測定情報を制御装置24へ出力する。
【0015】
制御装置24は、情報読取部30からの信号、及び、その他の複数の物品検知センサからの物品検知信号に基づき、検知される各物品に物品検知IDを割り当て、また、各物品の搬送(動き)をトレースし、各物品がどこに位置するのかを検知又は推定する。また、制御装置24は、1対のレール22a,22bの移動量を検知するロータリーエンコーダからの信号に基づき、1対のレール22a,22bの移動量を監視する。例えば、制御装置24は、1対のレール22a,22bの循環回数を検知する。また、制御装置24は、各物品の搬送のトレースと、1対のレール22a,22bの移動量の監視とを組み合わせて、各物品の循環回数を検知することもできる。
【0016】
アクチュエータ32は、ロック部78のロックを解除する解除機構として用いられる。アクチュエータ32は、レール22aの外側及びレール22bの内側に、それぞれレール22a,22bの移動方向に沿って適宜の間隔に複数設けられる。本実施形態では、アクチュエータ32は、レール22aの外側及びレール22bの内側に対向して配置される。情報読取部30で読み取った情報に応じてトレイ36の後述するロック部78のロックを解除するときに動作される。
【0017】
アクチュエータ32は、例えば通電により上方に移動し、非通電により下方へのバネ付勢により元の位置に戻されるソレノイド等が用いられる。軌道22を挟んで対向する1対のアクチュエータ32は、独立して動作されるが、必要に応じて同時期に動作され得る。
【0018】
集積部14は、アクチュエータ32に隣接して配置される。集積部14は、例えば複数の区分先に相当する複数の区分シュート42、及び、各区分シュート42へ物品を送り込むシューター44を備える。シューター44は、軌道22を挟んで対向する1対のアクチュエータ32の間に1対設けられる。1対のシューター44は、例えば1対のレール22a,22b間の中央を分水嶺として、傾斜する。区分シュート42は、各シューター44からの物品が入れられる。
【0019】
図2から図7には、トレイ36の6面図を示す。図2は正面図、図3は背面図、図4は左側面図、図5は右側面図、図6は平面図、図7は底面図である。ここで、トレイ36に対し、図2から図7に示すようにXYZ直交座標系を設定する。
【0020】
ボンベイソータ12に用いられるトレイ36は、底部(後述する回動板102,104)が両開き(観音開き)状に開閉可能なボンベイトレイとして形成される。ボンベイソータ12は、物品を搬送し、ボンベイトレイ36が目的の区分シュート42上、又は、目的の区分シュート42へ物品を送り込むシューター44上に到達するタイミングで底部を開放し、物品を目的の区分シュート42、又は、目的のシューター44へ向けて投下する。
【0021】
図2から図7に示すように、トレイ36は、フレーム52と、第1及び第2の可動部54a,54bと、第1及び第2の載置部56a,56bと、第1及び第2のトレイカバー58a,58bとを有する。
【0022】
トレイ36のフレーム52は、物流ソータ12の軌道22上を所定の方向に移動する。フレーム52は、外側のレール22aに沿って移動する第1のフレーム体62と、内側のレール22bに沿って移動する第2のフレーム体64と、第1のフレーム体62及び第2のフレーム体64を連結する第1及び第2のシャフト66,68とを有する。
【0023】
第1及び第2のフレーム体62,64の長手方向は、Y軸に沿う。第1のフレーム体62は、第2のフレーム体64に対して+X軸側に配置される。第1及び第2のシャフト66,68は、X軸に沿う。第1のシャフト66は、第2のシャフト68に対して+Y軸側に配置される。
【0024】
第1及び第2のフレーム体62,64は、例えばそれぞれ四角柱状に形成され、平行に離間する。第1及び第2のフレーム体62,64は、長手方向が対向する。第1及び第2のフレーム体62,64は、それぞれ+Y軸側の一端(前端)及び-Y軸側の他端(後端)を有する。第1及び第2のフレーム体62,64のそれぞれの一端(前端)には、第1のシャフト66が固定される。第1及び第2のフレーム体62,64のそれぞれの他端(後端)には、第2のシャフト68が固定される。第1のシャフト66及び第2のシャフト68は、それぞれX軸方向に延び、すなわち、平行に離間する。第1のシャフト66及び第2のシャフト68は、長手方向が対向する。このため、フレーム52は、第1のフレーム体62、第2のフレーム体64、第1のシャフト66、及び、第2のシャフト68の4つの部材により、矩形状に形成される。したがって、フレーム52には、物品を落下させる矩形状の空間が形成されている。
【0025】
なお、第1のシャフト66、及び、第2のシャフト68の外形は、円柱状であることが好適であるが、後述する第1及び第2のプーリ72a,72bが回動可能であれば、適宜の多角形の柱状に形成されていてもよく、円筒状又は適宜の多角形の筒状であってもよい。
【0026】
第1の可動部54aは、第1のフレーム体62に設けられる。第1の可動部54aは、第1のフレーム体62と第1の載置部56aとの間に設けられる。第2の可動部54bは、第2のフレーム体64に設けられる。第2の可動部54bは、第2のフレーム体64と第2の載置部56bとの間に設けられる。
【0027】
フレーム52、第1及び第2の可動部54a,54b、第1及び第2の載置部56a,56bは、図2図3図6図7中に符号PSで示すYZ平面に平行な仮想面に対して対称である。このため、第1及び第2の可動部54a,54b、第1及び第2の載置部56a,56bは、一方側を説明し、図2から図7には適宜同じ符号を付し、他方側の説明を省略する。
【0028】
図8及び図9は、第1の載置部56a、第1のトレイカバー58aの図示を省略するトレイ36の斜視図を示す。図10は、第2のフレーム体64、第2の載置部56b、第2のトレイカバー58bを正面(前方)側から見た概略的な斜視図である。
図11は、トレイ36の第1の載置部56aが閉じた位置にある状態を図5と同じ方向から見た概略図である。図12は、トレイ36の第1の載置部56aが開いた位置にある状態を図5と同じ方向から見た概略図である。
図13は、トレイ36の第1の載置部56aが開いた位置から案内路34に沿って移動することに伴って閉じた位置に移行することを説明する図である。
【0029】
図8に示すように、第1の可動部54aは、第1及び第2のプーリ72a,72bと、第1及び第2のプーリ72a,72bの間を連結するワイヤ(第1のワイヤ)74と、第1及び第2の緩衝部76a,76bと、ロック部78とを有する。
【0030】
第1のプーリ72aは、X軸に沿う方向を中心軸(回転軸)とする。第1のプーリ72aは、第1のシャフト66と同心状に配置され、第1のシャフト66の軸回りを回動可能である。第2のプーリ72bは、X軸に沿う方向を中心軸(回転軸)とする。第2のプーリ72bは、第2のシャフト68と同心状に配置され、第2のシャフト68の軸回りを回動可能である。第1及び第2のプーリ72a,72bは同じ外径を有することが好適である。
【0031】
ワイヤ74の一端及び他端は、第1の回動板102及び第2の回動板104がX軸の軸回りに回動するとき、所定の方向から見て、第1の回動板102が時計回りに回動するとき、第2の回動板104が反時計回りに回動し、第1の回動板102が反時計回りに回動するとき、第2の回動板104が時計回りに回動するように第1のプーリ72a及び第2のプーリ72bにそれぞれ連結される。ワイヤ74の一端は、第1のプーリ72aの回転軸に対して第1のプーリ72aの径方向の第1の方向D1(図11及び図12参照)の接線で第1のプーリ72aの外周に接して第1の方向D1とは反対側に向かって第1のプーリ72aの外周に沿って巻かれる。ワイヤ74の一端は、第1のプーリ72aの回転軸の例えば上側(回転軸に対して第1の方向)を通して他端とは反対側に向かって下側に巻回されて固定される。ワイヤ74の他端は、第2のプーリ72bの回転軸に対して第2のプーリ72bの径方向の第2の方向D2(図11及び図12参照)の接線で第2のプーリ72bの外周に接して第2の方向D2とは反対側に向かって第2のプーリ72bの外周に沿って巻かれる。ワイヤ74の他端は、第2のプーリ72bの回転軸の例えば下側(回転軸に対して第2の方向)を通して一端とは反対側に向かって上側に巻回されて固定される。ワイヤ74は、例えば、第1のプーリ72aの上側を接線とするとともに、第2のプーリ72bの下側を接線とするように、適宜の張力で張られている。
【0032】
第1の緩衝部76aは、第1の回動板102が下方に開くときの衝撃を緩衝する。第1の緩衝部76aは、例えば空気又はオイルによる第1のダンパ82を有する。第1のダンパ82の一端は、第1のフレーム体62の一端部に固定されたブラケット82aに支持され、第1のダンパ82の他端は、第1のプーリ72aに支持されている。このため、第1の緩衝部76aは、第1のプーリ72aの急激な回動を抑制する。
【0033】
第2の緩衝部76bは、第2の回動板104が下方に開くときの衝撃を緩衝する。第2の緩衝部76bは、例えば空気又はオイルによる第2のダンパ84と、バネ等の付勢部材86とを有する。第2のダンパ84の一端は、第1のフレーム体62の他端部に固定されたブラケット84aに支持され、第2のダンパ84の他端は、第2のプーリ72bに支持されている。また、付勢部材86の一端は、第1のフレーム体62に支持され、付勢部材86の他端は、第2のプーリ72bに支持されている。付勢部材86は、例えば引張コイルバネが用いられる。すなわち、付勢部材86は、第2のプーリ72bと第1のフレーム体62との間に設けられ、第2のプーリ72bを第1のプーリ72a側に引っ張り、ワイヤ74に適宜の張力を負荷する。
【0034】
なお、ブラケット82a,84a間には、ワイヤカバー88が配設されている。一例として、ワイヤカバー88は、ワイヤ74を挿通させるシース(チューブ)である。ワイヤカバー88の一端は、第1のフレーム体62又はブラケット82aに支持され、ワイヤカバー88の他端は、第1のフレーム体62又はブラケット84aに支持されている。ブラケット82a,84aは、第1のフレーム体62に固定されているため、ワイヤカバー88は、第1のフレーム体62に対して移動しないように支持されていることとなる。
【0035】
ワイヤカバー88は、ワイヤ74がワイヤカバー88に対してワイヤ74の軸方向に沿って移動することを許容する。ワイヤ74がワイヤカバー88に沿って移動するとき、ワイヤカバー88は、ワイヤ74の外周を覆う。なお、ワイヤカバー88は、シースの代わりに、例えば第1のフレーム体62に形成される凹溝や、第1のフレーム体62に支持されるハーフパイプとして形成されてもよい。ワイヤカバー88が凹溝として形成される場合、例えば第1のフレーム体62に形成されてもよい。
【0036】
ロック部78は、第1のフレーム体62の一端と他端との間に設けられる。ロック部78は、外側のレール22aに対向する位置に設けられる。ロック部78は、回動レバー92と、付勢体94と、回動レバー92と一緒に回動する係合体96とを有する。
【0037】
ロック部78は、第1のフレーム体62に設けられ、第1の回動板102と第2の回動板104との上に物品を載せることが可能なように第1の回動板102と第2の回動板104とが閉じた位置でロックするロック位置と、物品を第1の回動板102と第2の回動板104との間から落下させるように第1の回動板102と第2の回動板104とが開いた位置でロック解除するロック解除位置とに切り替え可能である。
【0038】
回動レバー92は、第1のフレーム体62の例えば鉛直方向(Z軸)に沿う軸の軸回りに回動可能である。回動レバー92は、第1のフレーム体62の外側(第1のフレーム体62に対して-X軸方向)に突出する。回動レバー92は、アクチュエータ32の状態に応じてアクチュエータ32に接触/接触回避可能である。
【0039】
付勢体94は、回動レバー92を所定の方向に付勢する。付勢体94は、回動レバー92を第1のフレーム体62の外側に突出する状態に付勢する。
【0040】
係合体96は、回動レバー92と一体化されている。係合体96は、第1の載置部56aと係合可能である。係合体96は、傾斜面を有し、後述する係合子108aが係合位置(ロック位置)と、係合解除位置(ロック解除位置)との間を移動可能である。
【0041】
図2から図7に示すように、第1の載置部56aは、物品を載せた状態で略平面状の載置面を形成し、物品を区分するときに両開き状に下側に開く、二分割回動板102,104を有する。二分割回動板102,104の一方を第1の回動板102とし、他方を第2の回動板104とする。第1の回動板102は、第1のフレーム体62との間に第1のプーリ72aを配置する。第1の回動板102は、第1のプーリ72aに固定され、第1のシャフト66の軸回りを第1のプーリ72aと一緒に回動可能である。第2の回動板104は、第1のフレーム体62との間に第2のプーリ72bを配置する。第2の回動板104は、第2のプーリ72bに固定され、第2のシャフト68の軸回りを第2のプーリ72bと一緒に回動可能である。第1の回動板102及び第2の回動板104は、例えば、略同じ形状で、略同じ大きさに形成されている。
【0042】
第1の載置部56aの第1の回動板102及び第2の回動板104が閉じた位置にあるとき、フレーム52の内側の開口のうち略半分を閉塞する。第1の載置部56aの第1の回動板102及び第2の回動板104が開いた位置にあるとき、フレーム52の内側の開口のうち、略半分を開口する。
【0043】
第1の回動板102は、第1の嵌合部材102aを有する。第1の嵌合部材102aは、第1の回動板102のうち、第1のシャフト66とは反対側の端面に設けられる。第2の回動板104は、第2の嵌合部材104aを有する。第2の嵌合部材104aは、第2の回動板104のうち、第2のシャフト68とは反対側の端面に設けられる。第1の嵌合部材102a及び第2の嵌合部材104aは、図4及び図5に示すように、第1の載置部56aが閉じた位置にあるときに嵌合し、第1の載置部56aが開いた位置にあるときに離間する。
【0044】
ワイヤ74は、第2のプーリ72bから繰り出し、第1のプーリ72aで巻き取ると、第1及び第2のシャフト66,68に対して第1及び第2の回動板102,104を回動させて閉じる。このときの第1の載置部56aの状態を閉位置又は閉じた位置という。第1の載置部56aの状態が閉位置又は閉じた位置にあるとき、第1及び第2の回動板102,104上に物品を載置可能である。
【0045】
ワイヤ74は、第1のプーリ72aから繰り出し、第2のプーリ72bで巻き取ると、第1及び第2のシャフト66,68に対して第1及び第2の回動板102,104を両開き状に所定方向(下方)に開く。このときの第1の載置部56aの状態を開位置又は開いた位置という。第1の載置部56aの状態が開位置又は開いた位置にあるとき、物品を第1及び第2の回動板102,104の間から落下させることが可能である。このため、第1の回動板102及び第2の回動板104が開いた位置(開位置)にあるとは、第1の回動板102及び第2の回動板104の間に、物品を落下させる空間を形成した状態をいう。
【0046】
なお、図2から図7のトレイ36において、第2の載置部56bは閉じた位置にあり、第1の載置部56aは開いた位置にある。
【0047】
第1の載置部56aの第1の回動板102及び第2の回動板104は、それぞれ1対の突出板106a,106bを有する。突出板106a,106bは、第1の載置部56aの第1の回動板102及び第2の回動板104のうち、物品の載置面に対して突出する。一方の突出板(隔壁)106aは、第1の回動板102及び第2の回動板104の第1の可動部54a側、すなわち、第1のフレーム体62側(+X軸側)の端面に設けられ、第1のフレーム体62及び第1の可動部54aと物品との隔壁として形成される。他方の突出板106bは、第1の回動板102及び第2の回動板104の第2の可動部54b側、すなわち、第2のフレーム体64側(-X軸側)の端面に設けられ、第2の載置部56bとの隔壁として形成される。閉じた位置における第1の回動板102に対する一方の突出板106aの突出高さ(Z軸方向高さ)は、他方の突出板106bの突出高さ(Z軸方向高さ)よりも高い。
【0048】
第1の回動板102には、緩衝体108が設けられる。緩衝体108は、例えばポリアミド合成樹脂(ナイロン)が用いられる。緩衝体108は、第1の回動板102のうち、第1のシャフト66で支持される側とは反対側で、裏面側の端部又はその近傍に設けられる。緩衝体108は、第1の回動板102の幅に対して小さい幅に形成され、第1のフレーム体62及び第1の可動部54aに近接する位置に設けられる。緩衝体108には、ロック部78の係合体96に係合される係合子108aが設けられる。係合子108aは、X軸に沿う中心軸を有し、緩衝体108及び突出板106aに対して+X軸方向に突出する略円柱状に形成される。なお、係合子108aの緩衝体108に対する遠位端面は、第1のフレーム体62には到達しない位置に規定される。
【0049】
1対の車輪112,114は、第1のフレーム体62のうち、レール22aに対向する位置に設けられる。第1のフレーム体62の一端には一方の車輪112が設けられ、他端には、他方の車輪114が設けられる。1対の車輪112,114は、X軸に沿う方向に回転軸を有する。
【0050】
1対の案内輪116,118は、第1のフレーム体62のうち、レール22aに対向する位置に設けられる。第1のフレーム体62の一端には車輪112に隣接して案内輪116が設けられ、他端には、車輪114に隣接して案内輪118が設けられる。1対の案内輪116,118は、Z軸に沿う方向に回転軸を有する。
【0051】
なお、案内輪116には、前方側のトレイ36の案内輪118と連結する連結部材120が支持されている。案内輪118には、後方側のトレイ36の案内輪116と連結する連結部材120が支持されている。このため、複数のトレイ36は、連結部材120により、多数が連結される。複数のトレイ36は、連結部材120により、所定の距離を維持する。
【0052】
第1のフレーム体62には、第1の可動部54aの上側、及び、第1のフレーム体62の上側を覆う第1のトレイカバー58aが固定されている。第1のトレイカバー58aのうち、第2の載置部56b側(-X軸側)の領域は、例えばYZ平面に平行な面を有する板状体59を有する。板状体59は、第1のフレーム体62よりも、第2の載置部56b側にあり、Y軸方向に延びる。板状体59は、第1のプーリ72aの中心軸よりも上側の領域と、第2のプーリ72bの中心軸よりも上側の領域との間を連続的に覆う。板状体59は、例えば突出板106aと略面一に形成される。板状体59のうち、第2の載置部56b側の面と、突出板106aのうち第1の回動板102及び第2の回動板104側の面とは、面一か、X軸方向に数ミリメートルのズレにより形成されることが好適である。このため、第1の載置部56aが閉じた位置にあるとき、トレイカバー58aの板状体59は、1対の突出板106aと協働して、第1の可動部54aを保護する。したがって、第1の載置部56aが閉じた位置にあるとき、板状体59と、突出板106aとは、段差が少なく、隙間が小さい。
【0053】
なお、本実施形態では、第1のトレイカバー58aと第2のトレイカバー58bとは形状が異なる。第1のトレイカバー58aは、ロック部78を上側から覆う部分があるのに対し、第2のトレイカバー58bは、ロック部78を上側から覆う部分がないことが異なる。第1のトレイカバー58aと第2のトレイカバー58bとは形状が同じであってもよい。
【0054】
次に、物品区分装置10の作用について説明する。
【0055】
複数のトレイ36は、軌道22のレール22a,22b上を所定方向に移動する。複数のトレイ36は、連結部材120で連結されているので、互いに所定間隔をおいた状態で所定方向に移動する。本実施形態に係るトレイ36では、動力源(駆動源)が不要であるため、駆動源の分、各トレイ36を軽量化することができる。また、トレイ36に動力源(駆動源)が不要であるため、軌道22とトレイ36との間に電気エネルギーを流す配線も不要となる。
【0056】
物品投入部28に入るトレイ36では、第1及び第2の載置部56a,56bの第1の回動板102及び第2の回動板104がともに閉位置にある。物品は、物品投入部28からトレイ36の第1及び第2の載置部56a,56bの一方、又は、両方に載置される。
【0057】
第1の載置部56aが閉じた位置にあるとき、第1の載置部56aの第1の回動板102及び第2の回動板104の上に、第1の回動板102及び第2の回動板104の載置面を合わせた大きさよりも小さい面積の底面を有する適宜の物品が載置される。
【0058】
なお、第1の載置部56a及び第2の載置部56bの両方が閉じた位置にあるとき、第1の載置部56aの第1の回動板102及び第2の回動板104の載置面と、第2の載置部56bの第1の回動板102及び第2の回動板104の載置面とを合わせた大きさよりも小さい面積の底面を有する適宜の物品を載置可能である。このとき、4つの突出板106b上にも物品が載置され得る。このため、トレイ36は、第1及び第2の載置部56a,56bを合わせた大きさ以下の、種々の大きさの物品に用いることができる。そして、トレイは、1つの物品の大きさに応じて、第1の載置部56a及び第2の載置部56bを選択的に用いてもよく、第1の載置部56a及び第2の載置部56bの両方を用いてもよい。本実施形態に係るトレイ36は、種々の大きさの物品に対して、種々の使い方をすることができる。例えば第1及び第2の載置部56a,56bにそれぞれ物品を載置する場合、1つのトレイ36で2つの物品を区分けすることができ、1つのトレイで1つの物品を区分けするよりも作業スピードが向上する。
【0059】
なお、第1及び第2の載置部56a,56bの両方に物品が載置されるとは、第1及び第2の載置部56a,56bにそれぞれ物品が載置されること、及び、第1及び第2の載置部56a,56bが協働して1つの物品が載置されることを含む。
【0060】
このため、本実施形態に係るトレイ36は、物品の大きさに応じて、第1及び第2の載置部56a,56bの片方に物品を載置することができ、第1及び第2の載置部56a,56bにそれぞれ物品を載置することができ、第1及び第2の載置部56a,56bが協働して1つの物品を載置することができる。
【0061】
ここでは、トレイ36の第2の載置部56bの第1の回動板(第3の回動板)102及び第2の回動板(第4の回動板)104上に物品が載置された例について説明する。なお、物品が物品投入部28からトレイ36の第1及び第2の載置部56a,56bの一方又は両方に載置される際も、トレイ36は所定の方向に移動し続ける。
【0062】
図10に示すように、閉じた位置での第2の載置部56bの第1及び第2の回動板102,104に設けられた突出板106aのうち、第1及び第2の回動板102,104側の面と、第2のトレイカバー58bの板状体59の第1の載置部56a側(+X軸側)の面とは、略面一である。このため、例えば袋状の物品が閉じた位置での第2の載置部56bに載置された状態で、物流ソータ12のレール22a,22bに沿ってトレイ36が移動するときにも、物品の一部が、第2のトレイカバー58bと突出板106aとの間に入り込み難い。
【0063】
仮に、物品の一部が、第2のトレイカバー58bの板状体59と突出板106aとの間に入ったとしても、ワイヤ(第2のワイヤ)74がワイヤカバー88で覆われ、ワイヤカバー88はブラケット82a,84aにそれぞれ支持され、軸方向に移動しない。仮に、物品の一部が、第2のトレイカバー58bの板状体59と突出板106aとの間に入ったとしても、ブラケット82a,84a間に配置されるだけである。第2の可動部54bのワイヤ(第2のワイヤ)74のうちワイヤカバー88の一端から第1のプーリ(第3のプーリ)72aまでの間は、ブラケット82aよりも物品から遠い位置にある。同様に、第2の可動部54bのワイヤ(第2のワイヤ)74のうちワイヤカバー88の一端から第2のプーリ(第4のプーリ)72bまでの間は、ブラケット84aよりも物品から遠い位置にある。このため、物品の一部は、第2の可動部54bのワイヤ74、第1のプーリ72a又は第2のプーリ72bに接触し難い。したがって、ワイヤ74の移動に従って、物品の一部が接触して物品がワイヤ74に引っ張られることが防止されている。
【0064】
制御装置24は、トレイ36上の物品の情報を、情報読取部30で取得する。情報読取部30は、例えばカメラにより物品の上面及び側面から物品の画像を撮影し、画像情報を制御装置24へ出力する。また、情報読取部30は、搬送される物品のサイズ、形状等を測定し、測定により得られる物品測定情報を制御装置24へ出力する。さらに、情報読取部30は、物品から物品IDを読み取り、読み取った物品IDを制御装置24へ出力する。
【0065】
制御装置24は、情報読取部30からの信号、及び、その他の複数の物品検知センサからの物品検知信号に基づいて、検知される各物品に物品検知IDを割り当て、また、各物品の搬送(動き)をトレースし、各物品がどこに位置するのかを検知又は推定する。また、制御装置24は、1対のレール22a,22bの移動量を検知するロータリーエンコーダからの信号に基づき、1対のレール22a,22bの移動量を監視する。例えば、制御装置24は、1対のレール22a,22bの循環回数を検知する。また、制御装置24は、各物品の搬送のトレースと、1対のレール22a,22bの移動量の監視とを組み合わせて、各物品の循環回数を検知することもできる。
【0066】
制御装置24は、図1中の区分シュート42のうち、例えば符号42aで示す区分シュートに物品を区分けすると決定する。この場合、区分シュート42aに対応するシューターを符号44aで示す。
【0067】
トレイ36は、レール22a,22bの移動に沿って移動する。トレイ36は、レール22a,22bが曲がった位置においても、車輪112,114及び案内輪116,118により、トレイ36は、所定の方向に移動する。すなわち、トレイ36は、循環搬送される。
【0068】
制御装置24は、情報読取部30で取得した情報に基づいて、区分する物品を載置するトレイ36が所定の区分シュート42aに対応するシューター44a上に移動して来る直前に、アクチュエータ32を動作させる。制御装置24が、アクチュエータ32に通電し、アクチュエータ32をたとえば上方(+Z軸方向)に突出させる。このため、アクチュエータ32は、所定の区分シュート42aに対応するシューター44a上に移動して来たトレイ36のロック部(第2のロック部)78の回動レバー92に接触して回動レバー92を後方(-Y軸方向)に押圧する。
【0069】
なお、アクチュエータ32を通電により上方(+Z軸方向)に動作させるタイミングは、連結部材120で連結される先行するトレイ36のロック部78の回動レバー92が動作させるアクチュエータ32の直上を通過した後である。
【0070】
回動レバー92に対してアクチュエータ32が接触し、アクチュエータ32が回動レバー92を回動させた直後、トレイ36の移動により、アクチュエータ32と回動レバー92とが非接触となる。アクチュエータ32と回動レバー92とが非接触となった直後、回動レバー92及び係合体96は、付勢体94により元の位置に戻る。
【0071】
制御装置24は、回動レバー92に対してアクチュエータ32が接触したと推定した直後、アクチュエータ32に対する通電を停止して、アクチュエータ32を下方(-Z方向)で、回動レバー92に接触しない高さ位置に引き込む。
【0072】
回動レバー92が回動すると、係合体96が回動レバー92と一緒に回動し、ロック部78の係合体96と第1の回動板102の緩衝体108に設けられる係合子108aとの係合が解除される。このとき、物品、第1の回動板102及び第2の回動板104の重力により、第2の載置部56bの第1の回動板102及び第2の回動板104が閉位置から、両開き状の開位置に開くとともに、第2の載置部56bの第1の回動板102及び第2の回動板104の間から物品がシューター44aに落下する。物品は、シューター44aから区分シュート42aに入れられる。
【0073】
ここで、第1の回動板102が閉位置(図11参照)から開位置(図12参照)に開くとき、第2の可動部54bの第1のプーリ(第3のプーリ)72aが回動し、ワイヤ(第2のワイヤ)74を繰り出す。第2の回動板104が開くとき、第2のプーリ(第4のプーリ)72bが回動し、ワイヤ(第2のワイヤ)74を牽引する(巻き取る)。第2の載置部56bの第1の回動板102及び第2の回動板104は略同時に開きはじめるため、第1のプーリ72aがワイヤ74を繰り出すタイミングと、第2のプーリ72bがワイヤ74を牽引するタイミングとは、略一致する。付勢部材86は、第2のプーリ72bを第1のプーリ72a側に引っ張り、第1及び第2の回動板102,104が開くときに、ワイヤ74に負荷される張力を適宜に維持するために用いられる。このため、付勢部材86は、第2の可動部54bの第1のプーリ72aと第2のプーリ72bとの間でワイヤ74が弛むことを抑制する。したがって、第2の載置部56bの第1及び第2の回動板102,104が閉位置から開位置に切り替えられるときに、付勢部材86は、ワイヤ74が第2のプーリ72bから外れることを抑制する。
【0074】
そして、ワイヤ74は、第1のプーリ72aの接線と、第2のプーリ72bの接線とに接した状態が維持される。このため、第1の回動板102及び第2の回動板104が開閉するとき、フレーム52に対するワイヤ74の位置ずれ(ワイヤ74の振れ)は、無視できる。
【0075】
第1のプーリ72aが回転してワイヤ74を繰り出して第1の回動板102が開くとき、第1のダンパ82により、第1の回動板102の回動速度を、第1のダンパ82がないときに比べて低速にする。また、第2のプーリ72bが回転してワイヤ74を牽引して第2の回動板104が開くとき、第2のダンパ84により、第2の回動板104の回動速度を、第2のダンパ84がないときに比べて低速にする。このように、第1の緩衝部76a及び第2の緩衝部76bは、第1の回動板102及び第2の回動板104が開くとき、第1の可動部54a、第2の可動部54bへの負荷を抑制する。
【0076】
なお、第1の回動板102の緩衝体108は、例えば先行するトレイ36との接触のクッション等として用いられ得る。このため、連結部材120によって離間されているトレイ36の第1の回動板102と、先行するトレイ36の第2の回動板104とが仮に接触する場合であっても、トレイ36の第1の回動板102と、先行するトレイ36の第2の回動板104との接触時の負荷を低減する。
【0077】
図13に示すように、トレイ36は、第2載置部56bが開いた位置で、前方側ほど高い位置にある案内路34に近づく。トレイ36の緩衝体108が案内路34に接しながら所定方向に移動すると、第1の回動板102が閉じる。第1の回動板102が閉じる方向に移動すると、第1のプーリ72aがワイヤ74を牽引する(巻き取る)。このため、第2のプーリ72bは、ワイヤ74を繰り出す。したがって、第2のプーリ72bに連結された第2の回動板104は、第1の回動板102が閉じると、一緒に閉じられる。
【0078】
第1の回動板102が閉じられるにつれて、緩衝体108に設けられた係合子108aがロック部78の係合体96の傾斜面に近づき、接触する。そして、緩衝体108に設けられた係合子108aが、ロック部78の係合体96の傾斜面を移動してロック部78の係合体96上に載置される。このとき、緩衝体108に設けられた係合子108aは、付勢体94の付勢力に抗して、ロック部78の係合体96上に載置される。このため、緩衝体108に設けられた係合子108aがロック部78の係合体96上に載置されると、付勢体94の付勢力によって、ロック部78の係合体96上に緩衝体108に設けられた係合子108aが係合された状態となる。このため、ロック部78は、第2のフレーム体64に設けられ、第1の回動板102と第2の回動板104との上に物品を載せることが可能なように第1の回動板102と第2の回動板104とをロックする。すなわち、第2の載置部56bが閉位置に戻される。
【0079】
このように、第1の載置部56a及び第2の載置部56bが閉じた位置を維持した状態で、トレイ36は、レール22a,22bに沿って物品投入部28に向かう。このようにして、トレイ36は、軌道22上を循環する。
【0080】
なお、トレイ36に載置された物品について、制御装置24が区分シュート42に物品を区分けする区分け先がないと出力した場合、制御装置24は、エラーを出力する。エラー出力は、例えば少なくとも1回、トレイ36が軌道22を循環した後であってもよい。この場合、トレイ36上の物品は、再度、情報読取部30で物品の画像情報が取得される。そして、制御装置24は、区分シュート42に物品を区分けする区分け先がないと再び出力した場合、エラーを出力する。
【0081】
物品区分装置10の軌道22上には、多数のトレイ36が載置されて移動する。そして、各トレイ36には、それぞれ物品が載置されるため、各トレイ36を動かすためには、各トレイ36の重量が軽量であるほど、レール22a,22bの駆動力を小さくすることができる。本実施形態に係るトレイ36では、ロック部78をロック位置からロック解除位置に切り替えることにより、第1の載置部56aの第1及びの回動板102,104が開くことに応じて、第1の可動部54aの第1のプーリ72a、第2のプーリ72b、及び、ワイヤ74を動かすことができる。
【0082】
ここで、例えばリンク機構のロッドを用いる場合、ロッドには、ロッドの軸方向から外れる方向の力に耐え、ロッドが座屈しない耐力、すなわち、剛性が必要である。このため、ロッドに剛性を持たせるため、適宜の素材を太く形成することが要求され易い。このため、リンク機構のロッドは、適宜の重量の部品として形成される必要が高い。これに対して、本実施形態に係るトレイ36のワイヤ74を用いる場合、引張り耐力を有していれば、座屈を考慮する必要はない。ワイヤ74は、第1の載置部56aの開閉動作に耐えるとともに、第1の載置部56aに載置される物品の重量に耐え得る耐力の部品として形成すればよい。
【0083】
例えば中実の金属部品としてのロッドに比べて、本実施形態のトレイ36のワイヤ74は軽量に形成することができる。このため、ワイヤ74を用いる場合、リンク機構のロッドを用いる場合に比べて、軽量化を図ることができる。したがって、例えばリンク機構の場合に比べて軽量化を図り易い、トレイ36が提供される。これは、物流ソータ12の軌道22上のトレイ36の数が多くなればなるほど、影響が大きくなり得る。このため、本実施形態に係るトレイ36の第1及び第2の可動部54a,54bのように、第1及び第2のプーリ72a,72b、ワイヤ74を用いることにより、トレイ36の軽量化を図ることができる。
【0084】
また、本実施形態に係るトレイ36では、第2の可動部54bの第1及び第2のプーリ72a,72bが回動し、ワイヤ74が軸方向に移動するときであっても、第1及び第2のプーリ72a,72bの位置、ワイヤ74の位置は、第2のフレーム体64に対して同じ位置を維持し続ける。このため、第2のトレイカバー58bを用いる場合、リンク機構のようなロッドの動作範囲を考慮した空間が不要となる。このため、第2のフレーム体64と第2のトレイカバー58bとの間の空間を小さく形成することができる。このため、第2の可動部54bの構造は、第2のトレイカバー58bの軽量化に寄与する。
【0085】
また、本実施形態に係るトレイ36は、第2のトレイカバー58bの板状体59と協働して、第2の載置部56bの第1及び第2の回動板102,104に設けられる突出板106aを隔壁として用いることができる。第2の載置部56bが閉位置のとき、第2のトレイカバー58bの板状体59と突出板106aとは、協働して、第1及び第2のプーリ72a,72b及びワイヤ74と、第2の載置部56bに載置される物品とを隔離することができる。このとき、ワイヤ74は、ワイヤ74の軸方向には移動するが、その位置に留めておくことができる。また、ワイヤ74は、ワイヤカバー88により保護されている。したがって、第2の載置部56bが閉位置から開位置に切り替えられたとしても、ワイヤ74に物品が触れることを防止することができる。したがって、第2の載置部56bを閉位置から開位置に切り替えるときに、物品が、ワイヤ74に引っかかることを防止することができる。仮に、ワイヤカバー88がなかったとしても、第2の載置部56bが閉じた位置のときに、突出板106aと第2のトレイカバー58bの板状体59との間の隙間が小さく形成されているため、突出板106aと第2のトレイカバー58bの板状体59との間の隙間に物品の一部が入り込むことを防止することができる。したがって、本実施形態に係る第2の可動部54bを用いることにより、物品をトレイ36に載置した状態から、シューター44にシュートする場合であっても、物品がトレイ36に引っかかるなどの不具合が生じることを抑制することができる。したがって、本実施形態によれば、種々の物品を処理しやすい物流ソータ用トレイ36、及び、物品区分装置10を提供することができる。
【0086】
また、本実施形態に係るトレイ36では、動力モータ等の通電による能動的な駆動部材が不要である。このため、トレイ36は、軽量化を図ることができるとともに動力モータ等のコストを削減することができる。
【0087】
本実施形態では、第1及び第2のフレーム体62,64は、四角柱状として説明した。第1及び第2のフレーム体62,64は、四角柱状のほか、H鋼状など、4つの面を有する適宜の形状に形成されることが好適である。
【0088】
本実施形態では、第1の可動部54aは、第1のフレーム体62と第1の載置部56aとの間に設けられる例について説明した。すなわち、第1の可動部54aは、第1のフレーム体62に対して-X軸方向に設けられる例について説明した。第1の可動部54aは、第1のフレーム体62に対して+X軸方向に設けられることも好適である。同様に、本実施形態では、第2の可動部54bは、第2のフレーム体64と第2の載置部56bとの間に設けられる例について説明した。すなわち、第2の可動部54aは、第2のフレーム体62に対して+X軸方向に設けられる例について説明した。第2の可動部54bは、第2のフレーム体62に対して-X軸方向に設けられることも好適である。
【0089】
本実施形態では、第1の載置部56aの二分割回動板102,104が両開き状に下側に開く例について説明した。二分割回動板102,104が開く方向は下側に限らず、適宜に設定される。
【0090】
ワイヤ74の一端は、第1のプーリ72aの回転軸の例えば上側(回転軸に対して第1の方向)を通して他端とは反対側に向かって下側に巻回されて固定される例について説明した。また、ワイヤ74の他端は、第2のプーリ72bの回転軸の例えば下側(回転軸に対して第2の方向)を通して一端とは反対側に向かって上側に巻回されて固定される例について説明した。第1のプーリ72a及び第2のプーリ72bの回転軸は、水平方向(X軸方向又はXY平面に沿う方向)に延びるとは限らない。第1のプーリ72a及び第2のプーリ72bの回転軸は、水平方向(XY平面)に交差するように延びていてもよい。第1のプーリ72a及び第2のプーリ72bの回転軸は、一例として、上下方向(Z軸方向)に延びていてもよい。この場合でも、ワイヤ74の一端は、第1のプーリ72aに巻回されて固定され、ワイヤ74の他端は第2のプーリ72bに巻回されて固定される。本実施形態では、ワイヤ74を用いることにより、第1のプーリ72a及び第2のプーリ72bの回転軸の向きを適宜に設定することができる。このため、第1のプーリ72a及び第2のプーリ72bを配置するスペースに応じて、第1のプーリ72a及び第2のプーリ72bの向きをそれぞれ設定することができる。第1のプーリ72a及び第2のプーリ72bの回転軸は、互いに平行でなくてもよい。このように、ワイヤ74を用いることにより、第1のプーリ72a及び第2のプーリ72bの向きを自由に設定することができる。
【0091】
以上述べた少なくともひとつの実施形態によれば、軽量化を図ることが可能な物流ソータ用トレイ36、及び、物品区分装置10を提供することができる。
【0092】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0093】
10…物品区分装置、12…物流ソータ、14…集積部、22…軌道、22a,22b…レール、24…制御装置、26…駆動部、28…物品投入部、30…情報読取部、32…アクチュエータ、34…案内路、36…物流ソータ用トレイ(ボンベイトレイ)、42…区分シュート、44…シューター、52…フレーム、54a…第1の可動部、54b…第2の可動部、56a…第1の載置部、56b…第2の載置部、58a…第1のトレイカバー、58b…第2のトレイカバー、59…板状体、62…第1のフレーム体、64…第2のフレーム体、66…第1のシャフト、68…第2のシャフト、72a…第1のプーリ、72b…第2のプーリ、74…ワイヤ、76a…第1の緩衝部、76b…第2の緩衝部、78…ロック部、82…ダンパ、82a…ブラケット、84…ダンパ、84a…ブラケット、86…付勢部材、88…ワイヤカバー、92…回動レバー、94…付勢体、96…係合体、102…第1の回動板、104…第2の回動板、106a,106b…突出板、108…緩衝体、108a…係合子
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