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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023061247
(43)【公開日】2023-05-01
(54)【発明の名称】フィルタ保持ユニット及び建設機械
(51)【国際特許分類】
   B66C 13/52 20060101AFI20230424BHJP
   E02F 9/16 20060101ALI20230424BHJP
【FI】
B66C13/52 A
E02F9/16 C
B66C13/52 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021171123
(22)【出願日】2021-10-19
(71)【出願人】
【識別番号】000140719
【氏名又は名称】株式会社加藤製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】米田 圭佑
【テーマコード(参考)】
2D015
【Fターム(参考)】
2D015EC01
(57)【要約】
【課題】外気フィルタのメンテナンス作業の作業性を向上させ、外気フィルタへ曝される水等の量を適切に低減させるフィルタ保持ユニットを提供すること。
【解決手段】実施形態では、建設機械のキャブのフロアプレートに、フィルタ保持ユニットが取付けられる。フィルタ保持ユニットでは、ケースの内部に、外気フィルタを収容可能なフィルタ収容空洞が形成され、フィルタ収容空洞は、第1の開口において鉛直下側へ開口し、第2の開口において鉛直上側へキャブの内部に向かって開口する。カバーは、鉛直下側からケースを覆うベース板部と、外周側へケースに対して突出するバイザ部と、を備え、バイザ部とケースとの間に鉛直上側へ開口する吸気口が形成される。吸気された外気は、ベース板部とケースとの間の隙間及び第1の開口を順に通して、フィルタ収容空洞に流入する。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアコン室内機が内部に配置され、かつ、外気フィルタを通して外気が前記エアコン室内機に導入される建設機械のキャブにおいて、前記キャブのフロアプレートの外表面で前記外気フィルタを保持するフィルタ保持ユニットであって、
前記キャブの前記フロアプレートの前記外表面に取付けられ、前記外気フィルタを収容可能なフィルタ収容空洞が内部に形成されるケースであって、前記フィルタ収容空洞が第1の開口において鉛直下側へ開口するとともに、前記フィルタ収容空洞が第2の開口において鉛直上側へ前記キャブの前記内部に向かって開口するケースと、
前記鉛直下側から前記ケースを覆うベース板部と、外周側へ前記ケースに対して突出するバイザ部と、を備え、前記バイザ部と前記ケースとの間に前記鉛直上側へ開口する吸気口を形成するカバーであって、前記吸気口に吸気された前記外気を、前記ベース板部と前記ケースとの間の隙間、及び、前記第1の開口を順に通して、前記ケースの前記フィルタ収容空洞に流入させるカバーと、
を具備する、フィルタ保持ユニット。
【請求項2】
前記ケースには、鉛直方向に対して交差する第1の方向の一方側へ前記フィルタ収容空洞が開口するフィルタ挿入口が形成され、
前記外気フィルタは、前記フィルタ挿入口から前記フィルタ収容空洞に挿入され、
前記ケースは、前記フロアプレートに対してチルト可能に前記フロアプレートの前記外表面に取付けられ、
前記フロアプレートに対してチルトした状態の前記ケースでは、前記第1の方向について前記フィルタ挿入口に近い部位ほど、前記鉛直下側に位置する、
請求項1のフィルタ保持ユニット。
【請求項3】
前記カバーのバイザ部は、前記第1の方向について前記フィルタ挿入口が位置する側とは反対側へ前記ケースに対して突出する第1のバイザ部と、前記鉛直方向及び第1の方向の両方に対して交差する第2の方向の一方側へ前記ケースに対して突出する第2のバイザ部と、前記第2の方向について前記第2のバイザ部が突出する側とは反対側へ前記ケースに対して突出する第3のバイザ部と、を備え、
前記外気を吸気する前記吸気口として、前記第1のバイザ部と前記ケースとの間の第1の吸気口、前記第2のバイザ部と前記ケースとの間の第2の吸気口、及び、前記第3のバイザ部と前記ケースとの間の第3の吸気口が形成される、
請求項2のフィルタ保持ユニット。
【請求項4】
前記カバーは、取外し可能に前記ケースに取付けられる、請求項1乃至3のいずれか1項のフィルタ保持ユニット。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項のフィルタ保持ユニットと、
前記フロアプレートを備え、前記フロアプレートの前記外表面に前記フィルタ保持ユニットの前記ケースが取付けられる前記キャブと、
前記キャブの前記内部に配置され、前記フィルタ保持ユニットの前記ケースの前記フィルタ収容空洞に収容される前記外気フィルタを通して前記外気が導入される前記エアコン室内機と、
を具備する建設機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建設機械において外気フィルタを保持するフィルタ保持ユニット、及び、そのフィルタ保持ユニットを備える建設機械に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1では、キャブ(キャビン)の内部にエアコン室内機が配置される建設機械が開示されている。この建設機械では、キャブのフロアプレートを形成するステップの下面にフィルタ保持ユニット(フィルタ収容部材)が取付けられる。そして、フィルタ保持ユニットの内部には外気フィルタが収容され、外気フィルタは、フィルタ保持ユニットに保持される。前記特許文献1の建設機械では、フィルタ保持ユニットに保持される外気フィルタを通して、エアコン室内機に外気が導入される。エアコン室内機は、外気フィルタを通して導入された外気を用いて、キャブの内部の換気等を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-330772号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献1の建設機械では、旋回台の内部にフィルタ保持ユニットが位置し、フィルタ保持ユニットが外部に露出していない。キャブの内部のエアコン室内機に外気フィルタを通して外気が導入される建設機械では、キャブのフロアプレート等において外部に露出する位置にフィルタ保持ユニットを設ける等して、フィルタ保持ユニットに収容される外気フィルタのメンテナンス作業の作業性を向上させることが、求められている。また、外部に露出する位置にフィルタ保持ユニットを設けても、フィルタ保持ユニットに収容される外気フィルタへ曝される水滴及び塵埃等の量が適切に低減されることが、求められている。
【0005】
本発明は前記課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、外気フィルタのメンテナンス作業の作業性を向上させ、外気フィルタへ曝される水等の量を適切に低減させるフィルタ保持ユニット、及び、そのフィルタ保持ユニットを備える建設機械を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため、本発明のある態様は、エアコン室内機が内部に配置され、かつ、外気フィルタを通して外気が前記エアコン室内機に導入される建設機械のキャブにおいて、前記キャブのフロアプレートの外表面で前記外気フィルタを保持するフィルタ保持ユニットであって、前記キャブの前記フロアプレートの前記外表面に取付けられ、前記外気フィルタを収容可能なフィルタ収容空洞が内部に形成されるケースであって、前記フィルタ収容空洞が第1の開口において鉛直下側へ開口するとともに、前記フィルタ収容空洞が第2の開口において鉛直上側へ前記キャブの前記内部に向かって開口するケースと、前記鉛直下側から前記ケースを覆うベース板部と、外周側へ前記ケースに対して突出するバイザ部と、を備え、前記バイザ部と前記ケースとの間に前記鉛直上側へ開口する吸気口を形成するカバーであって、前記吸気口に吸気された前記外気を、前記ベース板部と前記ケースとの間の隙間、及び、前記第1の開口を順に通して、前記ケースの前記フィルタ収容空洞に流入させるカバーと、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、外気フィルタのメンテナンス作業の作業性を向上させ、外気フィルタへ曝される水等の量を適切に低減させるフィルタ保持ユニット、及び、そのフィルタ保持ユニットを備える建設機械を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態に係る建設機械の一例であるクレーンを示す概略図である。
図2図2は、実施形態に係るクレーンにおいて旋回体のキャブの構成を概略的に示す斜視図である。
図3図3は、実施形態に係るクレーンにおいてキャブのキャブ内部空間を示す概略図である。
図4図4は、実施形態に係るクレーンのキャブのフロアプレートにおいて、フィルタ保持ユニット及びその近傍を、フィルタ保持ユニットに外気フィルタが装着され、かつ、フィルタ保持ユニットのケースがフロアプレートに対して平行又は略平行な状態で概略的に示す斜視図である。
図5図5は、実施形態に係るクレーンのキャブのフロアプレートにおいて、フィルタ保持ユニット及びその近傍を、フィルタ保持ユニットに外気フィルタが装着され、かつ、フィルタ保持ユニットのケースがフロアプレートに対してチルトした状態で概略的に示す斜視図である。
図6図6は、実施形態に係るクレーンのキャブのフロアプレートにおいて、フィルタ保持ユニット及びその近傍を、フィルタ保持ユニットから外気フィルタが取外され、かつ、フィルタ保持ユニットのケースがフロアプレートに対してチルトした状態で概略的に示す斜視図である。
図7図7は、実施形態に係るクレーンの外気フィルタ及びフィルタ保持ユニットを示す斜視図である。
図8図8は、実施形態に係るクレーンの外気フィルタ及びフィルタ保持ユニットを、部品ごとに分解した状態で示す斜視図である。
図9図9は、実施形態に係るクレーンの外気フィルタ及びフィルタ保持ユニットを、部品ごとに分解し、かつ、図8とは異なる方向から視た状態で示す斜視図である。
図10図10は、実施形態に係るフィルタ保持ユニットにおいて、カバーがケースに取付けられた状態を、第2の方向に対して直交又は略直交する断面で概略的に示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施形態について図面を参照して説明する。
【0010】
図1は、実施形態に係る建設機械の一例として、クレーン1を示す。図1に示すように、クレーン1は、走行車体2及び旋回体3を備える。旋回体3は、走行車体2の鉛直上側に連結される。旋回体3は、鉛直方向(矢印Z1及び矢印Z2に示す方向)に沿う旋回軸Pを中心として、走行車体2に対して旋回可能である。
【0011】
旋回体3では、鉛直方向に対して交差する(直交又は略直交する)前後方向(矢印X1及び矢印X2で示す方向)、及び、鉛直方向及び前後方向の両方に対して交差する(直交又は略直交する)幅方向(図1において紙面に対して直交又は略直交する方向)が規定される。また、走行車体2でも、鉛直方向に対して交差する(直交又は略直交する)前後方向、及び、鉛直方向及び前後方向の両方に対して交差する(直交又は略直交する)幅方向が規定される。図1では、走行車体2の前後方向が旋回体3の前後方向と一致又は略一致し、かつ、走行車体2の幅方向が旋回体3の幅方向と一致又は略一致する状態を示す。また、図1では、走行車体2の前方側が旋回体3の前方側(矢印X1側)と一致又は略一致する状態で、クレーン1を示す。
【0012】
走行車体2は、車体デッキ5及び二対のアウトリガ6A,6Bを備える。旋回体3は、車体デッキ5に鉛直上側から設置される。また、走行車体2では、前方側の部位に一対のアウトリガ6Aが設けられ、後方側の部位に一対のアウトリガ6Bが設けられる。クレーン1での作業時等には、アウトリガ6A,6Bのそれぞれは、地盤に接地される。
【0013】
旋回体3は、キャブ(運転室)10を備える。キャブ10では、操作者によってクレーン1の操作等が行われる。クレーン1の操作には、クレーン1の走行に関する操作、及び、クレーン1を用いた作業における操作等が、含まれる。また、旋回体3には、ブーム7の後端部が連結される。ブーム7は、後端部から前端部まで、長手方向に沿って延設される。ブーム7は、旋回体3への連結位置から旋回体3の前方側(矢印X1側)へ向かって、延設される。ブーム7は、旋回体3に対して起伏可能である。また、ブーム7は、旋回体3と一緒に、走行車体2に対して旋回可能である。本実施形態では、ブーム7は、長手方向について伸縮可能である。旋回体3では、キャブ10は、ブーム7に対して幅方向の一方側に位置し、図1等の一例では、キャブ10は、ブーム7に対して旋回体3の右方側に位置する。
【0014】
図2は、旋回体3のキャブ10の構成を示す。図2等では、矢印Y1及び矢印Y2で示す方向が、旋回体3の幅方向となる。キャブ10では、鉛直方向に対して交差する(直交又は略直交する)前後方向、及び、鉛直方向及び前後方向の両方に対して交差する(直交又は略直交する)幅方向が、規定される。キャブ10の前後方向は、旋回体3の前後方向と一致又は略一致し、キャブ10の前方側は、旋回体3の前方側と一致又は略一致する。そして、キャブ10の幅方向は、旋回体3の幅方向と一致又は略一致し、キャブ10の右方側は、旋回体3の右方側と一致又は略一致する。
【0015】
図2等に示すように、キャブ10は、キャブフレーム11を備える。キャブフレーム11は、キャブ10の外装を形成し、キャブフレーム11によって、キャブ10の内部にキャブ内部空間12が形成される。キャブフレーム11は、トッププレート13、フロアプレート14、フロントプレート15、リアプレート16、及び、一対のサイドプレート17,18を備える。トッププレート13は、鉛直上側(矢印Z1側)からキャブ内部空間12に隣接し、フロアプレート14は、鉛直下側(矢印Z2側)からキャブ内部空間12に隣接する。トッププレート13は、鉛直方向について、キャブ内部空間12を間に挟んで、フロアプレート14と対向する。
【0016】
フロントプレート15は、旋回体3の前方側(矢印X1側)からキャブ内部空間12に隣接し、リアプレート16は、旋回体3の後方側(矢印X2側)からキャブ内部空間12に隣接する。フロントプレート15は、旋回体3の前後方向(キャブ10の前後方向)について、キャブ内部空間12を間に挟んで、リアプレート16と対向する。サイドプレート(第1のサイドプレート)17は、旋回体3の幅方向の一方側(矢印Y1側)からキャブ内部空間12に隣接し、サイドプレート(第2のサイドプレート)18は、旋回体3の幅方向についてサイドプレート17とは反対側(矢印Y2側)からキャブ内部空間12に隣接する。サイドプレート17は、旋回体3の幅方向(キャブ10の幅方向)について、キャブ内部空間12を間に挟んで、サイドプレート18と対向する。
【0017】
また、キャブ10では、サイドプレート17に扉21が取付けられる。キャブ10では、扉21を開くことにより、キャブ内部空間12への乗降口が形成され、キャブ内部空間12へ乗降可能となる。扉21が取付けられるサイドプレート17は、旋回体3の幅方向の外側から、キャブ内部空間12に隣接し、旋回体3の幅方向についてブーム7が位置する側とは反対側から、キャブ内部空間12に隣接する。図1及び図2等の一例では、サイドプレート17は、旋回体3の右方側から、キャブ内部空間12に隣接する。
【0018】
図3は、キャブ10のキャブ内部空間12を示す。図3では、旋回体3(キャブ10)の幅方向の一方側から視た状態が示される。図3等に示すように、キャブ内部空間12には、ダッシュボード22が設置される。ダッシュボード22は、キャブ内部空間12において前方側の部位に配置される。ダッシュボード22には、ハンドル23が取付けられる。また、キャブ内部空間12では、フロアプレート14上にエアコン室内機25が設置される。エアコン室内機25は、キャブ内部空間12において後方側の部位に配置される。また、キャブ内部空間12では、シート26等が、キャブ10の前後方向についてダッシュボード22とエアコン室内機25との間に設置される。キャブ内部空間12では、操作者等は、シート26に座った状態で、クレーン1の操作等を行う。
【0019】
キャブ10のフロアプレート14には、外気をエアコン室内機25に導入する導入孔27が形成される。導入孔27は、鉛直方向に沿ってフロアプレート14を貫通する。キャブ内部空間12では、エアコン室内機25は、導入孔27に鉛直上側から隣接する。図3等の一例では、フロアプレート14において後方側の部位に、導入孔27が形成される。また、図2等に示すように、キャブ10のフロアプレート14の外表面には、フィルタ保持ユニット30が設置される。フィルタ保持ユニット30は、導入孔27に鉛直下側から隣接する。このため、フィルタ保持ユニット30は、導入孔27を間に介して、鉛直下側からエアコン室内機25に対向する。図2及び図3等の一例では、フロアプレート14の外表面において後方側の部位に、フィルタ保持ユニット30が設置される。
【0020】
図1等の一例において、フロアプレート14の外表面では、フィルタ保持ユニット30の設置位置及びその近傍部位は、走行車体2の車体デッキ5との間に隙間を有する状態で、車体デッキ5に鉛直上側から対向する。このため、フィルタ保持ユニット30は、車体デッキ5との間に隙間を有する状態で、車体デッキ5に鉛直上側から対向する。そして、フィルタ保持ユニット30は、車体デッキ5とフロアプレート14との間の隙間において、キャブ10の外部に露出する。このため、フィルタ保持ユニット30は、フロアプレート14の外表面において、キャブ10の外部へ露出する位置に配置される。また、フィルタ保持ユニット30は、フロアプレート14の導入孔27が外部に露出しない状態に、導入孔27を鉛直下側から覆う。
【0021】
フィルタ保持ユニット30は、外気フィルタ28を保持し、外気フィルタ28は、フィルタ保持ユニット30の内部に収容される。また、外気フィルタ28は、フィルタ保持ユニット30に取外し可能に装着される。フィルタ保持ユニット30に外気フィルタ28が装着された状態では、外気フィルタ28は、フロアプレート14の導入孔27に鉛直下側から隣接する。また、フィルタ保持ユニット30に外気フィルタ28が装着された状態では、外気は、外気フィルタ28及び導入孔27を順に通って、エアコン室内機25に導入される。エアコン室内機25は、外気フィルタ28を通して導入された外気を用いて、キャブ10のキャブ内部空間12の換気等を行う。
【0022】
図4乃至図6は、キャブ10のフロアプレート14においてフィルタ保持ユニット30及びその近傍部位を示す。図4及び図5では、フィルタ保持ユニット30に外気フィルタ28が装着された状態が示され、図6では、フィルタ保持ユニット30から外気フィルタが取外された状態が示される。また、図7乃至図9は、外気フィルタ28及びフィルタ保持ユニット30を示す。図8及び図9では、フィルタ保持ユニット30が部品ごとに分解された状態で示される。ここで、フィルタ保持ユニット30では、鉛直方向(矢印Z1及び矢印Z2で示す方向)に対して交差する(直交又は略直交する)第1の方向(矢印Y3及び矢印Y4で示す方向)、及び、鉛直方向及び第1の方向の両方に対して交差する(直交又は略直交する)第2の方向(矢印X3及び矢印X4で示す方向)が規定される。図4乃至図9等の一例では、第1の方向は、旋回体3及びキャブ10の幅方向と一致又は略一致し、第2の方向は、旋回体3及びキャブ10の前後方向と一致又は略一致する。
【0023】
図4乃至図9等に示すように、フィルタ保持ユニット30は、一対のブラケット31A,31B、ケース32及びカバー33を備える。一対のブラケット31A,31Bのそれぞれは、天板部41及び側板部42を備える。ブラケット31A、31Bのそれぞれは、締結ネジ43等によって天板部41がキャブ10のフロアプレート14に締結されることにより、フロアプレート14に固定される。また、ブラケット31A,31Bのそれぞれでは、側板部42は、天板部41において第2の方向の外側の縁に接続される。そして、ブラケット31A,31Bのそれぞれでは、側板部42は、天板部41に対して、鉛直下側へ屈曲する。ブラケット31A,31Bの側板部42は、第2の方向(旋回体3及びキャブ10の前後方向)について、互いに対して離れて配置される。
【0024】
キャブ10のフロアプレート14では、キャブ10の外部への導入孔27の開口の外周がブラケット31A,31Bの天板部41によって囲まれる状態に、ブラケット31A,31Bのそれぞれが取付けられる。また、ブラケット31A,31Bのそれぞれの天板部41には、凹部45が形成される。そして、キャブ10のフロアプレート14には、ブラケット31A,31Bのそれぞれは、凹部45が第2の方向の外側へ向かって凹む状態で、取付けられる。ブラケット31A,31Bのそれぞれの側板部42には、孔46,47が形成される。ブラケット31A,31Bのそれぞれでは、孔46,47のそれぞれは、第2の方向に沿って側板部42を貫通する。また、ブラケット31A,31Bのそれぞれでは、孔46,47は、第1の方向(旋回体3及びキャブ10の幅方向)について、互いに対して離れて位置する。図4乃至図9等の一例では、ブラケット31A,31Bのそれぞれにおいて、孔46は、孔47に対して、旋回体3の幅方向の外側に位置する。また、ブラケット31A,31Bのそれぞれの側板部42では、孔46は、鉛直方向に沿った寸法が大きい長孔状に形成され、孔47は、丸孔状に形成される。
【0025】
ケース32は、例えば、樹脂から形成され、一対のブラケット31A,31Bの天板部41に、鉛直下側から隣接する。ケース32は、ブラケット31A,31Bを間に介して、キャブ10のフロアプレート14の外表面に取付けられる。ケース32の内部には、外気フィルタ28を収容可能なフィルタ収容空洞51が形成される。ケース32は、下板部52、上板部53及び側板部54A,54B,55を備え、ケース32では、フィルタ収容空洞51は、下板部52、上板部53及び側板部54A,54B,55によって、規定される。ケース32では、下板部52は、鉛直下側からフィルタ収容空洞51に隣接し、上板部53は、鉛直上側からフィルタ収容空洞51に隣接する。そして、ケース32では、下板部52及び上板部53は、鉛直方向に互いに対して離れて位置し、フィルタ収容空洞51を間に挟んで互いに対して対向する。
【0026】
ケース32では、下板部52に、フィルタ収容空洞51の開口(第1の開口)56が形成され、上板部53に、フィルタ収容空洞51の開口(第2の開口)57が形成される。開口56は、鉛直方向に沿って下板部52を貫通し、開口57は、鉛直方向に沿って上板部53を貫通する。フィルタ収容空洞51は、開口56において、鉛直下側へ開口する。また、フィルタ収容空洞51は、開口57において、鉛直上側へ開口する。フィルタ収容空洞51は、開口(第2の開口)57及び導入孔27を介して、キャブ10の内部と連通する。このため、フィルタ収容空洞51は、開口57において、キャブ10の内部に向かって開口する。また、フィルタ収容空洞51に流入した外気は、開口57及び導入孔27を順に通って、エアコン室内機25に導入される。
【0027】
ケース32では、側板部54A,54B,55のそれぞれは、下板部52から上板部53まで、鉛直方向に沿って延設される。また、側板部54A,54B,55のそれぞれには、開口等は形成されない。側板部54A,54Bは、第2の方向(旋回体3及びキャブ10の前後方向)について互いに対して反対側から、フィルタ収容空洞51に隣接する。そして、ケース32では、側板部54A,54Bは、第2の方向に互いに対して離れて位置し、フィルタ収容空洞51を間に挟んで互いに対して対向する。
【0028】
また、ケース32では、第1の方向について側板部55とは反対側の端に、フィルタ挿入口58が形成される。フィルタ収容空洞51は、フィルタ挿入口58において、第1の方向の一方側へ向かって開口し、側板部55が位置する側とは反対側へ向かって開口する。また、ケース32では、フィルタ挿入口58は、側板部55に対して、旋回体3の幅方向の外側に位置し、フィルタ収容空洞51は、旋回体3の幅方向の外側へ向かって、フィルタ挿入口58において開口する。ケース32では、下板部52、上板部53及び側板部54A,54Bのそれぞれは、側板部55からフィルタ挿入口58まで、第1の方向(旋回体3及びキャブ10の幅方向)に沿って延設される。
【0029】
また、ケース32では、側板部54A,54Bのそれぞれに、ピン61,62が固定される。側板部54A,54Bのそれぞれの外表面では、ピン61,62のそれぞれは、第2の方向の外側へ突出し、ピン61,62は、第1の方向(旋回体3及びキャブ10の幅方向)について、互いに対して離れて位置する。図4乃至図9等の一例では、側板部54A,54Bのそれぞれにおいて、ピン61は、ピン62に対して、旋回体3の幅方向の外側に位置する。フィルタ保持ユニット30では、側板部54Aのピン61は、ブラケット31Aの孔46に挿通され、側板部54Bのピン61は、ブラケット31Bの孔46に挿通される。そして、側板部54Aのピン62は、ブラケット31Aの孔47に挿通され、側板部54Bのピン62は、ブラケット31Bの孔47に挿通される。フィルタ保持ユニット30では、2つのピン61のそれぞれは、挿通される長孔状の孔46に沿って移動可能である。
【0030】
挿通される孔46に沿ってピン61のそれぞれが移動することにより、ケース32は、キャブ10のフロアプレート14及びブラケット31A,31Bに対して、側板部54A,54Bのピン62を回動中心として回動する。この際、ケース32の回動軸は、第2の方向(旋回体3及びキャブ10の前後方向)に沿う。ケース32が第2の方向に沿う回動軸を中心として回動することにより、ケース32は、フロアプレート14の外表面に対して平行又は略平行な状態から、フロアプレート14の外表面に対してチルト可能となる。したがって、ケース32は、フロアプレート14に対してチルト可能に、フロアプレート14の外表面に取付けられる。フロアプレート14に対してチルトした状態のケース32では、第1の方向についてフィルタ挿入口58に近い部位ほど、鉛直下側に位置する。このため、フロアプレート14に対してチルトした状態のケース32では、旋回体3の幅方向について外側の部位ほど、鉛直下側に位置する。なお、図4では、ケース32がフロアプレート14に対して平行又は略平行な状態が示され、図5及び図6では、ケース32がフロアプレート14に対してチルトした状態が示される。
【0031】
また、ケース32では、下板部52において鉛直上側を向く表面、すなわち、下板部52の内表面に、鉛直下側へ凹むガイド溝63が形成される。ガイド溝63は、フィルタ挿入口58から側板部55まで、第1の方向に沿って延設される。ガイド溝63は、第2の方向についてケース32の中央部に形成される。また、ケース32では、下板部52において鉛直下側を向く表面、すなわち、下板部52の外表面に、鉛直下側へ突出する爪部65が形成される。ケース32では、爪部65は、第1の方向についてフィルタ挿入口58が位置する側の端部、すなわち、旋回体3の幅方向について外側の端部に、形成される。そして、爪部65は、第2の方向についてケース32の中央部に位置する。
【0032】
外気フィルタ28では、長さ方向、長さ方向に対して交差する(直交又は略直交する)幅方向、及び、長さ方向及び幅方向の両方に対して交差する(直交又は略直交する)厚み方向が規定される。外気フィルタ28は、一対の主面71,72及び周面73を備える。外気フィルタ28では、主面71は、厚み方向の一方側を向き、主面72は、厚み方向について主面71とは反対側を向く。また、外気フィルタ28では、周面73は、外周側を向き、主面71,72の間に厚み方向に沿って延設される。外気フィルタ28は、濾紙75を備え、外気フィルタ28では、主面71,72のそれぞれにおいて、濾紙75が露出する。
【0033】
また、外気フィルタ28では、主面72に、主面71とは反対側へ突出する凸部76が形成される。外気フィルタ28では、凸部76は、長さ方向について一方側の端部に形成され、幅方向について中央部に形成される。また、外気フィルタ28では、周面73に、外周側へ突出する取っ手77が形成される。外気フィルタ28では、取っ手77は、長さ方向について凸部76が位置する側とは反対側の端部に形成され、幅方向について中央部に形成される。そして、外気フィルタ28では、取っ手77は、長さ方向の外側に向かって突出し、長さ方向について凸部76が位置する側とは反対側へ突出する。
【0034】
外気フィルタ28は、長さ方向がフィルタ保持ユニット30の第1の方向と一致又は略一致し、かつ、幅方向がフィルタ保持ユニット30の第2の方向と一致又は略一致する状態で、ケース32に取付けられる。また、外気フィルタ28がケース32のフィルタ収容空洞51に収容された状態では、主面71が鉛直上側を向き、主面72が鉛直下側を向く。外気フィルタ28がケース32に取付けられた状態では、外気フィルタ28の凸部76は、ガイド溝63内に位置し、第1の方向についてフィルタ挿入口58とは反対側の端部に位置する。また、外気フィルタ28がケース32に取付けられた状態では、外気フィルタ28の取っ手77は、フィルタ挿入口58に対して第1の方向の外側へ突出する。外気フィルタ28がフィルタ収容空洞51に収容された状態では、外気フィルタ28は、ケース32と一緒に、フロアプレート14に対してチルト可能である。
【0035】
カバー33は、例えば、樹脂から形成され、ケース32に鉛直下側から取付けられる。カバー33がケース32に取付けられた状態では、カバー33は、ケース32と一緒に、フロアプレート14に対してチルト可能である。図10は、カバー33がケース32に取付けられた状態を示す。図10では、フィルタ保持ユニット30の第2の方向に対して直交又は略直交する断面が示される。図4乃至図10等に示すように、カバー33は、ベース板部81及び側板部82A,82B,83,84を備える。ベース板部81は、鉛直下側からケース32を覆う。カバー33は、ケース32の下板部52とカバー33のベース板部81との間に隙間85が形成される状態で、ケース32に取付けられる。ベース板部81がケース32を覆うことにより、ケース32のフィルタ収容空洞51に収容される外気フィルタ28は、開口56を通して鉛直下側へ、フィルタ保持ユニット30の外部に対して露出しない。
【0036】
側板部82A,82B,83,84のそれぞれは、ベース板部81の外縁から鉛直上側に向かって延設される。カバー33は、ケース32の下板部52とカバー33のベース板部81との間の隙間85の外周が側板部82A,82B,83,84によって囲まれる状態で、ケース32に取付けられる。側板部82A,82Bは、第2の方向(旋回体3及びキャブ10の前後方向)について互いに対して反対側から、ケース32とベース板部81との間の隙間85に隣接する。そして、カバー33では、側板部82A,82Bは、第2の方向に互いに対して離れて位置し、隙間85を間に挟んで互いに対して対向する。また、フィルタ保持ユニット30では、カバー33の側板部82Aは、ケース32の側板部54Aに鉛直下側から隣接し、カバー33の側板部82Bは、ケース32の側板部54Bに鉛直下側から隣接する。
【0037】
側板部83,84は、第1の方向(旋回体3及びキャブ10の幅方向)について互いに対して反対側から、ケース32とベース板部81との間の隙間85に隣接する。そして、カバー33では、側板部83,84は、第1の方向に互いに対して離れて位置し、隙間85を間に挟んで互いに対して対向する。フィルタ保持ユニット30では、カバー33の側板部83は、第1の方向についてケース32の側板部55が位置する側の端部に配置され、ケース32の側板部55に鉛直下側から隣接する。また、フィルタ保持ユニット30では、カバー33の側板部84は、第1の方向についてケース32のフィルタ挿入口58が位置する側の端部に配置され、ケース32のフィルタ挿入口58に鉛直下側から隣接する。このため、カバー33がケース32に取付けられた状態では、側板部84は、側板部83に対して旋回体3の幅方向の外側に位置する。
【0038】
カバー33では、側板部83に、バイザ部(第1のバイザ部)86が設けられる。そして、側板部82Aに、バイザ部(第2のバイザ部)87Aが設けられ、側板部82Bに、バイザ部(第3のバイザ部)87Bが設けられる。バイザ部86,87A,87Bのそれぞれは、ケース32に対して外周側へ突出する。バイザ部86は、第1の方向についてフィルタ挿入口58が位置する側とは反対側へ、ケース32の側板部55に対して突出する。また、バイザ部87Aは、第2の方向の一方側、すなわち、第2の方向についてバイザ部87Bが位置する側とは反対側へ、ケース32の側板部54Aに対して突出する。そして、バイザ部87Bは、第2の方向についてバイザ部87Aが突出する側とは反対側へ、ケース32の側板部54Bに対して突出する。なお、側板部82A,82B,83,84においてバイザ部86,87A,87B以外の部位は、ケース32に対して外周側へ突出していない又はほとんど突出していない。
【0039】
フィルタ保持ユニット30では、バイザ部86とケース32の側板部55との間に、吸気口(第1の吸気口)91が形成される。そして、バイザ部87Aとケース32の側板部54Aとの間に、吸気口(第2の吸気口)92Aが形成され、バイザ部87Bとケース32の側板部54Bとの間に、吸気口(第3の吸気口)92Bが形成される。吸気口91,92A,92Bのそれぞれは、鉛直上側に向かって開口する。吸気口91,92A,92Bのそれぞれから吸気された外気は、ベース板部81とケース32との間の隙間85、及び、開口(第1の開口)56を順に通して、ケース32のフィルタ収容空洞51に流入する。
【0040】
カバー33では、側板部82A,82Bのそれぞれに、係合溝93,95が形成される。側板部82A,82Bのそれぞれでは、係合溝93,95のそれぞれは、第1の方向に沿って形成され、第1の方向についてフィルタ挿入口58が位置する側とは反対側へ向かって開口する。側板部82Aでは、係合溝93は、バイザ部87Aに対してフィルタ挿入口58が位置する側に位置し、係合溝95は、バイザ部87Aに対してフィルタ挿入口58が位置する側とは反対側に位置する。そして、側板部82Bでは、係合溝93は、バイザ部87Bに対してフィルタ挿入口58が位置する側に位置し、係合溝95は、バイザ部87Bに対してフィルタ挿入口58が位置する側とは反対側に位置する。
【0041】
フィルタ保持ユニット30では、側板部54Aのピン61は、ブラケット31Aの孔46に挿通された状態で、側板部82Aの係合溝93と係合する。そして、側板部54Bのピン61は、ブラケット31Bの孔46に挿通された状態で、側板部82Bの係合溝93と係合する。また、フィルタ保持ユニット30では、側板部54Aのピン62は、ブラケット31Aの孔47に挿通された状態で、側板部82Aの係合溝95と係合する。そして、側板部54Bのピン62は、ブラケット31Bの孔47に挿通された状態で、側板部82Bの係合溝95と係合する。
【0042】
カバー33では、側板部84に、内周側へ凹む凹部96が形成される。側板部84では、凹部96は、第1の方向の内側へ凹み、第1の方向について側板部83が位置する側へ凹む。また、カバー33では、凹部96は、第2の方向について中央部に形成される。フィルタ保持ユニット30では、ケース32の爪部65がカバー33の凹部96と係合する状態で、カバー33がケース32に取付けられる。ケース32の爪部65がカバー33の凹部96と係合する状態では、爪部65は、外周側から、すなわち、第1の方向の外側から、凹部96の底部に当接する。
【0043】
また、カバー33のベース板部81には、鉛直下側を向く表面に、すなわち、外表面に、鉛直上側へ凹む窪み97が形成される。ベース板部81において鉛直上側を向く表面、すなわち、ベース板部81の内表面では、窪み97に対応する部分が、鉛直上側へ突出する。窪み97は、第1の方向について、側板部83に比べて側板部84に近い位置に形成され、凹部96に第1の方向の内側から近接する位置に形成される。また、カバー33では、窪み97は、第2の方向について中央部に形成される。ただし、カバー33では、窪み97は、凹部96に対して第1の方向の内側に離れて形成され、ベース板部81では、第1の方向について凹部96と窪み97との間に延設部分98が形成される。
【0044】
また、カバー33では、ベース板部81を鉛直方向に沿って貫通する貫通孔99が、形成される。ベース板部81では、側板部82A,83の境界位置の近傍、側板部82A,84の境界位置の近傍、側板部82B,83の境界位置の近傍、及び、側板部82B,84の境界位置の近傍のそれぞれに、貫通孔99が形成され、4つの隅部のそれぞれに、貫通孔99が形成される。また、カバー33は、ケース32に対して取外し可能である。
【0045】
図4乃至図6等に示すように、カバー33の外表面には、一対のパッチン錠101A,101Bが取付けられる。カバー33では、一対のパッチン錠101A,101Bは、第2の方向について互いに対して離れて位置し、凹部96及び窪み97は、第2の方向について、パッチン錠101A,101Bの間に位置する。また、キャブ10のフロアプレート14の外表面には、一対の固定プレート102A,102Bが固定される。固定プレート102A,102Bは、フィルタ保持ユニット30に対して、旋回体3の幅方向の外側に位置する。固定プレート102A,102Bのそれぞれは、ケース32のフィルタ挿入口58及びカバー33の側板部84に、旋回体3の幅方向の外側から隣接する。また、一対の固定プレート102A,102Bは、旋回体3及びキャブ10の前後方向について互いに対して離れて位置し、カバー33の凹部96及び窪み97は、旋回体の前後方向(フィルタ保持ユニット30第2の方向)について、固定プレート102A,102Bの間に位置する。固定プレート102A,102Bのそれぞれは、係合突起103を備える。
【0046】
パッチン錠101Aは、固定プレート102Aの係合突起103に対してロック可能であり、パッチン錠101Bは、固定プレート102Bの係合突起103に対してロック可能である。パッチン錠101A,101Bのそれぞれは、ケース32及びカバー33がキャブ10のフロアプレート14に対して平行又は略平行な状態、すなわち、ケース32及びカバー33がフロアプレート14に対してチルトしていない状態において、固定プレート102A,102Bの対応する一方の係合突起103にロック可能となる。パッチン錠101A,101Bのそれぞれが固定プレート102A,102Bの対応する一方の係合突起103にロックされることにより、ケース32のピン62を回動中心とする回動が規制され、ケース32及びカバー33は、フロアプレート14に対して平行又は略平行な状態で維持される。すなわち、パッチン錠101A,101Bのそれぞれが固定プレート102A,102Bの対応する一方の係合突起103にロックされた状態では、ケース32及びカバー33のフロアプレート14に対するチルト動作が、規制される。
【0047】
本実施形態では、エアコン室内機25を用いてキャブ10のキャブ内部空間12の換気等を行っている状態において、ケース32のフィルタ収容空洞51に収容される外気フィルタ28を通して、エアコン室内機25に外気が導入される。この際、パッチン錠101A,101Bのそれぞれが固定プレート102A,102Bの対応する一方の係合突起103にロックされ、ケース32及びカバー33は、フロアプレート14に対して水平又は略水平な状態となる。本実施形態では、フィルタ保持ユニット30は、キャブ10のフロアプレート14の外表面に取付けられ、車体デッキ5とフロアプレート14との間の隙間において、キャブ10の外部に露出する。このため、車体デッキ5とフロアプレート14との間の隙間を利用して、外気フィルタ28の交換等を含む外気フィルタ28のメンテナンス作業を行うことが可能になる。これにより、外気フィルタ28のメンテナンス作業等の作業性が、向上する。
【0048】
また、フィルタ保持ユニット30では、カバー33のベース板部81がケース32を鉛直下側から覆うため、ケース32のフィルタ収容空洞51に収容される外気フィルタ28は、開口56を通してフィルタ保持ユニット30の外部に対して露出しない。そして、カバー33には、外周側へケース32に対して突出するバイザ部86,87A,87Bが設けられ、バイザ部86,87A,87Bのそれぞれとケース32との間には、鉛直上側を向く状態で吸気口91,92A,92Bの対応する1つが形成される。このため、フィルタ収容空洞51に収容される外気フィルタ28は、吸気口91,92A,92Bを通しても、フィルタ保持ユニット30の外部に対して露出しない。
【0049】
フィルタ収容空洞51に収容される外気フィルタ28がフィルタ保持ユニット30の外部に対して開口56及び吸気口91,92A,92Bを通して露出しないため、フィルタ収容空洞51の外気フィルタ28では、フィルタ保持ユニット30の外部の水滴及び塵埃等に直接的に曝されることが、有効に抑制される。これにより、キャブ10の外部に露出する位置にフィルタ保持ユニット30を設けても、フィルタ保持ユニット30に収容される外気フィルタ28へ曝される水滴及び塵埃等の量が、適切に低減される。外気フィルタ28及びフィルタ保持ユニット30が設けられるクレーン1では、例えば、高圧洗浄機を用いて洗車を行うことがある。本実施形態では、フィルタ収容空洞51の外気フィルタがフィルタ保持ユニット30の外部に対して開口56及び吸気口91,92A,92Bを通して露出しないため、洗車時においてフィルタ保持ユニット30に収容される外気フィルタ28へ曝される水滴の量が、適切に低減される。これにより、外気フィルタ28の膨潤が、有効に防止される。
【0050】
また、本実施形態では、吸気口91,92A,92Bのそれぞれに吸気された外気は、カバー33のベース板部81とケース32との間の隙間85、及び、ケース32の開口(第1の開口)56を順に通して、ケース32のフィルタ収容空洞51に流入する。そして、外気フィルタ28が収容されるフィルタ収容空洞51に流入した外気は、開口(第2の開口)57及び導入孔27を順に通って、エアコン室内機25に導入される。したがって、吸気口91,92A,92Bが鉛直上側に開口する構成であっても、吸気口91,92A,92Bのそれぞれからエアコン室内機25へ、外気が適切に導入される。
【0051】
また、前述のように外気が導入されるため、カバー33のベース板部81とケース32との間の隙間85では、吸気口91,92A,92Bから吸気された外気がカバー33のベース板部81等に衝突することにより、吸気口91,92A,92Bのそれぞれから鉛直下側へ向かう外気の流れが、フィルタ収容空洞51(鉛直上側)へ向かう流れに変更される。そして、隙間85では、吸気された外気のベース板部81への衝突、及び、鉛直下側へ向かう流れから鉛直上側へ向かう流れへの方向変換等に伴って、外気に含まれる水滴、ミスト及び塵埃等が、外気から分離される。これにより、フィルタ保持ユニット30に収容される外気フィルタ28へ曝される水滴及び塵埃等の量が、さらに適切に低減される。
【0052】
また、本実施形態では、キャブ10のフロアプレート14の外表面にフィルタ保持ユニット30が取付けられるため、導入孔27とフィルタ保持ユニット30との間にダクト等を設ける必要はない。また、本実施形態では、キャブ内部空間12において、エアコン室内機25は、導入孔27に鉛直上側から隣接する。このため、キャブ内部空間12において、導入孔27とエアコン室内機25との間にダクト等を設ける必要はない。したがって、本実施形態では、キャブ10の外部及びキャブ内部空間12のそれぞれにおいて、エアコン室内機25に外気を導入する構成の省スペース化が実現される。
【0053】
また、本実施形態では、外気フィルタ28の交換等を行う際には、パッチン錠101A,101Bのそれぞれの固定プレート102A,102Bの対応する一方の係合突起103に対するロックを解除し、ケース32及びカバー33をフロアプレート14に対してチルトさせる。フロアプレート14に対してチルトした状態のケース32では、第1の方向についてフィルタ挿入口58に近い部位ほど、鉛直下側に位置する。ケース32がチルトした状態で外気フィルタ28の交換を行うことにより、フィルタ収容空洞51から外気フィルタ28を取出し易くなるとともに、フィルタ収容空洞51へ外気フィルタ28を挿入し易くなる。これにより、外気フィルタ28の交換等を含む外気フィルタ28のメンテナンス作業等の作業性が、さらに向上する。
【0054】
また、本実施形態では、フィルタ収容空洞51は、旋回体3の幅方向の外側へ向かって、フィルタ挿入口58において開口する。このため、フィルタ挿入口58を通してフィルタ収容空洞51から外気フィルタ28をさらに取出し易くなるとともに、フィルタ挿入口58を通してフィルタ収容空洞51へ外気フィルタ28をさらに挿入し易くなる。
【0055】
また、本実施形態では、ケース32の下板部52の内表面に、鉛直下側へ凹むガイド溝63が形成され、外気フィルタ28の主面72に、凸部76が形成される。外気フィルタ28をフィルタ収容空洞51に挿入する際には、外気フィルタ28の主面72が鉛直下側を向き、かつ、外気フィルタ28の凸部76がケース32のガイド溝63内に位置する状態で、外気フィルタ28を第1の方向に沿って移動させる。この際、外気フィルタ28の凸部76は、第1の方向について側板部55が位置する側へ向かって、ガイド溝63内を移動する。ガイド溝63及び凸部76を設けることにより、外気フィルタ28の主面72が鉛直上側を向く状態では、外気フィルタ28をフィルタ収容空洞51に挿入不可能となる。これにより、外気フィルタ28の主面72が鉛直下側を向く状態で、外気フィルタ28が適切にフィルタ収容空洞51に収容される。
【0056】
また、本実施形態では、パッチン錠101A,101Bのそれぞれの固定プレート102A,102Bの対応する一方の係合突起103に対するロックが解除され、かつ、ケース32及びカバー33がフロアプレート14に対してチルトし、かつ、フィルタ収容空洞51に外気フィルタ28が収容されていない状態において、カバー33をケース32から取外し可能である。カバー33をケース32から取外す際には、例えば、カバー33の側板部84の凹部96に第1の方向の外側から親指を挿入し、カバー33のベース板部81の窪み97に親指以外の指のいずれかを挿入する。そして、ケース32の爪部65を鉛直下側から親指で押し上げる。これにより、ケース32の爪部65に対するカバー33の凹部96の係合が、解除される。
【0057】
そして、爪部65に対する凹部96の係合が解除された状態で、第1の方向について側板部55が位置する側とは反対側へ向かって、すなわち、旋回体3の幅方向の外側へ向かって、ケース32に対してカバー33を移動させる。これにより、ピン61のそれぞれの係合溝93の対応する一方に対する係合、及び、ピン62のそれぞれの係合溝95の対応する一方に対する係合が解除され、カバー33がケース32から取外される。このため、カバー33をケース32から容易に取外し可能となる。また、カバー33をケース32から取外すことにより、カバー33のベース板部81の内表面に滞留した水、砂及び枯葉等を容易に取除くことが可能になる。したがって、カバー33のメンテナンス作業の作業性が向上する。
【0058】
また、本実施形態では、カバー33のベース板部81に貫通孔99が形成される。このため、カバー33をケース32から取外さなくても、カバー33のベース板部81の内表面に溜まった水等を、フィルタ保持ユニット30の外部へ適切に排出可能となる。
【0059】
なお、前述の実施形態等では、クレーン1を例に挙げて説明したが、フィルタ保持ユニット30の構成等は、クレーン1以外の建設機械にも適用可能である。すなわち、走行車体2及び旋回体3が設けられ、旋回体3がキャブ10を備える構成であれば、キャブ10のフロアプレート14の外表面に前述の実施形態等のフィルタ保持ユニット30を取付け可能である。
【0060】
なお、本願発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は可能な限り適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、上記実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適当な組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。
【符号の説明】
【0061】
1…クレーン、2…走行車体、3…旋回体、10…キャブ、12…キャブ内部空間、14…フロアプレート、25…エアコン室内機、27…導入孔、28…外気フィルタ、30…フィルタ保持ユニット、32…ケース、33…カバー、51…フィルタ収容空洞、56…開口(第1の開口)、57…開口(第2の開口)、58…フィルタ挿入口、81…ベース板部、86,87A,87B…バイザ部、91,92A,92B…吸気口。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10