(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023061169
(43)【公開日】2023-05-01
(54)【発明の名称】マスク処理用組成物及びその使用方法
(51)【国際特許分類】
A61K 45/00 20060101AFI20230424BHJP
A61K 33/30 20060101ALI20230424BHJP
A61K 33/42 20060101ALI20230424BHJP
A61K 33/06 20060101ALI20230424BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20230424BHJP
A41D 13/11 20060101ALI20230424BHJP
【FI】
A61K45/00
A61K33/30
A61K33/42
A61K33/06
A61P43/00 107
A41D13/11 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021170995
(22)【出願日】2021-10-19
(71)【出願人】
【識別番号】000001959
【氏名又は名称】株式会社 資生堂
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100138210
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 達則
(72)【発明者】
【氏名】杉原 めぐみ
【テーマコード(参考)】
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4C084AA17
4C084MA13
4C084MA55
4C084NA14
4C084ZB22
4C086AA01
4C086AA02
4C086HA03
4C086HA04
4C086HA06
4C086HA19
4C086HA21
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA13
4C086MA55
4C086NA14
4C086ZB22
(57)【要約】
【課題】機能性粉末を含有しているマスク処理用組成物を噴霧等によってマスクに適用しても、機能性粉末がマスクから脱落し、それによってマスク処理用組成物の効果が持続的に得られない場合があるという問題を解決する。
【解決手段】本発明のマスク処理用組成物は、平均粒子径が0.1μm~20μmである機能性粒子及び分散媒を含有している。また、マスク処理用組成物入りスプレー容器は、本発明のマスク処理用組成物、及びこの組成物を収容しているスプレー容器を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平均粒子径が0.1μm~20μmである機能性粒子及び分散媒を含有している、マスク処理用組成物。
【請求項2】
噴霧用である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
不織布マスク用である、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記機能性粒子が、紫外線を受けてこの紫外線よりも長い波長の光を放出する紫外線波長変換粒子である、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記紫外線波長変換粒子が、酸化亜鉛蛍光体、チタン酸マグネシウム蛍光体、及びリン酸カルシウム蛍光体からなる群より選択される少なくとも一種である、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
紫外線吸収剤の含有率が1.0質量%以下である、請求項4又は5に記載の組成物。
【請求項7】
紫外線散乱粒子の含有率が1.0質量%以下である、請求項4~6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
細胞賦活用である、請求項4~6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項に記載の組成物、及び前記組成物を収容しているスプレー容器を含む、マスク処理用組成物入りスプレー容器。
【請求項10】
請求項1~8のいずれか一項に記載の組成物を、マスクの内側面及び外側面の少なくとも一方の面に噴霧することを含む、マスク処理用組成物の使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マスク処理用組成物及びその使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
マスク機能の向上を目的として、噴霧等によってマスクに適用して用いるマスク処理用組成物が開発されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、マスクに抗アレルゲン機能を付与するためのスプレー用溶液が提案されている。また、特許文献2では、噴霧によりマスクに均一に付与するためのスプレー用溶液として、水、アルコール類、又はこれらの混合液である溶媒に、0.5質量%~2.0質量%のセルロースナノファイバーが配合されているマスク処理用スプレー溶液を提供している。
【0004】
なお、特許文献3では、新規な細胞賦活剤、具体的には波長変換物質を有効成分として含有する細胞賦活剤を提案している。ここで用いられている波長変換物質は、入射光に含まれる紫外線の波長を変換して、この紫外線の波長よりも長い波長の出射光を放出するものであり、特許文献3では、このような波長変換物質を皮膚に塗布することによって皮膚の細胞を賦活できることを示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010-285402号公報
【特許文献2】特開2020-152755号公報
【特許文献3】国際公開第2020/204105号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年、インフルエンザ、COIVD-19等の感染症への対策として、マスクを着用する機会が増加しており、また医療従事者においては日常的にマスクを着用する必要があるので、マスクの機能性の向上は非常に重要である。
【0007】
したがって、本件発明者等は、マスク機能性の向上をさせるマスク処理用組成物として、液状の機能性成分だけでなく、粉末状の機能性成分(機能性粉末)を含有している組成物を用いることを検討した。
【0008】
しかしながら、本件発明者等は、機能性粉末を含有しているマスク処理用組成物を噴霧等によってマスクに適用しても、摩擦、擦過等によって機能性粉末がマスクから脱落し、それによってマスク処理用組成物の効果が持続的に得られない場合があることを見いだした。
【0009】
本発明はこのような問題を解決することを意図するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の発明者らは、鋭意検討の結果、下記の本発明に想到した。
【0011】
〈態様1〉
平均粒子径が0.1μm~20μmである機能性粒子及び分散媒を含有している、マスク処理用組成物。
〈態様2〉
噴霧用である、態様1に記載の組成物。
〈態様3〉
不織布マスク用である、態様1又は2に記載の組成物。
〈態様4〉
前記機能性粒子が、紫外線を受けてこの紫外線よりも長い波長の光を放出する紫外線波長変換粒子である、態様1~3のいずれか一項に記載の組成物。
〈態様5〉
前記紫外線波長変換粒子が、酸化亜鉛蛍光体、チタン酸マグネシウム蛍光体、及びリン酸カルシウム蛍光体からなる群より選択される少なくとも一種である、態様4に記載の組成物。
〈態様6〉
紫外線吸収剤の含有率が1.0質量%以下である、態様4又は5に記載の組成物。
〈態様7〉
紫外線散乱粒子の含有率が1.0質量%以下である、態様4~6のいずれか一項に記載の組成物。
〈態様8〉
細胞賦活用である、請求項4~6のいずれか一項に記載の組成物。
〈態様9〉
態様1~8のいずれか一項に記載の組成物、及び前記組成物を収容しているスプレー容器を含む、マスク処理用組成物入りスプレー容器。
〈態様10〉
態様1~8のいずれか一項に記載の組成物を、マスクの内側面及び外側面の少なくとも一方の面に噴霧することを含む、マスク処理用組成物の使用方法。
【発明の効果】
【0012】
本発明のマスク処理用組成物によれば、上記のような問題、すなわち機能性粉末を含有しているマスク処理用組成物を噴霧等によってマスクに適用しても、機能性粉末がマスクに保持されずに脱落し、それによってマスク処理用組成物の効果が持続的に得られない場合があるという問題を、少なくとも部分的に解決することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、本発明のマスク処理用組成物を不織布マスクに対して噴霧した場合の概念図である。
【
図2】
図2は、本発明とは異なるマスク処理用組成物を不織布マスクに対して噴霧した場合の第1の概念図である。
【
図3】
図3は、本発明とは異なるマスク処理用組成物を不織布マスクに対して噴霧した場合の第2の概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
〈マスク処理用組成物〉
本発明のマスク処理用組成物は、平均粒子径が0.1μm~20μmである機能性粒子及び分散媒を含有している。
【0015】
このマスク処理用組成物は、任意の方法でマスクに適用してマスクを処理することができ、特に塗布用又は噴霧用であってよい。このマスク処理用組成物をマスクに噴霧する場合、この組成物を、マスクの内側面及び外側面の少なくとも一方の面に噴霧すること、特にマスクの内側面に噴霧することができる。機能性粒子は、分散媒中に懸濁していても沈殿していてもよいが、機能性粒子が沈殿している場合には、使用時に本発明のマスク処理用組成物を振盪して分散させることが好ましい。
【0016】
本発明のマスク処理用組成物は、マスク処理用組成物である旨の表示、不織布マスク用である旨の表示、マスクに塗布して用いる旨の表示、マスクに噴霧して用いる旨の表示、マスクの内側面に噴霧して用いる旨の表示、マスクの外側面に噴霧して用いる旨の表示、及び/又は使用前に振盪して用いる旨の表示を有する包装体及び/又は容器に収容することができる。
【0017】
一般的なマスクは、少なくとも、0.1μm程度~数μmの大きさのバクテリア、PM2.5の微小粒子等をフィルター効果によって捕集できるように設計されている。例えば、JIS T9001:2021では、微小粒子捕集効率(PFE)試験に関する一般用マスクの品質基準として、公称粒径0.1μmの真球状ポリエチレン系標準粒子の捕集効率が95%以上であることを要求している。
【0018】
また、一般的なマスクは、微小粒子を捕集するためのフィルター層の他に、フィルター層を保護し、かつ大きなホコリや飛沫を遮断するための内側層(口側の層)及び外側層(外部側の層)を有している。
【0019】
したがって、上記のような本発明のマスク処理用組成物によれば、特定の粒径を有する機能性粒子を含むことによって、マスクに噴霧したときに、機能性粒子がマスクの表面を通過してマスクの内側に保持されるようにして、摩擦、擦過等によるマスクからの機能性粒子の脱落を抑制し、それによって機能性粒子をマスクに保持させやすくすることができる。
【0020】
特に、マスク処理用組成物によって処理されるマスクが、一般的な不織布マスクである場合、すなわち外側不織布/フィルター/内側不織布の三層構造を有する不織布マスクである場合、本願発明のマスク処理用組成物によって、機能性粒子の少なくとも一部が外側不織布又は内側不織布を通過してフィルターに保持されるようにすることができる。なお、一般的な不織布マスクにおいては、外側及び内側不織布として、ポリプロピレンのスパンボンド不織布が用いられており、かつそれらの間のフィルター層としてポリプロピレンのメルトブローン不織布が用いられている。
【0021】
このような本発明のマスク処理用組成物を、三層構造の不織布マスクに噴霧して用いる場合について、
図1~
図3を参照して説明する。
【0022】
図1のように、本発明のマスク処理用組成物を、外側不織布20A/フィルター30/内側不織布20Bの三層構造の不織布マスク100に噴霧すると、噴霧された組成物は矢印50で示すようにマスク100に適用され、組成物中の機能性粒子10Aの少なくとも一部が、マスク100の内側不織布20Bを通過して、フィルター30に保持される。
【0023】
これに対して、
図2で示すように、マスク処理用組成物中に含有されている機能性粒子10Bが小さすぎる場合、機能性粒子10Bはフィルター30で保持されずに、マスクから脱落しやすくなってしまう。
【0024】
他方で、
図3で示すように、マスク処理用組成物中に含有されている機能性粒子10Cが大きすぎる場合、機能性粒子10Cは内側不織布20Bを通過できずにマスクの外側に付着するので、摩擦、擦過等によってマスクから脱落しやすくなってしまう。
【0025】
(機能性粒子)
本発明のマスク処理用組成物において用いられる機能性粒子は、マスクに保持させることが好ましく、かつ平均粒子径が0.1μm~20μmである任意の粒子であってよい。
【0026】
機能性粒子の粒子径は、0.3μm以上、0.5μm以上、1.0μm以上、2.0μm以上、3.0μm以上、又は5.0μm以上であってよく、また18.0μm以下、15.0μm以下、12.0μm以下、10.0μm以下、5.0μm以下、又は3.0μm以下であってよい。
【0027】
なお、機能性粒子の粒子径は、粒子を適宜な溶媒中に添加後、超音波ホモジナイザー(US-150T;日本精機製作所製)を用いて1分間超音波分散を行い、レーザー回折・散乱式粒子径分布測定装置(MT3300EXII;マイクロトラック・ベル製)を用いて測定される体積基準の粒子径、すなわち体積平均粒子径(D50)として、求めることができる。
【0028】
本発明のマスク処理用組成物における機能性粒子の含有率は、0.1質量%以上、0.5質量%以上、1.0質量%以上、3.0質量%以上、5.0質量%以上、又は10.0質量%以上であってよく、また30.0質量%以下、25.0質量%以下、20.0質量%以下、15.0質量%以下、10.0質量%以下、又は5.0質量%以下であってよい。
【0029】
機能性粒子は例えば、顔料粒子、パール材、香料を保持している樹脂粒子又は無機粒子、潤い成分を保持している樹脂粒子又は無機粒子、ブルーライトを吸収するブルーライト吸収粒子、ブルーライトを散乱させるブルーライト散乱粒子、紫外線を吸収する紫外線吸収粒子、赤外線を吸収する赤外線吸収粒子、赤外線を散乱させる赤外線散乱粒子、紫外線を吸収する紫外線吸収粒子、紫外線を散乱させる紫外線散乱粒子、紫外線を受けてこの紫外線よりも長い波長の光を放出する紫外線波長変換粒子等であってよい。なお、本発明に関して、「ブルーライト」は、可視光線のうちの短波長成分、例えば波長が380~500nmの成分を意味している。
【0030】
機能性粒子が顔料粒子である場合、マスクを着色することができる。機能性粒子がパール材である場合、マスクにツヤやパール光沢を付与することができる。機能性粒子が香料を保持している樹脂粒子又は無機粒子である場合、マスクに香りを付けることができる。機能性粒子が潤い成分を保持している樹脂粒子又は無機粒子である場合、マスクにあたる肌の部分に潤いを与えることができる。
【0031】
機能性粒子が、赤外線を吸収する赤外線吸収粒子又は赤外線を散乱させる赤外線散乱粒子である場合、赤外線がマスクを透過して肌に当たることを防ぐことができる。機能性粒子が、ブルーライトを吸収するブルーライト吸収粒子又はブルーライトを散乱させるブルーライト散乱粒子である場合、ブルーライトがマスクを透過して肌に当たることを防ぐことができる。機能性粒子が、紫外線を吸収する紫外線吸収粒子又は紫外線を散乱させる紫外線散乱粒子である場合、紫外線がマスクを透過して肌に当たることを防ぐことができる。
【0032】
また、機能性粒子が、紫外線を受けてこの紫外線よりも長い波長の光を放出する紫外線波長変換粒子である場合、マスクの下の皮膚の細胞を賦活することができる。なお、このような細胞賦活効果については、特許文献3の記載を参照することができる。
【0033】
紫外線波長変換粒子としては、酸化亜鉛蛍光体、チタン酸マグネシウム蛍光体、及びリン酸カルシウム蛍光体からなる群より選択される少なくとも一種を挙げることができる。
【0034】
機能性粒子が、紫外線を受けてこの紫外線よりも長い波長の光を放出する紫外線波長変換粒子である場合、本発明のマスク処理用組成物を細胞賦活用のマスク処理用組成物として用いることができる。また、この場合、本発明のマスク処理用組成物をマスクの内側に適用すること、特に噴霧することによって、紫外線波長変換粒子から放出される光を効率的に肌に照射し、それによって細胞賦活効果を得ることができる。
【0035】
したがって、機能性粒子が、紫外線を受けてこの紫外線よりも長い波長の光を放出する紫外線波長変換粒子である場合、本発明のマスク処理用組成物を、細胞賦活用のマスク処理用組成物である旨の表示、マスクの内側に適用して用いるためのものである旨の表示、及び/又はマスクの内側に噴霧して用いるためのものである旨の表示を有する包装体及び/又は容器に収容することができる。
【0036】
なお、機能性粒子が、上記のような紫外線波長変換粒子である場合、本発明のマスク処理用組成物が紫外線吸収剤及び/又は紫外線散乱粒子を含有しないこと、又は本発明のマスク処理用組成物における紫外線吸収剤及び/又は紫外線散乱粒子の含有率が比較的低いことによって、紫外線波長変換粒子が受ける紫外線の量を増加させ、それによって細胞賦活効果を促進することができる。
【0037】
したがって、機能性粒子が、上記のような紫外線波長変換粒子である場合、本発明のマスク処理用組成物における紫外線吸収剤及び/又は紫外線散乱粒子の含有率はそれぞれ独立に、5.0質量%以下、4.0質量%以下、3.0質量%以下、2.0質量%以下、1.0質量%以下、0.5質量%以下、0.3質量%以下、又は0.1質量%以下であってよく、特に本発明のマスク処理用組成物は、紫外線吸収剤及び/又は紫外線散乱粒子を含有しない。
【0038】
なお、紫外線吸収剤は例えば、オキシベンゾン-3、オキシベンゾン-5、オキシベンゾン-6等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤、パラアミノ安息香酸グリセリル等の安息香酸系紫外線吸収剤、サリチル酸エチルヘキシル等のサリチル酸系紫外線吸収剤、t-ブチルメトキシジベンゾイルメタン等のベンゾイルメタン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、メトキシケイ皮酸エチルヘキシルであってよい。また、紫外線散乱粒子は例えば、酸化チタン、酸化亜鉛蛍光体以外の酸化亜鉛、酸化鉄、及び酸化セリウムからなる群より選択される少なくとも一種の粉末であってよい。
【0039】
(分散媒)
本発明のマスク処理用組成物において用いられる分散媒は、マスクに塗布した上で肌に接触させることが許容でき、かつ振盪を伴って又は伴わずに、機能性粒子を分散させることができる任意の液体媒体であってよい。したがって、分散媒は、水性分散媒であっても、油性分散媒であってもよい。また、分散媒は、油中水型又は水中油型のエマルジョンであってもよい。
【0040】
分散媒が水性分散媒である場合、分散媒としては、水に加えて、アルコールを含有することができる。
【0041】
アルコールとしては、炭素原子数が1~5個のアルキル基を有するアルコール、例えば、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、イソブチルアルコール、及びt-ブチルアルコール、特にエタノールを挙げることができる。これらのアルコールは、単独で又は二種以上組み合わせて使用することができる。また、水性分散媒は、任意の添加剤、例えば酸化防止剤、防腐剤、湿潤剤、増粘剤、バインダー等を更に含有することができる。
【0042】
分散媒が油性分散媒である場合、分散媒としては、シリコーン油、炭化水素油、及び/又はエステル油を用いることができる。
【0043】
シリコーン油としては、非環状シリコーン油、及び環状シリコーン油を挙げることができる。非環状シリコーン油としては、直鎖状シリコーン油、及び分岐状シリコーン油を挙げることができる。分岐状シリコーン油としては、メチルトリメチコン、トリス(トリメチルシリル)メチルシラン、テトラキス(トリメチルシリル)シラン等の低分子量の分岐状シロキサンを挙げることができる。環状シリコーン油としては、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、及びドデカメチルシクロヘキサシロキサン等を挙げることができる。炭化水素油としては、ヘプタン、イソドデカン、イソヘキサデカン、及びイソデカン等を挙げることができる。エステル油としては、ミリスチン酸イソプロピル、セバシン酸ジイソプロピル、及びパルミチン酸デキストリン等を挙げることができる。また、油性分散媒は、任意の添加剤、例えば酸化防止剤、防腐剤、湿潤剤、増粘剤、バインダー等を更に含有することができる。
【0044】
分散媒が油中水型又は水中油型のエマルジョンである場合、水相成分として上記で水性分散媒として挙げた成分を用いることができ、油相成分として上記で油性分散媒として挙げた成分を用いることができ、かつこれらの水相成分及び油相成分を乳化させる乳化剤を用いることができる。
【0045】
〈マスク処理用組成物入りスプレー容器〉
本発明のマスク処理用組成物入りスプレー容器は、本発明のマスク処理用組成物、及びこの組成物を収容しているスプレー容器を含む。本発明のマスク処理用組成物入りスプレー容器は、本発明のマスク処理用組成物をマスクに噴霧するために用いることができる。
【0046】
本発明のマスク処理用組成物入りスプレー容器は、マスク処理用である旨の表示、不織布マスク用である旨の表示、マスク処理用組成物をマスクに噴霧して用いる旨の表示、マスクの内側面にマスク処理用組成物を噴霧して用いる旨の表示、マスクの外側面にマスク処理用組成物を噴霧して用いる旨の表示、使用前に振盪して用いる旨の表示を有する包装体及び/又は容器に収容することができる。
【0047】
本発明のマスク処理用組成物入りスプレー容器のマスク処理用組成物が、紫外線を受けてこの紫外線よりも長い波長の光を放出する紫外線波長変換粒子を含有している場合、本発明のスプレー容器を、細胞賦活用である旨の表示、マスクの内側にマスク処理用組成物を適用して用いるためのものである旨の表示、及び/又はマスクの内側にマスク処理用組成物を噴霧して用いるためのものである旨の表示を有する包装体及び/又は容器に収容することができる。
【実施例0048】
〈実施例1〉
下記の組成のマスク処理用組成物を調製した。なお、ここで用いた酸化亜鉛蛍光体(機能性粒子)は、堺化学工業株式会社のLumate G(平均粒子径2.5μm)であった。
【0049】
【0050】
上記のマスク処理用組成物をスプレー容器に入れ、そして市販の不織布マスクの内側面に噴霧した。ここで、この不織布マスクは、外側不織布/フィルター/内側不織布の三層構造を有していた。
【0051】
マスク処理用組成物を噴霧した後のマスクを切断し、外側不織布、フィルター、及び内側不織布に分け、それぞれについてブラックライトで照射して、酸化亜鉛蛍光体の付着の有無を確認した。
【0052】
それによれば、内側不織布及びフィルターには酸化亜鉛蛍光体が付着していたが、外側不織布には酸化亜鉛蛍光体が付着していなかった。したがって、平均粒子径2.5μmの酸化亜鉛蛍光体の少なくとも一部が、内側不織布を透過してフィルターに保持されたことが確認できた。
【0053】
〈実施例2〉
マスク処理用組成物を、市販の不織布マスクの、内側面ではなく外側面に噴霧したことを除いて、実施例1と同様にして、実施例2を行った。
【0054】
それによれば、外側不織布及びフィルターには酸化亜鉛蛍光体が付着していたが、内側不織布には酸化亜鉛蛍光体が付着していなかった。したがって、平均粒子径2.5μmの酸化亜鉛蛍光体の少なくとも一部が、外側不織布を透過してフィルターに保持されたことが確認できた。
【0055】
《処方例》
機能性粒子として酸化亜鉛蛍光体を用いる場合の本発明のマスク処理用組成物の処方例を下記に挙げる。
【0056】
【0057】