(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023061263
(43)【公開日】2023-05-01
(54)【発明の名称】ランプ装置
(51)【国際特許分類】
G01S 7/03 20060101AFI20230424BHJP
F21S 41/275 20180101ALI20230424BHJP
F21S 41/29 20180101ALI20230424BHJP
F21S 45/00 20180101ALI20230424BHJP
G01S 7/481 20060101ALI20230424BHJP
F21W 102/00 20180101ALN20230424BHJP
【FI】
G01S7/03 240
F21S41/275
F21S41/29
F21S45/00
G01S7/481 Z
F21W102:00
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021171156
(22)【出願日】2021-10-19
(71)【出願人】
【識別番号】000002303
【氏名又は名称】スタンレー電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】弁理士法人創成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】金近 正之
【テーマコード(参考)】
5J070
5J084
【Fターム(参考)】
5J070AB24
5J070AC02
5J070AF03
5J070AF05
5J070AF06
5J084AA05
5J084AA13
5J084AC02
5J084AC03
5J084AC04
5J084BA03
5J084EA22
5J084EA34
(57)【要約】 (修正有)
【課題】エンジン熱などの車両自体の輻射熱の影響を効果的に抑制することができ、高精度の障害物探知装置機能を有するランプ装置を提供する。
【解決手段】車両への取り付け部である基体12と、光源ユニット14と、光源ユニット14を内部に収容するように基体の前面側を覆って基体12に取り付けられて灯体空間を画定する透光性カバー13と、透光性カバー13の灯体空間側であって、光源ユニット14の水平方向の側方位置に配置され、電磁波を送出して障害物探知を行う障害物探知ユニット20と、を備えている。障害物探知ユニット20は、ハウジング21と、ハウジング21内に納められた障害物探知装置23とを備え、ハウジング21は、透光性カバー13に固定されており、かつ、基体12から離間して設けられている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両への取り付け部である基体と、
光源ユニットと、
前記光源ユニットを内部に収容するように前記基体の前面側を覆って前記基体に取り付けられて灯体空間を画定する透光性カバーと、
前記透光性カバーの前記灯体空間側であって、前記光源ユニットの水平方向の側方位置に配置され、電磁波を送出して障害物探知を行う障害物探知ユニットと、を備え、
前記障害物探知ユニットは、ハウジングと、前記ハウジング内に納められた障害物探知装置とを備え、
前記ハウジングは、前記透光性カバーに固定されており、かつ、前記基体から離間して設けられているランプ装置。
【請求項2】
前記障害物探知ユニットの前記ハウジングは、前記障害物探知装置が送出する電磁波を吸収する電磁波吸収材を備える請求項1に記載のランプ装置。
【請求項3】
前記透光性カバーのうち、前記光源ユニットに対向する部分は可視光が透過し、かつ、前記障害物探知ユニットが対向する部分は可視光が透過せず前記障害物探知装置の送出する電磁波が透過するものである請求項1又は2に記載のランプ装置。
【請求項4】
前記障害物探知装置は送受信部を有し、前記送受信部による電磁波の中心軸は、前記光源ユニットの光軸方向に対して傾いている請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のランプ装置。
【請求項5】
前記透光性カバーのうち、前記障害物探知ユニットが対向する部分には外部と前記障害物探知ユニットとの間を連通する穴を有している請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のランプ装置。
【請求項6】
前記透光性カバーには貫通穴が設けられ、前記障害物探知ユニットは前記貫通穴に嵌め込まれている請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のランプ装置。
【請求項7】
前記障害物探知装置は送受信回路基板として構成され、
前記送受信回路基板に接続されるとともに前記灯体空間内に配置され、前記送受信回路基板からの検知信号の信号処理及び前記送受信回路基板の制御をなすプロセッサを有する請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のランプ装置。
【請求項8】
前記障害物探知装置はLiDAR及びレーダ装置のいずれかである、請求項1から請求項7のいずれか一項に記載のランプ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ランプ装置、特に障害物探知装置を内蔵した車両用のランプ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車の運転支援及び自動運転のために、加速度センサやGPSセンサに加え、カメラ、LiDAR(Light Detection and Ranging)、ミリ波センサなど様々なセンサが用いられる。
【0003】
特に、障害物探知装置は、対象物までの距離や方向、対象物との相対速度を直接検出できる。従って、近距離の対象物であっても高速かつ高精度に検出できるという特徴を有している。この中で、LiDARは、1ワットクラスのパルスレーザを障害物に向けて照射し、反射光を検出し、その反射光を検出するまでの時間から距離を検出するものであり、電波に比べて光束密度が高く、短い波長のレーザ光を利用することで高い精度で位置や形状などを検出できるという特徴がある。このレーザ光には近赤外線波長域の素子が多く使われ、距離センシングと高い光学解像度を実現することができる。
【0004】
特許文献1には、光源ユニットとミリ波レーダを搭載し、車体の外観に表れる樹脂カバーを備え、樹脂カバーの一部に不透明な意匠部を設け、意匠部によってミリ波レーダを遮蔽した車両用灯具が開示されている。
【0005】
また、特許文献2には、灯具ユニットとレーダユニットとの間の空間を仕切るように配設され、灯具ユニットとレーダユニットとの間における輻射熱及び電磁波の伝達を遮蔽するセパレータが設けられた車載ライト装置が開示されている。
【0006】
特許文献3には、灯具ボディと前面カバーの間に灯室を形成し、灯室の内部に光源を設け、灯室の外部にミリ波レーダを設置し、前面カバーにミリ波レーダを前方から覆う遮蔽部を形成した車両用灯具が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第5130192号公報
【特許文献2】特開2020-51974号公報
【特許文献3】特許第5285405号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、灯体内のランプの発熱やエンジン熱などの灯体外部の高温度環境の影響を受けると、灯体内に内蔵した障害物探知装置の検出機能を低下させる。これは、障害物探知装置内部に用いられている半導体装置のジャンクション温度が高温になりすぎて、その機能が低下することが主要な要因である。
【0009】
特に、LiDARにおいては、ミリ波レーダと比較し送出する電磁波(レーザ光)の電力が大きいため、これに伴う発熱が大きく、検出機能の低下が顕著である。また、車両の側方方向を検出する障害物探知装置においても、エンジン熱などの車両自体の輻射熱の影響を受け易い。
【0010】
灯体内のランプが点灯していないときであっても、エンジンは機能し続けるため、エンジンからの輻射熱は常に障害物探知装置に及ぼされる。このため、エンジンからの輻射熱の影響を抑制されることが望まれていた。
【0011】
この課題を解決するために、例えば、LiDAR装置を灯具以外に取り付け、別体構造として障害物探知を行う事で、灯体の光源からの熱の影響やエンジン熱等の輻射熱の影響を受けないよう配置することが考えられる。しかし、熱による検出機能の低下という課題は解決されるが、灯体以外に障害物探知装置を収める構造部が必要となり、大型化する課題が生じてしまう。
【0012】
本発明は上記した点に鑑みてなされたものであり、エンジン熱などの車両自体の輻射熱の影響を効果的に抑制することができ、かつ、灯体内に障害物探知装置を納めて小型化できるランプ装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の1実施形態によるランプ装置は、
車両への取り付け部である基体と、
光源ユニットと、
前記光源ユニットを内部に収容するように前記基体の前面側を覆って前記基体に取り付けられて灯体空間を画定する透光性カバーと、
前記透光性カバーの前記灯体空間側であって、前記光源ユニットの水平方向の側方位置に配置され、電磁波を送出して障害物探知を行う障害物探知ユニットと、を備え、
前記障害物探知ユニットは、ハウジングと、前記ハウジング内に納められた障害物探知装置とを備え、
前記ハウジングは、前記透光性カバーに固定されており、かつ、前記基体から離間して設けられている。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の第1の実施形態のランプ装置10の内部構造の一例を模式的に示す図である。
【
図2】ランプ装置10の内部構造の一例を模式的に示す断面図である。
【
図3】ランプ装置10が搭載された車両の熱源90からの輻射熱RHを示す断面図である。
【
図4】本発明の第2の実施形態のランプ装置10の構造を模式的に示す断面図である。
【
図5】本発明の第3の実施形態のランプ装置10の構造を模式的に示す断面図である。
【
図6】本発明の第4の実施形態のランプ装置10の構造を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下においては、本発明の好適な実施形態について説明するが、これらを適宜改変し、あるいは組合せて適用してもよい。また、以下の説明及び添付図面において、実質的に同一又は等価な部分には同一の参照符を付して説明する。
【0016】
なお、以下においては、車両として自動車を例に説明するが本発明はこれに限定されない。すなわち、本明細書において、車両は、例えば船、航空機などを含む乗り物(Vehicle)、及び有人及び無人の輸送手段を意味する。
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態のランプ装置10の内部構造の一例を模式的に示す図である。ランプ装置10は、自動車などの車両に搭載される。ランプ装置10は、例えば前照灯であるが、テールライト、バックライト等の外部に向けて光を発する目的、機能を有するランプ装置に適用することもできる。
【0017】
より具体的には、
図1は、車両の左前方に搭載された状態のランプ装置10(左前照灯)を上面から見た場合の、すなわち水平面(又は路面に平行な面)における断面を模式的に示している。
【0018】
なお、本明細書において、水平及び鉛直面(又は方向)との用語は、ランプ装置10を車両に取り付けたときの水平及び鉛直面(又は方向)をいい、車両の水平及び鉛直面(又は方向)に対応する。
【0019】
ランプ装置10は、ランプ部11と、障害物探知部である障害物探知ユニット20とを有する。ランプ装置10において、基体12と基体12の前面側又は前方側に取り付けられた透光性カバー(前方カバー)13とによってランプ筐体(ケーシング)11Cが構成されている。
【0020】
より詳細には、透光性カバー13が基体12に取り付けられることよって内部空間である灯体空間11Kが画定されている。本実施形態においては、灯体空間11Kは密閉された空間として構成されている。
【0021】
透光性カバー13は、基体12の前面側を覆うように基体12に取り付けられ、基体12が車体側に取り付けられることによって、ランプ装置10が車体(図示しない)に搭載される。
【0022】
基体12はプラスティック(樹脂)によって形成されている。例えば、前照灯ではPP(ポリプロピレン)によって形成され、テールランプでは、ASA(アクリロニトリル・スチレン・アクリルゴム)によって形成されているが、これらに限定されない。また、部分的に金属などが用いられていてもよい。
【0023】
また、透光性カバー13は、例えばポリカーボネート(PC)などの透光性樹脂によって形成されている。なお、透光性カバー13は、赤色、黄色などの白色以外の光を透過する透光性を有するものであってもよい。
【0024】
ランプ筐体11Cの灯体空間11K内には、光源ユニット14が設けられている。光源ユニット14は、LED(Light Emitting Diode)等の光源15と、当該光源15からの光を光軸AX1に沿って配光及び照射するためのレンズ又はリフレクタなどの光学系14Lを有している。光源15は光源筐体14K内に設けられている。
【0025】
光源ユニット14は、ロービーム(すれ違い用ビーム)及びハイビーム(走行用ビーム)の照射光LBを前方(図中、FR)方向に照射するように設けられている。
【0026】
また、ランプ筐体11C内には、エクステンションなどが設けられていてもよい。エクステンションは、光を反射し又は光を導光し、あるいは内部の構造物等を外部から視認し難くするために設けられている意匠部品である。
【0027】
透光性カバー13には障害物探知ユニット20が固定されている。障害物探知ユニット20は、透光性カバー13の後面であって、光源ユニット14の水平方向における側方に位置するように設けられている。また、障害物探知ユニット20は、基体12から離間した位置に設けられている。より詳細には、障害物探知ユニット20は、障害物探知ユニット20の側壁および底部が基体12に接しない位置、すなわち基体12が車体に搭載された際に車体に接しない位置に設けられている。
【0028】
障害物探知ユニット20は、ハウジング21と、ハウジング21内に納められた障害物探知装置23とを有している。障害物探知装置23は、ミリ波やレーザ光などの電磁波を送出し、対象物による反射電磁波を観測して対象物までの距離及び対象物の形状を測定する。
【0029】
障害物探知ユニット20は、ランプ筐体11Cの灯体空間11Kとはハウジング21によって隔てられ、灯体空間11Kから分離された空間(障害物探知ユニット空間)20Kが画定されている。
【0030】
より詳細には、障害物探知ユニット20のハウジング21は、透光性カバー13の後面、すなわち灯体空間11K内に固定されている。そして、障害物探知ユニット20に対向する透光性カバー13の部分21Sとハウジング21とが障害物探知ユニット空間20Kを画定している。ハウジング21の透光性カバー13への固定方法は、ネジ止め、接着剤、樹脂同士の溶着など既存の手法を選択することができる。
【0031】
なお、障害物探知ユニット20のハウジング21は、障害物探知装置23の送出する電磁波を吸収するために、例えば、電磁波がミリ波帯であればカーボン等の電磁波吸収材を含む樹脂を用いるか、またはハウジング21の表面又は裏面に電磁波吸収材をコーティング又は電磁波吸収体を貼り付け等した部材を用いることができる。
【0032】
また、電磁波が近赤外領域の場合、LaB6(六ホウ化ランタン)、CWO(セシウムドープ酸化タングステン)、ITO(スズドープ酸化インジウム)、ATO(アンチモンドープ酸化スズ)等の赤外吸収物質をカーボンと同様に樹脂に含有するか、表面又は裏面にコーティングする等で用いることができる。
【0033】
したがって、障害物探知装置23の送出する電磁波のうち、透光性カバー13によって反射され、その後灯体空間11K内または障害物探知ユニット空間20K内で多重反射してノイズとなってしまう成分を吸収し、検出精度を向上させることができる。
【0034】
そして、障害物探知ユニット20は、障害物探知ユニット空間20K内に設けられた距離探知用センサである障害物探知装置23を有している。障害物探知装置23は、例えばLiDAR及びレーダ装置等の電磁波を用いた検知及び測距装置である。
【0035】
また、ランプ装置10の透光性カバー13のうち光源ユニット14に向かい合う部分は可視光が透過するものである一方、障害物探知ユニット20が向かい合う部分は障害物探知装置23の送出する電磁波を透過し、可視光に対して非透光性又は半透光性ものとしてよい。この場合、障害物探知ユニット20が外部から見えないようになるため、意匠上好ましい。
【0036】
このような構造は、例えば透光性カバー13を可視光が透過する樹脂材料で作製し、その後、障害物探知ユニット20が向かい合う部分を、非透光性材料を用いた二色成型で作製することができる。また、二色成型の代わりに当該部分に非透光性材料によるフィルムを貼り付けることとしてもよい。
【0037】
障害物探知装置23は送受信部23Tを有し、送受信部23Tによる電磁波の中心軸AX2は、光源ユニット14の光軸AX1に対して(又は車両の進行方向FRに対して)外側方向(すなわち、左前照灯の場合には左方向)に角度θ(θ>0)だけ傾くように配されている。なお、送受信部23Tは中心軸AX2が進行方向FRに向けて(θ=0)配されていてもよい。
【0038】
なお、障害物探査装置23による検知範囲は、電磁波の中心軸AX2から所定の角度の広がりを有する場合がある。ハウジング21を透光性カバー13に固定した箇所は、この角度範囲外となるように設定することが好ましい。これにより、障害物探査装置23の探知精度の低下を抑制できる。
【0039】
図2は、ランプ装置10の内部構造の一例を模式的に示す断面図である。なお、送受信部23Tによる電磁波の送受信アンテナの中心軸又はレーザ光の走査の中心軸である中心軸AX2を含む鉛直面における断面(
図1中、Aで示す方向)を示している。
【0040】
図1及び
図2に示すように、障害物探知装置23は、水平面内において光源ユニット14の外側の側方(すなわち、水平方向における側方)に位置するように配置されている。
図2には、障害物探知装置23の後方に光源ユニット14(破線で示す)が配置されていることが示されている。
【0041】
図3は、
図1と同様な図であるが、ランプ装置10が搭載された車両のエンジン等の熱源90からの輻射熱RHを示している。本実施形態のランプ装置10によれば、ランプ装置10は、エンジン等の熱源90から輻射熱を受ける灯体空間11Kを有する。
【0042】
障害物探知ユニット20は、ランプ部11の灯体空間11Kによって隔てられ、高温環境である車両自体の熱源90からの輻射熱RHの影響が回避される。すなわち、車両自体の熱源90に障害物探知ユニット20は直接接していないことにより、障害物探知ユニット20の温度上昇を低減することができる。
【0043】
従って、熱の影響が抑制された高精度の障害物探知機能を有するランプ装置を提供することができる。
[第2の実施形態]
図4は、本発明の第2の実施形態のランプ装置10の構造を模式的に示す部分拡大断面図である。より具体的には、障害物探知ユニット20の構造を拡大して示す図である。
【0044】
障害物探知ユニット20のハウジング21に向かい合う透光性カバー13の部分21Sには、外部と障害物探知ユニット空間20Kとが連通する孔部である連通部21Cを有している。すなわち、障害物探知ユニット20は密閉されておらず,その内部空間である障害物探知ユニット空間20Kは非密閉空間となっている。なお、連通部21Cは、複数設けられていることが好ましい。
【0045】
また、障害物探知装置23は、障害物探知装置ハウジング21の表面との間に間隙を有するように透光性カバー13に取り付けられている(
図2参照)。
【0046】
かかる構成により、障害物探知装置23は、障害物探知装置23の背面と障害物探知装置ハウジング21との間に空気の流通経路21Aが形成され、障害物探知装置23内で動作するセンサの放熱、冷却が行われ、ランプ部11からの熱の影響を低減することができるようになっている。
【0047】
従って、障害物探知装置23は、ランプ部11の灯体空間11Kによって隔てられているとともに、冷却効果にも優れ、高温環境である車両の熱源90からの輻射熱RHの影響を低減し、障害物探知ユニット20の温度上昇を防止することができる。
[第3の実施形態]
図5は、本発明の第3の実施形態のランプ装置10の構造を模式的に示す断面図である。
【0048】
本実施形態において、障害物探知ユニット20は密閉構造を有し、灯体空間11Kとは隔てられた空間を有している。具体的には、障害物探知ユニット20のハウジング21はシール部25を介してランプ部11の透光性カバー13に取り付けられ、障害物探知ユニット20の内部空間(障害物探知ユニット空間20K)が密閉空間として構成されている。また、障害物探知ユニット空間20Kは、灯体空間11Kからの熱が遮断された隔離空間として形成されている。
【0049】
また、本実施形態においては、障害物探知装置としてのセンサ回路である送受信回路基板23Cが障害物探知ユニット20の内部に設けられている。より詳細には、送受信回路基板23Cは、送信波生成器(ジェネレータ)、例えばモノリシックマイクロ波集積回路 (MMIC)などのミリ波及びレーザ光などの電磁波を送受信する送受信回路、及びインターフェース回路が実装された回路基板である。従って、送受信回路基板23Cは、放熱性の良い回路基板に構成されている。障害物探知装置回路基板23Cは、障害物探知ユニット20の障害物探知ユニット空間20K内部において露出するように設けられている。
【0050】
送受信回路基板23Cは、例えばランプ部11の灯体空間11K内に配された探知装置制御モジュール27に接続されている。探知装置制御モジュール27は、例えばライト制御モジュール(LCM)内に設けられている。
【0051】
探知装置制御モジュール27は、送受信回路基板23Cからの検知信号の信号処理、及び、送受信回路基板23Cの制御をなす信号処理及び制御回路として機能する。すなわち、送受信回路基板23C及び探知装置制御モジュール27が障害物探知ユニット20を構成している。探知装置制御モジュール27はプロセッサ(例えばCPU)として構成され、障害物探知ユニット20の主要な発熱主体である。
【0052】
したがって、送受信回路基板23Cの検知信号の信号処理及び制御回路は、探知装置制御モジュール(プロセッサ)27として障害物探知ユニット空間20K外に設けられている。このように送受信回路基板23Cは放熱性の良い回路基板に構成され、発熱主体である探知装置制御モジュール27は送受信回路基板23Cとは分離して設けられているため、障害物探知ユニット空間20K内の発熱は少ない。また、送受信回路基板23Cによる発熱は透光性カバー13を介して放熱され、障害物探知ユニット空間20K内の温度上昇が抑制されるため、センサ回路の温度上昇による特性劣化が抑制される。
【0053】
障害物探知装置センサ23として機能する障害物探知装置送受信回路基板23Cは、ランプ部11の灯体空間11Kによって隔てられているとともに、冷却効果にも優れ、車両の熱源90からの輻射熱RHの影響が低減される。
【0054】
従って、障害物探知装置センサ基板回路23Cの温度上昇が防止され、熱の影響が抑制された高精度の障害物探知装置機能を有するランプ装置を提供することができる。
[第4の実施形態]
図6は、本発明の第4の実施形態のランプ装置10の構造を模式的に示す断面図である。
【0055】
本実施形態において、障害物探知ユニット20は透光性カバー13の一部に設けられた貫通穴13Hに嵌め込んで固定されている。より具体的には、障害物探知ユニット20のハウジング21の周縁部に形成されたフランジ部21Fが透光性カバー13の貫通穴13Hの周縁部と接合され、ハウジング21が透光性カバー13に固定されている。そして、障害物探知装置23は、ハウジング21内部に固定されている。さらに、障害物探知装置ハウジング21の前面開口部は、非透光性カバー21Dによって覆われている。
【0056】
なお、非透光性カバー21Dは遮熱性のものが好ましい。例示すると、ポリカーボネート、アクリル、PBT等の樹脂を用いることができる。また、発泡樹脂を用いることによって遮熱することができるともに軽量化を図ることができる。
【0057】
かかる構成により、障害物探知装置23は、ランプ部11の灯体空間11Kによって隔てられていることにより、高温環境である車両の熱源90からの輻射熱RHの影響を低減し、障害物探知ユニット20の温度上昇を防止することができる。
【0058】
さらに、非透光性カバー21Dを、例えば障害物探知装置23が送出する電磁波が透光性カバー13よりも透過しやすい材料を用いることができ、障害物探知の精度を向上させることができる。また、非透光性カバー21Dの外観色を、例えば車体の色に合わせたものに自在に変える等することができ、意匠上好ましい。更に、非透光性カバー21Dと透光性カバー13が共通の曲面を構成するように、つまり非透光性カバー21D表面と透光性カバー13表面に段差がないように設定することにより、非透光性カバー21Dが透光性カバー13と一体化するような外観とすることができ、意匠上好ましい。
【0059】
以上、詳細に説明したように、本発明によれば、エンジン熱などの車両自体の輻射熱の影響を効果的に抑制することができ、高精度の障害物探知装置機能を有するランプ装置を提供することができる。
【符号の説明】
【0060】
10:ランプ装置
11:ランプ部
11C:ランプ筐体
11K:灯体空間
12:基体
13:透光性カバー
13D:
14:光源ユニット
14K:光源筐体
14L:光学系
15:光源
20:障害物探知ユニット
20K:障害物探知ユニット空間
21:障害物探知ユニットのハウジング
21A:空気の流通経路
21C:連通部
23:障害物探知装置
23C:送受信回路基板
25:シール部
26:断熱部材
27:探知装置制御モジュール
90:熱源