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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023061183
(43)【公開日】2023-05-01
(54)【発明の名称】目地カバー装置
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/68 20060101AFI20230424BHJP
【FI】
E04B1/68 100A
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021171018
(22)【出願日】2021-10-19
(71)【出願人】
【識別番号】000110479
【氏名又は名称】ナカ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山本 哲也
【テーマコード(参考)】
2E001
【Fターム(参考)】
2E001DA01
2E001FA24
2E001FA54
2E001FA73
2E001PA03
2E001PA11
(57)【要約】
【課題】目地カバー装置において、目地の交差部で隣り合うカバー同士を無理に拘束することなく、カバーが動いた後に該カバー間の間隙が広がったままになることを抑制する。
【解決手段】目地カバー装置10は、一方の建造物12から一方の建造物12の周りを囲む他方の建造物14側に目地16を挟んで差し出されて目地16を覆い、目地16同士が交わる交差部17においてその対角方向に沿って互いに隣り合うカバー26A1,26A2と、隣り合う一方のカバー26A1に設けられると共に、他方のカバー26A2における一方のカバー26A1側と反対側に側方から近接対向して配置され、隣り合うカバー26A1,26A2が上下方向に相対変位することを許容し、隣り合うカバー26A1,26A2が横方向に互いに離れることを抑制するストッパ20と、を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の建造物から前記一方の建造物の周りを囲む他方の建造物側に目地を挟んで差し出されて前記目地を覆い、前記目地同士が交わる交差部においてその対角方向に沿って互いに隣り合うカバーと、
隣り合う一方の前記カバーに設けられると共に、他方の前記カバーにおける一方の前記カバー側と反対側に側方から近接対向して配置され、隣り合う前記カバーが上下方向に相対変位することを許容し、隣り合う前記カバーが横方向に互いに離れることを抑制するストッパと、
を有する目地カバー装置。
【請求項2】
前記ストッパは、前記カバーのうち、前記交差部の対角方向の外側に位置する角部に設けられている、請求項1に記載の目地カバー装置。
【請求項3】
前記ストッパは、一方の前記カバーのうち前記他方の建造物に対向する部位に設けられる基部と、他方の前記カバーのうち前記他方の建造物に対向する部位に近接対向して配置される張出し部と、を有する、請求項1又は請求項2に記載の目地カバー装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、目地カバー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、隣接する建造物間の目地に差し渡されて該目地を覆う複数のカバー体を有する目地カバー装置が開示されている。カバー体としては、目地の交差部(コーナー部)を覆うカバー体C1’,C2’と、交差部以外に配設されるカバー体C1,C2が設けられている。カバー体C1’,C2’は、交差部の対角線に沿って左右一対に分割形成されており、カバー体C1,C2と対向する側縁が該カバー体C1,C2に対してヒンジ結合を介してそれぞれ連結されている。地震時に建造物が互いに接近する方向に相対変位した際に、目地の交差部において、端部のカバー体C1’,C2’の他側縁が、直交する位置関係にある傾斜受面に沿ってずれ上り、端部のカバー体C1’,C2’がヒンジ結合部を支点として傾動することで、その相対変位から逃げることができるとされている。
【0003】
特許文献2には、床用目地装置において、目地プレートと角部目地プレートとをスプリングを介して接続する目地プレート接続具を設けた構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3942742号公報
【特許文献2】特許第4842902号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、特許文献1において、目地の交差部で分割されたカバー(カバー体C1’,C2’)が例えば目地の内側の建物側に支持され、傾斜受面が目地の外側の地盤側に設けられている場合を考える。分割部分の初期状態での間隙は略一定でかつ小さいが、地震時にカバーが目地の交差部の対角線方向に動き、カバーが傾斜受面にずれ上がって戻ったときに、カバーが別々に上下に動くことから、分割部分でのカバーの間隙が広がったままになることがある。カバーは目地より内側の建物側に支持されているため、この間隙は目地の内側から外側に向かって広くなり、目立ち易い。
【0006】
この間隙の発生を抑制するため、分割されたカバーを互いに拘束したのでは、各々のカバーの上下の動きが抑え込まれるため無理が生じ、カバーに変形等が生じたり、カバー体C1,C2とカバー体C1’,C2’を結合するヒンジが壊れるおそれがある。
【0007】
特許文献2では、スプリングを用いた目地プレート接続具によりカバーを連結している。しかしながら、カバーの相対変位が許容されるのは目地の方向であり、カバーの上下方向の相対変位は許容されないため、この目地プレート接続具を目地の交差部の対角方向でのカバーの分割部分に適用することはできない。
【0008】
本発明は、目地カバー装置において、目地の交差部で隣り合うカバー同士を無理に拘束することなく、カバーが動いた後に該カバー間の間隙が広がったままになることを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の態様に係る目地カバー装置は、一方の建造物から前記一方の建造物の周りを囲む他方の建造物側に目地を挟んで差し出されて前記目地を覆い、前記目地同士が交わる交差部においてその対角方向に沿って互いに隣り合うカバーと、隣り合う一方の前記カバーに設けられると共に、他方の前記カバーにおける一方の前記カバー側と反対側に側方から近接対向して配置され、隣り合う前記カバーが上下方向に相対変位することを許容し、隣り合う前記カバーが横方向に互いに離れることを抑制するストッパと、を有する。
【0010】
この目地カバー装置では、目地同士が交わる交差部においてその対角方向に沿って互いに隣り合うカバーにストッパが設けられている。ストッパは、隣り合う一方のカバーに設けられると共に、他方のカバーにおける一方のカバー側と反対側に側方から近接対向して配置されている。また、隣り合うカバーが上下方向に相対変位することは許容され、隣り合うカバーが横方向に互いに離れることは抑制される。つまり、カバーの上下方向の相対変位は許容され、水平方向の相対変位は抑制される。このため、目地の交差部で隣り合うカバー同士を無理に拘束することなく、該カバーが動いた後に該カバー間の間隙が広がったままになることを抑制できる。
【0011】
第2の態様は、第1の態様に係る目地カバー装置において、前記ストッパが、前記カバーのうち、前記交差部の対角方向の外側に位置する角部に設けられている。
【0012】
この目地カバー装置では、ストッパが、カバーのうち、交差部の対角方向の外側に位置する角部に設けられているので、該角部でカバーが横方向に離れることを効果的に抑制することができる。
【0013】
第3の態様は、第1の態様又は第2の態様に係る目地カバー装置において、前記ストッパが、一方の前記カバーのうち前記他方の建造物に対向する部位に設けられる基部と、他方の前記カバーのうち前記他方の建造物に対向する部位に近接対向して配置される張出し部と、を有する。
【0014】
この目地カバー装置では、ストッパが、基部と張出し部とを有している。基部は、一方のカバーのうち他方の建造物に対向する部位に設けられる。張出し部は、他方のカバーのうち他方の建造物に対向する部位に近接対向して配置される。このように、簡易かつ低コストな構成とすることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、目地カバー装置において、目地の交差部で隣り合うカバー同士を無理に拘束することなく、カバーが動いた後に該カバー間の間隙が広がったままになることを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】(A)は、本実施形態に係る目地カバー装置を示す平面図である。(B)は、(A)における1B部拡大図である。
図2】(A)は、本実施形態に係る目地カバー装置を示す断面図である。(B)は、(A)における2B部拡大図である。
図3】本実施形態に係る目地カバー装置を示す拡大斜視図である。
図4】目地の対角線方向の外側から見て、紙面右側のカバーが紙面左側のカバーより上にずれた状態を示す正面図である。
図5】目地の対角線方向の外側から見て、紙面右側のカバーと紙面左側のカバーが上下に揃った状態を示す正面図である。
図6】目地の対角線方向の外側から見て、紙面左側のカバーが紙面右側のカバーより下にずれた状態を示す正面図である。
図7】カバーと一方の建造物を連結する連結手段の構成を示す図である。
図8】変形例に係る目地カバー装置において、目地の対角線方向の外側から見て、紙面右側のカバーの高さと紙面左側のカバーの高さが揃った状態を示す斜視図である。
図9】変形例に係る目地カバー装置において、目地の対角線方向の外側から見て、紙面右側のカバーの高さが紙面左側のカバーの高さより上にずれると共に、ストッパ20が上方に移動した状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を実施するための形態を図面に基づき説明する。各図面において同一の符号を用いて示される構成要素は、同一又は同様の構成要素であることを意味する。なお、以下に説明する実施形態において重複する説明及び符号については、省略する場合がある。また、以下の説明において用いられる図面は、いずれも模式的なものであり、図面に示される、各要素の寸法の関係、各要素の比率等は、現実のものとは必ずしも一致していない。また、複数の図面の相互間においても、各要素の寸法の関係、各要素の比率等は必ずしも一致していない。
【0018】
図1図2において、本実施形態に係る目地カバー装置10は、互いに隣接する一方の建造物12と他方の建造物14の間の目地16に設けられている。一方の建造物12は、例えば図示しない免震装置によって下部が支持された免震構造の建物である。目地16は、一方の建造物12の周囲に沿って所定幅で形成され、地震時における一方の建造物12とその周囲の建造物(他方の建造物14)との水平方向の相対的な揺れを吸収し得るようになっている。図1から図3において、目地カバー装置10は、カバー26と、ストッパ20とを有している。
【0019】
カバー26は、一方の建造物12から一方の建造物12の周りを囲む他方の建造物14側に目地16を挟んで差し出されて目地16を覆い、目地16同士が交わる交差部17においてその対角方向(線Xの方向)に沿って互いに隣り合っている。カバー26は、水平受縁18の深さに一致する所定の厚みを備えた平板状に形成されており、その基端が一方の建造物12の側縁に連結手段38を介してそれぞれ揺動可能に連結されている。目地16のうち交差部17には台形状のカバー26A1,26A2が配置され、交差部17以外には矩形のカバー26Bが配置されている。カバー26A1,26A2の基端側の一部に設けられた開口部は、蓋28で塞がれている。
【0020】
図7において、連結手段38は、例えば一方の建造物12側に設けられるスイングレール40と、カバー26に設けられるスイングボルト42とを有して構成されている。スイングレール40のカバー26側の面はカバー26側に凸に湾曲している。またスイングレール40には、上下方向に延びる長穴が形成されている。スイングボルト42は、長穴の範囲で上下に移動可能であり、これによってカバー26が揺動可能となっている。
【0021】
図2に示されるように、他方の建造物14の側縁には、水平受縁18と、該水平受縁18の外端から上方傾斜する傾斜受縁22とを備えた摺動受枠体24が配設されている。図2図3に示されるように、カバー26の先端側の自由端26Fには、例えば端面プレート34が設けられている。この端面プレート34には、端部遮蔽板30がカバー26の自由端26Fから略水平方向に突出して設けられている。端部遮蔽板30は、端面プレート34に設けられた支点(図示せず)を中心に上下方向に若干揺動可能とされている。また、端面プレート34には、端部遮蔽板30の下方への揺動を制限する遮蔽板受け36が設けられている。
【0022】
図1に示される通常時において、カバー26は、一方の建造物12から他方の建造物14側に差し出されて目地16を覆っており、図2に示されるように、自由端26Fが摺動受枠体24の水平受縁18上に摺動可能に載っている。また、自由端26Fと、摺動受枠体24の傾斜受縁22間に生じる作動空隙32の上方が、端部遮蔽板30によって遮蔽されている。
【0023】
図1(B)、図3において、ストッパ20は、目地16同士が交わる交差部17においてその対角方向(線X方向)に沿って互いに隣り合う一方のカバー26A1に設けられると共に、他方のカバー26A2における一方のカバー26A1側と反対側に側方から近接対向して配置されている。このストッパ20は、隣り合うカバー26A1,26A2が上下方向に相対変位することを許容し、隣り合うカバー26A1,26A2が横方向に互いに離れることを抑制する部材である。
【0024】
具体的には、図3に示されるように、ストッパ20は、カバー26A1,26A2のうち、交差部17の対角方向(線X方向)の外側に位置する角部に設けられている。また、ストッパ20は、一方のカバー26A1のうち他方の建造物14に対向する部位に設けられる基部20Aと、他方のカバー26B1のうち他方の建造物14に対向する部位に近接対向して配置される張出し部20Bと、を有している。基部20A及び張出し部20Bはそれぞれ平板状に形成されており、平面視で互いに略直角に交わっている。これにより、ストッパ20は、平面視で略L字形に形成されている。一例として、基部20Aは、自由端26Fにおける上下方向の中央部に溶接により固定されている。張出し部20Bは、カバー26A2における自由端26Fの外側に重なるように延び、該自由端26Fに近接対向している。
【0025】
なお、基部20Aと張出し部20Bは、一体的に構成されていてもよく、また別部品を組み立てたものであってもよい。また、基部20Aは、必ずしも自由端26Fに固定される必要はなく、例えば上下に位置調整可能とされていてもよい。その場合でも、隣り合うカバー26A1,26A2が横方向に互いに離れることを抑制できるようにするため、基部20Aが自由端26Fに対して横方向に動かないことが望ましい。また、基部20Aが自由端26Fに対して横方向に動くことが可能な状態と動くことが不可能な状態とを切り替え可能としてもよい。装置の施工時やメンテンナンス時等に、基部20Aが動く状態で張出し部20Bとカバー26A2の自由端26Fとの位置関係を調整し、使用時に基部20Aを動かない状態にすることで、隣り合うカバー26A1,26A2が横方向に互いに離れることを抑制できる。
【0026】
ストッパ20の張出し部20Bはカバー26A2と結合されていないが、これに限られず、隣り合うカバー26A1,26A2が上下方向に相対変位することを許容するように、カバー26A2に対して例えば弾性的に連結されていてもよい。
【0027】
(作用)
本実施形態は、上記のように構成されており、以下その作用について説明する。図2において、通常時には、カバー26が一方の建造物12から他方の建造物14側に差し出されて目地16を覆っており、自由端26Fが摺動受枠体24の水平受縁18上に摺動可能に載っている。図1(B)に示されるように、目地16同士が交わる交差部17においてその対角方向(線X方向)に沿って互いに隣り合うカバー26A1,26A2間には、通常時でも若干の間隙Sが存在する。地震時において、一方の建造物12が他方の建造物14に対して相対的に接近した際には、カバー26は摺動受枠体24に乗り上げる。このとき、カバー26A1,26A2が連結手段28を介して上方に揺動することから、カバー26A1,26A2間の間隙Sが一時的に広がる。
【0028】
本実施形態では、隣り合うカバー26A1,26A2にストッパ20が設けられている。ストッパ20は、一方のカバー26A1に設けられると共に、他方のカバー26A2における一方のカバー26側と反対側に側方から近接対向して配置されている。具体的には、ストッパ20が、基部20Aと張出し部20Bとを有している。基部20Aは、一方のカバー26A1のうち他方の建造物14に対向する部位に設けられる。張出し部20Bは、他方のカバー26A2のうち他方の建造物14に対向する部位に近接対向して配置される。
【0029】
張出し部20Bは、カバー26A2に対して固定されていないので、カバー26A1,26A2の上下方向の相対変位は許容される。図4は、目地16の対角線方向の外側から見て、カバー26A2がカバー26A1より上にずれた状態を示している。図5は、カバー26A1,26A2が上下に揃った状態を示している。図6は、カバー26A2がカバー26A1より下にずれた状態を示している。
【0030】
一方、カバー26A1,26A2が横方向に相対移動したとき、カバー26A2の自由端26Fと張出し部20Bとが当接することで、カバー26A1,26A2が横方向に互いに離れることが抑制される。このように、本実施形態によれば、簡易かつ低コストなストッパ20の構成とすることができる。
【0031】
具体的には、地震時における一方の建造物12の移動方向が目地16の交差部17の対角方向(線X方向)と異なる場合、隣り合うカバー26A1とカバー26A2では、摺動受枠体24への乗り上げの度合いが異なる。つまり、カバー26A1,26A2の自由端26Fが上下に相対変位する。本実施形態に係るストッパ20によれば、そのような上下方向の相対変位は許容されるので、無理な拘束がない。
【0032】
一方、ストッパ20により、隣り合うカバー26A1,26A2が横方向に互いに離れることが抑制されているので、地震が収まって一方の建造物12及びカバー26A1,26A2が通常の位置に復帰した後に、カバー26A1,26A2の間隙Sが広がったままになることが抑制される。カバー26A1,26A2が摺動受枠体24に乗り上げたときに間隙Sが大きくなり過ぎると、カバー26A1,26A2が通常の位置に復帰したときに間隙Sが広がったままになることがあるが、本実施形態では、そのような現象が生じ難くなっている。特にストッパ20が、カバー26A1,26A2のうち、間隙Sが大きくなり易い交差部17の対角方向の外側に位置する角部に設けられているので、該角部でカバー26A1,26A2が横方向に離れることを効果的に抑制することができる。
【0033】
[他の実施形態]
以上、本発明の実施形態の一例について説明したが、本発明の実施形態は、上記に限定されるものでなく、上記以外にも、その主旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施可能であることは勿論である。
【0034】
ストッパ20が、カバー26のうち、交差部17の対角方向の外側に位置する角部に設けられるものとしたが、角部よりも基端(一方の建造物12側)の位置にストッパ20が設けられていてもよい。
【0035】
(変形例)
図8図9において、変形例に係る目地カバー装置10では、カバー26A1の自由端26Fにストッパ支持部材44が設けられている。ストッパ支持部材44は、例えば断面U字状に形成され、ストッパ20の基部20Aに対し下方から上方に跨って配置されている。ストッパ支持部材44には、上下方向に延びる例えば2つの長穴44Aが形成されている。長穴44Aには、外側からそれぞれボルト46が挿通されている。ボルト46はストッパ20の基部20Aに螺合しているが、ストッパ20とストッパ支持部材44は互いに固定されておらず、ストッパ20は長穴44Aの範囲で上下に移動可能に構成されている。換言すれば、ストッパ20の上下動の範囲は、長穴44Aにより規制されている。
【0036】
また、カバー26A2の自由端26Fには、ストッパ受け48が設けられている。図8に示されるように、このストッパ受け48は、カバー26A1,26A2の高さが揃い、かつストッパ20が長穴44Aによる移動範囲の下限に位置する状態において、ストッパ20の張出し部20Bの下面に当接する位置に配置されている。
【0037】
この変形例においても、張出し部20Bはカバー26A2に対して固定されていないので、カバー26A1,26A2の上下方向の相対変位は許容される。図9に示されるように、目地16の対角線方向の外側から見て、カバー26A2がカバー26A1より上にずれたときには、ストッパ受け48がストッパ20を持ち上げることで、長穴44Aによる移動範囲の上限側へ移動する。そして、カバー26A2は、ストッパ20が長穴44Aによる移動範囲の上限に至るまで、カバー26A1に対し上方にずれることができる。
【0038】
ストッパ20は、長穴44Aの範囲で上下動可能であり、ボルト46が長穴44Aの下端に至ると、それ以上ストッパ20は下方へ移動できない。したがって、図示は省略するが、カバー26A2がカバー26A1より下にずれたときには、ストッパ20はストッパ支持部材44により移動範囲の下限に保持され、ストッパ受け48は張出し部20Bから離れる。そして、カバー26A2は、例えば該カバー26A2の端部遮蔽板30がストッパ20の張出し部20Bに当接するまで、カバー26A1に対し下方にずれることができる。
【0039】
なお、上記実施形態と同様に、カバー26A1,26A2が横方向に相対移動したときは、カバー26A2の自由端26Fと張出し部20Bとが当接することで、カバー26A1,26A2が横方向に互いに離れることが抑制される。
【符号の説明】
【0040】
10…目地カバー装置、12…一方の建造物、14…他方の建造物、16…目地、17…交差部、18…水平受縁、20…ストッパ、20A…基部、20B…張出し部、22…傾斜受縁、24…摺動受枠体、26…カバー、26A1…カバー、26A2…カバー、26B…カバー、26F…自由端、28…蓋、30…端部遮蔽板、32…作動空隙、34…端面プレート、36…遮蔽板受け、38…連結手段、40…スイングレール、42…スイングボルト、44…ストッパ支持部材、44A…長穴、46…ボルト、48…ストッパ受け、S…間隙、X…線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9