(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023061232
(43)【公開日】2023-05-01
(54)【発明の名称】映像生成部および投射型映像表示装置
(51)【国際特許分類】
G03B 21/14 20060101AFI20230424BHJP
G03B 21/00 20060101ALI20230424BHJP
【FI】
G03B21/14 Z
G03B21/00 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021171091
(22)【出願日】2021-10-19
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(74)【代理人】
【識別番号】100113170
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 和久
(72)【発明者】
【氏名】寺脇 宏幸
(72)【発明者】
【氏名】近山 学
【テーマコード(参考)】
2K203
【Fターム(参考)】
2K203FA07
2K203FA25
2K203FA34
2K203FA44
2K203FA54
2K203FA62
2K203GA33
2K203GB08
2K203GB09
2K203GB23
2K203HA13
2K203HA54
2K203KA79
2K203MA18
2K203MA40
(57)【要約】 (修正有)
【課題】防塵シートの劣化、プリズム及びDMDの汚染を抑制した映像生成部を提供する。
【解決手段】映像生成部は、映像信号に基づいて光を変調して映像光を生成する、第1DMDと、第2DMDと、第3DMDと、の3つのDMDと、3つのDMDにそれぞれ光を導光する、第1プリズムと、第2プリズムと、第3プリズムと、からなる色分離合成プリズムと、第2プリズムから第2DMDへ入射する光と、第2DMDによって生成され第2プリズムに入射する映像光が通過する開口部を空けて、第2プリズム隣接する第3プリズムの一部にわたって覆うように延在して設けられている遮光板と、遮光板と面する第2プリズムの端部から第3プリズムの一部にわたって、開口部から離間して第2プリズムの端部から第3プリズムの一部の周囲を囲んで、遮光板と第2プリズム及び第3プリズムの一部との間を封止するように設けられている防塵シートと、を備える。
【選択図】
図3C
【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像信号に基づいて光を変調して映像光を生成する、第1DMDと、第2DMDと、第3DMDと、の3つのDMDと、
前記3つのDMDにそれぞれ光を導光する、映像生成部の光入射面から順に配置された第1プリズムと、第2プリズムと、第3プリズムと、からなる色分離合成プリズムと、
前記第2DMDと、前記第2DMDに光源からの光を導光する前記第2プリズムと、の間に、前記第2プリズムから前記第2DMDへ入射する前記光源からの光及び前記第2DMDによって生成され前記第2プリズムへ入射する映像光が通過する開口部を空けて、前記第2プリズムに隣接する前記第3プリズムの一部にわたって覆うように延在して設けられている遮光板と、
前記遮光板と面する前記第2プリズムの端部から前記第3プリズムの一部にわたって、前記開口部から離間して前記第2プリズムの端部から前記第3プリズムの一部の周囲を囲んで、前記遮光板と前記第2プリズム及び前記第3プリズムの一部との間を封止するように設けられている防塵シートと、
を備えた、映像生成部。
【請求項2】
前記色分離合成プリズムは、第1プリズムで緑色光を分光し、第2プリズムで赤色光を分光し、第3プリズムで青色光を分光する、請求項1に記載の映像生成部。
【請求項3】
前記色分離合成プリズムは、第1プリズムで青色光を分光し、第2プリズムで赤色光を分光し、第3プリズムで緑色光を分光する、請求項1に記載の映像生成部。
【請求項4】
光を生成する光源部と、
前記光源部からの光を導く導光光学系と、
前記導光光学系から導いた光を映像信号に基づいて変調して映像光を生成する、請求項1から3のいずれか一項に記載の映像生成部と、
前記映像光を投写する投写光学系と、
を備えた、プロジェクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像生成部に関する。特に、防塵構造を有する映像生成部に関し、該映像生成部を用いたプロジェクタに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)を用いたプロジェクタが開発され、普及し始めている。
【0003】
デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)を用いたデジタルライティングプロセッシング(DLP)プロジェクタにおいて、不要光がデジタルマイクロミラーデバイス(DMD)へ入射しないようにDMDの前面に遮光板を配置する技術が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示におけるプロジェクタは、複数のプリズムを組み合わせた色分離合成プリズムと、それぞれのプリズムに対応する複数のDMDとで構成された、映像生成部を用いて映像を生成する。この場合において、DMDとプリズムとの間に遮光板を設けるだけでなく、さらにプリズムと遮光板との間には、埃・塵の侵入を防ぐ為に防塵シートを取付ける場合がある。
【0006】
しかし、上記色分離合成プリズムを用いる場合には、複数のプリズムの中で意図しない反射や透過による不要光が発生する場合がある。この不要光が防塵シートをあぶる事で、防塵シートの劣化や、高温になった防塵シートからガスが発生し、プリズム及びDMDを汚染するという課題があった。
【0007】
そこで、本開示は、防塵シートの劣化、プリズム及びDMDの汚染を抑制した映像生成部を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示に係る映像生成部は、映像信号に基づいて光を変調して映像光を生成する、第1DMDと、第2DMDと、第3DMDと、の3つのDMDと、3つのDMDにそれぞれ光を導光する、映像生成部の光入射面から順に配置された第1プリズムと、第2プリズムと、第3プリズムと、からなる色分離合成プリズムと、第2DMDと、第2DMDに光源からの光を導光する第2プリズムと、の間に、第2プリズムから第2DMDへ入射する光と、第2DMDによって生成され第2プリズムへ入射する映像光が通過する開口部を空けて、第2プリズムに隣接する第3プリズムの一部にわたって覆うように延在して設けられている遮光板と、遮光板と面する第2プリズムの端部から第3プリズムの一部にわたって、開口部から離間して第2プリズムの端部から第3プリズムの一部の周囲を囲んで、遮光板と第2プリズム及び第3プリズムの一部との間を封止するように設けられている防塵シートと、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る映像生成部によれば、防塵シートの劣化、プリズム及びDMDの汚染を抑制でき、該映像生成部を用いることによって更なる高信頼性プロジェクタを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施の形態1に係る映像生成部を含むプロジェクタの構成を示すブロック図である。
【
図2】
図1の映像生成部を含むプロジェクタの光学系を示す概略図である。
【
図3A】実施の形態1に係る映像生成部について、光軸と各DMDへの光路とを含む面に垂直な方向からみた正面図である。
【
図3B】
図3Aの映像生成部の第2DMDの側から見た右側面図である。
【
図4A】実施の形態1に係る映像生成部から各DMDを除いた色分離合成プリズムと防塵シートと遮光板とについて、光軸と各DMDへの光路とを含む面に垂直な方向からみた正面図である。
【
図4B】
図4Aの色分離合成プリズムと防塵シートと遮光板とについて、遮光板の側からみた右側面図である。
【
図4C】
図4Aの色分離合成プリズムと防塵シートと遮光板とについての斜視図である。
【
図5A】実施の形態1に係る映像生成部から各DMD及び遮光板を除いた色分離合成プリズムと防塵シートとについて、光軸と各DMDへの光路とを含む面に垂直な方向からみた正面図である。
【
図5B】
図5Aの色分離合成プリズムと防塵シートとについて、遮光板の側からみた右側面図である。
【
図5C】
図5Aの色分離合成プリズムと防塵シートとについての斜視図である。
【
図6】実施の形態1に係る映像生成部について、光軸と各DMDからの光路とを含む面に垂直な方向からみた断面を示す斜視断面図である。
【
図7】各DMDからの光が色分離合成プリズムの内部を通る光路を示す概略図である。
【
図8A】遮光板が第2プリズムのみを覆い、防塵シートが開口部の周囲のみを囲んでいる映像生成部を示す斜視図である。
【
図8B】
図8Aから遮光板を除いた、色分離合成プリズムと防塵シートとについての斜視図である。
【
図9】各DMDからの光が色分離合成プリズムの内部を通る意図しない反射及び透過による不要光の光路を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<本開示に至る経緯>
図8Aは、遮光板が第2プリズムのみを覆い、防塵シートが開口部の周囲のみを囲んでいる映像生成部を示す斜視図である。
図8Bは、
図8Aから遮光板を除いた、色分離合成プリズムと防塵シートとについての斜視図である。
図9は、各DMDからの光が色分離合成プリズムの内部を通る意図しない反射及び透過による不要光の光路を示す概略図である。
複数のプリズムを組み合わせた色分離合成プリズムについて、通常、
図8Aに示すように、遮光板54は、第2プリズム136にわたって設けられ、
図8Bに示すように、防塵シート52は、開口部10の周囲を囲んで設けられていた。この場合において、
図7に示すように、各DMD51R、51G、51Bからの変調光2、4、6は、本来、色分離合成プリズムの光軸8に沿った同一光路に導かれて映像光となる。
【0012】
しかし、
図9に示すように、複数のプリズムを組み合わせた色分離合成プリズムでは意図しない反射、透過によって、第2プリズム134の開口部よりも第3プリズム136の近い側に不要光9が生じ、不要光9によるあぶりを受ける領域19が生じる。つまり、第1プリズム134のダイクロイックミラー面135において、第1DMD(51G)からの第1変調光2が一部反射されず透過してしまい不要光9となる場合がある。また、第2DMD(51R)及び、第3DMD(51B)からの第2変調光4と第3変調光6が第2プリズム136の面139で反射されて不要光9となる場合がある。
【0013】
図8Bに示すような開口部10の周囲に設けられた防塵シートは、あぶりを受ける領域19に近いと、上記の不要光8によってあぶられ劣化したり、防塵シートが高温になりガスを発生する事によって、プリズム及びDMDを汚染する可能性がある。
【0014】
そこで、本考案の映像生成部は、
図5Aから
図5Cに示すように、防塵シート52を開口部10から離間して、第2プリズムの端部から前記第3プリズムの一部までの周囲を囲むように設けて、不要光のあぶりを受ける領域19から防塵シート52を離す様に構成されている。これによって、防塵シート52が不要光9にあぶられて劣化する事を抑制でき、防塵シートが高温にならないので、ガスの発生が抑制される。この場合において、遮光板54は第2プリズム136から光軸8の方向に隣接する第3プリズム137の一部にわたって覆うように延在して設けられ、遮光板54と色分離合成プリズム61とが、防塵シート52を挟み込む事で、埃・塵が第2プリズムと第2DMDとの間に侵入する事を防ぐ事ができる。
上記構成によって、防塵シートの劣化、プリズム及びDMDの汚染を抑制でき、該映像生成部を用いることによって更なる高信頼性プロジェクタを提供できる。
【0015】
第1の態様に係る映像生成部は、映像信号に基づいて光を変調して映像光を生成する、第1DMDと、第2DMDと、第3DMDと、の3つのDMDと、3つのDMDにそれぞれ光を導光する、映像生成部の光入射面から順に配置された第1プリズムと、第2プリズムと、第3プリズムと、からなる色分離合成プリズムと、第2DMDと、第2DMDに光源からの光を導光する第2プリズムと、の間に、第2プリズムから第2DMDへ入射する光と、第2DMDによって生成され、第2プリズムへ入射する映像光が通過する開口部を空けて、前記第2プリズムに隣接する第3プリズムの一部にわたって覆うように延在して設けられている遮光板と、遮光板と面する第2プリズムの端部から第3プリズムの一部にわたって、開口部から離間して第2プリズムの端部から第3プリズムの一部の周囲を囲んで、遮光板と第2プリズム及び第3プリズムの一部との間を封止するように設けられている防塵シートと、を備える。
【0016】
第2の態様に係る映像生成部は、上記第1の態様において、色分離合成プリズムは、第1プリズムで緑色光を分光し、第2プリズムで赤色光を分光し、第3プリズムで青色光を分光してもよい。
【0017】
第3の態様に係る映像生成部は、上記第1の態様において、色分離合成プリズムは、第1プリズムで青色光を分光し、第2プリズムで赤色光を分光し、第3プリズムで緑色光を分光してもよい。
【0018】
第4の態様に係るプロジェクタは、光を生成する光源部と、光源部からの光を導く導光光学系と、導光光学系から導いた光を映像信号に基づいて変調して映像光を生成する、上記第1から第3のいずれかの態様に係る映像生成部と、映像光を投写する投写光学系と、を備える。
【0019】
以下、実施の形態に係る映像生成部及び該映像生成部を備えたプロジェクタについて、添付図面を参照しながら説明する。なお、図面において実質的に同一の部材については同一の符号を付している。
【0020】
(実施の形態1)
<プロジェクタ(投写型映像表示装置)>
図1は、実施の形態1に係る映像生成部を含むプロジェクタ(投写型映像表示装置)100の構成を示すブロック図である。
図2は、
図1の映像生成部を含むプロジェクタの光学系を示す概略図である。
実施の形態1に係るプロジェクタは、光源部20と、導光光学系50と、映像生成部60と、投写光学系70と、制御部80と、を備える。導光光学系50は、光源部20からの光を映像生成部60に導く光学系である。映像生成部60は、色分離合成プリズム61によって光をRGBの3原色に分離し、RGBの各光をデジタルマイクロミラーデバイス(DMD)で映像信号によって変調して映像光が生成される。投写光学系70は、生成された映像光をスクリーン等に投写して映像を形成する。制御部80は、上記の光源部20と、導光光学系50と、映像生成部60と、投写光学系70と、を制御する。
【0021】
以下に、このプロジェクタ100を構成する各部材について、説明する。
【0022】
<光源部>
光源部20は、主として、第1光源ユニット101a、第2光源ユニット101b、分離合成ミラー102、及び、蛍光体ホイール118によって構成される。また、光源部20は、これらの他にレンズ群103、106、113、116、117及びミラー群104、114を含む。
第1光源ユニット101a及び第2光源ユニット101bは、例えば、レーザダイオード(LD:Laser Diode)または発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)などの複数の固体光源によって構成されてもよい。実施の形態1では、固体光源として、レーザダイオードのうち、特に、青色光を出射するレーザダイオードが使用されている。ここで、レーザダイオードは、レーザ光源の一種である。
【0023】
第1光源ユニット101aおよび第2光源ユニット101bからの出射光は、例えば、波長440nm以上470nm以下の青色光である。この青色光は、蛍光体ホイール118が有する蛍光体119を励起するための励起光としても用いられる。
【0024】
<蛍光体ホイール>
蛍光体ホイール118は、励起光の光軸に沿って延在する回転軸122を中心にして回転する。この蛍光体ホイール118は、励起光の入射方向に対して反対方向に蛍光を発する反射型の蛍光体ホイールである。つまり、蛍光体ホイール118は、基板121と、基板121の上に基板121の回転方向に沿って円環状に塗布形成された蛍光体119と、蛍光体119が形成された基板121を回転させるためのモータ(図示せず)とを有する。なお、基板121の表面には、蛍光体119が発する蛍光光を反射するための反射膜が形成されている。蛍光体119は、第1光源ユニット101aおよび第2光源ユニット101bから出射される励起光に応じて、黄色光を含む蛍光を発する。
【0025】
励起光はトップハット拡散素子115によって拡散され、レンズ116及び117によって蛍光体119に集光されることにより、蛍光を発光する。
蛍光体は、発光体の一例であり、例えば、緑色から黄色を主たる波長域として、蛍光を発する蛍光体である。この蛍光体119は、青色の励起光を効率的に吸収して効率的に蛍光を発し、且つ、温度消光に対する耐性が高い蛍光体であることが好ましい。蛍光体119は、例えば、セリウムによって付活されたガーネット構造を有する蛍光体であるY3Al5O12:Ce3+である。
【0026】
光源部20からは、青色光の励起光と、黄色光の蛍光とを含む光1を導光光学系50に導く。
【0027】
<導光光学系>
導光光学系50は、光源部20からの光1を映像生成部60に導く光学系である。導光光学系50は、主としてロッドインテグレータ111と、レンズ群108、110、123、124と、ミラー群109、125と、を有する。
ロッドインテグレータ111は、例えば、ガラス等の透明部材で構成される中実のロッドである。ロッドインテグレータ111によって、第1光源ユニット101a及び第2光源ユニット101bから出射される励起光及び蛍光体ホイール118からの蛍光の空間的な強度分布を均一化することができる。なお、ロッドインテグレータ111は、内壁がミラー面によって構成される中空のロッドであってもよい。ロッドインテグレータ111は、光均一化素子の一種である。
【0028】
<映像生成部>
図3Aは、実施の形態1に係る映像生成部60について、光軸と各DMD(51R、51G、51B)への光路とを含む面に垂直な方向からみた正面図である。
図3Bは、
図3Aの映像生成部60の第2DMD(51R)の側から見た右側面図である。
図3Cは、
図3Aの映像生成部60の斜視図である。なお、
図4A乃至
図4Cは、
図3Aの映像生成部60から各DMD(51R、51G、51B)を除いた場合を示している。また、
図5A乃至
図5Cは、
図3Aの映像生成部60から各DMD(51R、51G、51B)及び遮光板54を除いた場合を示している。
図6は、実施の形態1に係る映像生成部60について、投写光学系70に向かう映像光11の光軸8と各DMDからの光路とを含む面に垂直な方向からみた断面を示す斜視断面図である。
図7は、各DMDからの光2、4、6が色分離合成プリズム61の内部を通る光路を示す概略図である。
また、便宜上、光軸に沿った方向をX方向とし、第2DMD(51R)を設けた側をY方向とし、光軸と各DMD(51R、51G、51B)への光路とを含む面に垂直な方向をZ方向としている。
【0029】
映像生成部60は、導光光学系50から光1を色分離合成プリズム61に導くTIRプリズム128、129と、光1をRGBの3原色に分離して合成する3つの第1プリズム134、第2プリズム136、第3プリズム137からなる色分離合成プリズム61と、分離されたRGBの3原色ごとの各映像信号に基づいて変調して映像光を生成する3つのデジタルマイクロミラーデバイス(DMD)である、第1DMD(51G)、第2DMD(51R)、第3DMD(51B)と、を備える。
さらに、映像生成部60は、第2プリズム136と第2DMD(51R)との間に、防塵シート52と、遮光板54と、を備える。
【0030】
<TIRプリズム>
TIRプリズム128、129によって、導光光学系50から光1を色分離合成プリズム61に導く。TIRプリズム128は、透光性部材によって構成されており、TIRプリズム129と対向する面130、及び、色分離合成プリズム61の第1プリズム134と対向する面131を有する。TIRプリズム128(面130)とTIRプリズム129との間にはエアギャップが設けられており、TIRプリズム128に入射した光が面130に入射する入射角は、臨界角よりも大きいため、TIRプリズム128に入射した光は面130で反射される。一方で、TIRプリズム128(面131)と第1プリズム134(面144)との間にはエアギャップが設けられるが、面130で反射された光が面131に入射する角度(入射角)は、臨界角よりも小さいため、面130で反射された光は面131を透過する。
【0031】
<デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)>
デジタルマイクロミラーデバイスである、第1DMD(51G)、第2DMD(51R)、第3DMD(51B)は、複数の可動式の微少ミラーによって構成され、各微少ミラーが1画素に対応する。第1DMD(51G)、第2DMD(51R)、第3DMD(51B)では、映像信号に基づいて各微少ミラーの角度を変えることによって投写ユニット70の側に光を反射するか否かを切り替えて映像光を生成する。この第1DMD(51G)、第2DMD(51R)、第3DMD(51B)は、光変調素子の一種である。
なお、厳密には第1DMD(51G)に導かれる光は、導光光学系50から導かれた光1から分光された第1成分光(緑成分光)であり、第1DMD(51G)で変調された光は、第1変調光2である。同様に、第2DMD(51R)に導かれる光は分光された第2成分光(赤成分光)であり、第2DMD(51R)で変調された光は、第2変調光4である。また、第3DMD(51B)に導かれる光は分光された第3成分光(青成分光)であり、第3DMD(51B)で変調された光は、第3変調光6である。
【0032】
<色分離合成プリズム>
色分離合成プリズム61は、透光性部材によって構成され、光軸8の方向に沿って順に配置された第1プリズム134と、第2プリズム136と、第3プリズム137と、からなる。色分離合成プリズム61は、例えば、ダイクロイックプリズム-フィリップスタイプであってもよい。第1プリズム134の面133は、例えば、赤成分光及び青成分光を透過して緑成分光を反射するダイクロイックミラー面である。したがって、TIRプリズム128の面130で反射された光1のうち、赤成分光及び青成分光は面133を透過し、緑成分光は面133で反射される。面133で反射された緑成分光は面144で反射され、第1DMD(51G)に導かれる。第2プリズム136の面135は、青成分光を透過して赤成分光を反射するダイクロイックミラー面である。したがって、第2プリズム136に入射した光のうち、青成分光は面135を透過し、赤成分光は面135で反射される。面135で反射された赤成分光は第2DMD(51R)に導かれる。第2プリズム136の面135を透過し、第3プリズム137に入射した青成分光は第3DMD(51B)に導かれる。
なお、第1プリズム134及び第3プリズム137によって導く成分光を入れ替えて、第1プリズム134によって青成分光を第1DMDに導いてもよく、第3プリズム137によって緑成分光を第3DMDに導いてもよい。
つまり、緑成分光、赤成分光、及び、青成分光は、色分離合成プリズム61によって分光された光である。
また、
図7に示すように、第1プリズム134は、第1DMD(51G)で変調された第1変調光である緑映像光2を受けて、光軸8に沿った光路に導く。第2プリズム136は、第2DMD(51R)で変調された第2変調光である赤映像光4を受けて、光軸8に沿った光路に導く。第3プリズム137は、第3DMD(51B)で変調された第3変調光である青映像光6を受けて、光軸8に沿った光路に導く。
つまり、緑映像光2、赤映像光4、及び、青映像光6は、色分離合成プリズム61によって光軸8に沿った同一光路に合成されて映像光11となる。
【0033】
<遮光板>
遮光板54は、第2DMD(51R)と、第2DMD(51R)に光源からの光を導光する第2プリズム136と、の間に設けられている。具体的には、
図3A乃至
図4Cに示すように、遮光板54は、第2DMD(51R)に入射する光源からの光及び第2DMD(51R)によって生成された映像光が第2プリズム136に入射する位置である開口部10を空けて、第2プリズム136に隣接する第3プリズム137の一部にわたって覆うように延在して設けられている。
なお、色分離合成プリズム61の構成として、第2プリズム136と第3プリズム137との間が連続的に構成されておらず段差を有する場合もあるが、遮光板54は第2プリズム136から第3プリズム137の一部にわたって段差に沿って設けられていればよい。
【0034】
<防塵シート>
防塵シート52は、遮光板54と面する第2プリズム136の端部から第3プリズム137の一部にわたって設けられている。具体的には、
図5Aから
図5Cに示すように、開口部10から離間して第2プリズム136の端部から第3プリズム137の一部の周囲を囲んで設けられている。これによって、遮光板54と第2プリズム及び前記第3プリズムの一部との間を封止している。
なお、色分離合成プリズム61の構成として、第2プリズム136と第3プリズム137との間が連続的に構成されておらず段差を有する場合もあるが、遮光板54と同様に、防塵シートも第2プリズム136の端部から第3プリズム137の一部の周囲を囲んで段差に沿って設けられていればよい。
防塵シートは、例えば、ゴム、ウレタン、樹脂等によって構成されていてもよい。
【0035】
上記映像生成部によれば、上記のように防塵シート及び遮光板を配置することによって、防塵シート52が開口部10から離間して第2プリズム136の端部から第3プリズム137の一部の周囲を囲んで設けられている。つまり、不要光のあぶりを受ける領域19から防塵シート52を離して配置しているので、不要光9のあぶりを受けない。これによって、防塵シートの劣化、プリズム及びDMDの汚染を抑制できる。
【0036】
<投写光学系>
投写光学系70は、生成された映像光11をスクリーン等に投写して映像を形成する。
【0037】
<制御部>
制御部80は、上記の光源部20と、導光光学系50と、映像生成部60と、投写光学系70と、を制御する。
【0038】
(効果)
実施の形態1に係るプロジェクタによれば、上記のように防塵シート及び遮光板を配置した映像生成部を用いているので、防塵シートの劣化、プリズム及びDMDの汚染を抑制でき、更なる高信頼性プロジェクタを提供できる。
【0039】
なお、本開示においては、前述した様々な実施の形態及び/又は実施例のうちの任意の実施の形態及び/又は実施例を適宜組み合わせることを含むものであり、それぞれの実施の形態及び/又は実施例が有する効果を奏することができる。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明に係る映像生成部によれば、防塵シートの劣化、プリズム及びDMDの汚染を抑制でき、該映像生成部を用いることによって更なる高信頼性プロジェクタを提供できる。
【符号の説明】
【0041】
1 光源からの光
2 緑映像光
4 赤映像光
6 青映像光
8 光軸
9 不要光
10 開口部
11 映像光
19 あぶりを受ける領域
20 光源部
50 導光光学系
51G 第1DMD
51R 第2DMD
51B 第3DMD
52 防塵シート
54 遮光板
60 映像生成部
61 色分離合成プリズム
70 投写光学系(投写ユニット)
100 プロジェクタ
101a 第1光源ユニット
101b 第2光源ユニット
102 分離合成ミラー
103、106、108、110、112、113、116、117、123、124、126 レンズ
104、109、114、125 ミラー
105 拡散板
107 ダイクロイックミラー
111 ロッドインテグレータ
115 トップハット拡散素子
118 蛍光体ホイール
119 蛍光体
122 回転軸
128、129、134、136、137 プリズム
130、131、133、135、139、144 面