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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023061172
(43)【公開日】2023-05-01
(54)【発明の名称】磁気粘性流体装置
(51)【国際特許分類】
   F16D 37/02 20060101AFI20230424BHJP
   F16F 9/53 20060101ALI20230424BHJP
   H01F 7/06 20060101ALI20230424BHJP
   H01F 1/44 20060101ALI20230424BHJP
【FI】
F16D37/02 E
F16D37/02 Z
F16F9/53
H01F7/06 Z
H01F1/44
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021171003
(22)【出願日】2021-10-19
(71)【出願人】
【識別番号】000142595
【氏名又は名称】株式会社栗本鐵工所
(74)【代理人】
【識別番号】100149870
【弁理士】
【氏名又は名称】芦北 智晴
(72)【発明者】
【氏名】赤岩 修一
(72)【発明者】
【氏名】末廣 隆史
【テーマコード(参考)】
3J069
5E041
5E048
【Fターム(参考)】
3J069AA41
3J069DD25
5E041BD07
5E048AB10
(57)【要約】      (修正有)
【課題】回転板の外周部から径方向に短絡する磁路が形成されることを防止することにより、磁気粘性流体に磁場を効率的に印加することができる磁気粘性流体装置を提供する。
【解決手段】磁気粘性流体装置1は、回転板20と、回転板に第1隙間S1を介して対向する第1ヨーク30と、回転板に第2隙間S2を介して対向する第2ヨーク40と、第1隙間および第2隙間に介在する磁気粘性流体50と、コイル60と、を備える。第1ヨークおよび第2ヨークは磁束受渡部70を有する。第1ヨークは、第1ヨーク基部31と第1ヨーク第1延出部32とを有する。第2ヨークは、第2ヨーク基部41と、第2ヨーク基部から延出し第1ヨーク第1延出部との間で磁束受渡部を形成する第2ヨーク延出部42と、を有する。回転板20の外周部と第2ヨーク延出部の内周面42iとの間に非磁性体からなる短絡磁路防止部材80が介在する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸線回りに回転する回転軸に固定された回転板と、
前記回転板の一方の主面に第1隙間を介して対向する第1対向面を有する第1ヨークと、
前記回転板の他方の主面に第2隙間を介して対向する第2対向面を有する第2ヨークと、
前記第1隙間および前記第2隙間に介在する磁気粘性流体と、
通電時に、前記第1ヨーク内に磁束を形成するように前記第1ヨークの周囲に設けられたコイルと、
を備え、
前記第1ヨークおよび前記第2ヨークは、互いに磁束を受け渡しする磁束受渡部を有し、
前記コイルに電流が流れると、前記第1ヨーク、前記第1隙間に介在する前記磁気粘性流体、前記回転板、前記第2隙間に介在する前記磁気粘性流体、および前記第2ヨークを通過する磁路を形成し、前記第1隙間および前記第2隙間に介在する前記磁気粘性流体に磁場が印加されるように構成された、磁気粘性流体装置であって、
前記第1ヨークは、
前記軸線が内側を通過するとともに、前記コイルが周囲に配置された周面を有する第1ヨーク基部と、
前記回転板との間に前記コイルが介在するように、前記第1ヨーク基部から径方向外方に延出した第1ヨーク第1延出部と、
を有し、
前記第2ヨークは、
前記第2対向面を含み、前記回転板の他方の主面側に配置された第2ヨーク基部と、
前記第2ヨーク基部から前記軸線方向に延出しつつ、前記回転板の外側を通って、前記第1ヨーク第1延出部との間で前記磁束受渡部を形成する第2ヨーク延出部と、
を有し、
前記回転板の外周部と前記第2ヨーク延出部の内周面との間に非磁性体からなる短絡磁路防止部材が介在する、
ことを特徴とする磁気粘性流体装置。
【請求項2】
請求項1に記載の磁気粘性流体装置であって、
前記第1ヨークは、前記第1ヨーク基部から、前記回転板と前記コイルとの間を通って径方向外方に延出した第1ヨーク第2延出部をさらに有し、
前記短絡磁路防止部材は、前記回転板および第1ヨーク第2延出部の外周部と前記第2ヨーク延出部の内周面との間に介在する、
ことを特徴とする磁気粘性流体装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の磁気粘性流体装置であって、
前記短絡磁路防止部材は、一端部が前記第2ヨーク基部に当接している、
ことを特徴とする磁気粘性流体装置。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の磁気粘性流体装置であって、
前記短絡磁路防止部材が、前記第2ヨーク延出部の内周面と前記コイルとの間、および前記第2ヨーク延出部の内周面と前記回転板との間に介在し、前記第1ヨーク第1延出部と前記第2ヨーク基部との間に前記軸線方向に隙間なく挟まれていることにより、前記第1対向面と前記第2対向面との隙間寸法が規定されるように構成されている、
ことを特徴とする磁気粘性流体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、相対回転可能に設けられた部材間に磁気粘性流体を介在させ、磁気粘性流体に付与する磁場の強さを変えることにより、上記部材間で伝達されるトルクを変えることができる磁気粘性流体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
磁気粘性流体装置として、様々なものが提案されている。例えば、特許文献1の図3に開示されている磁気粘性流体装置(100B)は、軸線(N)回りに回転する回転軸(1B)に固定された回転板(2B)と、回転板(2B)の一方の主面(2a)に隙間を介して対向する対向面(37A,37B)を有する第1ヨーク(3C)と、回転板(2B)の他方の主面(2b)に隙間61を介して対向する対向面(36)を有する第2ヨーク(3B)と、2つの隙間に介在する磁気粘性流体(6)と、通電時に、第1ヨーク(3C)内に磁束を形成するように第1ヨーク(3C)の環状の凹部に設けられたコイル(4)と、を備えている。
【0003】
特許文献1に開示された磁気粘性流体装置(100B)では、環状に形成されたコイル(4)を第1ヨーク(3C)の凹部に装填できるように、第1ヨーク(3C)の凹部は、軸線(N)方向の回転板(2B)側に開口している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014-181778号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願の発明者らは、コイルが装填される第1ヨークの凹部の開口が、軸線N方向の回転板側ではなく、図11に示すように、径方向外方を向いた第1ヨーク30Hを備える磁気粘性流体装置1Hについても研究開発を行っている。この磁気粘性流体装置1Hによれば、従来例に係る磁気粘性流体装置(100B)と比較して、第1ヨーク30Hと回転板20との対向面積を大きくすることができるので、コイルに給電する所定電流値当たりの回転板20の回転抵抗を効率よく高めることができる。
【0006】
図11に示す磁気粘性流体装置1Hの第1ヨーク30Hは、第1筒31Hと、第1筒31Hの軸線N方向両側の外周部にそれぞれ固定された2つの円環板32H,33Hとを有する。2つの円環板32H,33Hは、第1筒31Hに対して図示しないボルト等により締結されている。第1ヨーク30Hは、第1筒31Hと2つの円環板32H,33Hとによって、径方向外方に開口している凹部30Hdを形成している。第1ヨーク30Hは、凹部30Hdに、環状に形成されたコイル60Hを収容している。
【0007】
磁気粘性流体装置1Hは、第2ヨーク40Hをさらに備える。第2ヨーク40Hは、回転板20の下方に配置された円板41Hと、円板41の外周部に固定された第2筒42Hと、を備える。第2筒42Hは、円板41Hに対してボルトB2により締結されている。
【0008】
図11に示すように、磁気粘性流体装置1Hでは、回転板20および磁気粘性流体50は、第1筒31Hおよび円環板33Hと、円板41Hと、第2筒42Hとに囲まれた空間に収容されている。回転板20の外周部と第2筒42Hの内周面42Hiとの間には、磁気粘性流体50のみが介在しており、回転板20の外周部から第2筒42Hに径方向に短絡する磁路(図11の矢印付き破線Raが示す磁路)が形成されるおそれがある。回転板20の外周部から第2筒42Hに径方向に短絡する磁路が形成されると、回転板20と第2ヨーク40Hの円板41Hとの隙間(第2隙間S2)に介在する磁気粘性流体50に磁場を効率的に印加することができないという問題がある。
【0009】
本発明は、上記の課題に鑑みて創案されたものであり、回転板の外周部から径方向に短絡する磁路が形成されることを防止することにより、磁気粘性流体に磁場を効率的に印加することができる磁気粘性流体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の態様に係る磁気粘性流体装置は、軸線回りに回転する回転軸に固定された回転板と、前記回転板の一方の主面に第1隙間を介して対向する第1対向面を有する第1ヨークと、前記回転板の他方の主面に第2隙間を介して対向する第2対向面を有する第2ヨークと、前記第1隙間および前記第2隙間に介在する磁気粘性流体と、通電時に、前記第1ヨーク内に磁束を形成するように前記第1ヨークの周囲に設けられたコイルと、を備える。前記第1ヨークおよび前記第2ヨークは、互いに磁束を受け渡しする磁束受渡部を有する。この磁気粘性流体装置は、前記コイルに電流が流れると、前記第1ヨーク、前記第1隙間に介在する前記磁気粘性流体、前記回転板、前記第2隙間に介在する前記磁気粘性流体、および前記第2ヨークを通過する磁路を形成し、前記第1隙間および前記第2隙間に介在する前記磁気粘性流体に磁場が印加されるように構成されている。そして、前記第1ヨークは、前記軸線が内側を通過するとともに、前記コイルが周囲に配置された周面を有する第1ヨーク基部と、前記回転板との間に前記コイルが介在するように、前記第1ヨーク基部から径方向外方に延出した第1ヨーク第1延出部と、を有する。前記第2ヨークは、前記第2対向面を含み、前記回転板の他方の主面側に配置された第2ヨーク基部と、前記第2ヨーク基部から前記軸線方向に延出しつつ、前記回転板の外側を通って、前記第1ヨーク第1延出部との間で前記磁束受渡部を形成する第2ヨーク延出部と、を有する。そして、前記回転板の外周部と前記第2ヨーク延出部の内周面との間に非磁性体からなる短絡磁路防止部材が介在する。
【0011】
かかる構成を備える磁気粘性流体装置によれば、回転板の外周部と第2ヨーク延出部の内周面との間に非磁性体からなる短絡磁路防止部材が介在するので、回転板の外周部と第2ヨーク延出部の内周面との間で径方向に短絡する磁路が形成されることが防止され、第2隙間に介在する磁気粘性流体に磁場を効率的に印加することができる。
【0012】
本発明の第2の態様に係る磁気粘性流体装置は、第1の態様に係る磁気粘性流体装置において、前記第1ヨークは、前記第1ヨーク基部から、前記回転板と前記コイルとの間を通って径方向外方に延出した第1ヨーク第2延出部をさらに有し、前記短絡磁路防止部材は、前記回転板および第1ヨーク第2延出部の外周部と前記第2ヨーク延出部の内周面との間に介在する。
【0013】
本発明の第3の態様に係る磁気粘性流体装置は、第1の態様に係る磁気粘性流体装置または第2の態様に係る磁気粘性流体装置において、前記短絡磁路防止部材は、一端部が前記第2ヨーク基部に当接している。
【0014】
本発明の第4の態様に係る磁気粘性流体装置は、第1の態様に係る磁気粘性流体装置または第2の態様に係る磁気粘性流体装置において、前記短絡磁路防止部材が、前記第2ヨーク延出部の内周面と前記コイルとの間、および前記第2ヨーク延出部の内周面と前記回転板との間に介在し、前記第1ヨーク第1延出部と前記第2ヨーク基部との間に前記軸線方向に隙間なく挟まれていることにより、前記第1対向面と前記第2対向面との隙間寸法が規定されるように構成されている。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、回転板の外周部から径方向に短絡する磁路が形成されることが防止され、磁気粘性流体に磁場を効率的に印加することができる磁気粘性流体装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の第1実施形態に係る磁気粘性流体装置を示した断面図である。
図2】本発明の第1実施形態に係る磁気粘性流体装置の第1ヨークを示した断面図である。
図3】本発明の第1実施形態に係る磁気粘性流体装置の第2ヨークを示した断面図である。
図4】本発明の第1実施形態に係る磁気粘性流体装置において短絡磁路防止部材が設けられていないと仮定した場合に、回転板および第1ヨーク第2延出部の外周部近傍で短絡する磁路の一例を示す部分拡大断面図である。
図5】本発明の第2実施形態に係る磁気粘性流体装置を示した断面図である。
図6】本発明の第3実施形態に係る磁気粘性流体装置を示した断面図である。
図7】本発明の第4実施形態に係る磁気粘性流体装置を示した断面図である。
図8】本発明の第5実施形態に係る磁気粘性流体装置を示した断面図である。
図9】本発明の第6実施形態に係る磁気粘性流体装置を示した断面図である。
図10】本発明の第7実施形態に係る磁気粘性流体装置を示した断面図である。
図11】本発明の発明者らが開発した磁気粘性流体装置を示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の第1実施形態に係る磁気粘性流体装置について、図面を参照しつつ説明する。なお、本明細書においては、「軸線N」は回転軸10の軸線Nを意味し、「径方向」は回転軸10の径方向を意味し、「下方」は、軸線N方向の一方を意味し、「上方」は、軸線N方向の他方を意味する。もちろん、磁気粘性流体装置の使用状態が、実空間の上下方向に回転軸10の軸線Nを向けた状態に限定される訳ではない。また、図面において符号Pで示される矢印付きの破線は磁路を例示している。
【0018】
<第1実施形態>
本実施形態に係る磁気粘性流体装置1は、図1に示すように、回転部5、第1ヨーク30、第2ヨーク40、磁気粘性流体50、コイル60および短絡磁路防止部材80を備えている。
【0019】
回転部5は、回転軸10および回転板20を備えている。回転部5は、第1ヨーク30および第2ヨーク40に対して回転軸10の軸線N回りに回転可能に設けられている。
【0020】
回転軸10は、第1ヨーク30に形成された軸孔31hに軸受130を介して軸線N回りに回転自在に支持されている。回転軸10は、軸受130の内径側に嵌入する中径部12と、中径部12の下側に接続される小径部11と、小径部11の下側に接続される大径部13と、を有する。小径部11には、軸受130より下方に位置し径方向に拡がる第1拡径突部14が設けられている。第1拡径突部14より下方の位置であって小径部11の軸線N方向の中間位置には、径方向に拡がる第2拡径突部15が設けられている。回転軸10の材質は非磁性体であることが望ましい。なお、軸受130は、転がり軸受であってもよいし、滑り軸受であってもよい。
【0021】
回転板20は、本実施形態では、円板状のディスクである。回転板20は、軸線N回りに回転する回転軸10の大径部13の下側端面に固定されており、回転軸10と一体に回転する。回転板20は、上側に位置する第1主面21と、下側に位置する第2主面22を有する。回転板20は磁性体で構成されていることが望ましい。
【0022】
第1ヨーク30および第2ヨーク40は、本実施形態では、矢印付き破線Pで示されコイル60の回りに形成される磁路を通す1つのヨークとして機能するとともに、磁気粘性流体装置1のケーシングとしても機能する。第1ヨーク30および第2ヨーク40は、ボルトB1で互いに締結されている。第1ヨーク30および第2ヨーク40は、それぞれ磁性体を用いて構成されている。第1ヨーク30および第2ヨーク40内には、コイル60を収容する空間と、軸受130および回転軸10を収容する空間と、回転板20を回転自在に収容するとともに磁気粘性流体50を収容する空間と、が形成されている。第1ヨーク30および第2ヨーク40と、回転部5の回転板20とは、磁気粘性流体50を介して、互いにトルクを伝達する。
【0023】
第1ヨーク30は、図1および図2に示すように、回転板20の上方に配置されており、コイル60を収容する環状の凹部30dを有する。凹部30dは径方向外方に開口している。第1ヨーク30に形成された軸孔31hには、回転軸10が挿通されている。第1ヨーク30は、回転板20の第1主面21に第1隙間S1を介して対向する第1対向面34を有する。なお、本実施形態では、第1ヨーク30は、軸線Nを中心とする略円環状に形成されている。
【0024】
第1ヨーク30は、軸線N方向に延びた第1ヨーク基部31と、第1ヨーク基部31の上側部分(軸線方向の一方部)から径方向外方に延出する第1ヨーク第1延出部32と、第1ヨーク基部31の下側部分(軸線方向の他方部)から径方向外方に延出する第1ヨーク第2延出部33と、を有する。
【0025】
第1ヨーク30は、第1ヨーク基部31と第1ヨーク第1延出部32と第1ヨーク第2延出部33とによって上記凹部30dを形成している。以下、凹部30dの内側の空間を「コイル収容空間」と称する。
【0026】
第1ヨーク基部31は、略筒状の形状を有しており、径方向の内側の空間に軸受130および回転軸10を収容する。第1ヨーク基部31の内側には、軸線Nが通過している。第1ヨーク基部31の内周面のうちの下側部分の径は、回転軸10の大径部13の径より若干大きい大きさに設定されている。第1ヨーク基部31の内周面のうちの上側部分の径は、下側部分の径より大きく形成されている。第1ヨーク基部31の内周面の上側部分に、軸受130が嵌入している。
【0027】
第1ヨーク基部31の下面は、回転板20の第1主面21に第1隙間S1を介して対向する第1対向面34の一部をなしている。
【0028】
第1ヨーク基部31と回転軸10の小径部11との間には、軸シール部材90が設けられている。軸シール部材90は、後述する磁気粘性流体50が上方に漏出しないように、第1ヨーク基部31と回転軸10との間をシールする。軸シール部材90には、例えば、Oリング又はYパッキンが用いられる。軸シール部材90は、上下に2つ配置されており、上側の軸シール部材90は、回転軸10の第1拡径突部14と第2拡径突部15との間に配置されている。下側の軸シール部材90は、回転軸10の第2拡径突部15と大径部13との間に配置されている。
【0029】
第1ヨーク基部31は、径方向の外側の面である周面31cを有する。周面31cの周囲には、軸線Nを周回する形状を有するコイル60が配置されている。周面31cには、コイル用導線が巻き付いている。周面31cの径方向の中心は、軸線Nと一致している。
【0030】
周面31cには、第1ヨーク基部31にコイル60を流れる電流が漏電することを防止するための絶縁被膜icが形成されていることが望ましい。すなわち、第1ヨーク30は、コイル用導線が巻き付けられた部分に絶縁被膜が形成されていることが望ましい。絶縁被膜icは、例えば、エポキシ樹脂またはシリコン樹脂を用いて構成される。
【0031】
第1ヨーク第1延出部32は、下方に位置する回転板20との間にコイル60が介在するように、第1ヨーク基部31から径方向外方に延出している。本実施形態では、第1ヨーク第1延出部32は、第1ヨーク基部31の上側部分に対してフランジ状に拡がっている。本実施形態では、後述する短絡磁路防止部材80を設けるため、第1ヨーク第1延出部32の外径は、コイル60の外径および回転板20の外径よりも大きくなっている。
【0032】
第1ヨーク第2延出部33は、第1ヨーク基部31から、回転板20とコイル60との間で、径方向外方に延出している。本実施形態では、第1ヨーク第2延出部33は、第1ヨーク基部31の下側部分に対してフランジ状に拡がっている。本実施形態では、後述する短絡磁路防止部材80を設けるため、第1ヨーク第2延出部33の外径は、回転板20の外径よりも大きく、かつ、第1ヨーク第1延出部32の外径よりも小さくなっている。
【0033】
第1ヨーク第2延出部33の下面は、第1ヨーク基部31の下面とともに、回転板20の第1主面21に第1隙間S1を介して対向する第1対向面34をなしている。
【0034】
第1ヨーク基部31と第1ヨーク第1延出部32は、分割面を介在することなく一体に形成されている。同様に、第1ヨーク基部31と第1ヨーク第2延出部33も、分割面を介在することなく一体に形成されている。すなわち、第1ヨーク30は、分割面を有しない1つの部材からなる。これにより、第1ヨーク30内では、分割面による磁気抵抗が生じず、第1ヨーク30を通過する磁路が効率的に形成される。
【0035】
第2ヨーク40は、図1および図3に示すように、第1ヨークとの間に回転板20が介在するように設けられ、その一部が上方に延びて第1ヨーク30のコイル収容空間(凹部30d)の開口を覆う。第2ヨーク40は、回転板20の第2主面22に第2隙間S2を介して対向する第2対向面44を有する。
【0036】
第2ヨーク40は、軸線Nを中心として軸線Nと直交する方向に拡がる円板状の第2ヨーク基部41と、第2ヨーク基部41の径方向外側部分から軸線N方向のコイル側(上方)に延出する第2ヨーク延出部42と、を有する。第2ヨーク40は、第2ヨーク基部41を底部とし、第2ヨーク延出部42を筒壁とする有底円筒状の形状を有している。第2ヨーク基部41の径は、第1ヨーク第1延出部32の外径よりも大きい大きさに設定されている。
【0037】
第2ヨーク基部41の中心部分には、穴41hが形成されている。穴41hには、ピストン110が軸線N方向の所定範囲内で移動可能に嵌入されている。ピストン110は、磁気粘性流体50の収容空間の圧力に応じて移動することで、磁気粘性流体50の収容空間の圧力変動を抑制する。これにより、内圧の大幅な上昇により、回転軸10と軸孔31hとのシール部分から磁気粘性流体50が漏出することが防止される。なお、穴41hから磁気粘性流体が漏出することを防止するために、ピストン110には、Oリング120が装着されている。
【0038】
第2ヨーク延出部42は、第2ヨーク基部41の外周部から軸線N方向に延出しつつ、回転板20の径方向の外側およびコイル60の外側を通って、第1ヨーク第1延出部32の外側にまで延びている。第2ヨーク延出部42は、軸線Nを中心とする円筒形状を有しており、第1ヨーク基部31およびコイル60と同心円状に並んでいる。第2ヨーク延出部42の上側端部と第1ヨーク第1延出部32とは、互いにボルトB1によって締結されている。
【0039】
また、第2ヨーク延出部42の上側端部の内周面と、第1ヨーク第1延出部32の外周面とは、互いに磁束が受け渡しされるように互いに近接又は接触した磁束受渡部70を形成している。
【0040】
第2ヨーク基部41と第2ヨーク延出部42は、分割面を介在することなく一体に形成されている。すなわち、第2ヨーク40は、分割面を有しない1つの部材からなる。これにより、第2ヨーク40内では、分割面による磁気抵抗が生じず、第2ヨーク40を通過する磁路が効率的に形成される。
【0041】
磁気粘性流体50は、第1ヨーク30および第2ヨーク40内における磁気粘性流体50の収容空間に収容されている。磁気粘性流体50の収容空間は、第1ヨーク30の第1対向面34と第2ヨーク40の第2対向面44との間に形成される空間であり、図1では、灰色に塗り潰した領域である。この磁気粘性流体50は、回転板20と第1ヨーク30との第1隙間S1と、回転板20と第2ヨーク40との第2隙間S2とに介在し、これらの間で粘度に応じたトルク伝達を行う。なお、磁気粘性流体50の収容空間内における回転板20の軸線N方向の位置決めのために、別の言い方をすると、第2隙間S2の隙間寸法を規定するために、回転板20の第2主面22と、第2ヨーク40の第2対向面44との間に隙間規定用板材100が配置されている。隙間規定用板材100は、円孔を有する板材からなり、その円孔に回転軸10の一部が相対回転自在に挿通されている。なお、隙間規定用板材100の外周形状は、特に限定されず、円形であっても多角形であってもよい。
【0042】
なお、磁気粘性流体50は、磁性粒子を分散媒に分散させてなる液体であり、特にその磁性粒子がナノサイズの金属粒子(金属ナノ粒子)からなるものが使用できる。磁性粒子は磁化可能な金属材料からなり、金属材料に特に制限はないが軟磁性材料が好ましい。軟磁性材料としては、例えば鉄、コバルト、ニッケル及びパーマロイ等の合金が挙げられる。分散媒は、特に限定されるものではないが、一例として疎水性のシリコーンオイルを挙げることができる。磁気粘性流体における磁性粒子の配合量は、例えば3~40vol%とすればよい。磁気粘性流体にはまた、所望の各種特性を得るために、各種の添加剤を添加することも可能である。
【0043】
コイル60は、通電時に、第1ヨーク30内に磁束を形成するように第1ヨーク30の周囲に設けられている。本実施形態では、コイル60は、ボビン等の部材を介することなく、第1ヨーク基部31の周面31cにコイル用導線を直接巻き付けることにより形成されている。コイル60には、図示しない電源線を介して外部の電流供給装置から電流が供給される。上記電流供給装置は、コイル60に供給する電流値を制御することができる。コイル60に電流が流れると、図1の矢印付き破線Pが示す方向に沿って、第1ヨーク30、第1隙間S1に介在する磁気粘性流体50、回転板20、第2隙間S2に介在する磁気粘性流体50、第2ヨーク40および磁束受渡部70を通過する磁路が形成される。そして、第1隙間S1および第2隙間S2に介在する磁気粘性流体50にコイル60に印加される電流値に応じた磁場が印加される。
【0044】
第1隙間S1および第2隙間S2に介在する磁気粘性流体50に磁場が印加されると、磁気粘性流体50に磁場の強さに応じた粘度(ずり応力)が発現する。これにより、回転部5と第1ヨーク30および第2ヨーク40との間で、コイル60に印加される電流値の大きさに応じたトルク伝達がなされる。
【0045】
短絡磁路防止部材80は、図1の矢印付き破線Pが示すように、第1ヨーク30から、第1隙間S1に介在する磁気粘性流体50および第2隙間S2に介在する磁気粘性流体50を回転板20の板厚方向に貫通して第2ヨーク基部41へ向かうべき磁路が、例えば図4の矢印付き破線R1,R2,R3が示すように、第1隙間S1および第2隙間S2を貫通することなく、あるいは、第2隙間S2のみを貫通することなく、第2ヨーク延出部42へ短絡することを防止する。
【0046】
短絡磁路防止部材80は、非磁性体からなり、磁気粘性流体50よりも透磁率が低い。短絡磁路防止部材80として、例えば、SUS304,SUS316等のオーステナイト系ステンレスのほか、銅、アルミニウム、チタン、樹脂、真鍮、セラミック、ガラス等が例示される。オーステナイト系ステンレスの透磁率は、1.260×10-6~8.8×10-6[N/A]であり、オーステナイト系ステンレスの真空に対する比透磁率は、1.0026~7である。アルミニウムの透磁率は、1.256665×10-6[N/A]であり、アルミニウムの真空に対する比透磁率は、1.000022である。樹脂の透磁率は、1.2567×10-6[N/A]であり、樹脂の真空に対する比透磁率は、1.00005である。
【0047】
短絡磁路防止部材80は、軸線Nを中心とする円筒形状を有しており、第1ヨーク基部31、コイル60および第2ヨーク延出部42と同心円状に並んでいる。短絡磁路防止部材80の外径は、第2ヨーク延出部42の内周面42iの径と略等しい大きさに設定されている。短絡磁路防止部材80の内径は、第1ヨーク第2延出部33の外径と略等しい大きさに設定されている。短絡磁路防止部材80の軸線N方向の長さは、第2ヨーク基部41の上面(第2対向面44)から第1ヨーク第1延出部32の下面までの長さと等しい長さに設定されている。
【0048】
短絡磁路防止部材80は、第2ヨーク延出部42の内周面42iと第1ヨーク第2延出部33の外周部との間に介在している。短絡磁路防止部材80は、第2ヨーク延出部42の内周面42iとコイル60との間にも介在している。短絡磁路防止部材80は、第2ヨーク延出部42の内周面42iと回転板20の外周部との間にも介在している。
【0049】
さらに、短絡磁路防止部材80は、第1ヨーク第1延出部32と第2ヨーク基部41との間に軸線N方向に隙間なく挟まれている。これにより、第1ヨーク30は、第2ヨーク40に対して軸線N方向に位置決めされる。このように位置決めされることにより、第2ヨーク40の第2対向面44と第1ヨーク30の第1対向面34との隙間寸法が規定される。
【0050】
(作用効果)
以上に説明した本実施形態に係る磁気粘性流体装置1によれば、第1ヨーク30を構成する第1ヨーク基部31と第1ヨーク第1延出部32は分割面を介在することなく一体に形成されているので、第1ヨーク30における磁気抵抗が小さくなり、磁路を効率的に形成することができる。
【0051】
さらに、磁気粘性流体装置1によれば、第1ヨーク30を構成する第1ヨーク基部31と第1ヨーク第2延出部33は分割面を介在することなく一体に形成されているので、第1ヨーク30における磁気抵抗が小さくなり、磁路を効率的に形成することができる。
【0052】
さらに、磁気粘性流体装置1によれば、第2ヨーク40を構成する第2ヨーク基部41と第2ヨーク延出部42は分割面を介在することなく一体に形成されているので、第2ヨーク40における磁気抵抗が小さくなり、磁路を効率的に形成することができる。
【0053】
さらに、磁気粘性流体装置1によれば、回転板20とコイル60との間に第1ヨーク第2延出部33が介在しているので、コイル60が磁気粘性流体50に触れることがなく、磁気粘性流体50の流れにともない、磁気粘性流体50に含まれる磁性粒子によってコイル60が摩耗するおそれがない。
【0054】
さらに、磁気粘性流体装置1によれば、回転板20の外周部と第2ヨーク延出部42の内周面42iとの間に非磁性体からなる短絡磁路防止部材80が介在するので、図4に示すような回転板20の外周部と第2ヨーク延出部42の内周面42iとの間で短絡する磁路R2が形成されることが防止され、第2隙間S2に介在する磁気粘性流体50に磁場を効率的に印加することができる。
【0055】
さらに、磁気粘性流体装置1によれば、第1ヨーク第2延出部33の外周部と第2ヨーク延出部42の内周面42iとの間に非磁性体からなる短絡磁路防止部材80が介在するので、図4に示すような第1ヨーク第2延出部33の外周部と第2ヨーク延出部42の内周面42iとの間で短絡する磁路R1が形成されることが防止され、第1隙間S1および第2隙間S2に介在する磁気粘性流体50に磁場を効率的に印加することができる。
【0056】
さらに、磁気粘性流体装置1によれば、回転板20の外周部と第2ヨーク延出部42の内周面42iとの間に介在する短絡磁路防止部材80の下端部が第2ヨーク基部41に当接しているので、図4に示すような回転板20から第2ヨーク延出部42の内周面42iに短絡する磁路R2のみならず、第2隙間S2に介在する磁気粘性流体50から第2ヨーク延出部42の内周面42iに短絡する磁路R3が形成されることが防止され、第2隙間S2に介在する磁気粘性流体50に磁場を効率的に印加することができる。
【0057】
さらに、磁気粘性流体装置1によれば、第1ヨーク第1延出部32と第2ヨーク基部41との間に短絡磁路防止部材80が軸線N方向に隙間なく挟まれていることにより、第1対向面34と第2対向面44との隙間寸法が規定されるので、第1隙間S1と第2隙間S2の合計寸法を高い精度で設計値に合わせることができる。
【0058】
次に、上記の第1実施形態に係る磁気粘性流体装置1の一部が異なる構成となっている第2実施形態~第7実施形態を説明する。第2実施形態以降の各実施形態については、上記の第1実施形態に係る磁気粘性流体装置1との相違点のみを説明し、磁気粘性流体装置1における各部材と同じ機能を果たす同じ部材については同じ符号を付して説明を省略する。
【0059】
<第2実施形態>
上記の第1実施形態に係る磁気粘性流体装置1では、第1ヨーク第1延出部32の外周面に第2ヨーク延出部42の先端部の内周面が重なった状態で、第1ヨーク第1延出部32と第2ヨーク延出部42が互いにボルト締結されており、磁束受渡部70が軸線N方向に対して平行に形成されていたが、第1ヨーク第1延出部32と第2ヨーク延出部42との締結方向はこれに限定されない。例えば、図5に示す第2実施形態に係る磁気粘性流体装置1Aのように構成してもよい。磁気粘性流体装置1Aでは、第1ヨーク30Aの第1ヨーク第1延出部32Aが第1実施形態の第1ヨーク第1延出部32よりも長く径方向に延出しており、第2ヨーク40Aの第2ヨーク延出部42Aの上端面が第1ヨーク第1延出部32Aの下面と重なっている。第1ヨーク第1延出部32Aと第2ヨーク延出部42Aとは軸線N方向に沿ったボルトB1によって締結されている。第2実施形態に係る磁気粘性流体装置1Aでは、磁路受渡部70Aは、径方向に対して平行に形成されている。
【0060】
<第3実施形態>
上記の第1実施形態に係る磁気粘性流体装置1では、コイル60と回転板20との間には、第1ヨーク第2延出部33が介在していたが、図6に示す第3実施形態に係る磁気粘性流体装置1Bのように構成してもよい。磁気粘性流体装置1Bでは、第1ヨーク30Bが第1ヨーク第2延出部33を有しておらず、第1ヨーク第2延出部33の位置に短絡磁路防止部材80Bが介在している。短絡磁路防止部材80Bは、基部81Bと、延出部82Bと、を有している。基部81Bは、第1実施形態に係る短絡磁路防止部材80と同一の形状を有している。延出部82Bは、コイル60と回転板20との間に介在し、基部81Bから第1ヨーク基部31まで径方向の内方に向かって延出している。延出部82Bの下面は、第1ヨーク基部31の第1対向面34と同一平面上に並んでおり、回転板20の第1主面21との間に第1隙間S1を形成している。
【0061】
第3実施形態に係る磁気粘性流体装置1Bによれば、コイル60が磁気粘性流体50に触れることを防止することができるとともに、第1ヨーク基部31から第2ヨーク延出部42に磁路が径方向に短絡することを防止することができる。
【0062】
<第4実施形態>
図7に示す第4実施形態に係る磁気粘性流体装置1Cのように、第1ヨーク30Cが第1ヨーク第2延出部33を有しておらず、コイル60Cが第1ヨーク基部31の下面(第1対向面34)と同じ軸線N方向の位置まで下方に設けられていてもよい。第4実施形態に係る磁気粘性流体装置1Cによれば、磁気粘性流体装置1と比べてコイル60Cの巻き数を多くすることができる。
【0063】
<第5実施形態>
上記の第1実施形態に係る磁気粘性流体装置1では、コイル60と第2ヨーク延出部42との間には短絡磁路防止部材80が介在していたが、図8に示す第5実施形態に係る磁気粘性流体装置1Dのように構成してもよい。第5実施形態に係る磁気粘性流体装置1Dではコイル60と第2ヨーク延出部42との間に短絡磁路防止部材80が介在しておらず、コイル60Dが第2ヨーク延出部42まで径方向に拡大している。第5実施形態に係る磁気粘性流体装置1Dによれば、コイル60Dの巻き数を多くすることができる。なお、第5実施形態に係る磁気粘性流体装置1Dは、第1実施形態で説明した短絡磁路防止部材80とは異なる短絡磁路防止部材80Dを有している。第5実施形態における短絡磁路防止部材80Dは、軸線N方向においてコイル60Dと第2ヨーク基部41との間に介在し、径方向において第1ヨーク第2延出部33および回転板20と第2ヨーク延出部42との間に介在している。短絡磁路防止部材80Dは、例えば1つの円筒状の部材からなる。
【0064】
<第6実施形態>
上記の第1実施形態に係る磁気粘性流体装置1では、第1ヨーク30は分割面を介在することなく一体に形成されているが、第1ヨーク30は複数の部材からなるものであってもよい。例えば、図9に示す第6実施形態に係る磁気粘性流体装置1Fでは、第1ヨーク30Fは第1実施形態に係る第1ヨーク30に等しい形状を有するものの、第1ヨーク基部31と第1ヨーク第1延出部32と第1ヨーク第2延出部33とが別部材により構成されている。具体的には、第1ヨーク30Fは、第1ヨーク基部31、第1ヨーク第1延出部32および第1ヨーク第2延出部33の部分にそれぞれ対応する部材として第1筒31F、第1上側円環板32Fおよび第1下側円環板33Fを有する。第1上側円環板32Fおよび第1下側円環板33Fは、第1筒31Fに対して図示しないボルト等により締結されている。
【0065】
<第7実施形態>
同様に、上記の第1実施形態に係る磁気粘性流体装置1では、第2ヨーク40は分割面を介在することなく一体に形成されているが、第2ヨーク40は複数の部材からなるものであってもよい。例えば、図10に示す第7実施形態に係る磁気粘性流体装置1Gでは、第2ヨーク40Gは第1実施形態に係る第2ヨーク40に等しい形状を有するものの、第2ヨーク基部41と第2ヨーク延出部42とが別部材により構成されている。具体的には、第2ヨーク40Gは、第2ヨーク基部41および第2ヨーク延出部42の部分にそれぞれ対応する部材として第2下側円板41Gおよび第2筒42Gを有する。第2下側円板41Gおよび第2筒42Gは、ボルトB2で互いに締結されている。
【0066】
<他の実施形態>
上記の第1実施形態~第7実施形態に係る磁気粘性流体装置1~1Fでは、回転軸10が回転板20に対して第1ヨーク30側(上方)に大きく突出するように設けられていたが、回転軸10が第2ヨーク基部41側(下方)に大きく突出するように設けられていてもよいし、回転軸10が第1ヨーク30および第2ヨーク40を軸線N方向に貫通するように設けられていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明は、例えば、相対回転可能に設けられた部材間に磁気粘性流体を介在させ、磁気粘性流体に付与する磁場の強さを変えることにより、上記部材間で伝達されるトルクを変えることができる磁気粘性流体装置に適用することができる。
【符号の説明】
【0068】
1、1A、1B、1C、1D、1F、1G 磁気粘性流体装置
10 回転軸
20 回転板
21 第1主面
22 第2主面
30、30A、30B、30C、30F 第1ヨーク
31、31F 第1ヨーク基部
31c 第1ヨーク基部の周面
32、32A、32F 第1ヨーク第1延出部
33、33F 第1ヨーク第2延出部
34 第1対向面
40、40A、40G 第2ヨーク
41 第2ヨーク基部
42、42A 第2ヨーク延出部
42i 第2ヨーク延出部の内周面
44 第2対向面
50 磁気粘性流体
60、60C、60D コイル
70、70A 磁束受渡部
80、80B、80D 短絡磁路防止部材
S1 第1隙間
S2 第2隙間
N 軸線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11